JP2008085798A - 音声伝送装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】受信部に設けたパケットの伝送遅延を吸収する揺らぎ吸収バッファ部と、送信部に設けた送信が一時的に行えない場合に送信すべきパケットを待ち行列に繋ぐ送信待ち制御部を備える音声伝送装置において、送信待ち制御部15は、待ち行列19に繋がれているパケットの音声データの蓄積時間を算出する蓄積時間算出部18を備え、送信待ち制御部15は、蓄積時間算出部18が算出した蓄積時間が閾値以下になるように、最も古く繋がれたパケットを待ち行列19から取り出し廃棄して、新しいパケットを待ち行列19に繋ぎ続け、閾値を揺らぎ吸収バッファ部21の蓄積時間に等しくする。
【選択図】図1
Description
パケット交換網用の通信装置としては、ATM(Asynchronous Transfer Mode)やIEEE802.3等があるが、近年では、ケーブルテレビやADSL(Assymetric Digital Subscriber Line)や光ファイバー等による高速インターネット接続が家庭に普及したことにより、IP(Internet Protocol)上で音声データを送受信して通話を可能とするVoIP(Voice over IP)装置が実用化され、IP電話とも呼ばれている。
図13は、従来のパケット交換方式を説明するブロック図である。図13に示すように、従来のパケット交換方式においては、受信側に遅延差吸収用バッファを設け、送信側は同一通話に属するパケットにシーケンス番号を付加して送信し、受信側では受信パケットのシーケンス番号を監視しつつ受信パケットを遅延差吸収用バッファに格納し、また、当該通話に属する最初のパケットを受信した時点から定められた時間だけ経過した時点において、受信パケットの遅延差吸収用バッファから一定速度での読み出しを開始する。
これによって再生タイミングを変更することなく、一定のタイミングでバッファから読み出して再生することが可能になる。余分なパケットはダミー・パケットとも呼ばれ、無音や背景雑音或いは一つ前に届いたパケットを繰り返したパケットである。但し、パケットの到着が早過ぎて遅延差吸収バッファがオーバフローした場合は、オーバフローしたパケットを廃棄して、再生タイミングを変更する。パケット廃棄等によりシーケンス番号が抜けていた場合には、余分なパケットをバッファに格納する。
また、シーケンス番号チェック回路2は、遅延差吸収バッファメモリ4が一杯で受信パケットを格納できないときには、そのパケットを廃棄する。更に、シーケンス番号チェック回路2は、呼設定が行われた後に最初に到着するパケットを検出し、タイマ5に通知して、確率的に十分な長さの時間Dの後に、遅延差吸収バッファメモリ4からのパケットの連続的再生をスタートさせる。
現在、無線LANや携帯電話網の普及により、このような無線通信路上でVoIPを実現することが要望されつつある。無線通信路は一時的に通信品質が悪化して、比較的長い時間通信が途絶えることがある。このときの挙動は、無線通信路の無線通信プロトコルによるが、これについては、例えば、本発明人による、「データ通信装置」(特開2006−101339号公報参照)や「データ通信装置」(特開2006−101340号公報参照)において、説明されている。
また、従来、音声パケットを伝送する需要の増大に対応して、サービスクラスに応じた制御を行うQoS(QuaLity of Service)制御を備えた無線通信装置も現れている。この装置の場合、音声パケットに対しては遅延を少なくし、誤りや廃棄を許容するので、ディレイスパイクを生じさせないようにすることもできる。
図14は、従来技術において各部品又は装置を伝達される音声フレーム又はパケットの様子を示す説明図である。図において、横軸は時間であり、音声フレーム及び音声フレームを格納したパケットが上から下へ伝達される様子を矢印で示してある。1本の矢印が1個の音声フレーム又はパケットを表しており、図を分かり易くするために4個毎にハッチングを施してある。但し、このハッチングは便宜上のものでありデータタイプや機能の違いを示すものではない。
