JP2008081401A - 金属錯体、発光素子、表示装置 - Google Patents

金属錯体、発光素子、表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な金属錯体を提供する。
【解決手段】[(PtII(M(L)]の組成を有する金属錯体。ここで、Mは、H、Ag、Au、またはCuの、一種またはいずれかの組み合わせであり、Lは下記化1で表される化合物である。
【化1】
Figure 2008081401

ここで、R,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水酸基、フェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ナフチル基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、またはヒドロキシエチル基である。また、R,R,Rのうち少なくとも1つ以上は、水素原子ではない。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属錯体に関する。また本発明は、この金属錯体を発光層に含有する発光素子に関する。また、本発明は、この発光素子を構成要素とする表示装置に関する。
最近、液晶に代わる発光ディスプレイ(表示装置)として、有機EL素子が注目を集めている。従来の有機EL素子では、一重項励起状態からの発光(蛍光)が利用されてきた。この場合には、有機EL現象の原理から25%の発光効率が最大となり、非常に効率が悪かった。
発光効率を上げる方法として、最近最も注目されているのが三重項励起状態から生じるリン光である(例えば、非特許文献1参照)。この場合、原理的には100%の発光効率が可能となる。
ところで、Pt(II)イオンにジイミン類やターピリジン及びその誘導体が配位した錯体は、MLCTやMMLCTに起因した発光を示すものが多く、これらの化合物の光化学的性質に興味が持たれている(例えば、非特許文献2参照)。さらに、複数のCu(I)イオンやAu(I)イオンをピラゾールやその誘導体が架橋した多核錯体が発光することも知られている(例えば、非特許文献3参照)。したがって、分子内にPt(II)イオンとCu(I)イオン、Ag(I)イオン、あるいはAu(I)イオンを含み、これらの金属イオンをピラゾールやその誘導体で架橋すると、異種金属イオン間の協奏的効果による発光特性を兼ね備えた新たな分子の創出が期待できる。
このような着想に基づいて新規な金属錯体を開発するにあたり、3,5-ジメチルピラゾラト配位子が2つのPd(II)イオンと4つのAg(I)イオンを架橋した混合金属錯体[Pd2Ag4(μ-dmpz)8](非特許文献4参照)が類似化合物として知られているが、この化合物の発光特性については全く報告がない。また、本発明者らも置換基を持たないピラゾラト配位子を用いてPt(II)イオンとAg(I)イオンを架橋した混合金属錯体[Pt2Ag4(μ-pz)8](非特許文献5参照)を既に合成しているが、この化合物は発光を示さない。
さらに、表示装置の製品化開発においては、ドープ剤として用いる金属錯体の熱的安定性、揮発性、蒸着時の製膜性、あるいは様々な溶媒に対する溶解性、発光強度、色純度、電位をかけた際の安定性などを向上させた、新規な金属錯体の開発が望まれている。
M. A. Baldo, S. Lamansky, P. E. Burrows, M. E. Thompson, S. R. Forrest, Appl. Phys. Lett., 1999, 75, 4-6. S.-W. Lai, C.-M. Che, Topics in Current Chemistry, 2004, 241(Transition Metal and Rare Earth Compounds III), 27-63. H. V. R. Dias, H. V. K. Diyabalanage, M. G. Eldabaja, O. Elbjeirami, M. A. Rawashdeh-Omary, M. A. Omary, J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 7489-7501. G. A. Ardizzoia, G. La Monica, S. Cenini, M. Moret, N. Masciocchi, J. Chem. Soc., Dalton Trans. 1996, 1351-1357. K. Umakoshi, Y. Yamauchi, K. Nakamiya, T. Kojima, M. Yamasaki, H. Kawano, M. Onishi, Inorg. Chem. 2003, 42, 3907-3916.
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な金属錯体を提供することを目的とする。
また、本発明は、この金属錯体を発光層に含有する新規な発光素子を提供することを目的とする。
また、本発明は、この発光素子を構成要素とする新規な表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の金属錯体は、以下の組成を含んでいる。組成は、[(PtII(M(L)]である。ここで、(Mは、水素イオン、銀イオン、銅イオン、金イオンの、一種またはいずれかの組み合わせであり、(L)は、下記の化2で表される化合物の、一種またはいずれかの組み合わせである。
Figure 2008081401
ここで、R,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水酸基、フェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ナフチル基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、またはヒドロキシエチル基である。また、R,R,Rのうち少なくとも1つ以上が水素原子ではない。
本発明の発光素子は、発光層を有し、前記発光層は、上記本発明の金属錯体を含むことを特徴とする。
本発明の表示装置は、発光素子を構成要素とし、前記発光素子が発光層を有している。そして、前記発光層は、上記本発明の金属錯体を含むことを特徴とする。
本発明の金属錯体により、新規な金属錯体を提供することができる。
本発明の発光素子により、新規な発光素子を提供することができる。
本発明の発光装置により、新規な発光装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の金属錯体は、以下に示す組成を含んでいる。
[(PtII(M(L)
ここで、(Mは、水素イオン、銀イオン、銅イオン、金イオンの、一種またはいずれかの組み合わせであり、(L)は、前記化2で表される化合物の、一種またはいずれかの組み合わせである。
ここで、R,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水酸基、フェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ナフチル基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、またはヒドロキシエチル基である。
また、R,R,Rのうち少なくとも1つ以上が水素原子ではない構成、即ち置換基をR,R,Rのうち少なくとも1つ以上に有する構成とする。R,R,Rが全て水素原子である金属錯体、即ち置換基を有しない金属錯体は、発光を示さないためである。
次に、本発明の金属錯体の合成方法について説明する。但し以下では、dmpzHは3,5-ジメチルピラゾールを、dmpzは3,5-ジメチルピラゾールから水素イオンが解離した負一価の陰イオンを表すものとする。
まず、本発明の金属錯体の一例として、[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]の合成方法について説明する。この金属錯体は、Mを水素イオンとした構成であり、Mの全てまたは一部が銀イオン、銅イオン、金イオンの金属錯体を合成する際の中間原料になる化合物である。
この[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]は、例えば次のようにして、合成することができる。
最初に、[PtCl2(C2H5CN)2]とdmpzHとを反応させて、[Pt(dmpzH)4]Cl2を合成する。
次に、[Pt(dmpzH)4]Cl2とdmpzHを、KOHの存在下で反応させて、[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]を合成する。
なお、[Pt(dmpzH)4]Cl2の合成方法は、上述した方法に限定されない。この他に、次のような2つの合成方法がある。
一の合成方法:[PtCl2(C2H5CN)2]を水またはメタノールまたはエタノールに懸濁させ、過剰量のdmpzHを加え1時間還流する。放冷後、溶液を減圧濃縮し、アセトンまたはジエチルエーテルを加えると[Pt(dmpzH)4]Cl2が析出する。析出した[Pt(dmpzH)4]Cl2を集め、ジエチルエーテルで洗浄後減圧乾燥する。
他の合成方法:K2[PtCl4]を酸性の水に溶解し、4当量のdmpzHを加え6時間還流する。放冷後、溶液を減圧濃縮し、アセトンを加えると[Pt(dmpzH)4]Cl2が析出する。析出した[Pt(dmpzH)4]Cl2を集め、ジエチルエーテルで洗浄後減圧乾燥する。
また、[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]の合成方法は、上述した合成方法に限定されない。この他に、次のような合成方法がある。
[PtCl2(C2H5CN)2]をアセトニトリルまたはプロピオニトリルに溶解し、2当量のトリエチルアミン及び4当量のdmpzHを加えて、6時間還流する。放冷後、その溶液を自然濃縮すると[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]が析出する。
析出した[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]を集め少量のアセトニトリルまたはプロピオニトリルで洗浄後減圧乾燥する。濾液にメタノールを加えるとさらに[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]が析出する。これも同様に集める。
次に、本発明の金属錯体の一例として、[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]の合成方法について説明する。
中間原料として上記で合成した金属錯体[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]を使用して、この金属錯体とAgBF4を、トリエチルアミンの存在下で反応させて、[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]を合成する。
なお、[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]の合成方法は、上述した合成方法に限定されない。この他に、次のような2つの合成方法がある。以下の方法では、前記中間原料を使用しない。
