JP2008075120A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】合金を成膜対象物に注入可能な成膜装置を提供する。
【解決手段】本発明の成膜装置1は、第一、第二の放出源3a、3bを有しており、第一、第二の放出源3a、3bの磁界形成手段20a、20bはN極が左側、S極が右側にそれぞれ位置し、アノード電極32a、32bの各開口39a、39bから放出された電子は、同じ方向に飛行方向が曲げられる。基板ホルダ7は各開口39a、39bから放出され、飛行方向が曲げられた電子が到達する位置にあるので、基板ホルダ7近傍に電子雲が形成され、各開口39a、39bから放出された正の微小荷電粒子は電子雲に引き付けられて基板11表面に到達する。
【選択図】図1

Description

本発明は成膜装置に関する。
図5の符号101は従来技術の成膜装置を示している。
この成膜装置101は真空槽102を有しており、真空槽102内部には蒸着源103が配置されている。
蒸着源103は筒状のアノード電極132と、放出部130とを有しており、アノード電極132と放出部130は、該放出部130がアノード電極132に配置された状態で、取り付け部120によって真空槽102内部の底壁側にそれぞれ固定されている。
放出部130は蒸着材料131と、トリガ電極134と、棒状電極135とを有している。トリガ電極134はリング状であって、棒状電極135はトリガ電極134に挿通された状態で、その下端が取り付け部120に取り付けられている。棒状電極135の先端はトリガ電極134から突き出され、蒸着材料131は棒状電極135の先端を覆っている。
蒸着材料131と棒状電極135は電気的に接続され、他方トリガ電極134は絶縁部材137、138によって棒状電極135と蒸着材料131から絶縁されている。棒状電極135とトリガ電極134は真空槽102外部に配置された電源装置104にそれぞれ接続されている。
真空排気系108を動作させて真空槽102内部に真空雰囲気を形成し、該真空雰囲気を維持しながら電源装置104を起動し、アノード電極132と真空槽102とを接地電位に置いた状態で、トリガ電極134に負電圧であって、蒸着材料131に対して正の電圧を印加すると共に、棒状電極135に負の電圧を印加すると、トリガ電極134と蒸着材料131との間にトリガ放電が起こり、該トリガ放電によって蒸着材料131の側面とアノード電極132内周面との間でアーク放電が誘起される。アーク放電が誘起されると、アーク電流が流れ、該アーク電流により蒸着材料131の側面から蒸着材料の粒子が放出される。
蒸着材料の粒子のうち、電荷質量比(電荷/質量)の大きい微小な荷電粒子は、アーク電流により発生する磁界によって飛行方向が曲げられ、アノード電極132の開口から放出されるが、電荷質量比の小さい巨大な荷電粒子や中性粒子はアーク電流により飛行方向が曲げられる率が少なく、アノード電極132の内壁に衝突する。
アノード電極132の開口の上方には基板ホルダ117が配置されており、予め基板ホルダ117のアノード電極132開口と対向する面には基板107が保持されているので、アノード電極132の開口から放出された荷電粒子は基板107表面に付着し、薄膜が成長する。このように、基板107には反応性が高い荷電粒子のみが到達するので、膜質の良い薄膜を形成することができる。
荷電粒子は通常の蒸着法で発生する蒸気に比べて反応性が高いので、基板107表面には緻密な膜が形成される。しかし、この成膜装置101では荷電粒子が基板107表面に注入されることはなく、この成膜装置101を用いて、例えば基板107の表面改質を行うことはできなかった。
また、中性粒子や巨大荷電粒子がアノード電極132の内周面に付着する際に、一部は衝突の際砕け散り、微小荷電粒子よりも大きな小滴(直径20μm程度)が形成されることがある。
