図1は加速度センサを組み込んだ磁気ディスクドライブ装置の一例の全体構成を概略的に示す斜視図である。この磁気ディスクドライブ装置は、例えば2.5インチ、1.8インチ、1.3インチ又は1インチ以下の磁気ディスクを用いる超小型HDDであり、例えば携帯型パソコン、携帯電話、デジタルオーディオプレーヤ等の携帯機器に組み込まれるHDD又はそれ自体がストレージとして携帯されるHDD若しくはリムーバブルHDDである。
同図は磁気ディスクドライブ装置の蓋を外した状態を示しており、10は動作時にスピンドルモータにより回転する磁気ディスク、10aは落下検出時に磁気ヘッドが移動するデータの書き込まれていない退避ゾーン、11は動作時に磁気ディスク10の表面に対向する磁気ヘッドを先端部に有するヘッドジンバルアセンブリ(HGA)、12は磁気ヘッドに電気的に接続された配線部材であるフレクシブル回路(FPC)、13はHGA11を支持する支持アーム、14は支持アーム13を回動軸15を中心に回動させて位置決めするためのアクチュエータであるボイスコイルモータ(VCM)、16は落下検出時に支持アーム13の爪13aが乗り上げて磁気ヘッドを磁気ディスク表面から離れるための退避ランプ、17は回路基板18上に搭載された加速度センサをそれぞれ示している。
図2は本発明の加速度センサの一実施形態における全体構成を概略的に示す分解斜視図であり、図3はハウジング部材の内部に設けられるばね部材、磁界発生錘部材及び磁界検出センサチップの構成を概略的に示す分解斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態における加速度センサは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3軸加速度を検出するためのものであり、ハウジング部材20内に、第1の帯状板ばね21a、2つの第2の帯状板ばね21b及び21c並びに磁界発生錘部材を支持するための4つの錘支持部21d〜21gを一体的に形成してなるばね部材21と、永久磁石の伸長方向を除いて寸法、形状及び重量等の構成が共に同じである4つの磁界発生錘部材22a〜22dと、X軸Z軸用の第1の磁界検出センサチップ23と、X軸Z軸用の第2の磁界検出センサチップ24と、Y軸用の第3の磁界検出センサチップ25と、支点部材26とを収納するように構成されている。
ハウジング部材20は、基板自体が例えばポリイミド又はBTレジン等の樹脂材料による平板形状の基板に配線パターン(図示なし)を設けることで形成された配線基板20aと、この配線基板20aを覆って密封する例えばニッケル(Ni)めっきした鉄(Fe)、鉄ニッケル(FeNi)、鉄スズ(FeSn)等の磁性金属材料や、窒化チタン(TiN)等によって形成された箱型のカバー部材20bとから構成されている。なお、カバー部材20bは、表面のみが上述した金属材料で覆われている部材であっても良い。本実施形態では、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3軸加速度を、配線基板20aによる1平面上に搭載した3つの磁界検出センサチップ23〜25で検出することが可能となる。なお、本発明におけるハウジング部材の底面は、この配線基板20aの上面に対応している。
本実施形態においては、特に、このカバー部材20bの内面には、図6を参照して後述するように、リミッタ部材27a〜27eが固着されている。
ばね部材21は、例えばNiFeやNi等による薄膜金属板か、ステンレス鋼等の薄板か、又はポリイミド等による薄い樹脂板を、本実施形態では、図3に示すように形状加工することによって一体的に形成されている。
第1の帯状板ばね21aは主ばねを構成しており、外部から印加される力に対して曲げ応力及び/又は捩り応力を発生させる。第1の帯状板ばね21aの中央部は支点を構成しており、この中央部は一端が配線基板20aに固着されている支点部材26の他端に固着されている。2つの第2の帯状板ばね21b及び21cは副ばねを構成しており、外部から印加される力に対して曲げ応力のみを発生させる。これら第2の帯状板ばね21b及び21cは、中央部が第1の帯状板ばね21aの両端にそれぞれ一体的に連結されている。第2の帯状板ばね21b及び21cの両端は互いに同一形状の錘支持部21d〜21gにそれぞれ一体的に連結されている。これら錘支持部21d〜21gは、ハウジング部材20の4つのコーナ部の近傍にそれぞれ位置している。なお、錘支持部21d〜21gは図では矩形であるが、円形であってもその他の形状であっても良い。
磁界発生錘部材22a〜22dは、ばね部材21の錘支持部21d〜21gの一方の面(磁界センサチップに対向する面とは反対側の面)上にそれぞれ接着剤で固着されている。磁界発生錘部材22a〜22dは、それぞれ、磁界発生用の1対の永久磁石22a1及び22a2、22b1及び22b2、22c1及び22c2、並びに22d1及び22d2から構成されている。
X軸Z軸用の第1の磁界検出センサチップ23、X軸Z軸用の第2の磁界検出センサチップ24及びY軸用の第3の磁界検出センサチップ25は、4つの磁界発生錘部材22a〜22dのうちの3つの磁界発生錘部材22a〜22cにそれぞれ対向して、具体的には錘支持部21d〜21fの他方の面にそれぞれ対向して、配線基板20a上に接着剤で固着されている。従って、磁界発生錘部材22a〜22cは、加速度に応じて角度の変化する磁界を第1〜第3の磁界検出センサチップ23〜25にそれぞれ印加することとなる。なお、本実施形態では、磁界発生錘部材22dは、ばね部材21の平衡を保つことのみを目的として設けられている。
1対の永久磁石22a1及び22a2は、X軸方向に互いに平行に伸長する直方体形状のフェライト材料で形成されており、X軸Z軸用の第1の磁界検出センサチップ23に対向している。これら1対の永久磁石22a1及び22a2は、第1の磁界検出センサチップ23に対向する面が互いに逆極性となるように配置されているおり、両者で閉磁路を構成している。後述するように、第1の磁界検出センサチップ23のスピンバルブGMR素子がこの閉磁路内にその積層面とほぼ垂直な方向に磁界(バイアス磁界)が印加されるように配置される。