一の合成方法:[PtCl2(C2H5CN)2]をアセトニトリルまたはプロピオニトリルに溶解し、4当量のAgBF4またはAgPF6を入れて1時間還流する。放冷後、析出したAgClを濾別し、濾液に4当量のトリエチルアミン及び4当量のdmpzHを加えさらに2時間還流する。熱時濾過し、濾液を自然濃縮すると[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]が析出する。析出した[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]を集め、少量のアセトニトリルまたはプロピオニトリルで洗浄後減圧乾燥する。濾液にメタノールを加えるとさらに[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]が析出する。これも同様に集める。
他の合成方法:[Pt(dmpzH)4]Cl2をメタノールまたはエタノールに溶解し、4当量のAgBF4またはAgPF6を入れて室温下で1時間撹拌する。析出したAgClを濾別し、濾液に4当量のトリエチルアミンを加えさらに室温下で1時間撹拌する。析出した[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]を集め、少量のメタノールまたはエタノールで洗浄後減圧乾燥する。
さらに、トリエチルアミンを用いない[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]の合成方法としては、次のような合成方法がある。
[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]をアセトニトリルに懸濁させ、4当量のAgBF4またはAgPF6を入れて6時間撹拌する。析出した[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]を集め、少量のアセトニトリルで洗浄後減圧乾燥する。
次に、本発明の金属錯体の一例として、[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]の合成方法について説明する。この金属錯体も、Mを水素イオンとした構成であり、Mが銀イオン、銅イオン、金イオンの金属錯体を合成する際の中間原料になる化合物である。なお、3-MepzHは3-メチルピラゾールを、3-Mepzは3-メチルピラゾールから水素イオンが解離した負一価の陰イオンを表すものとする。
この[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]は、例えば次のようにして、合成することができる。
最初に、[PtCl2(C2H5CN)2]と3-MepzHを反応させて、白色固体を得る。
次に、白色固体と3-MepzHを、KOHの存在下で反応させて、[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]を合成する。
なお、[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]の合成方法は、上述した方法に限定されない。この他に、次のような合成方法がある。
[PtCl2(C2H5CN)2]をアセトニトリルまたはプロピオニトリルに溶解し、2当量のトリエチルアミン及び4当量の3-MepzHを加えて、6時間還流する。放冷後、その溶液を自然濃縮すると、[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]が析出する。
析出した[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]を集め、少量のアセトニトリルまたはプロピオニトリルで洗浄後減圧乾燥する。濾液にメタノールを加えると、さらに[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]が析出する。これも同様に集める。
次に、本発明の金属錯体の一例として、[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]の合成方法について説明する。
上記で合成した金属錯体[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]を中間原料として使用して、この金属錯体とAgBF4を、トリエチルアミンの存在下で反応させて、[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]を合成する。
なお、[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]の合成方法は、上述した方法に限定されない。この他に、次のような合成方法がある。以下の方法では、前記中間原料を使用しない。
[PtCl2(C2H5CN)2]をアセトニトリルまたはプロピオニトリルに溶解し、4当量のAgBF4またはAgPF6を入れて1時間還流する。放冷後、析出したAgClを濾別し、濾液に4当量のトリエチルアミン及び4当量の3-MepzHを加えて、さらに2時間還流する。熱時濾過し、濾液を自然濃縮すると、[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]が析出する。析出した[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]を集め、少量のアセトニトリルまたはプロピオニトリルで洗浄後減圧乾燥する。濾液にメタノールを加えると、さらに[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]が析出する。これも同様に集める。
次に、本発明の金属錯体の中間原料となる金属錯体の一例として、[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]の合成方法について説明する。なお、3-tBupzHは3-t-ブチルピラゾールを、3-tBupzは3-t-ブチルピラゾールから水素イオンが解離した負一価の陰イオンを表すものとする。
この[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]は、例えば次のように合成することができる。
最初に、[PtCl2(C2H5CN)2]と3-tBupzHを反応させて、[Pt(3-tBupzH)4]Cl2を得る。
次に、[Pt(3-tBupzH)4]Cl2をKOHの存在下で反応させて、[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]を合成する。
なお、[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]の合成方法は、上述した方法に限定されない。この他に、次のような合成方法がある。
[PtCl2(C2H5CN)2]をアセトニトリルまたはプロピオニトリルに溶解し、2当量のトリエチルアミン及び4当量の3-tBupzHを加えて、6時間還流する。放冷後、その溶液を自然濃縮すると、[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]が析出する。
析出した[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]を集め、少量のアセトニトリルまたはプロピオニトリルで洗浄後、減圧乾燥する。濾液にメタノールを加えると、さらに[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]が析出する。これも同様に集める。
次に、本発明の金属錯体の一例として、[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]の合成方法について説明する。
上記で合成した中間原料の金属錯体[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]とAgBF4を、トリエチルアミンの存在下で反応させて、[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]を合成する。
なお、[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]の合成方法は、上述した方法に限定されない。この他に、次のような合成方法がある。
[PtCl2(C2H5CN)2]をアセトニトリルまたはプロピオニトリルに溶解し、4当量のAgBF4またはAgPF6を入れて、1時間還流する。放冷後、析出したAgClを濾別し、濾液に4当量のトリエチルアミン及び4当量の3-tBupzHを加えて、さらに2時間還流する。熱時濾過し、濾液を自然濃縮すると、[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]が析出する。析出した[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]を集め、少量のアセトニトリルまたはプロピオニトリルで洗浄後、減圧乾燥する。濾液にメタノールを加えると、さらに[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]が析出する。これも同様に集める。
次に、本発明の金属錯体の一例として、[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]の合成方法について説明する。
前述した方法で合成した中間原料の[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]と[Cu(CH3CN)4]BF4を、トリエチルアミンの存在下で反応させて、[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]を合成する。
なお、[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]の合成方法は、上述した方法に限定されない。この他に、次のような合成方法がある。
[PtCl2(C2H5CN)2]をアセトニトリルまたはプロピオニトリルに溶解し、4当量の[Cu(CH3CN)4]BF4を入れて、1時間還流する。放冷後、析出したCuClを濾別し、濾液に4当量のトリエチルアミン及び4当量のdmpzHを加えて、さらに2時間還流する。熱時濾過し、濾液を自然濃縮すると、[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]が析出する。析出した[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]を集め、少量のアセトニトリルまたはプロピオニトリルで洗浄後、減圧乾燥する。濾液にメタノールを加えると、さらに[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]が析出する。これも同様に集める。
次に、本発明の金属錯体の一例として、[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]の合成方法について説明する。
前述した方法で合成した中間原料の[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]と[Cu(CH3CN)4]BF4を、トリエチルアミンの存在下で反応させて、[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]を合成する。