この小滴の飛散方向は特定の方向性が見られず、蒸着材料131を中心としてほぼ半球面内に飛散するので、一部はアノード電極132の開口から放出されてしまう。開口から放出された小滴が、成膜中の膜に取り込まれると、薄膜の膜質が劣化するという問題もあった。
特開2006−83431号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は荷電粒子を成膜対象物に注入可能な成膜装置を製造することである。
上記課題を解決するために本発明は、基板ホルダと、第一、第二の放出源とを有し、前記基板ホルダ上には基板が載置可能に構成され、前記第一、第二の放出源は、前記基板ホルダ上の前記基板表面を望む側に位置する筒状のアノード電極と、前記アノード電極の開口から放出される荷電粒子が通る位置に磁界を形成する磁界形成手段とをそれぞれ有し、前記基板ホルダ上の前記基板が上方、前記第一、第二の放出源が下方に位置するとした場合に、前記開口から前記荷電粒子の飛行先を見たときに、前記磁界形成手段の前記磁界を形成するS極とN極のうち、N極は前記開口の左側に、S極は前記開口の右側に位置し、前記荷電粒子のうち電子が飛行方向を上方に曲げられるようにされ、前記基板ホルダは、前記第一の放出源の前記開口から放出され、飛行方向が曲げられた電子と、前記第二の放出源の前記開口から放出され、飛行方向が曲げられた電子の両方が到達する場所に位置する成膜装置である。
本発明は成膜装置であって、前記第一、第二の放出源の前記開口から前記荷電粒子を放出している間に、前記基板に複数回断続して負電圧を印加するバイアス電源を有する成膜装置である。
本発明は成膜装置であって、前記第一、第二の放出源は、前記アノード電極の中心軸線が90°未満の角度で交叉するようにされた成膜装置である。
本発明は上記のように構成されており、各アノード電極の開口から放出された微小荷電粒子は、磁界形成手段の形成する磁力線によって同じ方向に曲げられ、基板(成膜対象物)に到達する。
微小荷電粒子は、巨大荷電粒子や中性粒子に比べて反応性が高いので、本発明の成膜装置を用いれば、ReとIrの合金等、従来の溶融法やスパッタ法では合金を作成することができなかった材料を合金化することが可能であり、ReとIrの蒸気を放出する時に成膜対象物に負電圧を印加すればReとIrの合金は成膜対象物の内部に注入される。
ReとIrの合金の注入は、例えばレンズ等の製造に用いる金型(スタンパ)の表面改質に用いられる。レンズの金型は溶融したガラスを鋳込むため、800℃近い高温に晒される。そのため、金型の耐久性や離剥性を確保するために、従来はイリジウム(Ir)、レニウム(Re)、白金(Pt)等の金属材料を金型表面にコーティングするか、又はイオン注入させていた。
金型表面に薄膜を成膜する(コーティング)よりも金属材料を注入する方が金型の耐久性は高く、イリジウム単独、レニウム単独、又は白金単独で金型に注入させるよりも、イリジウムとレニウムの合金を注入する方が金型の耐久性が向上する。
本発明の成膜装置を用いれば反応性の高い微小荷電粒子だけが基板に到達するので、従来合金作成が困難だった金属材料の合金化が可能である。微小荷電粒子を放出する際に、基板に負電圧を印加すれば基板表面に微小荷電粒子が注入されて表面改質が行われ、基板に負電圧を印加しなければ基板表面上に薄膜が成長する。いずれの場合も、液滴や巨大荷電粒子は基板に到達しないので、基板表面に液滴や巨大荷電粒子が堆積せず、膜質が緻密になる。
以下で図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1、2の符号1は本発明の成膜装置の一例を示しており、成膜装置1は真空槽2と、第一、第二の放出源3a、3bと、基板ホルダ7と、バイアス電源12とを有している。
第一、第二の放出源3a、3bは、アノード電極32a、32bと、後述する磁界形成手段20a、20bとをそれぞれ有している。
各アノード電極32a、32bは筒状であって、真空槽2内部に配置されており、筒の一端側の開口39a、39bによってアノード電極32a、32bの内部空間が真空槽2の内部空間に接続されている。