1対の永久磁石22b1及び22b2は、X軸方向に互いに平行に伸長する直方体形状のフェライト材料で形成されており、X軸Z軸用の第2の磁界検出センサチップ24に対向している。これら1対の永久磁石22b1及び22b2は、第2の磁界検出センサチップ24に対向する面が互いに逆極性となるように配置されているおり、両者で閉磁路を構成している。後述するように、第2の磁界検出センサチップ24のスピンバルブGMR素子がこの閉磁路内にその積層面とほぼ垂直な方向にバイアス磁界が印加されるように配置される。
1対の永久磁石22c1及び22c2は、Y軸方向に互いに平行に伸長する直方体形状のフェライト材料で形成されており、Y軸用の第3の磁界検出センサチップ25に対向している。これら1対の永久磁石22c1及び22c2は、第3の磁界検出センサチップ25に対向する面が互いに逆極性となるように配置されているおり、両者で閉磁路を構成している。後述するように、第3の磁界検出センサチップ25のスピンバルブGMR素子がこの閉磁路内にその積層面とほぼ垂直な方向にバイアス磁界が印加されるように配置される。
図4は本実施形態の加速度センサにおける配線基板上の結線及び磁界検出センサチップの構成を概略的に示す図である。
同図に示すように、X軸Z軸方向の加速度を検出するための第1の磁界検出センサチップ23には、X軸方向と垂直な方向(Y軸方向)に沿った直線部分を有する4つ(2対)のスピンバルブGMR素子23a、23b、23c及び23dが互いに平行に形成されている。スピンバルブGMR素子23a及び23bは対となっており、互いに直列接続されている。その直列接続の両端が電源端子電極TVCC及びTVDDにそれぞれ接続されており、中点が信号出力端子TX1に接続されている。スピンバルブGMR素子23c及び23dも対となっており、互いに直列接続されている。その直列接続の両端が電源端子電極TVCC及びTVDDにそれぞれ接続されており、中点が信号出力端子TZ1に接続されている。
スピンバルブGMR素子23a、23b、23c及び23dの各々は、基本的には、反強磁性材料によるピン層及び強磁性材料によるピンド層からなる磁化固定層と、非磁性中間層と、強磁性材料による磁化自由層(フリー層)とを積層した多層構造を有しており、ピンド層がフリー層の延在方向と垂直な同一方向に磁化固定されている。即ち、これらスピンバルブGMR素子23a、23b、23c及び23dのピンド層は、全てX軸方向の同一向きに磁化固定されている。
図5はスピンバルブGMR素子の積層面への印加磁界角度に対するMR抵抗変化特性を表す図である。同図において、横軸は印加磁界のフリー層の延在方向(磁化固定方向と垂直な方向)となす角度(°)、縦軸はMR抵抗(Ω)をそれぞれ表している。同図から分かるように、MR抵抗はバイアス磁界が90°近傍で僅かに変化しても大きく変化する。バイアス磁界の微小角度θの変化は90±θであるから、磁界発生錘部材の、従って1対の永久磁石の僅かな傾きが抵抗変化として取り出され、しかも、磁化ベクトルとして、大きさのみならずその正負の方向も取り出せることとなる。
互いに直列接続された対となるスピンバルブGMR素子23a及び23bのピンド層が同一方向に磁化固定されるのは、対となるスピンバルブGMR素子の各々に印加されるバイアス磁界が互いにほぼ逆方向であるためである。即ち、1対の永久磁石22a1及び22a2によって閉磁路が構成されており、対となるスピンバルブGMR素子23a及び23bが、閉磁路の逆方向磁界が流れる磁路内に配置されているからバイアス磁界が互いにほぼ逆方向となるのである。互いに直列接続された対となるスピンバルブGMR素子23c及び23dについても同様である。この場合、閉磁路を構成する磁気回路の中心が、対となるスピンバルブGMR素子間の中心線上に位置していることとなる。
このように、互いにほぼ逆方向のバイアス磁界が印加されることにより、対をなすスピンバルブGMR素子23a及び23b並びに23c及び23dのピンド層の磁化固定方向が同一方向となるので、これら対をなす4つのスピンバルブGMR素子を1つのチップ内に形成することができ、その結果、加速度センサ全体のさらなる小型化を図ることが可能となる。
X軸Z軸方向の加速度を検出するための第2の磁界検出センサチップ24にも、X軸方向と垂直な方向(Y軸方向)に沿った直線部分を有する4つ(2対)のスピンバルブGMR素子24a、24b、24c及び24dが互いに平行に形成されている。スピンバルブGMR素子24b及び24aは対となっており、互いに直列接続されている。その直列接続の両端が電源端子電極TVCC及びTVDDにそれぞれ接続されており、中点が信号出力端子TX2接続されている。スピンバルブGMR素子24c及び24dも対となっており、互いに直列接続されている。その直列接続の両端が電源端子電極TVCC及びTVDDにそれぞれ接続されており、中点が信号出力端子TZ2接続されている。
スピンバルブGMR素子24a、24b、24c及び24dの各々は、基本的には、反強磁性材料によるピン層及び強磁性材料によるピンド層からなる磁化固定層と、非磁性中間層と、強磁性材料による磁化自由層(フリー層)とを積層した多層構造を有しており、ピンド層がフリー層の延在方向と垂直な同一方向に磁化固定されている。即ち、これらスピンバルブGMR素子24a、24b、24c及び24dのピンド層は、全てX軸方向の同一向きに磁化固定されている。
互いに直列接続された対となるスピンバルブGMR素子24a及び24bのピンド層が同一方向に磁化固定されるのは、対となるスピンバルブGMR素子の各々に印加されるバイアス磁界が互いにほぼ逆方向であるためである。即ち、1対の永久磁石22b1及び22b2によって閉磁路が構成されており、対となるスピンバルブGMR素子24a及び24bが、閉磁路の逆方向磁界が流れる磁路内に配置されているからバイアス磁界が互いにほぼ逆方向となるのである。互いに直列接続された対となるスピンバルブGMR素子24c及び24dについても同様である。この場合、閉磁路を構成する磁気回路の中心が、対となるスピンバルブGMR素子間の中心線上に位置していることとなる。
