JP2008077901A - 固体高分子電解質形燃料電池とその運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発電運転停止時においても電解質膜が適正な湿潤度に保持され、かつ、セル内部空間への水の凝縮が防止されて、安定した起動停止運転ができるものを得る。
【解決手段】燃料ガス流路側の反応ガス空間を発電運転停止時に密閉する密閉手段として開閉バルブ6,7を備えた固体高分子電解質形燃料電池において、上記の反応ガス空間への水滞留防止手段として、セルの温度を測定する温度計10、反応ガス空間内の露点を測定する露点計9、反応ガス空間内のガスの大気への放出を行う開閉バルブ8付きの大気放出回路、ならびに、上記の温度計10の測定信号と露点計9の測定信号を入力して、大気放出回路の開閉バルブ8へ制御信号を出力する制御装置11を備えることとする。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料ガス流路側の反応ガス空間を発電運転停止時に密閉する密閉手段として開閉バルブ6,7を備えた固体高分子電解質形燃料電池において、上記の反応ガス空間への水滞留防止手段として、セルの温度を測定する温度計10、反応ガス空間内の露点を測定する露点計9、反応ガス空間内のガスの大気への放出を行う開閉バルブ8付きの大気放出回路、ならびに、上記の温度計10の測定信号と露点計9の測定信号を入力して、大気放出回路の開閉バルブ8へ制御信号を出力する制御装置11を備えることとする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電解質に固体高分子電解質膜を用いる固体高分子電解質形燃料電池に係り、特に、発電運転停止時に固体高分子電解質膜の湿潤度を適正レベルに保持することができる構成の固体高分子電解質形燃料電池、ならびにその運転方法に関する。
固体高分子電解質形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、電解質に高分子膜を用いる燃料電池であり、出力密度が高く、電池寿命が長い等の優れた特徴を有している。図3は、固体高分子電解質形燃料電池のセルの概略構造の一例を示す断面図である。このセルは、中央に配置される固体高分子電解質膜31の両面に、電極となる触媒層32が形成されており、更に、それぞれの触媒層32の周囲に枠状の保護フィルム33を形成して、膜−電極接合体(MEA)34が構成されている。触媒層32及び保護フィルム33の外面には、集電及びガスを拡散するための拡散層35が接合されており、更にその外側の両面を、ガス流通溝36aを備えたセパレータ36で挟持してセルが構成されている。1枚のセルで得られる発生電圧は1V以下の低い値であるので、所望の電圧に対応して、複数枚のセルを積層した燃料電池スタックを構成し、発電運転を行っている。
固体高分子電解質膜31の材料は、分子中にプロトン交換基を有し、プロトン導電性電解質として機能する固体高分子であればよく、従来公知のイオン交換膜等が利用可能である。具体的には、スルホン酸基を持つポリスチレン系の陽イオン交換膜をカチオン導電性膜として使用したもの、フロロカーボンスルホン酸とポリビニリデンフロライドの混合膜、パーフルオロスルホン酸ポリマー等が使用できる。なかでも、パーフルオロスルホン酸ポリマーを用いることが好ましい。パーフルオロスルホン酸ポリマーとしては、例えばナフィオン(登録商標:デュポン社製)等を好適に用いることができる。
触媒層32の材料としては、白金族等の金属触媒を担持したカーボン粉末等が用いられろ。この触媒を、例えばパーフルオロスルホン酸ポリマーを溶解した溶液と混合してペースト状にし、電解質膜31上に塗布することによって触媒層32が形成される。また、ポリマーと混合してあらかじめシート化した後に、熱プレス等によって電解質膜31と一体化させてもよい。その他、拡散層35の上に直接塗布して形成することもできる。