アノード電極32a、32bの内部には、柱状の絶縁部材37a、37bが先端を開口39a、39bに向けて挿通されており、その先端には蒸着材料31a、31bが取り付けられ、絶縁部材37a、37bの側面にはリング状のトリガ電極34a、34bが蒸着材料31a、31bから離間して取り付けられている。
真空槽2外部にはアーク電流源14とトリガ電流源16が配置されており、蒸着材料31a、31bとアノード電極32a、32bはそれぞれアーク電流源14に接続され、トリガ電極34a、34bはトリガ電流源16に接続されている。
真空槽2には真空排気系8が接続されており、該真空排気系8によって真空槽2内部に真空雰囲気を形成し、該真空雰囲気を維持しながら、アノード電極32a、32bと真空槽2とを接地電位に置き、蒸着材料31a、31bに負電圧を印加した状態で、トリガ電極34a、34bに負電圧であって、蒸着材料31a、31bに対して正のパルス状電圧を印加すると、蒸着材料31a、31bとトリガ電極34a、34bの間にトリガ放電が起こる。
絶縁部材37a、37b先端から開口39a、39bまでの高さは、絶縁部材37a、37bの先端から蒸着材料31a、31b先端までの高さよりも高くされ、蒸着材料31a、31bは側面がアノード電極32a、32bに取り囲まれており、トリガ放電が起こると、アノード電極32a、32bと蒸着材料31a、31bとの間にアーク放電が発生してアーク電流が流れ、蒸着材料31a、31bの側面から蒸着材料の正の荷電粒子と電子とが放出される。
絶縁部材37a、37bの内部には不図示の棒状電極が挿通されており、棒状電極の先端は蒸着材料31a、31bに接続され、アーク電流は蒸着材料から棒状電極へ流れる。
ここでは、棒状電極はアノード電極32a、32bの中心軸線13a、13b上に位置しており、従ってアーク電流は棒状電極内を中心軸線13a、13bと平行な方向であって、開口39a、39bから遠ざかる方向に直線状に流れる。
蒸着材料31a、31bから放出された電子はアーク電流により生じる磁界によって、ローレンツ力で飛行方向が曲げられ、開口39a、39bから放出される。
正の荷電粒子には、電荷質量比(電荷/質量)の大きい微小荷電粒子と、電荷質量比の小さい巨大荷電粒子があり、正の微小荷電粒子はクーロン力によって電子に追従し開口39a、39bから放出されるが、巨大荷電粒子はアノード電極32a、32bの内壁面に衝突して放出されない。
磁界形成手段20a、20bは開口39a、39bから放出された電子が入射する位置に配置されている。ここでは、各磁界形成手段20a、20bはN極を有するN極部材21a、21bと、S極を有するS極部材22a、22bとを有しており、N極部材21a、21bのN極とS極部材22a、22bのS極は、電子の飛行径路を挟んで互いに対面し、互い対面するS極とN極の間の空間には、アノード電極32a、32bの中心軸線13a、13bと垂直であって、互いに平行な平行磁力線41a、41bが形成されるようになっている。
開口39a、39bからアノード電極32a、32bの中心軸線13a、13bと平行な方向に放出された電子は、その飛行方向が平行磁力線41a、41bに対して略垂直になり、中心軸線13a、13bと、平行磁力線41a、41bの両方に垂直な方向にローレンツ力が加わって飛行方向が曲げられ、正の微小荷電粒子は電子に追従して電子と同じ方向に曲げられる。
このとき、開口39a、39bから微小荷電粒子と一緒に液滴や巨大荷電粒子が放出されたとしても、巨大荷電粒子や液滴は飛行方向がクーロン力で飛行方向が曲げられずに直進する。
次に、開口39a、39bから放出された正の微小荷電粒子の曲げられる方向について説明すると、ここでは、各N極部材21a、21bと、各S極部材22a、22bはN極が形成された面とN極が形成された面が同じ平面に対して略垂直に向けられており、従って各磁界形成手段20a、20bの平行磁力線41a、41bは同じ平面に対して略平行になる。