それに引き続いて、無線送信部と第1の基地局の間の無線通信路が悪化し、時間dの間は送信ができくなっている。但し、dは音声パケット周期の10倍である。この中断期間中も音声パケットは発生し続けており、無線送信部の前で滞留している。
時間dの経過後、無線通信路が回復すると無線送信部はパケットの送信を再開するが、遅延時間t1(ここでは、1音声フレーム周期としている)を必要としており、t1以上経過してから送信が再開する。
また、通信路中には介在しているサーバがあり、仕様上の収容回線数を保証しなければならないため、スパイク状の負荷をサーバにかけることは危険であるという問題がある。
次に、QoS制御を備えて遅延した音声パケットを早期に廃棄する無線通信路の場合を説明する。
時間dの経過後、無線通信路が回復すると、無線送信部は送信を再開するが、遅延時間t1(ここでは、1音声フレーム周期としている)を必要としており、t1以上経過してから送信が再開する。
本発明の目的は、伝送したパケットが無駄に廃棄されてしまうことがなく、サーバにスパイク状の負荷をかけず、また、アンダフローによって再生すべきパケットが到着していない時間が長くなるのを防止する音声伝送装置を提供することである。
また、本発明は、前記送信待ち制御手段が、前記待ち行列に繋がれている前記パケットを廃棄するかどうか判定する廃棄判定手段を備え、該廃棄判定手段の判定に従って廃棄を行い、前記廃棄判定手段は、前記待ち行列の最大の長さをLとし、k個のパケットの送信に対して1個の割合でパケットの廃棄を行うとした場合に、前記個数kを1≦k≦Lの範囲で変化させ、前記蓄積時間算出手段が算出した蓄積時間が大きいほど前記個数kを小さくし、蓄積時間が小さいほど前記個数kを大きくするように判定することが好ましい。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る音声伝送装置の送信部と受信部を示し、(a)は送信部のブロック図、(b)は受信部のブロック図である。図1に示すように、送信部(送信手段)10と受信部(受信手段)11は、音声伝送装置を構成し、一体の端末装置に組み込まれて、無線データ通信を実現する基地局と通信する。送信部10は、マイク12、エンコーダ13、パケット化部14、送信待ち制御部(送信待ち制御手段)15、メモリ16、及び無線送信部17を有しており、送信待ち制御部15は、蓄積時間算出部(蓄積時間算出手段)18と待ち行列19を有している。受信部11は、無線受信部20、揺らぎ吸収バッファ部(揺らぎ吸収バッファ手段)21、逆パケット化部22、デコーダ23、及びスピーカ24を有している。
第1端末装置25と第1基地局27の間では、無線レイヤプロトコルを実行することにより通信を実現している。第1端末装置25は、第1基地局27と無線通信路を確立した後、IP網29を経由したパケット通信を行う。第2端末装置26と第2基地局28の間も同様である。
図1に示す、音声伝送装置を構成する送信部10と受信部11について説明する。ここで、第1端末装置25と第1基地局27の間、及び第2端末装置26と第2基地局28の間で、無線通信路が確立されているものとし、更に、送信部10は、第1端末装置25内にあり、受信部11は第2端末装置26内にあり、音声を伝送するものとする。
送信部10において、音声は、マイク12によって電気信号に変換され、エンコーダ13へ入力される。エンコーダ13は、電気信号をA/D変換し、公知の符号化方式であるGSM(Global System for Mobile communication)−AMR(Adaptive Multi−Rate)で音声を符号化する。この場合、音声は8kHzでサンプルされて20msのフレーム毎に符号化され、符号化速度は12.2kbpsである。
