JP2008071787A - 光照射式加熱装置および光照射式加熱方法 - Google Patents

光照射式加熱装置および光照射式加熱方法 Download PDF

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    • H05B3/0047Heating devices using lamps for industrial applications for semiconductor manufacture

Abstract

【課題】スパイクアニール工程に対しても、ゾーンの数を増加させることなくワーク表面における照度分布の均一性を向上させること。
【解決手段】複数のランプ1が並列に並べられ、各ランプ1の上部に平面ミラー2が設けられ、ワークの周りにはガードリング5が配置される。ランプ1はI群、II群、III群から構成され、III群に属する各ランプ1への投入エネルギーは、I群、II群に属する各ランプ1への投入エネルギーより大きい。平面ミラー2のワーク6に対応する上方領域には拡散ミラー部21が設けられ、I群、II群に属するランプ1から放射され反射鏡2で反射された光は拡散光としてワーク6に照射され、ウエハ表面での照度分布の均一性が向上する。また、III群に属する各ランプ1から放射される光は拡散ミラー部21での反射は殆どなく、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被処理物に光照射することにより、急速かつ高温に加熱処理する光照射式加熱装置および被処理物を加熱処理する光照射式加熱方法に関する。
半導体製造工程における光照射式加熱処理は、成膜、拡散、アニールなど、広い範囲に渡って行なわれている。いずれの処理も、板状のワークである半導体ウエハ(以下、単にウエハとも呼ぶ)を高温に加熱処理するものである。
この加熱処理に光照射式加熱処理を使用すれば、ウエハを急速に加熱したり冷却することができる。例えば、ウエハへの光照射開始後数秒間〜数十秒間で、ウエハを1000°C以上にまで昇温させることが可能である。光照射を停止すれば、急速にウエハを冷却することができる。
光照射式加熱処理装置は、一般に熱源として複数本の白熱ランプを使用する。光透過性材料からなる発光管の内部にフィラメントが配設されてなる白熱ランプは、光出力の立ち上がりが早くワークの急速加熱処理に適している。特に、ハロゲンランプの場合、発光管(バルブ)内に封入されたハロゲンと加熱蒸発するタングステン製フィラメントとの循環再生反応(ハロゲンサイクル)の効果により、バルブを小形化しても黒化せず、寿命も延びるという利点を有する。
ここで、ウエハの材質がケイ素である場合、ウエハを1050°C以上に加熱する際、ウエハに温度分布の不均一が生じると、ウエハにスリップと呼ばれる現象、即ち結晶転移の欠陥が発生する。その結果、加熱処理されるウエハは不良品となる。そこで、光照射式加熱装置を用いてウエハを加熱処理する場合には、ウエハ全面の温度分布が均一となるよう加熱・高温保持・冷却する必要がある。また、成膜のためにウエハを加熱する場合においても同様である。すなわち、均一な厚さでウエハ表面に膜を形成するためには、ウエハの温度分布が均一となるようウエハを加熱しなければならない。
ウエハ全面の物理特性が均一である場合、ウエハ全面での放射照度が均一となるように光照射を行うと、ウエハの温度は均一になると考えられる。しかしながら、実際には、このような照射条件でウエハに光照射を行っても、ウエハの周辺部の温度が低くなり、ウエハに温度分布の不均一が生じる。上記したように、ウエハを1050°C以上に加熱する場合、ウエハに温度分布の不均一が生じるとウエハにはスリップが発生する。
このようにウエハ周辺部の温度が低くなるのは、ウエハの側面もしくはウエハの側面近傍等のウエハ周辺部から熱が放射されるためである。従って、ウエハ全面に渡り温度分布を均一にするためには、ウエハ周辺部からの熱放射による温度低下を補償する必要がある。例えば、ウエハ周辺部表面における放射照度を、ウエハ中央部表面における放射照度よりも大きくなるように、光照射を行う。
一方、ウエハ周辺部の温度低下を防止する方法の1つとして、以前より、ウエハと同等の熱容量の補助材をウエハの外周を包囲するように配置する方法が提案されている。このような補助材は、一般にガードリングと呼ばれている。
ウエハの外周を包囲するように配置されたガードリングの熱容量がウエハの熱容量と同等である場合、ウエハとガードリングとは一体化した一枚の仮想板状体と見なすことが可能となる。この場合、ウエハの周辺部は上記仮想板状体の周辺部とならないので、ウエハの周辺部からの熱放射が発生しない。そのため、ウエハ周辺部の温度が低下することはない。即ち、上記したようなガードリングを用いることより、ウエハ周辺部からの熱放射による温度低下を補償し、ウエハの温度を均一にすることが可能となる。
なお、ガードリングはウエハの外周を包囲するように設けられるので、ガードリングにウエハの周縁部を保持する機構を付加して、ガードリングをウエハ保持材として兼用する場合も多い。
しかしながら、実際は、ガードリングをウエハと一体とみなせるように(即ち、熱容量が同等になるように)製作することは困難である。その理由を以下に示す。
(a)ガードリングとウエハとの熱容量を同等にするには、ガードリングの材質をウエハの材質と同じにすればよい。例えば、ウエハがシリコンウエハである場合、ガードリングの材質をケイ素(Si)とすればよい。しかしながら、ケイ素は繰り返して大きな温度差にさらされると、変形してしまいガードリングとしての機能を果たさなくなる。
(b)変形の問題を回避するために、一般にガードリングは炭化ケイ素(SiC)から作られることが多い。炭化ケイ素はケイ素よりも比熱はやや大きいが、大きくは相違しない。しかしながら、炭化ケイ素は加工が難しく、加工上の問題(歩留まり)により厚さを1mmより薄くできないので、ウエハの厚さ0.7〜0.8mmよりも厚くなる。上記したケイ素と炭化ケイ素の比熱の違い、及びウエハの厚さと炭化ケイ素製のガードリングの厚さとの違いにより、ガードリングの熱容量は、高温に加熱した時、ウエハに比べ単位面積あたり1.5倍ほど大きくなる。
したがって、ウエハの周辺部の温度低下を補償するように、ガードリングを機能させるには、ウエハとガードリングとの上記熱容量差の影響を解消する必要がある。具体的には、ガードリング上の放射照度がウエハ上の放射照度より大きくなるように光照射する必要がある。
上記のような事情により、光照射式加熱装置は、照射領域における照度分布を任意に設定して光照射する機能が必須となる。このような機能を有する光照射式加熱装置を用いることにより、上記のように、ガードリング上の放射照度がウエハ上の放射照度より大きくなるように光照射することが可能となる。以下、上記機能を有する光照射式加熱装置について説明する。
上記した光照射式加熱装置においては、加熱源は複数の白熱ランプで構成される。そして、複数のランプを幾つかの制御ゾーン(ランプ群)に分けて制御することにより、照射領域における照度分布を所定の分布に設定する。
例えば、特許文献1に記載された光照射式加熱装置は、加熱手段である光照射手段を、複数の直管型のハロゲンランプを並列に並べて構成する。これらのハロゲンランプは、数本ずつのランプ群に分割され、各ランプ群を制御単位として、各ランプ群からの熱出力が独立に制御される。具体的には、まず、ワークの複数点の温度が放射温度計で検知される。そしてその検知結果に基づき、ワークの温度が均一になるように、上記制御単位が制御される。
特許文献2に記載された光照射式加熱装置は、加熱手段である光照射手段を、環状で直径がそれぞれ異なる複数の赤外ランプを同心状に並べて構成する。これらのランプも幾つかの制御ゾーン(ランプ群)に分けて制御される。
具体的には、まず、事前にワークの種々の温度分布パターンに対して、複数の赤外ランプをどのように点灯制御すればワークの温度分布が所定の温度で均一となるかというデータが求められる。この光照射式加熱装置の制御部は、上記データに基づき、各温度分布パターン対赤外ランプ点灯制御パターンのテーブルを記憶している。
次に、加熱処理中、ワークの2点以上を放射温度計が測定され、温度分布パターンが求められる。制御部は、測定した温度分布パターンに最も近い温度分布パターンを記憶しているテーブルから検索する。検索の結果得られた温度分布パターンに対応する赤外ランプ点灯制御パターンに基づき、ワークの温度が均一になるように、ランプ群が制御される。
以下、ゾーン制御により、ガードリングをウエハよりも大きな放射照度で光照射する例について具体的に説明する。なお、理解を容易にするために、ワークであるウエハ表面の輻射率(emmisivity)分布は均一であるとする。すなわち、光照射されたウエハの温度は、ウエハ表面における放射照度に比例するものとする。
図28は、複数の直管型ランプ101と波形ミラー102とからなる光照射手段によって、ワーク(ウエハ)106およびガードリング105を照射したときのワーク106およびガードリング105上の照度分布を説明する図である。
図28において、光照射手段は、複数の直管型のハロゲンランプ101を並列に並べて構成される。各ランプ101の上部には、反射鏡である波形ミラー102が設けられる。波形ミラー102の反射面は、複数の凹面部が並列に配列された形状である。
直管型ハロゲンランプ101はそれぞれ、各凹面部によって、一部が包囲される。波型ミラー102の凹面部形状は、凹面部により反射される光がある程度の指向性を有するように設計される。すなわち、各ランプ101から直接ワーク106に照射される光の広がりより、波型ミラーの凹面部によって反射される光の広がりが小さい。
なお、一般に、ウエハ等のワーク106は、処理室内に収容されている。光照射手段から放射される光は、当該処理室に設けられた光透過用の透過窓部材104を介して、ワーク106に照射される。
図28(a)は、複数の直管型ランプ101をガードリング照射用ランプ群101−1とウエハ照射用ランプ群101−2の2つのランプ群(ゾーン)に分けた場合を示す。ここで、ガードリング照射用ランプ群101−1は、ガードリング105の上部に配置されたランプ群である。一方、ウエハ照射用ランプ群101−2はワーク106(以下ウエハともいう)の上部に配置されたランプ群である。
ここで、ガードリング105をワーク106よりも大きな放射照度で光照射するために、ガードリング照射用ランプ群101−1に属する各ランプ1への投入エネルギーが、ウエハ照射用ランプ群101−2に属する各ランプへの投入エネルギーより大きくなるように、各ゾーン(ランプ群)を制御する。その結果、ガードリング照射用ランプ群101−1に属する各ランプから放出される光の強度は、ウエハ照射用ランプ群101−2に属する各ランプから放出される光の強度より大きくなる。
図28(a)から明らかなように、上記のようなゾーン制御を行えば、ガードリング105をワーク106よりも大きな放射照度で光照射することが可能となる。
しかしながら、ワーク106の端部(周辺部)における照度がワーク中央部の照度より大きくなっており、ワーク106の照度分布の均一性は実現されていない。ワーク表面の輻射率(emmisivity)分布が均一であるとき、ワーク表面での照度分布が不均一であると、ワーク106の温度分布も不均一となる。
ワーク106の照度分布が不均一であるのは、ガードリング照射用ランプ群101−1からの照射光がワーク周辺部にも照射されるためである。すなわち、ランプ101から放出される光は発散光であるので、ワーク106とランプ101とが近接していない場合、ガードリング105の上部に配置されたガードリング照射用ランプ群101−1からの光はウエハ周辺部にも照射される。ガードリング照射用ランプ群101−1に属する各ランプから放出される光の強度は、ウエハ照射用ランプ群101−2に属する各ランプから放出される光の強度より大きいので、ワーク106の端部における照度がウエハ中央部の照度より顕著に大きくなる。
ワークであるウエハ106を1050°C以上に加熱する場合、図28(a)にて斜線で示す照度不均一部分が大きいと、温度分布の不均一も顕著となり、ウエハ106にはスリップが発生する。
上記したウエハ106の照度不均一部分は、ゾーンの数を増加させることにより、低減される。図28(b)は、ゾーン(ランプ群)の数を3つにした例である。ここに示す例では、ウエハ照射用ランプ群101−2をI群とII群の2つに分割する。II群は、図28(a)において照度不均一部分が発生した領域の上部に配置される。一方、I群は、ウエハの中央部側領域の上部に配置される。なお、上記ガードリング照射用ランプ群101−1を、以下III群ともいう。
図28(b)に示すゾーン制御の考え方は、以下の通りである。ガードリング105をワーク106よりも大きな放射照度で光照射するために、III群に属する各ランプ101への投入エネルギーは、I群、II群に属する各ランプへの投入エネルギーより大きくなるように設定される。また、III群からの照射光はウエハ周辺部にも照射されるので、その分を相殺するように、II群に属する各ランプへの投入エネルギーは、I群に属する各ランプへの投入エネルギーより小さく設定される。すなわち、各群に属する各ランプへの投入エネルギーは、III群、I群、II群の順に小さくなるように設定される。
図28(b)から明らかなように、上記のようなゾーン制御を行えば、ガードリング105をワーク106よりも大きな放射照度で光照射することが可能となる。また、発散光であるガードリング照射用ランプ群101−1からの照射光がウエハ周辺部にも照射されることにより生じる照度分布の不均一も抑制される。よって、ウエハの温度分布の均一性も良好となる。
以上のように、ガードリング105をワーク106よりも大きな放射照度で光照射するとともに、ウエハ表面での放射照度分布を略均一にするためには、少なくとも3つのランプ群によるゾーン制御が必要となる。実際には、光照射手段(図28においては複数の直管型ランプ101と波形ミラー102)とワーク106との距離、反射鏡(図28においては波形ミラー102)の形状、各ゾーン(ランプ群)からの光の重なり合い等の様々なパラメータが、ワーク上の照度分布に影響を及ぼす。そのため、ゾーン制御も複雑となり、通常、ランプ群の数は3つ以上となることが多い。
なお、図28に示したゾーン制御の説明は、直管型ランプ101の管軸方向と直交する一次元方向に適用される。例えば、直管型ランプの管軸方向については、照射領域に存在するランプは1本のみとなるので、ゾーン制御を実施することは不可能である。よって、通常、ウエハ全面(すなわち、2次元方向)に対してゾーン制御を適用するために、光照射中、ウエハを回転させることが多い。
特開昭62−20308号公報 特開昭63−260127号公報 特公平6−93440号公報
半導体集積回路の微細化、高集積化に伴い、ウエハ上に構成される回路構造は、ウエハの深さ方向についても微細化されている。すなわち、上記回路構造の薄膜構造化が進んでいる。一方、ウエハの高温加熱処理工程においては、ウエハの到達温度を、1000°Cを超える温度にする必要がある場合がある。例えば、イオンインプランテーション後に、打ち込んだ不純物イオンを活性化するための高温加熱処理工程がこれに相当する。
このような高温では不純物の熱拡散速度が増大する。そのため、ウエハが高温になっている時間が長いと、不純物イオンがウエハの深さ方向にも拡散してしまい、上記した薄膜構造を維持することができない。
このために近年はスパイクアニールと呼ばれる急峻加熱・急峻冷却工程を実現するための加熱装置の開発がなされている。スパイクアニールでは所謂一定温度保持を行わず、目標温度(活性化に必要な温度)に到達したら即座に冷却を行う。すなわち、ウエハが高温となっている時間をできるだけ短くし、不純物イオンの深さ方向への拡散の進行を抑制するものである。
そのために、スパイクアニール工程における昇温レートを出来る限り高速化し、短時間でウエハ等のワークの温度を目標温度に到達させたいという要望が非常に強くなってきている。
上記光照射式加熱処理装置を用いてスパイクアニール工程を行う場合、ワーク表面での照射光の放射照度を大きくすることにより、上記昇温レートの高速化が実現される。ここで、複数の直管型のハロゲンランプを並列に並べて構成される光照射手段を有する光照射式加熱処理装置の場合、各ランプ間の間隔を小さくすることにより、ワーク表面での照射光の放射照度を大きくする。
ここで、ワークがウエハのように板状で所定の大きさが設定されている場合、ワークに対峙して並列に並べることが可能なランプの本数は所定の本数となる。このような場合において、ワーク表面での照射光の放射照度が十分でないときには、光照射手段を構成するハロゲンランプ等の白熱ランプに大電力を投入して、白熱ランプから放射される光の光量を大きくする必要がある。
図29は、スパイクアニール工程に対応した光照射式加熱装置の光照射手段の概略構成、並びに、この光照射手段によってワークであるウエハおよびガードリングを照射したときのウエハおよびガードリング上の照度分布を説明する図である。
図29(a)において、光照射手段は、複数の直管型のハロゲンランプ101を並列に並べて構成される。ここで、スパイクアニール工程に対応するために、各ランプの間の間隔をできるだけ小さくするには、各ランプの上部に設けられる反射鏡としては平面ミラー112を採用せざるを得ない。図28のように、反射鏡として波形ミラー102を採用すると、各ランプの間の間隔を狭くすることが困難となるためである。
図29(a)は、図28(b)のものと同様、ゾーン(ランプ群)の数を3つにした例である。
すなわち、ゾーンとしては、ワークであるウエハ中央部領域の上部に配置されるI群、ウエハの周辺部領域の上部に配置されるII群、ガードリング照射用ランプ群であるIII群が構成される。