開口39a、39bから放出される正の微小荷電粒子の飛行方向の先に向かって一方を左側、他方を右側とすると、各磁界形成手段20a、20bはN極部材21a、21bが左側、S極部材22a、22bは右側にそれぞれ位置している。
フレミング左手の法則で平行磁力線41a、41bの向きを人差し指の指し示す方向とし、正の微小荷電粒子の飛行方向を中指の指し示す方向とし、その正の微小荷電粒子に加えられるローレンツ力を親指の指し示す方向とすると、各開口39a、39bから放出された正の微小荷電粒子に加えられるローレンツ力は同じ方向(ここでは下向き)になる。
このとき、電子は正の微小荷電粒子と逆向きに飛行方向が曲げられるから、各開口39a、39bから放出される電子はそれぞれ同じ方向(ここでは上向き)に飛行方向が曲げられる。
N極部材21a、21bが左側、S極部材22a、22bは右側に位置する時には、基板ホルダ7は上方に、アノード電極32a、32bは下方の位置しており、基板11はアノード電極32a、32bよりも上方で基板ホルダ7に保持され、電子は基板11よりも下方で真空槽2内部に放出された後、飛行方向が上向きに曲げられる。
第一、第二の放出源3a、3bは磁界形成手段20a、20bの位置と、アノード電極32a、32bの開口39a、39bの向きが、開口39a、39bから放出された後、飛行方向が曲げられた電子がそれぞれ基板ホルダ7に到達するようにされており、基板ホルダ7には開口39a、39bから放出された電子が到達して、基板ホルダ7の近傍に電子雲が形成される。
電子雲が成長し、平行磁力線41a、41bによるローレンツ力よりも、電子雲によるクーロン力の方が大きくなると、各開口39a、39bから放出された正の微小荷電粒子は電子雲に引き付けられ、飛行方向が基板ホルダ7に向かって曲げられる。
従って、基板ホルダ7に保持された基板11の表面には、第一の放出源3aの開口39aから放出された正の微小荷電粒子と、第二の放出源3bの開口39bから放出された正の微小荷電粒子の両方が到達する。
ここでは、蒸着材料31a、蒸着材料31bは互いに異なる種類の金属材料であって、かつ、基板11の構成材料(例えば鉄等の金属又は鋼等の合金)とも異なる材料で構成されており、開口39a、39bから同時に荷電粒子を放出させれば、基板11表面には蒸着材料31a、31bの合金薄膜が成長する。
上述したように巨大荷電粒子や液滴は開口39a、39bから放出されたとしても飛行方向が曲げられずに直進するので、基板11には到達せず、基板11表面に成長する合金薄膜に液滴や巨大荷電粒子等が混入しない。従って、基板11表面には膜質の良い薄膜が成長する。
ところで、磁界形成手段20aと磁界形成手段20bの間には磁力線を遮蔽する物が無く、磁力線は同じ磁界形成手段20a、20bのN極部材21a、21bとS極部材22a、22bの間だけではなく、異なる磁界形成手段20a、20bのN極部材21a、21bとS極部材22a、22bの間にも形成される。
図1は2つのアノード電極32a、32bの中心軸線13a、13bが90°未満の角度で交叉する成膜装置1を示し、図3はアノード電極32a、32bの中心軸線13a、13bが90°、又は90°よりも180°に近い角度(ここでは180°)で交叉する場合の成膜装置6を示しており、交叉する2本の中心軸線13a、13bで一本の線分とすると、その線分の一方の側には一方の磁界形成手段20aのN極部材21aと他方の磁界形成手段20bのS極部材22bが位置し、該線分の他方の側には一方の磁界形成手段20aのS極部材22aと他方の磁界形成手段20bのN極部材21bとが位置する。
このように、線分の両側には磁性が反対の磁極が配置されているから、該線分の一方の側と他方の側には、異なる磁界形成手段20a、20bのN極部材21a、21bとS極部材22a、22bとを結ぶ放出源間磁力線42が形成される。
放出源間磁力線42は、N極部材21a、21bとS極部材22a、22bの飛行径路と対面する側の面を通るから、開口39a、39bから放出された電子の一部は、放出源間磁力線42に巻き付けられ、その放出源間磁力線42の方向に沿って移動し、第一の放出源3aから第二の放出源3bへ、又は第二の放出源3bから第一の放出源3bへ移動する。