パケット化部14は、作成したパケットをメモリ16に記憶させ、更に、メモリ16上のアドレスを送信待ち制御部15へ通知する。送信待ち制御部15は、待ち行列19が空かどうか判定し、空であれば、無線送信部17が送信可能状態にあるかどうかを判定する。
Tt+ Tp ≦ Tw………(1)
両者の和が閾値Tw以下の場合、蓄積時間算出部18は、その和(Tt+Tp)でTtの値を更新し、送信待ち制御部15に対して、式(1)の不等式が満たされていることを通知する。この通知によって、送信待ち制御部15は、通知されたアドレスを待ち行列19に繋ぐ。
両者の和が閾値Twを越える場合、蓄積時間算出部18は、送信待ち制御部15に対して、式(1)の不等式が満たされないことを通知する。この通知によって、送信待ち制御部15は、待ち行列19の中の順序が最も古いパケットのアドレスを取り出し、蓄積時間算出部18に対して、そのパケットが待ち行列19から削除されることを通知する。
この動作によって、待ち行列19に格納されて送信待ちをするパケットに含まれる音声の再生時間の合計が、閾値Tw以下となり、且つ、最新のパケットが待ち行列19に繋がれていることになる。本発明では、この所定の閾値Twを、揺らぎ吸収バッファ部21の所定蓄積時間に等しくすることに特徴がある。
蓄積時間算出部18は、通知されたパケットの再生時間Tpを求めて、蓄積時間Ttから減算する。その後、送信待ち制御部15は、待ち行列19から該当パケットのアドレスを削除し、そのアドレスを無線送信部17へ通知する。無線送信部17は、通知されたアドレスで識別されるメモリ16内のパケットを、無線通信路を通じて第1基地局27へ送信する。送信が完了すると、無線送信部17は、メモリ16上の該当パケットを解放する。
図2において、第1基地局27は、送信部10から受信したパケットの中からIP層以上のパケットデータを取り出し、これをIP網29へ送信する。但し、IPパケットは、第2端末装置26に宛てられているが、サービス及び管理上の必要からサーバ30を経由する必要がある。このため、第1基地局27からサーバ30へ宛てたパケットの中に、該IPパケットをカプセル化する。サーバ30は、受信したパケットを第2の基地局を経由して第2端末装置26へ届ける。
揺らぎ吸収バッファ部21では、通信の開始時に、所定の蓄積時間Tj相当の音声フレームを蓄積する。所定の蓄積時間Tjは、通信路の遅延の揺らぎをどの程度まで吸収するか、及び、音声品質評価上どの程度の遅延まで許すか、を勘案して決める。所定蓄積時間Tj相当のパケット数を変数Jで表すことにし、本実施の形態では、J=7パケット、即ち、Tj=140msとする。所定の蓄積時間Tj相当の音声フレームを再生している間に、新しいパケットが到着しない場合、アンダフローが発生する。
RTPヘッダには、シーケンス番号やタイムスタンプを格納することができるため、廃棄やエラーによるパケットの損失を検出することができる。この場合、揺らぎ吸収バッファ部21には、パケット損失を示すパケットを発生させて格納しておき、再生時には、デコーダ23が備えているPLC(Packet Loss Concealment)を実行する。
本実施の形態において、アンダフローが発生した場合、その後パケットが到着し始めると、揺らぎ吸収バッファ部21は、通信の開始時と同様に、所定の蓄積時間Tj相当の音声フレームを蓄積し遅延させる。蓄積量が所定の蓄積時間Tjに達した後は、再生タイミングに従って、順序の古いパケットから順に読み出して逆パケット化部22へ渡し、再生を行う。
揺らぎ吸収バッファ部21において、通信の開始時に、所定の蓄積時間Tj相当の音声フレームを蓄積した後は、再生タイミングに従って、順序の古いパケットから順に読み出して逆パケット化部22へ渡す。
逆パケット化部22は、渡されたパケットの中の音声フレームを取り出し、デコーダ23へ渡す。デコーダ23は、符号を復号して音声フレームを作成しアナログ信号を出力する。アナログ信号は、スピーカ24により音波となって、人の聴覚で聴取される。