各ゾーンの制御は、図28(b)のものと同様、以下のように行われる。ガードリング105上の放射照度がワーク106であるウエハ上の放射照度よりも大きくなるように光照射するために、III群に属する各ランプへの投入エネルギーは、I群、II群に属する各ランプへの投入エネルギーより大きくなるように設定される。また、III群からの照射光はウエハ周辺部にも照射されるので、その分を相殺するように、II群に属する各ランプへの投入エネルギーは、I群に属する各ランプへの投入エネルギーより小さく設定される。
すなわち、各群に属する各ランプへの投入エネルギーは、III群、I群、II群の順に小さくなるように設定される。
図29(a)から明らかなように、図28(b)に示す場合と異なり、ワーク106表面における照度分布が不均一となっている。これは、以下のような理由によるものと考えられる。
上記したように、スパイクアニール工程に対応するためには、光照射手段を構成する各ランプ101のランプ間隔をできるだけ狭くする必要がある。そのため、反射鏡として平面ミラー112が用いられる。しかしながら、平面ミラーは、波形ミラーとは異なり、凹面部を有していない。そのため、平面ミラーによって反射される光は、波型ミラーにより反射される光と異なり、ある程度の指向性を有しない。
また、各ランプ101から平面ミラー112により反射されワーク(ウエハ)106に到達する光の光路長は、各ランプ101から直接ウエハ106に照射される光の光路長より長くなるので、平面ミラー112による反射光のウエハ106上での広がりは、ランプ101からの直接光の広がりより大きくなる。
よって、各ゾーンから放射された光の一部が、他のゾーンから放射された光の照射領域の一部に照射される割合が大きくなる。すなわち、ゾーンの分離性が悪くなる。
上記したように、ガードリング105上の放射照度がワーク106上の放射照度よりも大きくなるように光照射するために、III群に属する各ランプ101への投入エネルギーは、I群、II群に属する各ランプ101への投入エネルギーより大きくなるように設定されている。よって、III群に属する各ランプ101から放射される光の強度はI群、II群に属する各ランプ101から放射される光の強度より大きい。そのため、特に、III群に属するランプ101から放射されワーク106の周辺部に照射される光の影響が大きくなる。
従って、図28(b)に示すようなゾーン制御を図29(a)に示す例に採用しても、図28(b)に示す場合と異なり、ウエハ(ワーク)表面における照度分布が不均一となったものと考えられる。上記したように、ウエハ表面の輻射率(emmisivity)分布が均一であるとき、ウエハ表面での照度分布が不均一であると、ウエハの温度分布も不均一となる。ウエハを1050°C以上に加熱する場合、照度不均一部分が大きいと、温度分布の不均一も顕著となり、ウエハ106にはスリップが発生する。
このような場合、個別に制御する各ゾーンの個数を増やすことにより、ウエハ表面における照度分布の均一性を良好にすることができると考えられる。しかしながら、ゾーンの個数が増加する分、各ゾーンを制御するための制御システムが複雑になり、実用上、実際的ではなくなる場合が多い。
上記不具合に対応するために、図29(b)に示すように、光照射手段を構成する各ランプ101とワーク106であるウエハとの距離を短くすることが考えられる。
すなわち、当該距離を短くすることにより、各ランプ101から平面ミラー112により反射されワーク106に到達する光の光路長、および、各ランプ101から直接ワーク106に照射される光の光路長を短くする。これにより、各ランプ101から平面ミラー112により反射されワーク106に到達する光、および、各ランプ101から直接ワーク106に照射される光は、あまり広がらずにワーク106上に到達する。その結果、各ゾーンから放射された光の一部が、他のゾーンから放射された光の照射領域の一部に照射される割合が小さくなり、ゾーンの分離性が良好になる。
図29(b)に示す構成によれば、ゾーンの分離性が図29(a)に示す構造の場合と比較して良好となる。すなわち、ゾーンの個数を増加させることなく、ワーク106表面における照度分布の均一性を良好にすることができると考えられる。
しかしながら、実際には、図29(b)から明らかなように、ウエハ表面における照度分布の均一性は良好とはならない。
すなわち、光照射手段を構成する各ランプ101とワーク106であるウエハとの距離が短くなった分、各ランプ101から平面ミラー112により反射されワーク106に到達する光、および、各ランプ101から直接ワークに照射される光はあまり広がらずにワーク106上に到達するので、各ランプ101間における非発光部分の影響が無視できなくなる。
従来は、光照射手段を構成する各ランプ101とワーク106であるウエハとの距離が長い分、各ランプ101から、直接、あるいは、平面ミラー112を介して間接的に到達する光はワーク上で広がり、ワーク上での照度分布の均一度は良くないものの、ある程度、平均化されていた。そのため、各ランプ間における非発光部分の影響も小さくなっていた。
しかしながら、図29(b)に示す構成によればゾーンの分離性は向上するものの放射照度の平均化は殆ど成されず、ウエハ106上の各ランプ101間の非発光部分に相当する部分に対応する領域において、放射照度の比較的急峻な落ち込みが生じる(以下、この放射照度の比較的急峻な落ち込みのことをリップルと称する)
よって、図29(b)に示すように、光照射手段を構成する各ランプ101とワークであるウエハ106との距離を短くしてゾーン制御を行っても、ウエハ106表面における照度分布の均一性を向上されることは困難である。
図29(b)に示す構成による不具合を克服する方策として、図30(c)に示すように、光照射手段を構成する各ランプ101とワークであるウエハ106との距離を短くして、かつ、反射鏡として、平面ミラー112ではなく、平面型の拡散ミラー122を用いることが考えられる。すなわち、各ランプ101から直接ウエハ106に照射される光に対応するゾーンの分離性を確保し、各ランプ101から拡散ミラーにより反射されウエハ106に到達する拡散光によって、リップルを小さくしようとするものである。
しかしながら、図30(c)に示す構成によれば、リップルはある程度は低減できるが、今度は拡散光による照度不均一の影響を無視できなくなる。すなわち、III群に属する各ランプ101への投入エネルギーは、I群、II群に属する各ランプへの投入エネルギーより大きくなるように設定されている。
よって、III群に属する各ランプ101から放射される光の強度は、I群、II群に属する各ランプから放射される光の強度より大きい。特に、光照射手段を構成する各ランプ101とワークであるウエハ106との距離が短いので、III群に属する各ランプ101から拡散ミラー122により反射されウエハ106に到達する拡散光の強度も大きくなる。この拡散光は、図30(c)に示すように、ウエハ周辺部にも広く照射される。よって、結局、図29(a)に示す構成の場合と同様、ウエハ表面における照度分布の均一性は良好とはならない。
本発明は上記のような事情に基づき成されたものであって、その目的は、特にスパイクアニール工程に対しても、ゾーンの数を増加させることなく、ワーク表面における照度分布の均一性を向上させることが可能な光照射式加熱装置を提供することにある。
上述したように、複数の直管型の白熱ランプ(例えば、ハロゲンランプ)を並列に並べて構成される光照射手段を有する光照射式加熱装置を用いてウエハ等のワーク(以下、ワークがウエハであるとして説明する)を加熱する場合、ウエハの周辺部の温度低下を補償するようにガードリングを機能させるようにウエハを加熱するためには、ガードリングをウエハよりも大きな放射照度で光照射する必要がある。
そのためには、光照射手段を構成する複数のランプを幾つかの制御ゾーン(ランプ群)に分けて制御することにより、照射領域における照度分布を所定の分布に設定する。
ランプから放射される光が平行光であれば、各ゾーンから放射される光によって照射されるワーク上の照射領域は明確に分離される。しかしながら、ランプから放出される光は発散光であるので、あるゾーンから放射された光の一部は、他のゾーンから放射された光の照射領域の一部に照射されることになる。
従来は、上記照射領域の重なりを考慮した上で、ゾーン数を設定していた。また、できるだけゾーンの分離性を確保するために、各ゾーンの上部には、反射光がある程度の指向性を有するように設計された波形ミラーが設けられることが多かった。
しかるに、例えば、スパイクアニール工程を行う場合、要求される昇温レートの高速化を実現するためには、ワークであるウエハへの照射光の放射照度を大きくする必要がある。そのため、複数の直管型の白熱ランプを並列に並べて構成される光照射手段を有する光照射式加熱処理装置の場合、各ランプ間の間隔を小さくする必要がある。また、場合によっては、各白熱ランプに大電力を投入して、白熱ランプから放射される光の光量を大きくする必要がある。
このような構成の光照射式加熱処理装置の場合、各ランプの間隔がある程度広くなってしまう波形ミラーの採用は難しく、各ランプの上部に設けられる反射鏡としては平面ミラーを採用せざるを得ない。
このような条件下でゾーン制御を行う場合、ゾーンの個数を増やさざるを得ない。しかしながら、ゾーンの個数が増加する分、各ゾーンを制御するための制御システムが複雑になり、実用上、実際的ではなくなる場合が多い。
よって、ゾーンの個数をあまり増加させずに良好な光照射式加熱を行うためには、できるだけゾーンの分離性を向上させる必要がある。そのためには、上記したように、光照射手段とワークとの距離を短くせざるを得ないが、この場合は、並列にならべられた各ランプ光の非発光部分に起因するリップルの問題を回避できない。また、リップルの問題を回避するために反射鏡として拡散ミラーを使用すると、前述したように、本来の目的であるゾーンの分離性の向上を行うことが困難になる。
以上のように、スパイクアニールと呼ばれる急峻加熱・急峻冷却工程を実現するためには、ランプの間隔を狭くし、かつ、光照射手段とワークとの距離を短くすることが必要となってきているが、このような状況において、ゾーンの数を増加させることなく、ワーク表面における照度分布の均一性を確保することが要求されるようになってきている。本発明においては、このような要求を次のように解決する。
(1)構成例1
本発明の光照射式加熱処理装置は、例えば、スパイクアニール工程を行うために、光照射手段を構成する各ランプ間の間隔を小さくする場合においても、ウエハ等のワーク上での照度分布の均一性を、次のように確保するものである。
具体的には、光照射手段とワークであるウエハとの距離を短くしてゾーンの分離性を向上させるとともに、従来回避できなかった各ランプ光の非発光部分に起因するリップルの問題をも解決する。
以下、図1を用いて、本発明の構成例1を説明する。
図1は、本発明の光照射式加熱装置における光照射手段の概略構成、並びに、この光照射手段によってワーク6であるウエハ600およびガードリング5を照射したときのウエハ600およびガードリング5上の照度分布を説明する図である。
本発明の光照射式加熱装置における光照射手段は、従来と同様、複数の直管型のハロゲンランプ1を並列に並べて構成される。また、各ランプ1の間の間隔をできるだけ小さくしてスパイクアニール工程に対応するために、各ランプの上部に設ける反射鏡として例えば平面ミラー2を採用している。
ここで、図1に示す光照射手段は、図28(b)や図29に示すものと同様、ゾーン(ランプ群)の数を3つにした例である。
すなわち、ゾーンとしては、ウエハ中央部領域の上部に配置されるI群、ウエハの周辺部領域の上部に配置されるII群、ガードリング照射用ランプ群であるIII群から構成される。
各ゾーンの制御は、図28(b)や図29に示すものと同様、以下のように行われる。 ガードリング5をワーク6であるウエハ600よりも大きな放射照度で光照射するために、III群に属する各ランプ1への投入エネルギーは、I群、II群に属する各ランプ1への投入エネルギーより大きくなるように設定される。また、III群からの照射光はウエハ周辺部にも照射されるので、その分を相殺するように、II群に属する各ランプ1への投入エネルギーは、I群に属する各ランプ1への投入エネルギーより小さく設定される。
すなわち、各群に属する各ランプ1への投入エネルギーは、III群、I群、II群の順に小さくなるように設定される。
また、本発明の光照射式加熱装置においては、光照射手段を構成する各ランプ1とワーク6との距離ができるだけ短くなるように設定される。
本発明の光照射式加熱装置が従来のものと相違する点は、各ランプ1の上部に設ける反射鏡2(例えば平面ミラー)の一部に反射光を拡散する拡散ミラー部21を設けたことである。具体的には、反射鏡2において、ワーク6であるウエハ600の中央部領域の上部に配置されるI群に属するランプ1からの光、並びにウエハ600の周辺部領域の上部に配置されるII群に属するランプ1からの光が入射し、かつ、ガードリング5照射用ランプ群であるIII群に属するランプ1からの光が殆ど入射しない領域に拡散部材である拡散ミラー部21を設ける。
この拡散ミラー部21は、ワーク6(ウエハ600)に対応する上方領域に配置され、拡散ミラー部21が形成された領域の大きさは、ワーク6の外周で囲まれる領域の大きさと同等か、ウエハの外周より少し広めの外周周辺を含む大きさである。
上記したように、光照射手段を構成する各ランプ1とワーク6との距離ができるだけ短くなるように設定されているので、各ランプ1から反射鏡2により反射されワーク6に到達する光の光路長、および、各ランプ1から直接ワーク6に照射される光の光路長を短くする。
これにより、各ランプ1から反射鏡2により反射されワーク6に到達する光、および、各ランプ1から直接ワーク6に照射される光は、あまり広がらずにワーク6上に到達する。
その結果、各ゾーンから放射された光の一部が、他のゾーンから放射された光の照射領域の一部に照射される割合が小さくなり、ゾーンの分離性が良好になる。
ここで、図29(b)に示す構成のように反射面が鏡面の平面ミラー112である場合は、上記したように、ワーク6であるウエハ600上の各ランプ1間の非発光部分に相当する部分に対応する領域に起因して、ウエハ600上の照射領域においてリップルが生じる。
それに対して、本発明の光照射式加熱装置によれば、反射鏡である平面ミラー2において、I群、II群に属するランプ1からの光が入射し、III群に属するランプ1からの光が殆ど入射しない領域に拡散ミラー部21を設けている。
すなわち、この拡散ミラー部21は、拡散光がワーク6(ウエハ600)の全面に入射するように、ワーク6に対応する上方領域に配置され、拡散ミラー部21が形成される領域の大きさは、ワーク6の外周で囲まれる領域の大きさと同等か、ウエハの外周より少し広めの外周周辺を含む大きさと同等である。
そのため、I群、II群に属するランプ1から放射され反射鏡2で反射された光は拡散光としてワーク6に照射される。
ここで、I群、II群に属する各ランプ1とワーク6との距離ができるだけ短くなるように設定されているので、光照射領域(すなわち、ワーク6の表面およびガードリング5の表面)における拡散光の照射領域もあまり広がらない。
すなわち、上記拡散光は、主としてワーク6であるウエハ600表面に照射される。この拡散光により、従来のリップル部分が相殺され、結果としてウエハ600表面での照度分布の均一性が向上する。
一方、III群に属するランプ1から放出される光は、反射鏡2の拡散ミラー部21には殆ど入射せず、反射鏡2の鏡面部(図1の平面ミラー2において、白抜きで示した部分)に大部分は入射する。そのため、III群に属するランプ1から放出される光のうち、反射鏡2により反射される光の殆んどは拡散光とはならない。
III群に属する各ランプ1とワーク6との距離は、出来るだけ短くなるように設定されているので、III群に属する各ランプから、直接、あるいは、反射鏡2を介して間接的にワーク6に到達する光はワーク6上ではあまり広がらない。すなわち、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。
以上、まとめると、本発明の光照射式加熱装置は、スパイクアニール工程にも対応可能なように、各ランプ1の間の間隔をできるだけ小さくし、反射鏡としては例えば平面ミラー2を使用する。その際、各ランプ1から反射鏡により反射されワーク6(ウエハ600)に到達する光の光路長、および、各ランプ1から直接ワーク6に照射される光の光路長が短くなるように、光照射手段とワーク6との距離を短く設定し、ゾーンの分離性を向上させている。
例えば、ゾーン(ランプ群)をウエハ中央部領域の上部に位置するI群、ウエハの周辺部領域の上部に位置するII群、ガードリング照射用ランプ群であるIII群としたとき、反射鏡2の反射面おいて、I群に属するランプ1からの光、並びにII群に属するランプ1からの光が入射し、かつ、III群に属するランプ1からの光が殆ど入射しない領域に拡散ミラー部21を設ける。
上記構成により、I群、II群に属するランプ1から放射され反射鏡2で反射された光は拡散光としてワーク6(ウエハ600)に照射される。この拡散光により、従来のリップル部分が相殺され、結果としてウエハ表面での照度分布の均一性が向上する。
また、III群に属する各ランプ1から放射され反射鏡2により反射される光は、上記拡散ミラー部21での反射は殆どない。よって、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。ここで、III群に属する各ランプ1から放射され、直接、あるいは、反射鏡2を介してガードリング5に到達する光によるガードリング5上の照度分布においては、リップル部分が存在する。しかしながら、ガードリング自体は光照射式加熱装置の一部であり、ワーク(ウエハ)のように表面における照度分布の均一性は必要としないので、リップルが存在しても不都合が生じない。
