JP2008083036A - センサ基板およびこれを用いた複合センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電素子を利用し、被検出物質の吸着質量の変化量とそれに伴う光学特性の変化量とを同時に正確に検出できるセンサ基板を提供することを目的とする。
【解決手段】両面に電極が形成された圧電材料からなる基板の少なくとも片面にクラッド層、コア層、センシング層がこの順に積層されたセンサ基板であって、前記電極が振動子の電極として作用し、前記コア層が主たる導波領域となる光導波路を構成することを特徴とするセンサ基板およびこれを用いた複合センサを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、物質吸着検知に用いることのできる、圧電素子を用いたセンサ基板に関するものである。特に水晶振動子微量天秤と光導波路を用いた複合センサに関する。
従来の物質吸着センサとして、特許文献1に開示されるように、ガス感応性膜に吸着したNOガスに応じて水晶振動子の発振周波数が低下することを利用して、微量なNOガスを検出することができるセンサが知られている。
また、特許文献2に開示されるように、光導波路に光を導波させることで生じるエバネッセント場が吸着物質により吸収され、導波光が減衰することを用いて物質吸着を検知する方法が知られている。
また、特許文献3に開示されるように、光導波路上に金属薄膜を堆積し、導波光により金属薄膜上に表面プラズモンを励起すると導波光が減衰することを用い、さらに被測定物質の吸着に伴い表面プラズモン励起条件が変化することを用い、出射した光を測定することで物質吸着を検知する方法が知られている。
さらに、特許文献4には、水晶振動子上に、低屈折率媒体からなるクラッドと高屈折率媒体からなるコアを積層した構造であり、光を導波させる光導波路となる光導波層を設けたことを特徴とする複合センサが提案されている。光導波路のコア表面に被検知物質が吸着することに伴い、伝搬損失が変化することによる出射光の変化と、水晶振動子の発振特性が共に変化することを利用して、被検知物質の検知と識別を容易に行うことができる利点がある。
また、特許文献4には、光導波路の上に金属薄膜を設けたことを特徴とするセンサが開示されている。また、プリズムの配置方法についても開示されている。さらに、特許文献4には、水晶振動子上に形成された金属コロイド層を備えたことを特徴とするセンサが開示されている。プリズムの配置方法についても同様に開示されている。すなわち、光導波路として機能するコア層への入射プリズムは、特許文献4(例えば図1)のように、コア層に接するように配置するのが従来の方法である。周知の光導波路へのプリズムカプリング法でも同様に配置されるのが通例である。
特開平7−43285号公報 特開平9−61346号公報 特開2001−108612号公報 国際公開WO2006/038367号
しかし、上記特許文献1に開示される従来のセンサでは、水晶振動子の性質、所謂QCM(Quartz Crystal Microbalance:水晶振動子微量天秤)原理を利用することでガス感応性薄膜に吸着した微量なガスを検知可能としているが、これだけでは検知対象物質および吸着後の感応性薄膜の光学特性を直接に知ることはできないという問題があった。
また、上記特許文献2および3に開示される従来のセンサでは、どの程度の質量の検知対象物質が素子に吸着して出射光の変化をもたらしているかを直接に知ることはできないという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、圧電素子を利用し、被検出物質の吸着質量の変化量とそれに伴う光学特性の変化量とを同時に正確に検出できるセンサ基板およびこれを用いた物質吸着のための複合センサを提供することを目的とする。
一方、特許文献4に記載の複合センサでは、光を光導波路層に入射および出射するためのプリズムの配置が従来の構造をとっているため、プリズムをコア層に接触させる作業は、きわめて熟練を要する上、時間がかかるものであった。また、センシング層をパターニングしてコア層を露出させる工程が必要であったため、センサ基板部分を製造するのにコストが増加する傾向にあった。
さらに、QCMとして用いる水晶振動子の基板(以下、適宜、QCM基板という)上に光導波路層を高精度に平坦に形成することが困難であったため、プリズムとコア層との光学的結合を実現するのが困難であった。また、平坦度の悪いセンサ基板を用いるとセンサ基板毎に光学的結合効率のばらつきが発生しやすく、安定な計測が困難であった。
このため、複数のセンサ基板を取り替えて測定する場合には、特に使い勝手が悪く不便なところがあった。このような利用方法は、QCMセンサにおいては、一般的な利用方法であって、光導波路センサとの複合センサにおいても望まれる利用形態である。
すなわち、本発明は、上記のようなセンサ基板の製造上の課題並びに使用上の課題を解決するために、鋭意努力した結果なされたものであり、特許文献4に記載の複合センサを具体的利用形態に即して、改良を加え、また、低コストに実用化するものである。特に、複合センサ基板を分離して測定装置に着脱して利用しやすい形態を実現すべく、鋭意努力した末に発明に至ったものである。
本発明に係るセンサ基板は、前記課題を解決するために、両面に電極が形成された圧電材料からなる基板の少なくとも片面にクラッド層、コア層、センシング層がこの順に積層されたセンサ基板であって、前記電極が振動子の電極として作用し、前記コア層が主たる導波領域となる光導波路を構成する。
このセンサ基板では、前記圧電材料が水晶であることが好ましい。また、前記コア層が樹脂材料であることが好ましい。また、前記センシング層が塩化コバルトを含有する樹脂材料であることが好ましい。
また、前記コア層および/または前記クラッド層がフッ素含有樹脂であることが好ましい。また、前記センシング層の樹脂材料の吸水率が前記コア層の樹脂材料の吸水率に比べて大きいことが好ましい。また、前記コア層と前記センシング層との間に金属薄膜層が形成されていることが好ましい。
本発明に係る複合センサは、前記課題を解決するために、センサ基板のセンシング層が形成されている側の面に、光導波路の光路が振動子の電極の対向部位を横切るように入射用プリズム、出射用プリズムが配置され、前記2個のプリズムと前記基材との押圧によって前記センサ基板が支持され、前記基材の表面が前記センサ基板の電極リード部との接点を除いて絶縁性の材料で被覆されていることを特徴とする光導波路とQCMとして用いる水晶振動子との複合センサである。
前記センシング層が形成されている側の面とは逆側の面に、少なくとも前記電極の対向部位に開口もしくはざぐりが設けられた基材が配置されていることが好ましい。
この複合センサは、センサ基板のセンシング層が形成されている側の面であって、前記入射用プリズムと前記出射用プリズムとの間に、被検知物質を含んだガスを前記センサ基板に導入するためのガス導入セルを前記センシング層に密着して設けてなることが好ましい。
また、前記ガス導入セルは前記センシング層との密着部にシリコンゴムを用いることが好ましい。また、前記ガス導入セルは前記ガスを排気するための排気口を有することが好ましい。また、前記ガス導入セルは2重管構造であることが好ましい。
本発明では、センシング層を光導波路層同様、センサ基板全面に作製することとしている。こうすることで、センシング層をパターニングする必要が無くなり、工程が大幅に削減されることから、安価にセンサ基板を作製することが可能である。その反面、センシング層の厚さが厚すぎるとプリズムを押し当ててもカプリングしない虞がある。そこで、本発明では、センシング層を薄膜として形成することで、動作を実際に確認するに至った。
一方、センシング層を薄膜として形成するためには、高精度に膜厚を制御する必要があるため、通常の光導波路のみのセンサでは、敬遠される事項であった。しかし、本願のようにQCMを複合したセンサ基板構造とすることで、センシング層形成時もしくは形成後にQCM測定を実施することで、センシング層の膜厚を容易に特定することができ、むしろ、好都合である。
また、本発明の複合センサは、ガス導入セルをセンサ基板のセンシング層が形成されている側の面の前記入射用プリズムと前記出射用プリズムとの間に、センシング層に密着して設けるので、導波路部分にのみガスを導入し、プリズムとのカップリング部分にガスが到達しないようにしている。
本発明におけるセンサ基板およびこれを用いた複合センサでは、光導波路のコア表面に被検知物質が吸着することに伴い、伝搬損失が変化することによる出射光の変化と、水晶振動子の発振特性が共に変化することを利用して、被検知物質の検知と識別を容易に行うことができる。例えば、検知対象物質以外のものが同時に吸着されてくるような場合には、センサにおける水晶振動子の発振特性のみでは識別不可能であるが、光学特性の変化による屈折率測定を同時に行うことで異なる媒質が吸着していることを知ることができる。
また、前記コアの上に金属薄膜を設けていることによって、導波光によりコア近傍に生じるエバネッセント波によって金属薄膜に表面プラズモンを共鳴励起できる。表面プラズモンが励起されると導波光は減衰し、また励起条件は物質の吸着によって敏感に変化するため、出射光を測定することでより高感度に光学特性の測定を行いながら、水晶振動子の発振特性を観測できる。さらに、金属薄膜表面に物質吸着によって光学特性が変化する感応性材料を堆積しておくことで、微量物質の検出をより良好に行うことができる。
さらに、光を照射したときにローカルプラズモン(LP)を発生する金属コロイドの特性を利用して、物質吸着に伴う透過光または散乱光の変化を測定できる。
さらに最上層に、被検知物質の吸着によって光学特性が変化し、それによって伝搬損失を大きく変化させる感応性材料を堆積しておくので、微量物質の検出も良好に行うことができる。
本発明のセンサ基板およびこれを用いた複合センサは、光導波路を有する圧電素子(水晶振動子または表面弾性波素子)であって、圧電素子によって物質の吸着質量を検知でき、また物質吸着に伴う出射光の変化から吸着物質または物質吸着後の検知用薄膜の光学特性を一つの素子で観測できる。
圧電素子と、光学特性を測定する素子を別々に作製して観測する場合に比べて、上記の方法では吸着質量の変化量と光学特性の変化量を正確に検出できる。とりわけ、光照射によって吸着物質の分解が生じる場合や、吸着または脱離が促進されるような場合は、別に作製していた場合には大きな誤差となるが、これらを一体とすることでこのような光分解や光による吸着現象について、詳しく測定することができる。
また、いくつかの検知対象物質について吸着質量と光学特性の関係を観測しておくことにより、例えば吸着分子数あたり同じ光学物性の変化を与える質量の異なる物質に対して、識別を行うことも可能である。
さらに、コア層が樹脂材料であることで、無機材料に比べて弾性率が小さいため、光導波路への光の入射・出射のためのプリズムの押し当てが容易となる。弾性率が高い材料の場合には、押圧による変形が小さいため、通常マッチングオイルなどを併用してプリズムカプリングをする必要があるが、本発明のような物質のセンサとして利用する場合には、センシング層近傍にマッチングオイルのような液体があるとセンシング層へのコンタミが起こりやすくなるため、センサとしての信頼性に欠ける。