このように、互いにほぼ逆方向のバイアス磁界が印加されることにより、対をなすスピンバルブGMR素子24a及び24b並びに24c及び24dのピンド層の磁化固定方向が同一方向となるので、これら対をなす4つのスピンバルブGMR素子を1つのチップ内に形成することができ、その結果、加速度センサ全体のさらなる小型化を図ることが可能となる。
Y軸方向の加速度を検出するための第3の磁界検出センサチップ25には、Y軸方向と垂直な方向(X軸方向)に沿った直線部分を有する4つ(2対)のスピンバルブGMR素子25a、25b、25c及び25dが互いに平行に形成されている。スピンバルブGMR素子25a及び25bは対となっており、互いに直列接続されている。その直列接続の両端が電源端子電極TVCC及びTVDDにそれぞれ接続されており、中点が信号出力端子TY1接続されている。スピンバルブGMR素子25c及び25dも対となっており、互いに直列接続されている。その直列接続の両端が電源端子電極TVCC及びTVDDにそれぞれ接続されており、中点が信号出力端子TY2接続されている。
スピンバルブGMR素子25a、25b、25c及び25dの各々は、基本的には、反強磁性材料によるピン層及び強磁性材料によるピンド層からなる磁化固定層と、非磁性中間層と、強磁性材料による磁化自由層(フリー層)とを積層した多層構造を有しており、ピンド層がフリー層の延在方向と垂直な同一方向に磁化固定されている。即ち、これらスピンバルブGMR素子25a、25b、25c及び25dのピンド層は、全てY軸方向の同一向きに磁化固定されている。
互いに直列接続された対となるスピンバルブGMR素子25a及び25bのピンド層が同一方向に磁化固定されるのは、対となるスピンバルブGMR素子の各々に印加されるバイアス磁界が互いにほぼ逆方向であるためである。即ち、1対の永久磁石22c1及び22c2によって閉磁路が構成されており、対となるスピンバルブGMR素子25a及び25bが、閉磁路の逆方向磁界が流れる磁路内に配置されているからバイアス磁界が互いにほぼ逆方向となるのである。互いに直列接続された対となるスピンバルブGMR素子25c及び25dについても同様である。この場合、閉磁路を構成する磁気回路の中心が、対となるスピンバルブGMR素子間の中心線上に位置していることとなる。
このように、互いにほぼ逆方向のバイアス磁界が印加されることにより、対をなすスピンバルブGMR素子25a及び25b並びに25c及び25dのピンド層の磁化固定方向が同一方向となるので、これら対をなす4つのスピンバルブGMR素子を1つのチップ内に形成することができ、その結果、加速度センサ全体のさらなる小型化を図ることが可能となる。
第1の磁界検出センサチップ23のスピンバルブGMR素子23a及び23b間には電源電圧Vcc−Vddが印加され、その中点に接続された信号出力端子TX1から第1のX軸方向加速度信号VX1が取り出される。また、第2の磁界検出センサチップ24のスピンバルブGMR素子24b及び24a間には電源電圧Vcc−Vddが印加され、その中点に接続された信号出力端子TX2から第2のX軸方向加速度信号VX2が取り出される。従って、これらスピンバルブGMR素子23a及び23b並びにスピンバルブGMR素子24b及び24aは、フルブリッジ接続されていることとなり、信号出力端子TX1及び信号出力端子TX2からの信号VX1及びVX2が差動増幅されてX軸方向の加速度信号となる。このX軸方向の加速度信号は、印加される加速度の方向によって、磁界発生錘部材22a(従って永久磁石22a1及び22a2)と磁界発生錘部材22b(従って永久磁石22b1及び22b2)とがZ軸の互いに反対方向に変位した際にのみ出力され、共に同じ方向に変位した際には第1のX軸方向加速度信号VX1及び第2のX軸方向加速度信号VX2が互いに打ち消し合って出力されない。
第1の磁界検出センサチップ23のスピンバルブGMR素子23c及び23d間には電源電圧Vcc−Vddが印加され、その中点に接続された信号出力端子TZ1から第1のZ軸方向加速度信号VZ1が取り出される。また、第2の磁界検出センサチップ24のスピンバルブGMR素子24c及び24d間には電源電圧Vcc−Vddが印加され、その中点に接続された信号出力端子TZ2から第2のZ軸方向加速度信号VZ2が取り出される。従って、これらスピンバルブGMR素子23c及び23d並びにスピンバルブGMR素子24c及び24dは、フルブリッジ接続されていることとなり、信号出力端子TZ1及び信号出力端子TZ2からの信号VZ1及びVZ2が差動増幅されてZ軸方向の加速度信号となる。このZ軸方向の加速度信号は、印加される加速度によって、磁界発生錘部材22a(従って永久磁石22a1及び22a2)と磁界発生錘部材22b(従って永久磁石22b1及び22b2)とがZ軸の共に同じ方向に変位した際にのみ出力され、互いに反対方向に変位した際には第1のZ軸方向加速度信号VZ1及び第2のZ軸方向加速度信号VZ2が互いに打ち消し合って出力されない。
第3の磁界検出センサチップ25のスピンバルブGMR素子25b及び25a間には電源電圧Vcc−Vddが印加され、その中点に接続された信号出力端子TY1から第1のY軸方向加速度信号VY1が取り出され、スピンバルブGMR素子25c及び25d間には電源電圧Vcc−Vddが印加され、その中点に接続された信号出力端子TY2から第2のY軸方向加速度信号VY2が取り出される。従って、この第3の磁界検出センサチップ25のスピンバルブGMR素子25a〜25dは、フルブリッジ接続されていることとなり、信号出力端子TY1及び信号出力端子TY2からの信号VY1及びVY2が差動増幅されてY軸方向の加速度信号となる。このY軸方向の加速度信号は、印加される加速度によって、磁界発生錘部材22c(従って永久磁石22c1及び22c2)がZ軸方向に変位した際に出力される。
図6は本実施形態の加速度センサにおけるリミッタ部材27a〜27eの構成を説明するための図であり、(A)は側面断面図、(B)は平面断面図及び(C)はカバー部材の外観斜視図である。
