JP2008076063A - 回転センサ付き軸受装置 - Google Patents

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政敏 水谷
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Abstract

【課題】 構成を簡素化できて小型化および低コスト化が可能で、高分解能な絶対角度の角度センシングが可能な回転センサ付き軸受装置を提供する。
【解決手段】 この回転センサ付き軸受装置1は、外方部材2と内方部材3の転走面2a,3a間にた転動体4を介在させた軸受と、回転センサ11とで構成される。回転センサ11は、外方部材2および内方部材3のうちの回転側部材に設けられた磁気発生手段12と、外方部材2および内方部材3のうちの静止側部材に設けられた磁気検出手段13とを備える。磁気発生手段12は、回転側部材の1回転1周期で方向が変化する磁界を発生する手段である。磁気検出手段13は、磁気発生手段12が発生する磁界の方向を検出する手段であり、2次元磁界センサ等が用いられる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、汎用の軸受や車輪用軸受装置等に適用される回転センサ付き軸受装置に関する。
コンパクトで組立が容易な利点に着目して、回転センサを転がり軸受に内蔵したものがある。このような回転センサ付き軸受装置として、1回転を1周期として磁気特性が変化する磁石を転がり軸受の回転輪に取付け、前記磁石に対向して転がり軸受の固定輪に取付けたセンサにより磁石の磁界を測定することで、絶対回転角度を検出するようにしたものが知られている(特許文献1)。この場合、磁石の作る磁界を検出するセンサとして、1軸方向の磁界を検出できるホールセンサや磁気抵抗効果型センサ(MRセンサ)が使用される。また、磁石とセンサの温度特性を補償するために、円周方向の2カ所に所定の位相差を持ってセンサが配置され、これら両センサの出力の比から回転角度が求められる。
また、回転センサ付き軸受装置の他の例として、インクリメンタル型の回転センサを転がり軸受に内蔵したものも提案されている(例えば特許文献2)。この場合の回転センサは、被検出部として、磁極N,Sが円周方向に交互に並ぶリング状の磁石を円筒状の芯金の外周に設けた磁気エンコーダを用い、この磁気エンコーダの磁極変化を、例えばホール素子からなる磁気センサで検出してインクリメンタルな回転パルス信号を得るようにしている。
このほか、センサとしてレゾルバタイプのものを用いた回転センサ付き軸受装置も提案されている(例えば特許文献3)。
なお、汎用の非接触回転角センサとして、ホールセンサを用い、単極に着磁した磁石の回転角度を絶対角度で検出するものが製品化され、そのホール素子と信号処理ICを一体化したものも製品化されている(例えば旭化成電子株式会社の非接触回転角センサEM−3241)。
また、2次元磁界センサを用いた360°回転位置センサが、MMT社のホームページに紹介されている。
特開2004−4028号公報 特開2004−101312号公報 特開2005−076729号公報
しかし、特許文献1に開示の回転センサ付き軸受装置では、軸受の固定輪の円周方向の2カ所に所定の位相差を持ってセンサを配置する必要があり、センサ間の配線が煩雑となる。
また、レゾルバタイプのセンサを用いた特許文献3に開示の回転センサ付き軸受装置では、センサ装着のためにサイズが大きくなり、さらにコストアップ幅も大きいという問題点がある。
このような回転センサ付き軸受装置による回転センサの検出信号を様々な制御に使用するためには、回転センサの高分解能化が求められる。特に、自動車等の車輪の回転検出に使用する場合には、回転センサの検出信号を様々な車両の制御にも利用することができ、回転センサの検出信号としてより分解能の高い信号が望まれる。ところが、特許文献2に開示のようなインクリメンタル型の回転センサを用いた回転センサ付き軸受装置では、回転センサの分解能が磁気エンコーダの磁極数に依存するため、磁極の形成ピッチを細かくする必要があり、それに伴って磁界強度が弱くなるため、大きなセンサギャップを確保できなくなり、製造上の限界が存在する。
この発明の目的は、構成を簡素化できて小型化および低コスト化が可能で、高分解能な絶対角度の角度センシングが可能な回転センサ付き軸受装置を提供することである。
この発明の回転センサ付き軸受装置は、内周に転走面を有する外方部材と、この転走面に対面する転走面を有する内方部材と、両転走面間に収容された複列の転動体とを備える軸受装置において、前記外方部材および内方部材のうちの回転側部材の1回転1周期で回転中心軸回りの方向が変化する磁界を発生する磁気発生手段を前記回転側部材に設け、この磁気発生手段が発生する磁界の方向を検出する磁気検出手段を、前記外方部材および内方部材のうちの静止側部材に設けたことを特徴とする。