なお、[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]の合成方法は、上述した方法に限定されない。この他に、次のような合成方法がある。
[PtCl2(C2H5CN)2]をアセトニトリルまたはプロピオニトリルに溶解し、4当量の[Cu(CH3CN)4]BF4を入れて、1時間還流する。放冷後、析出したCuClを濾別し、濾液に4当量のトリエチルアミン及び4当量の3-tBupzHを加えて、さらに2時間還流する。熱時濾過し、濾液を自然濃縮すると、[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]が析出する。析出した[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]を集め、少量のアセトニトリルまたはプロピオニトリルで洗浄後減圧乾燥する。濾液にメタノールを加えるとさらに[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]が析出する。これも同様に集める。
次に、本発明の金属錯体の一例として、[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]の合成方法について説明する。この金属錯体は、[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]と同様に分子内水素結合により安定化された単核錯体であり、銀イオン、銅イオン、金イオンを導入して[Pt2M4(L)8]タイプの混合金属錯体を合成する際の中間原料になる化合物である。なお、iPr2pzHは3,5-ジイソプロピルピラゾールを、iPr2pzは3,5-ジイソプロピルピラゾールから水素イオンが解離した負一価の陰イオンを表すものとする。
この[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]は、例えば次のようにして、合成することができる。
最初に、[PtCl2(C2H5CN)2]とiPr2pzHを反応させて[Pt(iPr2pzH)4]Cl2を合成する。
次に、[Pt(iPr2pzH)4]Cl2iPr2pzHを、KOHの存在下で反応させて、[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]を合成する。
なお、[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]の合成方法は、上述した方法に限定されない。この他に、次のような合成方法がある。
[PtCl2(C2H5CN)2]をアセトニトリルまたはプロピオニトリルに溶解し、2当量のトリエチルアミン及び4当量のiPr2pzHを加えて、6時間還流する。放冷後、その溶液を自然濃縮すると、[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]が析出する。析出した[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]を集め、少量の水で洗浄後減圧乾燥する。
次に、本発明の金属錯体の一例として、[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]の合成方法について説明する。
上記で合成した金属錯体[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]を中間原料として使用して、この金属錯体とAgBF4を、トリエチルアミンの存在下で反応させて、[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]を合成する。
なお、[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]の合成方法は、上述した方法に限定されない。この他に、次のような合成方法がある。以下の方法では、前記中間原料を使用しない。
[PtCl2(C2H5CN)2]をアセトニトリルまたはプロピオニトリルに溶解し、4当量のAgBF4またはAgPF6を入れて1時間還流する。放冷後、析出したAgClを濾別し、濾液に4当量のトリエチルアミン及び4当量のiPr2pzHを加えて、さらに2時間還流する。熱時濾過し、濾液を自然濃縮すると、[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]が析出する。析出した[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]を集め、少量のアセトニトリルまたはプロピオニトリルで洗浄後減圧乾燥する。濾液にメタノールを加えると、さらに[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]が析出する。これも同様に集める。
次に、本発明の金属錯体の一例として、[Pt2Au2H2(μ-dmpz)8]の合成方法について説明する。
前述した方法で合成した中間原料の[Pt(dmpzH)4]Cl2と[AuCl(tht)](tht=テトラヒドロチオフェン)を、アセトニトリル中,トリエチルアミンの存在下で反応させ、その反応溶液にさらに[Pt(dmpzH)4]Cl2を加えて反応を完結させることにより[Pt2Au2H2(μ-dmpz)8]を合成する。
なお、[Pt2Au2H2(μ-dmpz)8]の合成方法は、上述した方法に限定されない。この他に、次のような合成方法がある。
[Pt(dmpzH)4]Cl2と[AuCl(tht)](tht=テトラヒドロチオフェン)を、アセトニトリル中、トリエチルアミンの存在下で反応させ、[PtAu4(μ-dmpz)4Cl2(tht)2]を単離する。[PtAu4(μ-dmpz)4Cl2(tht)2]と[Pt(dmpzH)4]Cl2をアセトニトリル中、トリエチルアミンの存在下で反応させることにより、[Pt2Au2H2(μ-dmpz)8]を得る。
次に、本発明の金属錯体の用途について説明する。上述の金属錯体は、有機EL素子などの発光素子の発光層に含有させる発光剤としての用途がある。上述の金属錯体の用途は、発光剤に限定されない。この他、有機分子やガス分子などのセンサーや制癌剤、あるいは、普段は無色透明であるが紫外光照射時のみ発光する塗料などの用途がある。
次に、上述の金属錯体を発光層に含有する発光素子について説明する。
図1は、本発明の発光素子の一例を示す断面図である。基板1はガラスなどの透明なものからなる。基板1の上には陽極2が形成されている。陽極2の上には、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、及び電子注入層7が形成されている。電子注入層7の上には陰極8が形成されている。
本発明の発光素子は、上述の5層型の発光素子に限定されない。この他、5層型の発光素子から電子輸送層を省略した4層型の発光素子であってもよい。また、5層型の発光素子から正孔注入層と電子注入層を省略した3層型の発光素子であってもよい。また、3層型の発光素子の発光層と電子輸送層を兼用して1つの層とする2層型の発光素子であってもよい。また、陽極と陰極の間に発光層のみが形成される単層型であってもよい。
この金属錯体を有利に適用し得る発光素子は、本質的に、発光能を有する金属錯体を含んでなる発光素子であって、通常、正電圧を印加する陽極と、負電圧を印加する陰極と、陽極から正孔を注入して輸送する正孔注入/輸送層と、陰極から電子を注入して輸送する電子注入/輸送層と、正孔と電子を再結合させ発光を取り出す発光層とを含んでなる積層型発光素子が重要な適用対象となる。この金属錯体は、顕著な発光能を有するので、発光素子におけるホスト発光剤として極めて有用である。さらに、この金属錯体は、正孔注入/輸送層用材、電子注入/輸送層用材、さらには、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウムなどの、8−キノリノール類を配位子とする金属錯体をはじめとする他のホスト発光剤に微量ドープしてその発光効率や発光スペクトルを改善するためのゲスト発光剤としても機能することから、斯かる材料の単独又は複数が不可欠の要素となる発光素子において、単独又は、例えば、ジシアノメチレン(DCM)類、クマリン類、ペリレン類、ルブレン類などの他の発光剤や正孔注入/輸送層用材及び/又は電子注入/輸送層用材と組み合わせて極めて有利に用いることができる。なお、積層型発光素子において、発光剤が正孔注入/輸送能又は電子注入/輸送能を兼備する場合には、それぞれ、正孔注入/輸送層又は電子注入/輸送層を省略することがあり、また、正孔注入/輸送層用材及び電子注入/輸送層用材の一方が他方を兼備する場合には、それぞれ、電子注入/輸送層又は正孔注入/輸送層を省略することがある。
この金属錯体は、単層型及び積層型発光素子のいずれにも適用可能である。発光素子の動作は、本質的に、電子及び正孔を電極から注入する過程、電子及び正孔が固体中を移動する過程、電子及び正孔が再結合し、三重項励起子を生成する過程、そして、その励起子が発光する過程からなり、これらの過程は単層型及び積層型発光素子のいずれにおいても本質的に異なるところがない。しかしながら、単層型発光素子においては、発光剤の分子構造を変えることによってのみ上記4過程の特性を改良し得るのに対して、積層型発光素子においては、各過程において要求される機能を複数の材料に分担させるとともに、それぞれの材料を独立して最適化することができることから、一般的には、単層型に構成するより積層型に構成する方が所期の性能を達成し易い。
上述の発光素子は、表示装置に用いることができる。すなわち、発光素子を構成要素とする表示装置においては、この発光素子の発光層に上述の金属錯体を含有させることができる。
なお、本発明は、上述の発明を実施するための最良の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
次に、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
(実施例1)
中間原料として、本発明の金属錯体の一種である [{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]を合成し、この中間原料を用いて本発明の金属錯体の一種である[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]を合成した。
以下、この金属錯体の合成方法の詳細について説明する。
まず、[Pt(dmpzH)4]Cl2を合成した。
具体的には、[PtCl2(C2H5CN)2](1130mg,3.0mmol)のトルエン懸濁液(20ml)に、dmpzH(1155mg,12.0mmol)のトルエン溶液(40ml)を加えて、Ar雰囲気下で3h還流した。析出した白色固体を集め、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテルの順で洗浄後、減圧乾燥した。収量は1905mg(97.5%)であった。
この[Pt(dmpzH)4]Cl2を合成する化学反応は、下記化3に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより、生成物の同定を行った。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3121(m),3068(s),2927(s),2849(s),2765(s),1580(s),1420(m),1297(m),195(w),1150(w),1075(w),806(m)
