JP2008088013A - 人工大理石用組成物、人工大理石及び浴槽 - Google Patents

人工大理石用組成物、人工大理石及び浴槽 Download PDF

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Abstract

【課題】防汚性に優れた人工大理石用組成物を提供する。
【解決手段】人工大理石用樹脂100重量部に対して水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂を10重量部以上を含有する人工大理石用組成物である。さらに、(i)前記アクリル樹脂は、そのガラス転移点温度が−5℃以上であり、(ii)重合硬化後の表面における対水接触角の値は70°以下であり、(iii)重合硬化後の表面における対オレイン酸接触角の値は20°以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、人工大理石用組成物、人工大理石及び浴槽に関する。
人工大理石は、浴槽、キッチン流し台のカウンタ、洗面台のカウンタなどに用いられているが、このような用途では汚れや異物を含んだ水に接する機会が多いため、人工大理石の表面に汚れが付着し易く、付着した汚れが落ちにくいので手入れが面倒であった。
例えば、浴槽の内壁面、特に浴槽内の水面に接する喫水線に汚れがこびり付き易いことはしばしば経験するところである。浴槽用材料に共通する汚れの原因は、汚れ成分の組成や汚れ付着のメカニズムが複雑であるために十分な解明がなされていないが、一般的には油脂や石鹸カスによる汚れなどが挙げられる。浴槽用材料としては、さまざまなプラスチック材料や木材料などが使用されているが、汚れに対する対策がなされていない場合が多く、従来の浴槽用材料は汚れが付着し易かった。
このような汚れが浴槽に付着すると、浴槽の美観を損ねるだけでなく衛生上からも問題がある。また、これらの汚れは容易に除去することができず、例えば浴槽の喫水線域に付着した汚れは浴槽にこびり付き容易に拭き取ることができない場合が多い。
これらの問題を解決するため、特開2002−069378号公報(特許文献1)には、シリコン樹脂化合物やフッ素樹脂化合物などを使用して浴槽等の表面を撥水化する方法が開示されている。この方法では、浴槽等の表面をこれらの化合物で覆うことによってその表面自由エネルギーを低くし、防汚性を高めている。
また、特開平10−166495号公報(特許文献2)に開示された別な方法では、表面に光触媒粒子を含む層を形成し、光触媒作用によって物質の表面を親水化し、汚れを付着しにくくしている。
特開2002−069378号公報 特開平10−166495号公報
しかしながら、上記のようにシリコン樹脂化合物やフッ素樹脂化合物を用いて浴槽等の表面を撥水化する方法では、実際には十分な防汚性を得ることができず、特に浴槽の喫水線域に汚れが付着するのを防ぐことはできなかった。
また、光触媒作用により物質表面を親水化する方法では、浴室内での光源の光量不足や、光触媒作用による浴槽用材料自身の劣化などから防汚効果が不十分になり易いという問題があった。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、防汚性に優れた人工大理石用組成物と、当該人工大理石用組成物を重合硬化させた人工大理石と、当該人工大理石を用いた浴槽とを提供することにある。
すなわち、本発明に係る人工大理石用組成物は、人工大理石用樹脂100重量部に対して水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂を10重量部以上含有する人工大理石用組成物であって、
(i)前記アクリル樹脂のガラス転移点温度が−5℃以上、好ましくは0℃以上であり、
(ii)重合硬化後の表面における対水接触角の値が70°以下で、かつ、
(iii)対オレイン酸接触角の値が20°以下であることを特徴とするものである。
ここで、人工大理石用樹脂とは、一般に人工大理石用の主樹脂として用いられているものであって、例えばアクリルシラップ、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂のうち少なくとも1つの樹脂を用いることができる。
アクリル樹脂には、アクリル酸エステルの重合体とメタクリル酸エステルの重合体とがあるが、本発明の人工大理石用組成物に用いる水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂には、メタクリル酸エステルモノマーからなるアクリル樹脂が好ましい。水酸基を有するアクリルモノマー(メタクリル酸エステルモノマー)としては、例えば三菱ガス化学(株)製のGE−610がある。また、前記窒素含有基を有するアクリルモノマー(メタクリル酸エステルモノマー)としては、例えば三菱ガス化学(株)製のGE−710、GE−720がある。