この場合、第2端末装置26の受信部11は、第1端末装置25の送信部10の送信待ち制御部15へ、新しい所定蓄積時間Tjを通知する。第2端末装置26にも、送信部10と無線送信部17が存在し、第1端末装置25にも、受信部11と無線受信部20が存在しており、逆方向の通信路が形成されているため、これらを通じて通知を実行する。新しい所定蓄積時間Tjの通知を受けた送信待ち制御部15は、所定の閾値Twを更新する。
図3及び図4に示すように、送信部10が処理を開始すると、先ず、エンコーダ13が符号を出力する(ステップS101)。マイク12が出力している音声の電気信号を、エンコーダ13がA/D変換し、公知の符号化方式であるGSM−AMRで音声を符号化する。この場合、音声は8kHzでサンプルされて20msのフレーム毎に符号化され、符号化速度は12.2kbpsである。
次に、蓄積時間算出部18がパケットの音声の再生時間Tpを求める(ステップS111)。つまり、送信待ち制御部15は、蓄積時間算出部18に対し、取り出した最も古いパケットのアドレスを通知すると共に、そのパケットが待ち行列19から削除されることを通知し、蓄積時間算出部18は、通知されたアドレスで識別されるパケットに含まれる音声データの再生時間Tpを求める。
次に、最も古いパケットを待ち行列19から削除しメモリ16からも開放する(ステップS113)。つまり、送信待ち制御部15が、待ち行列19から該当のパケットのアドレスを取り除き、更に、対応するメモリ16内のパケットデータを解放する。
その後、ステップS106へ戻る。
図5は、無線送信部が送信不可能状態から送信可能状態へと変化した際に実行される処理手順を示すフローチャートである。図5に示すように、本実施の形態において無線送信部17が送信不可能状態から送信可能状態へ変化すると、先ず、送信待ち制御部15が、待ち行列19の中に繋がれているパケットが有るかどうかを判断する(ステップS201)。
次に、蓄積時間算出部18は、通知されたパケットの音声の再生時間Tpを求める(ステップS203)。その後、蓄積時間算出部18が、再生時間Tpを蓄積時間Ttから減算(Tt−Tp)する(ステップS204)。
その後、送信待ち制御部15が、無線送信部17はまだ送信可能状態であるか否かを判断する(ステップS208)。判断の結果、送信可能状態である(yes)場合、ステップS201へ戻り、送信可能状態でない(no)場合、処理を終了する。
図6は、本実施の形態において各部品又は装置を伝達される音声フレーム又はパケットの様子を示す説明図である。図において、横軸は時間であり、音声フレーム及び音声フレームを格納したパケットが上から下へ伝達される様子を矢印で示してある。1本の矢印が1個の音声フレーム又はパケットを表しており、図を分かり易くするために4個毎にハッチングを施してある。但し、このハッチングは便宜上のものでありデータタイプや機能の違いを示すものではない。
時間dの経過後、無線通信路が回復すると、無線送信部17は送信を再開するが、遅延時間t1(ここでは、1音声フレーム周期としている)を必要としており、t1以上経過してから送信が再開する。
本実施の形態では、いかに中断時間が大きくなろうとも、一定数(J個)のパケットしか蓄積しないため、輻輳の危険やサーバ30の負荷を圧迫する危険が軽減される。また、QoSを備えた従来例と比べると、より早い時点で再生を開始しても、揺らぎ吸収バッファ部21を回復することができるため、中断時間を短くすることができる。
(第2実施の形態)
この動作の最中であっても、新しい音声パケットを発生させて送信待ち制御部36へ入力することが可能である。このパケットは、上述の動作に従って待ち行列19に繋がれる。待ち行列19に新しいパケットの繋がれる速度よりも、古いパケットが取り出される速度の方が大きいため、待ち行列19は、速やかに減少しやがて空になる。
待ち行列19の、閾値Twに対応した最大の長さをLとし、k個のパケットの送信に対し1個の割合でパケットの廃棄を行うとした場合、個数kを、1≦k≦Lの範囲で変化させる。個数kは、最初1とし、カウンタiが大きくなるにつれて同じか大きくなるように変化させる。このようにして作成した配列rの例を、図8に示す。
