JP2008027674A - 燃料電池用加湿装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加湿装置の大型化を防止しつつ、燃料電池の低出力帯域から高出力帯域に渡って安定した加湿量を得るようにする。
【解決手段】加湿器10の一方の端部に第1排出ガス導入管33と第2排出ガス導入管35を設け、加湿器10の他方の端部に排出ガス流出管36を設け、加湿器10内の排出ガスの流路に、流路長の長い第1排出ガス流路Aと流路長の短い第2排出ガス流路Bとを設定する。前記第1,第2各排出ガス流路A,Bを切り替える流路切替弁53と、制御部59を備え、制御部59が排出ガスの温度や圧力,水蒸気量に基づき流路切替弁53を切替制御する。
【選択図】図1
【解決手段】加湿器10の一方の端部に第1排出ガス導入管33と第2排出ガス導入管35を設け、加湿器10の他方の端部に排出ガス流出管36を設け、加湿器10内の排出ガスの流路に、流路長の長い第1排出ガス流路Aと流路長の短い第2排出ガス流路Bとを設定する。前記第1,第2各排出ガス流路A,Bを切り替える流路切替弁53と、制御部59を備え、制御部59が排出ガスの温度や圧力,水蒸気量に基づき流路切替弁53を切替制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数本の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束を容器内に収容し、燃料電池から排出されて中空糸膜の外側を流れる排出ガスにより、中空糸膜の内部を流れて燃料電池に供給される供給ガスを加湿する燃料電池用加湿装置に関する。
一般に、燃料電池は、反応ガスである水素などの燃料ガスと空気などの酸化剤ガスを電気化学的に反応させることにより、燃料の持つ化学エネルギを直接電気エネルギに変換する装置である。
このような燃料電池においては、電解質のイオン伝導度を確保する機能が必要とされる。例えば、パーフルオロスルフォン酸高分子などの固体高分子電解質膜の多くは、電解質が湿潤した状態でイオン伝導度が確保される。このため、燃料電池に使用する反応ガスであるカソードガスやアノードガスは加湿した状態で利用する。
例えば、下記特許文献1には、中空糸膜を用いた加湿装置が記載されている。この加湿装置は、中空糸膜モジュールからなる水透過装置を複数設け、この複数の水透過装置を選択的に使い分けることで加湿量を制御し、燃料電池の低出力帯域から高出力帯域に渡って安定した露天の加湿気体を燃料電池に供給できるようにしている。
特開2001−202975号公報
しかしながら、上記した従来の加湿装置では、複数の水透過装置を設けているため装置全体として大型化し、特に移動体である車両に搭載する燃料電池システムには適用が困難となる。また、運転領域によっては使用しない水透過装置が発生し、このような不使用状態の水透過装置は、無駄なスペースを占有していることになり、装置全体の小型化を阻害している。
また、低・中・高出力帯域それぞれで異なる水透過装置を使用する制御をしているが、運転条件によっては、同一出力帯域でも要求加湿量が異なる場合があり、このような場合には適切な加湿量が得られず、対応が困難となる。
そこで、本発明は、加湿装置の大型化を防止しつつ、燃料電池の低出力帯域から高出力帯域に渡って安定した加湿量を得るようにすることを目的としている。
本発明は、複数本の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束を容器内に収容し、燃料電池から排出されて前記中空糸膜の外側を流れる排出ガスにより、前記中空糸膜の内側を流れて前記燃料電池に供給される供給ガスを加湿する加湿器からなる燃料電池用加湿装置において、前記加湿器の容器内における前記排出ガスの流路長が互いに異なる第1排出ガス流路および第2排出ガス流路と、前記排出ガスが、前記第1排出ガス流路を主として流れる状態と、前記第2排出ガス流路を主として流れる状態とに、切り替える流路切替手段と、制御手段とを備え、前記制御手段は、前記排出ガスの状態に基づいて前記流路切替手段を調整する流路切替制御部を備えることを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、加湿装置を複数設けることなく、互いに流路長の異なる第1排出ガス流路および第2排出ガス流路を、排出ガスの状態に基づき選択的に切り替えることで、排出ガスが外側を流れる中空糸膜の有効長を変化させて使用するようにしているので、加湿装置全体の大型化を防止しつつ、燃料電池の低出力帯域から高出力帯域に渡って安定した加湿量を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる加湿器10を備える燃料電池用加湿装置1の構成図である。なお、ここでの燃料電池用加湿装置1は、車両に搭載するものとして説明する。
本実施形態における燃料電池用加湿装置1は、加湿器10と、流路切替弁53と、バイパス流路切替弁57と、制御部59とからおおむね構成される。
図1において、加湿器10に接続する燃料電池3は、燃料である水素が供給されるアノードと、酸化剤ガスである酸素を含む空気が供給されるカソードとが電解質・電極触媒複合体を挟んで重ね合わせた発電セルを、多段積層したスタック構造を呈し、電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギへと変換する。