同図(A)及び(B)から分かるように、本実施形態では、ハウジング部材20は、その各面が平坦な箱型形状となっており、そのカバー部材20bの4つの側部内面20b1、20b2、20b3及び20b4と、天井内面20b5とには、シート状のリミッタ部材27a〜27eがそれぞれ固着されている。シート状リミッタ部材27aは2つの磁界発生錘部材22a及び22bの対向する側面に近接して配置されており、シート状リミッタ部材27bは2つの磁界発生錘部材22b及び22dの対向する側面に近接して配置されており、シート状リミッタ部材27cは2つの磁界発生錘部材22d及び22cの対向する側面に近接して配置されており、シート状リミッタ部材27dは2つの磁界発生錘部材22c及び22aの対向する側面に近接して配置されており、シート状リミッタ部材27eは4つの磁界発生錘部材22a〜22dの対向する上面に近接して配置されている。ただし、これらシート状リミッタ部材27a〜27eは、それぞれの内面の中央部にのみ存在しており、カバー部材20bのコーナ部28a〜28dには存在しないように設けられている。即ち、ハウジング部材20のコーナ部以外の領域に設けられている。なお、リミッタ部材と磁界発生錘部材の対向面とが近接して配置されているとしているが、両者間の離隔距離は、加速度検出に必要な間隔を保った状態でできるだけ小さくなるようにすることが望ましい。
シート状リミッタ部材27a〜27eは、磁界発生錘部材22a〜22d(永久磁石22a1及び22a2、22b1及び22b2、22c1及び22c2、並びに22d1及び22d2)を構成するフェライト材料より硬度の低い材料、例えばレジスト材料、プラスチック材料、エラストマ材料などの有機弾性体材料によるシート、又は金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の軟金属材料や、酸化アルミニウム(Al2O3)等からなるシートを接着することで形成されている。
本実施形態の加速度センサによれば、例えば1〜100G程度の測定すべき加速度よりはるかに大きい、例えば1000G以上の衝撃が外部から印加された場合にも、磁界発生錘部材22a〜22dの過剰な変位がその対向面に近接配置されたシート状リミッタ部材27a〜27eによって規制されるので、ばね部材が塑性変形する、磁界発生錘部材が損傷するなどの問題がほとんど起こらなくなる。
一般に、衝撃に関して、mv−mv′=F・tなる式が成立する。ここで、mは錘の質量、vは錘の速度、v′は衝撃印加後の錘の速度、Fは衝撃力、tは時間である。v=0であり、aを加速度とするとv′=m∫a・dtであるから、大きな加速度が印加されたときの錘の変位が大きくなると速度が高くなり、力積であるF・tも大きくなる。従って、リミッタ部材を錘に近接して設け、速度が大きくなる前に錘の移動を止めることが有効となる。また、リミッタ部材に錘が衝突した際の衝撃力Fを小さくするためには(同じ衝突では力積F・tが一定であるから)、衝突時間tを長くすることが有効となる。
本実施形態では、特に、シート状リミッタ部材27a〜27eがコーナ部を除外した領域に設けられているため、衝撃が印加された場合に磁界発生錘部材22a〜22dの角以外の部分がシート状リミッタ部材27a〜27eに当たることとなる。従って、磁界発生錘部材22a〜22dが斜め方向に過剰に変位した場合にも、それらの角がシート状リミッタ部材27a〜27eに衝突せず、角以外の部分がシート状リミッタ部材27a〜27eに摺動状態で衝突することとなり、磁界発生錘部材22a〜22dのシート状リミッタ部材27a〜27eへの突き刺さりを抑止でき、衝突時間tが長くなって衝撃力Fを低下させることができるから、磁界発生錘部材22a〜22d自体やシート状リミッタ部材27a〜27eの破損を未然に防止できる。また、シート状リミッタ部材27a〜27eが、磁界発生錘部材22a〜22dより硬度の低い材料で形成されているため、クッション効果がでて衝突時間tが長くなるので、磁界発生錘部材22a〜22dは衝突してもそれ自体が破損する可能性はかなり小さくなる。もちろん、斜め方向以外の方向への過剰な変位も抑制することができる。その結果、外部衝撃の印加に起因する加速度センサの故障発生や特性劣化が少なくなり、信頼性低下を効果的に防止することができる。
もちろん、本実施形態の加速度センサによれば、主ばねである第1の帯状板ばね21a及び副ばねである第2の帯状板ばね21b及び21cが共に曲げ応力を発生させ、平衡が保たれる位置まで変位するように構成されているため、小型でかつ変位量が大きい、従って小型で感度の高いばね構造とすることができ、小型かつ高感度の加速度センサを提供することができる。
ばね部材の4つの端部の構造を同一形状とすることができるため、検出したい各方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の感度、感度指向性が揃った加速度センサを提供することができる。
さらに本実施形態によれば、中央に支点を有し両端部に磁界発生錘部材をそれぞれ固着した第1の帯状板ばね21aの曲げ動作を利用すると共に、第1の磁界検出センサチップ23の一部出力VX1又はVZ1と第2の磁界検出センサチップ24の一部出力VX2又はVZ2との差動出力を取り出すようにしているので、X軸方向及びZ軸方向の加速度成分を確実に分離して正確に検出することができる。また、第1の帯状板ばね21aの捩り動作を利用すると共に、第3の磁界検出センサチップ25の磁界検出方向を工夫しているので、Y軸方向の加速度成分を確実に分離して正確に検出することができる。
また、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向における加速度の向き及び大きさを3つの磁界検出センサチップで検出できるので、磁界検出センサチップ数が低減でき構造を非常に簡単化でき、加速度センサ全体を小型化することができる。また、スピンバルブGMR素子は磁気検出感度が非常に高いので、高感度の加速度検出を行なうことが可能となる。