一般に、k個の送信に対して1個のパケットを廃棄し、送信速度の向上倍率をnとすると次の式が成り立つ。
n=(k+1)/k………(2)
総数W個のパケットを再生している間に、n倍の速度でW個のパケットが伝送され、更に、所定蓄積数J個の蓄積が達成されることから、次の式が成り立つ。
W/n+J=W………(3)
∴ W=J/(1−(1/n))
∴ W=J×(k+1)
図9は、第2実施の形態において送信待ち制御部がエンコーダの音声フレーム周期のタイミングを受けて繰り返し行う処理の手順を示すフローチャートである。図9に示すように、先ず、待ち行列19に有るか否かを判断する(ステップS301)。つまり、送信待ち制御部36が、待ち行列19の中に繋がれているパケットが有るかどうか判定する。
一方、判断の結果、パケットが無い(no)場合、処理を終了する。
次に、蓄積時間算出部18が、通知されたパケットの音声の再生時間Tpを求め(ステップS303)、その後、蓄積時間算出部18が、再生時間Tpを蓄積時間Ttから減算(Tt=Tt−Tp)する(ステップS304)。
その後、廃棄判定部37が、カウンタ38の値を変数iで、配列23をrで表すとして、iをインデクスとした配列の値r[i]を参照し、これを判定結果とする(ステップS306)。更に、廃棄判定部37は、カウンタ38を1だけ増加させる。
次に、廃棄判定部37が、廃棄か否かを判断する(ステップS307)。判断の結果、廃棄する(yes)場合、送信待ち制御部36は、メモリ16上の該当パケットを解放し(ステップS308)、その後、ステップS301へ戻る。
このように、上述した処理は、エンコーダ13の音声フレーム周期で繰り返し実行されるため、待ち行列19の長さは、無線送信部が送信不可能状態から送信可能状態へと変化した際に実行される処理(図5参照)の場合よりも、ゆっくりと減っていく。
図10にあっては、廃棄割合は1/3を基本とし、k=1からk=4の間で変化させた場合を示す。ここでは、先ず、音声伝送が定常状態になっている所から始まる。定常状態では、揺らぎ吸収バッファ部21において、所定蓄積時間Tj、即ち、J個のパケットが蓄積されている。この状態で、設定した標準的な遅延を受けて4個のパケットが揺らぎ吸収バッファ部21へ到着する様子が示されている。揺らぎ吸収バッファ部21で、所定蓄積時間Tjの遅延を受けた後、4個の音声フレームが再生されている。
時間dの経過後、無線通信路が回復すると、無線送信部17は送信を再開するが、遅延時間t1(ここでは、1音声フレーム周期としている)を必要としており、t1以上経過してから送信が再開する。
通信が途切れた時間dは、揺らぎ吸収バッファ部21の所定蓄積時間Tjよりも3フレーム分大きかったため、図10では時間tufで示す間、つまり、3フレームの間、パケットの到着は再生タイミングに間に合わず、アンダフローが発生する。アンダフローの発生時には、パケットの補間が行われる。アンダフロー中の補間方法としては、前のフレームを外挿補間しつつ、ゲインを段々小さくしていく。この補間は、図10では点線の矢印で表されている。
図10においては、送信待ち制御部36が、外部から供給される音声フレーム周期に従って動作しているため、パケットの間隔は変化していない。このため、揺らぎ吸収バッファ部21の蓄積量は、ゆっくりと回復する。所定蓄積時間Tj分のパケットは、W=3×J個のパケットの再生が完了した時点で達成され、その後、定常状態に復帰する。
図11は、サーバ30が、通常音声パケット周期の2.5倍、つまり、50msで処理を行っていたところ、更に、遅延dsを生じた状態を示しており、遅延dsは、音声パケット周期の2倍、つまり、40msの場合である。遅延して受信部11の揺らぎ吸収バッファ部21に到着したパケットは、再生タイミングに間に合わずに廃棄され、代わりにパケットが補間されて、アンダフローによる損失時間tufが増加している。時間tufは、図6では音声パケット周期の3倍であったが、図11では7倍である。加わった遅延dsの倍の時間が、損失時間tufに加わっている。