すなわち、本発明の光照射式加熱装置によれば、各ランプ1から放射され、直接、あるいは、反射鏡(例えば平面ミラー2)を介してワークを照射する光の光路長を短くできるので、ゾーンの分離性が良好であり、しかも、当該光路長を短くすることにより従来ワーク上で生じていたリップル部分の抑制も同時に行うことが可能となる。
そのため、本発明の光照射式加熱装置は、上記したようなスパイクアニール工程にも十分対応することが可能となる。
(2)構成例2
本発明の光照射式加熱装置における光照射手段の構成は、上記した構成例1に限るものではなく、以下に説明するように、透過窓部材に拡散部を設けた構成とすることもできる。
図2に、本発明の光照射式加熱装置における光照射手段の別の構成例である構成例2を示す。
図2に示す光照射手段は、構成例1と同様、複数の直管型の白熱ランプ1を並列に並べて構成され、各ランプ1の上部に設ける反射鏡2は、例えば平面ミラーであり、ゾーン(ランプ群)の数を3つにした例である。すなわち、ゾーンとしては、ワークであるウエハの中央部領域の上部に配置されるI群、ウエハの周辺部領域の上部に配置されるII群、ガードリング照射用ランプ群であるIII群から構成される。
また、各ゾーンの制御は、前述した構成例1と同様であり、各ランプへの投入エネルギーが、III群、I群、II群の順に小さくなるように設定される。
また、本発明の光照射式加熱装置においては、光照射手段を構成する各ランプ1とワーク6との距離ができるだけ短くなるように設定される。
図1に示す構成例1においては、ワーク6上における照度分布のリップル部分の発生を抑制するために、反射鏡2である平面ミラーにおいて、I群、II群に属するランプ1からの光が入射し、III群に属するランプ1からの光が殆ど入射しない領域に拡散ミラー部21を設けている。
一方、図2に示す構成例2は、反射鏡2としては従来の平面ミラーをそのまま使用し、透過窓部材4に拡散部41を設けるものである。
すなわち、透過窓部材4において、ウエハ中央部領域の上部に配置されるI群に属するランプ、ウエハの周辺部領域の上部に配置されるII群に属するランプからの光が入射し、かつ、ガードリング照射用ランプ群であるIII群に属するランプからの光が殆ど入射しない領域に拡散部材である拡散部41を設ける。
この拡散部41は、拡散光がワーク6(ウエハ600)の全面に入射するように、ワーク6に対応する上方領域に配置され、なおかつ、ワーク6とランプ1との間に配置された透過窓部材4の拡散部41の領域の大きさは、ワーク6の外周で囲まれる領域の大きさと同等か、ウエハの外周より少し広めの外周周辺を含む大きさと同等である。
ここで構成例1と同様、構成例2においても、各ランプ1から反射鏡2により反射されワーク6に到達する光の光路長、および、各ランプ1から直接ワーク6に照射される光の光路長が短くなるように、光照射手段とワークとの距離を短く設定し、ゾーンの分離性を向上させている。
上記構成により、I群、II群に属するランプ1から放射され、直接、あるいは、反射鏡である平面ミラー2によって反射された後に、透過窓部材4の拡散部41を通過する光は、拡散光となりワーク6に照射される。この拡散光は強度が平均化されているので、ワーク6であるウエハ600表面での照度分布にリップル部分が発生することがなく、ウエハ600表面での照度分布の均一性が向上する。
一方、また、III群に属する各ランプ1から放射され、あるいは、反射鏡2で反射された後に透過窓部材4を通過する光は、拡散部41を殆ど通過しないので、拡散光とならない。よって、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。
ここで、III群に属する各ランプ1から放射され、直接、あるいは、反射鏡を介してガードリング5に到達する光によるガードリング5上の照度分布においては、リップル部分が存在する。しかしながら、ガードリング5自体は表面における照度分布の均一性は必要としないので、リップルが存在しても不都合が生じない。
従って、光照射式加熱装置を構成例2のように構成しても、構成例1に示すものと同様、各ランプ1から放射され、直接、あるいは、反射鏡2を介してワーク6を照射する光の光路長を短くできるので、ゾーンの分離性が良好であり、しかも、当該光路長を短くすることにより従来ワーク上で生じていたリップル部分の抑制も同時に行うことが可能となる。
そのため、本発明の光照射式加熱装置は、上記したようなスパイクアニール工程にも十分対応することが可能となる。
なお、構成例1に示す光照射式加熱装置の光照射手段は、I群、II群に属するランプ1から放射され反射鏡2によって反射される反射光のみが拡散光となっていた。
一方、構成例2に示す光照射式加熱装置の光照射手段によれば、I群、II群に属するランプ1から放射され、反射鏡2を介さず直接ワーク6に照射される光も拡散光となる。よって、より効率よく上記リップル部分の発生を抑制することができる。
(3)構成例3
図3は、本発明の光照射手段の他の構成例を示すものであり、同図は、光照射手段の概略構成、並びに、この光照射手段によってワークであるウエハおよびガードリングを照射したときのウエハおよびガードリング上の照度分布を説明する図である。
図3に示す光照射手段は、構成例1と同様、複数の直管型の白熱ランプ1を並列に並べて構成され、各ランプ1の上部に設ける反射鏡2は、例えば平面ミラーであり、ゾーン(ランプ群)の数を3つにした例である。すなわち、ゾーンとしては、ウエハ中央部領域の上部に配置されるI群、ウエハの周辺部領域の上部に配置されるII群、ガードリング照射用ランプ群であるIII群から構成される。
また、各ゾーンの制御は、前述した構成例1と同様であり、各ランプ1への投入エネルギーが、III群、I群、II群の順に小さくなるように設定される。また、光照射手段を構成する各ランプ1とワーク6との距離ができるだけ短くなるように設定される。
本構成例は、複数本の直管型の白熱ランプ1を並列に並べて構成される光照射手段において、発光管の少なくとも一部に拡散部材である拡散部11(図中太線で表示)を設けた白熱ランプを、上記複数本のランプ1の一部に使用したことである。具体的には、光照射手段において、ウエハ中央部領域の上部に配置されるI群に属するランプ1、並びにウエハの周辺部領域の上部に配置されるII群に属するランプ1を、発光管の少なくとも一部に拡散部11を設けた白熱ランプとする。一方、ガードリング照射用ランプ群であるIII群に属するランプ1の発光管には、拡散部11を設けない。
上記したように、光照射手段を構成する各ランプ1とワーク6であるウエハ600との距離ができるだけ短くなるように設定されているので、各ランプ1から反射鏡2により反射されワーク6に到達する光の光路長、および、各ランプ1から直接ワーク6に照射される光の光路長を短くする。
これにより、各ランプ1から反射鏡2により反射されワーク6に到達する光、および、各ランプ1から直接ワーク6に照射される光は、あまり広がらずにワーク6上に到達する。その結果、各ゾーンから放射された光の一部が、他のゾーンから放射された光の照射領域の一部に照射される割合が小さくなり、ゾーンの分離性が良好になる。
ここで、発光管に拡散部11を設けたランプ1を使用しない場合は、上記したように、ウエハ上の各ランプ間の非発光部分に相当する部分に対応する領域に起因して、ワーク6であるウエハ600上の照射領域においてリップルが生じる。
それに対して、本構成例の光照射式加熱装置によれば、I群、II群に属するランプ1の発光管の少なくとも一部に拡散部材である拡散部11を設けている。
すなわち、この拡散部11が設けられている領域は、ワーク6(ウエハ600)に対応する上方領域であって、ウエハ600の外周で囲まれる領域の大きさと同等か、ウエハ600の外周よりさらに外側の周辺を含む領域の大きさと同等である。
そのため、I群、II群に属するランプ1から放射され反射鏡2で反射された光は拡散光としてワークに照射される。ここで、I群、II群に属する各ランプ1とワーク6との距離ができるだけ短くなるように設定されているので、光照射領域(すなわち、ワーク6表面およびガードリング5表面)における拡散光の照射領域もあまり広がらない。
すなわち、上記拡散光は、主としてワークであるウエハの表面に照射される。この拡散光により、従来のリップル部分が相殺され、結果としてウエハ表面での照度分布の均一性が向上する。
一方、III群に属するランプ1から放出される光は、発光管に拡散部11を設けないので拡散光とはならない。III群に属する各ランプ1とワーク6(ウエハ600)との距離は、出来るだけ短くなるように設定されているので、III群に属する各ランプ1から、直接、あるいは、反射鏡を介して間接的にワーク6に到達する光はワーク6上ではあまり広がらない。すなわち、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。
以上、まとめると、本構成例の光照射式加熱装置は、スパイクアニール工程にも対応可能なように、各ランプの間の間隔をできるだけ小さくし、反射鏡としては例えば平面ミラーを使用する。その際、各ランプから平面ミラーにより反射されワークであるウエハに到達する光の光路長、および、各ランプから直接ウエハに照射される光の光路長が短くなるように、光照射手段とワークとの距離を短く設定し、ゾーンの分離性を向上させている。
そして、ゾーン(ランプ群)をウエハ中央部領域の上部に位置するI群、ウエハの周辺部領域の上部に位置するII群、ガードリング照射用ランプ群であるIII群としたとき、I群並びにII群に属するランプ1を、発光管の少なくとも一部に拡散部を設けた白熱ランプとする。III群に属するランプの発光管には、拡散部を設けない。
上記構成により、I群、II群に属するランプ1から放射され、直接ワーク6(ウエハ600)に照射される光、または、反射鏡2で反射された光は、拡散光としてワーク6に照射される。この拡散光により、従来のリップル部分が相殺され、結果としてワーク6表面での照度分布の均一性が向上する。
また、III群に属する各ランプ1から放射され、直接ワーク6に照射される光、または、反射鏡2で反射された光は、拡散されることなく、ガードリング5およびその近傍に照射される。よって、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。
ここで、III群に属する各ランプ1から放射され、直接、あるいは、反射鏡2を介してガードリング5に到達する光によるガードリング5上の照度分布においては、リップル部分が存在する。しかしながら、ガードリング5自体は表面における照度分布の均一性は必要としないので、リップルが存在しても不都合が生じない。
すなわち、本構成例の光照射式加熱装置によれば、各ランプから放射され、直接、あるいは、反射鏡を介してワークを照射する光の光路長を短くできるので、ゾーンの分離性が良好であり、しかも、当該光路長を短くすることにより従来ワーク上で生じていたリップル部分の抑制も同時に行うことが可能となる。そのため、本発明の光照射式加熱装置は、上記したようなスパイクアニール工程にも十分対応することが可能となる。
なお、上記ランプとして、管軸方向の光強度を個別に制御できないものを用いる場合には、ワークであるウエハ全面(すなわち、2次元方向)に対して均一にゾーン制御を適用するため、光照射中、ウエハを回転させることが望ましいが、発光管内の発光部を管軸方向に複数に分割し、各分割された発光部への給電を個別に制御できるランプを用いる場合には、必ずしもウエハを回転させる必要はない。
以上のように本発明においては、以下のように前記課題を解決する。
(1)被加熱物と、その外周に配置されたガードリングと、これら被加熱物とガードリングの上方に配置された複数のランプと、当該ランプの上方に配置された反射鏡とを備えた光照射式加熱装置において、拡散光が前記被加熱物の全面に入射するように、該被加熱物に対応する上方領域に拡散部材を位置させる。
なお、急峻加熱・急峻冷却工程(スパイクアニール工程)を実現するため、上記複数のランプと反射鏡と被加熱物は、ランプ間の非発光部分による放射照度の落ち込みにより被加熱物上に光強度の不均一部分が生ずる程度に接近して配置される。すなわち、被加熱物上に光照度のリップルが発生する程度に、ランプと反射鏡と被加熱物を接近して配置する。
また、前記したように通常、ガードリングの熱容量は高温に加熱した時、被加熱物に比べて大きく、ガードリングには被加熱物よりも大きな放射照度で光照射する必要がある。
このような場合には、上記複数のランプを、被加熱物の上方に配置された被加熱物照射用のランプと、ガードリングの上方に配置されたガードリング照射用のランプとに分け、該被加熱物照射用のランプの光強度と、ガードリング照射用のランプの光強度を異ならせる(ゾーン制御を行う)のが望ましい。これにより、被加熱物とガードリングとの上記熱容量差の影響を解消することができる。
(2)上記(1)において、拡散部材の占める領域の大きさを、被加熱物の外周により囲まれる領域の大きさと同等とするか、あるいは、該領域にさらに被加熱物の外周周辺を加えた領域の大きさと同等とする。
(3)上記(1)(2)において、ランプとして、発光管内に管軸方向に複数分割された発光部を有し、各分割された発光部がそれぞれ給電される白熱ランプを用い、このランプを複数平行に配置する。
(4)上記(1)(2)(3)において、前記反射鏡に拡散部を形成し、拡散部材とする。
(5)上記(1)(2)(3)において、前記被加熱物と前記ランプとの間に配置された光透過性窓部材に拡散部を形成し、拡散部材とする。
(6)上記(1)(2)(3)において、前記ランプの発光管に拡散部を形成し、拡散部材とする。
(7)光照射式加熱装置のカードリング内に配置された被加熱物を複数のランプよって加熱する光照射式加熱方法において、前記被加熱物に、該被加熱物に対応する上方領域に配置した拡散部材からの拡散光を照射し、前記ガードリングに、非拡散光を支配的に照射する。すなわち、ガードリングに照射される光の内、50パーセント以上の光を非拡散光とする。
(8)上記(7)において、ランプの上方に配置された反射鏡に形成された拡散部を拡散部材とする。
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)被加熱物に対応する上方領域に拡散部材を設けたので、各ランプから直接、あるいは反射鏡を介して被処理物に照射される光の光路長を短くし、ゾーンの分離性を良好とした場合に生ずる被加熱物上の照度分布におけるリップル部分を、上記拡散部材による拡散光により相殺することができる。
また、上記拡散部材は被加熱物に対応する上方領域に設けられ、ガードリングに対応する上方領域には設けられていないので、ガードリングの上方に配置された各ランプから放射され、直接、あるいは、反射鏡を介してガードリングに到達する光は拡散光にならない。このため、各ランプから被処理物までの光路長を短くして、ゾーンの分離性を良好とした場合、上記ガードリング上方に配置されたランプから放射される光は、被処理物にはほとんど照射されない。
したがって、ガードリング上方に配置されたランプと、被処理物の上方に配置されたランプの光強度を異ならせても、被処理物上の照度分布に影響を与えることがなく、被加熱物表面での照度分布の均一性は確保される。
このため、本発明の光照射式加熱装置によれば、スパイクアニール工程にも十分対応可能となる。
なお、ランプから放射され、直接、あるいは、反射鏡を介してガードリングに到達する光によるガードリング上の照度分布においては、リップル部分が存在するが、ガードリング自体は表面における照度分布の均一性は必要としないので、リップルが存在しても不都合が生じない。
(2)ランプとして、発光管内に管軸方向に複数分割された発光部を有し、各分割された発光部がそれぞれ給電される白熱ランプを用いることにより、白熱ランプの発光部への供給電力を個別に制御することができる。
このため、ランプの管軸方向におけるゾーン制御も可能となり、光照射中、被処理物を必ずしも回転させる必要はなくなる。このため、回転機構などが不要となり構成を簡単化することができる。
(3)反射鏡に拡散部を形成することにより、拡散部を有する光透過性窓部材を設けたり、拡散部を設けた特殊なランプを使用する必要がない。
一方、光透過性窓部材に拡散部を形成したり、ランプの発光管に拡散部を形成することにより、反射鏡を介して被処理物を照射される光だけでなく、各ランプから直接放射される光も拡散光とすることができる。このため、反射鏡に拡散部を形成した場合に比べ、被加熱物上の照度分布におけるリップル部分をより効果的に相殺することができる。
以下、本発明の光照射式加熱装置の具体的な構成例について説明する。
(1)実施例1
図4は、本発明の実施例1の光照射式加熱装置(以下、加熱装置ともいう)100の構成を説明するための図である。
図4に示すように、加熱装置100は、チャンバ300を有する。チャンバ300の内部は、光透過性窓部材である石英窓部4により、ランプユニット収容空間S1と加熱処理空間S2とに分割される。
ランプユニット収容空間S1に収容される第1のランプユニット10、第2のランプユニット20から放出される光を、石英窓部4を介して加熱処理空間S2に設置されるワーク6(例えば、半導体ウエハ600、以下ウエハ600ともいう)に照射することにより、ワークの加熱処理が施される。
ランプユニット収容空間S1に収容される第1のランプユニット10、第2のランプユニット20は、例えば、10本の直管状の白熱ランプ1(以下、ランプ1ともいう)を所定の間隔で並列に配置して構成される。ランプ1は、例えば、発光管の内部に1本のフィラメント14を有するハロゲンランプである。両ランプユニット10、20は互いに対向するように配置されている。なお、ランプユニット10を構成するランプ1の軸方向は、ランプユニット20を構成するランプ1の軸方向と互いに交差するように設定されている。
第1のランプユニット10の上方には、反射鏡2が配置される。図5に示す加熱装置において、ランプユニット収容空間S1に収容される第1のランプユニット10、第2のランプユニット20、並びに、反射鏡2により光照射手段が構成される。
