JP2008086010A - x板系縦モード水晶振動子、及びそれの利用方法と製造方法 - Google Patents

x板系縦モード水晶振動子、及びそれの利用方法と製造方法 Download PDF

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Hisashi Kanie
壽 蟹江
Yukio Yokoyama
幸雄 横山
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Abstract

【課題】等価直列抵抗が小さく、等価インダクタンスが小さく、Q値が高く、広い温度範囲に亘って周波数変化が少なく、周波数温度特性の設計範囲が広い、超小型のx板系縦モード水晶振動子を提案すること。
【解決手段】水晶結晶の薄板として切り出され、上記薄板の上面と下面に電極が設けられて振動部が形成され、上記電極間に交番電圧を印加することにより上記振動部が縦モード振動をするx板系縦モード水晶振動子であって、上記振動部にn本(nは自然数1,2,3・・・)のスリットが長手方向に設けられ、上記スリットによって上記振動部が、長手方向の両端部を除いて、幅方向で分割されて帯状の振動腕が形成されていることと、j(j=1,・・・,n+1)番目の上記振動腕の幅方向の寸法をwj とし、上記振動部の長手方向の寸法をy0 とするとき、その寸法比R(=wj / 0 )が0<R≦0.4であるx板系縦モード水晶振動子とした。
【選択図】 図5

Description

本発明は、x板系縦モード水晶振動子、及びx板系縦モード水晶振動子の利用方法と製造方法に関するものである。
水晶結晶の光軸zに大略垂直な水晶結晶板はz板と呼ばれ、水晶結晶の電気軸xに略垂直な水晶結晶板はx板と呼ばれる。z板を原材料として製造される縦モード水晶振動子をz板縦モード水晶振動子と呼称し、x板を原材料として製造される縦モード水晶振動子をx板縦モード水晶振動子と呼称する。
また、この明細書では、水晶結晶のyz面をy軸の周りで所定のカット角だけ回転させた面内で切り出した水晶結晶板を傾斜x板と呼称する。そして、x板と傾斜x板を総称してx板系と称し、x板系の水晶結晶板を原料として製造される縦モード水晶振動子をx板系縦モード水晶振動子と呼ぶ。
従来の技術による縦モード水晶振動子の多くは、z板縦モード水晶振動子である。これは、水晶結晶のx板はエッチング(例えば、フッ酸系のエッチング液を使用したエッチング)が困難であるのに対し、z板は化学的エッチング法による加工が可能であり容易に所望の形状を形成できるからである。
図18は、例えば、特許文献1,2,4,5と非特許文献1,4,5とに開示されている、従来技術によるz板縦モード水晶振動子の概念的斜視図である。
図18のz板縦モード水晶振動子501は、振動部502と、接続部503,504と、環状接続部511,512と、支持部505,506と、マウント部507と、電極508,509,510,520等とから構成されている。振動部502は、y方向だけを長くx方向及びz方向の寸法を極端に短くして、棒状に形成されている。そうしなければ、主振動モードである水晶結晶のy方向への縦モード以外の振動モードが主振動モードの共振周波数近傍の周波数帯に発生し、モード・カップリング等の悪影響が生じるからである。
振動部502は、2個の接続部503,504を介してそれぞれ環状接続部511,512に接続され、環状接続部511,512は支持部505,506にそれぞれ接続され、更に、支持部505,506は、マウント部507に接続されている。
このz板縦モード水晶振動子501の振動部502と、接続部503,504と、環状接続部511,512と、支持部505,506と、マウント部507とは、化学的エッチング法を用いて一体に形成される。このz板縦モード水晶振動子501には、電極508,509と振動部502の側面(エッチングで形成された面)に励振電極としての電極510,520等が配置されている。電極510、520はyz面に形成しなければならないが、この面は側面にあるので、蒸着やスパッタリングで励振電極を配置することが困難であるばかりでなく、特に小型化の際には、励振電極の面積を広くすることも困難であり、結果として小さい等価直列抵抗R1 を確保することが困難である。
図19は、例えば、特許文献6,7,8と非特許文献6とに開示されている、従来技術によるz板縦モード水晶振動子の例の概念的斜視図である。
この図19のz板縦モード水晶振動子601は、振動部602と接続部603,604と、環状接続部611,612と、支持部605,606と、マウント部607と、電極608,609,610,620等とから構成されている。振動部602にはスリット630,631が設けられている。
振動部602は、2個の接続部603,604を介してそれぞれ環状接続部611,612に接続され、環状接続部611,612は支持部605,606にそれぞれ接続され、更に、支持部605,606は、マウント部607に接続されている。このz板縦モード水晶振動子601の振動部602と、接続部603,604と、環状接続部611,612と、支持部605,606と、マウント部607とは、化学的エッチング法を用いて一体に形成される。
z板縦モード水晶振動子601には、電極608,609とスリット630,631が設けられた振動部602の側面(エッチングで形成された面)に励振電極として電極610,620等とが配置されている。スリット630,631を設けることにより、電極610,620等を設ける側面の面積を増大させている。ただし、この側面はエッチングにより形成されるので、面が粗く、電極を配置しても励振に必要な一様な電界を振動部602にかけることが困難であり、また励振電極の面積は振動部602のz方向の寸法が小さいため、特に小型化の際には、スリットの数を増やしても励振電極を余り大きくできず、結果として小さい等価直列抵抗R1 を確保することが困難である。
図20は、例えば、特許文献3,9と非特許文献2,3,7とに開示されている、従来技術によるx板縦モード水晶振動子の概念的斜視図である。
この図20のx板縦モード水晶振動子701は、振動部702と、接続部703,704と、環状接続部711,712と、マウント部706,707と、電極710,720等とを具えて構成されている。振動部702は、2個の接続部703,704を介してそれぞれ環状接続部711,712に接続され、環状接続部711,712はマウント部706,707にそれぞれ接続されている。
図20のx板縦モード水晶振動子701には、給電電極として電極720等と振動部702の上下面に励振電極として電極710等とが配置されている。x板縦モード水晶振動子の場合、電極を側面でなく上下の表面に形成するので、電極を側面に形成しなければならない図18や図19のz板縦モード水晶振動子の場合に比べて、比較にならないほど大きな励振電極を配置することができる。
x板はエッチングによる加工が困難であるので、x板を原材料としたx板縦モード水晶振動子701の振動部702と、接続部703,704と、環状接続部711,712と、マウント部706,707等とをエッチングによって一体に形成することは、従来は不可能と考えられていた。しかし、近年、サンドブラスト(パウダービーム)法等の機械的加工法を採用することにより、これが実現されている。なお、最適な加工条件を整えれば、湿式或いは乾式エッチング法によってもこれらを形成することができる。
特開平2−75213号公報 特開平2−79509号公報 特開平2−132909号公報 特開平2−132911号公報 特開平2−132914号公報 特開平4−215312号公報 特開平4−242312号公報 特開平5−22070号公報 特開2005−94732号公報
「水晶振動子とその応用デバイス」電子情報通信学会論文誌C−1Vol.J82−C−INo.12pp.667−682 1999年12月 品田敏夫," 水晶発振子の理論と実際" オーム社,1963年改訂版. W. Mason, Ed. Physical Acoustics. vol. 1, pt. A, New York: Academic, 1964. H. Kawashima and M. Nakazato, "Variational analysis of new shape length-extensional mode quartz crystal resonator, taking account of lateral motion," in Proc. 44th Ann. Freq. Contr. Symp. , Baltimore, MD, pp. 378-385, 1990. 川島宏文,"《連載講座》水晶振動子の基礎( 第13回)," 日本工業出版株式会社,超音波TECHNO 5月号,pp.62-66, 1995 年. 川島宏文, " 《連載講座》水晶振動子の基礎( 第14回)," 日本工業出版株式会社, 超音波TECHNO 6月号, pp.67-70, 1995年. Y. Yokoyama, H. Kawashima and H. Kanie, "Design and fabrication of a length-extensional mode rectangular X-cut quartz resonator with zero temperature coefficient," IEEE Trans. Ultrason. Ferroelect. Freq. Contr. vol.53, No. 5, pp. 847-852, May, 2006. 植田敏嗣, " 水晶振動子ナノ加工技術の研究開発," ASTE Vol. A10 (2002): Annual Report of RISE, WasedaUniv.