H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表1の通りである。
Figure 2008081401
次に、中間原料である金属錯体[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]を合成した。
具体的には、先に合成した[Pt(dmpzH)4]Cl2(101mg,0.16mmol)のメタノール溶液(6ml)を作製した。そして、室温下で、このメタノール溶液に、KOH(17mg,0.31mmol)及びdmpzH(30mg,0.31mmol)を含むメタノール溶液(1ml)を撹拌しながら滴下すると、直ちに白色沈殿が生じた。さらに1h撹拌後、生じた白色固体を集め、メタノール、水の順で洗浄後、減圧乾燥した。収量は88mg(98%)であった。
この金属錯体[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]を合成する化学反応は、下記化4に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
クロロホルム/メタノールからこの金属錯体を結晶化し、単結晶を得た。
この化合物は、UV光照射下、固体状態で、強い淡橙色発光を呈する、溶液状態でも、微弱ながら同様の発光を呈する。
溶媒への溶解性は、溶解性非常に高い:クロロホルム、ジクロロメタン、溶解性高い:ベンゼン、トルエン、溶解性中程度:アセトニトリル、ジエチルエーテル、溶解しない;アセトン、メタノール、水である。
この化合物は270℃付近から分解する。
IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより、生成物の同定を行った。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3069(w),2923(s),2853(m),1869(m,br),1581(m),1531(m),1419(s),1342(m),1147(w),1151(w),765(m)
H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表2の通りである。
Figure 2008081401
以下、Ardizzoiaらが前記非特許文献4に報告している、[{Pd(dmpz)2(dmpzH)2}2]のスペクトルデータを参考に、考察を行った。[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]のIRスペクトルにおいて、最も特徴的なのは1868cm-1のブロードな吸収帯である。
[{Pd(dmpz)2(dmpzH)2}2]では1850cm-1(Nujol mull)に同様なバンドが観測されており、このバンドをν(N-H…N)伸縮振動に帰属している。[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]の全体的なスペクトルの形状も[{Pd(dmpz)2(dmpzH)2}2]のものに酷似している。
[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]のH NMRスペクトルでは、特徴的なシグナルが18.38ppmに観測される。この化学シフト値は[{Pd(dmpz)2(dmpzH)2}2]の二量体形成の要因となっている分子間水素結合のNHプロトンに由来する18.1ppmのシグナルの化学シフト値(CD2Cl2中)に極めて近いことから、本化合物でも同様の二量体構造をとっていることが支持される。
また、生成物の元素分析を行った結果を、計算値と比較して、表3に示す。
Figure 2008081401
次に、中間原料の金属錯体[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]から、金属錯体[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]を合成した。
具体的には、室温下で、中間原料の[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2](52mg,0.045mmol)のアセトニトリル懸濁液(20ml)に、トリエチルアミン(18mg,0.18mmol)のアセトニトリル溶液(10ml)及びAgBF4(35mg,0.18mmol)のアセトニトリル溶液(10ml)を加えて、2h撹拌した。反応終了後、少量の銀塩が混入した白色固体を集め、アセトニトリルで洗浄後、減圧乾燥した(固体の収集が困難な場合は、反応溶液を乾固し、クロロホルム/メタノールから再結晶した)。収量は57mg(81%)であった。
この金属錯体[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]を合成する化学反応は、下記化5に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
クロロホルム/メタノールからこの金属錯体を結晶化し、単結晶を得た。
この化合物は、UV光照射下、固体状態で水色発光、溶液状態で緑青色発光を強く呈した。
溶媒への溶解性は、溶解性非常に高い:クロロホルム、ジクロロメタン、溶解性高い:ベンゼン、トルエン、溶解性中程度:アセトニトリル、ヘキサン、溶解しない:アセトン、メタノールである。
融点は300℃以上である。
IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより、生成物の同定を行った。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3113(w),2971(w),2919(m),2856(w),1578(w),1529(s),1420(s),1351(m),1158(w),1084(w),1050(w),762(s)
H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表4の通りである。
Figure 2008081401
表4より、[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]に最も特徴的であったIRスペクトルの1868cm-1のブロードな吸収帯及びH NMRスペクトルの18.38ppmに観測されるシグナルが消失していることから、二量化の要因となっていたN-H…N水素結合のH原子全てがAg原子と置換していると考えられる。
また、生成物の元素分析を行った結果を、計算値と比較して、表5に示す。
Figure 2008081401
中間原料及び最終的に生成したそれぞれの金属錯体の構造について説明する。
[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]及び[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]は、単結晶X線構造解析により分子構造を決定しており、その結晶学的データを表6に示す。
Figure 2008081401
[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]の分子構造は、図2のORTEP図に示すように、Pt(II)イオンにdmpzとdmpzHがそれぞれ2つずつ配位した単核錯体{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2分子が、互いの分子のdmpzHとdmpzの間で強いN-H…N水素結合を形成することにより二量化した構造をとっている。二量体内のPt…Pt距離は3.7205(3)Åである。
[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]の分子構造は、図3のORTEP図に示すように、[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]の4つの架橋HイオンがAgイオンで置換された構造をとっている。[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]は、2つのPt原子を通る擬似的な4回回転軸とそれに垂直な2つの擬似的な2回回転軸を有している。[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]におけるPt…Ag距離は、3.4514(7)〜3.5147(8)Åの範囲にある。
次に、[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]の光化学物性について説明する。
白金錯体[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]は、UV光照射下、淡橙色発光を呈することが明らかとなったので、その光化学物性を詳しく検討した。
吸収スペクトルでは、260nm付近にショルダーが観測された。モル吸光係数が10180M−1cm−1程度であることから、CT遷移に由来するものと考えられる。
[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]の発光特性を表7に示す。
Figure 2008081401
一方、発光スペクトルでは、600nm付近に極大をもつブロードな発光が観測された。この極大吸収位置は、肉眼で観測された発光色のおおよその波長に一致しているように見える。
発光量子収率の決定は、[Ru(bpy)3](PF6)2(bpy=2,2’-bipyridine)のアセトニトリル溶液(Φ=0.061,脱気条件下)を標準物質として用いた。サンプルはAr置換したものを用いた。発光量子収率は、波数表示した各々の発光スペクトルの面積積分Sを用いて、式(1)から算出される。
Figure 2008081401
式(1)中、Aは励起波長における吸光度、nは溶媒の屈折率、添え字のSTは標準物質、xは測定対象の試料とする。
ジクロロメタン中の発光量子収率は、0.001の非常に弱い発光であることが明らかとなった。
発光寿命測定の励起波長は266nmである。発光寿命も210nsと短いものであった。
発光量子収率及び発光寿命の実測値から、輻射失活速度定数 (kr)、無輻射失活速度定数(knr)を算出した。その結果、錯体[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]の発光特性は、knrの寄与が支配的である結果を得た。
次に、[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]の光化学物性について説明する。
このPt−Ag混合金属六核錯体[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]は、UV光照射下、固体状態で水色発光、溶液状態で緑青色発光を呈することが明らかとなったので、その光化学物性を詳しく検討した。
吸収スペクトルで273nm付近に観測されるブロードな吸収帯は、振動構造を持たないこと、モル吸光係数が8640M−1cm−1程度であることから、CT遷移に由来するものと考えられる。
[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]の溶媒中における発光特性を、3種の溶媒(CH2Cl2,CHCl3,トルエン)についてそれぞれ表8に示す。
Figure 2008081401
一方、発光スペクトルでは、表8より、ジクロロメタン中において、528nm付近に極大をもつブロードな発光が観測された。ストークスシフトが大きいこと、室温の発光寿命が6.0μsであることから、三重項からの発光であると思われる。
