JP2008066601A - 基板処理方法、基板処理装置及び半導体装置 - Google Patents

基板処理方法、基板処理装置及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電着法により基板に設けた非貫通穴内部に絶縁層を形成する際に、絶縁層を必要としない基板表面の絶縁層の形成を抑制し、非貫通穴内部に選択的に成膜できる基板処理方法、基板処理装置及び半導体装置を提供すること。
【解決手段】半導体基板10に非貫通穴11を形成し、電着法により非貫通穴11内部に絶縁層15を形成する際に基板10の表面に形成される余剰な絶縁層15を、摩擦手段17による摩擦によって除去し、これによって非貫通穴11内部に選択的に絶縁層15を成膜する。
【選択図】図1−1

Description

本発明は、半導体基板に形成した非貫通穴内部に絶縁層を形成するのに用いて好適な基板処理方法、基板処理装置及び半導体装置に関するものである。
電子機器の小型化、高速化、低消費電力化の進行に伴い、半導体装置である半導体チップ(半導体基板)と実装基板との間や、チップ相互間での接続の高密度化が必須になってきている。チップと実装基板の電気的な接続には従来はリードフレームが用いられ、リードフレームとチップ上の接合パッドとを金線等で接続するワイヤボンディング法が広く用いられてきた。また、チップ上にバンプと呼ばれる金属の突起を形成し、配線を形成したフイルム状の基板に接合するTape Carrier Package (TCP)と呼ばれる方法や、バンプを直接実装基板や中継基板(インターポーザ)に接合するベアチップ実装なども実用化されている。さらに、1つのパッケージ内に複数のチップを積層するMulti Chip Package (MCP)やSystem In Package (SIP)も実用化が進んできており、パッケージ内での接合技術がこれまで以上に重要になってきている。
MCPやSIPでのパッケージ内の電気的接続には、主にこれまでどおり金線等によるワイヤボンディングが用いられている。これには、チップ上の接合パッドから一旦リードフレームを中継して別のチップの接合パッドへと連結する方法や、大きさの違うチップを重ねた時に生じる段差を利用し、チップ間をワイヤボンディングで直接接続する方法がある。また、特に2つのチップ間の接続には、チップ表面を対面させ、接続パッド同士をはんだバンプ等を介して直接接着する方法も採られている。
これに対し、チップに貫通穴を形成し、重なり合った複数のチップの配線を貫通穴を通して直接接続する技術(貫通ビア)の開発も進んでいる。これは、配線を形成したウエハの接続パッド部にドライ又はウエットエッチングにより非貫通穴を形成し、非貫通穴内に導電性物質(銅等)を埋め込んだ後、ウエハを裏面から研削やエッチング等で薄板化して貫通穴を形成する技術である。薄板化後の貫通穴内には導電性物質(銅等)が埋め込まれ、下層のチップの接続パッド部とは垂直方向に直接相互接続される。この技術ではパッケージサイズがチップサイズと等しく、高密度実装が可能となるため、装置の小型、軽量化に寄与できる。また積層したチップ間の電気的結合を貫通穴を介して行うことで、従来以上に接合パッド間隔を狭められるようになるため、チップ面積を縮小できる。同じようにワイヤボンディング法の制約からこれまでチップの端部に並べていた接合パッドをチップ内に自由に配置できるようになるので、チップ内配線の配置の自由度が向上し、チップ内配線長の低減、さらには処理速度及び消費電力といったチップ性能の改善が期待できる。
このような貫通ビアを用いた実装法では、薄板化以前の非貫通穴の深さは完成時のチップ厚さ以上が必要であり、その深さは数10〜数100μm程度、その大きさは1辺数10μm角程度である。非貫通穴に金属配線材料を埋める方法としては、電解めっき法、CVD法、PVD法、リフロー法、導電性樹脂充填法等が挙げられる。
一方、エッチング法等で形成した非貫通穴の側面は半導体の基板であるケイ素(Si)が露出している。Si自体は導電性を持つため、非貫通穴の側面に直接導電層を形成すると、基板への電流リークや基板への意図しないバイアス印加が起きてしまうため、非貫通穴側面と導電層との間に絶縁層を挿入する必要がある。一般に非貫通穴の形成はトランジスタや配線等のデバイスが形成された後に行なわれるので、側壁への絶縁層の形成のために高温処理をして側壁を熱酸化することはできない。このため、絶縁層形成にはCVD法や塗布法等が用いられる。このうちCVD法は大規模な装置が必要であり、コスト上不利である。また塗布法は平坦面に均一な絶縁層を形成するのには、安価で生産性も高く非常に有利だが、非貫通穴のような凹凸形状では、穴底の膜厚が厚く、側壁が薄くなるといった不均一が発生しやすい。