図18に示す、従来技術によるz板縦モード水晶振動子は、水晶結晶のz板から化学的エッチング法を用いて製造される。
化学的エッチング法を用いてz板縦モード水晶振動子の外形形状を形成する場合、水晶結晶の異方性に起因して、非対称かつ非平坦なエッチング面が形成される。そして、振動を励起する励振電極はx方向に電界がかかるように非平坦なエッチング面(振動部側面)に配置される必要がある。また、振動モードの節点となる振動部中心部を支持する必要があり、それ故、電極面積を大きくすることができない。従って、励振電極間に十分に均一な電界がかかりにくく、その結果、電気機械変換効率が低くなり、特に小型化の際には、小さい等価直列抵抗R1 を確保することが困難である。
図19に示す、振動部にスリットが設けられた、従来技術によるz板縦モード水晶振動子は、図18のスリットを施さない場合と比べて小さい等価直列抵抗R1 と小さい等価インダクタンスL1 とを実現している。一般的に、水晶振動子の等価インダクタンスL1 は、水晶発振回路の起動過渡特性に影響があり、この水晶発振回路の起動時間を短くするために、さらにL1 が小さい水晶振動子が所望されている。
しかしながら、振動部にスリットが設けられた、このz板縦モード水晶振動子も、水晶結晶のz板から化学的エッチング法を用いて製造されている。このz板縦モード水晶振動子においても、略z方向の寸法が小さい側面(加工形状が非対称かつ非平坦なエッチング面)に励振電極を配置しなければならない。従って、このスリットが設けられたz板縦モード水晶振動子も、更なる小型化の際には、励振電極間に十分に均一な電界がかかりにくく、やはり十分に小さい等価直列抵抗R1 を確保することが困難である。
z板縦モード水晶振動子を小型化するときの問題点は次のように要約できる。
A) 液エッチングで加工をする都合上、z方向はあまり大きく出来ない。従って、大きな面積の励振電極を確保できない。従って、特に小型化の際には、小さい等価直列抵抗R1 を確保することが困難である。
B) 励振させるのに非平坦かつ非平行な粗いエッチング面に励振電極を施さねばならない。この結果、電気機械変換効率が低下する。特に小型化の際には、小さい等価直列抵抗R1 を確保することが困難である。
C) 振動モードの節点となる振動部中心部付近を支持しなければならない。これは、支持した振動部中心部付近は励振電極を配置することができないことを意味し、電気機械変換効率の低下をもたらす。特に小型化の際には、小さい等価直列抵抗R1 を確保することが困難である。
図20に示す、従来技術によるx板縦モード水晶振動子は、水晶結晶のx板から機械的加工法やエッチング法等を用いて製造される。平坦性と平行性とが十分に確保されたx板から加工されるため、平坦性と平行性とが確保された振動部上下面に励振電極を配置することができる。その結果、このx板縦モード水晶振動子は、小型化の際にも、十分に小さい等価直列抵抗R1 を確保できる。
このx板縦モード水晶振動子の場合、更に電気機械変換効率を高めて小さい等価直列抵抗R1 を確保するために振動部の略z方向寸法を増大し、大きな面積の励振電極を配置することが望ましい。しかしながら、このx板縦モード水晶振動子の主振動モードである縦モードの近傍の周波数帯には2次の両端自由屈曲モードが存在し、この2次の両端自由屈曲モードから主振動モードが多大な影響を受けることが判明している。
この結果、共振周波数の1次温度係数αを零以上とすることができるカット角度θxとz方向寸法との範囲が極めて少なく、周波数温度特性の設計範囲が限定化されてしまうという問題の存在が発見された。
そこで、本発明の第1の課題は、等価直列抵抗R1 が小さく、等価インダクタンスL1 が小さく、Q値が高く、広い温度範囲に亘って周波数変化が少なく、周波数温度特性の設計範囲が広い、超小型のx板系縦モード水晶振動子を提案することである。また、本発明の第2の課題は、等価直列抵抗R1 が小さく、等価インダクタンスL1 が小さく、Q値が高く、広い温度範囲に亘って周波数変化が少なく、周波数温度特性の設計範囲が広い、超小型であって、かつエッチング法で作成できるx板系縦モード水晶振動子を提案することである。
上記した第1の課題は、請求項1から12に記載した発明(以下、第1の発明と略称する)によって解決された。
即ち、水晶結晶の薄板として切り出され、上記薄板の上面と下面に電極が設けられて振動部が形成され、上記電極間に交番電圧を印加することにより上記振動部が縦モード振動をするx板系縦モード水晶振動子であって、上記電極が設けられた面を電極面と呼び、その電極面に垂直な方向を厚さ方向と呼び、上記電極面内にありかつ水晶結晶のy軸方向に対して所定のカット角をなす方向を長手方向と呼び、上記電極面内にありかつ上記長手方向に垂直な方向を幅方向と呼ぶとき、水晶結晶のz軸とy軸を含む面と上記電極面のなす角度θyが−85°から+85°の範囲、好ましくは−60°から+60°の範囲、さらに好ましくは−5°から+5°であり、上記振動部にn本(nは自然数1,2,3・・・)のスリットが長手方向に設けられ、上記スリットによって上記振動部が、長手方向の両端部を除いて、幅方向で分割されて帯状の振動腕が形成されていることと、j(j=1,・・・,n+1)番目の上記振動腕の幅方向の寸法をwj とし、上記振動部の長手方向の寸法をy0 とするとき、その寸法比R(=wj / 0 )が0<R≦0.4であることを特徴とするx板系縦モード水晶振動子により、あるいはこのx板系縦モード水晶振動子の振動部を長手方向に複数個隣接して並べて一体に形成した大振動部を具えたx板系縦モード水晶振動子によって解決された。
また、上記した第2の課題は、特に請求項5から12に記載した発明(以下、第2の発明と略称する)によって解決された。
即ち、水晶結晶の薄板として切り出され、上記薄板の上面と下面に電極が設けられて振動部が形成され、上記電極間に交番電圧を印加することにより上記振動部が縦モード振動をするx板系縦モード水晶振動子であって、上記電極が設けられた面を電極面と呼び、その電極面に垂直な方向を厚さ方向と呼び、上記電極面内にありかつ水晶結晶のy軸方向に対して所定のカット角をなす方向を長手方向と呼び、上記電極面内にありかつ上記長手方向に垂直な方向を幅方向と呼ぶとき、上記電極面が水晶結晶のyz面をy軸の周りで所定の角度θy(θyが−85°から−5°、または+5°から+85°の範囲、好ましくは−60°から−5°,または+5°から+60°の範囲、さらに好ましくは−45°から−5°、または+5°から+45°の範囲)だけ回転した面に平行であり、上記振動部にn本(nは自然数1,2,3・・・)のスリットが長手方向に設けられ、上記スリットによって上記振動部が、長手方向の両端部を除いて、幅方向で分割されて帯状の振動腕が形成されていることと、j(j=1,・・・,n+1)番目の上記振動腕の幅方向の寸法をwj とし、上記振動部の長手方向の寸法をy0 とするとき、その寸法比R(=wj / 0 )が0<R≦0.4であることを特徴とするx板系縦モード水晶振動子により、あるいはこのx板系縦モード水晶振動子の振動部を長手方向に複数個隣接して並べて一体に形成した大振 動部を具えたx板系縦モード水晶振動子によって解決された。
上記第1の発明に係るx板系縦モード水晶振動子によれば、長手方向に設けたスリットの存在によって、主振動モードに対する主振動モード以外の振動モードの影響を少なくすることができる。また、振動部の側面でなく、広い表面であるyz面に励振電極を配置するので、励振電極の面積を大きくすることができ、小さい等価直列抵抗R1 を確保できる。さらに、設計の自由度が大きく、種々の周波数温度特性のx板系縦モード水晶振動子を容易に設計し、作成することができる。振動部の上下の電極が配置される端面は、x板切出し時の鏡面加工により平行性と平坦性とが確保された滑らかな面をそのまま利用することとなり、この滑らかな面に励振電極を配置するので、振動部に励振に必要な均一な電界をかけることができるという効果がある。
また、上記第2の発明に係るx板系縦モード水晶振動子によれば、上記した効果に加えて、エッチング法によって作成することができるという効果がある。
これらの結果、等価直列抵抗R1 が小さく、等価インダクタンスL1 が小さく、Q値が高く、広い温度範囲に亘って周波数変化が少なく、周波数温度特性の設計範囲が広い、超小型のx板系縦モード水晶振動子を提案することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1はこの明細書で採用する座標系を示した図であり、(A)は第1の発明に関する座標系、(B)は第2の発明に関する座標系である。水晶結晶の電気軸x、機械軸y、光軸zを、それぞれx軸、y軸、z軸と呼ぶ。これらは直交座標系o−xyzを成す。なお、水晶結晶(アルファ水晶結晶)においては、x方向、y方向、z方向はそれぞれ−x方向、−y方向、−z方向とは区別される。y軸とz軸を含む平面をyz面と称する。