この構成によると、一つの磁界検出手段で絶対角度を検出することができるので、全体構成を簡素化できて小型化および低コスト化を図ることができる。また、容易に高分解能な角度センシングが可能なものとでき、そのため様々な制御用途に使用できる回転信号を得ることができる。
この発明において、前記磁気検出手段により、磁界発生手段の回転または角度を検出するものとしても良い。
磁気検出手段は、2次元磁界センサであっても良い。この明細書で言う2次元磁界センサは、2次元の磁束あるいは磁界を検出できる磁界センサを言う。2次元磁界センサを使用して磁界の方向を検出するようにすれば、一つのセンサで絶対角度を検出することができる。また、2次元磁界センサの検出する磁界の2成分の比から角度を検出すれば、温度補正が不必要である。
磁気発生手段は、前記回転側部材の回転中心軸に垂直な一方向に平行に磁化されたリング磁石であっても良い。
この発明において、内周に複列の転走面を有する外方部材と、これら転走面にそれぞれ対面する転走面を有する内方部材と、両転走面間に収容された複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置であっても良い。
この構成の場合、回転センサにより高分解能,高精度な絶対角の回転角度検出が行われるので、その検出信号を高度な車両制御に利用することができ、全体の寸法も小さくすることができる。
この発明の回転センサ付き軸受装置は、内周に転走面を有する外方部材と、この転走面に対面する転走面を有する内方部材と、両転走面間に収容された複列の転動体とを備える軸受装置において、前記外方部材および内方部材のうちの回転側部材の1回転1周期で回転中心軸回りの方向が変化する磁界を発生する磁気発生手段を前記回転側部材に設け、この磁気発生手段が発生する磁界の方向を検出する磁気検出手段を、前記外方部材および内方部材のうちの静止側部材に設けたため、一つの磁界検出手段で絶対角度を検出できて、全体構成を簡素化することができ、小型化,低コスト化が可能となる。また、高分解能な角度センシングが可能であり、様々な用途に使用できる回転信号を得ることができる。
この発明の一実施形態を図1および図2と共に説明する。図1は、この実施形態の回転センサ付き軸受装置の断面図を示す。この回転センサ付き軸受装置1は、内周に転走面2aを有する外方部材2と、この転走面2aに対面する転走面3aを有する内方部材3と、両転走面2a,3a間に収容された転動体4とを備え、転動体4を介して外方部材2および内方部材3が互いに回転自在とされた軸受装置である。外方部材2および内方部材3のうちの回転側部材に設けた磁気発生手段12と、外方部材2および内方部材3のうちの静止側部材に設けた磁気検出手段13とで回転センサ11が構成される。この軸受装置1は例えば深溝玉軸受に上記回転センサ11を設けたものである。外方部材2は外輪からなり、図示しないハウジングに支持される。内方部材3は内輪からなり、回転軸10に嵌合する。外輪からなる外方部材2が静止側部材であり、内輪からなる内方部材3が回転側部材である。転動体4は保持器5で保持されている。外方部材2と内方部材3の間の環状空間は、回転センサ11の設置側とは反対側の端部がシール部材6で密封されている。
磁気発生手段12は、回転側部材である内方部材3の1回転1周期で方向が変化する磁界を発生するものである。磁気発生手段12は、リング形状の磁石、つまりリング磁石とされ、円筒状の芯金7を介して内方部材3に同心に取付けられて内方部材3と共に回転する。この磁気発生手段12であるリング磁石は、回転軸10に垂直な一方向に平行に磁化されている。この磁気発生手段12であるリング磁石には、ゴム磁石、プラスチック磁石、焼結磁石などを使用することができ、この他にフェライト磁石や希土類磁石などを使用しても良い。
磁気検出手段13は、磁気発生手段12が発生する磁界の方向を検出する磁気センサであり、金属ケース8を介して軸受装置1の外方部材2に取付けられる。磁気検出手段13には、2次元の磁束を検出できる2次元磁界センサが用いられる。この磁気検出手段13となる2次元磁界センサを構成する磁界センサとして、ホール素子,MR素子,MI素子などが用いられる。磁気検出手段13からは外部に向けてケーブル9が延ばされて、図示しない外部回路に接続されている。
磁気検出手段13の出力から回転角度を演算する演算手段15は、磁気検出手段13と同じ基板上に設けるか、または同じ半導体チップに集積させることで、磁気検出手段13と一体化されているが、外部回路に設けても良い。演算手段15を磁気検出手段13と一体化した場合には、外部回路を簡素化することができる。
