JP2008077751A - 磁気ディスク検査用のヘッドスライダ及びグライドハイト検査装置 - Google Patents

磁気ディスク検査用のヘッドスライダ及びグライドハイト検査装置 Download PDF

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啓 平林
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Abstract

【課題】磁気ディスク上に存在する非常に微細な突起に十分に対応した、精度の高いグライドハイトの検査を確実に実施することができるヘッドスライダを提供する。
【解決手段】ABSを有する基板と、この基板の素子形成面に形成されており、ABS側のスライダ端面の一部を突出させるために発熱し、さらに突出したスライダ端面の一部及び磁気ディスク表面の突起における接触又は衝突を感知するための発熱抵抗部とを備えている磁気ディスク検査用のヘッドスライダが提供される。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気ディスク表面に存在する微細な突起の有無及びその高さ(グライドハイト)を検査するために用いられるヘッドスライダ、このヘッドスライダを備えたグライドハイト検査装置に関する。さらに、磁気ディスク表面との接触又は衝突を感知することができる薄膜磁気ヘッド、この薄膜磁気ヘッドを備えたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)及びこのHGAを備えた磁気ディスク装置に関する。
磁気ディスク装置が備えている薄膜磁気ヘッドは、信号の書き込み又は読み出しに際して、回転する磁気記録媒体である磁気ディスク上において流体力学的に所定の間隙(浮上量)をもって浮上する。薄膜磁気ヘッドは、この浮上状態において、書き込みヘッド素子である電磁コイル素子を用いて信号磁界を磁気ディスクに印加してデータ信号の書き込みを行い、読み出しヘッド素子である磁気抵抗(MR)効果素子を用いて磁気ディスクからの信号磁界を感受してデータ信号の読み出しを行う。
近年の磁気ディスク装置の大容量小型化に伴う高記録密度化に対応して、薄膜磁気ヘッドのトラック幅はより小さな値に設定されている。また、この狭トラック幅化によって懸念される書き込み及び読み出し能力の低下を回避するために、最近の磁気ディスク装置においては、浮上量をより低下させており、実際、浮上量は10nm程度又はそれを下回る値に設定されている。
このように浮上量が10nmを下回ると、薄膜磁気ヘッドが磁気ディスク表面に接触し易くなるばかりでなく、このヘッドが磁気ディスク表面にもともと存在する微細な突起に衝突する確率が高くなり、接触又は衝突による摩擦熱や衝撃力による変形によってヘッドの書き込み又は読み出し特性に悪影響を及ぼす可能性が生じる。これに対処するため、磁気ディスクの平坦性を向上させることはもとより、ディスク表面に存在する突起を、バニッシュ加工といわれる高精度の表面加工によって処理し、グライドハイトを例えば4nmを下回る値にまで小さくすることが行われている。
また、このように小さく抑えられたグライドハイトの検査は、被検査対象である磁気ディスク上に検査用のヘッドスライダを浮上させることにより行われる。この際、ヘッドスライダの浮上量は、グライドハイトの上限、例えば4nmを下回る値に正確に設定されなければならない。すなわち、グライドハイト検査用のヘッドスライダにおいては、読み出し及び書き込み用の薄膜磁気ヘッドよりもはるかに小さくしかも設定通りの浮上量が要求される。
以上に述べたグライドハイトの検査方法又は検査装置として、例えば、特許文献1には、測定対象である磁気記録媒体の回転数を変えながら感磁素子部のサーマルアスペリティ出力を検出してグライドハイトを求める検査方法が開示されている。また、特許文献2には、PZTセンサを持つグライドハイトヘッドを用いて欠陥突起を検出し、同一円周上に欠陥突起が多数検出されるものを自動的に抜き出してヘッド墜落を検知する試験システムが開示されている。さらに、特許文献3には、媒体及びヘッドをチャンバ内に収容してその内部を段階的に減圧することによって、ヘッドバニッシュの実施及び浮上量(限界グライドハイト)を求める評価方法が開示されている。さらにまた、特許文献4には、読み出し信号出力を用いて磁気記録膜等の欠陥チェック(サーティファイテスト)を行い、電磁誘導型磁気ヘッドの磁歪効果による発振信号出力を用いてグライドハイトテストを行う方法が開示されている。
特開平10−27342号公報 特開2006−31886号公報 特開平9−128745号公報 特開平9−259401号公報
しかしながら、以上に述べたような従来のグライドハイトの検査においては、ヘッドスライダと突起との接触又は衝突が発生したとしても、その接触又は衝突に応じた、さらにはその接触又は衝突の度合いに応じた信号を確実に得ることが常に可能ではなく、微細な突起に対応した精度の高い検査を実施できない場合が生じていた。
実際、ヘッドスライダの媒体対向面における衝突部分と、衝突を感知する部分とは一般に一致しない。例えば、特許文献2のようにスライダに取り付けられたPZTセンサを用いる場合や、特許文献3のようにアクチュエータ等に取り付けられたAEセンサを用いる場合には、衝突部分から伝播した振動を拾って衝突を感知しており、これらのセンサが直接衝突を感知してはいない。
また、特許文献1のようにMR効果素子を用いてサーマルアスペリティ出力を検出する場合や、特許文献4のように電磁誘導型ヘッド素子を用いて発振信号出力を検出する場合においても、必ずしもMR効果素子や電磁誘導型ヘッド素子の部分において衝突が発生するわけではない。
特に、グライドハイト検査用のヘッドスライダにおいては、一度の走査で検査できる磁気ディスク表面上での面積を大きくするために、媒体対向面のトラック幅方向の幅が、通常の読み出し及び書き込み用のヘッドよりも格段に大きくなっている。従って、MR効果素子や電磁誘導型ヘッド素子を用いて衝突を感知した場合、これらの素子部分において衝突が発生する確率は相当に小さくなる。
その結果、ヘッドスライダと突起との接触又は衝突に応じた、さらにはその接触又は衝突の度合いに応じた信号を確実に得ることが困難となり、例えば4nmを下回るグライドハイトを有する非常に微細な突起に対応した精度の高い検査を実施できない場合が生じていた。
また、読み出し及び書き込み用の薄膜磁気ヘッドにおいても、浮上量が10nm程度又はそれを下回る値である現状では、実際の動作時の浮上量、さらには磁気ディスクとの接触又は衝突の頻度又は程度を把握することが非常に重要となる。この際、接触センサとして特許文献1又は4のように読み出し用のMR効果素子又は書き込み用の電磁誘導型ヘッド素子を用いることも考えられるが、上述したグライドハイトの検査と同様、必ずしもこれらの素子部分において衝突が発生するわけではなく、接触又は衝突の頻度又は程度に応じた信号を確実に得ることが困難となる。
さらに、実際の読み出し又は書き込み動作中においては、MR効果素子及び電磁誘導型ヘッド素子を共に駆動させることは、磁気的にも熱的にも困難である。そのため、MR効果素子又は電磁誘導型ヘッド素子を接触センサとして用いた場合、浮上量や接触又は衝突の頻度又は程度を実際に把握する必要性が高い動作時において、センシングが制限される問題も発生する。
従って、本発明の目的は、磁気ディスク上に存在する非常に微細な突起に十分に対応した、精度の高いグライドハイトの検査を確実に実施することができるヘッドスライダ、このヘッドスライダを備えたグライドハイト検査装置を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、磁気ディスクとの接触又は衝突の頻度又は程度の測定、さらには非常に微小な浮上量の調整を確実に実施することができる薄膜磁気ヘッド、この薄膜磁気ヘッドを備えたHGA、このHGAを備えた磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明について説明する前に、明細書において用いられる用語の定義を行う。基板の素子形成面に形成された素子の積層構造において、基準となる層よりも基板側にある構成要素を、基準となる層の「下」又は「下方」にあるとし、基準となる層よりも積層される方向側にある構成要素を、基準となる層の「上」又は「上方」にあるとする。例えば、「絶縁層上に下部磁極層がある」とは、下部磁極層が、絶縁層よりも積層される方向側にあることを意味する。
本発明によれば、浮上面(ABS)を有する基板と、
この基板の素子形成面に形成されており、ABS側のスライダ端面の一部を突出させるために発熱し、さらに突出したスライダ端面の一部と磁気ディスク表面の突起との接触又は衝突を感知するための発熱抵抗部と
を備えている磁気ディスク検査用のヘッドスライダが提供される。
この本発明によるヘッドスライダにおいては、突起との接触又は衝突を感知する個所が、この突起との接触又は衝突個所とほぼ一致する。その結果、磁気ディスク上に存在する非常に微細な突起との接触又は衝突に応じた、さらにはその接触又は衝突の度合いに応じた信号を確実に得ることができ、このような微細な突起に十分に対応した、精度の高いグライドハイトの検査を確実に実施することが可能となる。
また、この本発明によるヘッドスライダにおいて、発熱抵抗部が、少なくとも一部がABS側のスライダ端面に面している又は近接している少なくとも1つの発熱抵抗層と、この少なくとも1つの発熱抵抗層に電気的に接続された通電用の複数のリード層とを備えていることが好ましい。
さらに、本発明によるヘッドスライダにおいては、発熱抵抗部の上方又は下方に熱伝導層を備えていることがより好ましい。この際、熱伝導層のトラック幅方向の幅が、発熱抵抗部のトラック幅方向の幅以上であることがさらに好ましい。また、少なくとも1つの発熱抵抗層の全体をトラック幅方向において3等分して両端部と中央部とした場合に、これら両端部のそれぞれの発熱量が、この中央部の発熱量よりも大きくなるように、少なくとも1つの発熱抵抗層が構成及び配置されていることがさらに好ましい。