第1の発明を説明する際には、図1(A)に示すように、y軸とz軸を、それぞれx軸を中心として角度θxだけ回転させた軸を、y’軸、z’軸と定義する。この場合、y’軸、z’軸を含むy’z’面は、元のzy面と平行である。この角度θxをこの明細書ではカット角と呼ぶ。y’軸方向を長手方向、z’軸方向を幅方向、x軸方向を厚さ方向とも呼ぶ。
第2の発明を説明する際には、図1(B)に示すように、x軸とz軸を、y軸を中心として角度θyだけ回転させた軸をx~軸、z~軸と定義する。z~軸とy軸を含むz~y面は、元のzy面に対して角度θyだけ傾斜している。また、x~軸は元のx軸に対してθyだけ傾斜している。
そして、第2の発明を説明する際には、y軸と新しいz~軸を、それぞれ新しいx~軸を中心として角度θxだけ回転させた軸を、y’軸、z’軸と定義する。この角度θxもこの明細書ではカット角と呼ぶ。y’軸方向を長手方向、z’軸方向を幅方向、x~軸方向を厚さ方向とも呼ぶ。
第1の発明のx板系縦モード水晶振動子の振動部1は、水晶結晶の電気軸xに大略垂直な水晶結晶のx板を原材料として作られる。即ち、この場合、「x板系」という語は、一般的な「x板」と同義である。
第1の発明のx板系縦モード水晶振動子の振動部1は、水晶結晶からzy面に平行に切り出した薄板であるx板から作られる。yz面内でy軸をカット角θxだけ面内回転をしたy’軸方向が長手方向、yz面内でz軸をカット角θxだけ面内回転したz’軸方向が幅方向、長手方向と幅方向を含む面に垂直な方向が厚さ方向となるように、薄板を加工して振動部が形成される。振動部1にはスリット2が設けられている。振動部1は略矩形板にスリットを設けた外形をしている。なお、カット角度θxは、後述するように、水晶振動子の周波数特性や温度依存性を最適化するように選定される。
第2の発明のx板系縦モード水晶振動子の振動部1は、水晶結晶のyz面をy軸の周りで所定の角度θy だけ回転したz~y面に平行に切り出した水晶結晶薄板を原材料として作られる。即ち、この場合、一般的な「x板」に対して所定の角度θy だけ傾いたz~y面である「傾斜x面板」から作られる。z~y面内でy軸をカット角θxだけ面内回転をしたy’軸方向が長手方向、z~y面内でz軸をカット角θxだけ面内回転したz’軸方向が幅方向、長手方向と幅方向を含む面に垂直な方向が厚さ方向となるように、この薄板を加工して振動部が形成される。第1の発明と同じく、振動部1にはスリット2が設けられている。振動部1は略矩形板にスリットを設けた外形をしている。
第1の発明において、x板系縦モード水晶振動子の原材料である水晶結晶のx板あるいは傾斜x板を水晶結晶原石から切出す際の、カット角度θyの許容範囲は−10°から+10°、好ましくは−5°から+5°であり、カット角度θzの許容範囲は−10°から+10°である。
振動部1は、板状形状で、電気軸x方向の寸法x0 と、y’軸方向の寸法y0 と、z’軸方向の寸法z0 とを有する。振動部1は薄く、x0 ≪y0 ,z0 である。ここで、寸法z0 の寸法y0 に対する比率を辺比Rzy(=z0 / 0 )と定義する。
この明細書において、説明の煩雑さを避けるために、第1の発明と第2の発明の対応する部材等については同じ参照番号を付して、第2の発明についての説明を省略している。即ち、特に差異を述べない限り、両者の説明や実施の形態は同じである。例えば、寸法比や、振動部の配置、電極の位置などは両者に特に差はない。第1の発明の実施の形態は、全て、第2の発明の実施の形態でもある。先ず、第1の発明に係るx板系縦モード水晶振動子を説明し、最後に第2の発明を説明する。
図2(a)は、本発明のx板系縦モード水晶振動子の振動部の上面図、図2(b)は、A−A’断面図である。第1の本発明に係るx板系縦モード水晶振動子の場合は、機械的加工法、例えば、サンドブラスト法(パウダービーム法)によって作成できる。なお、第2の発明に係るx板系縦モード水晶振動子の場合は、機械的加工法のみならず、エッチング法、例えば、液式エッチング法によっても作成できる。
図1、図2に示すように、振動部1にはスリット2が設けられている。スリット2のy’軸方向の寸法はl1 であり、z’軸方向の寸法はu1 である。スリット2が設けられることにより振動腕3,4が形成されている。寸法w1 ,w2 は、振動腕3,4の軸z’方向の寸法である。形成された振動部1の上下面には一対の極性の異なる励振電極として電極5,6が配置されている。
図3(a)は、スリット2が設けられていない場合の振動部1の振動モード形態の一例を示し、図3(b)は、スリット2が設けられている場合の振動部1の振動モード形態の一例を示す。
図3(a)に示すスリット2が設けられていない場合の振動部1の振動モード形態は、擬似的な縦モード振動である。即ち、スリット2が設けられていない場合の振動部1は共振時にそれぞれ矢印17a,17b,17c,17d,17a,17b,・・・の順番に振動をする、y’軸方向への伸張・収縮振動にy’z’面内の屈曲振動が重畳した振動である。このような擬似的な縦モード振動となる原因は、主振動モードである縦モードの周波数と近い周波数を有する副次的な両端自由屈曲モードが存在し、両振動モードがモード・カップリングを起こし、この両端自由屈曲モードから主振動モードである縦モードが多大な影響を受けるためである。
一方、図3(b)に示すスリット2が設けられている場合の振動部1の振動モード形態は、y’方向へのほぼ純粋な伸張・収縮振動であり、大略として純粋な縦モードである。 即ち、スリット2が設けられている場合の振動部1は共振時にそれぞれ矢印18a,18b,18c,18d,18a,18b,・・・の順番に振動をする。
振動部1に設けたスリット2により、主振動モードでの共振時に振動部1に分布する応力T2 (工学的表記)の絶対値の総和と比較して、応力T3 (工学的表記)の絶対値の総和と応力T4 (工学的表記)の絶対値の総和とが減少し、寄生的な両端自由屈曲モードの発生周波数が低くなる。即ち、寄生的な両端自由屈曲モードの発生周波数は主振動モード(縦モード)の周波数帯から離れる。その結果、両端自由屈曲モードから主振動モードへの影響が大幅に抑制され、モード・カップリングがなくなり、本発明のx板系縦モード水晶振動子の振動部1は、共振時に大略として純粋な縦モードでy’軸方向に沿った伸縮振動をする。
但し、この図3(b)に示すように振動部1が共振時に大略として純粋な縦モードとして振動するための振動子1の寸法の条件の範囲は、それぞれ、0<(w1 /y0 )≦0.4, 0<(w2 /y0 )≦0.4である。図2、及び図3(b)の場合、(w1 /y0 )=(w2 /y0 )であることが望ましい。
水晶振動子の周波数温度特性は、温度tに対する周波数変化ト F/Fを、テイラー展開項の第3次項まで考慮した次の関係式(1)で、評価することが通例である。

ΔF/F=α(t−β(t−t0 2 +γ(t−t0 3 ・・・(1)

ここで、αは1次温度係数であり、βは2次温度係数であり、γは3次温度係数であり、t0 はテイラー展開温度(基準温度)である。
水晶振動子を発振回路の基準信号源として使用する場合、広い温度範囲に亘って周波数変化が少ないことが好ましい。即ち、温度係数α,β,γの全てが零となる水晶振動子は、広い温度範囲において周波数の変化が無い理想的な温度特性を示す。この温度係数α,β,γのうち、少なくとも1次温度係数αが零となることは、実用的な水晶振動子の最低限の条件とされている。
図4は、第1の発明に係るx板系縦モード水晶振動についての、カット角度θx と1次温度係数αとの関係の一例を示す。この例は、辺比Rzy=0.4のときの図3で示した振動部1にスリット2が設けられている場合と設けられていない場合とについて、テイラー展開基準温度をt0 =20℃としてテイラー展開したときの、1次温度係数αのカット角度θx依存性を示す。曲線7は、スリット2が設けられていない場合の振動部1のカット角度θxと1次温度係数αとの関係を示し、曲線8は、スリット2が設けられている場合の振動部1のカット角度θxと1次温度係数αとの関係を示す。
スリット2が設けられていない場合(曲線7)、θx=8°とθx=20°とのとき1次温度係数αは大略零となり、1次温度係数αが大略最大値1.3×10-6/℃を示すカット角度は、θx=14°である。これに対して、スリット2が設けられている場合(曲線8)、θx=0°とθx=14°とのとき1次温度係数αは、大略零となり、1次温度係数αが大略最大値2.7×10-6/℃を示すカット角度は、θx=6°である。スリット2を設けることにより、1次温度係数αの大略最大値が1.3×10-6/℃から2.7×10-6/℃に上昇するということは、周波数温度特性の設計の自由度が拡大することを意味する。即ち、スリット2が設けられていない場合に比べて、スリット2が設けられた場合は、1次温度係数αが零になることを達成できるテイラー展開温度(基準温度)の範囲が高温側にのびるということを意味する。