アノードでは、水素が供給されることで水素イオンと電子に解離し、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、カソードにそれぞれ移動する。カソードでは、供給された空気中の酸素と上記水素イオンおよび上記電子が反応して水が生成されて外部に排出される。
燃料電池3の電解質としては、高エネルギ密度化、低コスト化、軽量化などを考慮して、例えば固体高分子電解質を用いる。固体高分子体電解質は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜など、イオン伝導性の高分子膜からなり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能することから、この燃料電池3においては供給ガスである空気に水分を供給して加湿することが必要となる。
加湿器10は、燃料電池3のカソードから排出された水蒸気を豊富に含む排出ガス(湿潤空気)と、空気導入部で加圧、昇温された供給ガス(乾燥空気)との間で水蒸気を交換するものであり、本実施形態で使用している加湿器10は、水透過膜として中空糸膜を使用した水透過型加湿器である。
上記した水透過膜型の加湿器10では湿潤空気を中空糸膜の束である水交換部を通過させることにより、中空糸膜の毛管作用によって湿潤気体中の水分が分離され、分離された水分が中空糸膜の毛管を透過して乾燥気体に送られ加湿される。水分の透過として、湿潤気体を中空糸膜の内側に流し、乾燥気体を中空糸膜の外側に流す場合と、その逆の場合どちらでも、水交換が行われる。
このような加湿器10は、全体が円筒形状を呈しており、図2に断面図として示すように、円筒形のハウジング5の内部に中空糸膜モジュール7を収容している。中空糸膜モジュール7は、その長手方向両端(図2中で上下両端)が開口する円筒形の容器となるモジュールケース9内に、複数の中空糸膜からなる中空糸膜束11を収容している。
中空糸膜束11の上記長手方向両端部は、モジュールケース9の中心軸方向両端(図2中で上下両端)の開口部を閉塞するようにして設けてある固着部としての端板13,15によって固着してある。端板13,15は、溶融状態の樹脂からなる固着剤を固化した、いわゆるポッティング部で構成してあり、ポッティング部の内部を各中空糸膜がその長手方向(図2中で上下方向)に貫通し、端板13,15の各外側端面それぞれに、中空糸膜両端の各開口部が露出している。
すなわち、上記した中空糸膜の一方(図2中で下方)の端部における空気導入部となる開口部から乾燥した空気が流入し、この乾燥した空気が、中空糸膜内を流通することで、中空糸膜の外部に供給される湿潤状態の排出ガスにより加湿された後、中空糸膜の他方(図2中で上方)の端部における空気流出口となる開口部からモジュール外部へ流出した後、燃料電池3に供給される。
燃料電池3では、上記加湿後の空気の供給を、空気供給通路17を通して受けるとともに、図示しない水素タンクなどの水素供給源から水素の供給を、水素供給通路19を通して受けることで発電する。
ここで加湿器10に供給する乾燥空気は、コンプレッサ21により圧縮して中空糸膜の内部に水素供給通路23を通して供給される。水素供給通路23には、ここを流れる乾燥状態の供給ガスの流量および温度を検出する供給ガス検出部25を設けている。すなわち、供給ガス検出部25は、供給ガスの流量を検出する供給ガス流量測定装置および供給ガスの温度を検出する供給ガス温度センサを含んでいる。
燃料電池3での発電後の空気の排出ガスは、反応によって生成された水分を含んでいて、湿潤状態の加湿ガスであり、空気排出通路27を通って前記した中空糸膜の外部に供給される。空気排出通路27には、ここを流れる湿潤状態の排出ガスの温度,圧力,水分量(水蒸気量),相対湿度および体積流量を検出する排出ガス検出部29を設けている。すなわち、排出ガス検出部29は、排出ガスの温度を検出する温度センサ(排出ガス温度検出手段),同水蒸気量を検出する水蒸気量測定装置(排出ガス水蒸気量検出手段),同圧力を検出する圧力センサ(排出ガス圧力検出手段),同相対湿度を検出する湿度センサ(排出ガス相対湿度検出手段)および同体積流量を検出する体積流量測定装置(排出ガス体積流量検出手段)を含んでいる。
一方、燃料電池3での発電によって消費されずに残った水素は、水素排出通路31を通って外部に排出され、図示しない水素循環装置によって再度燃料電池3に供給するよう循環させる。
図2に示すように、加湿器10におけるモジュールケース9には、供給ガス出口側の端板13近傍位置に、第1排出ガス流入口9aを円周方向に沿って複数設けるとともに、第1排出ガス流入口9aよりも端板13から遠い位置の第1排出ガス流入口9a近傍位置に、第2排出ガス流入口9bを円周方向に沿って複数設けている。また、モジュールケース9の供給ガス入口側の端板15近傍位置には、排出ガス流出口9cを円周方向に沿って複数設けている。
そして、円周方向一部位(図2中で左側部位)の第1排出ガス流入口9aに対応する位置のハウジング5には、第1排出ガス導入管33を接続し、同様にして第2排出ガス流入口9bに対応する位置のハウジング9には、第2排出ガス導入管35を接続する。また、上記円周方向一部位に対向する側の他の部位(図2中で右側)の排出ガス流出口9cに対応する位置のハウジング5には、排出ガス流出管36を接続する。
また、ハウジング5とモジュールケース9との間には、第1排出ガス導入管33と第2排出ガス導入管35との間の位置に環状のシール材37を、第2排出ガス導入管35のシール材37と反対側近傍位置に環状のシール材39を、排出ガス流出管36の端板15と反対側近傍位置に環状のシール材41を、さらに端板13,15にそれぞれ対応する位置に環状の端部シール材43,45を、それぞれ嵌入している。