センシング層が塩化コバルトを含有する樹脂材料であることで、吸湿等による呈色反応が起こるので、質量のみでなく、色の変化すなわち光導波路の伝搬光強度の変化を同時にセンシングすることができる。
コア層がフッ素含有樹脂であることで、通常の樹脂に比して吸水率が小さくなるので、コア層が発生するバックグラウンドノイズを低減することができる。水溶性の物質や水分の検出などにあたっては特に有効である。また、クラッド層、コア層がフッ素含有樹脂であることで、通常の樹脂に比して誘電率が小さくなるので、高周波でのQCM信号の減衰を抑えることができ、高感度な質量変化の検出が可能となる。特に、コア層、クラッド層としては、フッ素化ポリイミドが好ましい。フッ素化ポリイミドは通常の樹脂に比べて吸水性が小さい。また、フッ素化ポリイミドは加工性が高いので、導波路として用いる場合に積層のし易さから導波路の多層形成が容易となる。
センシング層の樹脂材料の吸水率をコア層の樹脂材料の吸水率に比べて大きく設定することで、S/Nの高い検出が可能となる。水溶性の物質や水分の検出などにあたっては特に有効である。
コア層とセンシング層との間に金属薄膜層が形成されていることで、表面プラズモン共鳴の効果を利用することができ、センシング層の屈折率変化の高感度検出が可能である。
QCMの対向電極部分を開口とすることで、発振周波数のオフセットを低減することができ、高精度な質量計測が可能となる。また、このようにすることで、プリズムの押圧が容易であることを見出した。理由はセンサ基板自体の微小な変形によるものと推測される。
また、本発明の複合センサによれば、ガス導入セルをセンサ基板のセンシング層が形成されている側の面の前記入射用プリズムと前記出射用プリズムとの間に、センシング層に密着して設けるので、導波路部分にのみガスを導入し、プリズムとのカップリング部分にガスが到達しないようにできる。ガスがプリズムに到達することで、入射光及び出射光がガスの物理的な影響を受けることを防止でき、高精度な吸着物質検知を行うことができる。
以下、図面を参照しながら、本発明のセンサ基板の好ましい各実施態様を説明する。なお、これらの各実施態様において、同一箇所には同一符号を付し、共通する部分の説明は重複するため極力省略する。また、圧電材料として水晶基板を利用した場合について説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、表面弾性波素子を圧電材料として使うことができる。また、センシング層としては、被検知物質の吸収もしくは吸着によって、吸収スペクトルの変化を生じる性質を有する層を採用する。
本発明は、両面に電極が形成された圧電材料からなる基板の少なくとも片面にクラッド層、コア層、センシング層がこの順に積層されたセンサ基板であって、前記電極が振動子の電極として作用し、前記コア層が主たる導波領域となる光導波路を構成することを特徴とするセンサ基板であり、水晶振動子の発振特性と、導波路から出射する光は同時または交互に観測されるものである。
(実施態様1)
図1は、本実施態様におけるセンサ基板10の配置例を示しており、水晶(基板)1と一対の水晶発振用電極2,3とからなる水晶振動子11と、水晶発振用電極3上の低屈折率媒質からなるクラッド部4と、その上に配置した高屈折率媒質からなるコア部5とからなる光導波層12と、その上に配置した吸着物質検知用薄膜(センシング層)7とからなる。センシング層7はガス吸着部となる。
センサ基板10において、センシング層7は、例えば塩化コバルトCoClを分散した樹脂などの有機機能性物質から形成される。樹脂としては、ポリビニルアルコールPVAを用いるのが好ましい。つまり、センシング層7としては、塩化コバルトCoClを分散したポリビニルアルコールPVAを用いるのが好ましい。
塩化コバルトCoClは、吸湿して無水物から水和物になると青から赤へ色調が変化し、水分を失う場合は色調が赤から青へ戻る、というクロミズム現象を有する。このクロミズム現象を有する塩化コバルトCoClを分散したポリビニルアルコールPVAからなるセンシング層7を光導波路のコア上に形成し、センシング層7の吸湿による光吸収特性を利用することにより、導波路特性の変化を観測することができる。
図2には塩化コバルトCoCl分散ポリビニルアルコールPVA薄膜の光吸収特性を示す。横軸は光の波長(Wavelength[nm])を示し、縦軸は吸光度(Absorbance[arb.units]を示す。初期状態として大気中120度で乾燥した状態と、呼気状態として湿度約100%の特性を示す。光の波長550nmから750nmのときに、乾燥状態・吸湿状態で可逆的に吸光度が変化する。特に、波長632.8nmの光は吸光度変化が大きいので光導波路に入射する波長として好ましい。
センシング層7は、水晶振動子11上に形成された光導波路基板上に例えばディップコート法により作製される。具体的には、前記光導波路基板を塩化コバルトCoCl分散ポリビニルアルコールPVA薄膜溶液に浸して引き上げる。このときの塩化コバルトCoCl分散ポリビニルアルコールPVA薄膜溶液の濃度によりセンシング層7の膜の厚みを決めることができる。膜厚は0.3μm以下、例えば30nm、63nm、100nm、143nm、216.4nm等にするのが好ましい。
例えば、CoCl/PVA濃度を水に対して共に3g/l(リッター)としたり、共に4g/lとする。共に4g/lとすると密度1g/cmと仮定して、膜厚30nmのセンシング層が得られる。また、CoCl濃度を5g/l、PVA濃度を20g/lとすると密度1g/cmと仮定して、膜厚143.6nmのセンシング層が得られる。また、CoCl濃度を10g/l、PVA濃度を30g/lとすると密度1g/cmと仮定して、膜厚216.4nmのセンシング層が得られる。
センシング層としては膜厚が厚く、かつCoCl濃度が高いほど吸光度が大きくなるが、本発明の導波路型のセンサでは、それが直接センサとしの感度の上昇にはつながらない。すなわち、本発明の構成のセンサでは、センシング層の屈折率の変化もしくは吸光度の変化は、隣接するコア層を導波する光のエバネッセント波成分が感じるが、このエバネッセント波成分の強度は、センシング層の屈折率がコア層の屈折率より小さく選択した場合には、コア層とセンシング層との界面から遠ざかるほど指数関数的に減衰する。すなわち、センシング層の厚さが薄いときには、エバネッセント波はセンシング層全体、さらに、センシング表面より外側まで強度があるため、センシング層が厚くなるにしたがって、感度が上昇する。ところが、センシング層がある程度以上厚くなって、もはや、エバネッセント波がセンシング層の表面にまでは達していない厚さとなると、センシング層が厚くなってもエバネッセント波との重なりがなくなるので、感度の上昇は望めない。むしろ、後述するセンシング層中の検体の拡散に影響されて、みかけの感度がゆるやかに上昇したり、下降したりすることがあり、センサの利用目的によっては、かえって好ましくない。エバネッセント波のコア層とセンシング層の界面からセンシング層へのもぐりこみ深さは、クラッド層、コア層、センシング層の厚さ、屈折率、波長によって異なる。この観点から、センシング層の最適な厚さは、波長の1/10から2倍とするのが好ましい。さらに、好ましくは、波長の1/5から1倍とするのが好ましい。さらに、好ましくは、波長の1/3から1/2倍とする。
センシング層の屈折率をコア層の屈折率よりも大きくなるように選択した場合には、センシング層がコア層と共に導波領域となり、センシング層表面側の主たる全反射界面は、センシング層とコア層との界面ではなく、センシング層表面となる。センシング層の厚さが薄い場合には、導波路全体としての導波条件にわずかな摂動が加わるだけであるが、センシング層の厚さが厚い場合には、センシング層が主な導波領域となり、この場合、センシング層が検体を吸収した場合に、センサを構成する導波路全体としての導波条件が大きく変動することになり、センシング層の吸光度の変化との区別がつかなくなる虞がある。このため、コア層を主たる導波領域とすることが好ましい。コア層を主たる導波領域とするためには、センシング層の屈折率がコア層の屈折率よりも小さくなるように選択するか、センシング層の厚さを薄くすればよい。この観点で、センシング層の厚さは、コア層の厚さの1/1000から1/10であることが好ましい。さらにこのましくは、1/500から1/50である。
なお、センシング層が検体を吸収することで、プリズムでの入出力条件が変動する場合には、プリズムでの入出力には適さないので、センサ基板端面からセンシング光を入出力する方法と取る方が好ましい。
また、センシング層としては膜厚が薄く、かつCoCl濃度が高いほど吸湿変化に対する応答速度が良いと考えられる。すなわち、センシング層の膜厚が厚すぎると、センシング層の表面に吸着した検体がセンシング層を内部に拡散して、導波光に検出されるのに十分なほどコア層に接近するまでの間は、導波光信号の変化として検出されないため、拡散時間分のタイムラグが生じてしまう虞がある。また、逆にセンシング層の表面の環境のガス濃度が逆に低下した場合には、表面吸着分子(検体)の脱着と共に、前記のようにしてセンシング層内部に拡散した検体が逆にセンシング層表面に拡散することで、コア層付近の検体濃度が減少し、導波光信号の逆の変化が生じるので、ここでもタイムラグが生じてしまう虞がある。
さらに、繰り返し使用に耐えられるか、あるいは強度等から考慮して最適な膜厚は50nm〜500nmとする。さらに好ましくは、センシング層の膜厚は100nm〜300nmである。
なお、センシング層7は、塩化コバルトCoCl分散ポリビニルアルコールPVA薄膜溶液をスピンコート法によって光導波層12上にスピンコートして作製することもできる。
また、センシング層には、被検知物質を吸着しそれに伴って光学特性(複素誘電率)が変化するあらゆる材料を用いることができる。例えばポルフィリンなどの有機機能性物質から形成され、被検知物質を吸着しそれに伴って光学特性(複素誘電率)が変化するあらゆる材料を用いることができる。また、センシング層は、例えばソルバトクロミズムを示す色素などの有機機能性物質から形成され、被検知物質を吸着しそれに伴って光学特性(複素誘電率)が変化するあらゆる材料を用いることができる。また、例えばライチャート色素などの有機機能性物質から形成され、被検知物質を吸着しそれに伴って光学特性(複素誘電率)が変化するあらゆる材料を用いることができる。
また、光導波層12に用いる上記低屈折率媒質のクラッド部4は、コア部5における光導波を可能とするものである。コア部5は、クラッド部4および素子を暴露する外界よりも高屈折率の媒体から成る。ここで述べている低屈折率、高屈折率とは、クラッド部4とコア部5の屈折率の比較による相対的なものである。例えば、クラッド部4の屈折率は、測定波長632.8nmのTE光に対して1.547である。また、同波長のTM光に対して1.538である。コア部5の屈折率は同じ波長のTE光に対して1.552〜1.597である。またTM光に対して1.542〜1.597である。
コア部5、クラッド部4としては、フッ素含有樹脂を材料とする。特に、フッ素化ポリイミドが好ましい。フッ素化ポリイミドは通常の樹脂に比べて吸水性が小さい。また、フッ素化ポリイミドは加工性が高いので、導波路として用いる場合に積層のし易さから導波路の多層形成が容易となる。もちろん、クラッド部4、コア部5の材質は、光導波を可能とするものであればフッ素化ポリイミドに限定されるものではないが、可視透明樹脂であることが好ましい。クラッド部4の膜厚は5μm〜20μmの範囲で一定であることが好ましい。また、コア部5の膜厚も同じく5μm〜20μmの範囲で一定であることが好ましい。
