JP2008081519A - 水性樹脂組成物の製造方法及び不織布用バインダー組成物 - Google Patents

水性樹脂組成物の製造方法及び不織布用バインダー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ホルムアルデヒドの含有量を低減することができ且つ低臭気である水性樹脂組成物の製造方法、並びに、この方法により得られた水性樹脂組成物を含み、ホルムアルデヒドの含有割合が低く、アルコール等による臭気が少なく、安全性に優れ、繊維加工及び紙加工に好適な不織布用バインダー組成物を提供する。
【解決手段】本発明の水性樹脂組成物の製造方法は、水系媒体中、重合時にホルムアルデヒドが生じる架橋剤及び重合開始剤の併存下、(メタ)アクリル酸エステルと、カルボキシル基含有ビニル化合物とを含む単量体の重合を、アンモニア等の塩基性物質により反応系のpHを4〜7の範囲に制御しながら行う重合工程を備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性樹脂組成物の製造方法及び不織布用バインダー組成物に関する。更に詳しくは、ホルムアルデヒドの含有量を低減することができ且つ低臭気である水性樹脂組成物の製造方法、及び、これにより得られた水性樹脂組成物を含み、安全性に優れる不織布用バインダー組成物に関する。
従来、重合体組成物をバインダーとして用い、各種繊維を機械的処理等することにより、不織布が製造されている。重合体組成物には、成形時の破断強度、耐熱性等を向上させるために、通常、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド等の架橋剤を共重合して得られた樹脂が含有されている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記架橋剤は、重合の際に遊離ホルムアルデヒドを発生し、特に、不織布を、食品用途、衣料用途等に使用する場合には、安全上好ましくない。低ホルムアルデヒド又は非ホルムアルデヒド対策として、特許文献2には、アクリルアミドを共重合する方法が開示されているが、その効果は十分ではなかった。また、アクリルアミドは、安全性の面で問題がある。
また、特許文献3には、2個以上の不飽和二重結合を有する樹脂と、不飽和二重結合を有する単量体と、アセトアセトキシエチルアクリレート等のホルムアルデヒド捕捉剤とを含有する樹脂組成物が開示されているが、ホルムアルデヒドの低減効果は未だ十分でなく、不織布の強度も十分ではなかった。更に、重合中に単量体の加水分解によりアルコールが発生し、重合体組成物に臭気成分として含まれることがあった。この重合体組成物がバインダーとして用いられると、得られる不織布から不快な臭気が発生することがあった。
特開平9−124742号公報 特開昭59−187658号公報 特開2005−15642号公報
重合後の重合体組成物がホルムアルデヒドを含有する場合、ホルムアルデヒドの含有量を低減する方法が検討されているが十分ではなく、重合の際に遊離ホルムアルデヒドを生成しにくい重合体組成物の製造方法が求められていた。
本発明の目的は、ホルムアルデヒドの含有量を低減することができ且つ低臭気である水性樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記製造方法により得られた水性樹脂組成物を含み、ホルムアルデヒドの含有割合が低く、アルコール等による臭気が少なく、安全性に優れ、繊維加工及び紙加工に好適な不織布用バインダー組成物を提供することにある。
本発明の水性樹脂組成物の製造方法は、水系媒体中、重合時にホルムアルデヒドが生じる架橋剤及び重合開始剤の併存下に、(メタ)アクリル酸エステルと、カルボキシル基含有ビニル化合物とを含む単量体の重合を、塩基性物質により反応系のpHを4〜7の範囲に制御しながら行う重合工程を備えることを特徴とする。
上記反応系のpHは、4.5〜6の範囲であることが好ましい。
上記架橋剤は、N−メチロールアクリルアミド、N−アルコキシメチルアクリルアミド及びN−アルコキシメチルメタクリルアミドから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
上記カルボキシル基含有ビニル化合物が、(メタ)アクリル酸であることが好ましい。
上記塩基性物質が、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びトリエチルアミンから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明の不織布用バインダー組成物は、上記製造方法により得られた水性樹脂組成物を含むことを特徴とする。