保護フィルム33の材料としては、従来公知のシート状のプラスチック、ゴム、エラストマー等を用いることができる。具体的には、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。なかでも、上記の電解質膜31がパーフルオロスルホン酸ポリマーの場合には、これと融点が近い上記のフッ素系ポリマーを用いることが好ましい。これによって、保護フィルム33と電解質膜31とを熱融着によって接合することができる。また、拡散層35としては、カーボン繊維(炭素繊維)よりなる、シート状のカーボンペーパーやカーボンクロスを用いることができる。
上記のように固体高分子電解質形燃料電池の電解質に用いられている固体高分子電解質膜は、湿潤状態において高いイオン伝導性を示し、高い電池特性が得られるため、発電運転の際には、反応ガスを水で加湿して供給し、固体高分子電解質膜を湿潤に保つとともに、燃料電池反応により生成した水も固体高分子電解質膜の湿潤化に用いて、高いイオン伝導性を得ている。
この種の固体高分子電解質形燃料電池は、1週間に1回の起動、停止を行ういわゆるWSS(Weekly Start and Stop)運転モード、または1日に1回の起動、停止を行ういわゆるDSS(Daily Start and Stop)運転モードでの使用に供されるのが一般的であり、発電運転状態と発電運転停止状態とを繰り返す運転モードで使用されることとなる。
このうち、発電運転状態においては、上記のように、反応ガスを水で加湿して供給することによって固体高分子電解質膜が湿潤に保持され、また、燃料電池反応による生成水によってさらに湿潤化されるので、高いイオン伝導性が得られ、高い電池特性が得られる。これに対して、発電運転停止状態においては、反応ガスの供給もなく、また、燃料電池反応による生成水の供給もないため、時間経過とともに乾燥化が進み、再起動時に湿潤状態の不足による電池特性の低下を引起す恐れがある。したがって、発電運転状態と発電運転停止状態とを繰り返す運転モードで使用されることの多い固体高分子電解質形燃料電池では、発電運転停止状態においても、固体高分子電解質膜が湿潤に保持されるよう配慮する必要がある。
このうち、発電運転状態においては、上記のように、反応ガスを水で加湿して供給することによって固体高分子電解質膜が湿潤に保持され、また、燃料電池反応による生成水によってさらに湿潤化されるので、高いイオン伝導性が得られ、高い電池特性が得られる。これに対して、発電運転停止状態においては、反応ガスの供給もなく、また、燃料電池反応による生成水の供給もないため、時間経過とともに乾燥化が進み、再起動時に湿潤状態の不足による電池特性の低下を引起す恐れがある。したがって、発電運転状態と発電運転停止状態とを繰り返す運転モードで使用されることの多い固体高分子電解質形燃料電池では、発電運転停止状態においても、固体高分子電解質膜が湿潤に保持されるよう配慮する必要がある。
特許文献1には、固体高分子電解質形燃料電池の発電運転停止状態での乾燥を防ぐために、停止時に電池スタックのガス供給ラインとガス排出ラインとに設置した開閉弁を閉じて反応ガス空間を密閉し、クロスリーク反応による開回路電圧低下に応じて開閉することによって、湿潤状態を保つ方法が開示されている。図4は、特許文献1に見られる固体高分子電解質形燃料電池の反応ガス系の基本構成を示すフロー図である。図4の固体高分子電解質形燃料電池においては、燃料電池本体41の燃料極41aの燃料ガス供給ライン42と燃料ガス排出ラインに、それぞれ開閉弁46,47が、また、酸化剤極41bの酸化剤ガス供給ライン44と酸化剤ガス排出ライン45に、それぞれ開閉弁48,49が設置されており、発電運転停止状態においては、これらの開閉弁46,47,48,49を制御装置50によって閉止することにより、燃料極空間と酸化剤極空間が密閉され、湿潤状態が保たれる。