スリット2が設けられている場合は、共振時の振動部1の主振動モードは純粋な縦モードであるので、以下の理論的な周波数方程式(2)によって近似的に主振動モードの周波数温度特性を含めた周波数特性の解析をすることができる。他方、寸法z0 が大きく、スリット2が設けられていない場合は、この周波数方程式(2)によって主振動モードの周波数特性を完全には解析することができない。

F=(1/2y0 )(1/ρs221/2 ・・・(2)

F:周波数
ρ:水晶結晶の密度
22:弾性コンプライアンス定数

即ち、本発明は、スリット2を設けることで、周波数方程式(2)によって周波数温度特性を含めた周波数特性を解析でき、本発明のx板系縦モード水晶振動子は簡便に設計できるという利点がある。
図5は、本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の振動部の他の例として、振動部にn本(この図5の場合、nは2以上の整数2,3,4・・・)のスリットを設けた例を示す。図5(a)は、中間部分を省略した上面図であり、図5(b)は、図5(a)のB−B’断面図である。
図5の振動部10には、複数本(n本)のスリット13,14,15,16が設けられている。即ち、振動部10は略矩形板に複数本のスリットを設けた外形をしている。n番目のスリットのy’軸方向の寸法はln 、 n番目のスリットのz’軸方向の寸法はun である。なお、必ずしも寸法u1 ,u2 ,・・・un-1 ,un は等長である必要はなく、同様に、寸法l1 ,l2 ,・・・ln-1 ,ln も等長である必要はない。
スリット13,14,15,16が設けられることにより、振動部が分割されて(n+1)個の振動腕20,21,22,23が形成されている。各振動腕のz’軸方向のそれぞれの寸法は、w1 ,w2 ,・・・wn ,wn+1 である。このように振動腕が形成された振動部10の上下面には励振電極として一対の極性の異なる電極11,12が配置されている。
この図5に示すように、複数本(n本)のスリットを設けることにより、主振動モードでの共振時に振動部10に分布する応力T2 (工学的表記)の絶対値の総和と比較して、応力T3 (工学的表記)の絶対値の総和と応力T4 (工学的表記)の絶対値の総和とが減少し、寄生的な両端自由屈曲モードを含む他の振動モードの発生周波数が大きく変化する。即ち、寄生的な他の振動モードの発生周波数は主振動モード(縦モード)の周波数帯から離れる。その結果、寄生的な他の振動モードは主振動モード(縦モード)の周波数帯から離れ、モード・カップリングがなくなり、他の振動モードから主振動モードが受ける影響が大幅に減少する。その結果として、本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の振動部10は、共振時に大略として純粋な縦モードでy’軸方向に沿った振動をすることになる。振動部10は共振時に大略として純粋な縦モードで振動するので、前記の周波数方程式(2)によって近似的に振動部10の周波数温度特性を解析することができる。
但し、振動部10が共振時に大略として純粋な縦モードとして振動するための振動部10の寸法の条件の範囲は、それぞれ、0<(w1 /y0 )≦0.4, 0<(w2 /y0 )≦0.4, 0<(wn /y0 )≦0.4,0<(wn+1 /y0 )≦0.4である。ただし、必ずしも寸法w1 ,w2 ,・・・wn ,wn+1 は、等長である必要はない。図5のx板系縦モード水晶振動子の振動部10は、寸法w0 を大きくし、複数本(n本)のスリットを設けることにより大きな面積の励振電極を確保することが可能となる。その結果、従来の縦モード水晶振動子と比べて、本発明のx板系縦モード水晶振動子は、小さい等価直列抵抗R1 と小さい等価インダクタンスL1 とを確保することができる。
図6は、第1の発明に係るx板系縦モード水晶振動についての、テイラー展開温度t0 =20℃のときの、1次温度係数αが零以上となるカット角度θxと辺比Rzyとの関係を示した説明図である。
斜線ハッチングで示した領域31は、従来の振動部にスリットが無いx板縦モード水晶振動子(図18)の、1次温度係数αを零より大きくすることができるカット角度θxと辺比Rzyとの条件領域を示し、曲線30は、1次温度係数αを零とすることができるカット角度θxと辺比Rzyとの条件を示す。
点ハッチングで示した領域34は、図1,2,3,5で示した本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の振動部の1次温度係数αを零より大きくすることができるカット角度θxと辺比Rzyの条件領域を示し、直線32,33は、1次温度係数αを零とすることができるカット角度θxと辺比Rzyとの条件を示す。
図6をみると、従来の振動部にスリットが無いx板縦モード水晶振動子と比べて、本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の1次温度係数αを零以上とすることができるカット角度θxと辺比Rzyとの条件が、格段に広いことがわかる。即ち、これは、本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の1次温度係数αが零以上となる周波数温度特性のカット角度θxと辺比Rzyとの設計範囲が格段に広くなることを示している。
図6では、縦軸(辺比Rzy)の範囲は大略1.50までしか描いていないが、直線32,33は、辺比Rzyが1.50以上でも正方向に延長されて描かれるべきものである。この場合、領域34はこの延長された直線32と直線33とに挟まれた領域である。
なお、テイラー展開温度t0 =20℃のときに、1次温度係数αが零となるカット角度θxの条件を示す直線32と直線33とは、本発明のx板系縦モード水晶振動子の振動部が共振時にy’軸方向へ大略純粋な縦モードで振動する場合に対応する。そして、本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の振動部の周波数特性は、近似的に解析可能な周波数方程式(2)によって解析することができる。
図7は、第1の発明に係るx板系縦モード水晶振動についての、スリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の周波数温度特性の例を示す。曲線35は、カット角度θx=0°、テイラー展開温度t0 =20℃としたときの本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の周波数温度特性を示し、曲線36は、カット角度θx=6°、テイラー展開温度t0 =57℃としたときの本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の周波数温度特性を示している。
点37は、曲線35の頂点を示し、点38は、曲線36の頂点を示している。点37の座標は、温度が大略20℃であり、周波数変化が大略0ppmである。点38の座標は、温度が大略57℃であり、周波数変化が大略0ppmである。
本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の周波数温度特性は、2次温度係数βが大略として負の値を示すため、曲線35,36は上に凸の周波数温度特性を示し、このとき、曲線35,36が示すカット角度θx=0°,6°のときの周波数温度特性の2次温度係数βは、双方とも大略−3×10-8/℃2 である。
図7に示すように、本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子は、カット角度θxを変更することにより周波数温度特性の頂点温度を広い範囲で変更できる。本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子は、例えば、従来のx板縦モード水晶振動子(図20)と比較して、テイラー展開温度が高温になっても1次温度係数αが零である水晶振動子を実現することができる。本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の1次温度係数αが零を実現できるテイラー展開温度の大略の最大値は57℃程度である。
その利点としては、例えば、水晶発振器を搭載した電子機器の設計において、他の電子部品の電気的損失による発熱とこれに伴う電子回路基板や機器の温度上昇等を考慮した周波数温度特性が要求される場合がある。このような場合、本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子を用いることにより、その使用温度領域において温度変化に対する周波数変化が少ない水晶発振器を設計し、製造することができる。