本発明の水性樹脂組成物の製造方法によれば、ホルムアルデヒドの含有量を低減することができ且つ低臭気である水性樹脂組成物を製造することができる。
本発明の不織布用バインダー組成物によれば、ホルムアルデヒド及びアルコールの含有量が少ないので、安全性に優れ、繊維加工及び紙加工に好適である。即ち、不織布用バインダー組成物中のホルムアルデヒドの含有量が少なく、アルコール等による臭気が少ないことから、製造上の安全性に優れ、不快な臭気を有さない不織布を製造することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
1.水性樹脂組成物の製造方法
本発明の水性樹脂組成物の製造方法は、水系媒体中、重合時にホルムアルデヒドが生じる架橋剤及び重合開始剤の併存下に、(メタ)アクリル酸エステルと、カルボキシル基含有ビニル化合物とを含む単量体の重合を、塩基性物質により反応系のpHを4〜7の範囲に制御しながら行う重合工程を備えることを特徴とする。
上記単量体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等の(メタ)アクリル酸エステルと、カルボキシル基含有ビニル化合物とを含む混合物である。他の化合物を含んでもよい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記カルボキシル基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記単量体に含まれる、上記の(メタ)アクリル酸エステル及びカルボキシル基含有ビニル化合物の含有割合は、特に限定されないが、これらの合計を100質量%とした場合、通常、99.9〜90質量%及び0.1〜10質量%、好ましくは99.5〜95質量%及び0.5〜5質量%である。
また、上記の(メタ)アクリル酸エステル及びカルボキシル基含有ビニル化合物の合計量は、上記単量体の全体に対して、通常、30〜95質量%、好ましくは50〜85質量%である。
上記単量体が、上記の(メタ)アクリル酸エステル及びカルボキシル基含有ビニル化合物以外の他の化合物を含む場合、例えば、芳香族ビニル化合物、含窒素不飽和化合物、不飽和酸無水物、不飽和スルホン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、芳香族ビニル化合物及び含窒素不飽和化合物が好ましい。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記含窒素不飽和化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記不飽和スルホン酸としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、アクリロオキシベンゼンスルホン酸、メタクリロキシベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記他の化合物を用いる場合、その使用量は、上記単量体の全体に対して、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは15〜50質量%である。
上記重合工程において、上記単量体の重合は、通常、乳化重合法が適用され、水系媒体中、重合時にホルムアルデヒドが生じる架橋剤(以下、「架橋剤」という。)及び重合開始剤の併存下に行われる。
上記水系媒体としては、水を単独で、あるいは、水と、水溶性有機溶媒(アルコール、ケトン、エーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等)とを混合した溶媒を用いることができる。
上記架橋剤としては、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−アルコキシメチルアクリルアミド(N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−イソプロポキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド等)、N−アルコキシメチルメタクリルアミド(N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド、N−イソプロポキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、N−イソブトキシメチルメタクリルアミド等)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等が好ましい。