このような熱伝導層を設けた場合、発熱抵抗部の発熱によって突出したスライダ端面を、熱伝導層のトラック幅方向の幅に相当する幅にわたってほぼ同一量だけ突出するように設定することができる。その結果、この幅の領域において浮上量FHをほぼ一定とすることが可能となる。その結果、磁気ディスクの検査を、精度を低下させずに効率良く実施することが可能となる。
また、このような熱伝導層を設けた場合において、少なくとも1つの発熱抵抗層の電流が流れる方向に沿った長さが、上述した少なくとも1つの発熱抵抗層の中央部においてよりも、上述した少なくとも1つの発熱抵抗層の両端部のそれぞれにおいてより大きくなっていることも好ましい。また、少なくとも1つの発熱抵抗層におけるトラック幅方向の法線を有する層断面の面積についての上述した両端部のそれぞれにおける平均値が、この面積についての上述した中央部における平均値よりも小さくなっていることも好ましい。
本発明によれば、さらに、以上に述べたヘッドスライダと、
このヘッドスライダを支持する支持機構と、
発熱抵抗部に電力を供給するとともに、この発熱抵抗部の抵抗情報を測定する発熱抵抗部アンプと、
この発熱抵抗部アンプから抵抗情報を受信して、ヘッドスライダと磁気ディスク表面の突起との接触又は衝突を検知する接触検知回路と
を備えているグライドハイト検査装置が提供される。
この装置においては、接触検知回路から送信される突起との接触又は衝突の検知情報に基づいて、発熱抵抗部アンプが行う電力供給が制御されることも好ましい。
本発明によれば、さらにまた、ABSを有する基板と、
この基板の素子形成面に形成されており、自身の端部がABS側のスライダ端面に達しているヘッド素子と、
この基板の素子形成面に形成されており、ABS側のスライダ端面に達したヘッド素子の端部を突出させるために発熱し、さらに突出したこの端部と磁気ディスク表面との接触又は衝突を感知するための発熱抵抗部と
を備えている薄膜磁気ヘッドが提供される。
この本発明の薄膜磁気ヘッドにおいては、薄膜磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触又は衝突の感知において、接触又は衝突位置が、接触又は衝突を感知する位置とほぼ一致する。その結果、接触又は衝突の頻度又は程度をより確実により感度良く検知することが可能となり、いち早く適切なタイミングで危険回避動作を行うことが可能となる。また、浮上量を調整するためのタッチダウンを検知する場合には、タッチダウンした時点をより適切に判断することが可能となる。その結果、浮上量の再調整の精度が向上する。
この本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、ヘッド素子が、データ信号を読み出すための読み出しヘッド素子及びデータ信号を書き込むための書き込みヘッド素子を備えており、発熱抵抗部が、この読み出しヘッド素子とこの書き込みヘッド素子との間に設けられていることが好ましい。また、発熱抵抗部が、ABS側のスライダ端面に面している又は近接している少なくとも1つの発熱抵抗層と、この少なくとも1つの発熱抵抗層に電気的に接続された通電用の複数のリード層とを備えていることも好ましい。
さらに、この本発明の薄膜磁気ヘッドにおいては、発熱抵抗部の上方又は下方に熱伝導層を備えていることがより好ましい。この際、発熱抵抗部のトラック幅方向の幅が、熱伝導層のトラック幅方向の幅以下であることがさらに好ましい。また、少なくとも1つの発熱抵抗層の全体をトラック幅方向において3等分して両端部と中央部とした場合に、これら両端部のそれぞれの発熱量が、この中央部の発熱量よりも大きくなるように、少なくとも1つの発熱抵抗層が構成及び配置されていることがさらに好ましい。
また、このような熱伝導層を設けた場合において、少なくとも1つの発熱抵抗層の電流が流れる方向に沿った長さが、上述した少なくとも1つの発熱抵抗層の中央部においてよりも、上述した少なくとも1つの発熱抵抗層の両端部のそれぞれにおいてより大きくなっていることも好ましい。また、少なくとも1つの発熱抵抗層におけるトラック幅方向の法線を有する層断面の面積についての上述した両端部のそれぞれにおける平均値が、この面積についての上述した中央部における平均値よりも小さくなっていることも好ましい。
さらに、この本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、読み出しヘッド素子が有するシールド層、読み出しヘッド素子及び書き込みヘッド素子の間に位置するシールド層、又は書き込みヘッド素子が有する磁極層が、発熱抵抗部の上方又は下方に位置しており、このシールド層又は磁極層が、熱伝導層を兼ねていることも好ましい。
本発明によれば、さらにまた、以上に述べた薄膜磁気ヘッドと、この薄膜磁気ヘッドを支持する支持機構とを備えているHGAが提供される。
本発明によれば、さらにまた、以上に述べたHGAを少なくとも1つ備えており、少なくとも1つの磁気記録媒体と、この少なくとも1つの磁気記録媒体に対して薄膜磁気ヘッドが行う書き込み及び読み出し動作を制御するための記録再生回路とをさらに備えている磁気ディスク装置であって、記録再生回路が、発熱抵抗部に電力を供給するとともに、発熱抵抗部の抵抗情報を測定する発熱アンプ部と、発熱アンプ部から抵抗情報を受信して、薄膜磁気ヘッドと磁気ディスク表面との接触又は衝突を検知する接触検知回路とを備えている磁気ディスク装置が提供される。ここで、接触検知回路から送信される磁気ディスク表面との接触又は衝突の検知情報に基づいて、発熱アンプ部が行う電力供給が制御されることも好ましい。
本発明によれば、ヘッドスライダと磁気ディスク上に存在する非常に微細な突起との接触又は衝突に応じた、さらにはその接触又は衝突の度合いに応じた信号を確実に得ることができ、その結果、このような微細な突起に十分に対応した、精度の高いグライドハイトの検査を確実に実施することができる。
また、本発明によれば、磁気ディスクとの接触又は衝突の頻度又は程度の測定、さらには非常に微小な浮上量の調整を確実に実施することができ、その結果、サーマルアスペリティやクラッシュといった問題を回避して良好な読み出し及び書き込み特性を得ることが可能となる。
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一の要素は、同一の参照番号を用いて示されている。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
図1は、本発明によるグライドハイト検査装置の一実施形態における要部の構成を概略的に示す斜視図である。
図1において、グライドハイト検査装置10は、被検査体である磁気ディスク11を回転軸120の回りで回転させるためのスピンドルモータ12と、磁気ディスク11の表面に存在する突起を検査するためのヘッドスライダ20と、ヘッドスライダ20を支持する支持機構として、ヘッドスライダ20が自身の一方の端部に固着されているサスペンション13と、サスペンション13の他方の端部が取り付けられた駆動アーム15と、駆動アーム15をピボットベアリング軸16を中心として角揺動可能とするボイスコイルモータ(VCM)170を備えたキャリッジ装置17と、ヘッドスライダ20との間で電力及び信号のやり取りを行ってヘッドスライダ20を用いた検査を実施するための検査制御回路14とを備えている。
磁気ディスク11は、モータドライバ19により駆動されたスピンドルモータ12によって、ヘッドスライダ20の部分において、例えば線速度が所定の値となるように回転させられる。これにより所定の浮上量が得られる。ヘッドスライダ20は、VCMドライバ18によって駆動されるキャリッジ装置17内のVCM170によって、駆動アーム15及びサスペンション13を介して位置決めされる。
ヘッドスライダ20は、後述するように自身の浮上面(ABS)を磁気ディスク11の表面に向けており、サスペンション13によって、磁気ディスク11の表面に向かう方向に所定の押圧力を受ける。一方、上述したように磁気ディスク11が所定の線速度で回転しているため、ヘッドスライダ20は、この回転に伴う気流によって所定の浮上力を受ける。この押圧力と浮上力とを適切な位置(高さ)で釣り合わせることによって、ヘッドスライダ20は、磁気ディスク11の表面上において、所定のピッチ角及び所定の浮上量を持って浮上する。
検査制御回路14は、後述するようにヘッドスライダ20が備えている発熱抵抗部に電力を供給するとともに、発熱抵抗部の抵抗情報を測定する発熱抵抗部アンプ142と、発熱抵抗部アンプ142からこの抵抗情報を受信して、ヘッドスライダ20と磁気ディスク11表面の突起との接触又は衝突を検知する接触検知回路143と、発熱抵抗部アンプ142及び接触検知回路143の動作を制御するためのCPU140と、ヘッドスライダ20内の発熱抵抗部に供給する電力量を規定するためのデータが書き込まれた制御用テーブルを備えたメモリ141と、インターフェース144とを備えている。
図2は、本発明によるヘッドスライダの一実施形態を示す斜視図である。
図2によれば、ヘッドスライダ20は、適切な浮上量及びピッチ角を得るように加工されたABS2000とABS2000を底面とした際の1つの側面である素子形成面2001とを有するスライダ基板200と、素子形成面2001に設けられており、ABS2000側のスライダ端面201の一部を突出させるために発熱し、さらに突出したスライダ端面201の一部と磁気ディスク11表面の突起との接触又は衝突を感知するための発熱抵抗部21と、発熱抵抗部21の下方にあって発熱抵抗部21の少なくとも発熱抵抗層部分の一面と対向して覆うように設けられた熱伝導層23と、発熱抵抗部21及び熱伝導層23を覆うように素子形成面2001上に設けられた被覆層24と、被覆層24の層面から露出しており発熱抵抗部21の両端部にそれぞれ電気的に接続された駆動端子電極22とを備えている。
発熱抵抗部21は、少なくとも一部がスライダ端面201に面している又は近接している発熱抵抗層210と、発熱抵抗層210の両端に電気的に接続された通電用の2つのリード層211とを備えている。ここでスライダ端面201は、ヘッドスライダ20の磁気ディスク11に対向する媒体対向面のうちABS2000以外の面であって主に被覆層24の端面からなる面である。