図8は、本発明(第1と第2の発明)に係るx板系縦モード水晶振動子の大振動部の実施の形態を示す。図8(a)は、上面図であり、図8(b)は、図8(a)のD−D’断面図である。この実施の形態では、二つの振動部(図2,5で示した振動部1、又は振動部10)をy’軸方向に一体に接続して大振動部40を形成している。なお、図8(a)では、z’方向の中間部分は省略されている。
図8(a)に示す大振動部40は、複数のスリット43,44,45,46を設けた振動部41と複数のスリット47,48,49,50を設けた振動部42とをy’軸方向に接続して一体に形成した構造をしている。このとき、振動部41と振動部42とのy’軸方向の寸法はそれぞれy0 であり、z’軸方向の寸法はそれぞれz0 である。
説明と理解とを容易にするために、一方の振動部41を第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部に分類し、他方の振動部42を第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部に分類する。図8(b)に示すように、振動部41(第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部)の上下面には一対の励振電極として極性が異なる電極51(上側電極),52(下側電極)が配置され、振動部42(第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部)の上下面には一対の励振電極として極性が異なる電極53(上側電極),54(下側電極)が配置されている。電極51と電極53との間には電極がない第1の中立領域が設けられ、電極52と電極54との間の第1の中立領域の裏面には、第2の中立領域が設けられている。
本発明に係るx板系縦モード水晶振動子の好ましい使用方法においては、第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の上側の電極(電極51)と第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の下側の電極(電極54)とは同じ極性で、第1群のx板系縦モード水晶振動子の下側の電極(電極52)と第2群のx板系縦モード水晶振動子の上側の電極(電極53)とは同じ極性とし、振動部41に対して、180°ずれた位相で振動部42が振動するように、電極51,52と電極53,54とを配置する。
図8で示すように、スリットが設けられているので、振動部41と振動部42とは、それぞれ共振時にy’軸方向に略純粋な縦モードで、且つ、逆位相で振動する。振動部41と振動部42とが中立線55,56を挟んで接続されて、一体の大振動部40が形成されている。この大振動部40は、共振時に振動部41,42の個々の共振周波数と大略同一の共振周波数で振動する。二つの振動部が逆位相で振動するので、水晶振動子の等価直列抵抗R1 と等価インダクタンスL1 とは、振動部が1個の場合と比べて著しく小さくなる。そして、この大振動部40の周波数温度特性は、周波数方程式(2)によって近似的に解析することができる。
この図8に示した実施の形態は、y’軸方向に2個の振動部を接続して大振動部40を一体に形成したものであるが、本発明に係るx板系縦モード水晶振動子の大振動部は、y’軸方向の寸法が大略y0 である3個以上の振動部をy’軸方向に接続して一体に形成することも可能である。この場合でも、共振時に隣り合う振動部どうしが180°ずれた位相でy’軸方向に振動するように、複数対の励振電極を配置することが好ましく、大略として寸法y0 によって定まる共振周波数で、大振動部が振動する。
図9は、3個の振動部を接続して一体に形成した、本発明(第1と第2の発明)に係るx板系縦モード水晶振動子の大振動部の実施の形態の上面図である。
この図9の大振動部60は、3本のスリット71,72,73を設けた左の振動部61と、7本のスリット74,75,76,77,78,79,80を設けた中央の振動部62と、3本のスリット81,82,83を設けた右の振動部63とから成り、これらが、y’軸方向に接続されて一体に形成された構造を有する。
説明と理解とを容易にするために、3個の振動部の内の中央の振動部62を第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部に分類し、両端の左の振動部61と右の振動部63とを第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部に分類する。
振動部61,62,63は、それぞれy’軸方向の寸法が大略y0 であり、かつ、それぞれ複数本のスリットが設けられているので、共振時に大略同一の周波数でy’軸方向への大略純粋な縦モードで振動する。
振動部61(第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部)の上面には、励振電極として上の電極84が配置され、そして振動部61の下面には図示されていないが、励振電極として上の電極84と大略同形状で極性の異なる下の電極が配置されている。振動部62(第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部)の上面には、励振電極として上の電極85が配置され、そして振動部62の下面には図示されていないが、励振電極として上の電極85と大略同形状で極性の異なる下の電極が配置されている。振動部63(第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部)の上面には、励振電極として上の電極86が配置され、そして振動部63の下面には図示されていないが、励振電極として上の電極86と大略同形状で極性の異なる下の電極が配置されている。
このx板系縦モード水晶振動子の大振動部60の好ましい利用方法では、第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部62の下の電極と第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の上の電極84,86とは同じ極性とする。即ち、大振動部60の隣り合う振動部どうし(第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部と第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部)が180°ずれた位相で共振時にy’軸方向に振動するように励振電極が配置される。隣接する第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部(振動部62)と第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部(振動部61と振動部63)とが逆位相で振動するので、全体としての大振動部60は、小さい等価直列抵抗R1 と小さい等価インダクタンスL1 を持つ。
更に、この大振動部60の周波数温度特性は、周波数方程式(2)で概ね近似的に解析できる。そのため、広い温度範囲に亘って安定的な周波数温度特性を有し、小さい等価直列抵抗R1 と小さい等価インダクタンスL1 とを確保した水晶振動子を実現することができる。
図10は、5個の振動部を接続して一体に形成した、本発明(第1と第2の発明)に係るx板系縦モード水晶振動子の大振動部の実施の形態の上面図である。
この図10では、3つの第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部91,93,95と2つの第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部92,94とが交互に、y’軸方向に並べられて一体に接続され、大振動部90が形成されている。
即ち、大振動部90は、4本のスリット101,102,103,104を設けた振動部91(第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部)と、2本のスリット105,106を設けた振動部92(第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部)と、6本のスリット107,108,109,110,111,112を設けた振動部93(第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部)と、2本のスリット113,114を設けた振動部94(第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部)と、4本のスリット115,116,117,118を設けた(第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部)振動部95とをy’軸方向に並べて接続し、一体に形成された構造を有している。
