JP2008081686A - 液状エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 流動性に優れ、硬化後の反りの低減化ができて且つ耐熱衝撃性に優れた液状エポキシ樹脂組成物、およびそれを用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】 常温で液状であるエポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)及び下記一般式(1)で表されるポリエーテル系化合物脂(C)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物。
X−(−Y−Z)n (1)
(式(1)中、Xはポリエーテルユニットを示す。Yは結合基を示し、複数有する場合には互いに同一であっても、異なってもよい。Zは芳香環を有するユニットを示し、複数有する場合には互いに同一であっても、異なっていてもよい。nは1以上の整数である。)
。また、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物によって、電子部品と電子部品搭載用基板との隙間を充填接着してなることを特徴とする半導体装置である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液状エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置に関する。
情報技術化の進展に伴って、電気・電子機器、通信機器及びコンピューターなどの機器における小型化および情報伝達の高速化が急速に進み、これらに用いる集積回路(IC)パッケージも、小型化や高集積化が進展していて、近年はバンプ接合によるフリップチップ実装技術が著しい成長を見せている。その応用分野はモバイル関連に用いられるチップスケールパッケージ(CSP)やCPUのような大型パッケージと種々なアプリケーションに応用されている。しかしながらこれらのパッケージは、一般に、ICチップと基板(インターポーザー)を半田バンプで電気的に接合した接続方式のため外的強度に弱く、アンダーフィル材と呼ばれる液状樹脂組成物によって、ICチップと基板の隙間に充填接着することにより保護とパッケージの強化をしている。
その中で、特に大型パッケージ用途に関しては、アンダーフィル材用液状樹脂組成物(以下、U/F材と称する)の硬化収縮による影響でICチップの反りが起こり、その為に半田バンプへのストレスが掛かり、バンプクラック等の不良が起こる可能性があり問題であった。これを解決する為にはU/F材に低応力化が求められることになった。
一般に反りは、U/F材自身の弾性率と実装用基板との線膨張係数の違いから発生する内部応力に由来する。従って、反りの改善には、弾性率を下げることや線膨張係数を整合することなどが有効である。この中で、線膨張係数の整合手法として、樹脂組成物中に無機フィラーの高充填がある。しかし、液状樹脂組成物の場合は、作業性の観点から無機フィラーの充填率には限界がある。そこで樹脂組成物の弾性率を下げて靭性を付与する低応力化が重要になる。従来のエポキシ樹脂組成物の低応力化の要求においては、エポキシ樹脂の強靭化として可撓性を有する組成物でエポキシ樹脂を変性する方法や添加する方法などが報告されている。例えば、エポキシ樹脂硬化物を強靭化する目的で、横浜国大の垣内らは反応基を有するゴム系エラストマーでエポキシ樹脂を変性する手法を報告している(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、ゴム系エラストマー変性エポキシ樹脂は靭性向上には効果が有るものの樹脂粘度が高くなり過ぎて、半田バンプ接続の隙間に注入できない欠点を起こし、注型用には不適となる。
また、特許文献1においては、樹脂に、分子末端に水酸基を有するポリエーテルポリオールを添加することにより低応力化が図れることが示されている。しかしながら、分子末端に水酸基を有するポリウレタンポリオールでは、その分子量が小さく、樹脂と相溶する場合には、硬化物のガラス転移温度(Tg)の低下を招き、分子量が大きく、樹脂と相溶しない場合には、硬化した樹脂表面からポリウレタンポリオールが滲み出す、所謂ブリードの発生に伴う信頼性低下のために制約があり、更なる低応力化改善には問題があった。このため、半田バンプ接続の隙間に注入可能な流動性に優れ、硬化物のTg低下がなく低弾性率化が図れ、更にブリードの発生がなく、その結果、半田接続の信頼性の要求を満足する液状エポキシ樹脂組成物の開発が望まれていた。
垣内等、熱硬化性樹脂 1987年.Vol.8.No.3P26〜44 特開昭63−33416号公報
本発明は、この様な事情に鑑み、流動性に優れ、硬化後の反りの低減化ができて且つ半田接続信頼性に優れた液状エポキシ樹脂組成物、およびそれを用いた半導体装置を提供することにある。
即ち、本発明は、
(1) 常温で液状であるエポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)及び下記一般式(1)で表されるポリエーテル系化合物(C)、を必須成分とする液状エポキシ樹脂組成物、
X−(−Y−Z)n (1)
(式(1)中、Xはポリエーテルユニットを示す。Yは結合基を示し、複数有する場合には互いに同一であっても、異なってもよい。Zは芳香環を有するユニットを示し、複数有する場合には互いに同一であっても、異なっていてもよい。nは1以上の整数である。)