アノード電極32a、32bの中心軸線13a、13bが180°に近い角度で交叉する場合、放出源間磁力線42に巻きつけられた電子の移動方向は、移動した先の放出源3a、3bの開口39a、39bに向けられるから、その電子は開口39a、39bからアノード電極32a、32b内部に入り込み、異常放電の原因となる。
これに対し、アノード電極32a、32bの中心軸線13a、13bが小さい角度で交叉する場合、放出源間磁力線42に巻きつけられた電子の移動方向は、移動した先の放出源3a、3bの開口39a、39bには向けられず、開口39a、39bに到達する前に、磁界形成手段20a、20b等他の部材に衝突し、アノード電極32a、32bの内部に入り込まない。本発明者等が中心軸線13a、13bの交叉する角度を変えて実験を行った結果、その角度が90°未満であれば異常放電が顕著に防止されることが分かった。
尚、ここではN極部材21a、21bとS極部材22a、22bには、飛行径路とは反対側の面にS極とN極がそれぞれ形成されており、放出源3a、3bの間には、飛行径路と反対側の面の間を通る磁力線44も形成される。
次に、本発明の成膜装置1を用いて基板11表面を改質する場合について説明する。真空槽2外部にはバイアス電源12が配置されており、基板ホルダ7はバイアス電源12に接続され、バイアス電源12を動作させると、基板ホルダ7に電圧が印加され、基板ホルダ7に保持された基板11に電圧が印加されるようになっている。
トリガ放電を起こす時に基板11に電圧を印加しないと、正の微小荷電粒子は基板11表面に堆積し、基板11表面上に合金の薄膜が形成されるが、トリガ放電を起こす時に、真空槽2の電位に対して負電圧を基板11に印加すると、正の微小荷電粒子が加速されて基板11表面に注入される。
蒸着材料31a、31bが互いに異なる種類の金属材料で構成され、かつ、各蒸着材料31a、31bの種類が基板11の構成材料(例えば鉄等の金属又は鋼等の合金)とも異なる場合、蒸着材料31a、31bの微小荷電粒子がそれぞれ基板11表面に注入されると、蒸着材料31a、31bの合金が基板11の内部で生成され、基板11表面が改質される。
図4(a)はアーク電流の電流量(放電電流量)と時間との関係を示しており、アーク電流が流れ始めてから放電電流量がゼロになるまでの放電時間tは予め決まっている。例えば、アーク電流源14がコンデンサを有する場合は、放電時間tはそのコンデンサの容量によって決まる。
トリガ放電を起こす時には各アノード電極32a、32bは真空槽2と同じ接地電位に置かれているため、アノード電極32a、32bと基板11との間の電位差によって電流が流れ、基板11に負電圧を印加し続けると、放電時間tが終了する前にアノード電極32a、32bと基板11との間に異常放電が起こる。
バイアス電源12には切り替え装置18が接続されており、該切替え装置18によって基板11は負電位と接地電位に交互に置かれる。
図4(b)は基板11に印加される電圧(バイアス電圧)の波形を示しており、基板11が1回負電位に置かれる時間と、1回接地電位に置かれる時間の合計をパルス幅とすると、パルス幅は第一、第二の放出源3a、3bのいずれの放電時間tよりも短く、切り替え装置18はアノード電極32a、32bと基板11との間に異常放電が起こる前に基板11の電位を負電位から接地電位に切り替える。
基板11の電位が接地電位に切り替わると、アノード電極32a、32bと基板11との間に流れる電流をゼロになるので、アノード電極32a、32bと基板11との間に放電が起こらない。
電流がゼロになった後、基板ホルダ7への負電圧の印加を再開すれば、アーク電流が流れている間、複数回断続して負電圧を印加することができる。
