JP2008066379A - 複合材料 - Google Patents

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美里 草刈
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Abstract

【課題】熱伝導性に優れて放熱部材に適した複合材料、及びこの複合材料を生産性よく製造することができる複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】Cu,Si,及びGeから選択される1種類以上の元素を添加元素とし、残部がAg及び不純物からなる銀合金を金属マトリクスとする複合材料である。金属マトリクス中には、セラミックス粒子と添加元素を含む晶析出物とが分散されている。この複合材料は、添加元素を20質量%以上70質量%以下含有し、残部がAg及び不純物からなる銀合金とセラミックス粒子とを混合させた溶融混合物を鋳型に注湯して鋳造することで製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒートシンクやヒートスプレッダーといった放熱部材に適した複合材料、及びその製造方法に関するものである。特に、熱伝導性により優れる複合材料に関するものである。
従来より、半導体デバイスに対して、素子などから発生する熱を外部に放出するためにヒートシンクやヒートスプレッダーといった放熱部材が利用されている。放熱部材は、熱伝導性に優れることに加えて、上記素子などと熱膨張係数が近いことが望まれる。この要求に対応するために、セラミックスなどの分散材と金属とを複合した複合材料が開発されている。例えば、Al-SiCといったアルミニウム系複合材料(特許文献1参照)、ダイヤモンドとAg-Cu合金とを複合した複合材料(特許文献2参照)が提案されている。また、複合材料の製造方法として、分散材と金属粉末とを混合して成形した成形体を焼結する焼結法(粉末冶金法、特許文献2段落0007参照)、溶融させた金属と分散材とを混合した溶融混合物を鋳造する溶製法(鋳造法)が提案されている(特許文献1特許請求の範囲参照)。
特開2003-234445号公報 特開2004-76044号公報
近年、より大きな熱を発生する半導体デバイスが開発されてきており、熱伝導率がより高い放熱部材が望まれている。しかし、上記アルミニウム系複合材料では、熱伝導率の向上に限界がある。例えば、アルミニウム系複合材料の熱伝導率を向上するためにSiCの含有量を少なくすると、熱膨張係数が大きくなって、半導体素子の熱膨張係数と整合し難くなる。焼結法ではなく、溶製法で複合材料を製造することでボイド(空隙、気孔)といった内部欠陥を低減して熱伝導率の向上を図ることが考えられる。しかし、この手法も、熱伝導率の大きな向上は望めない。
一方、ダイヤモンドを含有した複合材料では、高い熱伝導率が望める反面、焼結法で製造すると、成形時に金型の摩耗が激しく、製造性がよくない。また、ダイヤモンドは、溶融金属との濡れ性が悪いため、溶製法で製造すると、溶融複合時に両者が十分に混ざらず、金属マトリクスにダイヤモンドが偏在し易い。更に、ダイヤモンドは、一般に非常に高価である。
そこで、本発明の主目的は、熱伝導率が高く、生産性に優れた複合材料を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記複合材料を生産性よく製造することができる複合材料の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、非常に高硬度で高価であるダイヤモンドを用いず、比較的安価なセラミックスを用いた複合材料において、熱伝導性を向上させるために、ボイドなどの内部欠陥が生じ難い溶製法に着目した。かつ、熱伝導性の更なる向上のため、金属マトリクスとしてalやCuよりも熱伝導性に優れるAgを用いることを検討した。