(2) 前記ポリエーテル系化合物(C)を構成するポリエーテルユニット(X)の数平均分子量が1,000以上10,000以下である第(1)項に記載の液状エポキシ樹脂組成物、
(3) 前記ポリエーテル系化合物(C)を構成する結合基(Y)が、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合及びアセタール結合の1種以上から選ばれたものである、第(1)項または第(2)項に記載の液状エポキシ樹脂組成物、
(4) 前記硬化剤(B)が、一分子内に少なくとも2個のアミノ基を有する化合物である、第(1)項乃至第(3)項のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物、
(5) 前記液状エポキシ樹脂組成物は、充填剤(D)を含むものである第(1)項乃至第(4)項のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物、
(6) 前記液状エポキシ樹脂組成物は、アンダーフィル材用樹脂組成物である第(1)項乃至第(5)項のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物、
(7) 電子部品と電子部品搭載用基板とを含んで構成され、前記電子部品と前記電子部品搭載用基板との間に間隙を有する半導体装置であって、前記電子部品と前記電子部品搭載用基板との隙間が、第(6)項に記載の液状エポキシ樹脂組成物の硬化物によって、充填接着してなることを特徴とする半導体装置、
である。
本発明によれば、流動性に優れる液状エポキシ樹脂組成物を得ることができ、これにより、本発明の液状エポキシ樹脂組成物を、電子部品と電子部品搭載用基板との隙間を充填接着に用いる場合には、電子部品と電子部品搭載用基板との隙間の充填接着作業が容易になる。しかも、本発明の液状エポキシ樹脂組成物により得られる硬化物は、低応力性を有し、反りが少なく、耐熱衝撃性に優れることから、これを用いた半導体装置は、バンプ接続方式における接続信頼性を有するものである。
本発明に用いる常温で液状のエポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びそれらの水添物、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びそれらの水添物、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、アミノフェノール類のトリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素系フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジアリルビスフェノールAジグリシジル型エポキシ樹脂などが挙げられ、こららの1種又は2種以上を用いても良い。
本発明に用いる硬化剤(B)としては、前記常温で液状のエポキシ樹脂(A)の硬化剤として用いられるものであれば良く、アンダーフィル材用樹脂組成物に用いる場合、電子部品と電子部品搭載用基板との隙間の充填接着と接続信頼性の観点から、液状であることが好ましく、更に好ましくは、ポリアミン系化合物や酸無水物系化合物である。
本発明に用いる前記ポリアミン系化合物において液状のポリアミン系化合物としては、一分子内に少なくとも2個のアミノ基を有して、且つ液状化合物であり、具体的にはイソフォロンジアミン、ノルボルネンジアミンおよび1,2−ジアミノシクロヘキサンなどの脂環式ポリアミン、m−キシリレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミン化合物などが例示される。一分子内にアミノ基が一個の場合は、加熱硬化時の三次元架橋が進まず、結果として所望の耐熱性が得られない。
また常温で固体の芳香族ポリアミン化合物として、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンおよびメタフェニレンジアミンなどが挙げられる。本発明においては、常温で固体の芳香族ポリアミンでも用いることができるが、液状エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなることがあり、アンダーフィル材用樹脂組成物などとして用いる場合、注型作業を向上させる上では、前記液状のポリアミン系化合物がより好ましい。
また、前記酸無水物系化合物において液状の酸無水物化合物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸などの無水フタル酸化合物、メチルナジック酸無水物およびドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。
また常温で固体の酸無水物化合物として、テトラヒドロ無水フタル酸およびヘキサヒドロ無水フタルなどが挙げられる。本発明においては、常温で固体の酸無水物化合物でも用いることができるが、上記同様にして液状エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなることがあり、アンダーフィル材用樹脂組成物などとして用いる場合、注型作業を向上させる上では、前記液状の酸無水物系化合物がより好ましい。前記硬化剤(B)は、単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