本実施の形態では、このアンダフローによる損失時間tufの増加を抑制することができる。これは、廃棄判定部37が、古いパケットの廃棄割合を大きくしていることによる。比較のために、廃棄割合を3個に1個、即ち、k=2に固定した場合の様子を、図12に示す。
従って、本実施の形態では、図11に示すように、下流の通信路が揺らいで遅延が増えても、早期に再生を開始し、且つ、再生される部分の廃棄割合は小さくして音声品質を向上させることができる。つまり、早期の再生開始と良好な音声品質の両方の長所を兼ね備えている。
先ず、再生されないものは送らないので、無駄に廃棄されてしまうことはなく、使用しない通信インフラを備えておく無駄がない。
また、揺らぎ吸収バッファがアンダフローするほど送信ができない場合でも、通信が再開した際に揺らぎ吸収バッファの所定蓄積時間分のパケットから送信を開始するので、遅延した全てのパケットを送信する従来例に比べて輻輳やサーバの負荷を圧迫することを軽減することができる。また、遅延した音声パケットを廃棄するQoSを備えた従来例と比べて、より早い時点で再生を開始しても、揺らぎ吸収バッファを回復することができるため、中断時間を短くすることができる。
更に、下流の通信路が揺らいで遅延が増えても、早期の再生開始と良好な音声品質の両方の要望を満たすように改善することができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態により説明したが、この実施の形態に限定されるものではない。従って、本発明の趣旨を逸脱することなく変更態様として実施するものも含むものである。
11 受信部
12 マイク
13 エンコーダ
14 パケット化部
15,36 送信待ち制御部
16 メモリ
17 無線送信部
18 蓄積時間算出部
19 待ち行列
20 無線受信部
21 揺らぎ吸収バッファ部
22 逆パケット化部
23 デコーダ
24 スピーカ
25 第1端末装置
26 第2端末装置
27 第1基地局
28 第2基地局
29 IP網
30 サーバ
37 廃棄判定部
38 カウンタ
39 配列
Claims (3)
- 音声データを格納したパケットをパケット交換網へ送信する送信手段と、
前記パケット交換網から前記パケットを受信する受信手段と、
前記受信手段に設けられた、前記パケットの伝送遅延を吸収する揺らぎ吸収バッファ手段と、
前記送信手段に設けられた、送信が一時的に行えない場合に送信すべき前記パケットを待ち行列に繋ぐ送信待ち制御手段と
を備える音声伝送装置において、
前記送信待ち制御手段は、前記待ち行列に繋がれている前記パケットの音声データの蓄積時間を算出する蓄積時間算出手段を備え、
前記送信待ち制御手段は、前記蓄積時間算出手段が算出した蓄積時間が閾値以下になるように、最も古く繋がれたパケットを前記待ち行列から取り出して廃棄することにより、新しいパケットを前記待ち行列に繋ぎ続け、
前記閾値を前記揺らぎ吸収バッファ手段の蓄積時間に等しくすることを特徴とする音声伝送装置。 - 前記受信手段は、前記揺らぎ吸収バッファ手段の前記蓄積時間を前記送信待ち制御手段へ通知し、
前記送信待ち制御手段は、通知された前記蓄積時間によって前記閾値を更新することを特徴とする請求項1に記載の音声伝送装置。 - 前記送信待ち制御手段は、前記待ち行列に繋がれている前記パケットを廃棄するかどうか判定する廃棄判定手段を備え、該廃棄判定手段の判定に従って廃棄を行い、
前記廃棄判定手段は、前記待ち行列の最大の長さをLとし、k個のパケットの送信に対して1個の割合でパケットの廃棄を行うとした場合に、前記個数kを1≦k≦Lの範囲で変化させ、前記蓄積時間算出手段が算出した蓄積時間が大きいほど前記個数kを小さくし、蓄積時間が小さいほど前記個数kを大きくするように判定することを特徴とする請求項1または2に記載の音声伝送装置。
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