本発明の人工大理石用組成物は、人工大理石用樹脂100重量部に対して水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂(以下、前記アクリル樹脂ということがある。)を10重量部以上含有しているので、この人工大理石組成物を重合硬化させて人工大理石を作製すると、その表面における対水接触角の値が70°以下で、かつ、対オレイン酸接触角の値が20°以下である人工大理石成形体を得ることができる。人工大理石の対水接触角及び対オレイン酸接触角と防汚性との間には強い相関があり、対水接触角及び対オレイン酸接触角の値が小さいほど防汚性も良好となる。よって、人工大理石用樹脂100重量部に対して前記アクリル樹脂を10重量部以上含有させることにより、防汚性に優れた人工大理石を得ることができる。
また、人工大理石用樹脂100重量部に対して水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂を60重量部以上混合させれば、重合硬化後の表面における対水接触角の値が55°以下で、かつ、対オレイン酸接触角の値が15°以下となり、人工大理石成形体の防汚性がより一層向上する。
また、水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂のガラス転移点温度が−5℃よりも低いと、人工大理石成形体の成形性が劣悪となり、防汚性もかなり低下する。これに対し、ガラス転移点温度が−5℃以上の前記アクリル樹脂を用いれば成形性が良好となり、防汚性が良好となる。さらにガラス転移点温度が0℃以上の前記アクリル樹脂を用いれば、成形性がより一層良好となる。
本発明の人工大理石用組成物を重合硬化させることによって人工大理石を得ることができ、人工大理石用組成物を重合硬化させ所望の形状に成形することにより所望の人工大理石成形体を得ることができる。例えば、浴槽の少なくとも表面部分(表面保護層、浴槽壁材など)、キッチン流し台のカウンタ、洗面台のカウンタ等を人工大理石によって成形することができる。
本発明の人工大理石用組成物によれば、汚れが付着しにくく、また汚れの落ち易い人工大理石の成形体を得ることができた。特に、浴槽に用いた場合には、浴槽内面の喫水線域における汚れを防止する効果が非常に高かった。しかも、本発明の人工大理石用組成物によれば、人工大理石成形体の成形性が悪くなることもない。さらに、本発明の人工大理石用組成物は、光触媒作用を利用していないので、光源の光量不足や、光触媒作用の劣化などにより防汚効果が低下する問題もない。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
本発明に係る人工大理石用組成物は、人工大理石用樹脂に水酸基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂を混合したもの、あるいは人工大理石用樹脂に窒素含有基(特に、アミノ基)を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂を混合したものである。ここで人工大理石用樹脂は、人工大理石製の浴槽やカウンタ等を成形するための樹脂として一般的に使用される熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂であればよい。人工大理石用樹脂としては、例えばメタクリル酸メチルなどのモノマーにアクリルポリマーを溶解させて得られるアクリルシラップ、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。
水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂としては、アクリル酸エステルモノマーの重合体とメタクリル酸エステルモノマーの重合体とがあるが、本発明の人工大理石用組成物には、水酸基又は窒素含有基を有するメタクリル酸エステルモノマーからなるアクリル樹脂が望ましい。
水酸基を有するアクリルモノマーとしては、例えば下記の化学式1で示すような構造式で表わされるメタクリル酸エステルモノマー〔例えば、三菱ガス化学(株)製GE−610〕があり、水酸基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂は、このようなメタクリル酸エステルモノマーを重合させたものである。
Figure 2008088013