一方上記以外に電着法による樹脂層の形成が提案されている。電着法とは表面が帯電した樹脂粒子を含む電着液中に基板を浸漬し、基板表面に電圧を印加することで基板表面に樹脂粒子を付着、膜を形成させる技術である。その後、基板を加熱することで溶剤成分の除去と同時に付着した樹脂を重合させ、緻密で強固な絶縁層を形成することができる。この方法自体は、簡単な装置で処理が可能であり、基板形状の影響を受けずに等方的な膜が得られるので、防錆塗装等に広く用いられている。一方で得られる絶縁層のうち不要な部分についてはその後の工程で除去する必要があるが、電着による絶縁層は安定性が高く、一旦成膜してしまうとその除去には、酸素プラズマを用いたアッシング処理や、薬液処理(例えば必要な部分をレジスト材やフィルム等でマスキングした後に溶剤を用いて溶解するウェットエッチング)や、砥粒を用いた研磨等が必要となり、何れの方法でも除去工程が複雑且つ高コストになってしまう。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、電着法により基板に設けた非貫通穴内部に絶縁層を形成する際に、絶縁層を必要としない基板表面の絶縁層の形成を抑制し、非貫通穴内部に選択的に成膜できる基板処理方法、基板処理装置及び半導体装置を提供することにある。
本願請求項1に記載の発明は、半導体基板に非貫通穴を形成し、電着法により前記非貫通穴内部に絶縁層を形成する基板処理方法において、前記電着法により基板の非貫通穴内部に絶縁層を形成する際に基板の表面に形成される余剰な絶縁層を、摩擦によって除去することを特徴とする基板処理方法にある。なお本発明を適用する基板の非貫通穴の寸法は、その一辺が10μmから500μm程度、深さが10μmから800μm程度であることが好ましい。
本願請求項2に記載の発明は、前記基板の表面に形成される余剰な絶縁層の摩擦は、電着中又は電着直後に行うことを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法にある。
本願請求項3に記載の発明は、前記電着法に用いられる電着液は、カチオン系電着液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板処理方法にある。
本願請求項4に記載の発明は、前記カチオン系電着液には、ポリイミド電着液、ポリスチレン電着液、エポキシ電着液、又はアクリル電着液の内の少なくとも何れか1つを含むことを特徴とする請求項3に記載の基板処理方法にある。
本願請求項5に記載の発明は、前記絶縁層表面の摩擦に用いる摩擦手段として、ブラシ、スポンジ、ロール、ヘラの内の少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載の基板処理方法にある。
本願請求項6に記載の発明は、前記摩擦手段の前記絶縁層表面を摩擦する摩擦面は、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、セルロース、又は不織布の内の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項5に記載の基板処理方法にある。
本願請求項7に記載の発明は、前記絶縁層表面の摩擦に用いる摩擦手段として、水流又は気流を用いることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載の基板処理方法にある。
本願請求項8に記載の発明は、非貫通穴を形成した半導体基板の基板処理方法において、電着法により前記非貫通穴内部を絶縁層で被覆し、次に前記絶縁層表面に導電層を形成し、次に前記導電層表面に電着法により第2の絶縁層を形成し、次に前記第2の絶縁層表面に導電層を形成することにより、半導体基板の非貫通穴内部に同軸構造の導電層を設けることを特徴とする基板処理方法にある。
本願請求項9に記載の発明は、非貫通穴を有する半導体基板の前記非貫通穴内部に電着法により絶縁層を形成する基板処理装置において、前記基板処理装置は、前記電着法によって形成される基板表面の絶縁層を摩擦する摩擦手段を具備することを特徴とする基板処理装置にある。
本願請求項10に記載の発明は、前記摩擦手段は、ブラシ、スポンジ、ロール、ヘラ、水流、気流の内の少なくとも何れか1つから選択されることを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置にある。
本願請求項11に記載の発明は、前記摩擦手段は、前記基板処理装置の電着槽に設置され、電着と摩擦を同時又は交互におこなうことを特徴とする請求項9又は10に記載の基板処理装置にある。