しかし、Agは、融点が非常に高い(約960℃)ため、溶融したAgとセラミックスとを混合すると、セラミックスがAg溶湯の熱により分解されることがある。分解された各元素は、化合物のときに有していた熱伝導率を有しておらず、セラミックスの添加による熱伝導率の調整ができなくなる。また、分解された元素(例えば、C)が燃焼するなどして、複合材料を製造できないことがある。仮に分解されなかったとしても、Agは、熱膨張係数が比較的大きいため、複合材料の熱膨張係数を小さくするには、より多くのセラミックスが必要となる。しかし、Ag溶湯にセラミックスを大量に添加すると、溶製法により複合材料を製造しても、ボイドが生じ易くなる。ボイドが多く存在する複合材料は、熱伝導率が低下し易くなったり、ばらつきが生じ易くなる。また、セラミックスを大量に添加することで、溶融混合物の粘度が高くなり、鋳型に十分に充填させることが難しい。特に、放熱用フィンを有するような複雑な形状の放熱部材を製造する場合、複雑な形状の鋳型の隅々に溶融混合物が十分に行き渡らず、所望の形状の放熱部材を製造できない場合がある。更に、溶融混合物の粘度が高くなることで、複合材料中にセラミックスを均一的に分散させることが難しく、熱特性(熱伝導率、熱膨張係数)にばらつきが生じ易い。
そこで、本発明者らは、溶湯の融点の低下、及びセラミックスの添加量の低減を図るために種々検討した。その結果、本発明者らは、特定の添加元素を特定の範囲で含有させたAg合金を用いると共に、上記添加元素を含む晶析出物を溶湯の凝固時に出現させることで、溶湯の融点を低下させ、セラミックスを過剰に添加することなく、熱伝導率(κ)がより高く、かつ熱膨張係数(α)がより小さい複合材料が得られる、との知見を得た。この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
本発明複合材料は、金属マトリクス中にセラミックス粒子が分散されており、Cu,Si,及びGeからなる第一グループから選択される1種類以上の元素を添加元素とし、残部がAg及び不純物からなる銀合金を金属マトリクスとする。この銀合金からなる金属マトリクス中には、セラミックス粒子と、添加元素を含む晶析出物とが分散されている。銀合金中における第一グループの元素と晶析出物中における第一グループの元素の合計含有量は、20質量%以上70質量%以下とする。
或いは、本発明複合材料は、上記第一グループの元素と、Ca,Mg,Sr,Ti,Ba,及びBからなる第二グループから選択される1種類以上の元素とを添加元素とし、残部がAg及び不純物からなる銀合金を金属マトリクスとしてもよい。銀合金中における第二グループの元素と晶析出物中における第二グループの元素との合計含有量は、0.001質量%以上5.0質量%以下とする。
上記本発明複合材料は、溶製法により製造することができる。特に、本発明複合材料は、以下の本発明製造方法により製造することができる。本発明複合材料の製造方法は、金属マトリクス中にセラミックス粒子が分散された複合材料を製造するものであり、以下の工程を具える。
I. 溶融した銀合金とセラミックス粒子とを混合した溶融混合物を作製する工程
II. 溶融混合物を鋳型に注湯して鋳造し、銀合金からなる金属マトリクス中に、セラミックス粒子と、下記の(1)または(2)の銀合金中の添加元素を含む晶析出物とが分散された複合材料を作製する工程
<溶融する銀合金の組成(1)>
Cu,Si,及びGeからなる第一グループから選択される1種類以上の元素(以下、この元素を元素Iと呼ぶ)を添加元素とし、この添加元素を20質量%以上70質量%以下含有し、残部がAg及び不純物とからなる銀合金
<溶融する銀合金の組成(2)>
元素Iと、Ca,Mg,Sr,Ti,Ba,及びBからなる第二グループから選択される1種類以上の元素(以下、この元素を元素IIと呼ぶ)とを添加元素とし、元素Iを20質量%以上70質量%以下含み、元素IIを0.001質量%以上5.0質量%以下含み、残部がAg及び不純物とからなる銀合金
