JP2008082657A - スイングレジスタの駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブレードの駆動に伴う騒音を抑制しつつ、ブレードの駆動に用いられるアクチュエータへの負荷を極力抑制することのできるスイングレジスタを提供する。
【解決手段】スイングレジスタの駆動装置10は、縦ブレード5の揺動軸4が、SMAワイヤ17a〜17dに駆動連結されるとともに、このSMAワイヤ17a〜17dの通電加熱による伸縮によって回動される。そして、同揺動軸4とSMAワイヤ17a〜17dとの間には、SMAワイヤ17a〜17dに作用する負荷が予め設定された判定値を超えた場合に作動するリミットスイッチ20が設けられ、同リミットスイッチ20の作動に基づいてSMAワイヤ17a〜17dへの通電が停止される。
【選択図】図2
【解決手段】スイングレジスタの駆動装置10は、縦ブレード5の揺動軸4が、SMAワイヤ17a〜17dに駆動連結されるとともに、このSMAワイヤ17a〜17dの通電加熱による伸縮によって回動される。そして、同揺動軸4とSMAワイヤ17a〜17dとの間には、SMAワイヤ17a〜17dに作用する負荷が予め設定された判定値を超えた場合に作動するリミットスイッチ20が設けられ、同リミットスイッチ20の作動に基づいてSMAワイヤ17a〜17dへの通電が停止される。
【選択図】図2
Description
本発明は、空調用通風路となるダクトの出口部分に揺動可能に支持されたブレードを揺動させてダクト出口からの送風方向を変更するスイングレジスタの駆動装置に関する。
車両等の空調装置では、その通風路(ダクト)の出口である送風口に縦ブレードおよび横ブレードをそれぞれ複数配設し、縦ブレードをアクチュエータにて左右に揺動(スイング動作)させて風向を変更するスイングレジスタが用いられている。従来、特許文献1〜4に見られるように、そうしたスイングレジスタのブレード駆動用のアクチュエータとしては通常、モータを用いるのが一般的となっている。
図7に、ブレード駆動用のアクチュエータとしてDCモータを採用する従来のスイングレジスタの駆動装置の一例を示す。同図に示すように、回転軸力を発生するDCモータ50の出力軸50aは、複数のギアにより構成された減速機構51に連結されている。減速機構51の最終ギア51aは、回転運動を振幅運動に変換するクランク機構52に連結されている。クランク機構52には、先端にラックギア53が一体に振幅動作するように固定されたロッドワイヤ54が連結されるとともに、そのラックギア53を介して第1ピニオンギア55aに駆動連結されている。そしてこの第1ピニオンギア55aの回転軸に同軸を有して回転可能に軸支された第2ピニオンギア55bには、ブレード57の揺動軸57aと一体回転可能に固定されたギア56が噛み合わされている。なお、第1および第2ピニオンギア55a,55bは、ばねにより互いに押圧された状態で配設されており、摩擦力を介して回転力を伝達可能とするとともに、車両搭乗者の手動操作によるブレード57の強制揺動時には互いの相対回動を許容するクラッチ機構として機能するように構成されている。
特許第3187719号公報
特許第3326409号公報
特開2002−211232号公報
実公平7−10188号公報
ところで、上記従来のようなブレード駆動用アクチュエータとしてモータを採用するスイングレジスタでは、モータや減速機構等の動作音が車室内に漏洩するため、モータの周囲をゴム等の遮音材料で覆ったり、モータおよび減速機構をケース内に収容したり、といった遮音対策が必要となっていた。そしてその分、部品点数が増加して製造コストの増大や装置の大型化を招くという問題があった。
そこで、このような騒音の発生を抑制するためにモータに代えて動作音を伴わないアクチュエータ、例えば形状記憶合金を用いることが考えられる。しかしながら、形状記憶合金は加熱された状態では収縮して緊張した状態となっているため、この状態で形状記憶合金にこれを伸張させようとする強い力が作用すると形状記憶合金は塑性変形を起こしてしまう。また、上述のようにクラッチ機構を介してアクチュエータへの負荷を低減したとしても、形状記憶合金のように塑性変形しやすいアクチュエータにおいては、クラッチ機構が作動するまでに作用する負荷であっても無視できないものとなる。