本願請求項12に記載の発明は、半導体基板に設けた貫通穴の内部に、電着法による絶縁層と、導電層と、電着法による第2の絶縁層と、第2の導電層とを、略同軸状に形成し、基板表面と裏面とを電気的に接続することを特徴とする半導体装置にある。
電着法により基板の非貫通穴内部に絶縁層を形成する際に、基板表面に形成される余剰な絶縁層を容易に除去でき、選択的に非貫通穴内部に電着法による絶縁層を成膜することができる。このことにより基板表面の余剰な絶縁層のその後の除去工程が不要になり、半導体装置の製造コストの低減化が図れる。本発明により、例えば一辺が数10μm程度の非貫通穴に絶縁層を形成する際の処理時間を大幅に短縮でき、簡単な装置で処理工程も簡素化できる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1−1,図1−2は本発明の基板処理方法を用いて半導体基板(以下「基板」という)に貫通ビアを形成する基板処理手順を示す図である。以下各工程を順番に説明する。
a・非貫通穴形成工程
基板の表面と裏面を導通させるために、まず図1(a)において、基板10上に、ドライエッチング法やウェットエッチング法により非貫通穴11を形成する。この実施形態では基板10としてSi基板を用いている。非貫通穴11の側壁13は基板10を構成するSiが露出するので、非貫通穴11に直接導電層を形成すると、基板10への電流リークや意図しない基板バイアスの印加が発生し、消費電力の面だけでなく、半導体装置の動作そのものに影響する。そのため、非貫通穴11の側壁13への下記する絶縁層15の形成は非常に重要である。
b.絶縁層形成工程
次に図1(b)に示すように、電着法により、電着液中に浸漬した基板10に電圧を印加することで、非貫通穴11を含む基板10表面に絶縁層15を形成する。一般に電着に用いる電着液としては、液中にカチオン系高分子のコロイドを分散させたカチオン系電着液と、アニオン系高分子コロイドを分散させたアニオン系電着液とがあるが、アニオン系の電着は電着時に基板10に正電圧を印加するため、基板10の表面が腐食する恐れがあるので、半導体装置に用いる基板10への成膜にはカチオン系電着液を用いる方が望ましい。カチオン系電着液を用いた場合、基板10に負電圧を印加することで溶媒に含まれる水分が基板10上で電気分解する。電気分解により基板10の表面では下記する式(1)の反応が進行するため、H2の発生と共に基板10の近傍にOH-が蓄積される。
2H2O+2e-→H2+2OH- 式(1)
カチオン系高分子コロイドは表面が正電荷で帯電しており、液中では静電気力により均一に分散し、凝集を防いでいる。水の電気分解により、式(1)の反応が起きると、基板10の表面で発生したOH-とカチオン系高分子コロイド表面の正電荷とが結合し、静電気的に中和されて沈殿になり、基板10の表面に付着して高分子膜からなる絶縁層15が形成される。
絶縁層15となるカチオン系電着膜の種類としては、ポリイミド、ポリスチレン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等がある。この中でもポリイミドは半導体装置の製造において使用実績があり、熱的にも安定なので電着膜、即ち絶縁層15として適している。またポリスチレンの電着膜は付き回り性に優れ、平滑な表面が得やすい。
電着法はめっき法のように成膜物質(金属イオン)と電極表面とが直接電荷を授受するのではなく、水の電気分解により高分子コロイドの表面電荷が中和され、沈殿が生成する過程をとるため、絶縁物の成膜ができる他に、基板10の微細な凹凸や欠陥を緩和して平滑化する効果もある。また、基板10の表面に絶縁性の電着膜が一旦形成されるとその部分は電気抵抗が上昇して水の電気分解が阻害されるので、成膜されていない箇所での成膜が優先されるようになり、結果として一定時間以上の電着により基板10の表面全体でそろった膜厚が得られる。
電着により絶縁層15を基板10上に成膜する場合、基板10に直接電圧を印加すると基板10を介して基板10全体に電流が流れるので、非貫通穴11内部への電着が可能である。なお基板10の裏面については、基板10を保持する際に基板10の外周にシール機構を設けることで電着液と接触させないようにすれば、成膜は防止できる。一方基板10の表面に基板10と導通している箇所があると、その部分にも電着膜が形成される。例えば配線を介して基板10と導通している箇所や直接基板10のSiが露出している部分では、その上に電着膜が形成される。即ち図1(b)に示すように、非貫通穴11の側壁13以外でも基板10と導通しているその表面14にも電着膜である絶縁層15が形成される。このため以下の工程で、絶縁層15が不要な箇所は成膜中又は成膜後に除去する。