これにより、シール材37と端部シール材43との間に環状の第1排出ガス導入空間47が、シール材37とシール材39との間に環状の第2排出ガス導入空間49がそれぞれ形成され、シール材41と端部シール材45との間に環状の排出ガス流出空間51が形成される。
すなわち、第1排出ガス導入管33から第1排出ガス導入空間47および第1排出ガス流入口9aを経て、モジュールケース9内の中空糸膜の外部に、加湿ガスである空気の排出ガスが流入して流通し、また第2排出ガス導入管35から第2排出ガス導入空間49および第2排出ガス流入口9bを経て、モジュールケース9内の中空糸膜の外部に、加湿ガスである空気の排出ガスが流入して流通する。そして、これら排出ガスは、中空糸膜の内部を流れる被加湿ガスである供給ガスを加湿した後、排出ガス流出口9cおよび排出ガス流出空間51を経て排出ガス流出管36から外部へ流出する。
したがって、モジュールケース9内の中空糸膜モジュール7においては、図1に示すように、排出ガスの流路長が互いに異なる第1排出ガス流路Aおよび第2排出ガス流路Bが存在することになり、ここでは、第1排出ガス流路Aを、第1排出ガス流入口9aから排出ガス流出口9cに向けて流れる流路として流路長が長いものとし、第2排出ガス流路Bを、第2排出ガス流入口9bから排出ガス流出口9cに向けて流れる流路として流路長が短いものとする。
なお、図1に破線および一点鎖線でそれぞれ示してある第1排出ガス流路Aおよび第2排出ガス流路Bの経路は、この各経路に沿って排出ガスが流れるわけではなく、流路長を特定するために便宜上示したに過ぎず、実際には図2に示す第1排出ガス流入口9a,第2排出ガス流入口9bと排出ガス流出口9cとの間におけるモジュールケース9内の中空糸膜束11のほぼ全域にわたって排出ガスが浸透して流れていく。
また、第1排出ガス導入管33と第2排出ガス導入管35は、その上流側で互いに接続して前記した空気排出通路27に接続している。第1排出ガス導入管33と第2排出ガス導入管35との接続部には、排出ガスが、上記した第1排出ガス流路Aを流れる状態と、第2排出ガス流路Bを流れる状態とに、排出ガスの温度や圧力などの状態に基づいて切り替える流路切替弁(流路切替手段)53を設置する。
また、流路切替弁53と排出ガス検出器29との間の空気排出通路27には、排出ガスが、モジュールケース9内の前記した第1排出ガス流路Aおよび第2排出ガス流路Bを備える加湿器10をバイパスするバイパス流路55の一端を接続し、バイパス流路55の他端を排出ガス流出管36に接続する。
上記したバイパス流路55と空気排出通路27との接続部には、排出ガスが、前記した第1排出ガス流路Aと第2排出ガス流路Bとの少なくも一方を流れる状態と、バイパス流路55を流れる状態とに切り替えるバイパス流路切替弁(バイパス流路切替手段)57を設置する。
制御部(制御手段)59は、排出ガスの状態に基づいて流路切替弁53の開度を調整する流路切替制御部59aと、バイパス流路切替弁57の開度を調整するバイパス流路制御部59bと、温度センサで検出される温度と所定温度とを比較する排出ガス温度比較部59cと、水蒸気量測定装置で検出される水蒸気量と所定水蒸気量とを比較する排出ガス水蒸気量比較部59dと、排出ガス圧力センサで検出される圧力と所定圧力とを比較する排出ガス圧力比較部59eと、排出ガスの水蒸気量と温度から排出ガスの相対湿度を算出する相対湿度演算部59fとを備えている。
制御部59は、前記した供給ガス検出部25および排出ガス検出部29の検出信号を取り込み、これに基づき流路切替弁53およびバイパス流路切替弁57を切り替え制御する。
次に、上記した燃料電池システムの加湿装置1における排出ガス流路の切替制御について、制御部59の制御動作を示す図3のフローチャートに基づき説明する。
まず、燃料電池システムの運転が開始されたか否かを判断し(ステップS101)、運転が開始されて排出ガスが空気排出通路27を流れている場合は、排出ガス温度比較部59cが、排出ガス検出部29により検出した排出ガスの温度が、第1所定温度より低い第3所定温度以下か、または第1所定温度より高い第2所定温度以上かどうか判断する(ステップS102)。
ここで第1所定温度は60℃、第2所定温度は100℃、第3所定温度は10℃とする。
排出ガスは、第3所定温度である10℃以下であると、水蒸気分圧がほとんどないため加湿器10として機能をなさず、したがってこの場合には、バイパス流切替路制御部59bが、排出ガスがバイパス流路55を流れるようにバイパス流路切替弁57を切り替える(ステップS103)。加湿器10が不必要なときに、排出ガスを加湿器10に流さないことで、中空糸膜の膜疲労が低減し、膜寿命の向上につながる。
一方、排出ガスが第2所定温度である100℃以上の場合には、排出ガスが湿潤状態(RH100%)でも中空糸膜の膜性能劣化が発生する温度であり、100℃以上となった場合には、中空糸膜の膜表面の組成変化や細孔径が大きくなるために、ガス自体が膜を透過するクロスリーク量の増大および性能低下の要因となる。したがって、この場合にも、バイパス流路制御部59bが、排出ガスがバイパス流路55を流れるようにバイパス流路切替弁57を切り替えて(ステップS103)、中空糸膜を保護する。
また、排出ガス温度が10℃を超え100℃を下回る温度(ステップS102でNO)では、排出ガスが乾燥状態(RH0%)でも中空糸膜の性能劣化が発生しない温度である。このような場合には、排出ガス温度比較部59cが、排出ガスの温度が第1所定温度である60℃以下か否かを判断する(ステップS104)。すなわち、ステップS104では、排出ガスの温度が10℃を超えかつ60℃以下か否かを判断する。