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであって、ブレードの駆動に伴う騒音を抑制しつつ、ブレードの駆動に用いられるアクチュエータへの負荷を極力抑制可能なスイングレジスタの駆動装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、空調用通風路となるダクトの出口部分に軸支されたブレードを揺動させてダクト出口からの送風方向を変更するスイングレジスタの駆動装置であって、前記ブレードの揺動軸は、形状記憶合金に駆動連結されるとともに、この形状記憶合金の通電加熱による伸縮によって回動され、同揺動軸と前記形状記憶合金との間には、同形状記憶合金に作用する負荷が予め設定された判定値を超えた場合に作動する負荷検出部が設けられ、同負荷検出部の作動に基づいて前記形状記憶合金への通電が停止されることをその要旨とする。
同構成によれば、通電されて緊張した状態の形状記憶合金にこれを伸張させようとする大きな外力が作用する前に、負荷検出部が作動して形状記憶合金への通電が停止される。形状記憶合金は通電が停止されると弛緩するようになるため、ブレードの駆動に伴う騒音の抑制と併せて上記外力がこの形状記憶合金に伝達したとしてもこの外力による塑性変形は極力抑制されるようになる。ちなみに上記判定値とは、形状記憶合金への通電が行われ揺動軸を駆動する際に作用する負荷の値より大きく、通電されて収縮状態の形状記憶合金が塑性変形を起こす負荷の値よりも小さく設定されている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイングレジスタの駆動装置において、前記ブレードの揺動軸と同期回動可能に連結されたピニオンギアと、同ピニオンギアと噛合して往復動するラックギアと、前記形状記憶合金に連結される連結部材とを備え、前記ラックギアは弾性部材を介して前記連結部材に支持され、前記負荷検出部は、前記ラックギアと前記連結部材との相対移動に基づいて作動することをその要旨とする。
同構成では、ラックギアが連結部材によって弾性部材を介して支持されることで、揺動軸を介してラックギアに外力が作用すると、弾性部材が変形することによりラックギアの連結部材に対する相対位置が変化するようになる。そして、このようなラックギアの位相の変化量は形状記憶合金に作用する負荷と比例するため、この位相変化に基づいて負荷検出部の作動条件を適切に設定することができるようになる。更に、ラックギアの位相の変化が形状記憶合金に対して判定値以上の外力が作用する以前に起こるよう、ラックギアが揺動軸と形状記憶合金との間に介在して設けられているため、収縮した状態における形状記憶合金へ外力が作用することをより早期に抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスイングレジスタの駆動装置において、前記負荷検出部はリミットスイッチであることをその要旨とする。
同構成によれば、ユニット化されたリミットスイッチを用いることで、ラックギアとの接触の検知のために別途接点を配設する場合と比べて、酸化被膜による劣化や接触不良等の発生を抑制することができ、より安定した制御を実現することができる。
同構成によれば、ユニット化されたリミットスイッチを用いることで、ラックギアとの接触の検知のために別途接点を配設する場合と比べて、酸化被膜による劣化や接触不良等の発生を抑制することができ、より安定した制御を実現することができる。
本発明のスイングレジスタの駆動装置においては、ブレードの駆動に伴う騒音を抑制しつつ、ブレードの駆動に用いられるアクチュエータへの負荷を極力抑制することができる。
以下、本発明を具体化したスイングレジスタの駆動装置の一実施形態を、図1〜図6を参照して詳細に説明する。
本実施形態のスイングレジスタの駆動装置は、車載空調装置の送風通路(ダクト)の出口部分に設置され、その出口部分に配設された縦および横のブレードのうち、縦レジスタを左右に揺動、すなわちスイング動作させることで車室への送風方向を左右に変更するように構成されている。
本実施形態のスイングレジスタの駆動装置は、車載空調装置の送風通路(ダクト)の出口部分に設置され、その出口部分に配設された縦および横のブレードのうち、縦レジスタを左右に揺動、すなわちスイング動作させることで車室への送風方向を左右に変更するように構成されている。
本実施形態では、こうしたスイングレジスタの縦ブレードのスイング動作を、通電加熱に伴う形状記憶合金(SMA: Shape Memory Alloy)の収縮を利用して行うようにしている。ここでは形状記憶合金として、細線状のチタン・ニッケル系合金を用いている。こうした形状記憶合金を用いて縦ブレードを駆動する本実施形態のスイングレジスタの駆動装置では、それ自体には動作音を伴わない形状記憶合金の通電加熱による収縮を利用して縦ブレードが駆動されることから、格別な遮音対策を行わずとも、縦ブレードの駆動に伴う騒音を容易且つ的確に低減することができる。そしてその結果、遮音部材の設置が不要となることから、駆動装置の軽量化、省スペース化、部品点数の削減なども併せ図られるようになっている。