c.絶縁層除去工程
即ち前記電着処理の途中、又は電着処理完了直後に、上記基板10の表面を、図1(c)に示すように、ブラシ、スポンジ、ロール、ヘラ等の摩擦手段17で擦り、基板10の表面の余剰な絶縁層15を除去する。前記摩擦手段17の絶縁層15表面を摩擦する摩擦面としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、発泡ポリウレタン、セルロース、不織布、軟質ゴム等が好適である。また摩擦手段17は上記した各種機械的摩擦手段に限らず、場合によっては、絶縁層15表面を摩擦するように吹き付けられる水流や気流のような流体による摩擦手段であっても良い。要は基板10表面の余剰な絶縁層15を摩擦によって除去することができるものであれば良い。以上のことから図1(d)に示すように、非貫通穴11の内部には絶縁層15が残るので、非貫通穴11の側壁13に絶縁層15を選択的に形成できることとなる。擦るタイミングや擦る量、圧力等を適宜調整することで、基板10の表面の絶縁層15を完全に除去することも、所望の厚さだけ残すことも可能である。そして基板10上に付着した電着液を洗浄・除去した後、基板10を加熱して絶縁層15中の溶剤成分の除去と高分子の重合とを行なって乾燥すれば、緻密な絶縁層15が得られ、非貫通穴11内部の絶縁層15の形成が完成する。
即ち、電着膜である絶縁層15は熱処理、乾燥を行なうと緻密な膜になるが、電着直後(又は電着中)は電着膜中に溶剤成分を多く含み、高分子粒子同士の重合も進んでいないため軟質で変形し易い。そこで本発明においては、電着直後(又は電着しながら)不要部分を加工することで、電着後に所望の箇所のみ(即ち非貫通穴11の内壁のみ)に成膜させたのである。これによって従来のように緻密な絶縁層15を形成した後に、酸素プラズマ処理や薬液処理や砥粒を用いた研磨処理等の複雑且つ高コストな除去方法を用いることなく、容易且つ確実に不必要な絶縁層15の除去が可能になった。例えば、ポリイミド系およびポリスチレン系などの電着膜の場合、電着した直後の膜は膨潤した状態である。液から取り出し、溶媒が乾燥すると、電着膜が硬化し剥がれ落ちるようになるため、余剰な膜を除去したり加熱したりなどの加工は、電着膜が膨潤している間、乾燥する前に行うことが好ましい。乾燥したかどうかを外観(反射率、屈折率)、含水率、硬度などで判断することができる。摩擦手段として流体を利用するときは、流体が液体の場合は、純水や電着液に含まれる溶媒成分を用いることが好ましい。また流体が気体の場合は、電着膜の乾燥を防止することが望ましく、溶媒成分のミストを含む気流を用いることが好ましい。気体の成分は、銅などの酸化されやすい下地を用いる場合は不活性気体を用い、シリコン基板等の場合は空気を用いることができる。また、流体で絶縁層を除去する場合、流体を基板表面に垂直に当てると非貫通孔内部の膜も除去されてしまうことがあるので、垂直よりは斜めに当てることが好ましい。
d.導電体埋込み工程
次に図1(e)に示すように、非貫通穴11内部に導電体19を埋め込む。この埋込みを行なうには、まず基板10の表面全体(非貫通穴11内部を含む)にスパッタリングや真空蒸着等で導電層を形成し、続いて前記導電層上にめっき法によりその表面全体(非貫通穴11内部を含む)に導電体19を形成する。このとき非貫通穴11内部は前記導電体19が埋めこまれる。この実施形態では導電体19を構成する金属として銅を用いている。そして基板10の表面の余剰な導電体19をエッチングやポリッシング等の各種導電体除去手段により除去し、これによって図1(f)に示すような非貫通穴11内部に導電体19が埋め込まれた基板10を得る。
e.裏面削除工程
そして図1(g)に示すように、前記基板10を裏面から研削し、非貫通穴11の底部から前記埋込んだ導電層19を露出させることで、図1(h)に示すような、基板10の表裏間(厚み方向)の導通を確保した基板10が得られる。なお基板10の裏面を削除する方法としてエッチング等の他の各種手段を用いても良い。
〔第2実施形態〕
図2−1,図2−2は本発明の基板処理方法を用いて基板に貫通する同軸配線構造を形成する基板処理手順を示す図である。以下各工程を順番に説明する。なお図2(a)〜(d)に示す各工程は、前記図1(a)〜(d)に示す各工程と同一なので、その詳細な説明は省略する。即ちまず基板10に非貫通穴11を形成し(a.非貫通穴形成工程)、次に電着法により非貫通穴11を含む基板10表面に絶縁層15を形成し(b.絶縁層形成工程)、次に基板10の表面の余剰な絶縁層15を除去して(c.絶縁層除去工程)、図2(d)の、非貫通穴11の側壁13に絶縁層15を選択的に形成した基板10を得る。
f.導電層形成工程