基板11が接地電位に切り替わると、正の微小荷電粒子が基板11表面に注入されなくなるが、1回の放電時間tの間に基板11が複数回負電位に置かれるようにパルス幅を設定すれば、基板11に微小荷電粒子が連続して注入されない時間が短くなるので、基板11表面に微小荷電粒子が堆積せず、表面改質が行われる。
以上は、基板ホルダ7が上方、アノード電極32a、32bが下方に位置する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各アノード電極32a、32bが基板ホルダ7に保持された基板11表面を望む側に位置し、各開口39a、39bから放出される電子が同じ基板ホルダ7に到達するのであれば、基板ホルダ7とアノード電極32a、32bの位置関係は、基板ホルダ7が下方、各アノード電極32a、32bが上方にあってもよい。
例えば、基板ホルダ7が下方、アノード電極32a、32bが上方にある場合には、開口39a、39bから電子の飛行方向の先を見たときに、N極部材21a、21bを右側、S極部材22a、22bは左側に配置すれば、各開口39a、39bから放出される電子はそれぞれ下向きに曲げられる。
また、放出源の数は2つに限定されず、各放出源から放出される電子が同じ基板ホルダに到達するように配置されているのであれば、放出源の数が3つ以上の場合も本発明には含まれる。この場合も、アノード電極内部での異常放電を防止するためには、1のアノード電極の中心軸線と、他のアノード電極の中心軸線との成す角度が全て90°未満になることが望ましい。
また、各放出源は、各放出源の電子が同じ基板ホルダに到達するようにされ、かつ、各放出源の開口から放出される電子が、他の放出源の開口に到達しないようにされているのであれば、各放出源が同じ平面内にあってもよいし、異なる平面内にあってもよい。
N極部材21a、21bとS極部材22a、22bは具体的には、フェライト製の磁性材料や、サマリウム・コバルト製の磁性材料、それらを複合した永久磁石の他、電磁石等の磁石である。
N極部材21a、21bとS極部材22a、22bの数や形状は限定されるものではなく、飛行径路を挟んでS極とN極が対面するのであれば、一つの磁石のS極とN極とをそれぞれS極部材とN極部材とし、1つの磁石で1つの磁界形成手段20a、20bを構成してもよいし、また、3つ以上の磁石で1つの磁界形成手段20a、20bを構成してもよい。更に、2つ以上の磁石をヨーク等の透磁性部材で接続したものを磁界形成手段20a、20bとして用いてもよい。
磁界形成手段20a、20bの設置場所は、飛行径路を挟んでS極とN極とが対面し、対面するS極とN極との間に開口39a、39bから放出される電子が入射するのであれば特に限定されず、真空槽2の内部に配置してもよいし、真空槽2が磁力線を透過する透磁性材料で構成されている場合には真空槽2の外部に配置してもよい。
本発明の成膜装置1、6の運転条件の一例を述べると、基板11はレンズ等の製造に用いられる金型(例えば鋼製)であり、蒸着材料31a、31bにそれぞれレニウム(Re)とイリジウム(Ir)を用いて金型の表面改質を行う場合には、金型に印加する負電圧は約5μs(休止期間:5μs:デュティ:50%)で、5kVの負電圧であり、放電時間tは100〜200μ秒であり、1つの金型に所定回数(30〜100回)のトリガ放電を繰り返す。
レニウム量をイリジウムより多く含有させたい場合は放電パラメータであるアーク電圧(V)やコンデンサ容量(C)をイリジウムより高い値に設定すると、放電量が多くなる。即ち、成膜量(S)はCV2に比例する。
蒸着材料31a、31bはReとIrに限定されるものではなく、種々の金属材料の合金の成膜、又は合金の注入に用いることができる。蒸着材料としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、コバルト、鉄、ニッケル等の金属材料の他にも、グラファイト等金属材料以外の無機材料も用いることができる。
各蒸着材料31a、31bを同じ種類の構成材料で構成し、基板11表面に一種類の構成材料の薄膜の成膜、又は1種類の構成材料の荷電粒子を注入を行ってもよい。更に、蒸着材料31a、31bには基板11の構成材料と同じ種類のものを用いることもできる。