図1に、そうした本実施形態のスイングレジスタの全体構造を示す。なお以下の説明では、このスイングレジスタにおいて、車載空調装置の送風通路(ダクト)の出口側を同スイングレジスタの前方と記載し、その反対側を同スイングレジスタの後方と記載する。
同図1に示されるように、スイングレジスタ1は、その前方側に空調風の吹出口2が形成され、この吹出口2には上下方向に揺動可能に軸支された複数の横ブレード3と、揺動軸4を中心に左右に揺動(スイング動作)可能に軸支された複数の縦ブレード5(図2参照)が配設されている。また、この吹出口2には操作つまみ6が設けられており、この操作つまみ6を操作することにより手動にて横ブレード3と縦ブレード5とをそれぞれの揺動方向に揺動させることができる。
また羽根状に形成された各縦ブレード5は、リンク機構7を介して互いに機械的に連結されており、一体となって同期してスイング動作されるようになっている。また、これら縦ブレード5のうち、中央に配設された縦ブレードの揺動軸4には、一体回動可能にピニオンギア8が固定されている。そして、ケース11に形成された開口部12から露出した往復動部材としてのラックギア13がこのピニオンギア8と噛合可能なように駆動装置10が設けられている。
次に、この駆動装置10の具体的な構成を図2(a),(b)を併せ参照して説明する。図2(a)は駆動装置10の構造をその駆動対象である縦ブレード5と共に示すものであり、図2(b)はこの駆動装置10の一部についてその横側から見た状態を示すものである。
同図2(a)に示されるように、駆動装置10は略正方形状のケース11内において支持軸14に挿通された状態で支持された連結部材としてのラック15を備えており、このラック15はこの支持軸14に沿って往復動可能となっている。このラック15に形成された凹部15a内には、支持軸14に挿通された状態で支持されるとともに、弾性部材16によってその両端を支持されたラックギア13が設けられている。この弾性部材16は、支持軸14に挿通されており、ラック15及びラックギア13の相対移動に対して付勢力を与える。すなわち、このラックギア13が往復動することによってこのラックギア13と噛合するピニオンギア8と揺動軸4とが回動され縦ブレード5の指向方向が変更されるようになる。
また、ラック15の往復動方向における両端部には、それぞれアクチュエータとしての形状記憶合金からなる線形状のSMAワイヤ17a〜17dの一端が連結されている。このSMAワイヤのうち、SMAワイヤ17a,17bはラック15の図中における左側の端部に連結されるとともに、SMAワイヤ17c,17dはラック15の図中における右側の端部に連結されている。このSMAワイヤ17a〜17dはケース11内に立設された複数のプーリ18に対し巻き付けられ、各プーリ18において略90度に曲げられて配設されている。また、SMAワイヤ17a〜17dにおいて、ラック15との連結部から最も近い位置にあるプーリ18までの部位は、ラック15の往復動方向と平行となるように配設されている。そして、このように配設されたSMAワイヤ17a〜17dの他端は通電部19a,19bそれぞれに連結されている。この通電部19a,19bによるSMAワイヤ17a〜17dへの通電によりSMAワイヤ17a〜17dが収縮して、ラック15は通電されたSMAワイヤに応じた方向に移動する。なお、通電部19a,19bの両方に同時に通電は行われず、往復動方向に応じてこれらへの通電が切り替えられるようになっている。
また、図2(b)に拡大図を示すように、プーリ18にはその軸線方向に複数(本実施形態では4つ)の嵌合溝18aが形成されており、この嵌合溝18aのそれぞれに沿うようにSMAワイヤ17a〜17dが一本ずつ巻き付けられている。また、各プーリ18に形成された嵌合溝18aは、互いに対応する階層の嵌合溝18aと軸線方向の位置が等しくなるよう形成されており、SMAワイヤ17a〜17dは同じ軸線方向の位置における嵌合溝18a間に張られている。このようにSMAワイヤ17a〜17dが設けられることで、各ワイヤが絡まってその伸縮が適切に行われないようになることが抑制されている。