窒素含有基を有するアクリルモノマーとしては、例えば下記の化学式2で示すような構造式で表わされるメタクリル酸エステルモノマー〔例えば、三菱ガス化学(株)製GE−710〕や、下記の化学式3で示すような構造式で表わされるメタクリル酸エステルモノマー〔例えば、三菱ガス化学(株)製GE−720〕があり、窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂は、このようなメタクリル酸エステルモノマーを重合させたものである。
Figure 2008088013
Figure 2008088013
本発明にかかる人工大理石用組成物の組成は、人工大理石用樹脂100重量部に対して水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂が10重量部以上であり、より好ましくは、60重量部以上である。水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂の添加量の上限値としては、人工大理石用樹脂100重量部に対して80重量部まで防汚性の効果を確認しているが、この上限値は実験により80重量部よりも大きな値になり得ると考えられる。
よって、本発明の人工大理石用組成物では、人工大理石用樹脂が主樹脂となっていてもよく、前記アクリル樹脂が主樹脂となっていてもよい。ただし、前記アクリル樹脂を人工大理石用組成物の主樹脂として使用する場合には、その重合硬化後の強度が不足するのであれば、硬化剤や架橋剤を使用し、さらには三次元網目構造にすることにより強度を向上させることができる。また、長期的な使用の観点から耐熱性や耐水性が懸念される場合は、同様に硬化剤や架橋剤を使用して人工大理石を高密度の三次元網目構造にすることが望ましい。
また、本発明の人工大理石用組成物に用いる水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂のガラス転移点温度は−5℃以上であり、より好ましくは0℃以上である。前記アクリル樹脂のガラス転移点温度が−5℃よりも低いと、人工大理石の成形体強度等が著しく低下し、成形性がかなり悪くなる。また、ガラス転移点温度が−5℃よりも低い場合には、人工大理石の表面に親水性の官能基が効果的に配向しにくいため、人工大理石の表面に汚れが付着し易くなり、防汚性が悪くなる。なお、一般に使用されているアクリルモノマーからなるアクリル樹脂の範囲内では、ガラス転移点温度の上限値を見い出すことはできなかった。
本発明の人工大理石用組成物においては、適宜用途に応じて石目調人工大理石の風合いを出すための粗粉砕物、無機充填粒子、硬化剤などを適当量添加される。石目調人工大理石の風合いを出すための粗粉砕物には、天然物シリカ、寒水石、硅石、樹脂硬化物などの粗粉砕物がある。また、人工大理石用組成物に添加する無機充填粒子としては、ガラスフリット、シリカ、アルミ粉、水酸化アルミニウムなどを使用できる。無機充填粒子の表面には、人工大理石用樹脂などとよく相溶するように適当な表面処理方法でカップリング処理することが好ましい。カップリング処理には、一般的に使用されるシラン系、チタネート系などのカップリング処理剤を使用し、乾式法、湿式法など一般的に使用される方法で処理すればよい。
硬化剤としては、化薬アクゾ(株)製のパーカドックス16やトリゴノックス121を適当量使用し、日本ポリウレタン工業(株)製のイソシアネート硬化剤(コロネートHX)なども随時適当量使用すればよい。
上記のような人工大理石用組成物を用いて人工大理石の成形体を得るには、上記組成となるように調合された人工大理石用樹脂及び前記アクリル樹脂に無機充填粒子や硬化剤などを添加し、その人工大理石用組成物を均一に撹拌して無機充填粒子等を均一に分散させる。
無機充填粒子を撹拌して人工大理石用樹脂や前記アクリル樹脂に均一に分散させる方法としては、ディスパーミキサー、ヘンシェルミキサー、プラネタリミキサー、ボールミキサー、ビーズミル、オムニミキサー、振動・遠心力などを利用する非メディア系の分散・撹拌装置など、一般的に用いられる分散・撹拌装置を使用し、適当な時間均一に撹拌すればよい。
その後、人工大理石用組成物を成形型に注入して重合硬化させ、所定の製品形状に成形すれば、人工大理石の成形体、例えば人工大理石製の浴槽や浴槽壁材、キッチン流し台のカウンタ、洗面台のカウンターなどの水回り部材、給湯器外壁部材、住居用外壁部材などを製作することができる。また、この人工大理石用組成物は、他の樹脂成形品や心材の表面に塗布又は成形して表面保護層(防汚層)として用いることもできる。