この2つのリード層211を介して発熱抵抗部21に電力を供給することによって、発熱抵抗層210が発熱する。この発熱抵抗層210からの熱によって、発熱抵抗層210自身、さらには発熱抵抗層210を取り囲む材料が熱膨張することにより、スライダ端面201の一部が隆起する形で磁気ディスク11表面方向に突出する。この際の突出量を発熱抵抗部21への電力の供給量により制御することによって、ヘッドスライダ20の浮上量が、非常に微小な値として調整可能となる。
さらに、発熱抵抗層210は、所定の電気抵抗の温度係数を有する金属等の材料から形成されており、自身の一部分において温度変化があれば、発熱抵抗層210全体の電気抵抗値が相当に変化する。従って、ヘッドスライダ20のスライダ端面201に回転する磁気ディスク11表面の突起が接触又は衝突した場合、その接触又は衝突による摩擦熱によって、接触又は衝突個所付近の発熱抵抗層210部分の温度が上昇し、この突起との接触又は衝突を、発熱抵抗層210全体の電気抵抗値の変化として検知することができる。この際、温度係数が一般的な金属での場合のように正である場合、電気抵抗値の増加が検知される。なお、ヘッド及び磁気ディスクの構成又は記録再生条件によっては、発熱によって温度が上昇している発熱抵抗層210が、磁気ディスク表面との接触によってむしろ冷却され、発熱抵抗層210の温度が低下することによって、その接触を感知することができる場合もある。ここで、温度係数が一般的な金属での場合のように正であれば、電気抵抗値の減少が検知される。
実際に、発熱抵抗層210の電気抵抗の温度係数としては、少なくとも1×10−3/℃以上であることが好ましい。例えば、NiFe(パーマロイ)、W(タングステン)等の温度係数は、成膜条件にも依存するが、使用される薄膜の状態において10−3/℃のオーダとすることができる。
熱伝導層23は、金属等の熱伝導性の良い材料から形成されており、発熱抵抗層210からの熱を、自身の存在する領域及びその周辺に均一に分布させる作用を及ぼす。その結果、上述した発熱抵抗層210の発熱による突出において、熱伝導層23の端が達している又はその端の近傍のスライダ端面201部分であって、熱伝導層23のトラック幅方向の幅程度のスライダ端面201部分が、ほぼ均一に突出することを促す。なお、熱伝導層23は、例えば、発熱抵抗部21の上方に設けられていてもよい。
また、熱伝導層23のトラック幅方向の幅は、発熱抵抗部21のトラック幅方向の幅以上となるように設定されている。これにより、発熱抵抗部21からの熱をできるだけ均一に分布させることができるのみならず、熱伝導層23が発熱抵抗部21全体のヒートシンクとしての役割を果たすことが可能となり、発熱抵抗部21自身の過剰な加熱による損傷を防止する。ここで、熱伝導層23のトラック幅方向の幅は、発熱抵抗部21のトラック幅方向の幅とほぼ一致することがより好ましい。
さらに、発熱抵抗層210は、熱伝導層23におけるスライダ端面201側のトラック幅方向の両端部付近においてつづら折り状の電流経路となっており、熱伝導層23におけるスライダ端面201側のトラック幅方向の中央部付近においてトラック幅方向に伸長する直線状の電流経路となっている。すなわち、発熱抵抗層210の全体をトラック幅方向において3等分して両端部と中央部とした場合に、両端部それぞれにつづら折り状の電流経路が含まれており、中央部がほぼ直線状の電流経路となっている。ここで、つづら折り状の電流経路が両端部それぞれから中央部内に若干はみ出て設けられていてもよい。いずれにしても、発熱抵抗層210の電流が流れる方向に沿った電流経路としての長さが、発熱抵抗層210の中央部においてよりも、発熱抵抗層210の両端部のそれぞれにおいてより大きくなるように設定されている。実際、発熱抵抗層210のつづら折り状の部分では、スライダ端面に垂直な方向(ハイト方向)に伸長する部分が存在するだけ、電流経路はより長くなることが理解される。
これにより、発熱抵抗部21において、これら両端部のそれぞれの発熱量が、この中央部の発熱量よりも大きくなる。また、この発熱量の差、さらには発熱量のトラック幅方向での分布は、発熱抵抗層210の形状を調整することによって自由に設計可能となる。その結果、熱伝導層23のトラック幅方向の幅程度のスライダ端面201部分を、ほぼ均一に突出させることが可能となる。
さらに、発熱抵抗部21(発熱抵抗層210)のスライダ端面201側の端は、スライダ端面201に面しているか又は近接している。この際、この端とスライダ端面201との距離は、0μm〜約8μmの範囲で選択されることが好ましい。これにより、ヘッドスライダ20における突出効率及び感知感度をともに向上させることが可能となる。
ここで、発熱抵抗層210は、例えば、スパッタリング法又はパターンめっき法等を用いて形成された、電流経路としての幅が0.5〜5.0μm程度であって厚さが0.01〜5μm程度である、例えば、NiCu、NiCr、Ta、W、Ti、Cu、Au又はNiFe等を含む材料からなる層パターンとすることができる。また、リード層211も発熱抵抗層210と同じ材料から形成可能である。さらに、熱伝導層23は、例えば、スパッタリング法又はパターンめっき法等を用いて形成された、トラック幅方向の幅が20〜100μm程度であって厚さが0.1〜5μm程度である、例えば、Al、Cu、Au、NiFe(パーマロイ等)、CoFeNi、CoFe、FeN又はFeZrN等を含む材料からなる層とすることができる。さらに、発熱抵抗層210と熱伝導層23との間隔は、例えば、0.1〜1.0μm程度であることが好ましい。
ここで、図1及び図2を用いて、実際の検出動作を説明する。
図1において、まず、発熱抵抗部アンプ142からヘッドスライダ20内の発熱抵抗部21(図2)に電力が供給されて、ヘッドスライダ20のスライダ端面201の一部が突出する。この際、供給される電力量は、CPU140がメモリ141内の制御用テーブルを参照して発熱抵抗部アンプ142に制御信号を送信し、所定の浮上量が得られるように制御される。次いで、ヘッドスライダ20が、モータドライバ19によって駆動されたスピンドルモータ12によって回転している磁気ディスク11の表面上を所定の浮上量で浮上しつつ、磁気ディスク11表面の突起の有無を検査する。ここで、検査位置は、CPU140から位置の指示を受けたVCMドライバ18に駆動されるキャリッジ装置17内のVCM170によって適宜制御される。例えば、磁気ディスク11表面の全面を検査する場合、最内周から最外周に向かって、スライダ端面201の突出幅(ほぼ、熱伝導層23のトラック幅方向の幅に相当する)分ずつ、ヘッドスライダ20を適宜移動させて検査することができる。
この検査の間、発熱抵抗部アンプ142は、発熱抵抗部21の電気抵抗値を測定(モニタ)している。ここで、ヘッドスライダ20のスライダ端面201に磁気ディスク11表面の突起が接触又は衝突した場合、上述したように、この電気抵抗値が変化する(摩擦熱によって大きくなるか又は接触による冷却によって小さくなる)。接触検知回路143は、発熱抵抗部アンプ142から受けたこの電気抵抗値が所定の基準範囲を超える又は下回る値となった場合に、突起の接触又は衝突が発生したと判断し、この検査結果を、インターフェース144を介して出力する。この際、複数の基準(範囲)を設けて接触又は衝突の度合いをも判断し、このような判断結果を出力することも可能となる。
また、CPU140が、接触検知回路143から送信される突起との接触又は衝突の検知情報を受信し、この検知情報に基づいて発熱抵抗部アンプ142が行う電力供給を制御することも好ましい。
さらに、以上に述べた突起の有無の検査が、種々の浮上量を設定して行われることによって、磁気ディスク11表面上の突起の位置と高さのマップを形成することも可能となる。
なお、後述するように、発熱抵抗部が複数の発熱抵抗層を備えており、発熱抵抗部アンプ142がそれぞれを独立して発熱させることができるように独立した複数のドライバを備えており、さらに、接触検知回路143が、複数の発熱抵抗層それぞれの電気抵抗値の情報を受信して接触又は衝突を検知することができる場合、突起との接触又は衝突がどの発熱抵抗層の位置で起こったかが特定できるので、突起の位置がより詳細に決定できる。
また、このような複数の発熱抵抗層を備えた場合においては、所定の位置に所定の高さの突起を有するマスターディスクを用意し、そのマスターディスクを線速度一定で回転させた状態でヘッドスライダをマスターディスク表面上に浮上させるとともに、ヘッドスライダをマスターディスクの径方向に移動させて、マスターディスク表面の突起を複数の発熱抵抗層(の近傍)の位置に順次接触させることも可能となる。この場合、各発熱抵抗層の電気抵抗値の変化から評価される接触の度合いが一定となるように、接触検知回路143からの各電気抵抗値を反映した検知情報を受信したCPU140が、発熱抵抗部アンプ142の行う電力供給を制御することも好ましい。さらに、CPU140が、この際の制御情報をメモリ141内の制御用テーブルに記憶させて、実際の検査の際に用いることによって、熱伝導層23のトラック幅方向の幅に相当するスライダ端面201部分の突出、すなわち、その端面部分の領域での浮上量を一定にすることが可能となる。
図3(A)及び(B)は、ヘッドスライダ20のスライダ端面201における突出の状態を示す断面図である。ここで、図3(A)は、図2のA−A線断面図であり、図3(B)は、図2において発熱抵抗部21の位置を素子形成面2001に平行な面で切った断面図となっている。
図3(A)によれば、スライダ端面201が、発熱抵抗部21の発熱によって磁気ディスク11の表面に向かう方向に突出し、発熱抵抗部21の端の位置がトラックに沿った方向において最も突出した端面201′となる。ここで、突出前のスライダ端面201は、ヘッドスライダ製造時のABS加工の際に被覆層24の部分がスライダ基板200の部分よりも研磨され易いことから、通常、ABS2000から若干リセスしている。しかしながら、十分に突出した端面201′を得ることによって、実際の検査時に、磁気ディスク11の表面に存在するグライドハイトHを有する突起110が、突出した端面201′のうち発熱抵抗部21の端の位置に接触又は衝突するように設定することができる。この場合、発熱抵抗部21の端の位置と磁気ディスク表面との距離である浮上量FHは、突起110のグライドハイトHよりも若干小さい値となっている。
ここで、突起110との接触又は衝突を感知するのは、上述したように、摩擦熱による温度上昇によって抵抗値を変化させる発熱抵抗部21そのものである。