さらに、各磁界検出センサチップにおいて、互いにほぼ逆方向のバイアス磁界が印加されるため、対をなすスピンバルブGMR素子のピンド層の磁化固定方向が同一方向となりこれら対をなす4つのスピンバルブGMR素子を1つのチップ内に形成することができる。その結果、加速度センサ全体のさらなる小型化を図ることが可能となる。
さらにまた、本実施形態によれば、対となる2つの永久磁石によって、広い範囲に分布した垂直方向の磁界による閉磁路が形成され、スピンバルブGMR素子がこの閉磁路中に配置されるため、必要最小限の磁界しか閉磁路から外部へ漏れず、漏れ磁界が少なくなるから充分に大きなバイアス磁界が印加されることとなり、永久磁石が小型となった場合にも、加速度の検出感度が安定してかつ高くなり、しかも外部電界及び外部磁界の影響を受けにくくなる。
本実施形態によれば、さらに、ばね部材や磁界発生錘部材の部分に電極を設ける必要がないため、配線構造が簡単となる。また、圧電素子型加速度センサや静電容量型加速度センサに比して低インピーダンスであるため、外乱の影響も受けにくい。
本実施形態では、3つの磁界検出センサチップ23〜25により、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3軸加速度を検出しているが、変更態様として、2つの磁界検出センサチップのみを設けて2軸加速度を、1つの磁界検出センサチップのみを設けて1軸加速度を検出するように構成しても良い。
本実施形態の他の変更態様として、磁界発生錘部材の角を本実施形態のごとく直角とすることなく、丸くすれば、過度の衝撃が印加された際に、磁界発生錘部材の角がリミッタ部材やハウジング部材に突き刺さって破損するような不都合も未然に防止することができる。
また、本実施形態のさらに他の変更態様として、シート状リミッタ部材をカバー部材20bの4つの側部内面20b1、20b2、20b3及び20b4の全てに又はいずれか1つのみに設けても良いし、天井内面20b5のみに設けても良い。
図7は本発明の他の実施形態の加速度センサにおけるリミッタ部材77a〜77eの構成を説明するための図であり、(A)は側面断面図、(B)は平面断面図及び(C)はカバー部材の外観斜視図である。本実施形態におけるリミッタ部材を除く構成は図2の実施形態の場合と同様である。従って、図7において、図2の実施形態と同じ構成要素については同じ参照番号を使用する。
同図(A)及び(B)から分かるように、本実施形態では、ハウジング部材20は、その各面が平坦な箱型形状となっており、そのカバー部材20bの4つの側部内面20b1、20b2、20b3及び20b4と、天井内面20b5とには、凸状のリミッタ部材77a〜77eがそれぞれ固着されている。凸状リミッタ部材77aは2つの磁界発生錘部材22a及び22bの対向する側面に近接して配置されており、凸状リミッタ部材77bは2つの磁界発生錘部材22b及び22dの対向する側面に近接して配置されており、凸状リミッタ部材77cは2つの磁界発生錘部材22d及び22cの対向する側面に近接して配置されており、凸状リミッタ部材77dは2つの磁界発生錘部材22c及び22aの対向する側面に近接して配置されており、凸状リミッタ部材77eは4つの磁界発生錘部材22a〜22dの対向する上面に近接して配置されている。ただし、これら凸状リミッタ部材77a〜77eは、それぞれの内面のほぼ中心で凸形状の頂点となるようにその中央部にのみ存在しており、カバー部材20bのコーナ部28a〜28dには存在しないように設けられている。即ち、ハウジング部材20のコーナ部以外の領域に設けられている。なお、凸状リミッタ部材の頂点と磁界発生錘部材の対向面とが近接して配置されているとしているが、両者間の離隔距離は、加速度検出に必要な間隔を保った状態でできるだけ小さくなるようにすることが望ましい。
凸状リミッタ部材77a〜77eは、磁界発生錘部材22a〜22d(永久磁石22a1及び22a2、22b1及び22b2、22c1及び22c2、並びに22d1及び22d2)を構成するフェライト材料より硬度の低い材料、例えば接着材料、ゲル状材料、エラストマ材料などの有機弾性体材料を塗布するか、又はAu、Cu、Al等の軟金属材料や、Al2O3等をロウ付けすることによって形成されている。
なお、図7(A)において、79は配線基板20aとカバー部材20bとを固着する接着剤である。
本実施形態の加速度センサによれば、例えば1〜100G程度の測定すべき加速度よりはるかに大きい、例えば1000G以上の衝撃が外部から印加された場合にも、磁界発生錘部材22a〜22dの過剰な変位がその対向面に近接配置された凸状リミッタ部材77a〜77eによって規制されるので、ばね部材が塑性変形する、磁界発生錘部材が損傷するなどの問題がほとんど起こらなくなる。特に、凸状リミッタ部材77a〜77eがコーナ部を除外した領域に設けられているため、衝撃が印加された場合に磁界発生錘部材22a〜22dの角以外の部分が凸状リミッタ部材77a〜77eに当たることとなる。従って、磁界発生錘部材22a〜22dが斜め方向に過剰に変位した場合にも、それらの角が凸状リミッタ部材77a〜77eに衝突せず、角以外の部分が凸状リミッタ部材77a〜77eに摺動状態で衝突することとなり、衝突時間tが長くなって衝撃力Fを低下させることができるから、磁界発生錘部材22a〜22dの凸状リミッタ部材77a〜77eへの突き刺さりを抑止でき、衝撃力自体を低下させることができるから、磁界発生錘部材22a〜22d自体や凸状リミッタ部材77a〜77eの破損を未然に防止できる。また、凸状リミッタ部材77a〜77eが、磁界発生錘部材22a〜22dより硬度の低い材料で形成されているため、クッション効果がでて衝突時間tが長くなるので、磁界発生錘部材22a〜22dは衝突してもそれ自体が破損する可能性はかなり小さくなる。もちろん、斜め方向以外の方向への過剰な変位も抑制することができる。その結果、外部衝撃の印加に起因する加速度センサの故障発生や特性劣化が少なくなり、信頼性低下を効果的に防止することができる。
