JP2008077021A - 樹脂製眼鏡フレーム及びその製造方法 - Google Patents

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Tatsuaki Muraoka
達明 村岡
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Abstract

【課題】射出成型による樹脂テンプルの耳掛け部にソフトな表面を一体的に設け、曲げ加工しても剥離等無く使用出来るようにする事。
【解決手段】第一の樹脂である微結晶性ポリアミド樹脂から形成された眼鏡テンプル基材(11)の表面適宜箇所部分に第二の樹脂である熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂(12)を溶融接着させて形成し、少なくとも耳掛け部の折り曲げられる部分に曲げ姿勢維持用の芯金(13)を埋設し、テンプル(10)を作った。
【選択図】図3

Description

本発明は、樹脂製の眼鏡フレームに関する。更に詳しくは、フレーム基材として透明なポリアミド樹脂を使用し、肌に接する部分にはエラストマー系樹脂を被覆した樹脂製眼鏡フレーム及びその製造方法に関する。
従来より、樹脂を射出成型して、眼鏡フレームに使用することは行われてきており、特にテンプルに於いては、金属より軽く、弾性も同じぐらいの品質のものが出て来ておりよく使用されるようになってきている。しかし樹脂は滑りが良く、掛けていて少しの運動や動きでずれたりする。又、硬さと滑り安さの為に掛け心地が悪かった。その為に耳に掛ける部分は滑らないソフトな材料、すなわち、シリコンやエラストマーにより被覆することが行われてきた。その様な背景に於いて、シリコンやエラストマーを成型樹脂上に二層成型し被覆する事が行われてきていた。
その中で、樹脂製眼鏡フレームの二層構造の物としては、(1)特許文献1の様に第一硬化物としてポリオレフィン系樹脂を使用し、第二硬化物として同種のポリオレフィン系エラストマーを使用したものや、第一硬化物としてポリウレタン樹脂を使用し、第二硬化物として同種のポリウレタン系エラストマーを使用して二層成型したものが開示されている。
又(2)特許文献2の様に第一材にセルロースプロピオーネやナイロンを使用し、第二材としてはポリエステルエラストマーを使用し互に嵌合し、芯金を巻き込むように第一と第二材が一体化成型されたものが開示されている。
特開平09−113851号 登録実用新案第3096515号
しかし上記(1)の特許文献の方法に於いては、先セル(所謂モダン)として使用するには接着力が少し弱く、図10の成型金型図からも解かる様に、最初から先セルを真っ直ぐでなく曲げて成型せざるを得なかった。と言うのも、眼鏡の先セル(所謂モダン)は装着者の耳、頭部、又は顔に合わせる為に折り曲げられたり、又は眼鏡のかけ外しの際に力を掛けて掛け外ししなければならず、第一と第二部材の間の接着強度、即ち剥離強度が強くなければならない。それと同時に、先セルを曲げて装着者に合わせた後は、弾性復帰しない様にその姿勢を保持しなけらばならない。その為に塑性変形可能な金属製の芯金が挿入される訳であるが、この特許文献1の方法の様に真っ直ぐでなく先セルを曲げたまま成型すると、その先セル及び芯金が曲がる場所に芯金が入らないという問題が生じる。それと同時に、始めから先セルの形状が決まってしまい、後で装着者の体型に合わせる事という事が出来なくなってしまった。
次に(2)の特許文献の物に於いては、図8の様に、第一の部材と第二の部材が嵌合した部分や芯金が巻きつけられた部分の強度は強いが、図9の様なその他の部分は剥離し易く、強度が充分ではなかった。又、金型も複雑になりかえって高くついた。
そこで本発明に於いては上記課題を解決する為に、色々な材料同士を試す事により最適な材料の組み合わせを得た。先ず第一に、第一の樹脂であるポリアミド樹脂から形成された眼鏡フレーム基材の表面適宜箇所部分に第二の樹脂である熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂を溶融接着させて形成した事を特徴とする樹脂製眼鏡フレームを提供する。
好ましくは、最適の状態として、第一の樹脂である微結晶性ポリアミド樹脂から形成された眼鏡フレーム基材の表面適宜箇所部分に第二の樹脂である熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂を溶融接着させて形成した事を特徴とする樹脂製眼鏡フレームを提供する。
次に好ましくは、最適な状態として、第一の樹脂である半芳香族非晶質ポリアミド樹脂から形成された眼鏡フレームの基材の表面適宜箇所部分に第二の樹脂である熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂を溶融接着させて形成した事を特徴とする樹脂製眼鏡フレームを提供する。
そして、前記樹脂製フレームがテンプルであって、少なくとも耳掛け部の折り曲げられる部分に曲げ姿勢維持用の芯金を埋設した。
更に、その解決手段の製造方法として、先ず、第一の樹脂である微結晶性ポリアミド樹脂を255℃〜310℃で金型温度60〜90℃の第一の金型内に射出圧800〜1,600(kgf/cm)で眼鏡フレーム基材を射出成型し、速やかに上記第一の金型よりも低い温度の20℃〜50℃の第二金型の中に前記眼鏡フレーム基材を設置し、第二樹脂である180℃〜225℃の熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂を射出圧1,200〜1,900(kgf/cm)で前記眼鏡フレーム基材の表面適宜箇所部分に溶融接着し成型する事により、接着強度、即ち、剥離強度が非常に強い樹脂製眼鏡フレームを得た。