すなわち、本発明によるヘッドスライダによれば、突起との接触又は衝突を感知する個所が、この突起との接触又は衝突個所とほぼ一致する。その結果、磁気ディスク上に存在する非常に微細な突起との接触又は衝突に応じた、さらにはその接触又は衝突の度合いに応じた信号を確実に得ることができ、このような微細な突起に十分に対応した、精度の高いグライドハイトの検査を確実に実施することが可能となり、磁気ディスク表面上の突起の位置と高さに関してより精度の高いマップを作成することができる。また、突起との接触又は衝突を感知するセンサを、発熱部分とは別に形成する必要が無いので、検査用のヘッドスライダをより少ない工数で比較的容易に製造することが可能となる。
また、本発明によるヘッドスライダによれば、突起との接触又は衝突個所が、突起の感知個所とほぼ一致するので、本実施形態のように、発熱抵抗部をスライダ端面に面する又は近接するように配置した場合、突出効率及び感知感度をともに向上させることが可能となる。
次いで、図3(B)によれば、発熱抵抗部21の発熱によって突出したスライダ端面201′は、熱伝導層23のトラック幅方向の幅に相当する幅WPRにわたってほぼ同一量だけ突出している。その結果、この幅の領域において浮上量FHがほぼ一定となる。
この際、幅WPRは、例えば、20〜100μm程度とすることができるので、磁気ディスク11の表面の全体をより少ない走査回数で走査可能とする。また、幅WPRの領域において浮上量FHがほぼ一定であることから、この領域のいずれの個所に突起110が接触又は衝突しても、そのグライドハイトHに応じた抵抗値の変化が得られる。
ここで、幅WPRにわたって突出量がほぼ一定となる理由を説明する。まず、発熱抵抗層210のつづら折り状の電流線路30及び31(発熱抵抗層210の両端部にほぼ相当する)からの熱による突出プロファイル33及び34と、中央の直線状の電流線路32(発熱抵抗層210の中央部にほぼ相当する)からの熱による突出プロファイル35とが合わせられることによって、スライダ端面201′の突出プロファイルが台形に近い形状となる。次いで、さらに、この突出プロファイルが、熱伝導層23の存在によってよりなめらかとなって、ほぼ、幅WPRにわたる平坦な辺を有する台形状となる。その結果、幅WPRにわたって突出量がほぼ一定となる。
このように、本発明によるヘッドスライダによれば、突出したスライダ端面の非常に広い幅領域にわたって、浮上量をほぼ一定にすることができるので、磁気ディスクの検査を、精度を低下させずに効率良く実施することが可能となる。
図4は、発熱抵抗部の種々の変更態様を示す概略図である。ここで、図4(A)、図4(B)及び図4(C−1)は、ヘッドスライダを素子形成面側から透視的に見た平面図であり、図4(C−2)は、図4(C−1)のB−B線断面図であり、図4(D−2)は、ヘッドスライダの被覆層部分をABS側から透視的に見た平面図である。
図4(A)によれば、発熱抵抗部40の有する発熱抵抗層400は、トラック幅方向に伸長した層パターンとなっており、スライダ端面42に垂直な方向のパターン幅(パターンハイト)が、中央部で最大であって両端部で最小となっている。すなわち、発熱抵抗層400の全体をトラック幅方向において3等分して両端部と中央部とした場合に、発熱抵抗層400におけるトラック幅方向の法線を有する層断面の面積についてのこれら両端部のそれぞれにおける平均値が、この面積についての上述した中央部における平均値よりも小さくなっている。
これにより、発熱抵抗部40において、これら両端部のそれぞれの発熱量が、上述した中央部の発熱量よりも大きくなる。また、この発熱量の差、さらには発熱量のトラック幅方向での分布は、発熱抵抗層400のパターンハイトを調整することによって自由に設計可能となる。その結果、熱伝導層41のトラック幅方向の幅程度のスライダ端面42部分を、ほぼ均一に突出させることが可能となる。
図4(B)によれば、発熱抵抗部43の発熱抵抗層430に電力を供給する駆動端子電極として、発熱抵抗層430の両端それぞれに電気的に接続された駆動端子電極440及び443と、発熱抵抗層430のパターンの途中に電気的に接続された駆動端子電極441及び442とが設けられている。
これに対応して、発熱抵抗部アンプ(図1)が、駆動端子電極440及び441間の発熱抵抗層部分と、駆動端子電極441及び442間の発熱抵抗層部分と、駆動端子電極442及び443間の発熱抵抗層部分とをそれぞれ独立して発熱させることができるように独立した複数のドライバを備えており、さらに、接触検知回路(図1)が、複数の発熱抵抗層部分それぞれの電気抵抗値の情報を受信して接触又は衝突を検知することができる場合、突起との接触又は衝突がどの発熱抵抗層部分の位置で起こったかが特定できるので、突起の位置がより詳細に決定できる。
また、上述したように、所定のグライドハイトを有する突起に対する各発熱抵抗層部分の電気抵抗値の変化から評価される接触又は衝突の度合いが一定となるように、接触検知回路からの各電気抵抗値を反映した検知情報を受信したCPU(図1)が、発熱抵抗部アンプの行う電力供給を制御することも好ましい。これにより、熱伝導層45のトラック幅方向の幅に相当するスライダ端面46部分の突出、すなわち、その端面部分の領域での浮上量を一定にすることが可能となる。
図4(C−1)によれば、図4(B)の発熱抵抗層に対する駆動端子電極に代わって、駆動端子電極480、481及び482と、発熱抵抗層の一部を接地するためのバンプ470及び471とを備えている。バンプ470及び471は、図4(C−2)に示すように、発熱抵抗層の一部をスライダ基板50に電気的に接続している。このように、バンプ470及び471を用いることによって、駆動端子電極の数を3つにしても、図4(B)の発熱抵抗層と同様の機能を発揮させることができる。
図4(D−1)によれば、発熱抵抗部51は、複数の発熱抵抗層510、511、512、513及び514を備えており、これらの発熱抵抗層は、トラック幅方向に配列している。また、駆動端子電極52が、共通の電極として各発熱抵抗層の一端に共通リード層540によって接続されており、一方、駆動端子電極530、531、532、533及び534が、各発熱抵抗層用の電極として各発熱抵抗層の他端に個別リード層541によって接続されている。共通リード層540及び個別リード層541は、図4(D−2)に示すように互いに絶縁分離されている。
これに対応して、発熱抵抗部アンプ(図1)が、複数の発熱抵抗層510、511、512、513及び514をそれぞれ独立して発熱させることができるように独立した複数のドライバを備えており、さらに、接触検知回路(図1)が、複数の発熱抵抗層それぞれの電気抵抗値の情報を受信して接触又は衝突を検知することができる場合、突起との接触又は衝突がどの発熱抵抗層の位置で起こったかが特定できるので、突起の位置がより詳細に決定できる。
また、上述したように、所定のグライドハイトを有する突起に対する各発熱抵抗層の電気抵抗値の変化から評価される接触又は衝突の度合いが、一定となるように、接触検知回路からの各電気抵抗値を反映した検知情報を受信したCPU(図1)が、発熱抵抗部アンプの行う電力供給を制御することも好ましい。これにより、熱伝導層55のトラック幅方向の幅に相当するスライダ端面56部分の突出、すなわち、その端面部分の領域での浮上量を一定にすることが可能となる。
以上に述べた発熱抵抗部の変更態様においても、突起との接触又は衝突を感知する個所が、この突起との接触又は衝突個所とほぼ一致する。その結果、磁気ディスク上に存在する非常に微細な突起に十分に対応した、精度の高いグライドハイトの検査を確実に実施することが可能となり、磁気ディスク表面上の突起の位置と高さに関してより精度の高いマップを作成することができる。さらに、突出したスライダ端面の非常に広い幅領域にわたって、浮上量をほぼ一定にすることができるので、磁気ディスクの検査を、精度を低下させずに効率良く実施することが可能となる。
図5は、本発明による磁気ディスク装置の一実施形態における要部の構成を概略的に示す斜視図である。
図5において、60は、スピンドルモータ61の回転軸610の回りを回転する複数の磁気記録媒体としての磁気ディスク、62は、薄膜磁気ヘッド71を磁気ディスク60のトラック上に位置決めするためのキャリッジ装置、63は、薄膜磁気ヘッド71の書き込み及び読み出し動作を制御し、さらに後述する発熱抵抗部の発熱及び感知動作を制御するための記録再生及び発熱感知制御回路をそれぞれ示している。
キャリッジ装置62には、複数の駆動アーム64が設けられている。これらの駆動アーム64は、ボイスコイルモータ(VCM)65によってピボットベアリング軸66を中心にして角揺動可能であり、このピボットベアリング軸66に沿った方向にスタックされている。各駆動アーム64の先端部には、HGA67が取り付けられている。各HGA67には、薄膜磁気ヘッド71が、各磁気ディスク60の表面に対向するように設けられている。磁気ディスク60、駆動アーム64、HGA67及び薄膜磁気ヘッド71は、単数であってもよい。
図6は、本発明によるHGA、及びこのHGAの先端部に装着されている薄膜磁気ヘッドの一実施形態を示す斜視図である。
図6によれば、HGA67は、薄膜磁気ヘッド71を支持する支持機構としてのサスペンション70において、その先端部となるフレクシャ702に、磁気ヘッド素子を有する薄膜磁気ヘッド71を固着し、さらにその薄膜磁気ヘッド71の端子電極に配線部材704の一端を電気的に接続して構成される。
サスペンション70は、ロードビーム701と、このロードビーム701上に固着され支持された弾性を有するフレクシャ702と、ロードビーム701の基部に設けられたベースプレート703と、フレクシャ702上に設けられておりリード導体及びその両端に電気的に接続された接続パッドからなる配線部材704とから主として構成されている。なお、図示されていないが、サスペンション70の途中にヘッド駆動用ICチップを装着してもよい。