本実施形態の一変更態様として、磁界発生錘部材の角を本実施形態のごとく直角とすることなく、丸くすれば、過度の衝撃が印加された際に、磁界発生錘部材の角がリミッタ部材やハウジング部材に突き刺さって破損するような不都合も未然に防止することができる。
また、本実施形態の他の変更態様として、凸状リミッタ部材をカバー部材20bの4つの側部内面20b1、20b2、20b3及び20b4の全てに又はいずれか1つのみに設けても良いし、天井内面20b5のみに設けても良い。
本実施形態のばね部材及び磁界発生錘部材のその他の構成、さらに本実施形態の動作、作用効果等は図2の実施形態の場合と同様である。
図8は本発明のさらに他の実施形態の加速度センサにおけるリミッタ部材87a〜87eの構成を説明するための図であり、(A)は側面断面図、(B)は平面断面図及び(C)はカバー部材の外観斜視図である。本実施形態におけるカバー部材及びリミッタ部材を除く構成は図2の実施形態の場合と同様である。従って、図8において、図2の実施形態と同じ構成要素については同じ参照番号を使用する。
同図(A)〜(C)から分かるように、本実施形態では、ハウジング部材は、 基板自体が例えばポリイミド又はBTレジン等の樹脂材料による平板形状の基板に配線パターン(図示なし)を設けることで形成された配線基板80aと、この配線基板80aを覆って密封する例えばNiめっきしたFe、FeNi、FeSn等の磁性金属材料や、TiN等によって形成された箱型のカバー部材80bとから構成されている。カバー部材80bの各面は、全体が中央部を中心として内側に向かって突出するような形状に絞り込み形成されている。
カバー部材80bの4つの側部内面80b1、80b2、80b3及び80b4と、天井内面80b5とは、コーティング層で被覆されており、これらコーティング層と中央部が突出した内面形状とがリミッタ部材87a〜87eを構成している。リミッタ部材87aは2つの磁界発生錘部材22a及び22bの対向する側面に近接して配置されており、リミッタ部材87bは2つの磁界発生錘部材22b及び22dの対向する側面に近接して配置されており、リミッタ部材87cは2つの磁界発生錘部材22d及び22cの対向する側面に近接して配置されており、リミッタ部材87dは2つの磁界発生錘部材22c及び22aの対向する側面に近接して配置されており、リミッタ部材87eは4つの磁界発生錘部材22a〜22dの対向する上面に近接して配置されている。ただし、これらリミッタ部材87a〜87eは、それぞれの内面のほぼ中心で凸形状の頂点となるようにその中央部にのみ存在しており、カバー部材80bのコーナ部28a〜28dには同じコーティング層はあるものの、その部分はリミッタとしては機能しない。即ち、リミッタ部材87a〜87eは、ハウジング部材のコーナ部以外の領域に設けられている。なお、リミッタ部材の頂点と磁界発生錘部材の対向面とが近接して配置されているとしているが、両者間の離隔距離は、加速度検出に必要な間隔を保った状態でできるだけ小さくなるようにすることが望ましい。
リミッタ部材87a〜87eのコーティング層は、磁界発生錘部材22a〜22d(永久磁石22a1及び22a2、22b1及び22b2、22c1及び22c2、並びに22d1及び22d2)を構成するフェライト材料より硬度の低い材料、例えば接着材料、ゲル状材料、レジスト材料、エラストマ材料などの有機弾性体材料を均一に塗布するか、又はAu、Cu、Al等の軟金属材料や、Al2O3等を例えば0.1〜3.0μm程度の厚さにめっきすることによって形成されている。
なお、図8(A)において、79は配線基板80aとカバー部材80bとを固着する接着剤である。
本実施形態の加速度センサによれば、例えば1〜100G程度の測定すべき加速度よりはるかに大きい、例えば1000G以上の衝撃が外部から印加された場合にも、磁界発生錘部材22a〜22dの過剰な変位がその対向面に近接配置されたリミッタ部材87a〜87eによって規制されるので、ばね部材が塑性変形する、磁界発生錘部材が損傷するなどの問題がほとんど起こらなくなる。特に、リミッタ部材87a〜87eがコーナ部を除外した領域に設けられているため、衝撃が印加された場合に磁界発生錘部材22a〜22dの角以外の部分がリミッタ部材87a〜87eに当たることとなる。従って、磁界発生錘部材22a〜22dが斜め方向に過剰に変位した場合にも、それらの角がリミッタ部材87a〜87eに衝突せず、角以外の部分がリミッタ部材87a〜87eに摺動状態で衝突することとなり、衝突時間tが長くなって衝撃力Fを低下させることができるから、磁界発生錘部材22a〜22dのリミッタ部材87a〜87eへの突き刺さりを抑止でき、衝撃力自体を低下させることができるから、磁界発生錘部材22a〜22d自体やリミッタ部材87a〜87eの破損を未然に防止できる。また、リミッタ部材87a〜87eが、磁界発生錘部材22a〜22dより硬度の低い材料で形成されているため、クッション効果がでて衝突時間tが長くなるので、磁界発生錘部材22a〜22dは衝突してもそれ自体が破損する可能性はかなり小さくなる。もちろん、斜め方向以外の方向への過剰な変位も抑制することができる。その結果、外部衝撃の印加に起因する加速度センサの故障発生や特性劣化が少なくなり、信頼性低下を効果的に防止することができる。
本実施形態の一変更態様として、磁界発生錘部材の角を本実施形態のごとく直角とすることなく、丸くすれば、過度の衝撃が印加された際に、磁界発生錘部材の角がリミッタ部材やハウジング部材に突き刺さって破損するような不都合も未然に防止することができる。
また、本実施形態の他の変更態様として、カバー部材80bの内面の内側に向かって突出する絞り込みの形成、従ってリミッタ部材の形成をカバー部材80bの4つの側部内面80b1、80b2、80b3及び80b4の全てに又はいずれか1つのみに行っても良いし、天井内面80b5のみに行っても良い。
本実施形態のばね部材及び磁界発生錘部材のその他の構成、さらに本実施形態の動作、作用効果等は図2の実施形態の場合と同様である。