排出ガスの温度が60℃以下では、中空糸膜に含まれる水分が乾燥しずらく、性能劣化を起こしにくい。排出ガス温度が60℃以下の場合には、水蒸気分圧が低くなるため、排出ガスが流路長の長い第1排出ガス流路Aを流れるように、流路切替制御部59aが、流路切替弁53を切り替える(ステップS105)。これにより、中空糸膜全体を有効利用して加湿性能を高める。
なお、上記した第1,第2所定温度は、排出ガスと供給ガスのうち高い方の温度を用いてもよい。
排出ガス温度が、60℃を超え100℃未満の場合(ステップS104でNO)には、制御部59に含まれる排出ガス湿度比較部が、相対湿度演算部59fにより算出した排出ガスの相対湿度が所定湿度である100%であるか否かを判断する(ステップS106)。
中空糸膜に含まれる水分が乾燥しない条件は、60℃を上回った場合は、排出ガスの相対湿度が閾値となる。ここでは排出ガスの相対湿度がRH100%未満の場合(ステップS106でNO)には膜表面の乾燥要因となるため、バイパス流路制御部59bが、排出ガスがバイパス流路55に流れるようにバイパス流路切替弁57を切り替えて(ステップS103)、中空糸膜の性能低下を防止する。
一方、相対湿度が100%の場合(ステップS106でYES)には、排出ガス中に含まれる水蒸気量を排出ガス検出部29が検出し、排出ガス水蒸気量比較部59cが、この検出水蒸気量(水分の絶対量)が、第1所定水蒸気量以下または第1所定水蒸気量より多い第2所定水蒸気量以上か否かを判断する(ステップS107)。
前記したステップS106までが主に加湿装置1の性能低下防止診断である。燃料電池3の出力性能を向上させるためには、加湿器10が常に安定した加湿性能を維持する必要があり、上記までの診断は必要不可欠である。
前記ステップS107で、排出ガス中に含まれる水蒸気量が、第1所定水蒸気量以下または第1所定水蒸気量より大きい第2所定水蒸気量以上の場合(ステップS107でYES)には、さらに、排出ガス水蒸気量比較部59dが、排出ガスの水蒸気量が第2所定水蒸気量より多い第3所定水蒸気量以上か否かを判断する(ステップS108)。すなわち、ステップS107では、第1所定水蒸気量以下と、第1所定水蒸気量より多い第2所定水蒸気量以上との二つの条件のうち少なくとも一つの条件を満たすかどうかを判断している。
第1所定水蒸気量は、定常アイドル運転時に排出ガスに流れてくる(含まれる)最大の水分量として規定している。ここでステップS107からS108の判断で、水蒸気量が第1所定水蒸気量以下となった場合(ステップS108でNO)には、アイドル運転時であり、排出ガスは水蒸気分圧がほとんどないため、流路切替制御部59aが、流路長の長い第1排出ガス流路Aを流れるように、流路切替弁53を切り替える(ステップS105)。これにより、中空糸膜全体を有効利用して加湿性能を高める。
また、ステップS107からS108の判断で、第2所定水蒸気量以上、第3所定水蒸気量未満となった場合(ステップS108でNO)は、最も加湿量を必要とする登坂走行時などとなる。この場合にも、流路切替制御部59aが、排出ガスが流路長の長い第1排出ガス流路Aを流れるように、流路切替弁53を切り替える(ステップS105)。これにより、中空糸膜全体を有効利用して加湿性能を高める。
水蒸気量が、前記した第3所定水蒸気量以上の場合(ステップS108でYES)は主に露点温度であり、第3所定水蒸気量以上になると、排出ガス中の水分が凝縮し、詰まりなどの原因となるため、バイパス流路制御部59bが、排出ガスがバイパス流路55を流れるようにバイパス流路切替弁57を切り替える(ステップS103)。これにより、中空糸膜モジュール7内での凝縮水溜まりを防止するとともに、水蒸気量過多の排出ガスを加湿器10に流さないことで、中空糸膜の膜疲労が低減し、膜寿命の向上につながる。
一方、排出ガスの水蒸気量が、第1所定水蒸気量より多く、第2所定水蒸気量より少ない主に中負荷運転条件(ステップS107でNO)では、排出ガス圧力比較部59eが、排出ガス検出部29により検出した排出ガスの圧力が所定圧力以上か否かを判断し(ステップS109)、所定圧力以上であれば、ガス圧力が比較的高く、体積流量(ノルマル流量)が低下することから、排出ガスの加湿器10内での滞留時間が長くなりすぎるので、加湿性能を抑えるために、流路切替制御部59aが、排出ガスが流路長の短い第2排出ガス流路Bを流れるように、流路切替弁53を切り替える(ステップS110)。
また、排出ガスの圧力が所定圧力より低い場合(ステップS109でNO)には、上記とは逆に、排出ガスは圧力が比較的低く加湿器10内での滞留時間が短くなるので、加湿量を高めるために、流路切替制御部59aが、排出ガスが流路長の長い第1排出ガス流路Aを流れるように、流路切替弁53を切り替える(ステップS105)。
すなわち、上記した実施形態では、排出ガスの温度が、前記第1所定温度(60℃)より高い第2所定温度(100℃)以上と、第1所定温度より低い第3所定温度(10℃)以下と、第1所定温度より高く第2所定温度より低く、かつ排出ガス中の水蒸気量が、第2所定水蒸気量より多い第3所定水蒸気量以上との三つの条件のうち少なくとも一つの条件を満たすときに、バイパス流路55に切り替えている。