なお、本加熱装置は、スパイクアニール工程に対応できるように、上記第1のランプユニット10、第2のランプユニット20とワーク6(例えば、ウエハ600)との距離ができるだけ短くなるように設定されている。
ランプユニット収容空間S1には、冷却風ユニット8からの冷却風がチャンバ300に設けられた冷却風供給ノズル81の吹出し口82から導入される。ランプユニット収容空間S1に導入された冷却風は、第1のランプユニット10及び第2のランプユニット20における各ランプ1に吹きつけられ、各ランプ1を構成する発光管を冷却する。ここで、各ランプ1の封止部12a、12bは他の箇所に比して耐熱性が低い。そのため、冷却風供給ノズル81の吹出し口82は、各ランプ1の封止部12a、12bに対向して配置し、各ランプ1の封止部12a、12bを優先的に冷却するように構成することが望ましい。各ランプ1に吹きつけられ、熱交換により高温になった冷却風は、チャンバ300に設けられた冷却風排出口83から排出される。なお、冷却風の流れは、熱交換されて高温になった冷却風が逆に各ランプ1を加熱しないように考慮されている。
上記冷却風は、反射鏡2も同時に冷却するように風の流れが設定される。なお、反射鏡2が図示を省略した水冷機構により水冷されているような場合は、必ずしも反射鏡2も同時に冷却するように風の流れを設定しなくともよい。
チャンバ300には、図示しない電源部7からのリードが接続される一対の電源供給ポート71、72が設けられる。図4の例では、電源供給ポート71は第1のランプ固定台500の取付台51に固定された端子台52と電気的に接続されている。また、電源供給ポート72は第1のランプ固定台501の取付台51に固定された端子台52と電気的に接続されている。
一方、第1のランプ固定台500の端子台52は、例えば、第1のランプユニット10における1つのランプ1の外部リード18aと電気的に接続されている。第1のランプ固定台501の端子台52は、例えば、外部リード18bと電気的に接続されている。このような構成により、電源部7から、第1のランプユニット10におけるランプ1のフィラメント14への給電が可能となる。
また、第2ランプユニット20の各ランプ1は、図示しない一対の第2の固定台により支持される。
一方、加熱処理空間S2には、ワーク6が固定される処理台が設けられる。例えば、ワーク6がウエハ600である場合、処理台は、モリブデンやタングステン、タンタルのような高融点金属材料や炭化ケイ素(SiC)などのセラミック材料、または石英、ケイ素(Si)からなる薄板の環状体であり、その円形開口部の内周部にウエハ600を支持する段差部が形成されている構造のガードリング5であることが好ましい。
ウエハ600は、上記した円環状のガードリング5の円形開口部に填め込むように配置され、上記段差部で支持される。ガードリング5は、自らも光照射によって高温となり対面するウエハの600外周縁を補助的に放射加熱し、ウエハ600の外周縁からの熱放射を補償する。これにより、ウエハ600の外周縁からの熱放射などに起因するウエハ周縁部600の温度低下が抑制される。
図4における光照射手段は、先に示した構成例1に基づくものである。すなわち、反射鏡2の一部に反射光を拡散する拡散ミラー部21を設ける。第1のランプユニット10、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1をウエハ600の上部に位置するウエハ照射用ランプ群、ガードリング照射用ランプ群(III群)に分割する場合を考える。例として、ウエハ照射用ランプ群は、更に、ウエハ中央部領域の上部に位置するI群、ウエハの周辺部領域の上部に位置するII群に分割する。すなわち、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1をI群、II群、III群の3つのゾーンに分割するものとする。
図5、図6は、拡散ミラー部21を設ける位置関係を示す図である。図5(a)は、第1のランプユニット10を構成する各ランプ1の断面方向から見た図、図5(b)は、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1の断面方向から見た図である。また、図6は、反射鏡2の上部から見た図である。
図5に示すように、拡散ミラー部21は、反射鏡2の反射面おいて、I群に属するランプ1からの光、並びにII群に属するランプ1からの光が入射し、かつ、III群に属するランプ1からの光が殆ど入射しない領域に設けられる。ワークであるウエハ600の形状、並びに、ガードリング5の形状が円形であるので、図6に示すように、拡散ミラー部21の形状も円形となる。
上記構成により、I群、II群に属するランプから放射され反射鏡2で反射された光は拡散光としてウエハ600に照射される。反射鏡2が従来のように、平面状の鏡面ミラーである場合、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20とウエハ600との距離ができるだけ短くなるように設定されているので、各ランプユニット10、20を構成する各ランプ間の非発光部分により、ウエハ600上の放射照度分布にリップル部分が発生する。
しかしながら、本実施例の加熱装置によれば、上記拡散光により、リップル部分が相殺され、結果としてウエハ表面での照度分布の均一性が向上する。
なお、III群に属する各ランプ1から放射され反射鏡2により反射される光は、拡散ミラー部21での反射は殆どない。よって、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。ここで、III群に属する各ランプ1から放射され、直接、あるいは、反射鏡2を介してガードリング5に到達する光によるガードリング5上の照度分布においては、リップル部分が存在する。
しかしながら、ガードリング5自体は表面における照度分布の均一性は必要としないので、リップルが存在しても不都合が生じない。
反射鏡2は、例えば、無酸素銅やアルミニウムからなる板状の母材に金をコートした構造である。拡散ミラー部21は、上記母材にショットブラスト加工を施し、このショットブラスト加工面に金がコートされた領域である。
なお、拡散ミラー部21を形成する方法としては、その他、例えば反射鏡2の表面を化学処理して拡散ミラー部21を形成することも考えられる。
ここで、ゾーン制御に関する説明は、先に述べたので省略する。上記したように、ゾーン制御は、直管型ランプの管軸方向と直交する一次元方向に適用される。例えば、第1のランプユニット10によるゾーン制御は、図5(a)に示すように、第1のランプユニット10を構成する各ランプ1の管軸と垂直な断面方向に適用される。同方向において、第2のランプユニット20によるゾーン制御は、第2のランプユニット20を構成する各ランプの管軸方向が、上記方向と垂直とはならないので、実質上、実施できない。
同様に、第2のランプユニット20によるゾーン制御は、図5(b)に示すように、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1の管軸と垂直な断面方向に適用される。同方向において、第1のランプユニット10によるゾーン制御は、第1のランプユニット10を構成する各ランプの管軸方向が、上記方向と垂直とはならないので、実質上、実施できない。
よって、各ランプユニットにより、ワーク全面(すなわち、2次元方向)に対してゾーン制御を適用するために、光照射中、ワーク6(例えば、ウエハ600)を回転させることが多い。ワーク6の回転は、例えば、ワーク6を保持するガードリング5自体を回転させることにより実現される。図4においては、ガードリング5の下端部にベアリング55が取り付けられており、ガードリング5は図示略の回転機構によって回転駆動される。なお、回転はワーク6の略中心を回転軸にして行われる。
ガードリング5に設置されるウエハ600の光照射面の裏面側には、温度測定部91がワーク6に接触或いは近接して設けられる。温度測定部91は、ウエハ600の温度分布をモニタするためのものであり、ウエハ600の寸法に応じて個数、配置が設定される。温度測定部91は、例えば、熱電対や光ファイバ式放射温度計が使用される。温度測定部91によりモニタされた温度情報は、温度計9に送出される。温度計9は、各温度測定部91により送出された温度情報に基づき、各温度測定部91の測定地点における温度を算出する。
なお、図示は省略したが、加熱処理の種類に応じて、加熱処理空間S2には、プロセスガスを導入・排気するプロセスガスユニットを接続してもよい。例えば、熱酸化プロセスを行う場合は、加熱処理空間S2に酸素ガス、および、加熱処理空間S2をパージするためのパージガス(例えば、窒素ガス)を導入・排気するプロセスガスユニットを接続する。
(2)実施例1の変形例
図7は、実施例1における加熱装置の変形例の構成を説明するための図である。図4と同じ符号が付与されている構成要素は、実施例1のものと同一であるので説明を省略する。本変形例においても、実施例1と同様、スパイクアニール工程に対応できるように、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20とワーク6(例えば、ウエハ600)との距離ができるだけ短くなるように設定されている。また、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1を、例えば実施例1と同様、3つのゾーンに分割するものとする。なお、反射鏡2は、従来同様、平面状の鏡面ミラーである。
図7に示す本変形例における加熱装置の構成例と、図4に示す加熱装置の構成例との相違点は、図4における光照射手段が先に示した構成例1に基づくものであるのに対し、図7における光照射手段は、先に示した構成例2に基づくものである。
すなわち、本変形例においては、石英窓部4の一部に、ワークであるウエハの中央部領域の上部に配置されるI群、ウエハの周辺部領域の上部に配置されるII群に属するランプからの光が入射し、かつ、ガードリング照射用ランプ群であるIII群に属するランプからの光が殆ど入射しない領域に拡散部41を設ける。なお、ワークであるウエハ600の形状、並びに、ガードリング5の形状が円形であるので、拡散部41の形状も円形となる。
石英窓部4の一部に拡散部41を形成する方法としては、例えば、窓部材をフロスト加工によりスリガラス状、または、つや消し状にしたり、窓部材のランプ側の表面を化学処理することが考えられる。あるいは、窓部材を構成しているガラスに気泡を混入させたり、ガラスを結晶化(失透)させてもよい。
上記構成により、I群、II群に属するランプ1から放射され、直接、あるいは、反射鏡2である平面ミラーによって反射された後に石英窓部4の拡散部41を通過する光は、拡散光となりウエハ600に照射される。この拡散光は強度が平均化されているので、ウエハ600表面での照度分布にリップル部分が発生することがなく、ウエハ600表面での照度分布の均一性が向上する。
一方、また、III群に属する各ランプ1から放射され、直接、あるいは、反射鏡2によって反射された後に石英窓部4の拡散部41を通過する光は、拡散部41を殆ど通過しないので、拡散光とならない。よって、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。
ここで、III群に属する各ランプ1から放射され、直接、あるいは、反射鏡2を介してガードリング5に到達する光によるガードリング5上の照度分布においては、リップル部分が存在する。しかしながら、ガードリング5自体は表面における照度分布の均一性は必要としないので、リップルが存在しても不都合が生じない。
従って、光照射式加熱装置を実施例1の変形例のように構成しても、実施例1に示すものと同様、各ランプ1から放射され、直接、あるいは、反射鏡2を介してワーク6を照射する光の光路長を短く設定しているので、ゾーンの分離性が良好であり、しかも、当該光路長を短くすることにより従来ワーク6上で生じていたリップル部分の抑制も同時に行うことが可能となる。
そのため、本変形例の光照射式加熱装置は、上記したようなスパイクアニール工程にも十分対応することが可能となる。
なお、実施例1に示す光照射式加熱装置の光照射手段は、I群、II群に属するランプ1から放射され反射鏡2である平面ミラーによって反射される反射光のみが拡散光となっていた。一方、本変形例に示す光照射式加熱装置の光照射手段によれば、I群、II群に属するランプ1から放射され、反射鏡2を介さず直接ウエハ600に照射される光も拡散光となる。よって、より効率よく上記リップル部分の発生を抑制することができる。
(3)実施例1の光照射式加熱装置による加熱処理例。
次に、本実施例の光照射式加熱装置を用いた加熱処理の例を示す。
図8に本発明の光照射式加熱装置を用いた加熱処理の例を説明するための光照射式加熱装置を含む制御ブロック図を示す。
なお、加熱装置100は図4、図7に示すものが適用されるが、図8は、図4に示す加熱装置100を適用した例である。ここで、加熱装置100は、図4に詳細に示されているのでここでは簡略化して示す。
なお、図8では、図4では省略した部分も一部記載されている。また、図9は、加熱処理プロセスにおけるランプユニットへの供給電力の動作条件を示すものである。さらに、図10、図11は本発明の光照射式加熱装置を用いた加熱処理例のフローチャートである。
以下、ワーク6が半導体ウエハ600であり、イオンインプランテーションによってウエハ600に打ち込まれた不純物イオンを活性化するための高温加熱処理をスパイクアニールプロセスにより実施する例について、図8、図9並びに図10、図11を用いて説明する。
なお、加熱装置100のランプユニット10,20は、上記したようなゾーン制御に基づき照射条件が設定されているものとする。
主制御部MCは、冷却風ユニット8を制御してチャンバ300内のランプユニット10及びランプユニット20における各ランプ1に冷却風を吹きつける(図10のステップS101)。
また、主制御部MCは、図示を省略したプロセスガスユニットを制御して、パージガス(例えば、窒素ガス)によるチャンバ300の加熱処理空間S2のパージ動作を開始する(図10のステップS102)。このとき、加熱処理空間S2のパージガス圧力やパージガス流量は、プロセスガスユニットにより所定の値に制御されている。
次に主制御部MCは、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1の各フィラメント14に接続されている電源部7を制御して、ランプユニット10、20の各ランプ1のフィラメント14に電力を供給する(図10のステップS103)。なお、この時点(図9の時点(1) )で供給される電力は、ウエハ600が光照射された場合、ウエハ600の温度が室温から350°C程度の温度範囲内に到達するような条件の小電力(図9のLow1)である。
ウエハ600の加熱処理時にいきなり大電力をランプユニット10、20に供給すると、多大なる突入電流が流れ、電源部7にダメージを与える場合がある。そのため、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1の点灯時には、小電力を供給し突入電流の影響を抑制している。なお、当然ながら、各ランプ1への供給電力量は、ゾーン毎に互いに相違する。
主制御部MCは、搬送機構制御部204にカセット201aに保管されている半導体ウエハ600の1枚を、チャンバ300内のガードリング5に搬送し、当該ガードリング5に設置するよう搬送機構制御部204に搬送指令信号を送信する(図10のステップS104)。搬送指令信号を受信した搬送機構制御部204は、搬送機構202aを駆動し、カセット201aからウエハ600を1枚取り出し、ウエハ600を搬送してガードリング5に載せる(図10のステップS105)。
以上のステップS101〜S105は、図9の期間(1) 〜(2) において行われる。
なお、上記したように、時点(1) 以降、ランプユニット10、20の各ランプ1のフィラメント14にはウエハ600の温度が室温から350°C程度の温度範囲内の温度T1に到達するような条件の小電力(図9のLow1)が供給される。よって、搬送機構202aは、ウエハ600をガードリング5へ載せる際に加熱されることになる。上記した小電力の条件例は、搬送機構202aが加熱される際、到達温度が搬送機構202aの耐熱温度以下となるような条件に相当する。
次に、主制御部MCは、回転機構制御部556にガードリング駆動信号を送信する(図10のステップS106)。ガードリング駆動信号を受信したガードリング駆動機構555は、ガードリング5を回転駆動する(図10のステップS107)。
図4に示すように、ガードリング5の下端部にはベアリング55が取り付けられており、ガードリング5は、保持しているウエハ600と供に回転駆動される。回転はウエハ600の略中心を回転軸にして行われる。
主制御部MCは、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1の各フィラメント14に接続されている電源部7を制御して、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1の各フィラメント14に供給する電力を増加し(図9のMiddle)、ウエハ600の温度を昇温する(図10のステップS108)。
ウエハ600の温度が所定の温度T2に到達した時点(図9の時点(3) )で、主制御部MCは電源部7を制御してランプユニット10、20を構成する各ランプ1の各フィラメント14に供給する電力を減少させ(図9のLow2)、ウエハ600の温度をT2に数秒〜数十秒間維持する(図10のステップS109)。
ここで、上記した温度T2は、光照射され加熱されるウエハ600の温度が、不純物拡散が発生しない温度、もしくは、不純物拡散が発生してもウエハ600に構成されている薄膜構造(回路構造)には影響を及ぼさない温度であり、例えば、500°C〜700°C程度である。
