JP2008073861A - 型内被覆成形用金型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明による型内被覆成形用金型は、所望する形状の成形品を成形するための金型キャビティ15に、金型開閉方向に略平行な立ち面部Tを介し隣接する補助キャビティ18を形成して、補助キャビティ18に塗料注入口を設ける構成とした。本発明による型内被覆成形用金型は、前述の構成としたことにより、塗料注入時において、立ち面部Tに形成される塗料の流路厚み側寸法が、他のキャビティ部分に比較して小さくなり、塗料の硬化物が、その狭い流路部分に挟まってそれより先に流れることができない。従って、塗料の硬化物が、補助キャビティ18から金型キャビティ15内に流れ込むことを防止でき、その結果として優れた外観の型内成形品を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
その後、金型を再度型締することによって成形品の表面に塗料を均一に拡張させた後、硬化させて被覆する型内被覆成形方法である。
そのため、特に、外観に対して高い品質が要求される自動車用の部品、例えば、バンパー、ドア、ドアミラーカバー、フェンダー等多くの部品には、前記型内被覆成形方法の利用が検討されている。
勿論、塗料注入機は金型温度の影響をできる限り受けないようするため、冷却装置等により温度調節される構造となっているが、連続成形する間に外乱を受けるなどして、ほんのわずかな量の塗料が塗料注入機の先端部等で硬化する。
(1) 雄型と雌型により形成した金型キャビティを有し、該金型キャビティで成形した樹脂成形品の表面に被覆を施して装飾面を形成するための塗料注入機を備えた型内被覆成形用金型において、該塗料注入機の塗料注入口と該装飾面を形成する金型キャビティ部分との間に、金型開閉方向に対して略平行に延在する立ち面部を形成することにより、該塗料注入口から該立ち面部を介して該装飾面に塗料を注入する構成とした。
その結果、型内被覆成形の塗料注入工程時において、該立ち面部に生じる塗料の流路が、他の部分に比較して極端に厚みが小さくなるので、塗料の硬化物が、その狭い流路部分に挟まってそれより先に流れることができない。そのため、塗料の硬化物が、塗料注入口から製品の外観に影響を与える装飾面に流れ込むことを防止でき、その結果として前述した「ぶつ」による欠陥のない優れた外観の型内被覆成形品を得ることができる。
図1〜図6は本発明の実施形態に係わり、図1は型内被覆成形用金型の構成を説明するため概略の構造を示した断面図であり、図2は型内被覆成形用金型に形成される補助キャビティを説明するための説明図である。図3は補助キャビティ及び金型キャビティの樹脂と塗料の流れを説明するための図であり、図4は立ち面部で塗料の硬化物を捕集する機構の概念図である。図5は立ち面部の長さ(L)及び厚み(W)を説明する図である。図6は一般的な型内被覆成形方法の工程を説明するフローチャートである。
図1に示した金型100は、可動型10、固定型20、及び、塗料注入機50等を備えており、図1に示した実施形態の1例においては、可動型10が雌型であり、固定型20が雄型である。
なお、前述したくいきり構造の嵌合部(くいきり部と称することもある)は金型キャビティ15、立ち面部T、並びに隣接する補助キャビティ18とを周りから囲むようにして形成される。そして、金型100はくいきり部にて金型キャビティ15、立ち面部T、並びに補助キャビティ18に充填した樹脂が、金型100から漏れ出すことを防止する。
なお、本実施形態においては、金型キャビティ15で成形する樹脂成形品の一面について被覆による加飾が製品外観に影響を与える装飾面とし、補助キャビティ18等については成形後に切除する構成とした。しかし、本発明の実施の形態がこれに限るものではないことは勿論であって、例えば、補助キャビティを設けない場合においては、金型キャビティに塗料注入口を設けて、立ち面部を介して、装飾面(被覆による外観の良否が製品の良否に影響を与える部分)に塗料を流す構成とし、塗料注入口から立ち面部までの間で塗料により被覆される部分について「ぶつ」による外観不良が製品の良否に影響を与えない非装飾面となるよう構成とされていれば良く、本発明の技術思想を逸脱しない範囲について適宜形態の変更が可能である。