振動部91、92、93、94、95は、それぞれy’軸方向の寸法が大略y0 であり、かつ、それぞれ複数本のスリットが設けられているので、共振時に大略同一の周波数でy’軸方向への大略純粋な縦モードで振動する。
第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部(振動部91、振動部93、振動部95)の上面には、励振電極として上の電極96、98、100が配置され、下面には図示されていないが、励振電極として上の電極96、98、100と大略同形状で極性の異なる下の電極がそれぞれ配置されている。
第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部(振動部92、振動子94)の上面には、励振電極として上の電極97、99が配置され、下面には図示されていないが、励振電極として上の電極97、99と大略同形状で極性の異なる電極がそれぞれ配置されている。
このx板系縦モード水晶振動子の大振動部90の好ましい利用方法においては、第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の上の電極96、98、100と、第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の図示されていない下の電極とは同じ極性とし、第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の上の電極97、99と第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の下の電極とは同じ極性とする。
この場合、第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部(振動部91、振動部93、振動部95)と第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部(振動部92、振動子94)は同一の固有周波数を有し、それらが逆位相で励振されるので、共振時には隣接振動部どうしが180°ずれた位相でy’軸方向へ振動をする。
この大振動部90は、ほぼ同一の固有周波数を有する振動部91,92,93,94,95をy’軸方向に接続し一体に形成して構成され、また、隣接する振動部が逆位相で振動するので、小さい等価直列抵抗R1 と小さい等価インダクタンスL1 とを実現することができる。
更に、この大振動部90の周波数温度特性は、周波数方程式(2)で概ね近似的に解析できる。これ故、本発明の大振動部90を具えるx板系縦モード水晶振動子は、広い温度範囲に亘って安定的な周波数温度特性を有し、小さい等価直列抵抗R1 と小さい等価インダクタンスL1 とを確保した水晶振動子となる。
図11は、図2のx板系縦モード水晶振動子の振動部1に支持部を設けた実施例を示す。図11(a)は、上面図であり、図11(b)は、側面図である。
振動部121の上面と下面とには、それぞれ励振電極として電極122,123が配置され、これらの電極122,123と電気的に接続された給電電極としての電極133,134がx板系縦モード水晶振動子120の上面と下面とに配置されている。これらの励振電極と給電電極との主材料は、導電性材料である金属等であることが好ましい。
スリット130を有する振動部121には、支持部124,127が一体に形成されている。支持部124は、接続部125とマウント部126とで構成され、支持部127は、接続部128とマウント部129とで構成されている。
ここにおいて、振動部121の中心線である振動部中立線131に対して、支持部124,127の中心線である支持部中立線132、135がそれぞれから一定の寸法La だけ離れるように、支持部124,127を振動部121に接続して一体に形成するのが好ましい。オフセットさせる理由は次のとおりである。
振動部121はスリット130を設けることで大略として純粋な縦モードで振動するが、カット角度θxが−5°から+20°の範囲では、主にテンソル変換後の弾性コンプライアンス定数s24,s42が完全な零ではないため、共振時に振動部121の外形のy’軸方向の辺上の変位が最も少ない位置が振動部中立線131から寸法La だけずれる。ずれる方向は、図11(a)に示した座標系において、上側の辺では+y’の方向にずれ、下側の辺では−y’の方向にずれる。この変位が最も少ない位置で振動部を支持すると、振動エネルギーの散逸が少ない。これ故、振動部121のy’軸方向の辺上の変位が最も少ない位置(振動部中立線131から上述の方向に寸法La ずれた位置)に、支持部124,127を設けることが好ましい。寸法La の範囲は、0<La ≦0.3y0 ,好ましくは0<La ≦0.25y0 である。
支持部124,127を振動部中立線131から上述の方向に寸法La だけオフセットをして適切な位置に設けることによって、共振時に振動する振動部121を理想的に支持することができ、機械的損失を抑え、小さい等価直列抵抗R1 や良好な周波数温度特性を確保することができる。
図示されていないが、図11中のx板系縦モード水晶振動子120を、例えば、水晶振動子用、または水晶発振器用の表面実装型セラミックパッケージ内に挿入固定する場合は、マウント部126,129にそれぞれ配置されている電極133,134を導電性接着剤や半田等を用いて表面実装型セラミックパッケージ内の電極パッド等に接続し、それと同時に表面実装型セラミックパッケージ内に固定すればよい。
図12は、図2のx板系縦モード水晶振動子の振動部1に環状接続部を追加具備した支持部を設けた実施例を示す。図12(a)は、上面図であり、図12(b)は、側面図である。
図12に示す本実施の形態のx板系縦モード水晶振動子150は、スリット170を設けた振動部151と支持部154,160とを具えて構成され、一体に形成されている。この図12に示す本実施例のx板系縦モード水晶振動子150の支持部154は、接続部155,156とマウント部158と環状接続部157とで構成され、支持部160は、接続部161,162とマウント部164と環状接続部163とで構成されている。以上のように構成された本実施例のx板系縦モード水晶振動子150の上面と下面とには、励振電極として電極152,153が配置され、同じくx板系縦モード水晶振動子150の上面と下面とには、給電電極として電極159,165が配置されている。これらの励振電極と給電電極との主材料は、導電性材料である金属等であることが好ましい。
この図12の実施形態においても、図11の実施の形態における場合と同様に、振動部151の中心線である振動部中立線171に対して、支持部154,160の中心線である支持部中立線172、173を寸法La だけオフセットさせて支持部154,160を振動部151に接続して一体に形成するのが好ましい。オフセットさせる方向は、図11に基づいて説明した方向と同じである。オフセット寸法La の範囲は、0<La ≦0.3y0 ,好ましくは0<La ≦0.25y0 である。
本実施例のx板系縦モード振動子150は、支持部154,160にそれぞれ環状接続部157,163とを具えることで、図11に示したx板系縦モード水晶振動子120と比べて共振時の機械的損失の抑制と高い耐衝撃性とが確保される。
図示されていないが、図12中のx板系縦モード水晶振動子150を、例えば、水晶振動子用、または水晶発振器用の表面実装型セラミックパッケージに挿入固定する場合は、マウント部158,164にそれぞれ配置されている電極159,165を導電性接着剤や半田等を用いて表面実装型セラミックパッケージ内の電極パッド等に接続し、それと同時に表面実装型セラミックパッケージ内に固定すればよい。
図13は、図5の実施の形態に、図11の支持部を設けた実施例を示す。図13(a)は、上面図であり、図13(b)は、側面図である。y’軸方向にスリット220、221、222、223が設けられている点は図5と同じである。
振動部201の上面と下面とには、それぞれ励振電極として電極202,203が配置され、これらの電極202,203とそれぞれ電気的に接続された給電電極としての電極210,211がx板系縦モード水晶振動子200の上面と下面とに配置されている。これらの励振電極と給電電極との主材料は、導電性材料である金属等であることが好ましい。振動部201には、支持部204,207が一体に形成されている。支持部204は、接続部205とマウント部206とで構成され、支持部207は、接続部208とマウント部209とで構成されている。ここにおいて、振動部201の中心線である振動部中立線230に対して、支持部204,207の中心線である支持部中立線231、232がそれぞれから一定の寸法La だけ離れるように、支持部204,207をオフセットして設けることが好ましい。オフセットの方向は既に説明した通りである。構造、作用は、以上に説明したものと同等であるので、それらについての説明は省略する。