なお、上記した例では、流路切替弁53を切り替えることで、排出ガスが第1排出ガス流路Aと第2排出ガス流路Bとのいずれか一方にのみ流れるようにしているが、流路切替弁53を開度調整可能な構成とし、開度調整することで、第1排出ガス流路Aと第2排出ガス流路Bとの双方に、排出ガスを適宜流量調整しながら流すようにしてもよい。これにより、加湿装置1に対しより細かな排出ガス流量制御ができ、加湿器10の加湿性能および燃料電池の出力性能をより一層高めることができる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係わる加湿器10Aを備える燃料電池用加湿装置1Aの構成図、図5は加湿器10Aの断面図である。この実施形態は、前記図1に示した第1の実施形態における第2排出ガス導入管35および流路切替弁53を廃止した上で、排出ガス流出管36の端板15と反対側の排出ガス流出管36近傍に、第2排出ガス流出管となる他の排出ガス流出管61を設けるとともに、排出ガス流出管36と他の排出ガス流出管61との接続部に流路切替弁63を設置する。
なお、以後第2の実施形態における説明では、排出ガス流出管36を第1排出ガス流出管36、排出ガス流出管61を第2排出ガス流出管61とする。
上記の構成に対応して、図5の断面図に示すように、第1の実施形態に対し前記図2における第2排出ガス流入口9bおよびシール材39を廃止した上で、第2排出ガス流出管61に対応する位置のモジュールケース9には、第2排出ガス流出口9dを円周方向に沿って複数設けるとともに、第2排出ガス流出管61のシール材41と反対側近傍位置のハウジング5とモジュールケース9との間には、環状のシール材65を設けている。したがって、ここでは、シール材41とシール材65との間に環状の第2排出ガス流出空間67が形成される。
なお、第2の実施形態では、排出ガス流出口9cを第1排出ガス流出口9cとし、シール材41と端部シール材45との間の環状の排出ガス流出空間51を、第1排出ガス流出空間51とする。
上記した第2の実施形態では、加湿器10Aの排出ガス入口側に一つの排出ガス導入管33を設け、排出ガス出口側には、第1排出ガス流出管36と第2排出ガス流出管61を設けている。したがって、第2の実施形態の加湿器10Aでは、モジュールケース9内において、図4に示すように、排出ガスの流路長が互いに異なる第1排出ガス流路Cおよび第2排出ガス流路Dが存在することになり、ここでは、第1排出ガス流路Cが、排出ガス流入口9aから第1排出ガス流出口9cに向けて流れる流路として流路長が長いものとし、第2排出ガス流路Dを、排出ガス流入口9aから第2排出ガス流出口9dに向けて流れる流路として流路長が短いものとする。
なお、図1における第1排出ガス流路Aおよび第2排出ガス流路Bと同様に、図4に破線および一点鎖線でそれぞれ示してある第1排出ガス流路Cおよび第2排出ガス流路Dの経路は、この各経路に沿って排出ガスが流れるわけではなく、流路長を特定するために便宜上示したに過ぎず、実際には図4に示す排出ガス流入口9aと、第1排出ガス流出口9c,第2排出ガス流出口9dとの間におけるモジュールケース9内の中空糸膜束のほぼ全域にわたって排出ガスが浸透して流れていく。
上記した第2の実施形態においては、第1の実施形態における流路切替弁53に代えて流路切替弁63を、前記図3のフローチャートによる制御動作と同様にして、排出ガスが第1排出ガス流路Cを流れる状態と、第2排出ガス流路Dを流れる状態とに切り替えるとともに、バイパス流路切替弁57についても同様に切り替えることで、加湿器10Aの加湿性能および燃料電池3の出力性能を高めることができるなど、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
図6は、本発明の第3の実施形態に係わる加湿装置の排出ガス流路の切替制御動作を示す、前記図3に対応するフローチャートである。第3の実施形態に係わる加湿装置は、第1の実施形態に関わる構成に対し、排出ガス検出部29が、燃料電池3から排出される排出ガスの体積流量を検出する排出ガス体積流量測定装置をさらに備え、制御部59が、排出ガス体積流量測定装置で検出される体積流量と所定体積流量とを比較する排出ガス体積流量比較部59gをさらに備える。
この実施形態は、ステップS201からステップS208までが、第1の実施形態のS101からS108と同一である。ここでは、排出ガスの温度や圧力,水蒸気量に加え、圧力判断値を多段階とするとともに、排出ガスの体積流量および供給ガスの加湿器10への入口ガス温度(供給ガス検出部25で検出)をも考慮することで、中空糸膜における膜の特性を生かした制御を行って過渡応答にも対応し、より精度のよい加湿制御が可能となる。
中空糸膜における膜の特性としては、排出ガスの体積流量が多くなるほど膜での滞留時間が短くなるため、図7の実線a,b,c,dに示すように、体積流量の増加に伴って加湿量が少なくなって加湿性能が低下し、また、同一体積流量でも運転圧力が高いほうが(実線aが最運転圧高で、実線dが運転圧低)、膜表面にて水分が凝縮しやすくなるため加湿量が多くなって加湿性能が向上する。
また、供給ガス温度が高いほど、膜表面に水分が凝縮(毛細管凝縮)しにくくなるため、加湿量が少なくなって加湿性能は低下する。
前述の第1の実施形態でも説明したように、ステップS207からS208の判断で、排出ガス中の水蒸気量が、第2所定水蒸気量以上、第3所定水蒸気量未満となった場合(ステップS208でNO)は、主に登坂走行時の条件となるが、環境条件が乾熱条件下では、供給ガスの温度は高くなり、加湿器10としての性能条件としては最も厳しくなる(排出ガス流量多かつ供給ガス温度高)。