光導波路層12は、水晶振動子11の一方の面にフッ素化ポリイミドをスピンコート法により形成する。具体的には、水晶発振用電極3上にクラッド用のフッ素化ポリイミドをスピンコートしてから加熱してクラッド部4を形成し、さらにクラッド部4上にコア用のフッ素化ポリイミドをスピンコートしてから加熱してコア部5を形成する。スピンコートのスピード、つまりスピンの回転数を変えることで膜厚を制御することができる。
コア部5に光を入射すると、光はコア内部で全反射しながら導波していく。この時、被検知物質の吸着によるコア部5からの出射光の変化を観測する。さらに、水晶振動子11は被吸着物質の吸着量を検知することができる。
水晶振動子11は、前述のように水晶(基板)1と一対の水晶発振用電極2,3とからなり、水晶振動子微量天秤(Quartz Crystal Microbalance:QCM)現象を利用することでガス感応性薄膜に吸着した微量なガスを検知可能としている。詳細には、被検知物質の質量に応じて発振周波数が変化する性質を利用する。この発振周波数をQCM周波数ということもある。例えば水分を含んだNガスに対してQCM周波数は減少する。乾燥したNガスに対してQCM周波数は初期状態に回復する。
上記実施態様のセンサ基板を利用した複合センサは、水晶振動子11の発振特性と、光導波層12を光導波路として導波した光の強度を測定するものである。つまり、光導波層のコア部5上に被検知物質が吸着することに伴い、伝搬損失が変化することによる出射光の変化と、水晶振動子11の発振特性が共に変化することを利用して、被検知物質の検知と識別を容易に行うことができる。例えば、検知対象物質以外のものが同時に吸着されてくるような場合には、センサ基板10における水晶振動子11の発振特性のみでは識別不可能であるが、光導波層12における光学特性の変化による屈折率測定を同時に行うことで異なる媒質が吸着していることを知ることができる。
さらに光導波層12の最上層に位置するコア部5上の表面に、被検知物質の吸着によって光学特性が変化し、それによって伝搬損失を大きく変化させる、センシング層7のような感応性材料を堆積しておくので、微量物質の検出も良好に行うことができる。
また、水晶振動子の発振周波数特性によって物質の吸着質量を検知でき、また物質吸着に伴う出射光の変化から、吸着物質または物質吸着後のセンシング層7の光学特性を一つの素子で観測できる。
そして、水晶振動子と光学特性を測定する素子を別々に作製して観測する場合に比べて、上記複合センサでは吸着質量の変化量と光学特性の変化量を正確に検出できる。とりわけ、光照射によって吸着物質の分解が生じる場合や、吸着または脱離が促進されるような場合は、QCMと光導波路を別に作製していた場合には大きな誤差となるが、これらを一体とすることでこのような光分解や光による吸着現象について、詳しく測定することができる。
さらに、いくつかの検知対象物質について吸着質量と光学特性の関係を観測しておくことにより、例えば吸着分子数あたり同じ光学物性の変化を与える質量の異なる物質に対して、識別を行うことも可能である。
(実施態様2)
本実施態様2では、図3のようにコア部5とセンシング層7の間に適切な厚さの金属薄膜6を設置する。この場合、コア部5、金属薄膜6の膜厚と誘電率、センシング層7の膜厚と誘電率、および外界の誘電率で決定されるある波長と入射角度に対して、コア部5近傍に生じるエバネッセント波によって金属薄膜表面に表面プラズモンが励起できる。この時透過光は、表面プラズモンを励起する波長において減衰を受ける。この透過光の減衰量を理論計算することにより被検知物質吸着後のセンシング層7の誘電率または膜厚を求めると共に、水晶振動子の発振の様子を検出する。この場合、センシング層および被検知物質は必ずしも光吸収性でなくても良い。
もちろん、本実施態様2でも金属薄膜6表面に物質吸着によって光学特性が変化するセンシング層7を堆積しておくので、微量物質の検出をより良好に行うことができる。
(実施態様3)
近年、直径数十nm程度の金属コロイドに光を照射したときに発生するローカルプラズモン(LP)を用いたセンサが提案されている。これは、金属コロイド表面に物質が吸着したときに、物質の屈折率や膜厚に依存してLPの共鳴波長や光吸収強度または光散乱強度が変化することを用いたものである。
本実施態様では、この金属コロイドを水晶振動子上に堆積し、LPの共鳴波長と水晶振動子の発振周波数変化を同時測定することで、物質吸着に伴う光学的変化・質量変化を複合的に測定する。図4に構造例を示す。水晶1を一対の電極2,3で挟み込んでなる水晶振動子11上に、金属コロイド層としての金(Au)コロイド17を堆積させる。この金コロイド17上に被検知物質を吸着させ、水晶振動子により質量変化を、さらに透過光または散乱光の測定により金コロイド17におけるLPの共鳴波長(吸収ピーク波長)および吸着物質の屈折率を観測する。この時、電極2,3が透明であれば電極上の金コロイド薄膜の透過光を観測できる。電極2,3が透明でなければ、電極近傍の金コロイド薄膜の透過光を測定する。
上記の構成によれば、光を照射したときにローカルプラズモン(LP)を発生する金コロイド17の特性を利用して、物質吸着に伴う透過光の変化を測定できる。この時、光検出は散乱光を用いても良い。なお、質量検出手段として、表面弾性波素子を用いても良い。
(実施態様4)
図5は、実施態様1から3で説明したセンサ基板を利用した複合センサ30の特にプリズム配置を含めた説明図である。実施態様1のセンサ基板に対して図示してあるが、実施態様2、3においても同様の構成で複合センサを実現することができる。
複合センサ30は、水晶1と一対の水晶発振用電極2,3とからなる水晶振動子11と、水晶発振用電極3上の低屈折率媒質からなるクラッド部4と、その上に配置した高屈折率媒質からなるコア部5とからなる光導波層12と、その上に配置した吸着物質検知用の薄膜である、ガス吸着部として作用するセンシング層7と、コア部5に光を入射するための光入射手段たる光入射用プリズム8と、コア部5から光を取り出すための光出射手段たる光出射用プリズム9と、プリズム8並びに9とは逆側の面に配置された基材31並びに基材上にQCMの対向電極からのリード(図示せず)が電気的に絶縁するための絶縁層32とから構成される。
この複合センサ30は、プリズムがコア層に直接接するような従来例の構造をとるかわりに、センシング層7と接する構造となっている。このため、従来のようにセンシング層7を一部除去してプリズムをコア層に直接接する必要がないので、簡易に製造でき、プリズムとの結合・脱着も容易である。
また、基材31には、水晶用電極2の対向部位に開口もしくはざくりが設けられている。基材31の平面図を後述の図29に示す。水晶用電極2の対向部位に13mm×10mmの矩形の開口部31aを設けている。これにより、複合センサ30は、水晶振動子11の背面が自由空間になり、発振が安定に行えるようになる。
(物質吸着検知システム)
次に、本発明の複合センサ30を用いた物質吸着検知システムについて図6を用いて説明する。図6は、複合センサ30を用いた物質吸着検知システム40の具体例を示す図である。物質吸着検知システムでは、複数の複合センサを取り替えながら測定を行うことが求められる。複合センサ30を用いた物質吸着検知システム40でも複合センサ30を取り替えながら測定を行うことができる。この場合、入射光用プリズム8及び出射光用プリズム9と基材31とで複合センサ30を挟み込んでセンサ保持部に取り付ける。
物質吸着検知システム40にあって、複合センサ30の光入射用プリズム8にはヘリウム−ネオンレーザ(He-Ne Lather)41から波長λ=633nmのレーザ光が入射される。このレーザ光はレーザ41から出射された後、偏光板を選択的に取り付けることにより、TMモード又はTEモードとされる。例えば、TMモードとされたレーザ光は図示しないチョッパーを通して光入射用プリズム8に斜め入射する。
光入射用プリズム8から複合センサ30の光導波層12に入射したレーザ光はコア部5を全反射しながら伝搬し、光出射用プリズム9から出射される。光出射用プリズム9から出射された出射光はフォトディテクタ(PD)42により検出される。PD42の検出信号はマルチメータ43に供給されて読み取られる。マルチメータ43で読み取られた検出信号はパーソナルコンピュータ(PC)44により処理されてモニター44aに検出値、或いは特性の変化として表示される。
水晶振動子(QCM発振器)11には、水晶発振用電極2及び3に電源を供給すると共に発振周波数を測定するための発振制御器45が接続されている。発振制御器45はPC44に接続され、発振周波数値を示す信号をPC44に送る。
PC44は光導波層12からPD42、マルチメータ43を介して送られてきたレーザ光の出射光強度をモニタ44aに表示すると共に、QCM発信器11から発振制御器45を介して送られてきたQCM周波数を表示する。
複合センサ30のセンシング層7にはパイプ52を通して流れてきた乾燥Nガス又は測定対象の溶液にバブルしたウェットNガスが噴出口52aから供給される。これらのガスは、Nガスシリンダ46からのNガスがフロートメータ47で流量調節されからバルブ48を介してシリカゲル容器49又は溶液容器50を通過し、バルブ51を介してパイプ52内を流れてくることにより得られる。フロートメータ47からの流量調節されたNガスをバルブ48を調整してシリカゲル容器49を通すことで乾燥Nガスが得られる。バルブ51を空けて乾燥Nガスをパイプ52に通し噴出口52aからセンシング層7に供給する。一方、フロートメータ47からの流量調節されたNガスをバルブ48を調整して溶液容器50にバブルして例えば水分を含んだNガスが得られる。バルブ51を空けて水分を含んだNガスをパイプ52に通し噴出口52aからセンシング層7に供給する。
このように物質吸着検知システム40は、シリカゲル容器49に通した乾燥Nガス又は測定対象の溶液、例えば純水などにバブルしたNガスをバルブ48及び51を切り替えながらパイプ52内を流し、噴出口52aから複合センサ30のセンシング層7に吹き付け、その際の光導波層12を導波した出射光強度と、水晶振動子11の発振周波数を同時に又は交互に測定し、PC44にて測定結果を処理し、モニタ44aに表示する。
さらに具体的には、被検知物質に複合センサ30のセンシング層7を暴露し、その間水晶振動子11の発振周波数の変化を発振制御器45及びPC44により観測する。例えば、同時に、光源41から光入射用プリズム8を通してコア5にレーザ光を入射し、光導波層12を導波させる。光の入射角度は、コア部5内で光が全反射し光が導波する範囲内の角度とする。レーザ光がコア部5内を導波すると、コア外側のコア表面近傍(この距離は界面媒体の誘電率と入射角により決定される)にはエバネッセント場が生じる。このエバネッセント場が生じている領域に光吸収性の物質が存在すると、エバネッセント場が吸収されることによってコア部5を導波する光は減衰する。センシング層7はエバネッセント波の浸みだし領域内に存在しており、被検知物質を吸着したセンシング層7が吸着前に対して光吸収特性が変化すると、センシング層7によるエバネッセント波の吸収が変化するため、コア部5から光出射用プリズム9を通して出射した光の減衰の様子も変化する。この出射光を光検出器42により測定する。そして、マルチメータ43及びPC44によって測定結果を処理し、モニタ44aに表示する。