CT発光性であることを確認するために、溶媒(誘電率)依存性の測定を行った。誘電率の増加に伴い、発光極大波長の長波長シフトが観測された。
[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]の発光は、TD-DFT法による分子軌道計算より三重項MM(3MM)からの発光であると考えている。
発光量子収率の決定は、9,10-Diphenylanthlacene(DPA)のシクロヘキサン溶液(Φ=0.91,脱気条件下)を標準物質として用いた。サンプルはAr置換したものを用い、励起波長は、335nmである。発光量子収率は、ジクロロメタン中で0.51であり、錯体としては非常に強い発光を示す部類に入ると考えられる。この値は有機EL素子として工業的に用いられているfac-[IrIII(ppy)3](ppy=2-phenylpyridinato)錯体の発光量子収率0.4(λmax=514nm)を大きく上回る。また、発光量子収率も溶媒に依存する。興味深いことに、溶媒の誘電率が高いほど、つまり、長波長側に発光したときの方が、発光量子収率が高いという結果が得られた。これは、一般のMLCT発光に見られる挙動(Energy-Gap則)とは逆の傾向を示しており、錯体[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]の光化学的な一つの特徴であると考えられる。
発光寿命測定の励起波長は355nmである。発光減衰曲線は、どの溶媒においても、単一指数関数で解析することができる。発光量子収率のときと同様に、発光寿命も溶媒に依存して変化しており、長波長の発光において寿命が長いことが明らかとなった。
錯体[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]の発光特性は、輻射失活速度定数(kr)は104(s-1)オーダー、無輻射失活速度定数(knr)は105(s-1)オーダーであるが、knrの寄与がkrに比べてやや大きい程度である。また、各溶媒においてkrはほぼ一定の値であるのに対し、knrが変化している。さらに、無輻射失活速度定数(knr)が発光量子収率のときと同様に、Energy-Gap則とは全く逆の依存性を示している。
(実施例2)
中間原料として、本発明の金属錯体の一種である[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]を合成し、この中間原料を用いて本発明の金属錯体の一種である[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]を合成した。
以下、この金属錯体の合成方法の詳細について説明する。
まず、中間原料の[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]を合成した。
具体的には、[PtCl2(C2H5CN)2](60mg,0.16mmol)のトルエン懸濁液(5ml)に、3-MepzH(66mg,0.8mmol)のトルエン溶液(5ml)を加えて、Ar雰囲気下で一晩還流した(黄色懸濁液から黄色溶液に、さらに白色懸濁液に変化)。析出した白色固体を集め、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテルの順で洗浄後、減圧乾燥して、白色粉末を得た。収量は86mg(0.14mmol)(90%)であった。
次に、室温下で、得られた白色粉末(98mg,0.16mmol)のメタノール溶液(6ml)に、KOH(17mg,0.31mmol)及び3-MepzH(34mg,0.41mmol)を含むメタノール溶液(1ml)を撹拌しながら滴下すると、直ちに白色沈殿が生じた。1h撹拌後、エバポレーターで濃縮し、生じた白色固体を集め少量のメタノール、水の順で洗浄後、減圧乾燥した。これにより、中間原料の[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]を得た。収量は70mg(0.067mmol)(84%)であった。
これらの化学反応は、下記化6に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
白色粉末も、[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]も、どちらもUV光照射下、固体状態で微弱にオレンジ色の発光を示す。
白色粉末の特徴は、以下の通りである。
溶媒への溶解性は、アセトン、メタノールに可溶である。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3437(br/s),3045(br/s),2856(br/s),1577(w),1543(m),1486(m),1369(s),1282(m),1213(s),1142(w),1127(w),1080(s),778(s),608(s),416(w),321(w)
[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]の特徴は、以下の通りである。
溶媒への溶解性は、クロロホルム、塩化メチレンに易溶であり、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテルに可溶である。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3106(w),2925(w),1865(br/w),1696(w),1508(s),1439(m),1356(s),1133(m),1033(m),854(w),751(s)
H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表9の通りである。
Figure 2008081401
次に、中間原料の金属錯体[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]から、金属錯体[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]を合成した。
具体的には、室温下で、中間原料の[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2](47mg,0.045mmol)のアセトニトリル懸濁液(20ml)に、トリエチルアミン(18mg,0.18mmol)を加えて、さらにAgBF4(41mg,0.21mmol)のアセトニトリル溶液(10ml)を加えて、2h撹拌した。白色固体を集め、アセトニトリルで洗浄後、減圧乾燥した。収量は57mg(0.039mmol)(87%)であった。
この金属錯体[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]を合成する化学反応は、下記化7に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
この化合物は、UV光照射下、固体状態で水色発光、溶液状態で黄緑色発光を強く示した。
溶媒への溶解性は、クロロホルム、塩化メチレンに可溶であり、ベンゼン、トルエン、アセトニトリルに微溶である。
IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより、生成物の同定を行った。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3106(w),2923(w),1506(s),1480(m),1437(m),1356(s),1205(m),1129(s),1033(m),954(m),852(w),755(s),321(m)
H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表10の通りである。
Figure 2008081401
また、生成物の元素分析を行った結果を、計算値と比較して、表11に示す。
Figure 2008081401
(実施例3)
中間原料として、金属錯体[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]を合成し、この中間原料を用いて本発明の金属錯体の一種である[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8])を合成した。
以下、この金属錯体の合成方法の詳細について説明する。
まず、[Pt(3-tBupzH)4]Cl2を合成した。
具体的には、[PtCl2(C2H5CN)2](71mg,0.19mmol)のトルエン懸濁液(5ml)に、3-tBupzH(99mg,0.8mmol)のトルエン溶液(10ml)を加えて、Ar雰囲気下で4h還流した(黄色懸濁液から黄色溶液に変化)。エバポレーターで溶液を乾固し、ヘキサン、ジエチルエーテルの順で洗浄後白色固体を集め、減圧乾燥した。収量は139mg(0.18mmol)(96%)であった。
この[Pt(3-tBupzH)4]Cl2を合成する化学反応は、下記化8に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
生成物は、UV光照射下、固体状態で弱く紫色発光を示した。
溶媒への溶解性は、クロロホルム、塩化メチレンに易溶であり、トルエン、メタノールに可溶である。
IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより、生成物の同定を行った。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3388(br/m),3103(br/s),2965(br/s),1562(m),1486(s),1370(s),1300(s),1270(m),1212(m),1135(s),990(m),823(s)
H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表12の通りである。
Figure 2008081401
次に、中間原料である金属錯体[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]を合成した。
具体的には、先に合成した[Pt(3-tBupzH)4]Cl2(193mg,0.25mmol)のメタノール溶液(6ml)を作製した。そして、室温下で、このメタノール溶液に、KOH(28mg,0.52mmol)を含むメタノール溶液(2ml)溶液を撹拌しながら滴下した。その無色溶液を1h撹拌した後、エバポレーターで濃縮し、生じた白色固体を集め、少量のメタノールと水の順で洗浄し、減圧乾燥した。収量は143mg(0.21mmol)(83%)であった。
この金属錯体[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]を合成する化学反応は、下記化9に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
この化合物は、UV光照射下、固体状態で弱く紫色発光を示した。
溶媒への溶解性は、クロロホルム、塩化メチレンに易溶であり、アセトン、メタノール、ヘキサンに可溶である。
IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより、生成物の同定を行った。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3613(w),2962(s),1566(m),1474(s),1361(m),1298(s),1241(m),1207(m),1134(s),1049(m),755(s)