なお、ステップS108,S109における各ランプ1への供給電力量は、ゾーン毎に互いに相違する。
ここで、ウエハ600の温度は、温度測定部91によりモニタされる。温度計9は、各温度測定部91により送出された温度情報に基づき、各温度測定部91の測定地点における温度を算出する。主制御部MCは、ウエハ600の温度がT2に到達した時点を、温度計9から送出されるウエハ600の温度データに基づき判断する。
ステップS109において、ウエハ600の温度をT2に数秒〜数十秒間(図9の(3) 〜(4) )維持するのは、高温加熱処理前に各ランプ1のフィラメント14の動作を安定化し、また、ワークであるウエハ600全面で温度が略均一になるようにして、加熱処理雰囲気の安定化を図るためである。なお、温度測定部91として放射温度計を用いる場合、通常、温度測定部91による温度の検出限界(下限)は500°C程度であり、それ以下では、温度測定誤差が大きくなる。そのため、加熱処理前のウエハ600の温度を500°C〜700°C程度に昇温している。
なお、ウエハ600の温度をT2に到達させる際の昇温時における供給電力量(図9のMiddle)、ウエハ600の温度をT2に維持する際の供給電力量(図9のLow2)、維持時間等のデータは、予め主制御部MCに記憶されている。主制御部MCは上記した記憶データに基づき電源部7を制御する。
加熱処理雰囲気の安定化がなされるための期間(3) 〜(4) の計時は、主制御部MCが有する計時手段で行われる。計時手段は、期間(3) 〜(4) に相当する時間が経過した時点で期間終了信号を主制御部MCに送信する(図10のステップS110)。
以上のステップS106〜S110は、図9の期間(2) 〜(4) において行われる。
期間終了信号を計時手段より受信した主制御部MCは、図9の期間(4) 〜(5) において、光照射されるウエハ600の温度が、例えば、昇温速度200〜400°C/sにて上昇し、温度T3(例えば、1000〜1200°C)に到達するように、電源部7を制御して、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1の各フィラメント14に供給する電力を増加する(図9のFull、図10のステップS111)。
ウエハ600の温度が所定の温度T3 に到達した時点(図9の時点(5) )で、主制御部MCは電源部7を制御してランプユニット10、20を構成する各ランプ1の各フィラメント14に供給する電力を減少(図9のLow1)、もしくは、電力供給停止として、ウエハ600の温度を急速に低下させる(図11のステップS112)。なお、主制御部MCは、ウエハ600の温度がT3に到達した時点を、温度計9から送出されるウエハ600の温度データに基づき判断する。
なお、ステップS111,S112における各ランプ1への供給電力量は、ゾーン毎に互いに相違する。
主制御部MCは、ウエハ600の温度が所定の温度にまで下降した時点(図9の時点(6) )で、ウエハ600の加熱処理が所定のプロセスを経て終了したと判断し、回転機構制御部556にガードリング停止信号を送信する(図11のステップS113)。ここで、時点(6) における所定の温度は、搬送機構202bの耐熱温度以下となるように設定される。
ガードリング停止信号を受信したガードリング駆動機構555は、ガードリング5の回転動作を停止する(図11のステップS114)。
主制御部MCは、搬送機構制御部204にガードリング5に載置されている熱処理済みのウエハ600の1枚をカセット201bに搬送するよう搬送指令信号を送信する(ステップS115)。搬送指令信号を受信した搬送機構制御部204は、搬送機構202bを駆動し、ガードリング5に載置されているウエハ600をカセット201bに搬送し、半導体ウエハ600をカセット201bに収納する(ステップS116)。以上の手順により、1枚のウエハ600の加熱処理が終了する。
以下、次のワークを処理する場合、各ランプ1への冷却風の吹きつけ、並びに、パージガスのチャンバ300への導入を維持して、ステップS103〜S116の手順を繰り返す。
上記手順によれば、ウエハ600の温度は、昇温速度200〜400°C/sにて上昇し、温度T3(例えば、1000〜1200°C)に到達後、直ちに低下する。すなわち、急峻加熱・急峻冷却のスパイクアニール工程が実現される。よって、ウエハ600に構築されている回路構造に影響を及ぼすことなく、不純物イオンの活性化を実現することができる。
(4)実施例2
図4に示した実施例1に示す光照射式加熱装置の構成例おいては、ランプユニット収容空間S1に収容される第1のランプユニット10、第2のランプユニット20は、複数の直管状のランプ1を所定の間隔で並列に配置して構成される。
両ランプユニット10、20は互いに対向するように配置されている。ここで、ランプユニット10を構成するランプ1の軸方向は、ランプユニット20を構成するランプ1の軸方向と互いに交差するように設定されている。上記したように、両ランプユニット10、20を構成する各ランプ1は、例えば、発光管の内部に1本のフィラメント14を有するハロゲンランプである。
先に述べたように、このようなこのようなランプユニットを使用する場合、ゾーン制御は、直管型ランプの管軸方向と直交する一次元方向に適用される。よって、各ランプユニットにより、ワーク全面(すなわち、2次元方向)に対してゾーン制御を適用するためには、光照射中、ワーク6(例えば、ウエハ600)を回転させる必要がある。
一般に、ワーク6の加熱処理は、所定のガス雰囲気で行われる。例えば、上記したウエハ600における不純物の活性化処理においては、窒素ガス雰囲気で行われる。また、ウエハ600の熱酸化処理を行う場合、酸素ガスを含む雰囲気で行われる。
すなわち、加熱処理中、加熱処理空間S2は所定のガス雰囲気が維持される。そのため、ガードリング5に載置されたウエハ600を回転させる図示を省略した回転機構は、上記加熱処理空間S2内の所定のガス雰囲気を破壊しないようにウエハ600を回転させなければならない。よって、構成が複雑となる。
実施例2に示す光照射式加熱装置の構成例は、ウエハ600(およびガードリング5)を回転させることなく、ワーク全面(すなわち、2次元方向)に対してゾーン制御を適用可能とするものである。
具体的には、両ランプユニット10、20を構成する各ランプにおいて、発光管の内部のフィラメントを複数に分割し、各フィラメントそれぞれ独立に給電可能な構成とする。 このようなフィラメント構造を有する直管状のランプ1’を複数本用意し、これらを所定の間隔で並列に配置して、各ランプユニット10、20を構成する。
このような構成においては、各ランプ1’の各フィラメントを個別に発光させたり、各ランプ1’の各フィラメントへの供給電力を個別に調整することが可能となる。よって、従来は不可能であった直管型ランプの管軸方向おけるゾーン制御を実施することが可能となる。すなわち、ワークの2次元方向に対してゾーン制御を実施することができるので、光照射中、ワーク6(例えば、ウエハ600)を回転させる必要がない。
図12に、このようなランプ1’の詳細構造を示す。図12には、3つのフィラメント14a、14b、14cを有するランプ1’の例が示されている。図12に示すように、ランプ1’の発光管11は、ピンチシール等のシール製法により、一端側に封止部12a、他端側に封止部12bが形成され、発光管11内部が気密に封止されている。図12においては、ピンチシールにより封止が行われた例が示されているが、シール製法はこれに限るものではない。
なお、図12において、ピンチシールは、封止部12aに金属箔13a、13b及び13cが埋設され、封止部12bに金属箔13d、13e、13fが埋設されるように行われる。
金属箔13a、13b、13c、13d、13e、及び13fには、それぞれ、外部リード18a、18b、18c、18d、18e、及び18fが電気的に接続されている。 発光管11の内部には、略同一軸上に沿って、3つのフィラメント14a,14b,14cが順番に設置されている。フィラメント14aと14bとの間には絶縁体61aが設けられ、フィラメント14bと14cとの間には絶縁体61bが設けられている。
フィラメント14aの一端側には、リード15aが電気的に接続され、更に、リード15aは、金属箔13aに接続されている。一方、フィラメント14aの他端側には、リード15fが電気的に接続され、更に、リード15fは、金属箔13fに接続されている。 ここで、リード15fは、順次、絶縁体61aに設けられた貫通孔611a、フィラメント14bと対向する絶縁管16c、絶縁体61bに設けられた貫通孔611b、及びフィラメント14cと対向する絶縁管16fを通過するように設置される。
フィラメント14bの一端側には、リード15bが電気的に接続され、更に、リード15bは、金属箔13bに接続されている。一方、フィラメント14bの他端側には、リード15eが電気的に接続され、更に、リード15eは、金属箔13eに接続されている。 ここで、リード15bは、絶縁体61aに設けられた貫通孔612a、フィラメント14aと対向する絶縁管16aを通過するように設置される。
また、リード15eは、絶縁体61bに設けられた貫通孔612b、フィラメント14cと対向する絶縁管16eを通過するように設置される。
フィラメント14cの一端側には、リード15cが電気的に接続され、更に、リード15cは、金属箔13cに接続されている。一方、フィラメント14cの他端側には、リード15dが電気的に接続され、更に、リード15dは、金属箔13dに接続されている。
ここで、リード15cは、順次、絶縁体61bに設けられた貫通孔613b、フィラメント14bと対向する絶縁管16d、絶縁体61aに設けられた貫通孔613a、及びフィラメント14aと対向する絶縁管16bを通過するように設置される。
フィラメント14a、14b、14cは、発光管11の軸方向に複数個配設されたアンカー17によって支持される。アンカー17は、発光管11の内壁と、絶縁管16a、16dあるいは16eとの間に挟まれて保持される。
ランプ1’において、外部リード18aと18fの間に第1の給電装置62が接続され、外部リード18bと18eの間に第2の給電装置63が接続され、外部リード18cと18dの間に第3の給電装置64が接続されている。すなわち、フィラメント14a、14b、及び14cは、それぞれ個別の給電装置62、63、64よって独立に給電される。給電装置62、63、及び64は、可変電源であり、必要に応じて給電量を調整可能となっている。なお、各給電装置は、フィラメントに対して、DC電力を供給するものでもよいし、AC電力を供給するものでもよい。
すなわち、図12に示すランプ1’によれば、略同一軸上に沿って、3つのフィラメント14a,14b,14cが順番に設置され、各フィラメント14a,14b,14cは、それぞれ個別の給電装置62、63、64よって独立に給電可能であるため、それぞれのフィラメントから放射される光量を個別に調整することが可能である。そのため、このようなランプを有するランプユニットによれば、従来は不可能であった直管型ランプの管軸方向おけるゾーン制御を実施することが可能となる。
なお、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20の各ランプに含まれる全てのフィラメント各々に個別に給電装置を設けるのではなく、所望の照度分布によっては、複数のフィラメントを1台の給電装置に接続するようにしてもよい。
以下、複数の給電装置を総称して電源部7と称することもある。
図13は、上記したようなランプ1’を採用した第1のランプユニット10、第2のランプユニット20を有する本実施例の加熱装置の構成を説明するための図である。なお、図13に示すランプ1’においては、図5に示すようなI群、II群、III群からなるゾーンを用いたゾーン制御をランプの管軸方向に実施可能なように、フィラメントは5つのフィラメント14a、14b、14c、14d、14eに分割されている。図12に示すランプ1’と同様、各フィラメント14a、14b、14c、14d、14eは、個別に給電可能なように構成される。
ここで、図4に示した加熱装置と同一の構成要素には、図4と同様の符号が付されており、詳細な説明は省略する。
図13において、第1のランプユニット10の各ランプ1’は、一対の第1の固定台500、501により支持される。上記第1のランプユニットを構成するランプの本数をn1、上記ランプが有する分割されたフィラメントの個数をm1として、各フィラメント全てに独立に電力が供給される場合、一対の第1の固定台500、501の組数は、n1×m1組となる。
一方、第2ランプユニット20の各ランプ1’は、一対の第2の固定台により支持される。上記第2のランプユニットを構成するランプの本数をn2、上記ランプが有する分割されたフィラメントの個数をm2として、各フィラメント全てに独立に電力が供給される場合、一対の第2の固定台の組数は、n2×m2組となる。
チャンバ300には、電源部7の給電装置からの給電線が接続される一対の電源供給ポート71、72が設けられる。なお、図13では1組の電源供給ポート71、72が示されているが、ランプ1’の個数、各ランプ内のフィラメントの個数等に応じて、一組の電源供給ポートの個数は決められる。
図13の例では、電源供給ポート71は第1のランプ固定台500の端子台52と電気的に接続されている。また、電源供給ポート72は第1のランプ固定台501の端子台52と電気的に接続されている。
一方、第1のランプ固定台500の端子台52は、例えば、第1のランプユニット10における1つのランプ1’のフィラメント14aの一方の外部リード18’と電気的に接続されている。第1のランプ固定台501の端子台52は、例えば、フィラメント14aの他方の外部リード18’’と電気的に接続されている。このような構成により、給電装置から、第1のランプユニット10における1つのランプ1’のフィラメント14aへの給電が可能となる。
ランプ1’の他のフィラメント14b、14c、14d、14e、また、第1のランプユニット10の他のランプ1’の各フィラメント、第2のランプユニット20のランプ1’の各フィラメントについても、他の一対の電源供給ポート71、72より、各々同様の電気的接続がなされる。
図13における光照射手段は、図4に示す加熱装置と同様、先に示した構成例1に基づくものである。すなわち、反射鏡2の一部に反射光を拡散する拡散ミラー部21を設ける。
第1のランプユニット10、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1’の各フィラメントをワークであるウエハ600の上部に位置するウエハ照射用フィラメント群、ガードリング照射用フィラメント群(III群)に分割する場合を考える。ウエハ照射用フィラメント群は、更に、ウエハ中央部領域の上部に位置するI群、ウエハの周辺部領域の上部に位置するII群に分割する。すなわち、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1’の各フィラメントをI群、II群、III群の3つのゾーンに分割するものとする。
図14、図15は、拡散ミラー部21を設ける位置関係を示す図である。図14は、第1のランプユニット10と拡散ミラー部21との位置関係を示す図、図15は、第2のランプユニット20と拡散ミラー部21との位置関係を示す図である。
図14、図15において、実線で示すフィラメント群がI群、二重線で示すフィラメント群がII群、太線で示すフィラメント群がIII群に相当する。
図14示すように、拡散ミラー部21は、反射鏡2の反射面において、第1のランプユニット10の各ランプ1’からの光のうち、I群に属するフィラメントからの光、並びにII群に属するフィラメントの光が入射し、かつ、III群に属するフィラメントからの光が殆ど入射しない領域に設けられる。
また、図15に示すように、拡散ミラー部21は、反射鏡2の反射面おいて、第2のランプユニット20の各ランプ1’からの光のうち、I群に属するフィラメントからの光、並びにII群に属するフィラメントの光が入射し、かつ、III群に属するフィラメントからの光が殆ど入射しない領域に設けられる。
なお、ワークであるウエハ600の形状、並びに、ガードリング5の形状が円形であるので、拡散ミラー部21の形状は円形となる。
上記構成により、I群、II群に相当するフィラメントから放射され反射鏡2で反射された光は拡散光としてウエハ600に照射される。反射鏡2が従来のように、平面状の鏡面ミラーである場合、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20とウエハ600との距離ができるだけ短くなるように設定されているので、各ランプユニット10、20を構成する各ランプ間の非発光部分により、ウエハ600上の放射照度分布にリップル部分が発生する。しかしながら、本発明の加熱装置によれば、上記拡散光により、リップル部分が相殺され、結果としてウエハ表面での照度分布の均一性が向上する。
なお、III群に相当するフィラメントから放射され反射鏡2により反射される光は、拡散ミラー部21での反射は殆どない。よって、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。ここで、III群に相当する各フィラメントから放射され、直接、あるいは、反射鏡2を介してガードリング5に到達する光によるガードリング5上の照度分布においては、リップル部分が存在する。しかしながら、ガードリング5自体は表面における照度分布の均一性は必要としないので、リップルが存在しても不都合が生じない。
本実施例の加熱装置においては、ランプユニット10、20を構成する各ランプにおいて、発光管の内部のフィラメントを複数に分割し、各フィラメントそれぞれ独立に給電可能な構成としている。そして、各フィラメントを所定のゾーンに分割し、当該各フィラメントへの供給電力を個別に調整している。そのため、ワークの2次元方向に対してゾーン制御を実施することができるので、光照射中、ワーク6(例えば、ウエハ600)を回転させる必要がない。