そこで、ステップS208でNOとなった場合に、排出ガス温度比較部59cが、供給ガス温度が所定温度以上か否かを判断し(ステップS214)、供給ガス温度が所定温度以上の場合(ステップS214でYES)に、流路切替制御部59aが、排出ガスが流路長の長い第1排出ガス流路AまたはCを流れるように、流路切替弁53または63を切り替える(ステップS205)。これにより、中空糸膜全体を有効利用して加湿性能を高める。
逆に、供給ガス温度が所定温度未満(ステップS214でNO)の場合には、流路切替制御部59aが、加湿性能を抑えるために、排出ガスが流路長の短い第2排出ガス流路BまたはDを流れるように、流路切替弁53または63を切り替える(ステップS210)。
また、ステップS207にて排出ガスに含まれる水分量が第1所定水蒸気量より多く、第2所定水蒸気量より少ない場合には(ステップS207でNO)、排出ガス圧力比較部59eが、排出ガスの圧力が所定圧力である第1所定圧力以上か否かを判断する(ステップS210)。この圧力基準値は前記図7に示す運転圧力線eをベースに判断している。
上記したステップS210では、アイドル運転条件から中負荷運転条件に以降する際の診断になり、排出ガス圧力が第1所定圧力より低い場合(ステップS210でNO)には、排出ガスの膜内での滞留時間が短くなるため、流路切替制御部59aが、加湿量を増大させるべく排出ガスが流路長の長い第1排出ガス流路AまたはCを流れるように、流路切替弁53または63を切り替える(ステップS205)。
逆に、排出ガス圧力が第1所定圧力以上の場合(ステップS210でYES)には、排出ガス圧力比較部59eが、排出ガスの圧力が図7に示す、第1所定圧力より高い他の所定圧力となる第2所定圧力以上か否かを判断する(ステップS211)。ここで、第2所定圧力未満の場合(ステップ211でNO)、すなわち排出ガス圧力が第1所定圧力以上で第2所定圧力未満の場合には、ガス圧力が比較的高く、排出ガスの加湿器10内での滞留時間が、第1所定圧力未満のときに比較して長くなりすぎるので、流路切替制御部59aが、加湿性能を抑えるために、排出ガスが流路長の短い第2排出ガス流路BまたはDを流れるように、流路切替弁53または63を切り替える(ステップS210)。
また、前記ステップS211で、排出ガスの圧力が第2所定圧力以上と判断した場合には、排出ガス体積流量比較部59gが、排出ガスの体積流量が所定流量以上か否かを判断する(ステップS213)。ここで、体積流量が所定流量未満(ステップS213でNO)の場合には、排出ガスの中空糸膜における膜での滞留時間が長くなるため、流路切替制御部59aが、加湿性能を抑えるために、排出ガスが流路長の短い第2排出ガス流路BまたはDを流れるように、流路切替弁53または63を切り替える(ステップS210)。
逆に、排出ガスの体積流量が所定流量以上の場合(ステップS213でYES)には、前記したステップS214にて供給ガスの温度を考慮して、加湿器10内の排出ガス流路長を選択する。すなわち、供給ガス温度が所定温度以上の場合(ステップS214でYES)に、流路切替制御部59aが、排出ガスが流路長の長い第1排出ガス流路AまたはCを流れるように、流路切替弁53または63を切り替えて(ステップS205)、中空糸膜全体を有効利用して加湿性能を高める一方、供給ガス温度が所定温度未満(ステップS214でNO)の場合には、流路切替制御部59aが、加湿性能を抑えるために、排出ガスが流路長の短い第2排出ガス流路BまたはDを流れるように、流路切替弁53または63を切り替える(ステップS210)。
上記したように、第3の実施形態においては、第2の実施形態に対し、排出ガスの圧力判断値を多段階とするとともに、排出ガスの体積流量および供給ガス温度を判断項目とすることで、燃料電池3の低出力帯域から高出力帯域の全運転領域にわたり的確な加湿量に制御可能となる。
加湿量が不充分であると、電解質膜の乾燥によりプロトン移動抵抗が大きくなり、抵抗分極が増大するため、燃料電池3の出力性能(発電効率)が悪くなる。逆に、加湿量過多の場合は、水詰まりにより酸化剤ガスの拡散が阻害され燃料電池3の出力性能が悪くなる。
本実施形態では、上記したように加湿量を運転条件(定常、過渡)に応じて制御可能となるため燃料電池3の出力性能を向上させることが可能となる。
この際、本実施形態における燃料電池用加湿装置1,1Aは、加湿器10,10Aを複数設けず、中空糸膜モジュール7内の排出ガス流路長を切り替えるようにしているので、燃料電池システム全体の小型化が可能であり、特に移動体である車両に搭載する燃料電池システムについても容易に適用可能である。
なお、前記した第1の実施形態では、第1排出ガス流路Aに対応する第1排出ガス導入管33や第1排出ガス流入口9aからなる排出ガス導入部形状と、第2排出ガス流路Bに対応する第2排出ガス導入管35や第2排出ガス流入口9bからなる排出ガス導入部形状とは、互いに同等としているが、これら排出ガスの導入部の流路内径を適宜変化させることで、排出ガス導入部のガス流速を制御するようにしても構わない。また、この排出ガス導入部の内径をテーパ−状に変化させる構成としてもよい。
1,10A 燃料電池用加湿装置
A,C 流路長の長い第1排出ガス流路
B,D 流路長の短い第2排出ガス流路
3 燃料電池
9 モジュールケース(容器)
9a 第1排出ガス流入口,排出ガス流入口
9b 第2排出ガス流入口
9c 排出ガス流出口,第1排出ガス流出口
9d 第2排出ガス流出口
10,10A 加湿器
11 中空糸膜束
29 排出ガス検出部(温度センサ,水蒸気量測定装置,圧力センサ,相対湿度測定装置)
53,63 流路切替弁
55 バイパス流路
57 バイパス流路切替弁
59 制御部
A,C 流路長の長い第1排出ガス流路
B,D 流路長の短い第2排出ガス流路
3 燃料電池