人工大理石用組成物の成形方法としては、注型による成型方法が最も適しているが、他の方法、例えば射出成形、圧縮成形、プレス成形などの一般的な成型方法も利用できる。また、ゲルコートなどのコーティングを利用して樹脂成形品や心材の表面に付加してもよい。注型により成形する場合には、上下金型の金型温度を適宜設定することにより、水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂を人工大理石の表面に効果的に配向させることができる。
本発明の人工大理石用組成物においては、人工大理石用樹脂100重量部に対して水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂が10重量部以上となっているので、重合硬化した人工大理石又は人工大理石の成形体の表面(平滑面)に水滴を付着させたときの対水接触角の値が70°以下となり、表面にオレイン酸を付着させたときの対オレイン酸接触角の値が20°以下となる。さらに、人工大理石用樹脂100重量部に対して水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂を60重量部以上とすれば、重合硬化した人工大理石又は人工大理石の成形体の表面(平滑面)に水滴を付着させたときの対水接触角の値が55°以下となり、表面にオレイン酸を付着させたときの対オレイン酸接触角の値が15°以下となる。
接触角とは、固体表面上に小さな液滴を乗せ、液滴を平衡状態に維持しているとき、液体表面と固体表面との成す角を指す。また、対水接触角性は、前記アクリル樹脂中の水酸基又は窒素含有基が大理石表面に配向することに起因しており、対オレイン酸接触角性は前記アクリル樹脂中のアルキル基が大理石表面に配向することに起因している。
前記アクリル樹脂に含まれる水酸基又は窒素含有基等を重合硬化後の人工大理石表面に効果的に配向させるには、これらの官能基と人工大理石用樹脂との相互作用や立体障害などを利用できるが、それ以外にも、人工大理石用樹脂と前記アクリル樹脂との粘度の差を利用する方法、人工大理石用樹脂と前記アクリル樹脂との硬化速度の差異による方法などもある。
人工大理石成形体の表面における対水接触角及び対オレイン酸接触角と防汚性との間には強い相関があり、対水接触角及び対オレイン酸接触角の値が小さいほど防汚性も良好となる。しかして、人工大理石用樹脂100重量部に対して前記アクリル樹脂を10重量部以上含有させることにより、対水接触角は70°以下となり、対オレイン酸接触角が20°以下となり、優れた防汚性を得ることができる。また、人工大理石用樹脂100重量部に対して前記アクリル樹脂を60重量部以上含有させることにより、対水接触角は55°以下となり、対オレイン酸接触角が15°以下となり、より一層優れた防汚性を得ることができる。
すなわち、このような人工大理石又は人工大理石の成形体では、親水性の官能基(水酸基、窒素含有基)や親油性の官能基(アルキル基)が人工大理石の表面に十分に配向しているので、人工大理石表面に配向した各官能基の効果により、表面に汚れがほとんど付着せず、付着したとしても容易に洗浄が可能となる。特に、浴槽の場合には、喫水線域に汚れがほとんど付着しなくなる。また、人工大理石用組成物に前記アクリル樹脂を混合していても人工大理石用樹脂(特に、アクリル系のもの)が本来兼ね備えている耐熱性と耐水性を損ねることがなく、さらに人工大理石用樹脂に対する相溶性もあり、好適な人工大理石を得ることができる。
これに対し、人工大理石用樹脂100重量部に対する前記アクリル樹脂の添加量が10重量部よりも少ない場合には、対水接触角の値が70°よりも大きく、対オレイン酸接触角の値が20°よりも大きくなり、人工大理石の表面に親水性の官能基(水酸基、窒素含有基)が十分に配向しないために防汚効果が低下し、十分な防汚性能が得られない。特に、人工大理石でできた浴槽の場合、その喫水線域に汚れが付着し易くなる。また、人工大理石の成形体強度が低下し易くなり、成形体の作製も困難になる。
水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂を用いることにより汚れの付着を防止し、また汚れの除去を容易にするメカニズムは定かではない。推測するに、前記アクリル樹脂の官能基が人工大理石表面に効果的に配向することで、人工大理石表面に分子レベルで比較的強い親油性(撥水性)と親水性とが付与され、親油性のために汚れを含んだ水が人工大理石表面に密着しにくくなって汚れが付着しにくくなると考えられる。しかも、人工大理石表面に汚れが付着した場合でも、親水性のために大理石表面と汚れとの間には多くの空隙が存在しており、この汚れと人工大理石表面との間の空隙に流動水が浸入して汚れを剥離させ、このクリーニング効果により汚れが除去され易くなると考えられる。特に、人工大理石製の浴槽の場合には、浴槽内で流動する浴槽水や喫水線域で上下する水面の影響によるセルフクリーニング効果で汚れを防止できると思われる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