なお、被検知物質自体が光吸収性であれば、センシング層7は光吸収性でなくても良い。また、センシング層7の屈折率がコア部5の屈折率よりも大きくなればコア部5から光が漏れることになるが、これを用いて、被検知物質の吸着により屈折率が変化し、これによってコア部5における光閉じこめと伝搬損失を変えて出射した光を変化できる物質をセンシング層7に用いても良い。
また、入射するレーザ光は、センシング層7または被検知物質によって吸収されるか、被検知物質の吸着によって伝搬損失が変化し出射した光強度が変化する波長を含む白色光または単色光とする。被検知物質が素子ひいてはセンシング層7表面に吸着すると、以上に記述したことから、コア部5から出射した光のスペクトルまたは強度が変化する。なお、本システムでは、入射レーザ光の波長を633nmとしたが、この波長に限定されるものではない。
このとき、複合センサ基板素子の質量は、被検知物質の吸着量分増加することとなる。水晶振動子11には、その表面に付着させた付着物の質量に応じて固有の発振周波数が変化する性質(QCM)があるため、被検知ガスの吸着量が増加するにつれて、周波数は減少する。すなわち、吸着した被検知ガスの質量にほぼ比例して水晶振動子11の周波数特性が変化する。
図7には、物質吸着検知システム40によって得られた湿度検出特性の具体例を示す。図7(A)は測定1回目を、図7(B)は測定2回目を示す。横軸には時間を、左縦軸には発振周波数の変化(Frequency shift[Hz]:FS)を、右縦軸には光強度(Light intensity[V]:LI)を示す。バルブ48及び51を切り替えて、湿度15%の乾燥Nガスと、湿度70%のウェットNガスを、交互に噴出口52aから複合センサ30のセンシング層7に吹き付けた。
図7(A)に示した測定1回目ではまず15分間にわたって乾燥Nガスを吹き付けた。この初期の乾燥区間に光導波層12を導波してPD42により検出された出射光強度Lightは時間10分経過時点で約0.11[V]である。また、この初期の乾燥区間に水晶振動子11の発振周波数シフトFSは約300[Hz]であった。15分経過時点でウェットNガスをセンシング層7に吹き付けると、発振周波数シフトFSは減少し、出射光強度LIは上昇した。ウェット期間となって約10分経過時点では、発振周波数シフトFSは−1600Hzとなり、出射光強度LIは0.145[V]となった。この時点(トータルでは25分経過時点)でウェット期間から乾燥期間に切り替えた。つまり、乾燥Nガスをセンシング層7に吹き付けると、発振周波数シフトFSは上昇し初期の乾燥区間の状態に戻った。また、出射光強度LIは減少して初期の乾燥区間の状態に戻った。
図7(B)に示した測定2回目では、初期状態である乾燥区間からウェット区間に切り替える時間を6分後とし、10分間にわたってウェットNガスをセンシング層7に吹き付けた。その後、トータルで16分のときに初期状態、つまり乾燥区間に戻した。各区間における発振周波数シフトFSと出射光強度LIの変化は測定1回目とほぼ同様である。もちろん、湿度70%のウェットNガス導入時には発振周波数シフトFSは減少し、かつ出射光強度LIは上昇した。そして、湿度15%の乾燥Nガス導入時には、初期状態へ回復した。
これらの出射光特性及び周波数特性は、被検知物質の吸着量や種類に応じて固有の値を示すため、予めいくつかの検知対象物質について観測しておいた吸着質量と光透過特性の変化の関係とを比較することにより、被検知物質の検出と識別を行うことができる。具体的には、予めいくつかの検知対象物質について観測しておいた吸着質量と光透過特性のデータをテーブルメモリに記憶しておき、測定した各特性についての変化の関係をテーブルメモリを参照して既知のデータ及び対象物質名と比較することで被検知物質の検出と識別を行うことができる。
以上のようにして、被検知物質の吸着量、すなわち水晶振動子の周波数変化に対応する出射光の変化量から、被検知物質の検出と識別を行うことができる。
本発明における複合センサは、1つのセンサ基板で、水晶振動子11の発振周波数特性によって物質の吸着質量を検知でき、また光導波層12により吸着質量に対する出射光特性の変化量を観測できる。これにより、従来のように二つのセンサを並べて使用しなくてもよいので、被検知対象となる一点(一地点)に対してピンポイントかつ正確な検出が可能である。例えば、コア層を公知の方法でパターニングして、複数の光導波路を同一基板上に形成し、本発明のセンサ基板の構成を同一基板上に複数形成した場合などには、マルチポイントでのセンシングが可能となり有効である。
以上の実施態様において、センサは気体中にあっても液体中にあってもよい。なお、本発明は、上記各実施態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。センシング層(吸着物質検知用薄膜)7の形状は特に限定されず、材質を変更することで種々の物質を検知することも可能である。
ところで、実施態様4の複合センサ30を用いた物質吸着検知システム40にあっては、乾燥ガスを光入射用プリズム8と光出射用プリズム9間のセンシング層7にパイプ52の噴出口52aから吹き付けていた。しかし、ガスの流量、あるいはプリズム間距離が狭い等の原因によりプリズム8及びプリズム9にガスが吸着してしまい、吸着水分がプリズムのセンシング層7に対するカップリングに影響を及ぼす虞がある。
(実施態様5)
そこで、複合センサ30とは異なる実施態様5の複合センサを作製した。図8は複合センサ60の概略構成図である。この複合センサ60は、センサ基板のセンシング層7が形成されている面にガス導入セル61を設けている。ガス導入セル61は被検知物質を含んだガスをセンサ基板に導入するためにセンシング層7に密着して配設される。特に、ガス導入セル61は、例えば12mmという距離を置いて相互に配置された光入射用プリズム8と光出射用プリズム9間のセンシング層7上に密着される。
ガス導入セル61は、例えばポリプロピレンからなり内部を筒状としており、ガス入射端61cに接続されたパイプ52から供給された前記被検知物質を含んだガス又は乾燥ガスをガス出射端61dからセンシング層7に吹き付ける。また、ガス導入セル61にはセンシング層7から戻されたガスを排気するための排気口61bを設ける。さらに、ガス導入セル61は、ガス出射端61d側に密着部61aを有する。
図9はガス導入セル61の外観を示した図である。ガス導入セル61は例えば高さを102mmとする。ガス導入セル密着部61aは平面形状を筒状のガス導入セル61本体の内径rよりも広い辺rを有する矩形としている。ガス導入セル61の円筒状の本体は、2重構造の円筒となっており、内径は約2.5mm、外形は約3.00mmである。密着面61dには、コア部5等の屈折率よりも低い屈折率を持つ例えば厚み0.5mmのシリコンゴムを用いる。また、ガス導入セル密着部61aのもともとの厚みも0.5mmである。よって、密着部内部における吹き付け部のセンシング面からの距離は1mmとなる。このシリコンゴムをセンシング層7に押し付ける圧力は、屈折率変化や前記プリズムのセンシング層7への押し付け圧力などに影響を与えないように適切に調整される必要がある。また、シリコンゴムはもちろん透明であるのが望ましい。
以上に説明したガス導入セル61を用いることにより、複合センサ60は、導波路部分のみにガスを導入し、プリズムとのカップリング部分にガスが到達しないようにできる。
(実施態様6)
次に、実施態様6の複合センサを説明する。図10は複合センサ70の概略構成図である。この複合センサ70も、センサ基板のセンシング層7が形成されている面にガス導入セル71を設けている。ガス導入セル71は被検知物質を含んだガスをセンサ基板に導入するためにセンシング層7に密着して配設される。特に、ガス導入セル71は、例えば12mmという距離を置いて相互に配置された光入射用プリズム8と光出射用プリズム9間のセンシング層7上に密着される。
この複合センサ70で用いられているガス導入セル71は、2重管構造であり、実施態様5のガス導入セル61を二つ重ねた構造である。もちろん、センシング層7との密着部には前述のシリコンゴムを用いる。
以上に説明した2重管構造のガス導入セル71を用いることにより、複合センサ70は、前記被検知物質を含んだガス又は乾燥ガスをセンシング層7に効率良く導入することができ、かつプリズムとのカップリング部分にガスが到達しないようにできる。
(実施態様5を用いた物質吸着検知システム)
次に、複合センサ60を用いた物質吸着検知システムについて図11を用いて説明する。図11は、複合センサ60を用いた物質吸着検知システム80の具体例を示す図である。
この物質吸着検知システム80が図6に示した物質吸着検知システム40と異なる点は、複合センサ30の代わりにガス導入セル61を用いた複合センサ60を備えていることである。
複合センサ60のセンシング層7にはパイプ52を通して流れ、ガス導入セル61によってプリズムとのカップリング部分にガスが到達しないようにされた乾燥Nガス又は測定対象の溶液にバブルしたNガスが密着部61aから供給される。
このように物質吸着検知システム80は、シリカゲル容器49に通した乾燥Nガス又は測定対象の溶液、例えば純水などにバブルしたNガスをバルブ48及び51を切り替えながらパイプ52内を流し、ガス導入セル61の密着部61aから複合センサ60のセンシング層7に導入し、その際の光導波層12を導波した出射光強度と、水晶振動子11の発振周波数を同時に又は交互に測定し、PC44にて測定結果を処理し、モニタ44aに表示する。
以上、図11を参照してガス導入セル61を備えた複合センサ60を有する物質吸着システム80を示したが、図10に示した二重間構造のガス導入セル71を備えた複合センサ70を有する物質吸着システムを具体例(以下、変形例という)とすることができるのはいうまでもない。
次に、物質吸着検知システム80又は変形例のシステムによって得られた湿度検出特性の具体例を示す。図12はガス導入セル61を備えた複合センサ60を有する物質吸着検知システム80によって得られた湿度検出特性図である。横軸には時間を、右縦軸には発振周波数のシフト(Frequency shift[Hz]:FS)を、左縦軸には光強度(Light intensity[V]:LI)を示す。
なお、センシング層7は、塩化コバルトCoCl分散ポリビニルアルコールPVAを光導波層12のコア部5上にスピンコートして薄膜形成した。その際の濃度は、純水1l(リットル)に対し塩化コバルトCoClが30g/l、ポリビニルアルコールPVAが10g/lである。
初期状態の後、バルブ48及び51を切り替えて、乾燥Nガスと、ウェットNガスを、交互にガス導入セル61から複合センサ60のセンシング層7に導入した。具体的には、初期状態の5分間乾燥Nガスを導入した後、10分間ウェットNガスを導入、その後10分間乾燥Nガスを導入した後、また5分間ウェットNガスを導入し、さらに10分間乾燥Nガスを導入した。
初期状態では、発振周波数シフトFSは0Hzであり、出射光強度LIは0.01Vであった。次のウェット区間で発振周波数シフトFSは大きくシフトし−2000Hzとなった。また、光強度LIも大きく変化して0.05Vとなった。以後、乾燥とウェットを繰り返したのに伴って大きな発振周波数(QCM周波数)と光強度の変化が観測できた。また、切り替え時の回復も良好であった。