本発明複合材料において上記元素I,IIは、一部が金属マトリクスである銀合金に固溶して存在し、他部が銀合金に分散している晶析出物に含有されて存在する。従って、複合材料における銀合金中の添加元素及び晶析出物に含まれる添加元素の合計含有量は、溶融する銀合金に含有される添加元素の含有量に等しい。元素Iの含有量及び元素IIの含有量は、銀合金を100質量%とし、元素I,IIが複数種の元素である場合、複数の元素の合計含有量が上記範囲を満たすものとする。
元素Iのうち、Cuは、熱伝導性に優れると共に、Agの融点の低下に非常に効果的な元素である。元素Iのうち、Si,Geは、Agの融点を下げることができると共に、熱膨張係数が非常に小さく、複合材料の熱膨張係数の低下に効果的な元素である。元素Iは、Cu,Si,Geのうち、いずれか1種でもよいし、2種でもよいし、3種全てでもよい。元素Iのうち、特に好ましい元素は、Cuである。元素Iの合計含有量は、20〜70質量%とする。但し、溶融する銀合金において1種の元素Iの含有量は、Agの含有量以下とする。元素Iが20質量%未満では、Agの割合が高いことからAg合金の融点が高過ぎて、このAg合金の溶湯とセラミック粒子とが反応し、セラミック粒子を分解させたり、Agが高割合であることで熱伝導率が高くなる反面、熱膨張係数が大きくなり易い。元素Iが70質量%超では、Agの割合が低いことで、熱膨張係数が小さくなる反面、熱伝導率が低くなる。元素Iのより好ましい含有量は、20質量%以上50質量%以下、特に好ましくは、20質量%以上40質量%以下である。元素Iに加えて元素IIをも含有させる場合、元素Iの含有量は、20質量%以上35質量%以下が好ましい。
元素IIは、溶湯とセラミックス粒子との濡れ性の向上に効果的な元素である。また、元素IIは、晶析出物を微細化する効果がある。晶析出物をより微細にすることで、Ag合金中に晶析出物をより均一的に分散させることができる。晶析出物がAg合金中に不均一に存在する複合材料は、熱特性のばらつきや低下が大きく、品質の低下を招く。元素IIの添加により、より高品質な複合材料とすることができる。元素IIは、Ca,Mg,Sr,Ti,Ba,及びBのうち、いずれか1種でもよいし、2種以上組み合わせてもよい。元素IIのうち、特に好ましい元素は、Mgである。元素IIの合計含有量を0.001〜5.0質量%とするのは、0.001質量%未満では、晶析出物の微細化効果が十分に得られず、5.0質量%超では、晶析出物の微細化効果が飽和傾向にあると共に、添加元素の増加により、熱伝導性の低下を招くからである。元素IIのより好ましい含有量は、0.01質量%以上2質量%以下、特に好ましくは、0.05質量%以上1質量%以下である。
ベースとなるAgは、純Ag(純度99.0%以上)を利用する。市販のものを利用してもよい。このAgに上記添加元素を含有してAg合金とする。
本発明複合材料中の上記元素I,IIの含有量は、例えば、ICP発光分光分析を行うことで、測定することができる。具体的には、酸などで複合材料からセラミックス以外を溶かし、溶かした溶液をサンプルとしてICP発光分光分析を行う。
上記Ag合金からなる金属マトリクス中に分散させるセラミックス粒子は、Ag(18.9×10-6/K=18.9ppm/K)よりも熱膨張係数が小さい種々のものが利用できる。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3 6.7ppm/K)、炭化珪素(SiC 4.2ppm/K)、窒化珪素(Si3N4 3.4ppm/K)、ホウ化チタン(TiB2 7.4ppm/K)、酸化珪素(SiO2 3ppm/K)、酸化ベリリウム(BeO 7.6ppm/K)、窒化アルミニウム(AlN 4.6ppm/K)が挙げられる。これらセラミックス粒子は、いずれか1種でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。特に好ましいセラミックス粒子は、SiCである。