まず、以下に説明するようにして本発明の実施例1〜5のサンプルと比較例1、2のサンプルとを作製した。実施例1〜5及び比較例1〜2のいずれのサンプルにおいても、人工大理石用樹脂として日本ユピカ(株)製8900のアクリルシラップ溶液を用いた。実施例1においては、この人工大理石用樹脂100重量部に対して前記アクリル樹脂として三菱ガス化学(株)製のメタクリル酸エステルモノマーシリーズGE−610からなるアクリル樹脂(ガラス転移点温度55℃)を10重量部添加し、人工大理石用組成物のサンプルを得た。なお、このアクリルモノマーは、上記化学式1に示した構造式を有する。
実施例2においては、上記人工大理石用樹脂100重量部に対して前記アクリル樹脂として三菱ガス化学(株)製のメタクリル酸エステルモノマーシリーズGE−610からなるアクリル樹脂(ガラス転移点温度55℃)を60重量部添加し、人工大理石用組成物のサンプルを得た。
実施例3においては、上記人工大理石用樹脂100重量部に対して前記アクリル樹脂として三菱ガス化学(株)製のメタクリル酸エステルモノマーシリーズGE−610からなるアクリル樹脂(ガラス転移点温度55℃)を80重量部添加し、人工大理石用組成物のサンプルを得た。
実施例4においては、上記人工大理石用樹脂100重量部に対して前記アクリル樹脂として三菱ガス化学(株)製のメタクリル酸エステルモノマーシリーズGE−720からなるアクリル樹脂(ガラス転移点温度18℃)を60重量部添加し、人工大理石用組成物のサンプルを得た。なお、このアクリルモノマーは、上記化学式3に示した構造式を有する。
実施例5においては、上記人工大理石用樹脂100重量部に対して前記アクリル樹脂として三菱ガス化学(株)製のメタクリル酸エステルモノマーシリーズGE−710(ガラス転移点温度−5℃)を60重量部添加し、人工大理石用組成物のサンプルを得た。なお、このアクリルモノマーは、前記化学式2に示した構造式を有する。
比較例1においては、上記人工大理石用樹脂のみによって人工大理石用組成物のサンプルを得た。比較例2においては、上記人工大理石用樹脂100重量部に対して前記アクリル樹脂として三菱ガス化学(株)製のメタクリル酸エステルモノマーシリーズGE−410(ガラス転移点温度−65℃)を10重量部添加し、人工大理石用組成物のサンプルを得た。なお、三菱ガス化学(株)製のメタクリル酸エステルモノマーシリーズGE−410は、次の化学式4で示すような構造式を有する。すなわち、水酸基も窒素含有基も有しないアクリルモノマーである。
Figure 2008088013
さらに、実施例1〜5及び比較例1、2の各サンプルには、適当量のカップリング済みの無機充填粒子として東灌マテリアル(株)製のAS105S(カップリング処理済み硝子フリット)や適当量の硬化剤を添加した。これを分散及び撹拌することにより、無機充填粒子が均一に分散された人工大理石用組成物を得た。
ついで、各サンプルの人工大理石用組成物の樹脂溶液を注型用金型に投入し、適切な加圧下において金型温度と硬化時間を適切な値となるように調整し、縦横の寸法が各々10cm、厚みが約5mmの人工大理石成形体(試験用サンプル)を得た。
この後、得られた実施例1〜5及び比較例1、2の人工大理石成形体を用いて対水接触角の値、対オレイン酸接触角の値、防汚性能、成形性を評価した。この評価結果を下記の表1に示す。
Figure 2008088013
対水接触角は、各サンプルの上に水滴を付着させ、Tatec社製のcontact angle meter CA−MMを使用してその接触角を測定した。対水接触角は3段階にレベル分けし(対水接触角性)、対水接触角の値が55°以下の場合には表1で「○」(親水性大)で表示し、55°超過70°以下の場合には表1で「○△」で表示し、70°超過の場合には表1で「△」で表示した。
また、対オレイン酸接触角は、各サンプルの上にオレイン酸を付着させ、Tatec社製のcontact angle meter CA−MMを使用してその接触角を測定した。対オレイン酸接触角も3段階にレベル分けし(対オレイン酸接触角性)、対オレイン酸接触角の値が15°以下の場合には表1で「○」(親油性大)で表示し、15°超過20°以下の場合には表1で「○△」で表示し、20°超過の場合には表1で「△」で表示した。