このように、ガス導入セル61を備えた複合センサ60を有する物質吸着検知システム80は、乾燥ガス、ウェットガスを交互にセンシング層7に導入したときにQCM周波数)と光強度の変化が観測できた。したがって、物質吸着検知システム80にあっては、予めいくつかの検知対象物質について観測しておいた吸着質量と光透過特性のデータをテーブルメモリに記憶しておき、測定した各特性についての変化の関係をテーブルメモリを参照して既知のデータ及び対象物質名と比較することで被検知物質の検出と識別を行うことができる。
以下、前記実施態様1〜6、及びそれらを用いた物質吸着検知システムについてのいくつかの実施例について説明する。
<水晶振動子上への光導波路の形成>
(実施例1)
図13は電極付き水晶基板104の平面図および断面図である。図13に示すように、水晶基板として厚み0.333mm、直径25.4mmの水晶基板101の両面にチタニウム、金の薄膜を所定の形状にパターニングした電極102,103付き水晶基板(MAXTEK製ATカット)104を用意した。
次に、図14に示すスピン塗布機105を用いて光導波路のクラッド部を形成する。電極付き水晶基板104の上面全体に下部クラッド層としてフッ素含有ポリイミド樹脂(OPI−N3305:日立化成工業株式会社製商品名)を図15に示した様にスピン塗布機105の基板チャック105aが基板の中心になる様に水晶基板101をセットし、回転数1800rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した。その後、乾燥器を用い100℃で30分間、次いで200℃で30分間加熱することにより溶媒を蒸発させ、続けて370℃で60分加熱することにより樹脂を硬化させて、電極付き水晶基板中央部で厚さ5μmになるように下部クラッド層を形成した。
この下部クラッドの上に、コア層としてフッ素含有ポリイミド樹脂(OPI−N3405:日立化成工業株式会社製商品名)を図15に示した様にスピン塗布機105の基板チャック105aが基板の中心になる様に下部クラッドを形成した水晶基板101をセットし、回転数1060rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した。その後、乾燥器を用い100℃で30分間、次いで200℃で30分間加熱することにより溶媒を蒸発させ、続けて370℃で60分加熱することにより樹脂を硬化させて、電極付き水晶基板中央部で厚さ10μmになるようにコア層を形成した。
(実施例2)
使用した基板、導波路層の材料、硬化条件は実施例1と同一で、スピンの回転数を変え膜厚のみを変えた。
水晶基板101の上面全体に下部クラッド層を回転数900rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ10μmの下部クラッド層を形成した。
この下部クラッドの上に、コア層を回転数1060rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用いて樹脂を硬化させて、厚さ10μmのコア層を形成した。
(実施例3)
使用した基板、導波路層の材料、硬化条件は実施例1と同一で、スピンの回転数を変え膜厚のみを変えた。
水晶基板101の上面全体に下部クラッド層を回転数500rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ15μmの下部クラッド層を形成した。
この下部クラッドの上に、コア層を回転数1060rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ10μmのコア層を形成した。
(実施例4)
使用した基板、導波路層の材料、硬化条件は実施例1と同一で、スピンの回転数を変え膜厚のみを変えた。
水晶基板101の上面全体に下部クラッド層を回転数900rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ10μmの下部クラッド層を形成した。
この下部クラッドの上に、コア層を回転数680rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ15μmのコア層を形成した。
図16にこの条件で作製した下部クラッド層及びコア層の膜厚を示す。横軸は、水晶基板のR方向を示しており、0は水晶基板の片側の端を表す。測定は触針式膜厚計DEKTAKst3(アルバック製)によった。
図16から、実施例4の下部クラッド層及びコア層の膜厚は、10000μm〜15000μm付近(中央部)では10μm及び15μmであることがわかる。また5000nm以下、及び17000nm以上の両端部分で5〜15μm程中央部分に比して異なっていることがわかる。
(実施例5)
使用した基板、導波路層の材料、硬化条件は実施例1と同一で、スピンの回転数を変え膜厚のみを変えた。
水晶基板の上面全体に下部クラッドを回転数1800rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ5μmの下部クラッド層を形成した。
この下部クラッドの上に、コアを回転数500rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ20μmのコア層を形成した。
図17にこの条件で作製した下部クラッド層及びコア層の膜厚を示す。横軸は、水晶基板のR方向を示しており、0は水晶基板の片側の端を表す。測定は触針式膜厚計DEKTAKst3(アルバック製)によった。
図17から、実施例5の下部クラッド層及びコア層の膜厚は、10000μm〜15000μm付近(中央部)では5μm及び15μmであることがわかる。また6000nm以下、及び19000nm以上の両端部分で10〜15μm程中央部分に比して異なっていることがわかる。
(実施例6)
水晶基板として厚み0.333mm、直径25.4mmの水晶基板にチタニウム、金の薄膜を所定の形状にパターニングされた電極付き水晶基板(MAXTEK製ATカット)を用意した。
電極付き水晶基板の上面全体に下部クラッドとしてフッ素含有ポリイミド樹脂(OPI−N3305:日立化成工業株式会社製商品名)を、図18に示した様な電極付き水晶基板が収納できる直径25.5mmのザグリ穴(ザグリの深さは0.350mm)111のある直径125mmのスピン治具110に図19に示すように水晶基板104をセットし、図20に示すようにスピン塗布機105の基板チャック105aがスピン治具110の中心になる様にセットし、回転数900rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した。その後、乾燥器を用い100℃で30分間加熱することにより溶媒をある程度蒸発させたのち、スピン治具から下部クラッドが塗布された電極付き水晶基板104を取り出し、次いで200℃で30分間加熱することにより溶媒をさらに蒸発させ、続けて370℃で60分加熱することにより樹脂を硬化させて、厚さ10μmの下部クラッド層を形成した。
この下部クラッドの上に、コア層としてフッ素含有ポリイミド樹脂(OPI−N3405:日立化成工業株式会社製商品名)を図10に示した様な電極付き水晶基板104が収納できるざぐり穴111のあるスピン治具110に図19に示すように電極付き水晶基板104をセットし、図20に示すようにスピン塗布機105の基板チャック105aが治具の中心になる様にセットし、回転数680rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した。その後、乾燥器を用い100℃で30分間加熱することにより溶媒をある程度蒸発させたのち、スピン治具110から下部クラッドが塗布された電極付き水晶基板104を取り出し、次いで200℃で30分間加熱することにより溶媒をさらに蒸発させ、続けて370℃で60分加熱することにより樹脂を硬化させて、厚さ15μmのコア層を形成した。
図21にこの条件で作製した下部クラッド層及びコア層の膜厚を示す。横軸は、水晶基板のR方向を示しており、0は水晶基板の片側の端を表す。測定は触針式膜厚計DEKTAKst3(アルバック製)によった。
図21から、実施例5の下部クラッド層及びコア層の膜厚は、両端部分であっても中央部分であっても10μm及び10μmとほぼ同様であることがわかる。
(実施例7)
使用した基板、導波路層の材料、スピン治具の使用、硬化条件は実施例6と同一で、スピンの回転数を変え膜厚を変えた。
水晶基板101の上面全体に下部クラッドを回転数1800rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ5μmの下部クラッド層を形成した。
この下部クラッド層の上に、コアを回転数1060rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、コア層となる厚さ10μmのコア層を形成した。
(実施例8)
使用した基板、導波路層の材料、スピン治具の使用、硬化条件は実施例6と同一で、スピンの回転数を変え膜厚のみを変えた。
水晶基板101の上面全体に下部クラッドを回転数680rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ15μmの下部クラッド層を形成した。
この下部クラッド層の上に、コアを回転数1060rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ10μmのコア層を形成した。
(実施例9)
使用した基板、導波路層の材料、スピン治具の使用、硬化条件は実施例6と同一で、スピンの回転数を変え膜厚のみを変えた。
水晶基板101の上面全体に下部クラッドを回転数1800rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ5μmの下部クラッド層を形成した。
この下部クラッド層の上に、コアを回転数500rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した後、乾燥器を用い樹脂を硬化させて、厚さ20μmのコア層を形成した。
<センシング層の形成>
(実施例10)
実施例1〜9のようにして水晶振動子上に形成された光導波路基板の上に、以下のようにして、センシング層を形成した。塩化コバルト(CoCl)分散ポリビニルアルコール(PVA:重合度500、関東化学32283−02)薄膜をディップコートすることで作製した。CoCl分散PVAの濃度は、純水に対してそれぞれ3g/lとし、CoClとPVAの割合は1:1とした。
(実施例11)
実施例1〜9のようにして水晶振動子上に形成された光導波路基板の上に、PVAの濃度を4g/lとしたこと以外、実施例10と同様にして、塩化コバルト分散PVA薄膜をセンシング層として成膜した。
(実施例12)
実施例1〜9のようにして水晶振動子上に形成された光導波路基板の上に、以下のようにして、センシング層を形成した。ライチャート色素(シグマ・アルドリッチ社製 272442)分散ポリビニルアルコール(PVA:重合度500、関東化学32283−02)薄膜をディップコートすることで作製した。ライチャート色素分散PVAの濃度は、純水に対してそれぞれ4g/lとし、ライチャート色素とPVAの割合は1:1とした。
<センシング層の膜厚測定>
(実施例13)