また、ラックギア13にはSMAワイヤ17a,17bに作用する負荷が予め設定された判定値以下か否かを検出する負荷検出部としてのリミットスイッチ20が設けられている。このリミットスイッチ20は、ラックギア13と接触するように設けられるとともに、ラックギア13及びラック15の往復動方向における相対変位が所定量を越えるとラックギア13から離間するようになっている。ここで、ラックギア13は弾性部材16によってその往復動方向の両端が支持されているため、ラックギア13とラック15との間に作用する力の大きさと比例して弾性部材16が弾性変形する。そして、ラック15の両端にはSMAワイヤ17a〜17dが連結されているため、ラックギア13とリミットスイッチ20とが接触状態から離間することにより、SMAワイヤ17a〜17dに作用する負荷が上記判定値となったことが判定可能となる。なお、例えば操作つまみ6を操作して手動によりラック15を図2の左方向に移動させる場合には、ラック15の右側に連結されたSMAワイヤのみに負荷が作用することとなる。すなわち、手動によりラック15を図2の左方向に移動させる場合には、ラック15の左側に連結されたSMAワイヤは弛緩するのみで負荷は作用しない。ちなみに、この判定値とはSMAワイヤ17a〜17dへの通電が行われ揺動軸4を駆動する際に作用する負荷の値より大きく、通電されて収縮状態のSMAワイヤ17a〜17dが塑性変形を起こす負荷の値よりも小さく設定されている。
次に、このように構成されたスイングレジスタ1の駆動装置10の制御系を図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態のスイングレジスタ1の駆動装置10の電気的構成を示している。同図に示すように、各SMAワイヤ17a〜17dの通電制御を司る中央演算処理装置(CPU)30には、車室内に設けられたスイングレジスタスイッチが電気的に接続されるとともに、車載空調装置の全体的な制御を司る空調コントローラからの指令信号が入力されるようになっている。駆動装置による縦ブレード5の自動スイング動作は、スイングレジスタスイッチの閉(オン)操作に応じて許可され、その開(オフ)操作に応じて禁止される。また空調コントローラは、外気や車室内の温度の検出結果や車両搭乗者の操作に応じて送風温度や送風量を決定して空調装置を制御するとともに、縦ブレード5のスイング動作態様を決定してCPU30に指令する。
またCPU30には、各SMAワイヤ17a〜17dの駆動回路31L、31Rが接続されている。これらの駆動回路31L,31Rは、CPU30からの指令に基づいて各々対応するSMAワイヤ17a〜17dに対する通電を実行する。各SMAワイヤ17a〜17dはそれぞれ、通電部19a,19bを介して駆動回路31L,31Rに電気的に接続されている。
さて以上のように構成された本実施形態のスイングレジスタの駆動装置では上述したように、細線状に形成されたチタン・ニッケル系の形状記憶合金からなるSMAワイヤ17a〜17dの通電加熱による収縮を利用して縦ブレード5をスイング動作させるようにしている。ここで採用するSMAワイヤ17a〜17dは、形状回復時の変形の方向がその長さ方向、すなわち伸縮方向に限定されるように、素材の組織構造に異方性を持たせて形成されている。こうしたSMAワイヤ17a〜17dは、冷却すれば柔らかく弛緩して外力による引っ張りに応じて弾性的に伸張する一方、加熱すれば形状回復により収縮して硬化する。図4に、こうしたSMAワイヤ17a〜17dの温度−ひずみ線図の一例を示す。同図に示すようにSMAワイヤ17a〜17dは、加熱時には約75℃から収縮を開始するとともに、冷却時には約70℃から弛緩、伸張し始める。こうしたSMAワイヤ17a〜17dの収縮の開始温度、および弛緩−伸張の開始温度は、合金の成分調整によりある程度変更することが可能となっている。なお、SMAワイヤ17a〜17dは比較的大きい電気抵抗を有しており、通電により容易に加熱することができるようになっている。ちなみに、上記のような細線状のチタン・ニッケル系形状記憶合金からなるSMAワイヤ17a〜17dとしては、通電加熱による形状回復を通じて、最大で全長の5%以上の運動ひずみを安定して繰り返し発生可能なものが開発され、実用されている。
このように構成された駆動装置の動作態様の一例を図5を併せ参照して説明する。図5(a)、(b)はSMAワイヤ17a〜17dによってラック15がラックギア13と共々駆動された状態を示すものである。