前記硬化剤(B)の含有量としては、ポリアミン系化合物の場合は、前記液状エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量1.0に対してポリアミン系化合物の活性水素当量の比が0.8〜1.2になるのが好ましく、同様にして酸無水物系化合物の場合は、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量1.0に対して酸無水物当量の比が0.5〜1.0になるのが好適である。
本発明に用いるポリエーテル系化合物(C)は、一般式(1)で表される構造を有するものであり、ポリエーテルユニットと芳香環を有するユニットとを含み、それぞれが結合基により結合された構造を有するものである。
X−(−Y−Z)n (1)
(式(1)中、Xはポリエーテルユニットを示す。Yは結合基を示し、複数有する場合には互いに同一であっても、異なってもよい。Zは芳香環を有するユニットを示し、複数有する場合には互いに同一であっても、異なっていてもよい。nは1以上の整数である。)
本発明に用いるポリエーテル系化合物(C)を構成するポリエーテルユニット(X)としては、構造中に複数のエーテル結合を有するものであれば特に限定されないが、前記液状エポキシ樹脂(A)と非相溶性を示すことが好ましい。前記液状エポキシ樹脂(A)と非相溶性を示すポリエーテルユニット(X)を有するポリエーテル系化合物(C)を用いることにより、ポリエーテルユニット(X)が、液状エポキシ樹脂組成物が硬化する際に、相分離して、その硬化物は、ガラス転移温度(Tg)を低下させることなく、反りを低減するため低応力化が図れ、半田接続信頼性に優れたものを得ることができる。
ここで、前記ポリエーテルユニット(X)が、前記液状エポキシ樹脂(A)と非相溶性を示すとは、液状エポキシ樹脂組成物を硬化物とした場合に、前記ポリエーテルユニット(X)が相分離し、硬化物の外観が不透明になり、この硬化物の断面を電子顕微鏡等で観察すると、非相溶性部分が球状でマトリックス中に点在して所謂海島構造が確認できる。また、ポリエーテルユニット(X)の非相溶性が過度になり過ぎると、硬化した時にブリードの発生現象が確認される。
一般式(1)におけるnは、ポリエーテル系化合物の末端反応性官能基数(N)に対して、n=Nまたはn=N−1で表され、本発明に用いるポリエーテル系化合物の末端反応性官能基数が3個の場合には、nの上限は2乃至3となる。
本発明に用いるポリエーテル系化合物(C)を構成するポリエーテルユニット(X)の数平均分子量は、1,000以上が好ましく、更には2,000以上がより好ましい。また、ポリエーテルユニット(X)の数平均分子量は、10,000以下が好ましく、より好ましくは5,000以下である。ポリエーテルユニットの数平均分子量が前記範囲外でも使用できるが、1,000以下の場合には、ポリエーテルユニット(X)がエポキシ樹脂組成物に相溶して硬化物のガラス転移温度を低下させる場合がある。一方ポリエーテルユニットの数平均分子量が10,000以上の場合には、エポキシ樹脂組成物との非相溶性著しくなり、硬化した時にブリードが発生し接続信頼性を低下させる場合がある。
本発明に用いるポリエーテル系化合物(C)を構成するポリエーテルユニット(X)の構造としては、構造中にエーテル結合を複数有する種々のものが適用でき、具体的にはエチレングリコールを繰り返し単位として有するもの、プロピレングリコールを繰り返し単位として有するもの、テトラメチレングリコールを繰り返し単位として有するものなどが挙げられる。中でも、液状エポキシ樹脂組成物における、他の成分との相溶性や硬化物の反りの低減するため低弾性率化を行う上で、プロピレングリコールを繰り返し単位として有するものが好ましい。これらポリエーテルユニット(X)は、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどのアルコール類に、アルカリ触媒のもとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどを開環重合させることによって合成できる。
本発明に用いるポリエーテル系化合物(C)は、少なくとも1つ以上の末端に芳香族環を有するユニット(Z)を構成成分として含むものであり、このような芳香環を有するユニット(Z)としては、芳香族環を1つ以上有するものであれば特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物における他の成分と相溶性が良いものが好ましい。具体的な例としては、フェニル基、ナフチル基及びビフェニル基等が好ましく、更にはエポキシ基やフェノール性水酸基やアミノ基などの官能基を有していても良い。
本発明に用いるポリエーテル系化合物(C)を構成する結合基(Y)としては、ポリエーテルユニット(X)と芳香族環を有するユニット(Z)とを、該結合基(Y)の構造を介して、結び付けるものであれば、特に限定されない。好ましい結合基の例としては、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合及びアセタール結合など構成する基が挙げられる。
本発明に用いるポリエーテル系化合物(C)は、前記結合基(Y)を形成し、後述の芳香族化合物の官能基と反応する官能基と、前記ポリエーテルユニット(X)を構成する構造とを有するポリエーテル化合物と、前記結合基(Y)を形成し、前記ポリエーテル化合物の官能基と反応する官能基と、前記芳香環を有するユニット(Z)とを有する芳香族化合物とを反応させることによって合成できる。例えば、水酸基を有するポリエーテルとイソシアネート基を有する芳香族化合物との反応、水酸基を有するポリエーテルとカルボキシル基を有する芳香族化合物との反応、ビニルエーテル基を有するポリエーテルと水酸基を有する芳香族化合物との反応などが挙げられる。