このほか、特許文献2には、酸化剤ガスラインに開閉弁を設け、発電停止時に電池スタックから排出された酸化剤ガス中の水分を加湿器で凝結させ、再起動時には加湿器中の水分により供給される酸化剤ガスを加湿する方法が開示されている。
特開2004-6166号公報
特開2005-235750号公報
上述のごとく、固体高分子電解質形燃料電池では、十分な電池特性を得るためには固体高分子電解質膜を湿潤に保持することが必要であるので、加湿ガスが供給されない発電停止時には、例えば特許文献1のごとく、開閉バルブを操作して電極空間を密閉し、クロスリーク反応による開回路電圧低下に応じて開閉バルブを開閉する等の処置を講じて、加湿状態を保持している。
しかしながら、特許文献1の固体高分子電解質形燃料電池のごとく、セルの電池電圧に対応して開閉バルブを開閉する方式を用いる燃料電池では、スタックを構成するセルによって電池電圧のばらつきがあるので、反応ガスの残存量がセルにより異なると、湿潤状態を制御することが難しくなる場合がある。また、特許文献2の方式の固体高分子電解質形燃料電池では、運転条件によっては電池スタック内が過飽和になる可能性があり、水が滞留して、起動時にガス供給の不等配やスタック入口圧力上昇が生じ、運転が停止する場合がある。
本発明は上記のごとき従来技術の問題点を考慮してなされたもので、その課題は、発電運転停止時においてもセルの電解質膜が適正な湿潤度のレベルに保持され、かつ、セル内部への水の凝縮が防止されて、安定した起動停止運転ができる固体高分子電解質形燃料電池と、その運転方法を提供することにある。
本発明においては、上記課題を解決するために、
燃料電池本体内部の燃料ガス流路側、あるいは酸化剤ガス流路側の反応ガス空間を発電運転停止時に密閉する密閉手段を有する固体高分子電解質形燃料電池において、
(1)発電運転停止時に上記の反応ガス空間への水の滞留を防ぐ水滞留防止手段を備えることとする。
燃料電池本体内部の燃料ガス流路側、あるいは酸化剤ガス流路側の反応ガス空間を発電運転停止時に密閉する密閉手段を有する固体高分子電解質形燃料電池において、
(1)発電運転停止時に上記の反応ガス空間への水の滞留を防ぐ水滞留防止手段を備えることとする。
(2)さらに、上記の固体高分子電解質形燃料電池において、上記の水滞留防止手段を、燃料電池本体内部のセルの温度を測定するセル温度計、反応ガス空間内の露点を測定する露点計、反応ガス空間内のガスの大気への放出を行う開閉バルブ付きの大気放出回路、ならびに、上記のセル温度計の測定信号と露点計の測定信号を入力して、大気放出回路の開閉バルブへ制御信号を出力する制御装置から構成する。
(3)また、上記の(2)の固体高分子電解質形燃料電池を運転する際、発電運転停止時に、セル温度計の測定信号と露点計の測定信号を制御装置へ入力して比較し、大気放出回路の開閉バルブへ制御信号を出力して大気放出量を調整することとする。
(4)さらに上記の(3)のごとく運転する際、セル温度計の測定信号より得られたセル温度T1が露点計の測定信号より得られた露点T2を越え、その差が1℃以上となったとき、開閉バルブを閉止して大気放出回路からの大気放出を停止して運転し、セル温度T1が露点T2以下となったとき、開閉バルブを開放して大気放出回路から大気放出しつつ運転することとする。
(4)さらに上記の(3)のごとく運転する際、セル温度計の測定信号より得られたセル温度T1が露点計の測定信号より得られた露点T2を越え、その差が1℃以上となったとき、開閉バルブを閉止して大気放出回路からの大気放出を停止して運転し、セル温度T1が露点T2以下となったとき、開閉バルブを開放して大気放出回路から大気放出しつつ運転することとする。