図14は、図9の大振動部の実施の形態に、図11の支持部を設けた実施例を示す。図14(a)は、上面図であり、図14(b)は、図14(a)のE−E’断面図である。図9の場合は、中央の振動部と左右の振動部とのz’軸方向の寸法が異なっているが、図14の場合は3個全部の振動部のz’軸方向の寸法が大略同一である。
この図14のx板系縦モード水晶振動子250は、三つの振動部252、253、254をy’軸方向に接続し一体に形成した大振動部251を具える。各振動部252、253、254のy’軸方向の寸法はy0 である。各振動部252、253、254には図9の実施の形態と同様な複数本のスリットが設けられている。振動部252の上面と下面とには極性の異なる一対の励振電極としての電極260,261が配置され、振動部253の上面と下面とには極性の異なる一対の励振電極としての電極262,263が配置され、振動部254の上面と下面とには極性の異なる一対の励振電極としての電極264,265が配置されている。
さらに各振動部252、253、254から成る大振動部251は、支持部270,271、272,273、274,275によって支持されている。即ち、x板系縦モード水晶振動子250は支持部270,271、272,273、274,275と大振動部251とを接続し一体に形成した構造をしている。支持部270,273,274の上面には、それぞれ給電電極としての電極270a,273a,274aが配置され、図示されていないが、電極271,272,275の下面には、それぞれ給電電極としての電極271b,272b,275bが配置されている。
各振動部252、253、254の振動部中立線301,304,307に対して、それぞれの支持部の支持部中立線302,303、305,306、308,309は図11の場合と同様にそれぞれオフセットされている。オフセットの量及び方向も図11の場合と同じである。スリットの形状、機能等も図9の場合と同じである。これ故、それらの機能・効果についての説明は省略する。
図15は、図9の大振動部の実施の形態に、図12の環状接続部を追加具備した支持部を設けた実施例を示す。図15(a)は、上面図であり、図15(b)は、図15(a)のF−F’断面図である。図9の場合は、中央の振動部のz’軸方向の寸法の方が左右の振動部のz’軸方向の寸法より長いが、図15の場合は図9とは逆に、中央の振動部の振動部のz’軸方向の寸法の方が左右の振動部のz’軸方向の寸法より短い。
この図15のx板系縦モード水晶振動子350は、三つの振動部352、353、354をy’軸方向に接続し一体に形成した大振動部351を具える。各振動部352、353、354のy’軸方向の寸法は大略等しい。各振動部352、353、354には図9の実施の形態と同様に複数本のスリットが設けられている。振動部352の上面と下面とには極性の異なる一対の励振電極としての電極355,356が配置され、振動部353の上面と下面とには極性の異なる一対の励振電極としての電極357,358が配置され、振動部354の上面と下面とには極性の異なる一対の励振電極としての電極359,360が配置されている。
大振動部351は、振動部353に接続し一体に形成した支持部371,372によって支持されている。この環状接続部を追加具備した支持部371、372の上面には、それぞれ給電電極としての電極371a,372aが配置されている。電極371aは、大振動部351の上面に配置された電極400を介して電極355と電極359とに電気的に接続され、電極372aは電極357に電気的に接続されている。図示されていないが、支持部371、372の下面には、それぞれ給電電極としての電極371b,372bが配置されている。図示されていないが、電極372bは、大振動部351の下面に配置された電極400bを介して電極356と電極360とに電気的に接続され、電極371bは電極358に電気的に接続されている。
振動部353の振動部中立線390に対して、支持部371、372の支持部中立線391,392は図11の場合と同様にオフセットされている。オフセットの量及び方向も図11の場合と同じである。スリットの形状、機能等も図9の場合と同じである。これ故、それらの機能・効果についての説明は省略する。
以上、本発明を第1の発明に基づいて説明してきた。第1の発明は、機械式加工で作成することを前提としているが、第2の発明は、第1 の発明に係るx板系縦モード水晶振動子と同等のものをエッチング加工で作成することができるように改良したものである。以下、第2の発明に係るx板系縦モード水晶振動子について特有な部分について説明する。
非特許文献8に開示されているように、水晶結晶板の切り出し角度(カット角度)θyを0°以外の角度にすれば、湿式エッチングを用いてエッチング加工することができる。但し、角度θyの絶対値を大きく取ると、振動部の励振に大きく関わる圧電定数e´12の絶対値が低下して等価直列抵抗R1 と等価インダクタンスL1 との増大をもたらすことや、例えば図6で示した本発明のx板系縦モード水晶振動子の1 次温度係数αが零以上となるカット角度θxの範囲が変化し、それと同時にαが零となるカット角度θxも変化することに注意が必要である。
図16は、本発明のx板系縦モード水晶振動子のカット角度θyをパラメータとして、カット角度θxと1次温度係数αとの関係を示している。この図16は、θyがそれぞれ0°, ±15°, ±30°, ±45°, ±60°の場合のカット角度θxと1次温度係数αとの関係を示している。この図16が示すように、本発明のx板系縦モード水晶振動子は、角度θyが変化すると1 次温度係数αが零以上となるカット角度θxの範囲が変化し、それと同時にα=0となるカット角度θxも変化する。−60°<θy <60°の範囲において、αが零以上となるθxの範囲は、大略として−5°<θx<20°となる。即ち、第1の発明に係る図4と同じ範囲のθxにおいて、実用上利用可能な第2の発明に係るx板系縦モード水晶振動子を作ることができることが分かる。
図17は、カット角度θx=−5°, 5°, 15°25°のときのカット角度θyと圧電定数e´12の絶対値との関係を示す。圧電逆効果を利用して振動部がy´方向に振動する本発明のx板系縦モード水晶振動子は、圧電定数e´12の絶対値が大きいほど小さい等価直 列抵抗R1 と小さい等価インダクタンスL1 とを有することができる。この図17に示すように、θx毎に圧電定数e´12の絶対値はθy= 0°のときが最大となり、角度θyが±90°に近づくにつれて、圧電定数e´12の絶対値は零に近づいていく。即ち、角度θyの絶対値を大きく取ると、振動部の励振に大きく関わる圧電定数e´12の絶対値が低下して等価直列抵抗R1 と等価インダクタンスL1 との増大をもたらす結果となる。−45°<θy<45°の範囲において、圧電定数e12の絶対値が0. 1C/m2 以上となるので、この範囲において、小さい等価直列抵抗R1 と小さい等価インダクタンスL1 とを有するx板系縦モード水晶振動子を作製することが可能である。即ち、−45°<θy<45°の範囲において、実用上利用可能な第2の発明に係るx板系縦モード水晶振動子を作ることができることが分かる。
即ち、角度条件が−45°<θy<0、または、0<θy<45°と−5°<θx<20°となる範囲において、1 次温度係数αが零以上であり、且つ、小さい等価直列抵抗R1 と小さい等価インダクタンスL1 とを有する本発明のx板系縦モード水晶振動子を湿式エッチングで作製することが可能である。当然、図5、および、図8から図15に示した実施の形態をも第2の発明に係るx板系縦モード水晶振動子で実施可能である。なお、実施の形態を示す図の中に示した3直交系における、x軸は、第2の発明においては、x~軸を意味する。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は既述の実施の形態に何ら限定されず、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、種々の変形及び変更が可能であることは当然である。