水酸基を有するポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびグリセリン型ポリプロピレングリコールなどが挙げられ、イソシアネート基を有する芳香族化合物としては、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、ビフェニルイソシアネートなどが挙げられ、カルボキシル基を有する芳香族化合物としては、安息香酸やフタル酸が例示され、水酸基を有する芳香族化合物としては、フェノール、クレゾール及びキシレノールが例示され、ビニルエーテル基を有するポリエーテルとしては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル及びポリプロピレングリコールジビニルエーテルなどが挙げられる。
本発明に用いるポリエーテル系化合物(C)の添加量は、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)との合計100重量部に対して、5重量%〜20重量%が好ましく、前記範囲外でも用いることができるが、5重量%未満の場合では、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物における反りの低減するための低弾性率化が不充分となり、熱衝撃試験で所望の結果が得られない場合がある。また20重量%を超える場合は、本発明のエポキシ樹脂組成物の粘度上昇に伴う作業性の低下を生じる場合があり、この場合、任意に用いる充填剤(D)等の添加量も制約を受けて材料設計的に好ましくないことがある。
本発明の液状エポキシ樹脂組成物には、更に、充填剤(D)を含むことができ、その具体例としては、シリカ粉末、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、クレーおよびマイカなどが挙げられ、特にシリカ粉末は、溶融シリカが好ましい。これらの充填剤(D)は、単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
また、前記充填剤(D)の含有量としては、液状エポキシ樹脂組成物としての特性(耐湿性、作業性等)を保持する範囲であれば、特に制限はないが、アンダーフィル材用樹脂組成物として用いる場合、液状エポキシ樹脂組成物に対し50重量%〜80重量%が好ましい。充填剤の含有量が前記範囲外でも用いることができるが、50重量%未満の場合は、所望の特性が得られなくなることがあり、また80重量%を超える場合は、樹脂粘度が高くなり過ぎて、電子部品と電子部品搭載用基板との隙間に注入が困難になることがあり、この場合、注型用には不適となることがある。
本発明の液状エポキシ樹脂組成物には、上記成分以外に必要に応じて、硬化促進剤、低応力化剤、反応性希釈剤、顔料、カップリング剤、難燃剤、レベリング剤、消泡剤など、当業者において液状エポキシ樹脂組成物としてもちいることができる公知の添加剤を配合できる。
本発明の液状エポキシ樹脂組成物の製造方法としては、前記液状エポキシ樹脂(A)、前記硬化剤(B)前記ポリエーテル系化合物(C)、及び任意に前記充填剤(D)と、更に必要に応じて他の添加剤成分とを、所定の組成比にて混合し、これを三本ロールにより均一に混練を行い、脱泡後、液状エポキシ樹脂組成物を得る方法などが例示される。
このようにして得られた液状エポキシ樹脂組成物は、アンダーフィル材用樹脂組成物として用いることができ、これをアンダーフィル材として用いる場合の粘度としては、25℃で30Pa・S以下が好ましく、更に好ましくは20Pa・S以下が充填用には好適である。
本発明の液状エポキシ樹脂組成物をアンダーフィル材として用いた半導体装置の製造方法としては、ICチップなどの電子部品と電子部品搭載用基板とを含んで構成される半導体装置において、前記電子部品と前記電子部品搭載用基板の間に間隙を有し、前記隙間が、本発明のアンダーフィル材用エポキシ樹脂組成物の硬化物によって、充填接着して得ることができる。より具体的には、最初に、半田バンプを有する表面実装用ICチップなどの電子部品と電子部品搭載用基板との半田バンプ接合を遠赤外線を使用したリフロー装置で行こなう。前記半田バンプ接合により形成されたICチップと基板とにできた間隙に、予め、シリンジ容器詰をした本発明のアンダーフィル材用エポキシ樹脂組成物を、押し出ししながら充填する。充填終了後、熱風循環乾燥機またはトンネル炉などにより、上記で充填したアンダーフィル材用エポキシ樹脂組成物を加熱硬化させて、前記ICチップと基板とを接着するとともに、前記間隙を封止して、半導体装置を得ることができる。このようにして得られる半導体装置は、半田接続信頼性が良好なものとなる。
以下、本発明実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
特性評価のため、実施例で得られた液状エポキシ樹脂組成物を用いて、パッケージの反り量と熱衝撃試験等を測定したが、パッケージ評価として、BT(ベンゾトリアジン樹脂)基板に接続されたフリップチップを用いた。フリップチップの仕様と測定方法はそれぞれ下記の通りとし、測定結果は、まとめて表1(ブリード、反り量、熱衝撃試験)に示した。
(1)フリップチップの仕様
チップサイズ:20mm角。
パッシベーション膜:ポリイミド樹脂。
バンプ高さ:80μm。
バンプピッチ:250μm。
バンプ配置:フルアレイ
バンプ:共晶半田。
ディジーチェーンによる接続試験可能。
(2)ブリード試験