例えば、通電部19a,19b(図2参照)のうち通電部19bに通電がされると、図5(a)に示されるように、SMAワイヤ17c,17dが熱せられて収縮し、ラック15がその往復動の片側に変位される。そして、このラック15の変位は弾性部材16を介してラックギア13にも伝達されて、同ラックギア13も同じ方向へと変位する。このラックギア13の直線的な変位はこれに噛合するピニオンギア8へと伝達され、このピニオンギア8は回動する。そして、ピニオンギア8は揺動軸4と一体回動するように構成されているため、揺動軸4も併せて回動し、リンク機構7を介してこの回動が各縦ブレード5に伝達されて、縦ブレード5の指向態様が変更される。一方、通電部19aに通電がされると、同様の経過を経て縦ブレード5が反対側の方向に指向するようになる。そして、このように各通電部19a,19bへの通電を交互に行うことで、縦ブレード5がスイングを繰り返すようになる。このようなSMAワイヤ17a〜17dによるラック15の駆動に当たっては、同ラック15の往復動の方向と、SMAワイヤ17a〜17dのラック15と連結部から最も近い位置にあるプーリ18までの部位とが互いに平行となるよう設けられているため、次のような効果がある。すなわち、SMAワイヤ17a〜17dがラック15との連結部においてラックギアの往復動方向に対して斜めに配置されている場合と比較して、SMAワイヤ17a〜17dの伸縮をラック15に効率よく伝達することができるようになる。なお、SMAワイヤ17a,17bとSMAワイヤ17c,17dが同時に収縮するとラック15が両方向から引っ張られることとなり、SMAワイヤ17a〜17dに大きな負荷が作用するため、通電部19a,19bは同時には通電されないようになっている。また、この状態においてはラックギア13とリミットスイッチ20とは互いに接触している。
ところで、このように通電部19aによりSMAワイヤ17a,17bが収縮し緊張した状態において、図5(b)に示されるように、操作つまみ6が手動にて図中の右方向に操作されると、揺動軸4およびピニオンギア8を介してラックギア13にこの操作による外力が作用する。そして、この外力は弾性部材16を介してラック15及びこれに連結されたSMAワイヤ17a〜17dにも作用する。そして、この際の外力が上述したSMAワイヤ17a〜17dが許容可能な判定値以上となっている場合、リミットスイッチ20がラックギア13から離間し作動する。ここで、SMAワイヤ17a,17bは通電されて収縮しているため、このように緊張した状態のSMAワイヤ17a,17bにこれを伸張させようとする強い外力が作用すると、このSMAワイヤ17a,17bが塑性変形を起こし、その後にラック15、ひいては縦ブレード5を適切に揺動することができなくなる。そこで、本実施形態においては図6にて示すような制御を行うことでこの問題の発生を抑制している。なお、この図6はSMAワイヤ17a〜17dの収縮時における塑性変形を抑制するための制御手順を示したものである。
同図6に示されるように、まずSMAワイヤ17a〜17dが通電中であるか否かが判定される(ステップS100)。すなわち、通電部19a,19bのいずれか一方において通電が行われているか否かが判定され、通電されていない場合はSMAワイヤ17a〜17dが収縮していないため、この制御は終了される。一方、通電中である場合、すなわちSMAワイヤ17a〜17dのいずれかが収縮中である場合、ステップS110に移行して、リミットスイッチ20が作動したか否かが判定される(ステップS110)。リミットスイッチ20は上述したようにSMAワイヤ17a〜17dに作用する負荷が上記判定値以上となった場合に、ラックギア13から離間して作動するよう構成されている。したがって、リミットスイッチ20が作動する場合は、ステップS120に移行して、SMAワイヤ17a〜17dへの通電が停止され、SMAワイヤ17a〜17dが収縮状態から伸張状態へと変化し、負荷が作用しても塑性変形を起こしにくくなる。なお、ラックギア13はSMAワイヤ17a〜17dと揺動軸4との間に介在するように設けられているため、SMAワイヤ17a〜17dへ負荷が伝達される前に、まず同ラックギア13が変位する。そしてこのラックギア13の変位量が大きいとリミットスイッチ20が離間して作動するため、ラックギア13に瞬間的に大きな負荷が作用したような場合には、SMAワイヤ17a〜17dに負荷が伝達する以前にリミットスイッチ20の作動に基づいて同ワイヤへの通電を停止することもできるようになる。
以上に示した本実施形態のスイングレジスタ1の駆動装置10は以下に示す効果を奏することができる。