次に図2(e)に示すように、非貫通穴11内部を含む基板10の表面に導電層21を形成する。導電層21の形成は、まず基板10の表面全体(非貫通穴11内部を含む)にスパッタリングや真空蒸着等で導電層を形成し、続いて前記導電層上にめっき法によりその表面全体(非貫通穴11内部を含む)に導電層21を形成する。このとき第1実施形態の図1(e)のように非貫通穴11の内部を導電体19で完全に埋め込むのではなく、その内壁全体を覆う膜厚とする。
g.第2の絶縁層形成工程
さらに図2(f)に示すように、前記導電層21の上面に電着法により、電着膜からなる第2の絶縁層(絶縁層)23を形成する。
h.第2の絶縁層除去工程
次に図2(g)に示すように、前記第2の電着処理の途中、又は第2の電着処理完了直後に、上記基板10の表面を、ブラシ、スポンジ、ロール、ヘラ等の摩擦手段17で擦り、図2(h)に示すように非貫通穴11の内部に絶縁層23を残して、基板10の表面の余剰な絶縁層23を除去する。そして基板10を再度洗浄、加熱して、絶縁層23中の溶剤成分の除去と高分子の重合とを行なう。なお摩擦手段17として水流又は気体を用いても良いことは上述の通りである。
i.第2の導電層形成工程
次に図2(i)に示すように、非貫通穴11内部を含む基板10の表面に第2の導電層(導電層)25を形成する。第2の導電層25の形成方法は、前記導電層21の形成方法と同じである。このとき非貫通穴11の内部には第2の導電層25となる金属(銅)を完全に埋込み、空隙を残さないようにすることが望ましい。
上記めっき法による非貫通穴11内部の埋込みめっき完了後、化学的機械的研磨法(CMP法)や薬液によるウェットエッチング法等により、基板10の表面の余剰な導電層25,21を除去して図2(j)に示す状態とする。
j.裏面研削工程
そして図2(k)に示すように、前記基板10を裏面から研削し、非貫通穴11の底部から前記埋込んだ導電層21,25を露出させることで、図2B(l)に示すような、基板10の表裏間(厚み方向)の導通を確保した基板10が得られる。なおこのとき2回目の埋込みで形成した内側の第2の導電層25まで露出させる必要がある。
以上のような構造の半導体装置とすることで、基板10の表裏を同軸の配線構造(導電層21と第2の導電層25)で接続することができる。このように1つの貫通穴を同軸の配線構造とすることで、1つの貫通穴で2本の信号線や電源線を通すことができ、半導体装置の小型化が可能になる他に、同軸配線構造により信号線の高周波特性、耐ノイズ性を改善できるので、基板10間の信号伝送を高速化でき、システム全体の高速化に寄与することが可能となる。さらに電着による絶縁層15,23の形成と、めっき法による導電層21,25の形成を繰り返し行うことで、1つの貫通穴に3本以上の信号線を通してもよい。
また例えば前記図2(j)の状態で、基板10の表面から外層の導電層21と内層の第2の導電層25にそれぞれ別個に配線を接続したり、或いは前記図2(l)の状態で、例えば基板10の表面からは内層の第2の導電層25に、基板10の裏面からは外層の導電層21にといったように配線を接続すると、基板10内部に大容量のキャパシタを形成することができる。半導体装置内部では大きさ、材料の制約から大容量のキャパシタは形成するのが難しく、大容量の保護回路を形成する場合等は外部に別途チップコンデンサ等の部品を用意する必要があるが、この実施形態のように基板10の内部にキャパシタを形成することで部品点数の低減化と小型化が可能になる。
〔第3実施形態〕
基板10の表裏を貫通穴を通して接続する場合、貫通穴内部に大きな空間があると内部の空気の熱膨張により基板や配線に応力がかかるので接続の信頼性が低下する恐れがある。そのため貫通穴内部は空間を残さずに固体を充填しておく必要がある。貫通穴内部を金属(銅)めっきで充填すれば低抵抗で表裏を接続することができるため半導体装置の性能的には極めて有利である。一方、貫通穴のサイズは1辺が数10μmオーダーなので、めっき法で充填する場合、めっき膜の限界成長速度の制約によりめっき時間が1時間以上と非常に長くなる。量産性を確保するためには並行してめっきを行なうよう製造装置を大型化する必要があり、コストアップの要因となってしまう。そこで貫通穴の内周のみ導電層を形成し、その内部は絶縁体で充填する方法の方が安価で量産に適している。電着法では電着速度が毎分10〜20μm厚と電解めっき法と比べて約1桁高速のため、処理時間を大幅に短縮できる。