40mmΦのアルミ皿に、液状エポキシ樹脂組成物を約6g注入後、熱風循環乾燥機で、硬化温度150℃、硬化時間90分の条件で硬化する。次に得られた硬化物の外観を目視で樹脂の滲み出しの有無を判定した。
(3)反り量
封止は、パッケージを100℃の熱盤に載置し、液状エポキシ樹脂をチップの一辺に塗布し封止を行った後に、熱風循環乾燥機で、硬化温度150℃、硬化時間90分の条件で硬化した。次に、パッケージの接触式表面粗さ計を用いて対角線方向に変位を調べ、その最大変位を反り量とした。
(4)熱衝撃試験
熱衝撃試験は、前記で得られたパッケージを熱衝撃試験(温度条件;−55℃/30分〜125℃/30分、500、1000、1500サイクル)に曝した後、ディジーチェーンによる接続性を調べた(試験片数:10個)。
判定基準は、チップクラックの数、1パッケージにおいて一箇所でも接続不良がでたものをカウントした。
(合成例1)
フェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコール(変性PPG−1)の合成
冷却管及び攪拌装置付きの1Lセパラブルフラスコに、数平均分子量1100のジオール型ポリプロピレングリコール(PPG−1)110g(0.1mol)を入れて、窒素気流下、80℃で攪拌しながらジブチルスズラウリレート0.67gを滴下した。その後、フェニルイソシアネート23.8g(0.2mol)を加えて、80℃で90分間攪拌して、フェニルイソシアネートで末端封止したポリプロピレングリコール(変性PPG−1)を合成した。合成したフェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコールは液状で、その構造は、FT−IRと1H−NMR及びGPCで確認し、数平均分子量が1340のものを得た。
(合成例2)
フェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコール(変性PPG−2)の合成
合成例1において、数平均分子量1,100のジオール型ポリプロピレングリコール(PPG−1)110g(0.1mol)に代えて、数平均分子量2000のジオール型ポリプロピレングリコール(PPG−1)200g(0.1mol)として、ジブチルスズラウリレート0.67gをジブチルスズラウリレート1.12gに代えた以外は前記合成例1と同様にして、フェニルイソシアネートで末端封止したポリプロピレングリコール(変性PPG−2)を合成した。合成したフェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコールは液状で、その構造は、FT−IRと1H−NMR及びGPCで確認し、数平均分子量が2240のものを得た。
(合成例3)
フェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコール(変性PPG−3)の合成
合成例1において、数平均分子量1100のジオール型ポリプロピレングリコール(PPG−1)110g(0.1mol)に代えて、数平均分子量4400のジオール型ポリプロピレングリコール(PPG−1)440g(0.1mol)として、ジブチルスズラウリレート0.67gをジブチルスズラウリレート2.32gに代えた以外は前記合成例1と同様にして、フェニルイソシアネートで末端封止したポリプロピレングリコール(変性PPG−3)を合成した。合成したフェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコールは液状で、その構造は、FT−IRと1H−NMR及びGPCで確認し、数平均分子量が4650のものを得た。
(合成例4)
フェノール末端封止ポリプロピレングリコールジビニルエーテル(変性PPGVE−1)の合成
冷却管及び攪拌装置付きの1Lセパラブルフラスコに、フェノール18.8g(0.2mol)を入れて、窒素気流下、120℃で攪拌しながら数平均分子量2200のジオール型ポリプロピレングリコールジビニルエーテル(PPGVE−1)220g(0.1mol)を滴下した。その後、トリメチルホスフェート1.19gを加えて、120℃で180分間攪拌して、フェノールで末端封止したポリプロピレングリコールジビニルエーテル(変性PPGVE−2)を合成した。合成したフェノール末端封止ポリプロピレングリコールジビニルエーテルは液状で、その構造は、FT−IRと1H−NMR及びGPCで確認し、数平均分子量が2400のものを得た。
(実施例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合エポキシ樹脂(エポキシ当量=160、大日本インキ工業社製、商品名EXA−830LVP)50.0重量部とアミノフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量=83、住友化学工業社製、商品名ELM−100)50.0重量部と、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(活性水素当量=63.5、日本化薬社製、商品名カヤハードA−A)48.0重量部と、前記合成例1で得たフェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコール(変性PPG−1)13.0重量部と、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.0重量部、無機充填剤として最大粒径10μm、平均粒径2μmの球状シリカを154重量部とを混合し、これを三本ロールにて混練後、脱泡して液状エポキシ樹脂組成物を得た。得られた液状エポキシ樹脂組成物を上記の方法で評価し、その結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、前記合成例1で得たフェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコール(変性PPG−1)13.0重量部に代えて、前記合成例2で得たフェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコール(変性PPG−2)13.0重量部とした以外は、すべて実施例1と同様にして、液状エポキシ樹脂組成物を作成し、特性評価に供した。