図1に示した金型100で成形される成形品は、図2(2)にその概略形状を示唆するように長方形の平板状であって、その1辺に対して、補助キャビティ18が立ち面部Tを介して隣接する。そして、補助キャビティ18には、塗料を注入するために、塗料注入機50の塗料注入口51、並びに、樹脂を射出注入するために、ホットランナの樹脂注入口61、が設けられている。
なお、この立ち面部Tは、厳密に金型開閉方向に平行である必要はなく、所謂、成形品の抜き勾配等と言われる程度(5度以内)であれば、金型開閉方向から傾斜しても良いのであって、本発明を適応できる範囲で傾いていても良く、略平行となっていれば良い。
本実施の形態における塗料注入機50は、可動型10に取りつけられて、補助キャビティ18の可動型10側に配設された塗料注入口51より、補助キャビティ18に塗料を注入することができるよう構成されている。また、塗料注入機50の塗料注入口51には、図示しないバルブを取りつけており、基材の射出成形時においては、該バルブが閉じられていることによって、金型100の補助キャビティ18内に射出された樹脂が塗料注入口51より塗料注入機50内に進入することを防止している。
まず、第1の工程として、図示しない型締装置により金型100を型締めする。この状態において、立ち面部Tの近傍は図3(1)に示すようになっている。
そして、図3(2)に示したように基材である熱可塑性樹脂を樹脂注入口61から補助キャビティ18に射出し、該射出された樹脂は、補助キャビティ18から立ち面部Tを介して金型キャビティ内に充填される。なお、本実施の形態においては、基材としてABS樹脂であるUMGABS(旧社名:宇部サイコン)株式会社製のUT20Bを使用した。
基材の冷却後、図3(3)に示すように金型をわずかに開いた状態(本実施の形態においては1mmほど型開方向に可動型10を移動させた状態)として、補助キャビティ18及び金型キャビティ15内で成形した樹脂成形品と、可動型10のキャビティ面との間に空隙(塗料用間隙、或いは単に隙間と称することもある)を生じさせる。
なお、この際に生じさせる立ち面部Tの隙間は樹脂の熱収縮量によって決まるため、立ち面部Tに充填される樹脂の種類と、充填された樹脂の厚さによってほぼ決定され、わずかに傾斜をつけた場合はそれを考量する。なお、塗料の硬化物である固形物を捕集するため立ち面部Tの塗料を流す流路厚みが0.1mmになる程度に立ち面部Tの隙間厚み(W)を決定することが好ましい。
また、本実施の形態において用いた塗料は、プラグラス#8000:赤(大日本塗料株式会社製)である。
そのため、何らかの原因により、塗料注入機50から補助キャビティ内に注入した塗料に、塗料の硬化物が固形物として混入していたとしても、図4に示めすように、固形物は立ち面部Tの隙間部分に挟まれてひっかかり、その先にある金型キャビティ15の装飾面に流れ込むことができない。
以上の工程で、塗料の硬化物を外観に影響を与えない補助キャビティ及び立ち面部Tに封じ込めることにより、外観不良のない良好な型内被覆成形品を得ることができた。
15 金型キャビティ
18 補助キャビティ
20 固定型
50 塗料注入機
51 塗料注入口
60 ホットランナ
61 樹脂注入口
100 型内被覆成形用金型
T 立ち面部
K 塗料用間隙
L 立ち面部長さ
W 立ち面部隙間厚み
Claims (4)
- 雄型と雌型により形成した金型キャビティを有し、該金型キャビティで成形した樹脂成形品の表面に被覆を施して装飾面を形成するための塗料注入機を備えた型内被覆成形用金型において、
該塗料注入機の塗料注入口と該装飾面を形成する金型キャビティ部分との間に、金型開閉方向に対して略平行に延在する立ち面部を形成することにより、該塗料注入口から該立ち面部を介して該装飾面に塗料を注入する型内被覆成形用金型。 - 前記金型キャビティに、立ち面部を介して隣接する補助キャビティを形成し、該補助キャビティに塗料注入口を設けた請求項1記載の型内被覆成形用金型。
- 前記立ち面部の長さが、塗料を注入する工程において、0.5mm〜10mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の型内被覆成形用金型。
- 前記補助キャビティに樹脂の注入口を設けた請求項2又は請求項3に記載の型内被覆成形用金型。
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