この明細書で採用する座標系を示した図であり、(A)は第1の発明に関する座標系、(B)は第2の発明に関する座標系である。 (a)は、本発明のx板系縦モード水晶振動子の振動部の上面図、(b)は、A−A’断面図である。 (a)は、スリットが設けられていない場合の振動部の振動モード形態の一例を示し、(b)は、スリットが設けられている場合の振動部の振動モード形態の一例を示した図である。 カット角度θxと1次温度係数αとの関係の一例を示した図である。 図5は、本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の振動部の他の例として、振動部にn本(この図5の場合、nは2以上の整数2,3,4・・・)のスリットを設けた例を示し、(a)は中間部分を省略した上面図、(b)はB−B’断面図である。 テイラー展開温度t0 =20℃のときの、1次温度係数αが零以上となるカット角度θxと辺比Rzyとの関係を示した説明図である。 本発明のスリットを設けた振動部を有するx板系縦モード水晶振動子の周波数温度特性の例を示した図である。 本発明に係るx板系縦モード水晶振動子の大振動部の実施の形態を示し、(a)は中間部分を省略した上面図であり、(b)はD−D’断面図である。 3個の振動部を接続して一体に形成した、本発明に係るx板系縦モード水晶振動子の大振動部の実施の形態の上面図である。 5個の振動部を接続して一体に形成した、本発明に係るx板系縦モード水晶振動子の大振動部の実施の形態の上面図である。 図2のx板系縦モード水晶振動子の振動部に支持部を設けた実施例を示し、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。 図2のx板系縦モード水晶振動子の振動部に環状接続部を追加具備した支持部を設けた実施例を示し、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。 図5の実施の形態に、図11の支持部を設けた実施例を示し、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。 図9の大振動部の実施の形態に、図11の支持部を設けた実施例を示し、(a)は上面図であり、(b)はE−E’断面図である。 図9の大振動部の実施の形態に、図12の環状接続部を追加具備した支持部を設けた実施例を示し、(a)は上面図であり、(b)はF−F’断面図である。 本発明のx板系縦モード水晶振動子のカット角度θyをパラメータとして、カット角度θxと1次温度係数αとの関係を示す図である。 カット角度θx=−5°, 5°, 15°25°のときのカット角度θyと圧電定数e´12の絶対値との関係を示す図である。 従来技術によるz板縦モード水晶振動子の概念的斜視図である。 従来技術によるz板縦モード水晶振動子の他の例の概念的斜視図である。 従来技術によるx板縦モード水晶振動子の概念的斜視図である。
符号の説明
10 振動部、
11、12 電極、
13・・・16 スリット、
20・・・23 振動腕、
0 振動部の電気軸x方向の寸法、
0 振動部のy’軸方向の寸法、
0 振動部のz’軸方向の寸法、
n n番目のスリットのy’軸方向の寸法、
n n番目のスリットのz’軸方向の寸法、
n n番目の振動腕のz’軸方向の寸法

Claims (16)

  1. 水晶結晶の薄板として切り出され、上記薄板の上面と下面に電極が設けられて振動部が形成され、上記電極間に交番電圧を印加することにより上記振動部が縦モード振動をするx板系縦モード水晶振動子であって、
    上記電極が設けられた面を電極面と呼び、その電極面に垂直な方向を厚さ方向と呼び、上記電極面内にありかつ水晶結晶のy軸方向に対して所定のカット角をなす方向を長手方向と呼び、上記電極面内にありかつ上記長手方向に垂直な方向を幅方向と呼ぶとき、
    水晶結晶のz軸とy軸を含む面(以下、yz面と呼ぶ)と上記電極面のなす角度θyが、−85°から+85°の範囲であることと、
    上記振動部にn本(nは自然数1,2,3・・・)のスリットが長手方向に設けられ、上記スリットによって上記振動部が、長手方向の両端部を除いて、幅方向で分割されて帯状の振動腕が形成されていることと、
    j(j=1,・・・,n+1)番目の上記振動腕の幅方向の寸法をwj とし、上記振動部の長手方向の寸法をy0 とするとき、その寸法比R(=wj / 0 )が0<R≦0.4であることを特徴とする、x板系縦モード水晶振動子。
  2. 上記水晶結晶のyz面と上記電極面のなす角度θyが、−5°から+5°の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のx板系縦モード水晶振動子。
  3. 上記長手方向と水晶結晶のy軸方向が、所定のカット角度θxをなすことを特徴とする、請求項2に記載のx板系縦モード水晶振動子。
  4. 上記カット角度θxが、−5°から+20°であることを特徴とする、請求項3に記載のx板系縦モード水晶振動子。
  5. 上記電極面が、水晶結晶のyz面をy軸の周りで所定の角度θyだけ回転した面に平行であることを特徴とする、請求項1に記載のx板系縦モード水晶振動子。
  6. 上記角度θyが、−45°から−5°の範囲、または+5°から+45°の範囲であることを特徴とする、請求項5に記載のx板系縦モード水晶振動子。
  7. 上記長手方向と水晶結晶のy軸方向が、所定のカット角度θxをなすことを特徴とする、請求項5に記載のx板系縦モード水晶振動子。
  8. 上記カット角度θxが、−5°から+20°であることを特徴とする、請求項7に記載のx板系縦モード水晶振動子。
  9. 長手方向の寸法が大略等しい、複数個の請求項1記載の振動部を備え、それらの複数個の振動部が長手方向で順番に隣接して一体に形成された大振動部を形成していることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のx板系縦モード水晶振動子。
  10. 上記振動部の電極面の上辺の中立線から長手方向に寸法La だけオフセットされた位置に幅方向に延在する上辺側支持部が設けられ、下辺の中立線から長手方向で逆方向に寸法La だけオフセットされた位置に上辺側支持部とは幅方向で逆方向に延在する下辺側支持部が設けられ、その寸法La の範囲が0<La ≦0.3y0 であることを特徴とする、請求項9に記載のx板系縦モード水晶振動子。
  11. 上記支持部に環状接続部を具えることを特徴とする、請求項10に記載のx板系縦モード水晶振動子。
  12. 上記大振動部を形成する複数個の振動部の隣接する振動部が交互に第1群と第2群に属するように、上記大振動部を構成する複数個の振動部を2群に分けたとき、第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の上側の電極面に設けられた上側電極と、これに隣接する第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の上側の電極面に設けられた上側電極との間に電極が設けられていない第1の中立領域が形成され、上記第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の下側の電極面に設けられた下側電極と、これに隣接する第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の下側の電極面に設けられた下側電極との間の上記第1の中立領域の裏面部分に電極が設けられていない第2の中立領域が形成されていることを特徴とする、請求項9に記載のx板系縦モード水晶振動子。
  13. 上記大振動部を形成する複数個の振動部の隣接する振動部が交互に第1群と第2群に属するように、上記大振動部を構成する複数個の振動部を2群に分けたとき、第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の上側の電極面に設けられた上側の電極と第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の下側の電極面に設けられた下側の電極とが電気的に接続され、第1群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の下側の電極面に設けられた下側の電極と上記第2群のx板系縦モード水晶振動子の振動部の上側の電極面に設けられた上側の電極とが電気的に接続されることを特徴とする、請求項9に記載のx板系縦モード水晶振動子の利用方法。
  14. 水晶結晶の薄板に、機械的加工を施して、上記スリットと外形形状とを形成することを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載のx板系縦モード水晶振動子の製造方法。
  15. 上記機械的加工が、パウダービーム法であることを特徴とする、請求項14に記載のx板系縦モード水晶振動子の製造方法。
  16. 水晶結晶の薄板に、エッチング加工を施し、上記スリットと外形形状とを形成することを特徴とする、請求項1、あるいは請求項5から12のいずれかに記載のx板系縦モード水晶振動子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015231045A (ja) * 2014-06-09 2015-12-21 株式会社村田製作所 圧電フィルム、振動デバイス、および、歪検出デバイス

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