上記の(1)のごとく、固体高分子電解質形燃料電池に反応ガス空間への水の滞留を防ぐ水滞留防止手段を備えることとし、例えば(2)のごとく、この水滞留防止手段を、セルの温度を測定するセル温度計、反応ガス空間内の露点を測定する露点計、反応ガス空間内のガスの大気への放出を行う開閉バルブ付きの大気放出回路、ならびに、上記のセル温度計の測定信号と露点計の測定信号を入力して、大気放出回路の開閉バルブへ制御信号を出力する制御装置により構成すれば、セル温度計の測定信号と露点計の測定信号によってこの反応ガス空間の反応ガスの湿潤状態が知られ、大気放出回路の開閉バルブの開閉操作によって反応ガスの湿潤状態を調整できるので、発電運転停止時においても、反応ガス空間の反応ガスの湿潤度を適切なレベルに保持し、かつ水の滞留を防ぐことができる。
特に、この固体高分子電解質形燃料電池を、上記の(3)、さらに上記の(4)のごとき運転方法を用いて運転すれば、実施例に示したように、発電運転停止時に反応ガスの湿潤度を適切なレベルに保持し、かつ水の滞留による反応ガス空間の閉塞を防止することができるので、安定に起動停止運転ができる。
本発明の固体高分子電解質形燃料電池の最良の実施形態は、燃料電池本体内部の燃料ガス流路側、あるいは酸化剤ガス流路側の反応ガス空間を発電運転停止時に密閉する密閉手段を有する固体高分子電解質形燃料電池において、発電運転停止時に上記の反応ガス空間への水の滞留を防ぐ水滞留防止手段、例えば、燃料電池本体内部のセルの温度を測定するセル温度計、反応ガス空間内の露点を測定する露点計、反応ガス空間内のガスの大気への放出を行う開閉バルブ付きの大気放出回路、ならびに、上記のセル温度計の測定信号と露点計の測定信号を入力して大気放出回路の開閉バルブへ制御信号を出力する制御装置から構成された水滞留防止手段を備えた構成にある。
また、本発明の固体高分子電解質形燃料電池の運転方法の最良の実施形態は、上記の実施形態の固体高分子電解質形燃料電池を運転する際、発電運転停止時に、セル温度計の測定信号と露点計の測定信号を制御装置へ入力して比較し、セル温度計の測定信号より得られたセル温度T1が露点計の測定信号より得られた露点T2を越え、その差が1℃以上となったとき、開閉バルブを閉止して大気放出回路からの大気放出を停止して運転し、セル温度T1が露点T2以下となったとき、開閉バルブを開放して大気放出回路から大気放出しつつ運転する運転方法にある。
図1は、本発明の固体高分子電解質形燃料電池の反応ガス系の基本構成例を示すフロー図で、燃料ガス流路側に密閉手段と水滞留防止手段を備えた反応ガス系を示したものである。図1において、1は燃料電池スタック、1aは燃料極、1bは酸化剤極であり、2は燃料ガス供給ライン、3は燃料ガス排出ライン、4は酸化剤ガス供給ライン、5は酸化剤ガス排出ラインである。6,7は、燃料ガス流路側に密閉手段として備えた開閉バルブであり、8は、水滞留防止手段として燃料ガス排出ライン3の大気放出回路に設けた開閉バルブである。また、9は、燃料ガス供給ライン2に備えられた露点計、10は、燃料電池スタック1の中央部の温度を計測する温度計(熱電対)であり、11は、これらの温度計測信号を受けて演算し、各開閉バルブ6,7,8に制御信号を送る制御装置である。
本図の固体高分子電解質形燃料電池を発電運転する際には、開閉バルブ8を閉止状態とし、開閉バルブ6,7を開放状態に保持して燃料ガスを通流させる。酸化剤ガス供給ライン4には大気空気が図示しないポンプにより供給され、電池スタック1の酸化剤極1bを流れたのち、酸化剤ガス排出ライン5より排出される。