同じく図6において、薄膜磁気ヘッド71は、適切な浮上量を得るように加工された浮上面(ABS)7100を有するスライダ基板710と、ABS7100を底面とした際の1つの側面に相当する素子形成面7101に設けられた磁気ヘッド素子72と、同じく素子形成面7101に設けられており、浮上量を調整するとともに磁気ディスクとの接触、衝突、又は浮上量調整用のタッチダウンを感知するための発熱抵抗部75と、磁気ヘッド素子72及び発熱抵抗部75を覆うように素子形成面7101上に設けられた被覆層79と、被覆層79の層面から露出しているそれぞれ2つの信号端子電極76及び77と、同じく被覆層79の層面から露出している2つの駆動端子電極78とを備えている。
ここで、磁気ヘッド素子72は、データ信号の読み出し用の読み出しヘッド素子であるMR効果素子73と、データ信号の書き込み用の書き込みヘッド素子である電磁コイル素子74とから構成されており、信号端子電極76及び77は、これらMR効果素子73及び電磁コイル素子74にそれぞれ電気的に接続されている。また、駆動端子電極78は、発熱抵抗部75に電気的に接続されている。
MR効果素子73及び電磁コイル素子74においては、各素子の一端がスライダ端面711に達している。ここでスライダ端面711は、薄膜磁気ヘッド71の磁気ディスクに対向する媒体対向面のうちABS7100以外の面であって主に被覆層79の端面からなる面である。これらの素子の一端が磁気ディスクと対向することによって、信号磁界の感受によるデータ信号の読み出しと信号磁界の印加によるデータ信号の書き込みとが行われる。なお、スライダ端面711に達した各素子の一端及びその近傍には、保護のために極めて薄いダイヤモンドライクカーボン(DLC)等のコーティングが施されている。
2つの駆動端子電極78は、4つの信号端子電極76及び77の群の両側にそれぞれ配置されている。これは、特開2004−234792号公報に記載されているように、MR効果素子73の配線と電磁コイル素子74の配線との間におけるクロストークを防止することができる配置である。ただし、所定のクロストークが許容される場合には、2つの駆動端子電極78がそれぞれ4つの信号端子電極76及び77の何れかの間に配置されてもよい。なお、これらの端子電極の数は、図6の形態に限定されるものではない。図6において端子電極は合計6つであるが、例えば、駆動端子電極を1つにして電極を5つとした上で発熱抵抗部のグランドをスライダ基板に接地した形態でもよい。
図7(A)は、本発明による薄膜磁気ヘッドの一実施形態における要部の構成を概略的に示す、図6のC−C線断面図である。また、図7(B)は、薄膜磁気ヘッドを素子形成面側から透視的に見た平面図である。
図7(A)において、710はアルチック(Al−TiC)等からなるスライダ基板であり、磁気ディスク表面に対向するABS7100を有している。このスライダ基板710の素子形成面7101に、MR効果素子73と、電磁コイル素子74と、発熱抵抗部75と、これらの素子を保護する被覆層79とが主に形成されている。
MR効果素子73は、MR積層体732と、この積層体を挟む位置に配置された下部シールド層730及び上部シールド層734とを含む。MR積層体732は、面内通電型(CIP(Current In Plain))巨大磁気抵抗(GMR(Giant Magneto Resistive))多層膜、垂直通電型(CPP(Current Perpendicular to Plain))GMR多層膜、又はトンネル磁気抵抗(TMR(Tunnel Magneto Resistive))多層膜を含み、非常に高い感度で磁気ディスクからの信号磁界を感受する。下部シールド層730及び上部シールド層734は、MR積層体732が雑音となる外部磁界の影響を受けることを防止する。
このMR積層体732がCIP-GMR多層膜を含む場合、上下部シールド層734及び730の各々とMR積層体732との間に絶縁用の上下部シールドギャップ層がそれぞれ設けられる。さらに、MR積層体732にセンス電流を供給して再生出力を取り出すためのMRリード導体層が形成される。一方、MR積層体732がCPP-GMR多層膜又はTMR多層膜を含む場合、上下部シールド層734及び730はそれぞれ上下部の電極層としても機能する。この場合、上下部シールドギャップ層及びMRリード導体層は不要である。なお、図示されていないが、MR積層体732のトラック幅方向の両側には、絶縁層か、又は磁区を安定させる縦バイアス磁界を印加するためのバイアス絶縁層及びハードバイアス層が形成される。
MR積層体732は、例えば、TMR多層膜を備えている場合、IrMn、PtMn、NiMn又はRuRhMn等からなる厚さ5〜15nm程度の反強磁性層と、例えば2つのCoFe等の強磁性膜がRu等の非磁性金属膜を挟み込んだ3層膜から構成されており、反強磁性層によって磁化方向が固定されている磁化固定層と、例えばAl、AlCu又はMg等からなる厚さ0.5〜1nm程度の金属膜が真空装置内に導入された酸素によって又は自然酸化によって酸化された非磁性誘電膜からなるトンネルバリア層と、例えばCoFe等からなる厚さ1nm程度の強磁性膜とNiFe等からなる厚さ3〜4nm程度の強磁性膜との2層膜から構成されており、トンネルバリア層を介して磁化固定層との間でトンネル交換結合をなす磁化自由層とが、順次積層された構造を有している。
また、下部シールド層730及び上部シールド層734は、例えば、フレームめっき法を含むパターンめっき法等を用いて形成された厚さ0.1〜3μm程度のNiFe(パーマロイ等)、CoFeNi、CoFe、FeN又はFeZrN膜等から構成される。
電磁コイル素子74は、長手磁気記録用であり、下部磁極層740、書き込みギャップ層741、書き込みコイル層743、書き込みコイル絶縁層744及び上部磁極層745を備えている。書き込みコイル層743は同図において2層構造となっているが単層構造でもよく、1ターンの間に少なくとも下部磁極層740及び上部磁極層745の間を通過するように形成されている。下部磁極層740及び上部磁極層745は、書き込みギャップ層741のうちABS7100側(スライダ端面711)側の端部を挟持しており、さらに、書き込みコイル層743への通電によって発生した磁束の導磁路となっている。書き込み動作時には、書き込みギャップ層741の端部位置からの漏洩磁界としての信号磁界が、磁気ディスクに印加されて書き込みが行なわれる。
下部磁極層740は、例えば、スパッタリング法等を用いて形成された厚さ0.5〜4μm程度のNiFe、CoFeNi、CoFe、FeN又はFeZrN膜等から構成される。また、上部磁極層745は、例えば、スパッタリング法、フレームめっき法を含むパターンめっき法等を用いて形成された厚さ0.5〜3μm程度のNiFe、CoFeNi、CoFe、FeN又はFeZrN膜等から構成される。
書き込みコイル層743は、例えば、フレームめっき法を含むパターンめっき法等を用いて形成された厚さ0.3〜5μm程度のCu膜から構成されている。また、書き込みコイル絶縁層744は樹脂層であり、例えばフォトリソグラフィ法等を用いて形成された厚さ0.5〜7μm程度の加熱キュアされたフォトレジスト膜等から構成されている。さらに、書き込みギャップ層741は絶縁層であり、例えば、スパッタリング法、CVD法等を用いて形成された厚さ0.01〜0.1μm程度のAl、SiO、AlN又はDLC膜等から構成されている。
図7(B)によれば、発熱抵抗部75は、少なくとも一部がスライダ端面711に面している又は近接している発熱抵抗層750と、発熱抵抗層750の両端に電気的に接続された通電用の2つのリード層751とを備えている。この2つのリード層751は、2つの駆動端子電極78に電気的に接続されており、駆動端子電極78からリード層751を介して発熱抵抗層750に電力を供給することができる。
発熱抵抗部75は、MR効果素子73と電磁コイル素子74との間に設けられていて(図7(A))、浮上量、ひいてはMR効果素子73及び電磁コイル素子74と磁気ディスク表面との距離を調整する機能を有しており、通電されることによって発熱する。MR効果素子73及び電磁コイル素子74の端部は、この発熱抵抗部75からの熱によって自身が熱膨張することにより、又は自らを取り囲む材料の熱膨張によって押し出されることにより、スライダ端面711を隆起させる形で磁気ディスク表面方向に突出する。この突出動作を発熱抵抗部75への電力の供給量により制御することによって、浮上量が調整可能となる。
また、発熱抵抗部75に十分な量の電力を供給して大きな突出を発生させて、薄膜磁気ヘッド71を磁気ディスク60にタッチダウンさせることもできる。後述するように、このタッチダウンによって、一度、浮上量をゼロにリセットして、再び所定の値に調整し直すことが可能となる。
さらに、発熱抵抗層750は、所定の電気抵抗の温度係数を有する金属等の材料から形成されており、自身の一部分において温度変化があれば、発熱抵抗層750全体の電気抵抗値が相当に変化する。従って、薄膜磁気ヘッド71のスライダ端面711が回転する磁気ディスク表面に接触、衝突又はタッチダウンした場合、その際の摩擦熱によって、接触又は衝突個所付近の発熱抵抗層750部分の温度が上昇し、この突起との接触又は衝突を、発熱抵抗層750全体の電気抵抗値の変化として検知することができる。この際、温度係数が一般的な金属での場合のように正である場合、電気抵抗値の増加が検知される。なお、ヘッド及び磁気ディスクの構成又は記録再生条件によっては、発熱によって温度が上昇している発熱抵抗層750が、磁気ディスク表面との接触によってむしろ冷却され、発熱抵抗層750の温度が低下することによって、その接触を感知することができる場合もある。ここで、温度係数が一般的な金属での場合のように正であれば、電気抵抗値の減少が検知される。
実際に、発熱抵抗層750の電気抵抗の温度係数としては、少なくとも1×10−3/℃以上であることが好ましい。例えば、NiFe(パーマロイ)、W(タングステン)等の温度係数は、成膜条件にも依存するが、使用される薄膜の状態において10−3/℃のオーダとすることができる。
このように、発熱抵抗部75は、浮上量を調整するとともに、磁気ディスクとの接触、衝突又はタッチダウンを感知する役割を果たす。
また、発熱抵抗部75は、上部シールド層734の上方に近接して設けられており、上部シールド層734が、図2に示したヘッドスライダにおける熱伝導層23の役割を果たす。また、本実施形態においては、発熱抵抗部75は、下部磁極層740の下方に近接して設けられてもいるので、下部磁極層740においても、この熱伝導層23の役割を果たす。なお、以下の記載においては、上部シールド層734についての位置関係、作用について説明するが、下部磁極層740においても同様の位置関係、作用となることは明らかである。