図3−1,図3−2は本発明の基板処理方法を用いて基板の非貫通穴の内周のみ導電層を形成し、その内部を絶縁体で埋める基板処理手順を示す図である。以下各工程を順番に説明する。即ちまず前記図2(a)〜(e)の各工程と同一の工程を行うことで、図3(a)に示すような、非貫通穴11の内部に選択的に絶縁層15を形成し且つ表面全体(非貫通穴11内部を含む)に導電層21を形成した基板10を得る。即ちまず基板10に非貫通穴11を形成し(a.非貫通穴形成工程)、次に電着法により非貫通穴11を含む基板10表面に絶縁層15を形成し(b.絶縁層形成工程)、次に基板10の表面の余剰な絶縁層15を除去し(c.絶縁層除去工程)、これを洗浄・加熱して溶剤成分の除去と高分子の重合を行ない、さらにその上に導電層21を形成することにより(f.導電層形成工程)、図3(a)に示す基板10を得る。
k.繰返し絶縁層形成工程
次に図3(b)〜図3(i)に示すように、前記導電層21上に、上記と同様の電着法により、電着膜からなる第2の絶縁層(絶縁層)27を形成(成膜)する第2の絶縁層形成工程〔(b),(e),(h)〕と、ブラシ等の摩擦手段17の摩擦による表面の第2の絶縁層除去工程〔(c),(f),(i)〕とを繰り返し行なう。摩擦は電着を一旦停止してから行なってもよいが、電着を行ないながら同時に行なう方が時間的に効率が良い。また基板10の洗浄・加熱は電着ごと、即ち図3(d),(g),(j)の状態ごとに行なってもよいが、非貫通穴11が小さく内部の絶縁層15,27の体積が小さければ途中の洗浄・加熱工程は省略して、最後の絶縁層除去工程〔図3(i)〕の後の図3(j)に示す状態の際に洗浄と加熱を行ない、溶剤の除去と高分子の重合とを行っても良い。
l.導電層除去工程
続いて基板10の表面から余剰な導電層21を除去する。この導電層の除去は、CMPやエッチング等を用いて行なっても良いが、この実施形態では図3(k)に示すように、フォトレジスト膜29をマスクに用い、エッチング法により基板10表面の導電層21をパターニングしてフォトレジスト膜29を除去することとした(図3(l)参照)。フォトレジスト膜29を用いると、非貫通穴11の導電層21から横方法(表面方向)に配線を取り出せるので、特に半導体装置の回路と非貫通穴11とが離れている場合に接続が容易である。なお、フォトレジスト膜29を用いる方法以外の各種方法によって配線を取り出しても良い。
〔基板処理装置〕
図4は本発明にかかる基板処理装置(電着装置)40の1例を示す模式図(側断面図)である。同図に示すように基板処理装置40は、電着液Qを収納した電着槽41の底面中央にその上面に基板10を保持する基板ホルダ43を設置するとともに、基板ホルダ43の上方の基板10と対向する位置に対極45を取り付けた対極保持部材47を設置し、また前記基板ホルダ43の上面に保持した基板10の表面(上面)上を摩擦するブラシ51及びブラシ駆動機構53とを有する摩擦手段49を設置し、さらに前記基板10と対極45間に電圧を印加する電源61を具備して構成されている。ここでブラシ駆動機構53は、ブラシ51を回転駆動すると同時にこのブラシ51を水平方向に移動させる機構を具備して構成されている。なお基板ホルダ43は基板10外周部に基板10への給電点(図示せず)を持ち、基板10表面に電源61よりの電圧を印加する。
上記基板処理装置40において、予めエッチング法等により非貫通穴11を形成した基板10を、非貫通穴11を形成した側の面を上面として、基板ホルダ43に固定し、電着液Q中に浸漬する。そして対極45と基板10間にそれぞれ正と負の電圧を一定時間印加して基板10の表面に電着膜からなる絶縁層を成長させた後、電着槽41内に設置した摩擦手段49のブラシ51を回転しながら水平方向に移動することで基板10の表面をその全体にわたって摩擦し、基板10の表面の余剰な絶縁層を除去する。このときブラシ51の基板10への面圧や回転速度や走査速度を調整し、非貫通穴11内の絶縁層は残す条件に制御する。以下、前記電着と摩擦とを必要に応じて同時又は繰り返し交互に行ない、非貫通穴11内部で所望の膜厚の絶縁層となるようにする。なおブラシ51による基板10の摩擦は前述のように電着を停止したときに行なっても良いし、電着を行いながら同時に行っても良い。
〔電着成膜装置〕
図5は前記図4に示す基板処理装置(電着装置)40を含んだ電着成膜装置70の1例を示す模式図(平面図)である。同図に示すように電着成膜装置70は、基板を収納する基板ケース71と、基板に電着を行なう前記基板処理装置40と、基板を洗浄する洗浄装置73と、基板を加熱するベーク装置75と、前記各装置に基板を搬送する搬送ロボット77とを具備して構成されている。