図9は本発明のまたさらに他の実施形態の加速度センサにおけるリミッタ部材97a〜97eの構成を説明するための図であり、(A)は側面断面図、(B)は平面断面図及び(C)はカバー部材の外観斜視図である。本実施形態におけるカバー部材及びリミッタ部材を除く構成は図2の実施形態の場合と同様である。従って、図9において、図2の実施形態と同じ構成要素については同じ参照番号を使用する。
同図(A)〜(C)から分かるように、本実施形態では、ハウジング部材は、 基板自体が例えばポリイミド又はBTレジン等の樹脂材料による平板形状の基板に配線パターン(図示なし)を設けることで形成された配線基板90aと、この配線基板90aを覆って密封する例えばNiめっきしたFe、FeNi、FeSn等の磁性金属材料や、TiN等によって形成された箱型のカバー部材90bとから構成されている。カバー部材90bの各面は、中央部のみが内側に向かって部分的に突出するような形状に絞り込み形成されている。
カバー部材90bの4つの側部内面90b1、90b2、90b3及び90b4と、天井内面90b5とは、コーティング層で被覆されており、これらコーティング層と中央部が突出した内面形状とがリミッタ部材97a〜97eを構成している。リミッタ部材97aは2つの磁界発生錘部材22a及び22bの対向する側面に近接して配置されており、リミッタ部材97bは2つの磁界発生錘部材22b及び22dの対向する側面に近接して配置されており、リミッタ部材97cは2つの磁界発生錘部材22d及び22cの対向する側面に近接して配置されており、リミッタ部材97dは2つの磁界発生錘部材22c及び22aの対向する側面に近接して配置されており、リミッタ部材97eは4つの磁界発生錘部材22a〜22dの対向する上面に近接して配置されている。ただし、これらリミッタ部材97a〜97eは、それぞれの内面のほぼ中心で凸形状の頂点となるようにその中央部にのみ存在しており、カバー部材90bのコーナ部28a〜28dには同じコーティング層はあるものの、その部分はリミッタとしては機能しない。即ち、リミッタ部材97a〜97eは、ハウジング部材のコーナ部以外の領域に設けられている。なお、リミッタ部材の頂点と磁界発生錘部材の対向面とが近接して配置されているとしているが、両者間の離隔距離は、加速度検出に必要な間隔を保った状態でできるだけ小さくなるようにすることが望ましい。
リミッタ部材97a〜97eのコーティング層は、磁界発生錘部材22a〜22d(永久磁石22a1及び22a2、22b1及び22b2、22c1及び22c2、並びに22d1及び22d2)を構成するフェライト材料より硬度の低い材料、例えば接着材料、ゲル状材料、レジスト材料、エラストマ材料などの有機弾性体材料を均一に塗布するか、又はAu、Cu、Al等の軟金属材料や、Al2O3等を例えば0.1〜3.0μm程度の厚さにめっきすることによって形成されている。
本実施形態の加速度センサによれば、例えば1〜100G程度の測定すべき加速度よりはるかに大きい、例えば1000G以上の衝撃が外部から印加された場合にも、磁界発生錘部材22a〜22dの過剰な変位がその対向面に近接配置されたリミッタ部材97a〜97eによって規制されるので、ばね部材が塑性変形する、磁界発生錘部材が損傷するなどの問題がほとんど起こらなくなる。特に、リミッタ部材97a〜97eがコーナ部を除外した領域に設けられているため、衝撃が印加された場合に磁界発生錘部材22a〜22dの角以外の部分がリミッタ部材97a〜97eに当たることとなる。従って、磁界発生錘部材22a〜22dが斜め方向に過剰に変位した場合にも、それらの角がリミッタ部材97a〜97eに衝突せず、角以外の部分がリミッタ部材97a〜97eに摺動状態で衝突することとなり、衝突時間tが長くなって衝撃力Fを低下させることができるから、磁界発生錘部材22a〜22dのリミッタ部材97a〜97eへの突き刺さりを抑止でき、衝撃力自体を低下させることができるから、磁界発生錘部材22a〜22d自体やリミッタ部材97a〜97eの破損を未然に防止できる。また、リミッタ部材97a〜97eが、磁界発生錘部材22a〜22dより硬度の低い材料で形成されているため、クッション効果がでて衝突時間tが長くなるので、磁界発生錘部材22a〜22dは衝突してもそれ自体が破損する可能性はかなり小さくなる。もちろん、斜め方向以外の方向への過剰な変位も抑制することができる。その結果、外部衝撃の印加に起因する加速度センサの故障発生や特性劣化が少なくなり、信頼性低下を効果的に防止することができる。
本実施形態の一変更態様として、磁界発生錘部材の角を本実施形態のごとく直角とすることなく、丸くすれば、過度の衝撃が印加された際に、磁界発生錘部材の角がリミッタ部材やハウジング部材に突き刺さって破損するような不都合も未然に防止することができる。
また、本実施形態の他の変更態様として、カバー部材90bの内面の内側に向かって突出する絞り込みの形成、従ってリミッタ部材の形成をカバー部材90bの4つの側部内面90b1、90b2、90b3及び90b4の全てに又はいずれか1つのみに行っても良いし、天井内面90b5のみに行っても良い。なお、カバー部材90bの内面の内側に向かって突出する形状は、本実施形態のように断面が丸く突出する形状以外に、内側に向かって突出する形状であれば、矩形、三角形、台形又はその他の形状であっても良いことは明らかである。
本実施形態のばね部材及び磁界発生錘部材のその他の構成、さらに本実施形態の動作、作用効果等は図2の実施形態の場合と同様である。
なお、以上述べた実施形態では、閉磁路を形成するために磁界検出センサチップに対向する面が互いに逆極性となるように配置された2つの永久磁石を用いているが、1つの永久磁石と例えば軟磁性体からなるヨークとを組み合わせても閉磁路を形成することは可能である。
上述した実施形態では、磁界検出センサとしてスピンバルブGMR素子を用いているが、その代わりにTMR素子を用いても良いことは明らかである。
なお、本発明の加速度センサが、上述した実施形態のごとく磁気ディスクドライブ装置のみに適用されるものではなく、加速度を検出するいかなる用途にも適用可能であることはいうまでもない。