実施例10〜12のようにして形成したセンシング層の膜厚を以下のようにしてQCMの周波数の変化量の測定値から評価した。評価に当たっては、式(1)のSauerbrey方程式を用いた。
Figure 2008083036
実施例10のセンシング層膜厚は、センシング層形成前のQCM周波数が、4771769Hz、センシング層形成後のQCM周波数が、4771413Hzであったことから、63nmと計算された。
実施例11のセンシング層膜厚は、センシング層形成前のQCM周波数が、4771769Hz、センシング層形成後のQCM周波数が、4771159Hzであったことから、108nmと計算された。
実施例12のセンシング層膜厚は、センシング層形成前のQCM周波数が、4771769Hz、センシング層形成後のQCM周波数が、4770957Hzであったことから、143nmと計算された。
このように、本発明のように、センサ基板を単純な構造として、センシング層の成膜をすることで、センシング層の膜厚を正確に同定できることが示された。
<センサ測定>
測定試料は、実施例1〜9で作製したQCM上にセンシング層を実施例10〜12のようにして作製した。測定試料のQCMは光導波路測定器の図5に示したような基材31を用いて、入射光、出射光用の2つのプリズム8、9を用いて挟み込んだ。プリズム間の距離、すなわち導波路長は約1cmとした。図6に示したように、光源にはHe−Neレーザ(λ=633nm)41を使用した。
レーザ光は偏光板でTMモードにし、チョッパー(約737Hz)に通して入射光用プリズムに斜め入射した。入射角度は30度とした。入射した光はQCM上の光導波層12内のコア部5を全反射しながら伝搬していき、もう一つの出射光用プリズム9により出射される。このときの出射光強度をPD42により検出し、ロックインアンプ(NF 5610B)のGPIB出力をマルチメータ(アドバンテストR6551/EMC)43で読み取った。QCM発振器(水晶振動子)11にはMaxtek社製のRQCMを使用した。電気的に絶縁した基材とQCMの間にアルミ箔の電極2、3を設け、そこからワニ口クリップと銅線によりRQCMのホルダ31の電極部に接続し測定を行った。
ガスはNガスを使用し、フロートメータ47で流量調節を行った。(実験時の流量は約158.5ml/min)シリカゲル容器49に通した乾燥Nガスまたは測定対象の溶液(純水など)容器50にバブルしたNガスをバルブ49及び51によって切り替えながら直接、光導波層12上のセンシング層7に吹きつけ、その際の出射光強度LIと発振周波数シフトFSを同時に測定した。
図22には実施例1〜9のセンサ基板の各膜厚、製造方法などをまとめて示す。実施例1はコア部の厚さが10μm、クラッド部の厚さが5μm、コア部及びクラッド部のスピンコート法が図14に示したスピン塗布機105を用いて行われ、さらにセンシング層を実施例10、11及び12で区別したように形成し、それぞれ膜厚63nm、108nm及び143nmとしたことを表す。また、実施例6はコア部の厚さが15μm、クラッド部の厚さが10μm、コア部及びクラッド部のスピンコート法が図20に示したザクリのあるスピン冶具110を用いて行われ、さらにセンシング層を実施例10、11及び12で区別したように形成し、それぞれ膜厚63nm、108nm及び143nmとしたことを表す。
図23には、実施例5又は9で、センシング層7の膜厚を63nmとしたときの湿度検出特性を示す。つまり、コア部の膜厚を20μm、クラッド部の膜厚を5μmとし、センシング層は塩化コバルトCoCl分散ポリビニルアルコールPVA薄膜溶液の濃度を共に3g/lとして1:1とし、ディップコート法により形成したときの特性である。横軸には時間を、左縦軸には発振周波数の変化FSを、右縦軸には光強度LIを示す。図6に示した物質吸着検知システム40にあってバルブ48及び51を切り替えて、湿度15%の乾燥Nガスと、湿度70%のウェットNガスを、交互に噴出口52aから複合センサ30のセンシング層7に吹き付けた。ウェットNガスがセンシング層7に吹き付けられたときには、水分の吸着により発振周波数シフトFSが減少するが、出射光強度LIは上昇する。これはセンシング層7中の塩化コバルトCoClの光吸収が減少するためである。乾燥Nガスがセンシング層7に導入されると、初期状態に戻る。つまり、塩化コバルトCoCl分散ポリビニルアルコールPVA薄膜を用いたセンシング層7の吸湿により光吸収特性の変化を測定できた。
これらの出射光特性LI及び周波数特性FSは、被検知物質の吸着量や種類に応じて固有の値を示すため、予めいくつかの検知対象物質について観測しておいた吸着質量と光透過特性の変化の関係とを比較することにより、被検知物質の検出と識別を行うことができる。具体的には、予めいくつかの検知対象物質について観測しておいた吸着質量と光透過特性のデータをテーブルメモリに記憶しておき、測定した各特性についての変化の関係をテーブルメモリを参照して既知のデータ及び対象物質名と比較することで被検知物質の検出と識別を行うことができる。
ただし、この場合、乾燥からウェット、ウェットから乾燥への切り替え時に光強度LIが大きく変わってから戻るようなオーバーシュート121が見られた。
図24には、実施例5又は9で、センシング層7の膜厚を108nmとしたときの湿度検出特性を示す。つまり、コア部の膜厚を20μm、クラッド部の膜厚を5μmとし、センシング層は塩化コバルトCoCl分散ポリビニルアルコールPVA薄膜溶液の濃度を共に4g/lとして1:1とし、ディップコート法により形成したときの特性である。横軸には時間を、左縦軸には発振周波数の変化FSを、右縦軸には光強度LIを示す。図6に示した物質吸着検知システム40にあってバルブ48及び51を切り替えて、湿度15%の乾燥Nガスと、湿度70%のウェットNガスを、交互に噴出口52aから複合センサ30のセンシング層7に吹き付けた。ウェットNガスがセンシング層7に吹き付けられたときには、水分の吸着により発振周波数シフトFSが減少するが、出射光強度LIは上昇する。これはセンシング層7中の塩化コバルトCoClの光吸収が減少するためである。乾燥Nガスがセンシング層7に導入されると、初期状態に戻る。つまり、塩化コバルトCoCl分散ポリビニルアルコールPVA薄膜を用いたセンシング層7の吸湿により光吸収特性の変化を測定できた。
この場合、乾燥からウェット、ウェットから乾燥への切り替え時の特性(122)には光強度LIが大きく変わってから戻るようなオーバーシュートは見られなかった。
次に、図25〜図27を用いて例えば実施例3又は実施例8で、ライチャート色素分散PVAをディップコートしたセンシング層(膜厚143nm)を用いたときの湿度検出特性を示す。つまり、コア部の膜厚を10μm、クラッド部の膜厚を15μmとし、センシング層はライチャート色素分散ポリビニルアルコールPVA薄膜溶液の濃度を共に4g/lとして1:1とし、ディップコート法により形成したときの特性である。特に、図25はアルコールのバブルガスとした。また、図26はアセトンのバブルガスとした。物質のアルコールガス又はアセトンガスがセンシング層に吹き付けられたときには、水分の吸着により発振周波数シフトFSが減少するが、出射光強度LIは上昇する。これはセンシング層中のライチャート色素の光吸収が減少するためである。乾燥Nガスがセンシング層に導入されると、初期状態に戻る。つまり、ライチャート色素分散ポリビニルアルコールPVA薄膜を用いたセンシング層の吸湿により光吸収特性の変化を測定できた。
(比較例1)
図23〜図27に示した湿度特性の測定に供した測定試料の実施例10〜12のセンシング層を形成する代わりに、PVAのみの薄膜を成膜して同様に実験を行った。図28がその湿度吸収特性図である。発振周波数はウェットガスが導入された期間に減少し、乾燥ガスが導入されて初期状態に回復したが、出射光強度LIは満足な特性にはならなかった。
<センサ構造の比較>
図5を用いて説明した第4の実施態様における、本発明のセンサ構造の具体的実施例についての説明しておく。図29に基材31の平面方向から見た図を示すように、基材31には水晶振動子11の水晶電極2の領域にあたる基材部分に開口部31aを開けた構造としている。
このような基材31と入射用・出射用のプリズム8及び9とでセンサ基板を挟んで、QCMの周波数を測定した。結果を図30に示した。図中「新しい光導波路ホルダー」と記載した。
(比較例2)
基材部分に穴を設けずにフラットな基材全面とプリズムとでセンサ基板を挟んで、同様にしてQCMの周波数を測定した。結果を図30に示した。図中「前の光導波路ホルダー」と記載した。
(比較例3)
RQCMの装置に付属している標準のQCMホルダーを用いて、同様にしてQCMの周波数を測定した。結果を図30に示した。図中「RQCMホルダー」と記載した。
図30のように、QCMの背面が空間になるようにホルダに穴を開けて測定したところ、QCMの周波数測定値が、本来の測定値である、比較例3の結果に近い値となった。1000Hzくらいのずれが残存しているが、比較例2の穴を開けない場合の7000Hz程度のシフトに比べて小さくなった。また、基材31に開口部31aを設けた具体例では、比較例2に比べて、測定データの安定性が向上した。
このように、光導波路をQCM上に形成して質量変化と光強度変化の同時測定を信頼性高く実施するために、第4の実施態様が有効であることがわかった。
<ガス導入セルを用いた複合センサの実施例>
次に、実施態様5及び6に示したガス導入セル61及び71を用いた複合センサ60及び70のいくつかの実施例について説明する。
(実施例14)
まず水晶基板として厚み0.333mm、直径25.4mmの水晶基板101の両面にチタニウム、金の薄膜を所定の形状にパターニングされた電極102,103付き水晶基板(MAXTEK製ATカット)104を用意した。
次に、図14に示したスピン塗布機105を用いて光導波路のクラッド部を形成する。電極付き水晶基板104の上面全体に下部クラッド層としてフッ素含有ポリイミド樹脂(OPI−N3305:日立化成工業株式会社製商品名)を図15に示した様にスピン塗布機105の基板チャック105aが基板の中心になる様に水晶基板101をセットし、回転数1800rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した。その後、乾燥器を用い100℃で30分間、次いで200℃で30分間加熱することにより溶媒を蒸発させ、続けて370℃で60分加熱することにより樹脂を硬化させて、電極付き水晶基板中央部で厚さ5μmになるように下部クラッド層を形成した。
この下部クラッドの上に、コア層としてフッ素含有ポリイミド樹脂(OPI−N3405:日立化成工業株式会社製商品名)を図15に示した様にスピン塗布機105の基板チャック105aが基板の中心になる様に下部クラッドを形成した水晶基板101をセットし、回転数1060rpm×30秒でスピン塗布して材料溶液膜を形成した。その後、乾燥器を用い100℃で30分間、次いで200℃で30分間加熱することにより溶媒を蒸発させ、続けて370℃で60分加熱することにより樹脂を硬化させて、電極付き水晶基板中央部で厚さ10μmになるようにコア層を形成した。
このようにして水晶振動子上に形成された光導波路基板の上に、以下のようにして、センシング層を形成した。塩化コバルト(CoCl)分散ポリビニルアルコール(PVA:重合度500、関東化学32283−02)薄膜をディップコートすることで作製した。CoCl分散PVAの濃度は、純水に対してPVAを5g/l、CoClを20g/lとした。PVAとCoClの割合は1:4となる。膜厚143.6nmのセンシング層を得た。