上記架橋剤の使用量は、上記単量体の合計を100質量部とすると、通常、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜5質量部、より好ましくは0.5〜3質量部である。この使用量が多すぎると、架橋が進みすぎて、得られる樹脂がゲル化する場合がある。
また、重合を円滑に進めるために、水系媒体100質量部に対する、上記単量体及び上記架橋剤の合計量の割合は、好ましくは50〜200質量部、より好ましくは70〜150質量部である。
上記重合開始剤としては、通常、過酸化物、アゾ系化合物等が用いられる。
上記過酸化物としては、過酸化水素;過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等)等の無機過酸化物;ハイドロパーオキサイド(クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド(tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等)、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル(tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸等の有機過酸化物が挙げられる。
尚、上記有機過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸及びその塩、エリソルビン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、クエン酸及びその塩等の還元剤と組み合わせて調製したレドックス系開始剤を重合開始剤として用いることもできる。
また、上記アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
上記重合開始剤の使用量は、その種類、重合条件等により異なるが、上記単量体100質量部に対して、通常、0.1〜3質量部である。
尚、上記重合工程においては、乳化剤や、分子量を調節するための連鎖移動剤等を併用してもよい。
上記乳化剤としては、アニオン性界面活性剤(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等)、ノニオン界面活性剤(ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等)、ノニオン型高分子界面活性剤(ポリカルボン酸系高分子界面活性剤、ポリビニルアルコール等)等が挙げられる。
上記乳化剤の使用量は、その種類、重合条件等により異なるが、上記単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部である。
上記連鎖移動剤としては、メルカプト基含有化合物(エタンチオール、ブタンチオール、ドデカンチオール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、α−トルエンチオール、フェネチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、チオグリセリン、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトイソ酪酸、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸エチル、チオ酢酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等)、キサントゲンジスルフィド化合物(ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等)、チウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等)、ハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、臭化エチレン等)、芳香族炭化水素(ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマー等)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記連鎖移動剤の使用量は、その種類、重合条件等により異なるが、上記単量体100質量部に対して、通常、0.01〜2質量部である。