ここで、上部シールド層734は、上述したように磁性金属という熱伝導性の良い材料から形成されており、発熱抵抗部75からの熱を、自身の存在する領域及びその周辺に均一に分布させる作用を及ぼす。その結果、上述した発熱抵抗層750の発熱による突出において、上部シールド層734の端が達しているスライダ端面711部分又はその端の近傍のスライダ端面711部分であって、上部シールド層734のトラック幅方向の幅程度のスライダ端面711部分が、ほぼ均一に突出することを促す。
また、発熱抵抗部75のトラック幅方向の幅は、上部シールド層734のトラック幅方向の幅以下となるように設定されている。これにより、発熱抵抗部75からの熱をできるだけ均一に分布させることができるのみならず、上部シールド層734が発熱抵抗部75全体のヒートシンクとしての役割を果たすことが可能となり、発熱抵抗部75自身の過剰な加熱による損傷を防止する。ここで、発熱抵抗部75のトラック幅方向の幅は、上部シールド層734のトラック幅方向とほぼ一致することがより好ましい。
さらに、発熱抵抗層750は、上部シールド層734におけるスライダ端面711側のトラック幅方向の両端部付近においてつづら折り状の電流経路となっており、上部シールド層734におけるスライダ端面711側のトラック幅方向の中央部付近においてトラック幅方向に伸長する直線状の電流経路となっている。すなわち、発熱抵抗層750の全体をトラック幅方向において3等分して両端部と中央部とした場合に、両端部それぞれにつづら折り状の電流経路が含まれており、中央部がほぼ直線状の電流経路となっている。ここで、つづら折り状の電流経路が両端部それぞれから中央部内に若干はみ出て設けられていてもよい。いずれにしても、発熱抵抗層750の電流が流れる方向に沿った電流経路としての長さが、発熱抵抗層750の中央部においてよりも、発熱抵抗層750の両端部のそれぞれにおいてより大きくなるように設定されている。実際、発熱抵抗層750のつづら折り状の部分では、スライダ端面に垂直な方向(ハイト方向)に伸長する部分が存在するだけ、電流経路はより長くなることが理解される。
これにより、発熱抵抗部75において、これら両端部のそれぞれの発熱量が、この中央部の発熱量よりも大きくなる。また、この発熱量の差、さらには発熱量のトラック幅方向での分布は、発熱抵抗層750の形状を調整することによって自由に設計可能となる。従って、上部シールド層734のトラック幅方向の幅程度のスライダ端面711部分を、ほぼ均一に突出させることが可能となる。その結果、接触又は衝突の際、接触又は衝突部分が相当に広くなるため、接触又は衝突による衝撃力の分散が図られる。
さらに、発熱抵抗部75(発熱抵抗層750)のスライダ端面711側の端は、スライダ端面711に面しているか又は近接している。この際、この端とスライダ端面711との距離は、0μm〜約8μmの範囲で選択されることが好ましい。これにより、薄膜磁気ヘッド71における突出効率及び感知感度をともに向上させることが可能となる。
ここで、発熱抵抗層750は、図2に示したヘッドスライダにおける発熱抵抗層210と同様の材料からなる層パターンとすることができる。また、リード層751も発熱抵抗層750と同じ材料から形成可能である。
なお、薄膜磁気ヘッド71においても、上部シールド層734又は下部磁極層740を熱伝導層として用いずに、独立して熱伝導層を、発熱抵抗部75の上方又は下方に設けてもよい。
図8は、本発明による薄膜磁気ヘッドの他の実施形態における要部の構成を概略的に示す、図6のC−C線断面図である。
図8によれば、電磁コイル素子84は、データ信号を書き込むための垂直磁気記録用の書き込みヘッド素子であり、バッキングコイル部840と、主磁極層841と、ギャップ層842と、書き込みコイル層843と、書き込みコイル絶縁層844と、補助磁極層845とを備えている。また、この電磁コイル素子84とデータ信号の読み出し用のMR効果素子83との間に、磁気的シールドの役目を果たす素子間シールド層86が設けられている。さらに、電磁コイル素子84と素子間シールド層86の間であってスライダ端面811の近傍に又はスライダ端面811に面して、浮上量調整素子としての発熱抵抗部85が設けられている。
主磁極層841は、書き込みコイル層843への通電によって発生した磁束を、書き込みがなされる磁気ディスクの垂直磁気記録層まで収束させながら導くための導磁路であり、主磁極主要層8410及び主磁極補助層8411から構成されている。ここで、主磁極層841のスライダ端面811側の端部における層厚方向の長さ(厚さ)は、この主磁極主要層8411のみの層厚に相当しており小さくなっている。この結果、高記録密度化に対応した微細な書き込み磁界を発生させることができる。
補助磁極層845のスライダ端面811側の端部は、補助磁極層845の他の部分よりも層断面が広いトレーリングシールド部8450となっている。トレーリングシールド部8450は、主磁極層841のスライダ端面811側の端部とギャップ層842を介して対向している。このようなトレーリングシールド部8450を設けることによって、トレーリングシールド部8450の端部と主磁極層841の端部との間において磁界勾配がより急峻になる。この結果、信号出力のジッタが小さくなって読み出し時のエラーレートを小さくすることができる。
書き込みコイル層843は、1ターンの間に少なくとも主磁極層841及び補助磁極層845の間を通過するように形成されている。書き込みコイル絶縁層844は、書き込みコイル層843を取り囲んでおり、書き込みコイル層843と主磁極層841及び補助磁極層845との間を電気的に絶縁するために設けられている。
また、電磁コイル素子84においては、素子間シールド層86(発熱抵抗部85)と主磁極層841との間に、バッキングコイル部840が設けられている。バッキングコイル部840は、バッキングコイル層8400及びバッキングコイル絶縁層8401から形成されており、主磁極層841及び補助磁極層845から発生してMR効果素子83内の上下部シールド層を経由する磁束ループを打ち消す磁束を発生させて、磁気ディスクへの不要な書き込み又は消去動作である広域隣接トラック消去(WATE)現象の抑制を図っている。
なお、MR効果素子83は、図7(A)に示したMR効果素子73と同様の材料構成とすることができる。また、電磁コイル素子84において、主磁極層841及び補助磁極層845と、ギャップ層842と、書き込みコイル層843及びバッキングコイル層8400と、書き込みコイル絶縁層844及びバッキングコイル絶縁層8401とは、それぞれ、図7(A)に示した電磁コイル素子74の上下部磁極層745及び740と、書き込みギャップ層741と、書き込みコイル層743と、書き込みコイル絶縁層744と同様の材料構成とすることができる。また、素子間シールド層86においても、図7(A)に示したMR効果素子73の上下部シールド層734及び730と同様の材料構成とすることができる。
また、発熱抵抗部85は、図7(B)に示した発熱抵抗部75と同様の構成を有していてもよく、同様の材料で形成可能であり、同様の機能を発揮することができる。さらに、発熱抵抗部85の変更態様として、図4に示した発熱抵抗部40、43、47及び51と同様の構成を挙げることができる。
また、発熱抵抗部85は、素子間シールド層86の上方に近接して設けられており、素子間シールド層86が、図2に示したヘッドスライダにおける熱伝導層23の役割を果たす。すなわち、発熱抵抗部85の発熱による突出において、素子間シールド層86のトラック幅方向の幅程度のスライダ端面811部分が、ほぼ均一に突出することを促す。
さらに、発熱抵抗部85のトラック幅方向の幅は、素子間シールド層86のトラック幅方向の幅以下となるように設定されている。これにより、発熱抵抗部85からの熱をできるだけ均一に分布させることができるのみならず、素子間シールド層86が発熱抵抗部85全体のヒートシンクとしての役割を果たすことが可能となり、発熱抵抗部85自身の過剰な加熱による損傷を防止する。
図9は、図5の磁気ディスク装置が備えている記録再生及び及び発熱感知制御回路63の回路構成を示すブロック図である。
図9において、記録再生及び及び発熱感知制御回路63は、ヘッドアンプ90と、記録再生(R/W)コントローラ91と、CPU92と、メモリ93と、インターフェース94とを備えている。また、ヘッドアンプ90は、書き込みアンプ部900と、読み出しアンプ部901と、発熱アンプ部902と、接触検知回路903とを備えている。
記録再生動作においては、インターフェース94からR/Wコントローラ91を介して入力された記録データ信号が、CPU92の書き込み指示を受けたヘッドアンプ90内の書き込みアンプ部900を通って、薄膜磁気ヘッド71に送信される。次いで、薄膜磁気ヘッド71が、モータドライバ96によって駆動されたスピンドルモータ61によって回転している磁気ディスク60に、このデータ信号の書き込みを行う。また、薄膜磁気ヘッド71が回転している磁気ディスク60から読み出した再生データ信号が、CPU92の読み出し指示を受けたヘッドアンプ90内の読み出しアンプ部901を通って、R/Wコントローラ91により受信されインターフェース94から出力される。ここで、読み出し/書き込み位置は、CPU92から位置の指示を受けたVCMドライバ95によりVCM65を駆動することによって、適宜制御される。
浮上量調整(発熱)動作においては、発熱用の電力が、CPU92の発熱指示を受けたヘッドアンプ90内の発熱アンプ部902から、薄膜磁気ヘッド71内の発熱抵抗部75に送られる。この際の電力値は、温度計測素子97によって計測された温度を参照し、メモリ93の有する発熱用電力値の制御用テーブルを用いることによって制御される。なお、発熱用の電流として、直流だけではなく、交流又はパルス電流等を用いることも可能である。