9 モジュールケース(容器)
9a 第1排出ガス流入口,排出ガス流入口
9b 第2排出ガス流入口
9c 排出ガス流出口,第1排出ガス流出口
9d 第2排出ガス流出口
10,10A 加湿器
11 中空糸膜束
29 排出ガス検出部(温度センサ,水蒸気量測定装置,圧力センサ,相対湿度測定装置)
53,63 流路切替弁
55 バイパス流路
57 バイパス流路切替弁
59 制御部
Claims (13)
- 複数本の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束を容器内に収容し、燃料電池から排出されて前記中空糸膜の外側を流れる排出ガスにより、前記中空糸膜の内側を流れて前記燃料電池に供給される供給ガスを加湿する加湿器からなる燃料電池用加湿装置において、
前記加湿器の容器内における前記排出ガスの流路長が互いに異なる第1排出ガス流路および第2排出ガス流路と、
前記排出ガスが、前記第1排出ガス流路を主として流れる状態と、前記第2排出ガス流路を主として流れる状態とに、切り替える流路切替手段と、
制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記排出ガスの状態に基づいて前記流路切替手段を調整する流路切替制御部を備えることを特徴とする燃料電池用加湿装置。 - 前記容器の一方の端部付近に、前記第1排出ガス流路および第2排出ガス流路にそれぞれ対応して前記排出ガスを前記容器内に流入させる第1排出ガス流入口および第2排出ガス流入口を設ける一方、前記容器の他方の端部付近に、前記第1排出ガス流路および第2排出ガス流路の下流側に連通して前記容器内の排出ガスを容器外部に流出させる排出ガス流出口を設け、前記第1排出ガス流入口と前記第2排出ガス流入口の、前記容器の一方の端部からの距離を互いに異ならせ、
前記流路切替制御部は、前記第1排出ガス流入口に主として排出ガスが流入する状態と、前記第2排出ガス流入口に主として排出ガスが流入する状態とに、前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用加湿装置。 - 前記容器の一方の端部付近に、前記第1排出ガス流路および第2排出ガス流路の上流側に連通して前記排出ガスを前記容器内に流入させる排出ガス流入口を設ける一方、前記容器の他方の端部付近に、前記第1排出ガス流路および第2排出ガス流路にそれぞれ対応して前記容器内の排出ガスを容器外部に流出させる第1排出ガス流出口および第2排出ガス流出口を設け、前記第1排出ガス流出口と前記第2排出ガス流出口の、前記容器の他方の端部からの距離を互いに異ならせ、
前記流路切替制御部は、前記第1排出ガス流出口から主として排出ガスが流出する状態と、前記第2排出ガス流出口から主として排出ガスが流出する状態とに、前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用加湿装置。 - 前記流路切替制御部が、排出ガスの状態に基づいて前記流路切替手段を調整することは、前記排出ガスの温度と、前記排出ガス中の水蒸気量と、前記排出ガスの圧力と、前記排出ガスの体積流量と、前記供給ガスの温度との少なくともいずれか一つの状態量に基づいて、前記排出ガスが、前記第1排出ガス流路を主として流れる状態と、前記第2排出ガス流路を主として流れる状態とに、前記流路切替手段を切り替えることであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の燃料電池用加湿装置。
- 前記燃料電池から排出される前記排出ガスの温度を検出する排出ガス温度検出手段を備え、
前記制御手段は、前記排出ガス温度検出手段で検出される温度と所定温度とを比較する排出ガス温度比較部を備え、
前記排出ガス温度比較部が、前記温度が、前記中空糸膜に含まれる水分が乾燥しない第1所定温度以下と判定するときに、前記流路切替制御部は、前記第1,第2排出ガス流路のうち流路長の長い流路に排出ガスが主として流れる状態に、前記流路切替手段を切り替え、
前記排出ガス温度比較部が、前記温度が前記第1所定温度より高いと判定するときに、前記流路切替制御部は、前記排出ガス中の水蒸気量に基づいて、前記排出ガスが、前記第1排出ガス流路を主として流れる状態と、前記第2排出ガス流路を主として流れる状態とに、前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用加湿装置。 - 前記燃料電池から排出される排出ガス中の水蒸気量を検出する排出ガス水蒸気量検出手段を備え、
前記制御手段は、前記排出ガス水蒸気量検出手段で検出される水蒸気量と所定水蒸気量とを比較する排出ガス水蒸気量比較部を備え、
前記排出ガス水蒸気量比較部が、前記水蒸気量が、定常アイドル運転時での前記排出ガス中に含まれる最大の水分量である第1所定水蒸気量以下または、第1所定水蒸気量より多く中負荷運転を超える運転域に対応する第2所定水蒸気量以上と判定するときに、前記流路切替制御部は、前記第1,第2排出ガス流路のうち流路長の長い流路に排出ガスが主として流れる状態に切り替え、
前記排出ガス水蒸気量比較部が、前記水蒸気量が前記第1所定水蒸気量より多くかつ前記第2所定水蒸気量より少ないと判定するときに、前記流路切替制御部は、前記排出ガスの圧力に基づいて、前記排出ガスが、前記第1排出ガス流路を主として流れる状態と、前記第2排出ガス流路を主として流れる状態とに、前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池用加湿装置。 - 前記水蒸気量が、前記第2所定水蒸気量以上であるとき、