上記重合工程において、重合は、塩基性物質を用い、反応系のpHを所定範囲に制御しながら行う。この塩基性物質としては、水溶性物質であれば、特に限定されないが、アルカリ金属化合物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属化合物(水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等)、アンモニア、有機アミン化合物(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びトリエチルアミンが好ましく、特に、製造後、加熱等により飛散させやすいアンモニアを用いることが好ましい。
上記塩基性物質の使用方法としては、水に溶解させ、10〜90質量%の濃度の水溶液を用いることが好ましい。
尚、反応系のpHを所定範囲に制御するために、上記塩基性物質と、ポリアクリル酸、クエン酸、ホウ酸、リン酸等の酸成分を含む緩衝剤とを併用する方法、又は、この緩衝剤のみを用いる方法が挙げられるが、本発明においては、上記塩基性物質のみを用いてpH調整を行うものである。
上記重合工程における重合装置としては、通常、温度計と、攪拌機と、反応器と、還流冷却機と、を備える装置が用いられる。従って、重合は、反応器内において、単量体、架橋剤等の原料を、加熱、撹拌及び還流冷却しながら進められる。
上記重合工程における具体的な重合方法としては、下記に例示される。
[a]水系媒体が収容された反応器に、単量体と、架橋剤と、重合開始剤と、塩基性物質とを、別々に反応系に滴下しながら行う方法。
[b]水系媒体が収容された反応器に、単量体及び架橋剤を含む混合物(M1)と、重合開始剤と、塩基性物質とを、別々に反応系に滴下しながら行う方法。
[c]水系媒体が収容された反応器に、単量体、架橋剤、重合開始剤及び塩基性物質を含む混合物(M2)を、反応系に滴下しながら行う方法。
[d]水系媒体が収容された反応器に、単量体及び架橋剤を含む混合物(M1)と、重合開始剤及び塩基性物質を含む混合物(M2)とを、別々に反応系に滴下しながら行う方法。
[e]水系媒体が収容された反応器に、単量体、架橋剤及び重合開始剤を含む混合物(M3)と、塩基性物質とを、別々に反応系に滴下しながら行う方法。
[f]重合開始剤及び水系媒体が収容された反応器に、単量体と、架橋剤と、塩基性物質とを、別々に反応系に滴下しながら行う方法。
[g]重合開始剤及び水系媒体が収容された反応器に、単量体、架橋剤及び塩基性物質を含む混合物(M4)を、反応系に滴下しながら行う方法。
[h]重合開始剤及び水系媒体が収容された反応器に、単量体及び架橋剤を含む混合物(M1)と、塩基性物質とを、別々に反応系に滴下しながら行う方法。
[i]単量体の一部及び水系媒体が収容された反応器に、単量体の残部と、架橋剤と、重合開始剤と、塩基性物質とを、別々に反応系に滴下しながら行う方法。
[j]単量体の一部及び水系媒体が収容された反応器に、単量体の残部、架橋剤、重合開始剤及び塩基性物質を含む混合物(M5)を、反応系に滴下しながら行う方法。
[k]単量体の一部及び水系媒体が収容された反応器に、単量体の残部及び架橋剤を含む混合物(M6)と、重合開始剤及び塩基性物質を含む混合物(M2)とを、別々に反応系に滴下しながら行う方法。
[l]単量体の一部及び水系媒体が収容された反応器に、単量体の残部及び架橋剤を含む混合物(M6)と、重合開始剤と、塩基性物質とを、別々に反応系に滴下しながら行う方法。
[m]単量体の一部及び水系媒体が収容された反応器に、単量体の残部、架橋剤及び重合開始剤を含む混合物(M7)と、塩基性物質とを、別々に反応系に滴下しながら行う方法。
これらのうち、方法[a]、[b]、[c]及び[d]が好ましく、特に、方法[a]及び[d]が好ましい。尚、乳化剤及び連鎖移動剤を使用する場合には、水系媒体と併用してよいし、上記混合物(M1)〜(M7)等の各原料に含有させて用いてもよい。また、各原料の滴下方法は、分割式及び連続式のいずれでもよい。
本発明においては、上記重合工程における重合は、反応中の遊離ホルムアルデヒドの生成を抑制するために、反応系のpHを4〜7の範囲に、好ましくは4.5〜6.5、より好ましくは4.5〜6の各範囲に制御しながら進められる。従って、上記の各方法において、各原料が反応器内で混合されたときのpHが、終始、上記範囲内となるように制御させながら重合を行うものである。尚、反応系のpHが4.5〜6の範囲にある場合には、ホルムアルデヒド生成の抑制効果に特に優れる。
また、重合の際には、通常、反応器内の水系媒体等の温度を、予め、下記の重合温度、又は、それに近い温度に設定しておき、各原料が滴下される。各原料の滴下速度は、特に限定されないが、通常、各使用量に応じて選択される。また、各原料の滴下終了時期を同時とするように選択される場合もある。