H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表13の通りである。
Figure 2008081401
次に、中間原料の金属錯体[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]から、金属錯体[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]を合成した。
具体的には、室温下で、中間原料の[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2](37mg,0.027mmol)のアセトニトリル懸濁液(10ml)に、トリエチルアミン(11mg,0.11mmol)を加え、さらにAgBF4(27mg,0.14mmol)のアセトニトリル溶液(8ml)を加えて、2h撹拌した。反応終了後、白色固体を集め、アセトニトリルで洗浄し、減圧乾燥した。収量は43mg(0.023mmol)(87%)であった。
この金属錯体金属錯体[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]を合成する化学反応は、下記化10に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
この化合物は、UV光照射下、固体状態で弱く黄緑色発光を示した。
溶媒への溶解性は、クロロホルム、塩化メチレンに易溶である。
IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより、生成物の同定を行った。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3130(w),2963(s),1492(s),1475(s),1344(s),1243(s),1127(m),1073(s),1009(w),855(w),760(s),501(m)
H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表14の通りである。
Figure 2008081401
また、生成物の元素分析を行った結果を、計算値と比較して、表15に示す。
Figure 2008081401
続いて、実施例2及び実施例3における中間原料及び最終的に生成したそれぞれの金属錯体の構造について説明する。
[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]、[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]、及び[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]は、単結晶X線構造解析により分子構造を決定しており、その結晶学的データは表16に示す通りである。また、それぞれの化合物の分子構造は図4〜図6に示す通りである。なお、図6において、t-ブチル基中のメチル炭素原子は、図を見やすくするために省略している。
[{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]の分子構造は、図4のORTEP図に示すように、Pt(II)イオンに3-Mepzと3-MepzHがそれぞれ2つずつ配位した単核錯体{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2分子が、互いの分子の3-MepzHと3-Mepzの間で強いN-H…N水素結合を形成することにより二量化した構造をとっている。二量体内のPt…Pt距離は、3.6843(7)Åである。
[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]の分子構造は、図5のORTEP図に示すように、Pt(II)イオンに3-tBupzと3-tBupzHがそれぞれ2つずつ配位した単核錯体で、3-tBupzHと3-tBupzの間で強いN-H…N水素結合を形成しているが、二量体は形成していない。
[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]の分子構造は、図6のORTEP図に示すように、[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]とよく似た構造を有している。全ての3-tBupz配位子の置換基はAg原子に配位したN原子の隣のC原子上に存在する。また、[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]は、2つのPt原子を通る擬似的な4回回転軸とそれに垂直な2つの2回回転軸を有している。[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]におけるPt…Pt距離は4.4988(2)Åであり、Pt…Ag距離は、3.4382(3)〜3.4709(3)Åの範囲にある。
Figure 2008081401
(実施例4)
中間原料として、実施例1で使用した金属錯体[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]を用いて、本発明の金属錯体の一種である[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]を合成した。
以下、この金属錯体の合成方法の詳細について説明する。
まず、実施例1と同様にして、中間原料の金属錯体[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]を合成した。
次に、中間原料の金属錯体[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]から、金属錯体[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]を合成した。
具体的には、Ar雰囲気下で、[{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2](51.7mg,0.045mmol)の塩化メチレン溶液(20ml)に、トリエチルアミン(18mg,0.18mmol)を加え、さらに[Cu(CH3CN)4]BF4(56.6mg,0.18mmol)の塩化メチレン溶液(10ml)を加えて、2h撹拌した。その後、溶液を自然濾過し、エバポレーターにかけた。乾固させた固体に少量のアセトニトリルを加えて濾過し、アセトニトリルで洗浄後、減圧乾燥した。収量は46.4mg(0.033mmol)(73.7%)であった。クロロホルム/トルエンからこの金属錯体を結晶化した。
この金属錯体[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]を合成する化学反応は、下記化11に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
この化合物は、UV光照射下、固体状態でオレンジ色に発光した。
溶媒への溶解性は、クロロホルム、塩化メチレンに可溶であり、エーテル、アセトンに微溶であり、アセトニトリル、メタノール、トルエンに難溶である。
IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより、生成物の同定を行った。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3112(w),2918(m),2853(w),1530(s),1420(s),1357(m),1149(w),1036(w),980(w),762(s),652(w),591(w),473(w),406(w),350(w),326(w)
H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表17の通りである。
Figure 2008081401
また、生成物の元素分析を行った結果を、計算値と比較して、表18に示す。
Figure 2008081401
(実施例5)
中間原料として、実施例3で使用した金属錯体[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]を用いて、本発明の金属錯体の一種である[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]を合成した。
以下、この金属錯体の合成方法の詳細について説明する。
まず、実施例3と同様にして、中間原料の金属錯体[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]を合成した。
次に、中間原料の金属錯体[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]から、金属錯体[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]を合成した。
具体的には、室温下で、[Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2](54mg,0.077mmol)の塩化メチレン溶液(5ml)に、トリエチルアミン(18mg,0.18mmol)を加え、次に[Cu(CH3CN)4]BF4(51mg,0.16mmol)の塩化メチレン溶液(15ml)を加えて、Ar雰囲気下で5h撹拌した。反応終了後、僅かに析出した塩を自然ろ過し、ろ液を自然濃縮することにより結晶を得た。収量は34mg(0.02mmol)(54%)であった。
この金属錯体[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]を合成する化学反応は、下記化12に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
この化合物は、UV光照射下、肉眼で発光を確認することはできなかった。
溶媒への溶解性は、クロロホルム、塩化メチレンに易溶である。
IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより、生成物の同定を行った。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3137(w),2964(s),1494(s),1478(s),1349(s),1242(s),1124(s),1079(s),1013(m),857(m),761(s),724(m),646(m),510 (m)
H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表19の通りである。
Figure 2008081401
また、生成物の元素分析を行った結果を、計算値と比較して、表20に示す。
Figure 2008081401
続いて、実施例4及び実施例5における最終的に生成したそれぞれの金属錯体の構造について説明する。
[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]及び[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]は、単結晶X線構造解析により分子構造を決定しており、その結晶学的データは表21に示す通りである。また、それぞれの化合物の分子構造は、図7及び図8に示す通りである。なお、図7において、t-ブチル基中のメチル炭素原子は、図を見やすくするために省略している。