セラミックス粒子の含有量は、複合材料を100体積%として、20体積%以上45体積%以下とすることが好ましい。45体積%超とすると、Ag合金溶湯にセラミックス粒子を添加した溶融混合物の粘度が上昇して撹拌しにくくなる。その結果、ボイドが生じ易くなったり、セラミックス粒子がAg合金に均一的に分散されなくなったりして、熱特性を十分に向上できない。また、セラミックス粒子が不均一に分散されると、製造物が反るなどの変形が生じ易い。セラミックス粒子を多量に添加した際、均一的に分散させるために高速撹拌を行うことが考えられる。しかし、この場合、キャビテーションを生じてボイドなどの欠陥が増加し、熱特性の低下や熱特性のばらつきを生じて、品質の低下を招く。本発明複合材料は、溶湯時に液相状態で存在する元素や化合物を凝固時に積極的に出現させて晶析出物を存在させることで、セラミックス粒子を45体積%超といった過剰に添加することなく、熱膨張係数の低減を図ることができる。一方、20体積%未満では、熱膨張係数の低減かつ熱伝導率の向上という双方の効果が十分に得られない。セラミックス粒子の添加量は、20体積%以上、特に、25体積%以上とすることが好ましく、製造性を考慮すると、25体積%以上40体積%以下がより好ましい。
セラミックス粒子の平均粒径は、10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μm未満と小さ過ぎても、100μm超と大き過ぎても、Ag合金マトリクスに均一的に分散させにくく、熱特性にばらつきが生じ易い。セラミックス粒子のより好ましい平均粒径は、30μm以上90μm以下、特に、50μm以上80μm以下である。このような大きさのセラミックス粒子は、市販されているものを利用してもよいし、所望の大きさとなるように粉砕して用いてもよい。このような大きさのセラミックス粒子を原料に用いることで、得られた複合材料中のセラミックス粒子の平均粒径は、原料の粒径と実質的に同等となる。
金属マトリクス中に分散される晶析出物は、添加元素を含むものとする。具体的には、上記添加元素そのもの(例えば、Cu,Si,Geなど)、上記添加元素のみからなる化合物(例えば、Mg2Siなど)、上記添加元素とAgとからなる化合物(例えば、Ag3Mg、Ag9Ca2、Ag5Srなど)が挙げられる。これら晶析出物は、Agよりも熱膨張係数が小さいため、Ag合金中に存在することで、熱膨張係数を低下することができる。即ち、これら晶析出物は、セラミックス粒子とほぼ同等の機能を実現する。従って、本発明複合材料は、セラミックス粒子を多く含有させなくても、晶析出物、特に、後述するような微細な晶析出物が存在することで、熱伝導率が高く、熱膨張係数を小さくすることができる。また、晶析出物を形成する各元素は、溶融状態にあるAg合金中に液相として存在するため、セラミックス粒子を大量に添加した場合と比較して、溶融混合物の粘度の上昇を招き難い。従って、上述した粘度上昇による不具合が起こり得ず、高品質の複合材料を生産性よく製造することができる。特に、上述のように元素IIを含有させると、晶析出物をより微細にして、Ag合金マトリクス中に微細な晶析出物を均一的に分散させることができ、より高品質で熱特性に優れる複合材料とすることができる。
晶析出物は、できるだけ小さく、具体的には、最大粒径が500μm以下であることが好ましい。特に好ましくは、200μm以下である。晶析出物の粒径を制御するには、例えば、添加元素の添加量や種類を調整したり、鋳造時の冷却速度を制御する、具体的には、晶析出物の成長を抑制するべく、急冷することが挙げられる。元素Iのみを添加元素とする場合であっても、例えば、鋳造時の冷却速度を制御することで、晶析出物を500μm以下とすることができる。上述したように元素IIは、晶析出物の成長抑制に効果的であり、元素IIのうち、Ca,Mg,Sr,Ti,及びBaから選択される1種以上の元素が特に成長抑制に効果がある。添加元素の調整と冷却速度の制御との双方を行うことで、より微細な晶析出物とすることができる。晶析出物の含有量は、Ag合金を100体積%として、20体積%以上90体積%以下が好ましく、特に、20体積%以上60体積%以下が好ましい。晶析出物の含有量を制御するには、例えば、添加元素の添加量を調節する。