基板ケース71に収納されている未処理基板(非貫通穴を形成した基板)は、搬送室79内の搬送ロボット77によって基板ケース71から取り出され、基板処理装置40に運ばれる。基板処理装置40では図4で説明したような手順により基板の非貫通穴内部への電着膜からなる絶縁層の形成と基板表面の絶縁層の摩擦除去が行われる。次に搬送ロボット77は基板を洗浄装置73に移送し、基板表面に付着している電着液を洗浄し、膜になっていない高分子の粒子を除去する。洗浄には電着液の溶剤を希釈したものを用いると、洗浄時の絶縁層の収縮を防止できる。洗浄された基板は搬送ロボット77によってベーク装置75に移送され、加熱される。加熱により溶剤が蒸発すると共に電着した高分子膜の重合が進行し、より緻密な電着膜からなる絶縁層が得られる。その後基板は搬送ロボット77によって基板ケース71に戻され、この電着成膜装置70による処理が完了する。加熱前に絶縁層の除去の状態を測定し検知する図示しないセンサーを具備しても良い。基板表面の反射率または屈折率を測定することにより、基板表面の絶縁層の膜厚や、絶縁層の除去が完了したかどうかを判断することができる。
図6は前記図4に示す基板処理装置40の代りに基板処理装置40−2を用いて構成した電着成膜装置70−2の1例を示す模式図(平面図)である。この電着成膜装置70−2において、前記電着成膜装置70と相違する点は、基板処理装置40−2の構成だけなので、それ以外の装置には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
この実施形態に用いる基板処理装置40−2は、電着槽41−2と摩擦手段49−2とを分離している。つまり前記絶縁層形成工程と絶縁層除去工程とを別々の装置で行なう。電着槽41−2と摩擦手段49−2とを分離することで、各々の機構が単純化でき、装置の信頼性が向上すると共に、電着槽41−2と摩擦手段49−2でのそれぞれの処理時間を短縮でき、装置全体のスループットを改善できる。この電着成膜装置70−2の場合、搬送ロボット77によって基板ケース71から取り出された未処理基板は、電着槽41−2に移送されて電着による絶縁層が形成された後、搬送ロボット77によって摩擦手段49−2に移送されて基板表面の絶縁層の摩擦除去が行なわれる。前記電着槽41−2における絶縁層の形成と摩擦手段49−2における絶縁層の除去は、1回又は繰り返して複数回行なわれる。その際の基板の移送は搬送ロボット77が行なう。絶縁層の除去の状態を測定し検知する図示しないセンサーを具備しても良い。基板表面の反射率または屈折率を測定することにより、基板表面の絶縁膜の膜厚や、絶縁膜の除去が完了したかどうかを判断することができる。そして前記基板の非貫通穴内部への絶縁層の形成と基板表面の絶縁層の除去とが終了した基板は、前記実施形態と同様にして洗浄装置73における洗浄とベーク装置75における加熱処理とが行なわれ、基板ケース71に戻される。
上記電着成膜装置70,70−2が備える摩擦手段による絶縁層の除去は、基板表面を一方向に擦るように構成することが好ましい。また基板表面の内側から外周部へ向かって除去するようにしてもよい。これにより一度除去した絶縁層の基板表面への再付着を防止することができる。
また、摩擦手段にはブラシ、スポンジ、ロール、ヘラ等や、液体や気体などノズルから供給される流体が用いられる。これらにより絶縁層を除去した後は、積極的には乾燥せず、十分に洗浄した後は水切り程度にし、生乾きの状態で次工程の加熱に移るのが好ましい。これにより完全に乾燥した場合に起こる絶縁膜のクラックや剥がれによる欠陥を防ぐことができる。
なお上記電着成膜装置70,70−2では、単独で電着と乾燥・重合を行っているが、前記搬送ロボット77を電解めっき装置と接続して一体化すること等によってめっきと電着とを連続して処理するように構成しても良い。
基板として一辺80μm角、深さ100μmの非貫通穴を有するSiウエハを用い、基板表面を摩擦した場合の電着膜からなる絶縁層の成膜について検討した。電着膜の原料となる電着液に電着ポリイミド溶液を用い、電着中に基板表面をPVA製のスポンジで摩擦しながら電着を行った。電着後、洗浄、加熱乾燥して、絶縁層の断面構造をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した。その結果、摩擦した基板表面にはポリイミド膜がほとんどなかったが、非貫通穴の内部は成膜されており、その成膜された絶縁層の密着性も良好であることが確認できた。
一方基板表面を摩擦しなかった場合、絶縁層は非貫通穴の内部だけでなく基板表面にも成膜され、その後の工程で基板表面の絶縁層の除去が必要となる状態であることが確認された。さらに基板表面の平坦部全体がポリイミド膜に覆われることで、加熱乾燥後には膜ストレスが増加し、剥離が発生した。
以上のように電着中に基板表面を摩擦することにより、非貫通穴内部にのみ密着性の良い電着膜からなる絶縁層を成膜できることが確認できた。