(5)実施例2の変形例
実施例1のときと同様、実施例2の変形例として、光照射手段を先に示した構成例2に基づき構成することができる。
図16は、実施例2における加熱装置の変形例の構成を説明するための図である。図13と同じ符号が付与されている構成要素は、実施例1のものと同一であるので説明を省略する。本変形例においても、実施例2と同様、スパイクアニール工程に対応できるように、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20とワーク6(ウエハ600)との距離ができるだけ短くなるように設定されている。また、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1’の各フィラメントを、例えば実施例2と同様、3つのゾーンに分割するものとする。なお、反射鏡2は、従来同様、平面状の鏡面ミラーである。
上記したように、図16における光照射手段は、先に示した構成例2に基づくものである。
すなわち、石英窓部4の一部に、ワークであるウエハの中央部領域の上部に配置されるI群、ウエハの周辺部領域の上部に配置されるII群に属するフィラメントからの光が入射し、かつ、ガードリング照射用ランプ群であるIII群に属するフィラメントからの光が殆ど入射しない領域に拡散部41を設ける。なお、ワークであるウエハ600の形状、並びに、ガードリング5の形状が円形であるので、拡散部41の形状も円形となる。
上記構成により、I群、II群に属するフィラメントから放射され、直接、あるいは、反射鏡2である平面ミラーによって反射された後に石英窓部4の拡散部41を通過する光は、拡散光となりウエハ600に照射される。この拡散光は強度が平均化されているので、ウエハ600表面での照度分布にリップル部分が発生することがなく、ウエハ600表面での照度分布の均一性が向上する。
一方、III群に属する各フィラメントから放射され、直接、あるいは、反射鏡2によって反射された後に石英窓部4を通過する光は、拡散部41を殆ど通過しないので、拡散光とならない。よって、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。
ここで、III群に属する各フィラメントから放射され、直接、あるいは、反射鏡2を介してガードリング5に到達する光によるガードリング5上の照度分布においては、リップル部分が存在する。しかしながら、ガードリング5自体は表面における照度分布の均一性は必要としないので、リップルが存在しても不都合が生じない。
従って、光照射式加熱装置を実施例2の変形例のように構成しても、実施例2に示すものと同様、各フィラメントから放射され、直接、あるいは、反射鏡2を介してワーク6を照射する光の光路長を短く設定しているので、ゾーンの分離性が良好であり、しかも、当該光路長を短くすることにより従来ワーク上で生じていたリップル部分の抑制も同時に行うことが可能となる。そのため、本変形例の光照射式加熱装置は、上記したようなスパイクアニール工程にも十分対応することが可能となる。
なお、実施例1に示す光照射式加熱装置の光照射手段は、I群、II群に属するフィラメントから放射され反射鏡2である平面ミラーによって反射される反射光のみが拡散光となっていた。一方、本変形例に示す光照射式加熱装置の光照射手段によれば、I群、II群に属するフィラメントから放射され、反射鏡2を介さず直接ウエハ600に照射される光も拡散光となる。よって、より効率よく上記リップル部分の発生を抑制することができる。
(6)実施例2の光照射式加熱装置による加熱処理例。
次に、本実施例2の光照射式加熱装置を用いた加熱処理の例を示す。
図17に本発明の光照射式加熱装置を用いた加熱処理の例を説明するための光照射式加熱装置を含む制御ブロック図を示す。なお、加熱装置100は図13、図16に示すものが適用される。図17は、図13に示す加熱装置100を適用した例である。ここで、加熱装置100は、図13に詳細に示されているのでここでは簡略化して示す。なお、図17では、図13では省略した部分も一部記載されている。
図18は本発明の光照射式加熱装置を用いた加熱処理例のフローチャートである。なお、加熱処理プロセスにおけるランプユニットへの供給電力の動作条件は、実施例1と同様、図9に示される。
以下、ワーク6が半導体ウエハ600であり、イオンインプランテーションによってウエハ600に打ち込まれた不純物イオンを活性化するための高温加熱処理をスパイクアニールプロセスにより実施する例について、図17、図18並びに図9を用いて説明する。なお、加熱装置100のランプユニット10,20の各ランプ1’の各フィラメントは、上記したようなゾーン制御に基づき、配置・照射条件が設定されているものとする。
主制御部MCは、冷却風ユニット8を制御してチャンバ300内のランプユニット10及びランプユニット20における各ランプ1’に冷却風を吹きつける(図18のステップS101)。
また、主制御部MCは、図示を省略したプロセスガスユニットを制御して、パージガス(例えば、窒素ガス)によるチャンバ300の加熱処理空間S2のパージ動作を開始する(図18のステップS102)。このとき、加熱処理空間S2のパージガス圧力やパージガス流量は、プロセスガスユニットにより所定の値に制御されている。
次に主制御部MCは、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1’の各フィラメント14a、14b、14c、14d、14eにそれぞれ個別に接続されている電源部7の給電装置62、63、64、65、66を制御して、ランプユニット10、20の各ランプ1’の各フィラメントに電力を供給する(図18のステップS103)。
この時点(図9の時点(1) )で供給される電力は、ウエハ600が光照射された場合、ウエハ600の温度が室温から350°C程度の温度範囲内に到達するような条件の小電力(図9のLow1)である。ウエハ600の加熱処理時にいきなり大電力をランプユニット10、20に供給すると、多大なる突入電流が流れ、電源部7の給電装置62、63、64、65、66その他にダメージを与える場合がある。そのため、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1’の点灯時には、小電力を供給し突入電流の影響を抑制している。なお、当然ながら、各フィラメント14a、14b、14c、14d、14eへの供給電力量は、ゾーン毎に互いに相違する。
なお、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1’が有する各フィラメントは、全て5つである必要はなく、ゾーンに応じてその数が適宜設定される。例えば、図14、15に示すように、各ランプユニット10、20の両端側のランプ1’はガードリング5上のみに配置されるので、フィラメントの個数を1としている。また、ウエハ600の周縁部ならびにガードリング上方に配置されるランプ1’は、ウエハ中央部上方には存在しないので、フィラメントの個数を3としている。以下、理解を容易にするために、各ランプ1’に関しては、フィラメントを5つ有しているものを代表として説明する。
主制御部MCは、搬送機構制御部204にカセット201aに保管されている半導体ウエハ600の1枚を、チャンバ300内のガードリング5に搬送し、当該ガードリング5に設置するよう搬送機構制御部204に搬送指令信号を送信する(図18のステップS104)。搬送指令信号を受信した搬送機構制御部204は、搬送機構202aを駆動し、カセット201aからウエハ600を1枚取り出し、ウエハ600を搬送してガードリング5に載せる(図18のステップS105)。以上のステップS101〜S105は、図9の期間(1) 〜(2) において行われる。
なお、上記したように、時点(1) 以降、ランプユニット10、20の各ランプ1’の各フィラメント14a、14b、14c、14d、14eにはウエハ600の温度が室温から350°C程度の温度範囲内の温度T1に到達するような条件の小電力(図9のLow1)が供給される。よって、搬送機構202aは、ウエハ600をガードリング5へ載せる際に加熱されることになる。上記した小電力の条件例は、搬送機構202aが加熱される際、到達温度が搬送機構202aの耐熱温度以下となるような条件に相当する。
主制御部MCは、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1’の各フィラメント14a、14b、14c、14d、14eにそれぞれ個別に接続されている電源部7の給電装置62、63、64、65、66を制御して、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1’の各フィラメント14a、14b、14c、14d、14eに供給する電力を増加し(図9のMiddle)、ウエハ600の温度を昇温する(図18のステップS106)。
ウエハ600の温度が所定の温度T2に到達した時点(図9の時点(3) )で、主制御部MCは電源部7の給電装置62、63、64、65、66を制御してランプユニット10、20を構成する各ランプ1’の各フィラメント14a、14b、14c、14d、14eに供給する電力を減少させ(図9のLow2)、ウエハ600の温度をT2に数秒〜数十秒間維持する(図18のステップS107)。ここで、上記した温度T2は、光照射され加熱されるウエハ600の温度が、不純物拡散が発生しない温度、もしくは、不純物拡散が発生してもウエハ600に構成されている薄膜構造(回路構造)には影響を及ぼさない温度であり、例えば、500°C〜700°C程度である。
なお、ステップS106,S107における各フィラメント14a、14b、14c、14d、14eへの供給電力量は、ゾーン毎に互いに相違する。
ここで、ウエハ600の温度は、温度測定部91によりモニタされる。温度計9は、各温度測定部91により送出された温度情報に基づき、各温度測定部91の測定地点における温度を算出する。主制御部MCは、ウエハ600の温度がT2に到達した時点を、温度計9から送出されるウエハ600の温度データに基づき判断する。
ステップS107において、ウエハ600の温度をT2に数秒〜数十秒間(図9の(3) 〜(4) )維持するのは、高温加熱処理前に各ランプ1’のフィラメント14の動作を安定化し、また、ワークであるウエハ600全面で温度が略均一になるようにして、加熱処理雰囲気の安定化を図るためである。なお、温度測定部91として放射温度計を用いる場合通常、温度測定部91による温度の検出限界(下限)は500°C程度であり、それ以下では、温度測定誤差が大きくなる。そのため、加熱処理前のウエハ600の温度を500°C〜700°C程度に昇温している。
なお、ウエハ600の温度をT2に到達させる際の昇温時における供給電力量(図9のMiddle)、ウエハ600の温度をT2に維持する際の供給電力量(図9のLow2)、維持時間等のデータは、各フィラメント毎、予め主制御部MCに記憶されている。主制御部MCは上記した記憶データに基づき電源部7を制御する。
加熱処理雰囲気の安定化がなされるための期間(3) 〜(4) の計時は、主制御部MCが有する計時手段で行われる。計時手段は、期間(3) 〜(4) に相当する時間が経過した時点で期間終了信号を主制御部MCに送信する(図18のステップS108)。
以上のステップS106〜S108は、図9の期間(2) 〜(4) において行われる。
期間終了信号を計時手段より受信した主制御部MCは、図9の期間(4) 〜(5) において、光照射されるウエハ600の温度が、例えば、昇温速度200〜400°C/sにて上昇し、温度T3(例えば、1000〜1200°C)に到達するように、電源部7を制御して、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1’の各フィラメント14a、14b、14c、14d、14eに供給する電力を増加する(図9のFull、図18のステップS109)。
ウエハ600の温度が所定の温度T3 に到達した時点(図9の時点(5) )で、主制御部MCは電源部7の給電装置62、63、64、65、66を制御してランプユニット10、20を構成する各ランプ1’の各フィラメント14a、14b、14c、14d、14eに供給する電力を減少(図9のLow1)、もしくは、電極供給停止として、ウエハ600の温度を急速に低下させる(図18のステップS110)。なお、主制御部MCは、ウエハ600の温度がT3に到達した時点を、温度計9から送出されるウエハ600の温度データに基づき判断する。
なお、ステップS109,S110における各フィラメント14a、14b、14c、14d、14eへの供給電力量は、ゾーン毎に互いに相違する。
主制御部MCは、ウエハ600の温度が所定の温度にまで下降した時点(図9の時点(6) )で、ウエハ600の加熱処理が所定のプロセスを経て終了したと判断し、搬送機構制御部204にガードリング5に載置されている熱処理済みのウエハ600の1枚をカセット201bに搬送するよう搬送指令信号を送信する(ステップS111)。搬送指令信号を受信した搬送機構制御部204は、搬送機構202bを駆動し、ガードリング5に載置されているウエハ600をカセット201bに搬送し、半導体ウエハ600をカセット201bに収納する(ステップS112)。以上の手順により、1枚のウエハ600の加熱処理が終了する。
以下、次のワークを処理する場合、各ランプ1’への冷却風の吹きつけ、並びに、パージガスのチャンバ300への導入を維持して、ステップS103〜S112の手順を繰り返す。
上記手順によれば、ウエハ600の温度は、昇温速度200〜400°C/sにて上昇し、温度T3(例えば、1000〜1200°C)に到達後、直ちに低下する。すなわち、急峻加熱・急峻冷却のスパイクアニール工程が実現される。よって、ウエハ600に構築されている回路構造に影響を及ぼすことなく、不純物イオンの活性化を実現することができる。
(7)実施例3
実施例1、実施例2では、拡散部を反射鏡あるいは石英窓部4の一部に設けたが、以下に説明する実施例3では、ワークの上部に位置するランプの発光管に拡散部を設けたものである。
以下、本実施例の光照射式加熱装置の構成例について説明する。図19は、本実施例の光照射式加熱装置(以下、加熱装置ともいう)100の構成を説明するための図である。本実施例は、拡散部を反射鏡、石英窓部に設けずに、ランプの発光管に設けたものであり、その他の構成は、前記実施例1と同様である。
図19に示すように、加熱装置100は、チャンバ300を有する。チャンバ300の内部は、光透過性窓部材である石英窓部4により、ランプユニット収容空間S1と加熱処理空間S2とに分割される。
前記実施例1、実施例2と同様、ランプユニット収容空間S1に収容される第1のランプユニット10、第2のランプユニット20から放出される光を、石英窓部4を介して加熱処理空間S2に設置されるワーク6(例えば、半導体ウエハ600、以下ウエハ600ともいう)に照射することにより、ワークの加熱処理が施される。
ランプユニット収容空間S1に収容される第1のランプユニット10、第2のランプユニット20は、例えば、10本の直管状の白熱ランプ1(以下、ランプ1ともいう)を所定の間隔で並列に配置して構成される。ランプ1は、例えば、石英製の発光管11の内部に1本のフィラメント14を有するハロゲンランプである。両ランプユニット10、20は互いに対向するように配置されている。なお、ランプユニット10を構成するランプ1の軸方向は、ランプユニット20を構成するランプ1の軸方向と互いに交差するように設定されている。
第1のランプユニット10の上方には、反射鏡2が配置される。反射鏡2は、実施例1で説明したように、例えば、無酸素銅やアルミニウムからなる板状の母材に金をコートした構造であるが、本実施例では、反射鏡2には拡散部は設けられていない。
図19に示す加熱装置において、ランプユニット収容空間S1に収容される第1のランプユニット10、第2のランプユニット20、並びに、反射鏡2により光照射手段が構成される。なお、本実施例の加熱装置においても、スパイクアニール工程に対応できるように、上記第1のランプユニット10、第2のランプユニット20とワーク6(例えば、ウエハ600)との距離ができるだけ短くなるように設定されている。
各ランプユニット10、20を構成するランプ1のうち、ウエハ600の上部に位置するものについては、発光管11に拡散部111が設けられている。拡散部111は、例えば、発光管11の表面をフロスト加工によりスリガラス状、または、つや消し状にしたものである。なお、発光管11に拡散部111を形成する方法としては、その他、発光管の表面をサンドブラストしたり、化学処理したり、ガラスを結晶化(失透)させる等の方法が考えられる。なお、拡散部111とウエハ600との位置関係については、後で述べる。
ランプユニット収容空間S1には、前記実施例1で説明したように、冷却風ユニット8からの冷却風がチャンバ300に設けられた冷却風供給ノズル81の吹出し口82から導入され、第1のランプユニット10及び第2のランプユニット20の各ランプ1の発光管を冷却する。
ここで、前述したように、冷却風供給ノズル81の吹出し口82は、各ランプ1の封止部12a、12bに対向して配置し、各ランプ1の封止部12a、12bを優先的に冷却するように構成することが望ましい。各ランプ1に吹きつけられ、熱交換により高温になった冷却風は、チャンバ300に設けられた冷却風排出口83から排出される。なお、冷却風の流れは、熱交換されて高温になった冷却風が逆に各ランプ1を加熱しないように考慮されている。
前記実施例1と同様、チャンバ300には、図示しない電源部7からの給電線が接続される一対の電源供給ポート71、72が設けられ、電源供給ポート71は第1のランプ固定台500の端子台52と電気的に接続され、電源供給ポート72は第1のランプ固定台501の端子台52と電気的に接続されている。