そして、同様に、第一の樹脂である半芳香族非晶質ポリアミド樹脂を275℃〜305℃で金型温度80〜135℃の第一の金型内に射出圧700〜1,300(kgf/cm)で眼鏡フレーム基材を射出成型し、速やかに上記第一の金型よりも低い温度の20℃〜50℃の第二金型の中に前記眼鏡フレーム基材を設置し、第二樹脂である180℃〜225℃の熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂を射出圧1,200〜1,900(kgf/cm)で前記眼鏡フレーム基材の表面適宜箇所部分に溶融接着し成型する事により、接着強度、即ち、剥離強度が非常に強い樹脂製眼鏡フレームを得た。
本発明によると、眼鏡フレーム(以下テンプルと略記する)の耳掛け部分に肌触りもソフトで、滑り難く、そして、装着者の汗や、整髪剤等に侵される事の無い、且つ、折り曲げたりしても、第一と第二の樹脂の間の剥離等に強い強度を持ったテンプルを得ることが出来た。又、溶剤や接着剤を使用することが無く形成でき、肌にも優しく、且つ環境にも優しい。更に、第一樹脂として使用される微結晶性ポリアミド樹脂と、半芳香族非晶質ポリアミド樹脂とは共に固化時の体積変化が少ないので、成型時のひけやそりが生じ難い長所がある。又低吸水性でもあり寸法安定性に優れているので、金型の設計も安価に出来る。
本発明を実施例を基に詳しく述べると。
本発明の第一樹脂の微結晶性ポリアミド樹脂と第二樹脂の熱可塑性ポリウレタン系エラストマーからなる実施例の場合である。図1は、完成した眼鏡テンプル正面図であり、図2はそれを使用する為に曲げた状態の正面図であり、図3はその要部拡大正面図で、図4は図3のB−B断面図で、図5は図3のC−C断面図で、図6は図1のA−A断面図である。
図1は、第一の樹脂である微結晶性ポリアミド樹脂としてトロガミド(TROGAMIDはクリアノバ社の商標)CX7323(PA PACM12)を使用し、255℃〜310℃で金型温度60℃〜90℃の第一金型内に射出圧800〜1,600kgf/cmにより形成されたテンプル基材11を得た。そしてその表面適宜箇所部分(肌に当接する部分)に第二の樹脂である熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂(TPU)、この場合エラストラン(BASF社の商標)を用い、速やかに上記第一の金型よりも低い温度の20℃〜50℃の第二金型の中に前記眼鏡フレーム基材11を設置し、第二樹脂である180℃〜225℃の熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂12を射出圧1,200〜1,900kgf/cmで溶融接着させてテンプル10を形成した。
耳掛け部の折り曲げられる部分の曲げ姿勢維持用芯金13は、第一の樹脂が成型された後に埋設されることが好ましく、方法は耳掛け部後部14からシューティング挿入しても良く、その方法は問わない。
そして、図1,2のテンプル10の丁番側20から耳掛け部までの間mは芯金が入っていない透明の方が好ましく、耳掛け部の曲げ姿勢維持用の芯金13も水平から見た場合第二樹脂12に隠れるようになる事が好ましい。そうする為には、テンプルの強度が必要となり上記微結晶性ポリアミド樹脂が最適である。無色で、透明性が極めて高く、耐薬品性、耐衝撃性、対抗性にも極めて優れた特性を現す。
又、上記微結晶性ポリアミド樹脂と熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂の間の剥離強度は、上記トロガミド(TROGAMIDはクリアノバ社の商標)CX7323と、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー樹脂(TPU)エラストラン(BASF社の商標)との間に於いては、90N/cm以上の値を示した。又、繰り返しの曲げ試験に於いても、芯金を入れない状態で0〜45度の間の角度で5,000回以上の曲げ試験に於いても、ルーペ目視で第一樹脂と第二樹脂の間の剥離は全く認められなかった。
又、同様に、半芳香族非結晶性ポリアミド樹脂を第一樹脂として使用し、第二樹脂として熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)を使用した場合に於いてもほぼ同様の結果を得た。この場合、半芳香族非晶質ポリアミド樹脂としてはクリスタミド(ARKEMA社の商標)MS1700を使用し、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(TPU)としては上記同様のエラストラン(BASF社の商標)を使用した。
上記、テンプルを中心に実施例を説明したが、他の部分の眼鏡フレームで肌に接する部分、例えば鼻パッド部分への使用に付いても応用が考えられ利用価値は大きい。
本発明の完成テンプル正面図 図1を使用状態に曲げたテンプル正面図 図1の要部拡大表面図 図3のB−B断面図 図3のC−C断面図 図1のA−A断面図 従来図 従来図のD−D断面図 従来図のE−E断面図 その他の従来図
符号の説明
10 テンプル
11 テンプル基材
12 第二樹脂被覆部
13 曲げ姿勢維持用芯金
14 テンプル後端部
20 丁番