図2(A)は、回転センサ11の正面図を示す。同図において、XY平面は、磁気発生手段12であるリング磁石の中心軸Oに垂直な平面である。この磁気発生手段12であるリング磁石は、上記中心軸Oに垂直な一方向に平行に磁化されており、同図は上記一方向がY軸方向である状態を示す。この磁気発生手段12であるリング磁石は、磁力線14で示すような磁界を作る。
2次元磁界センサからなる磁気検出手段13は、上記磁界のX軸方向成分およびY軸方向成分を検出する。このように、磁気検出手段13として2次元磁界センサを使用することで、XY平面内の磁界の方向を検出することができる。リング磁石からなる磁気発生手段12が、その中心軸Oを通る回転軸10とともに回転すると、磁気検出手段13の位置の磁界の方向がリング磁石12の1回転の間に0〜360°にわたって変化する。
そこで、その磁界の方向を磁気検出手段13で検出し、その検出結果を上記した外部回路の演算手段15で演算することで、磁気発生手段12の回転角度を絶対角度として算出することができる。
この場合、図2(B)に示すように、磁気検出手段13が検出する磁界のX成分HX とY成分HY の比HY /HX から磁界の方向を計算できるので、リング磁石12および2次元磁界センサ13の温度特性を演算過程で補正することができる。その結果、温度補正用の温度センサが不要となる。
このように構成された回転センサ付き軸受装置において、図2(A)のように磁化された磁気発生手段12が回転軸10とともに1回転すると、磁気発生手段12の作る磁界のX成分HX およびY成分HY は疑似正弦波状に変化する。この場合、磁界がX軸となす角度θ=tan -1(HY /HX )から簡単に回転角度を求めることができる。
磁界のX成分HX およびY成分HY の振幅が等しくない場合は、磁界の角度θと磁気発生手段12の回転角度との間の関係を予め測定により求めておくことで、その関係から磁気発生手段12の回転角度を割り出すことができる。あるいは、予め決められた回転角度毎に磁界の方向を求めて補正テーブルを作成しておき、そのテーブルから磁気発生手段12の回転角度を割り出すようにしても良い。上記演算手段15は、上記いずれの方法で回転角度を割り出すものとしても良い。
なお、磁気発生手段12としては、1回転1周期で方向が変化する磁界を発生するものであれば、上記リング磁石に限らず、どのようなものを使用しても良い。この場合にも、磁界の方向と磁気発生手段12の回転角度の関係を予め求めておき、その関係から磁気発生手段12の回転角度を割り出すことで正確な回転角度を求めることができる。また、予め決められた磁気発生手段12の回転角度毎に磁界の方向を求めて補正テーブルを作成しておき、そのテーブルから磁気発生手段12の回転角度を割り出すようにしても良い。
この構成の回転センサ付き軸受装置によると、このように回転センサ11で高分解能な回転軸11の絶対角度検出ができる。そのため検出結果を様々な制御に使用することができる。この実施形態では、磁気検出手段13として2次元磁界センサを用いているので、1個の磁気検出手段13だけで磁気発生手段12が作る磁界の方向を検出でき、磁気センサを2個使用するものと比べて全体の構成を簡素化でき、小型化も可能となる。
図3は、この発明の他の実施形態を示す。この回転センサ付き軸受装置は、第3世代型の車輪用軸受装置に適用したものである。この車輪用軸受装置1Aは、内周に複列の転走面2a,2aを有する外方部材2と、これら各転走面2aにそれぞれ対面する転走面3a,3aを有する内方部材3と、これら外方部材2および内方部材3の転走面2a,3a間に収容された複列の転動体4とを備える。各列の転動体4は保持器5により保持されている。外方部材2と内方部材3との間の両端は、シール部材6A,6Bによりそれぞれ密封されている。
外方部材2は一体の部品からなり、車体の懸架装置(図示せず)に取付けるフランジ2bが外周に設けられている。
内方部材3は、アウトボード側端に車輪取付用フランジ21aを有するハブ輪21と、このハブ輪21のインボード側端の外周に嵌合した内輪22とを有し、これらハブ輪21および内輪22に前記複列の転走面3aにおける各列の転走面3aが設けられている。なお、アウトボード側とは、車輪用軸受装置を車両に取付けた状態で車幅方向の外側となる側を言い、中央側となる側をインボード側と言う。
内方部材3は中央孔23を有し、この中央孔23に等速ジョイント24の片方の継手部材となる外輪25のステム部25aが挿通されて、このステム部25aの先端の雄ねじ部に螺合するナット26の締め付けにより、等速ジョイント外輪25が内方部材3に結合される。このとき、等速ジョイント外輪25に設けられた段面25bが、内方部材3の内輪22の幅面に押し付けられることで、内輪22のハブ輪21に対する固定が行われる。