種々の加速度センサについて、サンプルを作製し、落下による衝撃試験を行った。この落下衝撃試験は、各サンプルをAl板で形成された筐体内に固定し、コンクリート床面上に各落下高さで落下させ、落下前及び落下後にサンプルを揺動装置に取り付けて50Hzの振動を印加し、その信号出力を測定してゲインの変化とした。また、25Hzから1kHzの振動を連続的に印加して共振周波数を求め、落下前後の変化を調べた。衝撃を印加するための筐体の落下方向としては、加速度センサの+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向、+Z方向及び−Z方向の6方向について行われた。各方向におけるサンプル数は3である。その結果を表1に示す。
比較サンプル1は、リミッタ部材の存在しない加速度センサである。磁界発生錘部材における各永久磁石の寸法は、0.8mm(長さ)×0.56mm(幅)×0.6mm(高さ)である。2.5mの落下衝撃試験で出力無しとなっており、故障が生じていることが分かる。また、2mの落下衝撃試験でも出力特性が大幅に劣化している。
比較サンプル2は、リミッタ部材の存在しない加速度センサである。0.1mm厚のFe板による平坦な面を有する箱型形状のカバー部材の内面に1.2μm厚のNiめっきを行ったものであり、磁界発生錘部材における各永久磁石の寸法は、0.8mm(長さ)×0.56mm(幅)×0.6mm(高さ)である。磁界発生錘部材における永久磁石とカバー部材の内面との離隔距離は、420±60μmであった。2.0m及び2.5mの落下衝撃試験で出力無しとなっており、故障が生じていることが分かる。実際に、2.0mの落下衝撃試験では磁界発生錘部材が破損していた。2.0mの落下衝撃試験における破損確率は14/15回であった。
本発明サンプル1は、図6の構造のリミッタ部材を有する加速度センサである。シート状リミッタ部材としては、磁界発生錘部材における永久磁石の角(コーナ部側)から200μm中央側で終端させたAl2O3の板部材を用いている。磁界発生錘部材における各永久磁石の寸法は、0.8mm(長さ)×0.56mm(幅)×0.6mm(高さ)である。磁界発生錘部材における永久磁石とリミッタ部材との離隔距離は、200±60μmであった。2.5mの落下衝撃試験における共振周波数変化及びゲイン変化は多少大きくなっているが、故障が生じているわけではない。2.5mの落下衝撃試験ではリミッタ部材の欠けが生じることもあった。2.0mの落下衝撃試験における破損確率は2/15回であった。
本発明サンプル2も、図6の構造のリミッタ部材を有する加速度センサである。シート状リミッタ部材としては、磁界発生錘部材における永久磁石の角(コーナ部側)から200μm中央側で終端させたAl2O3の板部材を用いている。磁界発生錘部材における各永久磁石の寸法は、0.8mm(長さ)×0.56mm(幅)×0.6mm(高さ)である。磁界発生錘部材における永久磁石とリミッタ部材との離隔距離は、100±60μmであった。2.5mの落下衝撃試験における共振周波数変化及びゲイン変化は本発明サンプル1より小さい。2.5mの落下衝撃試験でもリミッタ部材の欠けは生じなかった。2.5mの落下衝撃試験における破損確率は1/15回であった。
本発明サンプル2の変更サンプルとして、シート状リミッタ部材を、カバー部材の4つの側部内面のみに取り付けたサンプル(その他の構成は同じ)を試験したが、特性変化は本発明サンプル2の場合と同じであった。ただし、2.5mの落下衝撃試験における破損確率は2/15回であった。
本発明サンプル3は、図7の構造のリミッタ部材を有する加速度センサである。凸状リミッタ部材としては、フェノールノボラックレジストを硬化させたものを用いている。凸状頂部の厚さは250μmである。磁界発生錘部材における各永久磁石の寸法は、0.8mm(長さ)×0.56mm(幅)×0.6mm(高さ)である。磁界発生錘部材における永久磁石とリミッタ部材との離隔距離は、80±80μmであった。2.0m及び2.5mの落下衝撃試験における共振周波数変化及びゲイン変化は本発明サンプル2よりさらに小さくなっている。
本発明サンプル4は、図8の構造のリミッタ部材を有する加速度センサである。リミッタ部材は、中央部が突出した内面形状を有し、Niめっきした0.1mm厚のFeによるカバー部材と、フェノールノボラックレジストを硬化させた5μm厚のコーティング層とで構成されている。磁界発生錘部材における各永久磁石の寸法は、0.8mm(長さ)×0.56mm(幅)×0.6mm(高さ)である。磁界発生錘部材における永久磁石とリミッタ部材との離隔距離は、80±80μmであった。2.0m及び2.5mの落下衝撃試験における共振周波数変化及びゲイン変化は本発明サンプル2よりさらに小さくなっている。2.5mの落下衝撃試験におけるゲイン変化は本発明サンプル3よりさらに小さくなっている。
本発明サンプル5は、図9の構造のリミッタ部材を有する加速度センサである。リミッタ部材は、中央部のみが突出した内面形状を有し、Niめっきした0.1mm厚のFeによるカバー部材と、フェノールノボラックレジストを硬化させた5μm厚のコーティング層とで構成されている。磁界発生錘部材における各永久磁石の寸法は、0.8mm(長さ)×0.56mm(幅)×0.6mm(高さ)である。磁界発生錘部材における永久磁石とリミッタ部材との離隔距離は、100±50μmであった。2.0m及び2.5mの落下衝撃試験における共振周波数変化及びゲイン変化は本発明サンプル2よりさらに小さくなっている。1.0m、2.0m及び2.5mの落下衝撃試験におけるゲイン変化は本発明サンプル4よりさらに小さくなっている。
本発明サンプル5の変更サンプルとして、リミッタ部材を、カバー部材の4つの側部内面のみに形成し、天井内面を平坦としてその部分の離隔距離を200μm以上としたサンプル(その他の構成は同じ)を試験したが、特性変化は本発明サンプル5の場合と同じであった。ただし、1/15の試行でゲイン変化が5%以上となるサンプルも生じた。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。