[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]の分子構造は、図7のORTEP図に示すように、[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]とよく似た構造を有している。全ての3-tBupz配位子の置換基はCu原子に配位したN原子の隣のC原子上に存在する。また、[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]は、2つのPt原子を通る擬似的な4回回転軸とそれに垂直な2つの2回回転軸を有している。[Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]におけるPt…Pt距離は3.8626(3)Åであり、Pt…Cu距離は、3.3586(7)〜3.3890(7)Åの範囲にある。
[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]の分子構造は、図8のORTEP図に示すように、[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]とよく似た構造をとっている。[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]は、2つのPt原子を通る結晶学的な4回回転軸とそれに垂直な2つの2回回転軸を有している。[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]におけるPt…Pt距離は4.709(1)Åであり、Pt…Cu距離は、3.3726(7)Åである。
Figure 2008081401
次に、[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]、[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]、及び[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]の光化学物性について説明する。
それぞれの金属錯体について、発光量子収率(ジクロロメタン中)の測定を行った。発光量子収率の決定は、[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]のCH2Cl2溶液(Φ=0.51、脱気条件下)を比較標準物質として用いた。尚、サンプルは全てAr置換したものを用いた。測定結果は表22に示す通りであった。
[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]は、比較的強い緑色の発光が確認できた。[Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]は、極微弱な発光を示した。[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]は、近赤外領域に発光(λmax=820nm)を示した。
また、結晶状態における発光強度を測定した。励起波長を一定(270nm)とし、サンプル量を同程度にして測定した。測定の際の発光ピーク強度を表22にまとめた。
結晶状態における発光強度の序列は、溶液中における発光量子収率を反映していると思われる。
Figure 2008081401
また、[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]、[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]のジクロロメタン中における発光寿命を測定した。サンプルは、30分間アルゴン置換したものを用いた。励起光源として、Nd+-YAG Laserの第4高調波(266nm,繰り返し10Hz、10mJ/pulse)を用い、ストリークカメラ(Hamamatsu Photonics Inc.,C4334)を用いて検出した。CH2Cl2溶液中において[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]、[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]の発光減衰曲線を測定した。それぞれの発光減衰曲線を、非線形最小二乗法を用いて式(I(t)=A1exp(-t/τ1)+A2exp(-t/τ2))で解析した結果は表23に示す通りであった。
Figure 2008081401
[Pt2Ag4(μ-3-Mepz)8]は、二成分指数関数で解析することが可能であった。短寿命成分(1.3μs)と長寿命成分(8.1μs)の成分比は、おおよそ1:1である。
一方、[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]は、単一指数関数で解析することが可能であった。
(実施例6)
中間原料として、本発明の金属錯体の一種である[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]を合成し、この中間原料を用いて、本発明の金属錯体の一種である[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]を合成した。
以下、この金属錯体の合成方法の詳細について説明する。
まず、[Pt(iPr2pzH)4]Cl2を合成した。
具体的には、[PtCl2(C2H5CN)2](73mg,0.19mmol)のトルエン懸濁液(5ml)に、iPr2pzH(120mg,0.8mmol)のトルエン溶液(5ml)を加えAr雰囲気下一晩還流した(黄色懸濁液→黄色溶液)。還流後沈殿が見られなかったため、エバポレーターで乾固しヘキサンで洗浄した後、析出した白色固体を集め、少量のジエチルエーテルで洗浄し減圧乾燥した。収量は125mg(0.14mmol)(74%)であった。
この[Pt(iPr2pzH)4]Cl2を合成する化学反応は,下記化13に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
この化合物は、クロロホルム、塩化メチレン、メタノールに易溶、トルエンに可溶であった。
元素分析、IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより、生成物の同定を行った。
生成物の元素分析を行った結果を、表24に示す。
Figure 2008081401
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3107(br/m),2966(br/s),1579(s),1472(s),1364(m),1282(s),1183(m),1045(m),858(m),801(m)
H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表25の通りである。
Figure 2008081401
次に、中間原料の[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]を合成した。
具体的には、室温下で、[Pt(iPr2pzH)4]Cl2(252mg,0.29mmol)のメタノール溶液(10ml)に、KOH(30mg,0.57mmol)を含むメタノール溶液(2ml)を撹拌しながら滴下すると、5分後に白色懸濁溶液に変化した。5h撹拌後、エバポレーターで溶液を濃縮し、生じた白色固体を集め水で洗浄後減圧乾燥した。収量は196mg(0.24mmol)(85%)であった。
この[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]を合成する化学反応は、下記化14に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
この化合物の溶媒への溶解性は、クロロホルム、塩化メチレンに易溶、アセトニトリル、ジエチルエーテルに可溶である。
IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより生成物の同定を行った。
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):2963(s),2867(m),1569(m),1458(s),1349(s),1281(m),1260(m),1045(m),1008(m),809(br/m),766(s),708(m)
また,H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表26の通りである。分子の対称性を反映して2種類のジイソプロピルピラゾラト配位子のシグナルと分子内水素結合に関与しているプロトンのシグナルが観測されており、X線構造解析の結果と一致している。
Figure 2008081401
次に、中間原料の金属錯体[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]から、金属錯体[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]を合成した。
具体的には、室温下、[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2](204mg,0.25mmol)のアセトニトリル無色透明溶液(10ml)に、Et3N(51mg,0.51mmol)を加え、さらにAgBF4(100mg,0.50mmol)のアセトニトリル溶液(10ml)を加え、5h撹拌した。反応終了後、白色固体を集めアセトニトリルで洗浄し、減圧乾燥した。収量は235mg(91%)であった。
この金属錯体[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]を合成する化学反応は、下記化15に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
この化合物の溶媒への溶解性は、ヘキサン、ジエチルエーテルに易溶、クロロホルム、塩化メチレンに可溶、トルエン、アセトニトリルに微溶である。
白色固体をジエチルエーテルから再結晶すると、主としてUV照射により水色発光する結晶が得られ、クロロホルムから再結晶すると、主としてUV照射により緑色発光する結晶が得られる。しかし、両結晶の1H NMRスペクトルは同一であった。
元素分析、IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより生成物の同定を行った。
生成物の元素分析結果を表27に示す。
Figure 2008081401
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):2960(s),2930(s),1524(s),1463(s),1380(s),1365(s),1295(s),1176(s),1136(s),1049(s),778(s),760(s),476(w)
また、H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表28の通りである。分子内水素結合や分子間水素結合を有する分子に見られるNHプロトンが低磁場の領域に見られないことと、ピラゾール環の4位のプロトンシグナルが1本しか現れないことは、この化合物が[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]とよく似た構造をとっているというX線構造解析の結果に矛盾しない。また、3位と5位のイソプロピル基のメチル基が非等価に現れているのは、立体的な要因でイソプロピル基の回転が制限されているためと考えられる。