上記重合温度は、単量体の種類及び反応性、反応器への負荷等を考慮し、通常、60〜90℃である。重合は、この温度範囲において、一定温度で進めてもよいし、昇温及び/又は降温を組み合わせて進めてもよい。
上記重合工程後の反応液には、主として、上記単量体及び上記架橋剤からなる、架橋された共重合体が含まれている。但し、単量体の種類、重合条件等によって、未反応の単量体、この単量体が加水分解して生成したアルコール等が含まれることがあり、このような場合には、公知の方法により、除去又は低減化を図ることが好ましい。
本発明においては、反応液をレドックス処理する精製工程を備えることができる。
上記精製工程におけるレドックス処理は、上記反応液の攪拌下、レドックス系重合開始剤を添加する方法である。
このレドックス系重合開始剤としては、上記重合工程において説明したレドックス系開始剤を用いることができる。使用に際してはこのレドックス系開始剤を単独で用いてもよいし、水溶液として用いてもよいし、更には乳化剤等と併含する分散液を用いてもよい。
上記レドックス重合開始剤の添加方法は、一括式、分割式及び連続式のいずれでもよい。
上記レドックス系重合開始剤を添加した後、重合温度、又は、それに近い温度で保持してもよいし、重合温度より高い温度に加熱してもよいし、重合温度から放冷等により冷却してもよい。
上記レドックス処理において加熱する場合の温度は、通常、30〜80℃である。
また、上記レドックス処理の時間は、反応液の量によるが、通常、0.5〜3時間である。
上記レドックス処理を行った場合には、製造された水性樹脂組成物(重合体の濃度50質量%)中における未反応の単量体の含有量を、好ましくは1,000質量ppm以下、より好ましくは500質量ppm以下とすることができる。従って、低臭気の水性樹脂組成物とすることができ、各種用途への作業性及び安全性に優れる。
本発明により製造された水性樹脂組成物においては、上記架橋剤に由来して含まれるホルムアルデヒドの含有量を、好ましくは500質量ppm以下、より好ましくは300質量ppm以下とすることができる。従って、各種用途への作業性及び安全性に優れる。特に、人体に身近な用途においては、健康を害する、環境を悪化させる等について抑制することができる。
本発明により製造された水性樹脂組成物は、それに含まれる共重合体が架橋されているので、不織布等の繊維製品、塗工紙等の紙製品等の製造用バインダーに好適である。繊維製品、紙製品等の製造用バインダーに用いた場合、塗工後の乾燥により架橋点が更に増加し、原料繊維の触感及び風合いを損なうことなく、隣接する繊維どうしが十分に接合した製品、即ち、強度及び耐熱性が向上した製品を得ることができる。
2.不織布用バインダー組成物
本発明の不織布用バインダー組成物は、上記水性樹脂組成物を含むことを特徴とする。本発明の不織布用バインダー組成物を用い、パルプ、綿、麻、ジュート、レーヨン等のセルロース系繊維;ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、アクリル等の合成繊維;羊毛等の動物繊維等からなる原料繊維を含む不織布、特に、キッチンペーパー等食品用の不織布、おしぼり等衛生用の不織布等の製造に好適である。
本発明の不織布用バインダー組成物の態様は、下記に例示される。
[1]上記水性樹脂組成物のみからなるもの
[2]上記水性樹脂組成物と、他の重合体(分散安定剤等)とからなるもの
[3]上記水性樹脂組成物と、添加剤とからなるもの
[4]上記水性樹脂組成物と、他の重合体(分散安定剤等)と、添加剤とからなるもの
本発明の不織布用バインダー組成物を用いて得られる不織布が、柔軟性及びウェット強度に優れ、肌触りも良好であるものとするためには、上記水性樹脂組成物の製造に用いる単量体として、(メタ)アクリル酸エステルが(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸n−ブチルから選ばれた少なくとも1種を含み、且つ、カルボキシル基含有ビニル化合物がメタクリル酸及び/又はアクリル酸を含むことが好ましい。
上記態様[2]及び[4]において配合可能な上記他の重合体としては、上記水性樹脂組成物に含まれる共重合体の分散安定性を向上させるものが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂、ポリアクリルアミド、水性ポリエステル樹脂、水性ポリアミド樹脂、水性ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これら他の重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記添加剤としては、pH調整剤、被膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤、防腐剤、着色剤等が挙げられる。