(実施例3)
実施例1において、前記合成例1で得たフェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコール(変性PPG−1)13.0重量部に代えて、前記合成例3で得たフェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコール(変性PPG−3)13.0重量部とした以外は、すべて実施例1と同様にして、液状エポキシ樹脂組成物を作成し、特性評価に供した。
(実施例4)
実施例1において、前記合成例1で得たフェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコール(変性PPG−1)13.0重量部に代えて、前記合成例4で得たフェノール末端封止ポリプロピレングリコールジビニルエーテル(変性PPGVE−1)13.0重量部とした以外は、すべて実施例1と同様にして、液状エポキシ樹脂組成物を作成し、特性評価に供した。
(実施例5)
実施例1において、硬化剤を3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(日本化薬社製、商品名カヤハードA−A)に代えて、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製、MH−700)100.0重量部とし、球状シリカの添加量を214.0重量部に変えた以外は、すべて実施例1と同様にして、液状エポキシ樹脂組成物を作成し、特性評価に供した。
(比較例1)
実施例1において、前記合成例−1で得たフェニルイソシアネート末端封止ポリプロピレングリコール(変性PPG−1)を除き、球状シリカの添加量を144.0重量部に変えた以外は、すべて実施例1と同様にして、液状エポキシ樹脂組成物を作成し、特性評価に供した。
(比較例2)
実施例1において、数平均分子量2,000のジオール型ポリプロピレングリコール(PPG−2)13.0重量部に代えた以外は、すべて実施例1と同様にして、液状エポキシ樹脂組成物を作成し、特性評価に供した。
Figure 2008081686
本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、流動性に優れ、その硬化物はブリードの発生がなく反りの低減化に伴う熱衝撃性が良好であることから、これを用いた半導体装置を搭載する、電気・電子機器分野、通信機器分野、コンピューター分野等の多くの産業分野での利用の可能性が考えられる。

Claims (7)

  1. 常温で液状であるエポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)及び下記一般式(1)で表されるポリエーテル系化合物(C)、を必須成分とする液状エポキシ樹脂組成物。
    X−(−Y−Z)n (1)
    (式(1)中、Xはポリエーテルユニットを示す。Yは結合基を示し、複数有する場合には互いに同一であっても、異なってもよい。Zは芳香環を有するユニットを示し、複数有する場合には互いに同一であっても、異なっていてもよい。nは1以上の整数である。)
  2. 前記ポリエーテル系化合物(C)を構成するポリエーテルユニット(X)の数平均分子量が1,000以上10,000以下である請求項1に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記ポリエーテル系化合物(C)を構成する結合基(Y)が、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合及びアセタール結合の1種以上から選ばれたものである、請求項1または2に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記硬化剤(B)が、一分子内に少なくとも2個のアミノ基を有する化合物である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記液状エポキシ樹脂組成物は、充填剤(D)を含むものである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
  6. 前記液状エポキシ樹脂組成物は、アンダーフィル材用樹脂組成物である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
  7. 電子部品と電子部品搭載用基板とを含んで構成され、前記電子部品と前記電子部品搭載用基板との間に間隙を有する半導体装置であって、前記電子部品と前記電子部品搭載用基板との隙間が、請求項6に記載の液状エポキシ樹脂組成物の硬化物によって、充填接着してなることを特徴とする半導体装置。
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