(1)縦ブレード5の揺動軸4は、SMAワイヤ17a〜17dに駆動連結されるとともに、このSMAワイヤ17a〜17dの通電加熱による伸縮によって回動される。そして、同揺動軸4とSMAワイヤ17a〜17dとの間には、SMAワイヤ17a〜17dに作用する負荷が予め設定された判定値を超えた場合に作動するリミットスイッチ20が設けられ、同リミットスイッチ20の作動に基づいてSMAワイヤ17a〜17dへの通電が停止されることとした。このような構成によれば、通電されて緊張した状態のSMAワイヤ17a〜17dにこれを伸張させようとする大きな外力が作用する前に、リミットスイッチ20が作動してSMAワイヤ17a〜17dへの通電が停止される。SMAワイヤ17a〜17dは通電が停止されると弛緩するようになるため、縦ブレード5の駆動に伴う騒音の抑制と併せて上記外力がこのSMAワイヤ17a〜17dに伝達したとしてもこの外力による塑性変形は極力抑制されるようになる。
(1)縦ブレード5の揺動軸4は、SMAワイヤ17a〜17dに駆動連結されるとともに、このSMAワイヤ17a〜17dの通電加熱による伸縮によって回動される。そして、同揺動軸4とSMAワイヤ17a〜17dとの間には、SMAワイヤ17a〜17dに作用する負荷が予め設定された判定値を超えた場合に作動するリミットスイッチ20が設けられ、同リミットスイッチ20の作動に基づいてSMAワイヤ17a〜17dへの通電が停止されることとした。このような構成によれば、通電されて緊張した状態のSMAワイヤ17a〜17dにこれを伸張させようとする大きな外力が作用する前に、リミットスイッチ20が作動してSMAワイヤ17a〜17dへの通電が停止される。SMAワイヤ17a〜17dは通電が停止されると弛緩するようになるため、縦ブレード5の駆動に伴う騒音の抑制と併せて上記外力がこのSMAワイヤ17a〜17dに伝達したとしてもこの外力による塑性変形は極力抑制されるようになる。
(2)駆動装置10は、縦ブレード5の揺動軸4と同期回動可能に連結されたピニオンギア8と、同ピニオンギア8と噛合して往復動するラックギア13と、SMAワイヤ17a〜17dに連結されるラック15とを備えている。そして、ラックギア13は弾性部材16を介してラック15に支持され、リミットスイッチ20は、ラックギア13とラック15との相対移動に基づいて作動することとした。このようにラックギア13がラッ15よって弾性部材16を介して支持されることで、揺動軸4を介してラックギア13に外力が作用すると、一方の弾性部材16が弾性変形して収縮するとともに他方の弾性部材16が伸張するためラックギア13のラック15に対する相対位置が変化するようになる。そして、このようなラックギア13の位相の変化量はSMAワイヤ17a〜17dに作用する負荷と比例するため、この位相変化に基づいてリミットスイッチ20の作動条件を適切に設定することができるようになる。更に、ラックギア13の位相の変化がSMAワイヤ17a〜17dに対して判定値以上の外力が作用する以前に起こるよう、ラックギア13が揺動軸4とSMAワイヤ17a〜17dとの間に介在して設けられているため、収縮した状態におけるSMAワイヤ17a〜17dへ外力が作用することをより早期に抑制することができる。
(3)ユニット化されたリミットスイッチ20を用いることで、ラックギア13との接触の検知のために別途接点を配設する場合と比べて、酸化被膜による劣化や接触不良等の発生を抑制することができ、より安定した制御を実現することができる。
なお、本実施形態はこれを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、それぞれ縦ブレード5の左方向および右方向への揺動を左右のSMAワイヤ17a〜17dの通電加熱による収縮でそれぞれ行うようにしていたが、左右のいずれかに対する縦ブレード5の揺動のみをSMAワイヤの収縮力で行い、もう一方に対する揺動はばねの弾性反発力で行うようにブレード駆動装置を構成することもできる。
・上記実施形態では、それぞれ縦ブレード5の左方向および右方向への揺動を左右のSMAワイヤ17a〜17dの通電加熱による収縮でそれぞれ行うようにしていたが、左右のいずれかに対する縦ブレード5の揺動のみをSMAワイヤの収縮力で行い、もう一方に対する揺動はばねの弾性反発力で行うようにブレード駆動装置を構成することもできる。
・上記実施形態では、ピニオンギア8を縦ブレード5の揺動軸4に一体に固定するようにしていたが、ギア等の動力伝達機構を用いてピニオンギア8と縦ブレード5の揺動軸4とを同期回動可能に駆動連結するようにしても良い。
・上記実施形態では、細線状に形成された形状記憶合金であるSMAワイヤ17a〜17dを用いて縦ブレード5を揺動させていたが、これに代えてコイル状等の他の形状に形成された形状記憶合金を用いて縦ブレード5を揺動させるようにすることもできる。要は、通電加熱により収縮する形状記憶合金を用い、その形状記憶合金の収縮に応じてブレードが揺動されるように形状記憶合金とブレードとを駆動連結する構成とされていれば、低騒音でのブレード駆動が可能なスイングレジスタのブレード駆動装置を具現化することができる。