一方、第1のランプ固定台500の端子台52は、例えば、第1のランプユニット10における1つのランプ1の外部リード18aと電気的に接続され、第1のランプ固定台501の端子台52は、例えば、外部リード18bと電気的に接続されて、電源部7から、第1のランプユニット10におけるランプ1のフィラメント14への給電が可能である。
また、前記したように加熱処理空間S2には、ワーク6が固定される処理台が設けられる。ワーク6がウエハ600である場合、処理台は、前記したように例えば、モリブデンやタングステン、タンタルのような高融点金属材料や炭化ケイ素(SiC)などのセラミック材料、または石英、ケイ素(Si)からなる薄板の環状体であり、その円形開口部の内周部にウエハ600を支持する段差部が形成されている構造のガードリング5であることが好ましい。
ガードリング5は、自らも光照射によって高温となり対面するウエハの600外周縁を補助的に放射加熱し、ウエハ600の外周縁からの熱放射を補償する。これにより、熱放射などに起因するウエハ周縁部600の温度低下が抑制される。
次に、拡散部111を設けたランプ1とワーク6との位置関係について説明する。
図20、図21は、拡散部111を設けたランプ1とワーク6との位置関係を示す図である。図20(a)は、第1のランプユニット10を構成する各ランプ1の断面方向から見た図、図20(b)は、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1の断面方向から見た図である。また、図21は、ランプユニット10の上部から見た図である。
なお、ゾーンの分割は、以下のように設定する。
すなわち、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1を、ワーク6(ウエハ600)の上部に位置するウエハ照射用ランプ群、ガードリング照射用ランプ群(III群) に分割する場合を考える。例として、ウエハ照射用ランプ群は、更に、ウエハ中央部領域の上部に位置するI群、ウエハの周辺部領域の上部に位置するII群に分割する。すなわち、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1をI群、II群、III群の3つのゾーンに分割するものとする。
図20に示すように、各ランプユニット10、20を構成するランプ1のうち、ウエハ600の上部に位置するI群、II群に属するランプ1については、発光管11に拡散部111が設けられている。一方、ガードリング照射用ランプ群であるIII群に属するランプ1については、発光管11に拡散部111は設けられない。
ここで上記拡散部111は、図21に示すようにワークであるウエハ600の形状、並びに、ガードリング5の形状を考慮して、発光管11の一部に設けられている。
また、拡散部111は、必ずしも、発光管11の全周方向に設ける必要はなく、一部の周方向に関しては設けなくてもよい。
図22(a)は、拡散部111を発光管11の全周方向に設けた例、図22(b)は、拡散部111を発光管11のウエハ600に対向した半周方向にのみ設けた例である。
上記したように、本発明の光照射式加熱装置は、スパイクアニール工程にも対応可能なように、各ランプの間の間隔をできるだけ小さくしている。そのため、1 本のランプ1から放射されて反射鏡2で反射する光は、上記ランプ1の隣に位置するランプ1の発光管11を通過して、石英窓部4を介してワークであるウエハ600に到達する割合が多くなる。
図22(a)のように、拡散部111を発光管11の全周方向に設けた場合は、ランプ1から放射され直接ウエハ600に放射される光は、ランプ1から放射される際、散部111を通過するので拡散光となる。また、ランプ1から放射され、反射鏡2により反射された後ウエハ600に放射される光も、ランプ1から放射される際、拡散部111を通過するので拡散光となる。よって、上記したリップルの影響をある程度補償することができる。
ここで、上記したように、1 本のランプ1から放射されて反射鏡2で反射する光は、上記ランプ1の隣に位置するランプ1の発光管11を通過して、石英窓部4を介してワークであるウエハ600に到達する割合が多い。よって、図22(a)の場合、反射鏡2により反射する光は、拡散部111を複数回通過することが多く、その分、ウエハ600上での照度が小さくなる。また、反射光に関しては、ゾーンの分離性があまり良好では無くなる。
一方、図22(b)のように、拡散部111を発光管11のウエハ600に対向した半周方向にのみ設けた場合は、ランプ1から放射され直接ウエハ600に放射される光は、ランプ1から放射される際、図22(a)と同様に拡散部111を通過するので拡散光となる。
ランプ1から放射され、反射鏡2により反射された後ウエハ600に放射される光は、ランプ1から放射される際は拡散部111を通過しないが、上記ランプ1の隣に位置するランプ1の発光管11に設けられた拡散部111を通過する割合が多い。このような光は、拡散部111を通過する回数が図22(a)の場合より少ないので、図22(a)の場合と比較するとウエハ600上での照度が大きくなる。また、反射光に関しても、ゾーンの分離性は比較的良好となる。
結果的に、図22(b)の場合、図22(a)と同様、拡散光により上記したリップルの影響をある程度補償することができることに加えて、図22(a)と比較すると、ワークであるウエハ600に到達する拡散光のワーク600上での照度が大きくなり、ゾーンの分離性も良好となる。
以上のように、拡散部111は、必ずしも、発光管11の全周方向に設ける必要はなく、複数本並列に配置されるランプ1の配置状況によっては、一部の周方向に関しては設けずとも、効果的にリップルの影響を補償することが可能となる。
上記構成により、I群、II群に属するランプ1から放射され、直接ウエハ600に照射される光、または、反射鏡2で反射された光は、発光管11に設けられた拡散部111を通過するので、拡散光としてウエハ600に照射される。
第1のランプユニット10、第2のランプユニット20とウエハ600との距離ができるだけ短くなるように設定されているので、ランプ1の発光管11に拡散部111が設けられていない場合は、前記したように、各ランプユニット10、20を構成する各ランプ間の非発光部分により、ウエハ600上の放射照度分布にリップル部分が発生する。
しかしながら、本実施例の加熱装置によれば、上記拡散光により、リップル部分が相殺され、結果としてウエハ表面での照度分布の均一性が向上する。
なお、III群に属する各ランプから放射され、直接ワークに照射される光、または、平面ミラーで反射された光は、拡散されることなく、ガードリングおよびその近傍に照射される。よって、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。ここで、III群に属する各ランプから放射され、直接、あるいは、反射鏡を介してガードリングに到達する光によるガードリング上の照度分布においては、リップル部分が存在する。しかしながら、ガードリング自体は表面における照度分布の均一性は必要としないので、リップルが存在しても不都合が生じない。
すなわち、本実施例に示す光照射式加熱装置によれば、各ランプから放射され、直接、あるいは、反射鏡を介してワークを照射する光の光路長を短くできるので、ゾーンの分離性が良好であり、しかも、当該光路長を短くすることにより従来ワーク上で生じていたリップル部分の抑制も同時に行うことが可能となる。そのため、上記したようなスパイクアニール工程にも十分対応することが可能となる。
ここで、ゾーン制御に関する説明は、先に述べたので省略する。上記したように、ゾーン制御は、直管型ランプの管軸方向と直交する一次元方向に適用される。例えば、第1のランプユニット10によるゾーン制御は、図20(a)に示すように、第1のランプユニット10を構成する各ランプ1の管軸と垂直な断面方向に適用される。
同方向において、第2のランプユニット20によるゾーン制御は、第2のランプユニット20を構成する各ランプの管軸方向が、上記方向と垂直とはならないので、実質上、実施できない。
同様に、第2のランプユニット20によるゾーン制御は、図20(b)に示すように、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1の管軸と垂直な断面方向に適用される。 同方向において、第1のランプユニット10によるゾーン制御は、第1のランプユニット10を構成する各ランプの管軸方向が、上記方向と垂直とはならないので、実質上、実施できない。
よって、各ランプユニットにより、ワーク全面(すなわち、2次元方向)に対してゾーン制御を適用するために、前記第1の実施例と同様、光照射中、ワーク6(例えば、ウエハ600)を回転させることが多い。ワーク6の回転は、例えば、ワーク6を保持するガードリング5自体を回転させることにより実現される。図19においては、ガードリング5の下端部にベアリング55が取り付けられており、ガードリング5は図示略の回転機構によって回転駆動される。なお、回転はワーク6の略中心を回転軸にして行われる。
ガードリング5に設置されるウエハ600の光照射面の裏面側には、温度測定部91がワーク6に当接或いは近接して設けられる。温度測定部91は、ウエハ600の温度分布をモニタするためのものであり、ウエハ600の寸法に応じて個数、配置が設定される。温度測定部91は、例えば、熱電対や光ファイバ式放射温度計が使用される。温度測定部91によりモニタされた温度情報は、温度計9に送出される。温度計9は、各温度測定部91により送出された温度情報に基づき、各温度測定部91の測定地点における温度を算出する。
なお、図示は省略したが、加熱処理の種類に応じて、加熱処理空間S2には、プロセスガスを導入・排気するプロセスガスユニットを接続してもよい。例えば、熱酸化プロセスを行う場合は、加熱処理空間S2に酸素ガス、および、加熱処理空間S2をパージするためのパージガス(例えば、窒素ガス)を導入・排気するプロセスガスユニットを接続する。
本実施例の光照射式加熱装置を用いた加熱処理は、前記図8に示した構成装置と同様の装置を使用して実現することができる。なお、図8では、反射鏡に拡散ミラー部を設けているが、本実施例では、ランプに拡散部が設けられる。
また、本実施例の光照射式加熱装置による加熱処理方法は、上記図8および前述した図9並びに図10、図11で説明したのと同様であり、例えば、イオンインプランテーションによってウエハに打ち込まれた不純物イオンを活性化するための高温加熱処理をスパイクアニールプロセスにより実施する場合、前述したのと同様に行うことができる。
(8)実施例4
実施例3においては、ゾーン制御が各ランプ1の管軸と垂直な断面方向に適用され、管軸方向に対してゾーン制御を行うことができなかったが、本実施例は、ワーク全面(すなわち、2次元方向)に対してゾーン制御を適用可能とし、ウエハ600(およびガードリング5)を回転させることなく、ワーク全面(すなわち、2次元方向)に対してゾーン制御を適用可能とするものである。
具体的には、両ランプユニット10、20を構成する各ランプとして、前記図12に示した、発光管の内部のフィラメントを複数に分割し、各フィラメントそれぞれ独立に給電可能な構成としたランプを使用する。このようなフィラメント構造を有する直管状のランプ1’を複数本用意し、これらを所定の間隔で並列に配置して、各ランプユニット10、20を構成する。そして、ランプ1’のうち、ウエハ600の上部に位置するものについては、発光管11に拡散部111を設ける。
このような構成においては、各ランプ1’の各フィラメントを個別に発光させたり、各ランプ1’の各フィラメントへの供給電力を個別に調整することが可能となる。よって、従来は不可能であった直管型ランプの管軸方向おけるゾーン制御を実施することが可能となる。すなわち、ワークの2次元方向に対してゾーン制御を実施することができるので、光照射中、ワーク6(例えば、ウエハ600)を回転させる必要がない。
図23は、本実施例の光照射式加熱装置(以下、加熱装置ともいう)100の構成を説明するための図である。本実施例は、ランプとして発光管の内部のフィラメントを複数に分割し、前記実施例3のようにランプの発光管に拡散部を設けたものにおいて、各フィラメントそれぞれ独立に給電可能な構成としたランプを使用したものであり、ランプが異なるなる点を除き、前記実施例3と同様の構成を有する。
本実施例の加熱装置は、図19に示す加熱装置と同様、図23に示すように、ランプユニット収容空間S1に収容される第1のランプユニット10、第2のランプユニット20、並びに、例えば無酸素銅やアルミニウムからなる板状の母材に金をコートした構造である反射鏡2により光照射手段が構成される。
なお、本加熱装置は、スパイクアニール工程に対応できるように、上記第1のランプユニット10、第2のランプユニット20とワーク6(例えば、ウエハ600)との距離ができるだけ短くなるように設定されている。
1つ以上に分割されたフィラメントを有する各ランプユニット10、20を構成するランプ1’において、ウエハ600の上部に位置するフィラメント近傍の発光管11には拡散部111が設けられている。拡散部111は、例えば、発光管11の表面をフロスト加工によりスリガラス状、または、つや消し状にしたものである。なお、発光管11に拡散部111を形成する方法としては、前述したように、発光管の表面をサンドブラストしたり、化学処理したり、ガラスを結晶化(失透)させる等の方法も考えられる。
次に、拡散部111を設けたランプ1’とワーク6との位置関係について説明する。
図24、図25は、拡散部111とワークの位置関係を示す図である。図24は、第1のランプユニット10に属するランプ1’における拡散部111とワーク6との位置関係を示す図、図25は、第2のランプユニット20に属するランプ1’における拡散部111とワーク6との位置関係を示す図である。
なお、ゾーンの分割は、前記実施例2で説明したのと同様であり、以下のように設定する。すなわち、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1’の各フィラメントをウエハ600の上部に位置するウエハ照射用フィラメント群、ガードリング照射用フィラメント群(III群)に分割する場合を考える。例として、ガードリングウエハ照射用フィラメント群は、更に、ウエハ中央部領域の上部に位置するI群、ウエハの周辺部領域の上部に位置するII群に分割する。すなわち、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20を構成する各ランプ1’の各フィラメントをI群、II群、III群の3つのゾーンに分割するものとする。
図24、図25において、実線で示すフィラメント群がI群、二重線で示すフィラメント群がII群、太線で示すフィラメント群がIII群に相当する。
図24、図25に示すように、第1のランプユニット10の各ランプ1’の発光管11において、I群に属するフィラメントからの光、並びにII群に属するフィラメントの光が透過する部分には、拡散部111が設けられている。一方、III群に属するフィラメントの光が透過する部分には、拡散部111は設けられない。
ここで、I群、II群に属するフィラメントから放射される光のうち、直接ワーク6へ照射されない方向に放射される光に対しては、前記図22(b)に示したように特に拡散部111を設けなくてもよい。すなわち、拡散部111は、必ずしも、発光管11の全周方向に設ける必要はなく、一部の周方向に関しては設けなくてもよい。
上記構成により、I群、II群に属するフィラメントから放射され、直接ウエハ600に照射される光、または、反射鏡2で反射された光は、発光管11に設けられた拡散部111を通過するので、拡散光としてウエハ600に照射される。
従来のように、ランプ1’の発光管11に拡散部111が設けられていない場合は、第1のランプユニット10、第2のランプユニット20とウエハ600との距離ができるだけ短くなるように設定されているので、各ランプユニット10、20を構成する各ランプ間の非発光部分により、ウエハ600上の放射照度分布にリップル部分が発生する。
しかしながら、本発明の加熱装置によれば、上記拡散光により、リップル部分が相殺され、結果としてウエハ表面での照度分布の均一性が向上する。
なお、III群に属する各フィラメントから放射され、直接ワーク6に照射される光、または、反射鏡2で反射された光は、拡散されることなく、ガードリング5およびその近傍に照射される。よって、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。ここで、III群に属する各ランプから放射され、直接、あるいは、反射鏡2を介してガードリング5に到達する光によるガードリング5上の照度分布においては、リップル部分が存在する。しかしながら、ガードリング自体は表面における照度分布の均一性は必要としないので、リップルが存在しても不都合が生じない。
すなわち、本実施例に示す本発明の光照射式加熱装置によれば、実施例1,2,3のものと同様、各ランプから放射され、直接、あるいは、反射鏡を介してワークを照射する光の光路長を短くできるので、ゾーンの分離性が良好であり、しかも、当該光路長を短くすることにより従来ワーク上で生じていたリップル部分の抑制も同時に行うことが可能となる。そのため、本実施例の光照射式加熱装置は、上記したようなスパイクアニール工程にも十分対応することが可能となる。
特に本実施例の加熱装置においては、ランプユニット10、20を構成する各ランプ1’において、発光管の内部のフィラメントを複数に分割し、各フィラメントそれぞれ独立に給電可能な構成としている。そして、各フィラメントを所定のゾーンに分割し、当該各フィラメントへの供給電力を個別に調整している。そのため、ワークの2次元方向に対してゾーン制御を実施することができるので、光照射中、ワーク6(例えば、ウエハ600)を回転させる必要がない。