Claims (6)

  1. 第一の樹脂であるポリアミド樹脂から形成された眼鏡フレーム基材の表面適宜箇所部分に第二の樹脂である熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂を溶融接着させて形成した事を特徴とする樹脂製眼鏡フレーム。
  2. 第一の樹脂である微結晶性ポリアミド樹脂から形成された眼鏡フレーム基材の表面適宜箇所部分に第二の樹脂である熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂を溶融接着させて形成した事を特徴とする樹脂製眼鏡フレーム。
  3. 第一の樹脂である半芳香族非晶質ポリアミド樹脂から形成された眼鏡フレームの基材の表面適宜箇所部分に第二の樹脂である熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂を溶融接着させて形成した事を特徴とする樹脂製眼鏡フレーム。
  4. 前記樹脂製フレームがテンプルであって、少なくとも耳掛け部の折り曲げられる部分に曲げ姿勢維持用の芯金が埋設されている事を特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製眼鏡フレーム。
  5. 第一の樹脂である微結晶性ポリアミド樹脂を255℃〜310℃で金型温度60〜90℃の第一の金型内に射出圧800〜1,600kgf/cmで眼鏡フレーム基材を射出成型し、速やかに上記第一の金型よりも低い温度の20℃〜50℃の第二金型の中に前記眼鏡フレーム基材を設置し、第二樹脂である180℃〜225℃の熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂を射出圧1,200〜1,900kgf/cmで前記眼鏡フレーム基材の表面適宜箇所部分に溶融接着し成型した事を特徴とする請求項1記載の樹脂製眼鏡フレームの製造方法。
  6. 第一の樹脂である半芳香族非晶質ポリアミド樹脂を275℃〜305℃で金型温度80〜135℃の第一の金型内に射出圧700〜1,300kgf/cmで眼鏡フレーム基材を射出成型し、速やかに上記第一の金型よりも低い温度の20℃〜50℃の第二金型の中に前記眼鏡フレーム基材を設置し、第二樹脂である180℃〜225℃の熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂を射出圧1,200〜1,900kgf/cmで前記眼鏡フレーム基材の表面適宜箇所部分に溶融接着し成型した事を特徴とする請求項2記載の樹脂製眼鏡フレームの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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