人工大理石成形体の防汚性能については、40℃の風呂に1人10分、合計4人がジェットバス(ジャグジー)強を使用して入浴した後、各サンプルの人工大理石成形体を浴槽の喫水線付近に浸漬させ、5分間ジェットバス強で湯浴させた。そして、浴槽から取り出した人工大理石成形体の表面の光沢度を光沢度計で測定し、浸漬前後の光沢度値と目視による汚れの評価を加味して行なった。特に、光沢度値については、浸漬前の光沢度を100%とし、浸漬後の光沢度が90%以上の場合には防汚性能が優良であると評価し、表1では「○」で表わした。また、浸漬後の光沢度が80%以上90%未満の場合には防汚性能が良好であると評価し、表1では「○△」で表わした。浸漬後の光沢度が60%以上80%未満の場合には防汚性能が不良であると評価し、表1では「△」で表わした。
人工大理石成形体の成形性については、注型用金型から人工大理石成形体を脱型する際の脱型具合(脱型の容易さ)によって3段階に分けて評価した。すなわち、容易に注型用金型から脱型できた場合には成形性が良好であると評価し、表1では「○」で表わした。脱型するのにやや時間を要した場合には成形性が許容範囲内であると評価し、表1では「△」と表わした。脱型できない場合(人工大理石成形体が注型用金型に貼り付いて脱型できない場合など)には成形性は不可(悪)と評価し、表1では「×」で表わした。
表1の実施例1〜5と比較例1の評価結果を比較すれば、実施例1〜5では人工大理石用樹脂100重量部に対する水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂の添加量が10重量部以上で、かつ、前記アクリル樹脂のガラス転移点温度が−5℃以上となっているので、対水接触角が70°以下、対オレイン酸接触角が20°以下となり、防汚性能が良好であった。また、実施例1〜5では成形性は許容範囲内となっているが、ガラス転移点温度を0℃以上とした実施例1〜4では成形性も良好となった。
表1の実施例2〜5と実施例1の評価結果を比較すれば、実施例2〜5では人工大理石用樹脂100重量部に対する水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂の添加量が60重量部以上で、かつ、前記アクリル樹脂のガラス転移点温度が−5℃以上となっているので、対水接触角が55°以下、対オレイン酸接触角が15°以下となり、優秀な防汚性能が得られた。また、実施例2〜5では成形性は許容範囲内となっているが、ガラス転移点温度を0℃以上とした実施例2〜4では成形性も良好となった。
表1の比較例2によれば、人工大理石用樹脂100重量部に対する水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂の添加量が10重量部以上であっても、前記アクリル樹脂のガラス転移点温度が−5℃よりも低い場合には、成形性が悪く、また防汚性も不良であった。
なお、表1からは、対水接触角値及び対オレイン酸接触角値と防汚性能との間には、強い相関のあることも確認できる。

Claims (7)

  1. 人工大理石用樹脂100重量部に対して水酸基又は窒素含有基を有するアクリルモノマーからなるアクリル樹脂を10重量部以上含有し、
    前記アクリル樹脂のガラス転移点温度が−5℃以上であり、
    重合硬化後の表面における対水接触角の値が70°以下で、かつ、対オレイン酸接触角の値が20°以下であることを特徴とする人工大理石用組成物。
  2. 前記アクリルモノマーがメタクリル酸エステルモノマーであることを特徴とする、請求項1に記載の人工大理石用組成物。
  3. 前記人工大理石用樹脂が、アクリルシラップ、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂のうち少なくとも1つの樹脂であることを特徴とする、請求項1または2に記載の人工大理石用組成物。
  4. 前記人工大理石用樹脂と前記アクリル樹脂との組成が、前記人工大理石用樹脂100重量部に対して前記アクリル樹脂が60重量部以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の人工大理石用組成物。
  5. 前記アクリル樹脂のガラス転移点温度が、0℃以上であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の人工大理石用組成物。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の人工大理石用組成物を重合硬化してなる人工大理石。
  7. 請求項6に記載の人工大理石によって少なくとも表面部分を形成された浴槽。
JP2006270433A 2006-10-02 2006-10-02 人工大理石用組成物、人工大理石及び浴槽 Expired - Fee Related JP4872578B2 (ja)

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