Figure 2008081401
続いて、中間原料の金属錯体[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]と金属錯体[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]の構造について説明する。
[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]は、単結晶X線構造解析により分子構造を決定しており、その結晶学的データは表29に示す通りである。また、この化合物の分子構造は、図9に示す通りである。
Figure 2008081401
[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]の分子構造は、図9のORTEP図に示すように、Pt(II)イオンにiPr2pzとiPr2pzHがそれぞれ2つずつ配位した単核錯体で、iPr2pzHとiPr2pzの間で強いN-H…N水素結合を形成しているが、二量体は形成していない。このような単核錯体は、3-tBupzHを配位子として用いた場合にも形成されるが、配位子の置換基がかさ高い場合には、その立体反発のため分子間水素結合により二量化した錯体が生成しにくいものと考えられる。
また、[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]についても、単結晶X線構造解析により分子構造を決定しており、その結晶学的データは表30に示す通りである。また、この化合物の分子構造は、図10に示す通りである。
Figure 2008081401
[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]の分子構造は、図10のORTEP図に示す通りであり、分子内に2つのPt(II)イオンと4つのAg(I)イオン、および8つのiPr2pzを含む。すべてのiPr2pz配位子はPt(II)イオンとAg(I)イオンの架橋に用いられている。[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]には、2つのPt原子を通る結晶学的な4回回転軸が存在し、Pt…Pt距離は5.366(2)Åであり、Pt…Ag距離は3.531(2)および3.532(2)Åである。
[Pt(iPr2pzH)4]Cl2と[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]は、固体状態でも室温で発光がほとんど認められないが、[Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]と銀イオンとの反応により生成する混合金属錯体[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]には、固体状態でUVランプを照射することにより水色に発光する結晶(相)と、緑色に発光する結晶(相)があることがわかった。両者の1H NMRスペクトルおよび紫外可視吸収スペクトルに差が見られないことから、両者は同じ化合物であり、異なる結晶構造をとっているために発光挙動が異なるものと考えられる。
次に、[Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]の光化学物性について説明する。
紫外可視吸収スペクトルでは、固体状態で水色に発光する結晶と緑色に発光する結晶の両者とも250nm付近から300nm付近にかけて幅広い吸収が観測された。この化合物の紫外部の吸収スペクトルの形状は、[Pt2Ag4(L)8]タイプの化合物に特徴的な吸収スペクトルの形状と一致している。
両結晶のジクロロメタン中での発光量子収率と寿命の測定を行った。発光量子収率の決定は、[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]のCH2Cl2溶液(Φ=0.51、脱気条件下)を比較標準物質として用いた。測定結果は表31に示す通りであり、両結晶のジクロロメタン溶液中での発光特性は非常に良く似ていた。
Figure 2008081401
一方、結晶状態においては、発光スペクトルおよび発光減衰曲線に明瞭な違いが見られた。測定結果は表32に示す通りである。発光減衰曲線は、緑色に発光する結晶に関しては単一指数関数で、水色に発光する結晶に関しては二成分指数関数で解析を行った。両結晶とも結晶状態での発光寿命は比較的長く、他の類似錯体と同様に励起三重項状態からの発光であると考えられる。
Figure 2008081401
(実施例7)
実施例1で最初に合成した金属錯体[Pt(dmpzH)4]Cl2を用いて、本発明の金属錯体の一種である[Pt2Au2H2(μ-dmpz)8]を合成した。
以下、この金属錯体の合成方法の詳細について説明する。
まず、実施例1と同様にして、原料となる金属錯体[Pt(dmpzH)4]Cl2を合成した。
次に、原料錯体[Pt(dmpzH)4]Cl2から、金属錯体[Pt2Au2H2(μ-dmpz)8]を合成した。
具体的には、Ar雰囲気下で、[Pt(dmpzH)4]Cl2(65mg,0.1mmol)を含むCH3CN溶液(20ml)に、AuCl(tht)(123mg,0.4mmol)のCH3CN溶液(20ml)とEt3N(73μl,0.05mmol)を加えて2h攪拌した。その後反応溶液を攪拌したまま、[Pt(dmpzH)4]Cl2(33mg,0.05mmol)のCH3CN溶液(10ml)を加え、さらにEt3N(55μl,0.038mmol)を加えて2h撹拌した。反応溶液を濾過した後自然濃縮し、析出した固体を集めてアセトニトリルで洗浄後、減圧乾燥した。収量は83mg(57%)であった。再結晶はクロロホルム/アセトニトリルで行なった。
この金属錯体[Pt2Au2H2(μ-dmpz)8]を合成する化学反応は、下記化16に示す化学反応式の通りである。
Figure 2008081401
この化合物は、UV光照射下、固体状態で黄色に発光した。ジクロロメタン中では微弱な発光しか示さないが、549nmに発光極大を持つ。
溶媒への溶解性は、クロロホルム、塩化メチレンに可溶であり、エーテル、アセトンに微溶であり、アセトニトリル、メタノール、トルエンに難溶である。
元素分析、IRスペクトル及びH NMRスペクトルにより、生成物の同定を行った。
生成物の元素分析結果を表33に示す。
Figure 2008081401
IRスペクトルの同定結果は、次の通りである。
IR(KBr):3113(w),2957(w),2919(s),2853(w),1863(br),1572(s),1533(s),1417(s),1367(m),1170(w),1147(w),1036(w),981(w),765(s),652(w),592(w),487(w),375(w),325(w)
また、H NMRスペクトルの同定結果は、下記の表34の通りである。
Figure 2008081401
最終的に生成した金属錯体の構造について説明する。
[Pt2Au2H2(μ-dmpz)8]は、単結晶X線構造解析により分子構造を決定しており、その結晶学的データを表35に示す。
Figure 2008081401
[Pt2Au2H2(μ-dmpz)8]の分子構造は、図11のORTEP図に示すように、2つのPt(II)イオンと2つのAu(I)イオン及び8つのdmpz配位子から成り立っており、[Pt2M4(μ-dmpz)8](M=Ag,Cu)分子の構造で、隣接する2つのM原子を水素原子に置換した構造に相当する。M原子の代わりに存在する水素原子は、各々の白金原子に配位した2つのdmpz配位子間で分子内水素結合を形成しているので、2つの白金の配位平面は平行ではない。Pt1…Pt2距離は4.4640(4)Åであり、[Pt2Ag4(μ-dmpz)8]のPt…Pt距離(5.1578(8)Å)より0.69Å短く、[Pt2Cu4(μ-dmpz)8]のPt…Pt距離(4.6567(5)Å)より0.19Å短い。
[Pt2Au2H2(μ-dmpz)8]は、ジクロロメタン中では549nmに発光極大をもつ微弱な発光を示し、固体状態では544nmに初光極大をもつ黄色の発光を示す。この化合物の紫外可視吸収スペクトルには、[Pt2Ag4(L)8]タイプの化合物に特徴的な250nm付近から300nm付近にかけての幅広い吸収帯が見られないので、[Pt2M4(μ-dmpz)8](M=Ag,Cu)とは異なる励起状態からの発光が観測されている可能性がある。
結晶状態において、発光スペクトルおよび発光減衰曲線の測定を行った。測定結果は表36に示す通りである。発光減衰曲線は、二成分指数関数で解析を行った。発光寿命が比較的長いことより、他の類似錯体と同様に励起三重項状態からの発光であると考えられる。
Figure 2008081401
以上の通り、本発明にかかる金属錯体は発光素子、更には表示装置として産業上の利用可能性がある。
本発明の発光素子の一例を示す断面図である。 [{Pt(dmpz)2(dmpzH)2}2]の分子構造を示すORTEP図である。 [Pt2Ag4(μ-dmpz)8]の分子構造を示すORTEP図である。 [{Pt(3-Mepz)2(3-MepzH)2}2]の分子構造を示すORTEP図である。 [Pt(3-tBupz)2(3-tBupzH)2]の分子構造を示すORTEP図である。 [Pt2Ag4(μ-3-tBupz)8]の分子構造を示すORTEP図である。 [Pt2Cu4(μ-3-tBupz)8]の分子構造を示すORTEP図である。 [Pt2Cu4(μ-dmpz)8]の分子構造を示すORTEP図である。 [Pt(iPr2pz)2(iPr2pzH)2]の分子構造を示すORTEP図である。 [Pt2Ag4(μ-iPr2pz)8]の分子構造を示すORTEP図である。 [Pt2Au2H2(μ-dmpz)8]の分子構造を示すORTEP図である。
符号の説明
1 基板、2 陽極、3 正孔注入層、4 正孔輸送層、5 発光層、6 電子輸送層、7 電子注入層、8 陰極

Claims (3)

  1. 以下の組成を含む金属錯体。
    [(PtII(M(L)
    ここで、Mは、H、Ag、Au、またはCuの、一種またはいずれかの組み合わせであり、Lは下記化1で表される化合物の、一種またはいずれかの組み合わせである。
    Figure 2008081401
    ここで、R,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水酸基、フェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ナフチル基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、またはヒドロキシエチル基である。また、R,R,Rのうち少なくとも1つ以上は、水素原子ではない。
  2. 発光層を有する発光素子であって、前記発光層が、請求項1に記載の金属錯体を含むことを特徴とする発光素子。
  3. 発光素子を構成要素とし、前記発光素子が発光層を有する表示装置であって、前記発光層が、請求項1に記載の金属錯体を含むことを特徴とする表示装置。
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