アノード電極32a、32bの形状も特に限定されず、蒸着材料31a、31bを取り囲む形状のものであれば、円筒状、角筒状等種々の形状のものを用いることができる。また、アノード電極を構成する筒には切り込みが形成されていてもよいし、複数の電極を蒸着材料31a、31bを取り囲むように配置して1つのアノード電極としてもよい。アノード電極32a、32bの材質も特に限定されず、ステンレス、インコネル等種々の材質のものを用いることができる。
本発明の成膜装置1、6は、金型(基板11)の表面改質だけではなく、ダイヤモンドライクカーボンや半導体の高誘電体膜、絶縁膜、銅薄膜、磁性薄膜、高融点金属膜等の成膜にも用いることができる。
基板11の種類も特に限定されず、鉄等の金属製、又は鋼等の合金製の金型、シリコン基板、ガラス基板等成膜目的に応じて種々の物を用いることができる。
以上は第一、第二の放出源3a、3bでトリガ放電を一緒に起こしてアノード電流を同期させ、開口39a、39bから同時に蒸気を放出させて合金を形成する場合について説明したが本発明はこれに限定されず、第一、第二の放出源3a、3bでトリガ放電を別々に起こし、基板11表面に積層膜を形成することもできる。
また、真空槽2に反応ガス供給系を接続し、真空槽2内部に反応ガスを供給しながら蒸着材料の蒸気の放出を行って、蒸着材料と反応ガスの反応物の膜の形成、又は反応物の注入を行うこともできる。
また、基板ホルダ7を不図示の回転手段に接続し、基板11を同一平面内で回転させながら成膜を行えば、形成される薄膜の膜厚、又は表面処理の程度が基板11表面の各部分で均一になる。
中心軸線の交叉する角度が90°未満の場合の成膜装置を説明する断面図 本発明の成膜装置の断面図 中心軸線の交叉する角度が90°以上の場合の成膜装置を説明する断面図 (a):アーク放電の放電電流量と放電時間との関係を説明するグラフ、(b):基板に印加する負電圧の波形を説明するグラフ 従来技術の成膜装置の一例を説明する断面図
符号の説明
1、6……成膜装置 2……真空槽 3a、3a……第一、第二の放出源 7……基板ホルダ 11……基板 13a、13b……中心軸線 20a、20b……磁界形成手段 32a、32b……アノード電極 12……バイアス電源

Claims (3)

  1. 基板ホルダと、第一、第二の放出源とを有し、
    前記基板ホルダ上には基板が載置可能に構成され、
    前記第一、第二の放出源は、前記基板ホルダ上の前記基板表面を望む側に位置する筒状のアノード電極と、
    前記アノード電極の開口から放出される荷電粒子が通る位置に磁界を形成する磁界形成手段とをそれぞれ有し、
    前記基板ホルダ上の前記基板が上方、前記第一、第二の放出源が下方に位置するとした場合に、
    前記開口から前記荷電粒子の飛行先を見たときに、前記磁界形成手段の前記磁界を形成するS極とN極のうち、N極は前記開口の左側に、S極は前記開口の右側に位置し、前記荷電粒子のうち電子が飛行方向を上方に曲げられるようにされ、
    前記基板ホルダは、前記第一の放出源の前記開口から放出され、飛行方向が曲げられた電子と、前記第二の放出源の前記開口から放出され、飛行方向が曲げられた電子の両方が到達する場所に位置する成膜装置。
  2. 前記第一、第二の放出源の前記開口から前記荷電粒子を放出している間に、前記基板に複数回断続して負電圧を印加するバイアス電源を有する請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記第一、第二の放出源は、前記アノード電極の中心軸線が90°未満の角度で交叉するようにされた請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の成膜装置。
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