本発明の不織布用バインダー組成物の固形分濃度は、通常、30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%である。
更に、本発明の不織布用バインダー組成物のpHは、通常、4〜7、好ましくは4.5〜6である。
尚、本発明の不織布用バインダー組成物が、上記本発明の水性樹脂組成物の製造方法以外の方法で得られた水性樹脂組成物、例えば、反応系のpHを4〜7の範囲にするために、ポリアクリル酸、クエン酸、ホウ酸、リン酸等を含む緩衝剤を用いてなる水性樹脂組成物を含む場合には、以下のような不具合がある。
ポリアクリル酸を含む緩衝剤を用いてpHを調製することにより得られた水性樹脂組成物を含む不織布用バインダー組成物と、パルプ等のセルロース系繊維とを用いて製造したおしぼりは、おしぼりの製造過程、特に、不織布用バインダーの塗布後の乾燥で生じたセルロース系繊維の酸化による生成物質(フルフラール等)を含むことがある。このような生成物質は、不快な臭気を有し、安全性を低下させることがある。
また、クエン酸を含む緩衝剤を用いてpHを調製することにより得られた水性樹脂組成物を含む不織布用バインダー組成物を用いて製造したキッチンペーパーの場合には、出汁を濾過すると、クエン酸成分が溶出し、出汁に混ざってしまうことがある。これにより、濾過された出汁は、苦みをおびたものとなる。
上記本発明の不織布用バインダー組成物を用い、繊維集合体を処理し、この繊維集合体の少なくとも繊維どうしの交叉部分に塗布する塗布工程と、上記不織布用バインダー組成物を乾燥する乾燥工程とを、順次備えることにより、不織布を製造することができる。
上記繊維集合体を構成する原料繊維としては、パルプ、綿、麻、ジュート、レーヨン等のセルロース系繊維;ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、アクリル等の合成繊維;羊毛等の動物繊維、再生繊維等が挙げられる。本発明においては、セルロース系繊維が好ましく、特に、パルプ、綿及び麻が好ましい。これらの原料繊維を用いてなる不織布は、柔軟性及びウェット強度に優れ、肌触りも良好である。
上記繊維集合体としては、一定の形状を有するものであってよいし、不定形状を有するものであってもよい。一定の形状を有する場合、例えば、原料繊維からなる繊維シート、この繊維シートを積層してなる積層シート等が挙げられる。
上記塗布工程においては、浸漬法、スプレー法、ロール法等の方法が適用され、上記繊維集合体の少なくとも繊維どうしの交叉部分に塗布される。
上記塗布工程において、繊維集合体に付着した不織布用バインダー組成物の量(固形分換算)は、上記繊維集合体を構成する原料繊維の種類、不織布の用途等により選択され、繊維どうしの結合が十分であり、毛羽立ちが抑制され、原料繊維の特徴を生かした不織布を得ることができる。
上記乾燥工程においては、繊維どうしの交叉部分に塗布された不織布用バインダー組成物を乾燥し、繊維集合体を一体化させる。
上記乾燥工程において、上記不織布用バインダー組成物の乾燥は、通常、常圧下で行われ、その温度は、原料繊維の種類により選択される。尚、必要に応じて、加圧下又は減圧下に加熱してもよい。
本発明の不織布の製造方法においては、必要に応じて、表面加工(エンボス加工等)工程、裁断工程等を備え、シート、袋等とすることができる。
本発明の不織布の製造方法において、上記不織布用バインダー組成物中のホルムアルデヒド濃度が小さく、アルコール等による臭気が少ないことから、不織布製造上の安全性にも優れる。特に、上記繊維集合体が、パルプ、綿及び麻のうちの少なくとも1種の原料繊維を用いてなるものである場合には、上記乾燥工程の際に、パルプ、綿及び麻が酸化されて、フルフラール等が大量に発生することがないので、効率よく、不織布を製造することができる。
本発明により製造された不織布は、吸水、濾過、保護、洗浄、防臭、防湿、防塵等の目的で用いられる。具体的な用途としては、キッチンペーパー、各種フィルター、衣料品等の、乾燥状態で用いられる製品;おしぼり、ウェットティッシュ、ワイピングクロス等の、湿った状態で用いられる製品等が挙げられる。
これらのうち、キッチンペーパーとして用いる場合には、食材(野菜、魚等)及び食品の水切り、天ぷら等の油切り、使用後の天ぷら油等の油こし等の際にも、高い強度を維持し、水、油等を効率よく分離することができること、変質しないこと、及び、繊維がほつれないことから油等の再利用が可能である、等といった利点がある。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。尚、下記において、「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