この実施形態においても、回転センサ11はアブソリュート型であり、図2と共に前述した構成のものが用いられる。回転センサ11の磁気発生段12は、内方部材3のインボード側端における内輪22の外周に嵌合される。回転センサ11の磁気検出手段13は、芯金27を介して外方部材2のインボード側端に取付けられる。具体的には、外方部材2のインボード側端の外周に芯金27が嵌合し、この芯金27に接着やインサート成形などにより磁気検出手段13が取付けられる。磁気検出手段13からはハーネスを構成するケーブル9が車体側に伸びており、車体側のECUユニットなどに接続される。この場合、回転センサ11はインボード側のシール部材6Bよりも軸受内側(アウトボード側)に配置される。これにより、回転センサ11が泥水,塩水,異物にさらされることがなく、回転センサ11の信頼性、耐久性を高めることができる。回転センサ11のその他の構成は先の実施形態の場合と同様であり、ここではその説明を省略する。
このように、この発明に係る回転センサ付き軸受装置を車輪用軸受装置1Aに適用した場合、回転センサ11により高分解能,高精度な回転角度検出が行われるので、その検出信号を高度な車両制御に利用することができ、全体の寸法も小さくすることができる。
図4は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この回転センサ付き軸受装置は、第4世代型の車輪用軸受装置に適用したものである。この車輪用軸受装置1Bは、図3の実施形態において、内方部材3が、ハブ輪21と、その中央孔23に挿入されて嵌合する等速ジョント外輪25とからなり、外方部材2の転走面2a,2aに対面する複列の転走面3aのうちの各列の転走面3aが、ハブ輪21および等速ジョイント外輪25のそれぞれに設けられている。また、インボード側端のシール部材6Bは、外方部材2の内径面と等速ジョイント外輪25の外径面との間に介在させてある。
回転センサ11の磁気発生手段12は、内方部材3を構成するハブ輪21の外径面の両転走面3aで挟まれる位置に取付けられる。回転センサ11の磁気検出手段13は、センサ支持体28内にモールドされていて、このセンサ支持体28は、外方部材2に径方向に貫通して設けられた孔内に挿通され、磁気検出手段13が磁気発生手段12に対面する。磁気発生手段12から車体側にケーブル9が伸びていることなど、回転センサ11のその他の構成は先の実施形態の場合と同様である。
この発明の第1の実施形態に係る回転センサ付き軸受装置の断面図である。 (A)は同回転センサ付き軸受装置における回転センサの正面図、(B)は同回転センサによる磁界の方向の算出処理の説明図、(C)は磁気検出手段と演算手段の関係を示すブロック図である。 この発明の他の実施形態に係る回転センサ付き軸受装置の断面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る回転センサ付き軸受装置の断面図である。
符号の説明
1,1A,1B…回転センサ付き軸受装置
2…外方部材
3…内方部材
2a,3a…転走面
4…転動体
10…回転軸
11…回転センサ
12…磁気発生手段
13…磁気検出手段
15…演算手段

Claims (5)

  1. 内周に転走面を有する外方部材と、この転走面に対面する転走面を有する内方部材と、両転走面間に収容された転動体とを備える軸受装置において、
    前記外方部材および内方部材のうちの回転側部材の1回転1周期で回転中心軸回りの方向が変化する磁界を発生する磁気発生手段を前記回転側部材に設け、この磁気発生手段が発生する磁界の方向を検出する磁気検出手段を、前記外方部材および内方部材のうちの静止側部材に設けたことを特徴とする回転センサ付き軸受装置。
  2. 請求項1において、前記磁気検出手段により、磁気発生手段の回転または角度を検出する回転センサ付き軸受装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記磁気検出手段は、2次元磁界センサである回転センサ付き軸受装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記磁気発生手段は、前記回転側部材の回転中心軸に垂直な一方向に平行に磁化されたリング磁石である回転センサ付き軸受装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の回転センサ付き軸受装置において、内周に複列の転走面を有する外方部材と、これら転走面にそれぞれ対面する転走面を有する内方部材と、両転走面間に収容された複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置である回転センサ付き軸受装置。
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