発電運転停止時には、開閉バルブ6,7を閉めて閉止状態とし、燃料ガスの通流を止めて、発電を停止する。この発電運転停止時には、露点計9と温度計10によって、燃料ガス供給ライン2の燃料ガスの露点と燃料電池スタック1の中心部のセル温度を計測する。発電運転を停止すると発電反応に伴う発熱が無くなるので、燃料電池スタック1のセル温度は徐々に下がる。セル温度の低下が進み、セル温度が露点以下になると、反応ガス空間で水が凝縮しやすくなる。したがって、水の凝縮を防止するために、セル温度が露点以下になると開閉バルブ8を開放して反応ガスを大気中に放出した。また、セル温度が露点を超えると、電解質樹脂が乾燥するため、セル温度と露点の差が1℃以上となった時に開閉バルブ8を閉め、電池内部の湿度を適切な状態に保った。
発電運転停止時には、開閉バルブ6,7を閉めて閉止状態とし、燃料ガスの通流を止めて、発電を停止する。この発電運転停止時には、露点計9と温度計10によって、燃料ガス供給ライン2の燃料ガスの露点と燃料電池スタック1の中心部のセル温度を計測する。発電運転を停止すると発電反応に伴う発熱が無くなるので、燃料電池スタック1のセル温度は徐々に下がる。セル温度の低下が進み、セル温度が露点以下になると、反応ガス空間で水が凝縮しやすくなる。したがって、水の凝縮を防止するために、セル温度が露点以下になると開閉バルブ8を開放して反応ガスを大気中に放出した。また、セル温度が露点を超えると、電解質樹脂が乾燥するため、セル温度と露点の差が1℃以上となった時に開閉バルブ8を閉め、電池内部の湿度を適切な状態に保った。
このような運転方法により起動停止運転を行えば、 膜電極接合体が湿潤した状態にあるため、再起動時に高い電池電圧を得ることが可能となる。また、ガス流路への水の凝縮が防止されるので、再起動時のガス流路の閉塞も同時に回避される。
図1に示した構成の固体高分子電解質形燃料電池(電池A)と、燃料ガス流路側にガス空間を密閉する密閉手段のみを備え、大気放出回路や露点計、電池スタック温度測定用の温度計等の水滞留防止手段を備えていない固体高分子電解質形燃料電池(電池B)の二つの燃料電池を製作し、それぞれ起動停止試験を実施した。
図1に示した構成の固体高分子電解質形燃料電池(電池A)と、燃料ガス流路側にガス空間を密閉する密閉手段のみを備え、大気放出回路や露点計、電池スタック温度測定用の温度計等の水滞留防止手段を備えていない固体高分子電解質形燃料電池(電池B)の二つの燃料電池を製作し、それぞれ起動停止試験を実施した。
起動停止試験は、1サイクル3時間として行い、電流密度を0〜0.3A/cm2の範囲で操作し、セル温度は25〜80℃の範囲で変化させ、湿度は25〜100%RHの範囲で変化させた。電池Aでは、発電停止時に開閉バルブ6,7を閉じ、温度計10で計測される電池スタック温度が露点以下に下がると、通常閉じている開閉バルブ8を開放した。また、電池スタック温度が露点を超え、電池スタック温度と露点との差が3℃以上となった時、開閉バルブ8を閉じた。電池Bでは、発電停止時に開閉バルブ6,7を閉じて密閉し、再起動時に開閉バルブ6,7を開けて、燃料ガスを通流した。
図2は、本起動停止試験の結果を示した特性図で、起動時に非常停止が発生した回数を比較して示したもので、横軸は起動停止試験の累積回数、縦軸は起動時に非常停止が発生した回数の累積値である。また、黒丸●は電池Aの特性、黒四角■は電池Bの特性である。図に見られるように、電池Bでは、100回の起動停止試験で累積20回の非常停止が発生し、200回の起動停止試験で累積20回の非常停止が発生している。電池Bでは、発電停止時にガス中の水分が凝縮してガス流路を塞ぐ可能性があり、起動時に非常停止が発生しやすくなるためである。これに対して電池Aにおいては、起動停止試験を200回繰り返しても、起動時に非常停止することは一度も無く、大気放出回路に設けた開閉バルブ8、燃料ガス供給ライン2に備えられた露点計9、燃料電池スタック1の温度計10、開閉バルブ8を制御する制御装置11からなる水滞留防止手段が効果的に機能していることが判る。