この電力を供給している間、発熱アンプ部902は、発熱抵抗部75の電気抵抗値を測定(モニタ)している。ここで、薄膜磁気ヘッド71と磁気ディスク60表面との接触又は衝突が発生した場合、上述したように、この電気抵抗値が変化する(摩擦熱によって大きくなるか又は接触による冷却によって小さくなる)。接触検知回路903は、発熱アンプ部902から受けたこの電気抵抗値が所定の基準範囲を超える又は下回る値となった場合に、接触又は衝突が発生したと判断し、この判断結果をCPU92に出力する。このような判断結果を受けたCPU92は、所定の危険回避動作の指示を適切に行うことが可能となる。この際、複数の基準(範囲)を設けて接触又は衝突の頻度又は程度をも判断し、このような判断結果を出力することも可能となる。
次いで、浮上量をゼロにリセットして再び所定の値に調整し直すことが可能な薄膜磁気ヘッド71のタッチダウン動作においては、まず、CPU92からの指示を受けたVCMドライバ95によりVCM65を駆動させて、薄膜磁気ヘッド71を磁気ディスク60上の所定の浮上量調整位置にまで移動させる。次いで、CPU92のタッチダウン指示を受けたヘッドアンプ90内の発熱アンプ部902から、発熱用の電力が、薄膜磁気ヘッド71内の発熱抵抗部75に送られる。この際の電力値は、薄膜磁気ヘッド71のスライダ端面と磁気ディスク60表面とが確実に接触(タッチダウン)するまで、所定のステップで段階的に又は連続的に増加させられる。
この電力を供給している間、発熱アンプ部902は、発熱抵抗部75の電気抵抗値をモニタしている。ここで、タッチダウンが発生した場合、上述したように、この電気抵抗値が変化する。接触検知回路903は、発熱アンプ部902から受けたこの電気抵抗値が所定の基準範囲を超える又は下回る値となった場合に、タッチダウンが発生したと判断し、この判断結果をCPU92に出力する。
この判断結果を受けたCPU92は、タッチダウンに必要となった発熱用の電力値及びその際の温度等の情報に基づいて、メモリ141内の制御用テーブルを新たに更新する。その後、CPU92がこの更新した制御用テーブルに基づいた発熱指示を行うことによって、浮上量を所定の値に調整し直すことが可能となる。すなわち、この場合、CPU92が、接触検知回路903から送信される磁気ディスク60の表面との接触又は衝突の検知情報に基づいて、発熱アンプ部902の行う電力供給を制御することになる。
図10は、本発明による薄膜磁気ヘッドのスライダ端面における突出プロファイルのシミュレーション結果を示すグラフである。
同図のシミュレーションにおいては、本発明の実施例モデルとして図3(B)に示された発熱抵抗部21及び熱伝導層23を用い、図3(B)において、発熱抵抗部21のサイズとしてWHR=64μm、HHR=4μmとし、熱伝導層23のサイズとしてWSH=65μmとした。また、従来例として、トラック幅方向の幅が60μmであって高さ(ABSに垂直な方向の奥行き幅)20μmの発熱体がABSから3.5μmの位置にある(発熱体のABS側の端とABSとの距離が3.5μmである)薄膜磁気ヘッドにおける突出プロファイルのシミュレーションも行った。
また、図10のグラフの横軸は、薄膜磁気ヘッドのスライダ端面及びABSにおけるトラックに沿った方向での位置となっており、原点は、スライダ基板の端(素子形成面の位置)であり、そこからトレーリング側(スライダ端面側)を正方向としている。図10のグラフの縦軸は、突出していないABS及びスライダ端面を基準とした際の突出量となっている。
同図によれば、従来のヘッドにおいては、最も突出した位置が電磁コイル素子の端に相当する位置となっているのに対して、本発明のヘッドにおいては、最も突出した位置がMR効果素子の端と電磁コイル素子の端との間の位置となっている。これは、本発明による発熱抵抗部が、スライダ端面に面して又は近接して、MR効果素子及び電磁コイル素子の間に設けられていることによる。
従って、本発明の薄膜磁気ヘッドによれば、発熱抵抗部の発熱による浮上量の調整において、書き込みヘッド素子及び読み出しヘッド素子を、バランス良く同程度に、しかも十分に突出させることが可能となることが理解される。その結果、書き込み特性及び読み出し特性を共に良好に調整することが可能となる。
さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドによれば、発熱抵抗部の発熱によるタッチダウン動作において、磁気ディスクとの接触位置が、書き込みヘッド素子端及び読み出しヘッド素子端の間の位置となり、書き込みヘッド素子端又は読み出しヘッド素子端が直接ディスク表面に接触又は衝突する事態が回避可能となることが理解される。その結果、薄膜磁気ヘッドの動作時の信頼性が向上する。
さらにまた、本発明の薄膜磁気ヘッドによれば、薄膜磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触又は衝突の感知において、磁気ディスク表面と接触する又は衝突する位置となる最も突出した位置が、ほぼ発熱抵抗部の位置となる。従って、接触又は衝突位置が、接触又は衝突を感知する位置とほぼ一致する。その結果、接触又は衝突の頻度又は程度をより確実により感度良く検知することが可能となり、いち早く適切なタイミングで危険回避動作を行うことが可能となる。また、タッチダウンを検知する場合には、タッチダウンした時点をより適切に判断することが可能となる。その結果、浮上量の再調整の精度が向上する。
さらにまた、本発明による薄膜磁気ヘッドにおいては、発熱抵抗部をそのまま、接触又は衝突の感知部として用いており、従来のように、MR効果素子又は電磁コイル素子をセンサとして用いる必要が無い。そのため、浮上量や接触又は衝突の頻度又は程度を実際に把握する必要性が高い書き込み及び読み出し動作時において、センシングが制限されず、随時感知することが可能となる。
以上、本発明による薄膜磁気ヘッド及び磁気ディスク装置においては、磁気ディスクとの接触又は衝突の頻度又は程度の測定、さらには非常に微小な浮上量の調整を確実に実施することができる。
以下、グライドハイト検査用のヘッドスライダにおける発熱抵抗部の幅と熱伝導層の幅とのより好ましい関係を説明する。なお、以下の説明は、薄膜磁気ヘッドにおける発熱抵抗部の幅とシールド層又は磁極層の幅とのより好ましい関係にもそのまま当てはまる内容であることは明らかである。
図11(A)は、ヘッドスライダの発熱抵抗部および熱伝導層をABS側から透視的に見た平面図であり、図11(B)は、熱伝導層に対する発熱抵抗部の端の位置と発熱抵抗部の到達温度の上昇との関係を調べたシミュレーション結果を示すグラフである。
図11(A)において、まず、トラック幅方向において、熱伝導層23の一端の位置を原点として、発熱抵抗部21の一端の位置をXHEとする。ここで、位置XHEの正方向は、熱伝導層23からはみ出る方向とする。
この発熱抵抗部21の一端の位置XHEをパラメータとして、発熱抵抗部21に所定の電力を投入した際の発熱抵抗部21自身の到達温度のシミュレーションを行った。この際、発熱抵抗部21のトラック幅方向の幅が熱伝導層23のトラック幅方向の幅よりも十分に小さい場合の到達温度を100として、各位置XHEにおける到達温度の値を規格化した。また、ヒートシンクとして作用する熱伝導層23と発熱抵抗部21との距離dHCを0.2μmとし、その間の材料をアルミナ(Al)とした。
図11(B)のグラフによれば、位置XHEが負からゼロの範囲では、すなわち、発熱抵抗部21のトラック幅方向の幅が熱伝導層23のトラック幅方向の幅以下である場合には、発熱抵抗部21の規格化到達温度は、ほぼ一定して100%となっている。これに対して、位置XHEが正の範囲に入ると、発熱抵抗部21の規格化到達温度は一転して上昇する。これは、発熱抵抗部21のトラック幅方向の幅が熱伝導層23のトラック幅方向の幅を超える場合、発熱抵抗部21全体に対する熱伝導層23のヒートシンクとしての機能が急激に低下し、発熱抵抗部21自身に熱が籠もってしまうことによると考えられる。このように設定温度を超えて発熱抵抗部の温度が上昇することは、発熱抵抗部21自身の過剰な加熱による損傷の危険性を高めてしまう。
以上の結果より、熱伝導層のトラック幅方向の幅が、発熱抵抗部のトラック幅方向の幅以上であることが好ましいことが理解される。なお、上述したように、この関係は、薄膜磁気ヘッドにおける発熱抵抗部のトラック幅方向の幅とシールド層又は磁極層のトラック幅方向の幅との間にもそのまま当てはまる。すなわち、薄膜磁気ヘッドにおけるシールド層又は磁極層のトラック幅方向の幅が、発熱抵抗部のトラック幅方向の幅以上であることが好ましい。
実際には、発熱抵抗部のトラック幅方向の幅が、熱伝導層のトラック幅方向の幅を超えないようにして、両者をほぼ一致させることもより好ましい。これにより、発熱抵抗部の発熱によって突出したスライダ端面は、熱伝導層のトラック幅方向の幅に相当する幅にわたってほぼ同一量だけ突出する。その結果、この幅の領域において浮上量FHをほぼ一定とすることが可能となる。
この場合、グライドハイト検査用のヘッドスライダにおいては、上述したように、突出したスライダ端面の非常に広い幅領域にわたって、浮上量をほぼ一定にすることができるので、磁気ディスクの検査を、精度を低下させずに効率良く実施することが可能となる。一方、薄膜磁気ヘッド及び磁気ディスク装置においては、同じく突出したスライダ端面の非常に広い幅領域にわたって、浮上量をほぼ一定にすることができるので、タッチダウン動作を含めた接触又は衝突の際、接触又は衝突部分が相当に広くなるため、接触又は衝突による衝撃力の分散が図られる。これにより、接触又は衝突の検知時における薄膜磁気ヘッドの信頼性が向上する。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
本発明によるグライドハイト検査装置の一実施形態における要部の構成を概略的に示す斜視図である。 本発明によるヘッドスライダの一実施形態を示す斜視図である。 ヘッドスライダのスライダ端面における突出の状態を示す断面図である。 発熱抵抗部の種々の変更態様を示す概略図である。 本発明による磁気ディスク装置の一実施形態における要部の構成を概略的に示す斜視図である。 本発明によるHGA、及びこのHGAの先端部に装着されている薄膜磁気ヘッドの一実施形態を示す斜視図である。 本発明による薄膜磁気ヘッドの一実施形態における要部の構成を概略的に示す図6のC−C線断面図、及び薄膜磁気ヘッドを素子形成面側から透視的に見た平面図である。 本発明による薄膜磁気ヘッドの他の実施形態における要部の構成を概略的に示す、図6のC−C線断面図である。 図5の磁気ディスク装置が備えている記録再生及び及び発熱感知制御回路の回路構成を示すブロック図である。 本発明による薄膜磁気ヘッドのスライダ端面における突出プロファイルのシミュレーション結果を示すグラフである。 ヘッドスライダの発熱抵抗部および熱伝導層をABS側から透視的に見た平面図、及び熱伝導層に対する発熱抵抗部の端の位置と発熱抵抗部の到達温度の上昇との関係を調べたシミュレーション結果を示すグラフである。