[1]水性樹脂組成物の製造
実施例1−1
反応容器、攪拌機、還流冷却機、滴下装置及び温度計を備える反応装置の反応容器に、水70部を仕込み、87℃に加熱した。その後、この熱水を攪拌しながら、水30部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.7部、アクリル酸メチル10部、アクリル酸n−ブチル65部、メタクリル酸1部、スチレン24部及びN−メトキシメチルアクリルアミド(架橋剤、以下、「NMMA」と略記する。)1部よりなる乳化液と、5質量%過硫酸アンモニウム水溶液(重合開始剤、以下、「APS」と略記する。)6部と、25質量%アンモニア水0.3部とを、滴下装置より4時間かけて別々に連続的に滴下供給し、反応系の温度を87℃に保ちながら、乳化重合した。重合中の反応系のpHは5であった。
上記反応原料を全量滴下後、反応系の温度を87℃に保ちながら、5質量%APS4部及び25質量%アンモニア水0.01部を添加し、更に1.5時間撹拌しながら熟成させ、反応を完結させた。
次いで、パーブチルH及びエリソルビン酸ナトリウムを用いた逐次レドックス処理を行い、未反応の単量体を除去し、固形分50質量%の水性樹脂組成物(A−1)を得た。
この水性樹脂組成物(A−1)に含まれるホルムアルデヒドの濃度を、昭和49年厚生省令第4号(乳幼児用)に定められた方法に準じて測定したところ、143質量ppmであった。また、不純物として、表1に示す成分(分析は、ガスクロマトグラフィーによる。)が検出された。
実施例1−2
上記実施例1−1と同じ反応装置を用いた。まず、反応容器に、水66部を仕込み、87℃に加熱した。その後、この熱水を攪拌しながら、水23部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、アクリル酸メチル10部、アクリル酸n−ブチル70部、メタクリル酸1部、スチレン16部及びN−メチロールアクリルアミド(架橋剤、以下、「N−MAM」と略記する。)1.5部よりなる乳化液と、5質量%APS6部と、25質量%アンモニア水0.3部とを、滴下装置より4時間かけて別々に連続的に滴下供給し、反応系の温度を87℃に保ちながら、乳化重合した。重合中の反応系のpHは5であった。
上記反応原料を全量滴下後、反応系の温度を87℃に保ちながら、5質量%APS4部及び25質量%アンモニア水0.01部を添加し、更に1.5時間撹拌しながら熟成させ、反応を完結させた。
次いで、上記実施例1−1と同様にして逐次レドックス処理を行い、未反応の単量体を除去し、固形分50質量%の水性樹脂組成物(A−2)を得た。
その後、上記実施例1−1と同様にして、ホルムアルデヒド濃度、不純物の定性分析及び定量分析を行い、その結果を表1に示した。
実施例1−3
上記実施例1−1と同じ反応装置及び反応原料を用い、乳化重合中の反応系のpHを4とした以外は、上記実施例1−1と同様にして、固形分50質量%の水性樹脂組成物(A−3)を得た。
その後、上記実施例1−1と同様にして、ホルムアルデヒド濃度、不純物の定性分析及び定量分析を行い、その結果を表1に示した。
実施例1−4
上記実施例1−1と同じ反応装置及び反応原料を用い、乳化重合中の反応系のpHを7とした以外は、上記実施例1−1と同様にして、固形分50質量%の水性樹脂組成物(A−4)を得た。
その後、上記実施例1−1と同様にして、ホルムアルデヒド濃度、不純物の定性分析及び定量分析を行い、その結果を表1に示した。
比較例1−1
上記実施例1−1の操作において、重合中に25質量%アンモニア水を添加しなかった以外は、同様にして水性樹脂組成物(A−5)を得た。重合中の反応系のpHは2.5であった。
その後、上記実施例1−1と同様にして、ホルムアルデヒド濃度、不純物の定性分析及び定量分析を行い、その結果を表1に示した。
比較例1−2
上記実施例1−2の操作において、重合中に25質量%アンモニア水を添加しなかった以外は、同様にして水性樹脂組成物(A−6)を得た。重合中の反応系のpHは2.5であった。
その後、上記実施例1−1と同様にして、ホルムアルデヒド濃度、不純物の定性分析及び定量分析を行い、その結果を表1に示した。
比較例1−3
上記実施例1−1の操作において、重合中に25質量%アンモニア水0.6部を添加し、反応系のpHを8とした以外は、同様にして水性樹脂組成物(A−7)を得た。
その後、上記実施例1−1と同様にして、ホルムアルデヒド濃度、不純物の定性分析及び定量分析を行い、その結果を表1に示した。
Figure 2008081519
[2]不織布用バインダー組成物の調製及び不織布の製造