前記センサ基板のセンシング層上に入射光、出射光用の2つのプリズム8、9を配し、さらにその間にガス導入セル61を置いて複合センサ60の具体例(実施例14)を作製した。
この実施例14の複合センサ60を図11に示した物質吸着検知システム80にセットして被検知物質の物質吸着検知を行う。レーザ光の複合センサ60への入射角度(レーザ入射角度)は28.33度であり、偏光成分はTMである。また、入射するレーザ光の強度は、後述の実施例15の場合に比較して、遮光板(38.1%)を用いて小さくしている。したがって、出射光強度も実施例15の測定に比較して小さくなる。
図31は実施例14の湿度検出特性である。横軸には時間を、左縦軸には発振周波数の変化FSを、右縦軸にはフォトディテクタPDの出力である光強度LIを示す。図32〜図35は時間軸を引き伸ばした拡大図を示す。
初期状態の後、バルブ48及び51を切り替えて、乾燥Nガスと、ウェットNガスを、交互にガス導入セル61から複合センサ60のセンシング層7に導入した。まず、図32に示すように、0分から30分までは、ウェットガス1分、乾燥ガス2分で繰り返した。ガスの流量はウェットガスが約70ml/min、乾燥ガスが約87ml/minであった。初期状態では、発振周波数シフトFSは0Hzであり、出射光強度LIは0.1Vであった。次のウェット区間で発振周波数シフトFSは大きくシフトし−1000Hzとなった。また、光強度LIも大きく変化して0.3Vとなった。
次に、図33に示すように、40分から65分までは、ウェットガス2分、乾燥ガス3分で繰り返した。ガスの流量はウェットガスが約65ml/min、乾燥ガスが約85ml/minであった。この時間帯でも発振周波数シフトFSと出射光強度LIは交互に減少と回復を繰り返した。
次に、図34に示すように、80分から105分までは、ウェットガス2分、乾燥ガス3分で繰り返した。ガスの流量はウェットガスが約120ml/min、乾燥ガスが約150ml/minであった。ガス流量を大幅に変えたが、この時間帯でも発振周波数シフトFSと出射光強度LIは交互に減少と回復を繰り返した。
次に、図35に示すように、110分から150分までは、ウェットガス10分、乾燥ガス10分で繰り返した。ガスの流量はウェットガスが約120ml/min、乾燥ガスが約140ml/minであった。ガス導入時間を大幅に変えたが、この時間帯でも発振周波数シフトFSと出射光強度LIは交互に減少と回復を繰り返した。
このように実施例14を用いた物質吸着検知システムでは、ベースの変化はあるが比較的安定した湿度検出特性が得られた。
(実施例15)
光導波層12についての使用した基板、導波路層の材料、硬化条件、クラッド部及びコア部の膜厚は実施例14と同一とした。また、センシング層7の膜厚もPVAとCoClの割合を1:4とし、膜厚143.6nmとした。ただし、入射するレーザ光の強度は、前述の実施例14の場合に比較して、遮光板を用いず小さくしてはいない。したがって、出射光強度も実施例14の測定に比較して大きくなる。
この実施例15の複合センサ60を図11に示した物質吸着検知システム80にセットして被検知物質の物質吸着検知を行う。レーザ光の複合センサ60への入射角度(レーザ入射角度)は28.33度であり、偏光成分はTMである。
図36は実施例15の湿度検出特性である。横軸には時間を、左縦軸には発振周波数の変化FSを、右縦軸にはフォトディテクタPDの出力である光強度LIを示す。
初期状態の後、バルブ48及び51を切り替えて、乾燥Nガスと、ウェットNガスを、交互にガス導入セル61から複合センサ60のセンシング層7に導入した。ウェットガス5分、乾燥ガス5分で繰り返した。ガスの流量はウェットガスが約90ml/min、乾燥ガスが約110ml/minであった。初期状態から次のウェット区間で発振周波数シフトFSは大きくシフトし、また、光強度LIも大きく変化して上昇した。そして、乾燥とウェットを繰り返しても、発振周波数シフトFSと出射光強度LIは交互に減少と回復を繰り返した。
(実施例16)
光導波層12についての使用した基板、導波路層の材料、硬化条件、クラッド部及びコア部の膜厚は実施例15と同一とした。また、センシング層7の膜厚もPVAとCoClの割合を1:4とし、膜厚143.6nmとした。また、入射するレーザ光の強度も、前述の実施例15の場合と同様に、遮光板を用いず小さくしてはいない。ただし、この実施例16は、実施例15に比較して入射レーザ光の偏光成分をTE成分としている。
この実施例16の複合センサ60を図11に示した物質吸着検知システム80にセットして被検知物質の物質吸着検知を行う。レーザ光の複合センサ60への入射角度(レーザ入射角度)は28.33度であり、偏光成分は前述のようにTEである。
図37は実施例16の湿度検出特性である。横軸には時間を、左縦軸には発振周波数の変化FSを、右縦軸にはフォトディテクタPDの出力である光強度LIを示す。
初期状態の後、バルブ48及び51を切り替えて、乾燥Nガスと、ウェットNガスを、交互にガス導入セル61から複合センサ60のセンシング層7に導入した。ウェットガスを10分、乾燥ガスを10分導入した。途中からウェットガスを5分、乾燥ガスを5分の導入とした。つまり、ガスの導入時間を短くしていった。ガスの流量はウェットガスが約105ml/min、乾燥ガスが約125ml/minであった。初期状態から次のウェット区間で発振周波数シフトFSは大きくシフトし、また、光強度LIも大きく変化して上昇した。そして、乾燥とウェットを繰り返しても、発振周波数シフトFSと出射光強度LIは交互に減少と回復を繰り返した。
(実施例17)
光導波層12についての使用した基板、導波路層の材料、硬化条件、クラッド部及びコア部の膜厚は実施例15と同一とした。また、センシング層7の膜厚もPVAとCoClの割合を1:4とし、膜厚143.6nmとした。また、入射するレーザ光の強度も、前述の実施例16の場合と同様に、遮光板を用いず小さくしてはいない。また、この実施例17も、実施例16と同様に入射レーザ光の偏光成分をTE成分としている。この実施例17が実施例16と異なるのはガスの導入時間をはじめは5分で切り替え、後にウェットガスの導入時間を13分と長くしたことである。
この実施例17の複合センサ60を図11に示した物質吸着検知システム80にセットして被検知物質の物質吸着検知を行う。レーザ光の複合センサ60への入射角度(レーザ入射角度)は28.33度であり、偏光成分は前述のようにTEである。
図38は実施例17の湿度検出特性である。横軸には時間を、左縦軸には発振周波数の変化FSを、右縦軸にはフォトディテクタPDの出力である光強度LIを示す。
初期状態の後、バルブ48及び51を切り替えて、乾燥Nガスと、ウェットNガスを、交互にガス導入セル61から複合センサ60のセンシング層7に導入した。ウェットガスを5分、乾燥ガスを5分導入した。途中からウェットガスを13分、乾燥ガスを5分の導入とした。ガスの流量はウェットガスが約105ml/min、乾燥ガスが約125ml/minであった。初期状態から次のウェット区間で発振周波数シフトFSは大きくシフトし、また、光強度LIも大きく変化して上昇した。そして、乾燥とウェットを繰り返しても、発振周波数シフトFSと出射光強度LIは交互に減少と回復を繰り返した。
(実施例18)
光導波層12についての使用した基板、導波路層の材料、硬化条件、クラッド部及びコア部の膜厚は実施例14と同一とした。センシング層7の膜厚はCoCl分散PVAの濃度を、純水に対してPVAを10g/l、CoClを30g/lとし、よってPVAとCoClの割合を1:3として、膜厚216.4nmを得た。
この実施例18の複合センサ60を図11に示した物質吸着検知システム80にセットして被検知物質の物質吸着検知を行う。レーザ光の複合センサ60への入射角度(レーザ入射角度)は28.33度であり、偏光成分はTMである。
図39は実施例18の湿度検出特性である。横軸には時間を、左縦軸には発振周波数の変化FSを、右縦軸にはフォトディテクタPDの出力である光強度LIを示す。図40及び図41は時間軸を引き伸ばした拡大図を示す。
初期状態の後、バルブ48及び51を切り替えて、乾燥Nガスと、ウェットNガスを、交互にガス導入セル61から複合センサ60のセンシング層7に導入した。まず、図40に示す初期状態の10分から35分までは、ウェットガス2分、乾燥ガス3分で繰り返した。ガスの流量はウェットガスが約130ml/min、乾燥ガスが約150ml/minであった。初期状態では、発振周波数シフトFSは0Hzであり、出射光強度LIは0.25Vであった。次のウェット区間で発振周波数シフトFSは大きくシフトし−1000Hzとなった。また、光強度LIも大きく変化して0.6Vとなった。
次に、図41に示すように、30分から70分までは、ウェットガスを5分、乾燥ガスを10分導入しながら繰り返したのち、ウェットガスを10分、乾燥ガスを10分の導入に変えた。ガスの流量はウェットガスが約120ml/min、乾燥ガスが約140ml/minであった。この時間帯でも発振周波数シフトFSと出射光強度LIは交互に減少と回復を繰り返した。
実施例18を用いた物質吸着検知システムでも、ベースの変化はあるが比較的安定した湿度検出特性が得られた。
(実施例19)
光導波層12についての使用した基板、導波路層の材料、硬化条件、クラッド部及びコア部の膜厚は実施例14と同一とした。センシング層7の膜厚はCoCl分散PVAの濃度を、純水に対してPVAを10g/l、CoClを30g/lとし、よってPVAとCoClの割合を1:3として、膜厚216.4nmを得た。この実施例19が実施例19と異なるのは、レーザ光の入射角と、偏光成分がTEとなったことである。
この実施例19の複合センサ60を図11に示した物質吸着検知システム80にセットして被検知物質の物質吸着検知を行う。レーザ光の複合センサ60への入射角度(レーザ入射角度)は28.5度であり、偏光成分はTEである。
図42は実施例19の湿度検出特性である。横軸には時間を、左縦軸には発振周波数の変化FSを、右縦軸にはフォトディテクタPDの出力である光強度LIを示す。図43及び図44は時間軸を引き伸ばした拡大図を示す。
初期状態の後、バルブ48及び51を切り替えて、乾燥Nガスと、ウェットNガスを、交互にガス導入セル61から複合センサ60のセンシング層7に導入した。まず、図43に示す初期状態の0分から25分までは、ウェットガス2分、乾燥ガス3分で繰り返した。ガスの流量はウェットガスが約120ml/min、乾燥ガスが約140ml/minであった。初期状態では、発振周波数シフトFSは0Hzであり、出射光強度LIは0.006Vであった。次のウェット区間で発振周波数シフトFSは大きくシフトし−1000Hzとなった。また、光強度LIも大きく変化して0.002Vとなった。
次に、図44に示すように、20分から40分までは、ウェットガスを10分、乾燥ガスを10分導入しながら繰り返した。ガスの流量はウェットガスが約120ml/min、乾燥ガスが約140ml/minであった。この時間帯でも発振周波数シフトFSと出射光強度LIは交互に減少と回復を繰り返した。
実施例19を用いた物質吸着検知システムでも、ベースの変化はあるが比較的安定した湿度検出特性が得られた。
(実施例20)