本実施例の光照射式加熱装置を用いた加熱処理は、前記図17に示した構成の装置と同様の装置を使用して実現することができる。なお、図17では、反射鏡に拡散ミラー部を設けているが、本実施例では、ランプに拡散部が設けられる。
また、本実施例の光照射式加熱装置による加熱処理方法は、上記図17および前述した図9並びに図18で説明したのと同様であり、例えば、イオンインプランテーションによってウエハに打ち込まれた不純物イオンを活性化するための高温加熱処理をスパイクアニールプロセスにより実施する場合、前述したのと同様に行うことができる。
(9)その他の実施例
上記した実施例1〜4に記載の本発明の光照射式加熱装置は、直管状の複数のランプを所定の間隔で並列に配置して構成したランプユニットと、平面ミラーである反射鏡とからなる光照射手段を採用している。
実施例1、3のものにおいては、ランプユニットを構成する各ランプは1 本のフィラメントを有しており、ゾーン制御をワーク全面に適用するために、ワークを回転する。一方、実施例2、4のものにおいては、ランプユニットを構成する各ランプは、それぞれ1つ以上のフィラメントを有している。これらのフィラメントは個別に給電可能であり、よって、個別に点灯制御を実施することが可能である。そのため、ワークを回転せずとも、ゾーン制御をワーク全面に適用することが可能である。
また、これらの実施例の光照射式加熱装置は、スパイクアニール工程にも対応可能なように、各ランプの間の間隔をできるだけ小さくし、反射鏡としては平面ミラーを使用している。その際、各ランプから平面ミラーにより反射されウエハに到達する光の光路長、および、各ランプから直接ウエハに照射される光の光路長が短くなるように、光照射手段とワークとの距離を短く設定し、ゾーンの分離性を向上させている。
このような光照射手段を有する光照射式加熱装置において、本発明では、反射鏡の一部(構成例1)、もしくは、光照射手段とワーク(例えば、ウエハ)との間に介在する透過窓部の一部(構成例2)、ランプの発光管の一部(構成例3)に、光を拡散する拡散部を設けるものである。
上記拡散部は、ウエハの上部にあるランプ群(実施例1、3)やフィラメント群(実施例2、4)からの光が入射し、ガードリング照射用のランプ群(実施例1、3)やフィラメント群(実施例2、4)からの光が殆ど入射しない領域に設けられる。
上記構成により、拡散部によって反射された光(構成例1)や、拡散部を透過した光( 構成例2、3) は、拡散光としてワークに照射される。この拡散光により、従来のリップル部分が相殺され、結果としてウエハ表面での照度分布の均一性が向上する。
また、ガードリング照射用のランプ群(実施例1、3)やフィラメント群(実施例2、4)からの光は、上記拡散部での反射(構成例1)や透過(構成例2、3)が殆どない。よって、ガードリング照射用の光がウエハへ及ぼす影響を小さくすることができ、良好なゾーンの分離性は維持される。
ここで、光照射手段を構成するランプユニットは、必ずしも直管状の複数のランプを所定の間隔で並列に配置して構成に限るものではない。例えば、シール部がランプの一端側のみに設けられた一端封止型(シングルエンドともいう)のランプを複数、ハニカム状に並べてランプユニットを構成してもよい。
図26は、上記したようなシングルエンドのランプを複数本、ハニカム状に並べたランプユニットを採用した加熱装置の構成例を示すものである。
図26に示すように、加熱装置100は、チャンバ300を有する。チャンバ300の内部は、光透過性窓部材である石英窓部4により、ランプユニット収容空間S1と加熱処理空間S2とに分割される。
ランプユニット収容空間S1に収容されるランプユニット10から放出される光を、石英窓部4を介して加熱処理空間S2に設置されるワーク6(例えば、半導体ウエハ600、以下ウエハ600ともいう)に照射することにより、ワークの加熱処理が施される。
ランプユニット収容空間S1に収容されるランプユニット10は、シングルエンドの白熱ランプ1(以下、ランプ1ともいう)を所定の間隔でハニカム状に配置して構成される。ランプ1は、例えば、発光管の内部に1本のフィラメント14を有するハロゲンランプである。なお、各ランプ1はワーク表面に対して管軸が垂直になるように配置される。各ランプ1のシール部には、当該シール部を覆うようにスリーブ25が取り付けられている。
一方、チャンバ300の上部には、チャンバの内側表面に複数の孔26が設けられたミラー構造体200が設けられる。ミラー構造体200の内側表面は反射鏡2が形成されている。また、上記孔26は、ミラー構造体200に所定の間隔でハニカム状に配置されている。
ミラー構造体200に設けられたこれらの孔26に、上記各ランプ1のスリーブ25を嵌め合わせることにより、各ランプ1はミラー構造体200に固定される。すなわち、各ランプ1は所定の間隔でハニカム状に配置され、ランプユニット10を形成する。
ミラー構造体200の内部は空洞となっており、この空洞は、不図示の冷却手段からの冷媒が循環するように構成される。冷媒は、循環口201を介して、空洞内を循環する。この空洞内を循環する冷媒は、ミラー構造体200に取り付けられたランプ1のシール部を冷却するためのものである。すなわち、ランプ1が点灯中に温度上昇したシール部の熱は、スリーブ25およびミラー構造体26に設けられた孔部26を構成する壁を介して、ミラー構造体200内部の冷媒と熱交換される。
図26に示す加熱装置は、スパイクアニール工程に対応できるように、ランプユニット10とワーク6(例えば、ウエハ600)との距離ができるだけ短くなるように設定されている。上記したように、ランプ1はワーク表面に対して管軸が垂直になるように配置される。従って、ミラー構造体200に形成されている反射鏡2とウエハ600との距離はあまり短くならない。よって、ランプ1から直接ウエハ600に照射される光が、主に、スパイクアニール工程に使用される。
なお、特許文献3に記載されている加熱装置のように、ランプユニットは、円筒状の光ガイドに各ランプを挿入した構成にすることも可能である。この場合、光ガイドの先端から放射される光がワークの加熱に使用される。
ランプユニット収容空間S1には、冷却風ユニット8からの冷却風がチャンバ300に設けられた冷却風供給ノズル81の吹出し口82から導入される。ランプユニット収容空間S1に導入された冷却風は、ランプユニット10の各ランプ1に吹きつけられ、各ランプ1を構成する発光管を冷却する。各ランプ1に吹きつけられ、熱交換により高温になった冷却風は、チャンバ300に設けられた冷却風排出口83から排出される。なお、冷却風の流れは、熱交換されて高温になった冷却風が逆に各ランプ1を加熱しないように考慮されている。
ミラー構造体200には、図示を省略した電源供給ポートが設けられる。各ランプ1のシングルエンド部は、フィラメントに電気的に接続されたリードが2本、外部に突出している。この外部に突出したリードは、電源供給ポートを介して、給電装置60に接続される。すなわち、各ランプ1に電力を供給する給電装置60は、各ランプ1毎、個別に設けられる。このような構成により、各給電装置60から、各ランプ1へ個別に給電することが可能となる。なお、複数の給電装置を総称して電源部7と称することもある。
加熱処理空間S2には、ワーク6が固定される処理台が設けられる。例えば、ワーク6がウエハ600である場合、処理台は、モリブデンやタングステン、タンタルのような高融点金属材料や炭化ケイ素(SiC)などのセラミック材料、または石英、ケイ素(Si)からなる薄板の環状体であり、その円形開口部の内周部にウエハ600を支持する段差部が形成されている構造のガードリング5であることが好ましい。
ウエハ600は、上記した円環状のガードリング5の円形開口部に填め込むように配置され、上記段差部で支持される。ガードリング5は、自らも光照射によって高温となり対面するウエハの600外周縁を補助的に放射加熱し、ウエハ600の外周縁からの熱放射を補償する。これにより、ウエハ600の外周縁からの熱放射などに起因するウエハ周縁部600の温度低下が抑制される。
ガードリング5に設置されるウエハ600の光照射面の裏面側には、温度測定部91がワーク6に当接接触或いは近接して設けられる。温度測定部91は、ウエハ600の温度分布をモニタするためのものであり、ウエハ600の寸法に応じて個数、配置が設定される。温度測定部91は、例えば、熱電対や光ファイバ式放射温度計が使用される。温度測定部91によりモニタされた温度情報は、温度計9に送出される。温度計9は、各温度測定部91により送出された温度情報に基づき、各温度測定部91の測定地点における温度を算出する。
なお、図示は省略したが、加熱処理の種類に応じて、加熱処理空間S2には、プロセスガスを導入・排気するプロセスガスユニットを接続してもよい。例えば、熱酸化プロセスを行う場合は、加熱処理空間S2に酸素ガス、および、加熱処理空間S2をパージするためのパージガス(例えば、窒素ガス)を導入・排気するプロセスガスユニットを接続する。
次に、ランプユニットと拡散部との位置関係について説明する。
上記したように、本実施例の加熱装置の光照射手段は、シングルエンドのランプを複数本、ハニカム状に並べたランプユニットを採用している。このような構成においては、各ランプ1を個別に発光させたり、各ランプ1のフィラメントへの供給電力を個別に調整することが可能となる。よって、実施例2、4のものと同様、ワークの2次元方向に対してゾーン制御を実施することができるので、光照射中、ワーク6(例えば、ウエハ600)を回転させる必要がない。
また、上記したように、反射鏡2とワークとの距離はあまり短くならないので、ランプ1から直接ウエハ600に照射される光が、主に、スパイクアニール工程に使用される。特許文献3に記載されている加熱装置のように、ランプユニットは、円筒状の光ガイドに各ランプを挿入した構成にした場合においても、光ガイドの先端から放射される光がワークの加熱に使用される。
従って、本実施例の加熱装置においては、透過窓部4に拡散部41を設ける構成例2、あるいは発光管の一部に拡散部を設ける構成例3の構成が採用される。図26では、透過窓部4に拡散部41を設けた場合を示している。
ランプユニット10を構成するシングルエンドの各ランプ1をウエハ600の上部に位置するウエハ照射用ランプ群、ガードリング照射用ランプ群(III群)に分割する場合を考える。ガードリングウエハ照射用ランプ群は、更に、ウエハ中央部領域の上部に位置するI群、ウエハの周辺部領域の上部に位置するII群に分割する。すなわち、ランプユニット10を構成する各ランプを3つのゾーンに分割するものとする。
図27は、拡散部41を設ける位置関係を示す図である。図27において、実線で示すランプ群がI群、二重線で示すランプ群がII群、太線で示すランプ群がIII群に相当する。
図27に示すように、拡散部41は、I群に属するランプ1からの光、並びにII群に属するランプ1からの光が入射し、かつ、III群に属するランプ1からの光が殆ど入射しない領域に設けられる。
なお、ワークであるウエハ600の形状、並びに、ガードリング5の形状が円形であるので、拡散部41の形状は円形となる。
上記構成により、I群、II群に相当するランプ1から放射され透過窓部4を透過する光は拡散光としてウエハ600に照射される。透過窓部4が従来のように、拡散部を有さない場合、ランプユニット10とウエハ600との距離ができるだけ短くなるように設定されているので、ランプユニット10を構成する各ランプ間の非発光部分により、ウエハ600上の放射照度分布にリップル部分が発生する。しかしながら、本発明の加熱装置によれば、上記拡散光により、リップル部分が相殺され、結果としてウエハ表面での照度分布の均一性が向上する。
なお、III群に相当するランプ1から放射され透過窓部4を透過する光は、拡散部41を殆ど透過しない。よって、III群とII群との良好なゾーンの分離性は維持される。ここで、III群に属する各ランプ1から放射されガードリング5に到達する光によるガードリング5上の照度分布においては、リップル部分が存在する。しかしながら、ガードリング5自体は表面における照度分布の均一性は必要としないので、リップルが存在しても不都合が生じない。
なお、図26に示す加熱装置による加熱処理は、実施例2における各フィラメントを各ランプに置き換えたものと同等であるので、説明を省略する。
本発明の構成例1を示す図である。 本発明の構成例2を示す図である。 本発明の構成例3を示す図である。 本発明の実施例1の光照射式加熱装置の構成を示す図である。 実施例1において拡散ミラー部とワークの位置関係を説明する図(断面方向から見た図)である。 実施例1において拡散ミラー部とワークの位置関係を説明する図(上部から見た図)である。 実施例1の変形例を説明する図である。 実施例1の光照射式加熱装置による加熱処理を説明するための制御ブロック図である。 加熱処理プロセスにおけるランプユニットへの供給電力の動作条件を示す図である。 実施例1の光照射式加熱装置を用いた加熱処理例のフローチャート(1)である。 実施例1の光照射式加熱装置を用いた加熱処理例のフローチャート(2)である。 実施例2、4で用いられるランプの詳細構造を示す図である。 本発明の実施例2の光照射式加熱装置の構成を示す図である。 実施例2において第1のランプユニットと拡散ミラー部とワークの位置関係を説明する図である。 実施例2において第2のランプユニットと拡散ミラー部とワークの位置関係を説明する図である。 実施例2の変形例を説明する図である。 実施例2の光照射式加熱装置による加熱処理を説明するための制御ブロック図である。 実施例2の光照射式加熱装置を用いた加熱処理例のフローチャートである。 本発明の実施例3の光照射式加熱装置の構成を示す図である。 実施例3においてランプに設けられる拡散部とワークの位置関係を説明する図(断面方向から見た図)である。 実施例3においてランプに設けられる拡散部とワークの位置関係を説明する図(上部から見た図)である。 拡散部の形成例を説明する図である。 本発明の実施例4の光照射式加熱装置の構成を示す図である。 実施例4において第1のランプユニットと拡散部とワークの位置関係を説明する図である。 実施例4において第2のランプユニットと拡散部とワークの位置関係を説明する図である。 その他の実施例の加熱装置(シングルエンドのランプを使用)の構成例を示す図ものである。 その他の実施例において拡散部とワークの位置関係を説明する図である。 直管型ランプと波形ミラーとからなる光照射手段によりウエハおよびガードリングを照射したときのウエハおよびガードリング上の照度分布を説明する図である。 スパイクアニール工程に対応した光照射式加熱装置の概略構成、並びに、ウエハおよびガードリング上の照度分布を説明する図(1)である。 スパイクアニール工程に対応した光照射式加熱装置の概略構成、並びに、ウエハおよびガードリング上の照度分布を説明する図(2)である。
符号の説明
1,1’ ランプ
10,20 ランプユニット
11 発光管
12a,12b 封止部
13a〜13f 金属箔
14,14a〜14e フィラメント
18a〜18e,18’,18’’ 外部リード
2 反射鏡(平面ミラー)
21 拡散ミラー部
300 チャンバ
4 透過窓部材(石英窓部)
41 拡散部
5 ガードリング
55 ベアリング
51 取付台
52 端子台
500 ランプ固定台
501 ランプ固定台
556 回転機構制御部
6 ワーク
600 ウエハ
60,62、63、64、65、66 給電装置
7 電源部
71,72 電源供給ポート
8 冷却ユニット
81 冷却風供給ノズル
82 吹出し口
83 冷却風排出口
9 温度計
91 温度測定部
100 加熱装置
111 拡散部
200 ミラー構造体
201a カセット
201b カセット
202a 搬送機構
202b 搬送機構
204 搬送機構制御部
S1 ランプユニット収容空間
S2 加熱処理空間
MC 主制御部

Claims (8)

  1. 被加熱物と、その外周に配置されたガードリングと、これら被加熱物とガードリングの上方に配置された複数のランプと、当該ランプの上方に配置された反射鏡とを備えた光照射式加熱装置において、
    拡散光が前記被加熱物の全面に入射するように、該被加熱物に対応する上方領域に拡散部材が位置している
    ことを特徴とする光照射式加熱装置。
  2. 前記拡散部材の占める領域の大きさは、被加熱物の外周により囲まれる領域の大きさと同等、もしくは、被加熱物の外周周辺を含む領域の大きさと同等である
    ことを特徴とする請求項1に記載の光照射式加熱装置。
  3. 前記ランプは、発光管内に管軸方向に複数分割された発光部を有し、各分割された発光部がそれぞれ給電される白熱ランプであり、前記ランプを複数平行に配置した
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光照射式加熱装置。
  4. 前記拡散部材は、前記反射鏡に形成された拡散部である
    ことを特徴とする請求項1,2または請求項3に記載の光照射式加熱装置。
  5. 前記拡散部材は、前記被加熱物と前記ランプとの間に配置された光透過性窓部材に形成された拡散部である
    ことを特徴とする請求項1,2または請求項3に記載の光照射式加熱装置。
  6. 前記拡散部材は、前記ランプの発光管に形成された拡散部である
    ことを特徴とする請求項1,2または請求項3に記載の光照射式加熱装置。
  7. 光照射式加熱装置のカードリング内に配置された被加熱物を複数のランプよって加熱する光照射式加熱方法において、
    前記被加熱物に、該被加熱物に対応する上方領域に配置した拡散部材からの拡散光を照射し、
    前記ガードリングには、非拡散光を支配的に照射する
    ことを特徴とする光照射式加熱方法。
  8. 請求項7に記載の拡散部材は、ランプの上方に配置された反射鏡に形成された拡散部である
    ことを特徴とする光照射式加熱方法。
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