実施例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−3
上記[1]で製造された水性樹脂組成物(A−1)〜(A−7)を、各々、そのまま、固形分濃度50質量%の不織布用バインダー組成物(B−1)〜(B−7)とした。
パルプ繊維の集合体に、不織布用バインダー組成物を吹き付け、その後、190℃で数分間乾燥させ、繊維どうしが接合された不織布を製造した。
得られた不織布について、(1)溶出するホルムアルデヒド濃度、及び、(2)パルプ繊維に由来して溶出するフルフラールの濃度を測定した。
ホルムアルデヒド濃度については、上記水性樹脂組成物(A−1)等の場合と同様にして測定した。また、フルフラール濃度については、まず、不織布を、不織布質量の5倍量の水の中に入れ、回転攪拌機により5分間振とうした後、アセトニトリルを10g添加し、30分間回転攪拌機により撹拌して得られた抽出物から、HPLCで定量した。
以上の結果を表2に示した。
比較例2−4
下記方法により製造した不織布用バインダー組成物(B−8)を用い、上記実施例2−1と同様にして不織布を製造し評価した。その結果を表2に併記した。
<不織布用バインダー組成物(B−8)の製造方法>
上記実施例1−1と同じ反応装置を用い、まず、反応容器に、水60部、40質量%ポリアクリル酸水溶液(分子量6,000)5部及び25質量%アンモニア水1.6部を仕込み、87℃に加熱した。その後、この溶液を攪拌しながら、水30部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.7部、アクリル酸メチル10部、アクリル酸n−ブチル65部、メタクリル酸1部、スチレン24部及びNMMA1部よりなる乳化液と、5質量%APS6部とを、滴下装置より4時間かけて別々に連続的に滴下供給し、反応系の温度を87℃に保ちながら、乳化重合した。重合中の反応系のpHは5であった。
上記反応原料を全量滴下後、反応系の温度を87℃に保ちながら、5質量%APS4部を添加し、更に1.5時間撹拌しながら熟成させ、反応を完結させた。
次いで、上記実施例1−1と同様にして逐次レドックス処理を行い、未反応の単量体を除去し、固形分50質量%の不織布用バインダー組成物(B−8)を得た。
その後、上記実施例1−1と同様にして、不純物の定性分析及び定量分析を行ったところ、アクリル酸メチル8質量ppm、アクリル酸n−ブチル300質量ppm、スチレン0質量ppm及びn−ブタノール47質量ppmであった。
Figure 2008081519
本発明により製造された水性樹脂組成物は、不織布等の繊維製品、塗工紙等の紙製品等の製造用バインダー;織布、編布、不織布、フエルト、紙等の製品の表面処理用バインダー;塗料用バインダー等に好適である。
本発明の不織布用バインダー組成物は、合成繊維、天然繊維、再生繊維等からなる繊維集合体を一体化するバインダーとして好適である。
また、本発明の不織布用バインダー組成物を用いて製造された不織布は、キッチンペーパー、各種フィルター、衣料品等の、乾燥状態で用いられる製品;おしぼり、ウェットティッシュ、ワイピングクロス等の、湿った状態で用いられる製品等、吸水、濾過、保護、洗浄、防臭、防湿、防塵等の用途に好適である。

Claims (6)

  1. 水系媒体中、重合時にホルムアルデヒドが生じる架橋剤及び重合開始剤の併存下、(メタ)アクリル酸エステルと、カルボキシル基含有ビニル化合物とを含む単量体の重合を、塩基性物質により反応系のpHを4〜7の範囲に制御しながら行う重合工程を備えることを特徴とする、水性樹脂組成物の製造方法。
  2. 上記反応系のpHが、4.5〜6の範囲である請求項1に記載の水性樹脂組成物の製造方法。
  3. 上記架橋剤が、N−メチロールアクリルアミド、N−アルコキシメチルアクリルアミド及びN−アルコキシメチルメタクリルアミドから選ばれた少なくとも1種である請求項1又は2に記載の水性樹脂組成物の製造方法。
  4. 上記カルボキシル基含有ビニル化合物が、(メタ)アクリル酸である請求項1乃至3のいずれかに記載の水性樹脂組成物の製造方法。
  5. 上記塩基性物質が、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びトリエチルアミンから選ばれた少なくとも1種である請求項1乃至4のいずれかに記載の水性樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法により得られた水性樹脂組成物を含むことを特徴とする不織布用バインダー組成物。
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