次に、実施例20として、実施態様5の複合センサ60にてコア部5がセンシング層を兼ねる構成をあげる。つまり、図8に示した複合センサ60にてセンシング層を兼ねるコア部5上に、ガス導入セル61を密着した構成である。この実施例20の複合センサを図11に示した物質吸着検知システムにセットして物質吸着検知を行う。レーザ光の複合センサ60への入射角度(レーザ入射角度)は28.33度であり、偏光成分はTEである。
図45は実施例20の湿度検出特性である。横軸には時間を、右縦軸には発振周波数の変化FSを、左縦軸にはフォトディテクタPDの出力である光強度LIを示す。
初期状態の後、バルブ48及び51を切り替えて、乾燥Nガスと、ウェットNガスを、交互にガス導入セル61から複合センサ60のセンシング層7に導入した。発振周波数シフトFSと出射光強度LIは交互に減少と回復を繰り返した。
このように複合センサはコア部がセンシング層を兼ねることができるが、図45から分かるように発振周波数シフトFSと出射光強度LIの特性はセンシング層をコア層とは別に設けた実施例14〜実施例19に比べるとやや減少、回復が安定性にかける。
(実施例21)
この実施例21も実施態様5の複合センサ60にてコア部5がセンシング層7を兼ねる構成である。この実施例21の複合センサを図11に示した物質吸着検知システムにセットして物質吸着検知を行う。レーザ光の複合センサ60への入射角度(レーザ入射角度)は28.33度であり、偏光成分はTMである。
図46は実施例21の湿度検出特性である。横軸には時間を、右縦軸には発振周波数の変化FSを、左縦軸にはフォトディテクタPDの出力である光強度LIを示す。
初期状態の後、バルブ48及び51を切り替えて、乾燥Nガスと、ウェットNガスを、交互にガス導入セル61から複合センサ60のセンシング層7に導入した。発振周波数シフトFSと出射光強度LIは交互に減少と回復を繰り返した。
このように実施例21の複合センサもコア部がセンシング層を兼ねるが、図46から分かるように発振周波数シフトFSと出射光強度LIの特性はセンシング層をコア層とは別に設けた実施例14〜実施例19に比べるとやや減少、回復が安定性にかける。
実施例21,22に示したように、感度は必ずしも良好とはならないことがあるものの、本発明では、コア層をセンシング層の機能を兼ね備えて使用することもできるが、コア層、センシング層を個別に最適な設計とすることが、さらに、有効であることが確認された。
(比較例4)
次に、実施態様5又は6の実施例14〜実施例21に対する比較のために比較例4を挙げる。比較例4は、実施例18の複合センサ60においてガス導入セル61を用いなかった例である。
つまり、光導波層12についての使用した基板、導波路層の材料、硬化条件、クラッド部及びコア部の膜厚は実施例18と同一とした。また、センシング層7の膜厚はCoCl分散PVAの濃度を、純水に対してPVAを10g/l、CoClを30g/lとし、よってPVAとCoClの割合を1:3として、膜厚216.4nmを得た。さらに、レーザ光の複合センサ60への入射角度(レーザ入射角度)は28.33度であり、偏光成分はTMである。
図47は比較例4の湿度検出特性である。横軸には時間を、左縦軸には発振周波数の変化FSを、右縦軸にはフォトディテクタPDの出力である光強度LIを示す。
初期状態の後、バルブ48及び51を切り替えて、乾燥Nガスと、ウェットNガスを、交互にパイプ52の噴出口から複合センサ60のセンシング層7に導入した。図47から明らかなように光強度LIの減少と回復が不安定であることが分かる。これはガス導入セルを用いないとセンサ感度が落ちてしまうことを示すものである。
(比較例5)
なお、最後に比較例5として、本発明の主要な構成要素である主たる導波領域となる光導波路を構成しない例を比較のために説明しておく。特に、比較例5は導波路層を用いずに、従来の透過法を採用している。基板にほぼ垂直方向から光を入射し、透過光強度を測定した。
図48は、時間経過に対する出射光強度の変化を示す図である。ウェットN2ガスを導入した区間では、初期状態よりも強度がやや高くなるが光導波路を用いた本発明の実施例などに見られるような著しい強度変化は見られない。ウェットガスの後乾燥ガスを導入すると、出射光強度は初期状態に回復する。
光導波路を構成するためには、光をエッジから入れるか、プリズムから入れる必要があるが、従来のようにプリズムなしに上から入れると、導波路を構成せずに透過光となり図48に示すように感度が低くなる。以上のことから、本発明の主要構成部として導波路を用いた実施例などの方が透過法に比べて感度が高いことが明らかである。
本発明の活用例として、吸着物質検知用物質を選択することにより、気体中における酸化窒素などの酸化性ガス、アンモニアなどの塩基性ガスや有機溶媒ガス、液体中の生体物質などの検出および識別が考えられる。さらに、環境モニタや工程管理などにも利用できるものと考えられる。
本発明の第1実施態様におけるセンサ基板の構造を示す縦断面図である。 塩化コバルト分散ポリビニルアルコール薄膜の光吸収特性図である。 本発明の第2実施態様におけるセンサ基板の構造を示す縦断面図である。 本発明の第3実施態様におけるセンサ基板の構造を示す縦断面図である。 本発明の第4実施態様におけるセンサの構造を示す斜視図である。 物質吸着検知システムを示す概略図である。 物質吸着検知システムによって得られた湿度検出特性図である。 実施態様5の複合センサの概略構成図である。 ガス導入セルの外観図である。 2重管構成のガス導入セルの外観図である。 実施態様5の複合センサを有する物質吸着システムの概略図である。 ガス導入セルを備えた複合センサを有する物質吸着検知システムによって得られた湿度検出特性図である。 実施例1の平面図および断面図である。 スピンチャックの上面図と側面図である。 スピンチャックに水晶基板をセットした上面図と断面図である。 実施例4における下部クラッド層及びコア層の膜厚を示す図である。 実施例5における下部クラッド層及びコア層の膜厚を示す図である。 スピン治具の上面図とザグリ部の一部断面図である。 スピン治具に電極付き水晶基板をセットした上面図とその一部断面図である。 スピンチャックに電極付き水晶基板がセットされたスピン治具をセットした上面図と断面図である 実施例6における下部クラッド層及びコア層の膜厚を示す図である。 実施例1〜9のセンサ基板の各膜厚、製造方法などをまとめて示す図である。 実施例5又は9で、センシング層の膜厚を63nmとしたときの湿度検出特性を示す図である。 実施例5又は9で、センシング層7の膜厚を108nmとしたときの湿度検出特性を示す図である。 実施例12のセンシング層を用いた場合の測定結果(アルコールガス検出)を示す図である。 実施例12のセンシング層を用いた場合の測定結果(アセトンガス検出)を示す図である。 実施例12のセンシング層を用いた場合の測定結果(アルコールガス検出)を示す他の図である。 PVAのみを成膜してセンシング層とした場合の湿度吸収特性図である。 第4の実施態様における、本発明のセンサ構造の具体的実施例における基材の平面方向から見た図である。 各種ホルダーを用いた場合の周波数変化特性図である。 実施例14の湿度検出特性図である。 実施例14の拡大湿度検出特性図である。 実施例14の拡大湿度検出特性図である。 実施例14の拡大湿度検出特性図である。 実施例14の拡大湿度検出特性図である。 実施例15の湿度検出特性図である。 実施例16の湿度検出特性図である。 実施例17の湿度検出特性図である。 実施例18の湿度検出特性図である。 実施例18の拡大湿度検出特性図である。 実施例18の拡大湿度検出特性図である。 実施例19の湿度検出特性図である。 実施例19の拡大湿度検出特性図である。 実施例19の拡大湿度検出特性図である。 実施例20の湿度検出特性図である。 実施例21の湿度検出特性図である。 比較例4の検出特性図である。 比較例5の検出特性図である。
符号の説明
1 水晶(基板)
2 水晶発振用電極
3 水晶発振用電極
4 クラッド(光導波路)
5 コア(光導波路)
6 金属薄膜(表面プラズモン共鳴効果を与える)
7 吸着物質検知薄膜(センシング層)
8 光入射用プリズム
9 光出射用プリズム
17 吸着物質検知薄膜(金属コロイド層)
30 複合センサ
31 基材
32 絶縁膜
40 物質吸着検知システム
61 ガス導入セル

Claims (13)

  1. 両面に電極が形成された圧電材料からなる基板の少なくとも片面にクラッド層、コア層、センシング層がこの順に積層されたセンサ基板であって、
    前記電極が振動子の電極として作用し、前記コア層が主たる導波領域となる光導波路を構成することを特徴とするセンサ基板。
  2. 前記圧電材料が水晶であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ基板。
  3. 前記コア層が樹脂材料であることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ基板。
  4. 前記センシング層が塩化コバルトを含有する樹脂材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセンサ基板。
  5. 前記コア層および/または前記クラッド層がフッ素含有樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセンサ基板。
  6. 前記センシング層の樹脂材料の吸水率が前記コア層の樹脂材料の吸水率に比べて大きいことを特徴とする請求項4に記載のセンサ基板。
  7. 前記コア層と前記センシング層との間に金属薄膜層が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセンサ基板。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のセンサ基板のセンシング層が形成されている側の面に、光導波路の光路が振動子の電極の対向部位を横切るように入射用プリズム、出射用プリズムが配置され、
    前記2個のプリズムと前記基材との押圧によって前記センサ基板が支持され、前記基材の表面が前記センサ基板の電極リード部との接点を除いて絶縁性の材料で被覆されていることを特徴とする光導波路と水晶振動子との複合センサ。
  9. 前記センシング層が形成されている側の面とは逆側の面に、少なくとも前記電極の対向部位に開口もしくはざぐりが設けられた基材が配置されていることを特徴とする請求項8記載の複合センサ。
  10. 前記センサ基板のセンシング層が形成されている側の面の前記入射用プリズムと前記出射用プリズムとの間に、
    被検知物質を含んだガスを前記センサ基板に導入するためのガス導入セルを前記センシング層に密着して設けてなることを特徴とする請求項8または9に記載の複合センサ。
  11. 前記ガス導入セルは前記センシング層との密着部にシリコンゴムを用いることを特徴とする請求項10に記載の複合センサ。
  12. 前記ガス導入セルは前記ガスを排気するための排気口を有することを特徴とする請求項10又は11に記載の複合センサ。
  13. 前記ガス導入セルは2重管構造であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の複合センサ。
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