符号の説明
10 グライドハイト検査装置
11、60 磁気ディスク
110 突起
12、61 スピンドルモータ
13、70 サスペンション
14 検査制御回路
140、92 CPU
141、93 メモリ
142 発熱抵抗部アンプ
143、903 接触検知回路
144、94 インターフェース
15、64 駆動アーム
16、66 ピボットベアリング軸
17、62 キャリッジ装置
170、65 ボイスコイルモータ(VCM)
18、95 VCMドライバ
19、96 モータドライバ
20 ヘッドスライダ
200、50、710 スライダ基板
2000、7100 浮上面(ABS)
2001、7101 素子形成面
201、42、46、56、711、811 スライダ端面
21、40、43、47、51、75、85 発熱抵抗部
210、400、430、510、511、512、513、514、750 発熱抵抗層
211、540、541、751 リード層
22、52、440、441、442、443、480、481、482、530、531、532、533、534、78 駆動端子電極
23、41、45、49、55 熱伝導層
24、79、89 被覆層
30、31、32 電流線路
33、34、35 突出プロファイル
470、471 バンプ
63 記録再生及び発熱感知制御回路
67 ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)
701 ロードビーム
702 フレクシャ
703 ベースプレート
704 配線部材
71 薄膜磁気ヘッド
72 磁気ヘッド素子
73、83 MR効果素子
730 下部シールド層
732 MR積層体
734 上部シールド層
74、84 電磁コイル素子
740 下部磁極層
741 書き込みギャップ層
742 上下部コイル絶縁層
743、843 書き込みコイル層
744、844 書き込みコイル絶縁層
745 上部磁極層
76、77 信号端子電極
840 バッキングコイル部
8400 バッキングコイル層
8401 バッキングコイル絶縁層
841 主磁極層
8410 主磁極主要層
8411 主磁極補助層
842 ギャップ層
845 補助磁極層
8450 トレーリングシールド部
86 素子間シールド層
90 ヘッドアンプ
900 書き込みアンプ部
901 読み出しアンプ部
902 発熱アンプ部
91 記録再生(R/W)コントローラ

Claims (21)

  1. 浮上面を有する基板と、
    前記基板の素子形成面に形成されており、浮上面側のスライダ端面の一部を突出させるために発熱し、さらに突出した該スライダ端面の一部と磁気ディスク表面の突起との接触又は衝突を感知するための発熱抵抗部と
    を備えていることを特徴とする磁気ディスク検査用のヘッドスライダ。
  2. 前記発熱抵抗部が、少なくとも一部が浮上面側のスライダ端面に面している又は近接している少なくとも1つの発熱抵抗層と、該少なくとも1つの発熱抵抗層に電気的に接続された通電用の複数のリード層とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドスライダ。
  3. 前記発熱抵抗部の上方又は下方に熱伝導層を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドスライダ。
  4. 前記熱伝導層のトラック幅方向の幅が、前記発熱抵抗部のトラック幅方向の幅以上であることを特徴とする請求項3に記載のヘッドスライダ。
  5. 前記発熱抵抗部が、少なくとも一部が浮上面側のスライダ端面に面している又は近接している少なくとも1つの発熱抵抗層を備えており、該少なくとも1つの発熱抵抗層の全体をトラック幅方向において3等分して両端部と中央部とした場合に、該両端部のそれぞれの発熱量が、該中央部の発熱量よりも大きくなるように、該少なくとも1つの発熱抵抗層が構成及び配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のヘッドスライダ。
  6. 前記少なくとも1つの発熱抵抗層の電流が流れる方向に沿った長さが、前記中央部においてよりも、前記両端部のそれぞれにおいてより大きくなっていることを特徴とする請求項5に記載のヘッドスライダ。
  7. 前記少なくとも1つの発熱抵抗層におけるトラック幅方向の法線を有する層断面の面積についての前記両端部のそれぞれにおける平均値が、該面積についての前記中央部における平均値よりも小さくなっていることを特徴とする請求項5に記載のヘッドスライダ。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のヘッドスライダと、
    前記ヘッドスライダを支持する支持機構と、
    前記発熱抵抗部に電力を供給するとともに、該発熱抵抗部の抵抗情報を測定する発熱抵抗部アンプと、
    前記発熱抵抗部アンプから前記抵抗情報を受信して、前記ヘッドスライダと前記磁気ディスク表面の突起との接触又は衝突を検知する接触検知回路と
    を備えていることを特徴とするグライドハイト検査装置。
  9. 前記接触検知回路から送信される前記突起との接触又は衝突の検知情報に基づいて、前記発熱抵抗部アンプが行う電力供給が制御されることを特徴とする請求項8に記載のグライドハイト検査装置。
  10. 浮上面を有する基板と、
    前記基板の素子形成面に形成されており、自身の端部が浮上面側のスライダ端面に達しているヘッド素子と、
    前記基板の素子形成面に形成されており、浮上面側のスライダ端面に達した前記ヘッド素子の端部を突出させるために発熱し、さらに突出した該端部と磁気ディスク表面との接触又は衝突を感知するための発熱抵抗部と
    を備えていることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  11. 前記ヘッド素子が、データ信号を読み出すための読み出しヘッド素子及びデータ信号を書き込むための書き込みヘッド素子を備えており、前記発熱抵抗部が、該読み出しヘッド素子と該書き込みヘッド素子との間に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の薄膜磁気ヘッド。
  12. 前記発熱抵抗部が、少なくとも一部が浮上面側のスライダ端面に面している又は近接している少なくとも1つの発熱抵抗層と、該少なくとも1つの発熱抵抗層に電気的に接続された通電用の複数のリード層とを備えていることを特徴とする請求項10又は11に記載の薄膜磁気ヘッド。
  13. 前記発熱抵抗部の上方又は下方に熱伝導層を備えていることを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  14. 前記発熱抵抗部のトラック幅方向の幅が、前記熱伝導層のトラック幅方向の幅以下であることを特徴とする請求項13に記載の薄膜磁気ヘッド。
  15. 前記発熱抵抗部が、少なくとも一部が浮上面側のスライダ端面に面している又は近接している少なくとも1つの発熱抵抗層を備えており、該少なくとも1つの発熱抵抗層の全体をトラック幅方向において3等分して両端部と中央部とした場合に、該両端部のそれぞれの発熱量が、該中央部の発熱量よりも大きくなるように、該少なくとも1つの発熱抵抗層が構成及び配置されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の薄膜磁気ヘッド。
  16. 前記少なくとも1つの発熱抵抗層の電流が流れる方向に沿った長さが、前記中央部においてよりも、前記両端部のそれぞれにおいてより大きくなっていることを特徴とする請求項15に記載の薄膜磁気ヘッド。
  17. 前記少なくとも1つの発熱抵抗層におけるトラック幅方向の法線を有する層断面の面積についての前記両端部のそれぞれにおける平均値が、該面積についての前記中央部における平均値よりも小さくなっていることを特徴とする請求項15に記載の薄膜磁気ヘッド。
  18. 前記読み出しヘッド素子が有するシールド層、前記読み出しヘッド素子及び前記書き込みヘッド素子の間に位置するシールド層、又は前記書き込みヘッド素子が有する磁極層が、前記発熱抵抗部の上方又は下方に位置しており、該シールド層又は該磁極層が、前記熱伝導層を兼ねていることを特徴とする請求項13から17のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  19. 請求項10から18のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドと、該薄膜磁気ヘッドを支持する支持機構とを備えていることを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
  20. 請求項19に記載のヘッドジンバルアセンブリを少なくとも1つ備えており、少なくとも1つの磁気記録媒体と、該少なくとも1つの磁気記録媒体に対して前記薄膜磁気ヘッドが行う書き込み及び読み出し動作を制御するための記録再生回路とをさらに備えている磁気ディスク装置であって、
    前記記録再生回路が、前記発熱抵抗部に電力を供給するとともに、該発熱抵抗部の抵抗情報を測定する発熱アンプ部と、前記発熱アンプ部から該抵抗情報を受信して、前記薄膜磁気ヘッドと前記磁気ディスク表面との接触又は衝突を検知する接触検知回路とを備えていることを特徴とする磁気ディスク装置。
  21. 前記接触検知回路から送信される前記磁気ディスク表面との接触又は衝突の検知情報に基づいて、前記発熱アンプ部が行う電力供給が制御されることを特徴とする請求項20に記載の磁気ディスク装置。
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