上述のように、固体高分子電解質形燃料電池を本発明の請求項1■4のいずれかに記載のごとく水滞留防止手段を組み込んで構成すれば、発電停止時の反応ガス空間への水の凝縮を防止することができ、また、電解質膜および電解質樹脂の乾燥を防いで、電池内部の湿潤度を適正レベルに保持することができるため、この種の固体高分子電解質形燃料電池、特に起動停止が頻繁に繰り返される固体高分子電解質形燃料電池に広く適用される。
また、固体高分子電解質形燃料電池を本発明の請求項5あるいは6に記載のごとく運転すれば、組み込まれた水滞留防止手段が効果的に機能し、安定した運転が可能となるので、この種の固体高分子電解質形燃料電池の運転方法、特に起動停止が頻繁に繰り返される固体高分子電解質形燃料電池の運転方法として好適である。
1 電池スタック
1a アノード
1b カソード
2 燃料ガス供給ライン
3 燃料ガス排出ライン
6 開閉バルブ(燃料ガス供給ライン)
7 開閉バルブ(燃料ガス排出ライン)
8 開閉バルブ(大気開放ライン)
9 露点計
10 温度センサー(電池スタック中心温度測定用)
11 制御装置
1a アノード
1b カソード
2 燃料ガス供給ライン
3 燃料ガス排出ライン
6 開閉バルブ(燃料ガス供給ライン)
7 開閉バルブ(燃料ガス排出ライン)
8 開閉バルブ(大気開放ライン)
9 露点計
10 温度センサー(電池スタック中心温度測定用)
11 制御装置
Claims (6)
- 燃料電池本体内部の反応ガス空間を発電運転停止時に密閉する密閉手段を有する固体高分子電解質形燃料電池において、発電運転停止時に前記反応ガス空間への水の滞留を防ぐ水滞留防止手段を備えたことを特徴とする固体高分子電解質形燃料電池。
- 前記反応ガス空間が燃料ガス流路側の反応ガス空間であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子電解質形燃料電池。
- 前記反応ガス空間が酸化剤ガス流路側の反応ガス空間であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子電解質形燃料電池。
- 前記水滞留防止手段が、燃料電池本体内部のセルの温度を測定するセル温度計、該反応ガス空間内の露点を測定する露点計、該反応ガス空間内のガスの大気への放出を行う開閉バルブ付きの大気放出回路、ならびに、前記セル温度計の測定信号と前記露点計の測定信号を入力して、前記大気放出回路の開閉バルブへ制御信号を出力する制御装置からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の固体高分子電解質形燃料電池。
- 発電運転停止時に、前記セル温度計の測定信号と前記露点計の測定信号を前記制御装置へ入力して比較し、前記大気放出回路の開閉バルブへ制御信号を出力して大気放出量を調整しつつ運転することを特徴とする請求項4に記載の固体高分子電解質形燃料電池の運転方法。
- 前記セル温度計の測定信号より得られたセル温度T1が前記露点計の測定信号より得られた露点T2を越え、その差が1℃以上となったとき、前記開閉バルブを閉止して前記大気放出回路からの大気放出を停止して運転し、前記のセル温度T1が露点T2以下となったとき、前記開閉バルブを開放して前記大気放出回路から大気放出しつつ運転することを特徴とする請求項5に記載の固体高分子電解質形燃料電池の運転方法。
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JP2010192191A (ja) * | 2009-02-17 | 2010-09-02 | Honda Motor Co Ltd | 燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法 |
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