・通電加熱による形状回復で十分に大きい収縮量および収縮力を発生可能な形状記憶合金であれば、チタン・ニッケル系以外の形状記憶合金をブレードの駆動源として採用するようにしても良い。
・上記実施形態では、リミットスイッチ20によりSMAワイヤ17a〜17dへ作用する負荷を検出したが、これは別途検出用の接点を設けることにより実現することもできる。
・上記実施形態では、ラック&ピニオンによるブレードの駆動方式において、ラックギア13とラック15との相対位置の変化に基づきSMAワイヤ17a〜17dへ作用する外力の値を把握したが、操作つまみ6の操作に基づきその位置が変化する部位であれば、この部位の変位量からSMAワイヤ17a〜17dへ作用する外力を把握することもできる。
・上記実施形態では、ラックギア13がラック15により弾性部材16を介して支持されることとしたが、ラックギア13とラック15が一体的に形成される構造を採用することもできる。その場合であっても、SMAワイヤ17a〜17dに作用する負荷が予め設定された判定値を超えた場合に作動する負荷検出部を設けるとともに、同負荷検出部の作動に基づいてSMAワイヤ17a〜17dへの通電を停止すればよい。
・本発明に係るスイングレジスタの駆動装置は、横ブレードを上下方向へのスイング動作させるための装置として実現することもできる。
1…スイングレジスタ、4…揺動軸、8…ピニオンギア、10…駆動装置、11…ケース、12…開口、13…ラックギア、18…プーリ、18a…嵌合溝。
Claims (3)
- 空調用通風路となるダクトの出口部分に軸支されたブレードを揺動させてダクト出口からの送風方向を変更するスイングレジスタの駆動装置であって、
前記ブレードの揺動軸は、形状記憶合金に駆動連結されるとともに、この形状記憶合金の通電加熱による伸縮によって回動され、
同揺動軸と前記形状記憶合金との間には、同形状記憶合金に作用する負荷が予め設定された判定値を超えた場合に作動する負荷検出部が設けられ、
同負荷検出部の作動に基づいて前記形状記憶合金への通電が停止される
ことを特徴とするスイングレジスタの駆動装置。 - 請求項1に記載のスイングレジスタの駆動装置において、
前記ブレードの揺動軸と同期回動可能に連結されたピニオンギアと、同ピニオンギアと噛合して往復動するラックギアと、前記形状記憶合金に連結される連結部材とを備え、
前記ラックギアは弾性部材を介して前記連結部材に支持され、前記負荷検出部は、前記ラックギアと前記連結部材との相対移動に基づいて作動する
ことを特徴とするスイングレジスタの駆動装置。 - 請求項2に記載のスイングレジスタの駆動装置において、
前記負荷検出部はリミットスイッチである
ことを特徴とするスイングレジスタの駆動装置。
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---|---|---|---|
JP2006265318A JP2008082657A (ja) | 2006-09-28 | 2006-09-28 | スイングレジスタの駆動装置 |
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ID=39353705
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
JP2008155870A (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-10 | Toyoda Gosei Co Ltd | スイングレジスタのブレード駆動装置 |
CN113442682A (zh) * | 2021-08-09 | 2021-09-28 | 上汽大众汽车有限公司 | 一种电子出风口 |
CN113630544A (zh) * | 2020-05-06 | 2021-11-09 | 北京小米移动软件有限公司 | 一种终端设备和控制图像采集模组的方法 |
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2006
- 2006-09-28 JP JP2006265318A patent/JP2008082657A/ja active Pending
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