本発明の基板処理方法を用いて基板に貫通ビアを形成する基板処理手順を示す図である。 本発明の基板処理方法を用いて基板に貫通ビアを形成する基板処理手順を示す図である。 本発明の基板処理方法を用いて基板に貫通する同軸配線構造を形成する基板処理手順を示す図である。 本発明の基板処理方法を用いて基板に貫通する同軸配線構造を形成する基板処理手順を示す図である。 本発明の基板処理方法を用いて基板の非貫通穴の内周のみ導電層とし、その内部を絶縁体で充填する基板処理手順を示す図である。 本発明の基板処理方法を用いて基板の非貫通穴の内周のみ導電層とし、その内部を絶縁体で充填する基板処理手順を示す図である。 基板処理装置40の1例を示す模式図である。 基板処理装置40を含んだ電着成膜装置70の1例を示す模式図である。 基板処理装置40−2を用いて構成した電着成膜装置70−2の1例を示す模式図である。
符号の説明
10 基板
11 非貫通穴
13 側壁
15 絶縁層
17 摩擦手段
19 導電体
21 導電層
23 第2の絶縁層(絶縁層)
25 第2の導電層(導電層)
27 絶縁層
29 フォトレジスト膜
40 基板処理装置(電着装置)
41 電着槽
43 基板ホルダ
45 対極
49 摩擦手段
Q 電着液
61 電源
70 電着成膜装置
71 基板ケース
73 洗浄装置
75 ベーク装置
77 搬送ロボット
40−2 基板処理装置
41−2 電着槽
49−2 摩擦手段
70−2 電着成膜装置

Claims (12)

  1. 半導体基板に非貫通穴を形成し、電着法により前記非貫通穴内部に絶縁層を形成する基板処理方法において、
    前記電着法により基板の非貫通穴内部に絶縁層を形成する際に基板の表面に形成される余剰な絶縁層を、摩擦によって除去することを特徴とする基板処理方法。
  2. 前記基板の表面に形成される余剰な絶縁層の摩擦は、電着中又は電着直後に行うことを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
  3. 前記電着法に用いられる電着液は、カチオン系電着液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板処理方法。
  4. 前記カチオン系電着液には、ポリイミド電着液、ポリスチレン電着液、エポキシ電着液、又はアクリル電着液の内の少なくとも何れか1つを含むことを特徴とする請求項3に記載の基板処理方法。
  5. 前記絶縁層表面の摩擦に用いる摩擦手段として、ブラシ、スポンジ、ロール、ヘラの内の少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載の基板処理方法。
  6. 前記摩擦手段の前記絶縁層表面を摩擦する摩擦面は、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、セルロース、又は不織布の内の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項5に記載の基板処理方法。
  7. 前記絶縁層表面の摩擦に用いる摩擦手段として、水流又は気流を用いることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載の基板処理方法。
  8. 非貫通穴を形成した半導体基板の基板処理方法において、
    電着法により前記非貫通穴内部を絶縁層で被覆し、
    次に前記絶縁層表面に導電層を形成し、
    次に前記導電層表面に電着法により第2の絶縁層を形成し、
    次に前記第2の絶縁層表面に導電層を形成することにより、
    半導体基板の非貫通穴内部に同軸構造の導電層を設けることを特徴とする基板処理方法。
  9. 非貫通穴を有する半導体基板の前記非貫通穴内部に電着法により絶縁層を形成する基板処理装置において、
    前記基板処理装置は、前記電着法によって形成される基板表面の絶縁層を摩擦する摩擦手段を具備することを特徴とする基板処理装置。
  10. 前記摩擦手段は、ブラシ、スポンジ、ロール、ヘラ、水流、気流の内の少なくとも何れか1つから選択されることを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
  11. 前記摩擦手段は、前記基板処理装置の電着槽に設置され、電着と摩擦を同時又は交互におこなうことを特徴とする請求項9又は10に記載の基板処理装置。
  12. 半導体基板に設けた貫通穴の内部に、電着法による絶縁層と、導電層と、電着法による第2の絶縁層と、第2の導電層とを、略同軸状に形成し、基板表面と裏面とを電気的に接続することを特徴とする半導体装置。
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