前記排出ガス水蒸気量比較部が、前記水蒸気量が、前記第2所定水蒸気量以上でかつ、第2所定水蒸気量より多く露点温度となる第3所定水蒸気量より少ないと判定するときは、前記流路切替制御部は、前記第1,第2排出ガス流路のうち流路長の長い流路に排出ガスが主として流れる状態に、前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池用加湿装置。 - 前記燃料電池から排出される前記排出ガスの圧力を検出する排出ガス圧力検出手段を備え、
前記制御手段は、前記排出ガス圧力検出手段で検出される圧力と所定圧力とを比較する排出ガス圧力比較部を備え、
前記水蒸気量が、前記第1所定水蒸気量より多くかつ前記第2所定水蒸気量より少ないとき、
前記排出ガス圧力比較部が、前記圧力が、排出ガスの前記中空糸膜外側を流れる際の滞留時間が長くなる所定圧力以上と判定するときに、前記流路切替制御部は、前記第1,第2排出ガス流路のうち流路長の短い流路に排出ガスが主として流れる状態に、前記流路切替手段を切り替え、
前記排出ガス圧力比較部が、前記圧力が前記所定圧力より低いと判定するときに、
前記流路切替制御部は、前記第1,第2排出ガス流路のうち流路長の長い流路に排出ガスが主として流れる状態に、前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項6または7に記載の燃料電池用加湿装置。 - 前記燃料電池から排出される排出ガスが前記容器内の第1排出ガス流路および第2排出ガス流路をバイパスするバイパス流路と、
前記排出ガスが、前記第1排出ガス流路と前記第2排出ガス流路との少なくとも一方を流れる状態と、前記バイパス流路を流れる状態とに切り替えるバイパス流路切替手段とをそれぞれ備え、
前記制御手段は、前記バイパス流路切替手段の流路を調整するバイパス流路制御部を備え、
前記排出ガス温度比較部が、前記温度が、前記中空糸膜に含まれる水分が乾燥しない第1所定温度より高く、前記中空糸膜の膜性能劣化が発生する第2所定温度以上と判定するとき、または、
前記排出ガス温度比較部が、前記排出ガスの温度が、前記第1所定温度より低く前記排出ガスの水蒸気分圧がない第3所定温度以下と判定するとき、または、
前記排出ガス温度比較部が、前記排出ガスの温度が、前記第1所定温度より高く前記第2所定温度より低いと判定し、かつ前記排出ガス水蒸気量比較部が、前記水蒸気量が、前記第2所定水蒸気量より多く露点温度となる第3所定水蒸気量以上と判定するとき、
前記バイパス流路制御部は、前記排出ガスが前記バイパス流路を流れる状態に、前記バイパス流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項4ないし8のいずれか1項に記載の燃料電池用加湿装置。 - 前記制御手段は、前記排出ガスの水蒸気量と前記排出ガスの温度から前記排出ガスの相対湿度を算出する相対湿度演算部と、
前記相対湿度演算部で算出される相対湿度と所定湿度とを比較する排出ガス湿度比較部とを備え、
前記排出ガス湿度比較部が、前記相対湿度が、前記中空糸膜が乾燥しない所定湿度より低いと判定するときに、前記バイパス流路制御部は、前記排出ガスが前記バイパス流路を流れる状態に、前記バイパス流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1項に記載の燃料電池用加湿装置。 - 前記燃料電池から排出される前記排出ガスの体積流量を検出する排出ガス体積流量検出手段を備え、
前記排出ガス圧力比較部が、前記圧力が、前記所定圧力より高い他の所定圧力以上と判定するとき、
前記流路切替制御部は、前記体積流量に基づいて、前記排出ガスが、前記第1排出ガス流路を主として流れる状態と、前記第2排出ガス流路を主として流れる状態とに、前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池用加湿装置。 - 前記制御手段は、前記排出ガス体積流量検出手段で検出される体積流量と所定体積流量とを比較する排出ガス体積流量比較部を備え、
前記排出ガス水蒸気量比較部が、前記水蒸気量が、前記第2所定水蒸気量以上でかつ前記第3所定水蒸気量未満と判定するとき、または、
前記排出ガス体積流量比較部が、前記体積流量が、排出ガスの前記中空糸膜外側を流れる際の滞留時間が短くなる所定体積流量以上と判定するとき、
前記流路切替制御部は、前記供給ガスの温度に基づいて、前記排出ガスが、前記第1排出ガス流路を主として流れる状態と、前記第2排出ガス流路を主として流れる状態とに、前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池用加湿装置。 - 前記流路切替制御部が、前記供給ガスの温度に基づいて、前記流路切替手段を切り替えることは、
前記排出ガス温度比較部が、前記供給ガスの温度が、前記中空糸膜の膜表面に水分が凝縮しにくくなる所定温度以上と判定するときに、前記流路切替制御部が、前記第1,第2排出ガス流路のうち流路長の長い流路に排出ガスが主として流れる状態に、前記流路切替手段を切り替え、
前記排出ガス温度比較部が、前記供給ガスの温度が前記所定温度未満と判定するときに、前記流路切替制御部が、前記第1,第2排出ガス流路のうち流路長の短い流路に排出ガスが主として流れる状態に、前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項12に記載の燃料電池用加湿装置。
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