本発明複合材料は、特定組成のAg合金を金属マトリクスとし、セラミックス粒子及び晶析出物が分散されることで、熱伝導率が高く、かつ熱膨張係数が小さいという双方の要求を満たすことができる。具体的には、熱伝導率を180W/m・K以上、熱膨張係数を5×10-6/K以上15×10-6/K以下(5ppm/K以上15ppm/K以下)とすることができる。熱伝導率や熱膨張係数は、添加元素の組成や含有量を適宜調整することで変化させることができる。本発明複合材料を放熱部材に利用する場合、熱伝導率は、200W/m・K以上がより好ましく、高いほど好ましいため上限を設けないが、生産性や製造可能性を考慮すると、350W/m・K程度が上限である。熱膨張係数のより好ましい範囲は、8×10-6/K以上14×10-6/K以下である。
本発明複合材料は、溶製法にて製造する。具体的には、上記添加元素を含有したAg合金(上記組成(1)又は組成(2)のAg合金)の溶湯を用意し、このAg合金溶湯にセラミックス粒子を添加して撹拌し、溶融混合物を作製する。この撹拌により、セラミックス粒子をAg合金中に均一的に分散させる。Ag合金を完全に液相状態に溶融して撹拌してもよいが、半溶融状態で撹拌すると、より短時間で均一的に分散させることができる。撹拌は、大気圧雰囲気で行ってもよいが、真空雰囲気で行うと、表面性状がより良好な複合材料を得ることができる。真空雰囲気下において溶湯の表面が泡立って気泡を巻き込んだとしても、鋳型注湯前に大気圧に開放することで気泡を小さくすることができるからである。
次に、得られた溶融混合物を鋳型に注湯して鋳造する。この鋳造工程において溶融混合物が凝固する際、Ag合金マトリクス中に晶析出物を出現させ、Ag合金マトリクス中に、セラミックス粒子と、添加元素を含む晶析出物とが分散された複合材料を製造する。添加元素の種類や含有量、製造条件を適宜調整することで、Agマトリクス中に晶析出物を均一的に分散させた複合材料を製造することができる。また、溶製法により、ボイドといった内部欠陥が少ない緻密な複合材料を得ることができる。
鋳造は、真空雰囲気下で行ってもよいし、大気圧下で行ってもよい。鋳型の形状は、所望の複合材料が得られるように適宜選択する。本発明では、セラミックス粒子を過剰添加しないため、溶融混合物は、流動性に優れており、板状といった簡単な形状のものから、フィン付き形状といった複雑な形状でも寸法精度に優れた高品位の複合材料を得ることができる。特に、複雑な形状の鋳型を用いる場合、鋳型を加熱して温度が高い状態で注湯することが好ましい。複雑な形状の鋳型に溶融混合物の自重で充填しようとすると、鋳型の隅々にまで十分に充填される前に溶融混合物が凝固する恐れがあり、凝固状態がばらつくことで、熱特性にばらつきが生じ易い。そこで、鋳型の隅々に十分に溶融混合物を充填できるように、鋳型の温度を高める。鋳型の温度は、100℃以上、好ましくは、600℃以上、特に好ましくは、Ag合金の溶湯温度(融点)以上である。高温状態の鋳型を用いる場合、溶融混合物が鋳型に十分に充填されてから冷却を開始する。鋳型を加熱しない場合、或いは100℃未満の加熱とする場合、溶融混合物に適宜圧力を加えて鋳型に充填する。
板状といった複合材料を製造する場合、連続的に鋳造材を製造可能な連続鋳造を行ってもよいし、バッチ式鋳造を行ってもよい。フィン付き形状といった複雑な形状の複合材料を製造する場合、バッチ式鋳造を行う。
鋳造材の冷却は、晶析出物の成長を抑制するためにできるだけ速いことが好ましく、冷却速度を10℃/秒以上とすることが好ましい。連続鋳造では、例えば、鋳造速度を調整することで上記冷却速度を調整することができる。バッチ式鋳造では、例えば、鋳造材の厚みや大きさを調整することで、上記冷却速度を調整することができる。冷却は、空冷としてもよいし、水冷などの強制冷却としてもよい。上記のように冷却速度を速くすることで、最大粒径が500μm以下の微細な晶析出物とすることができ、このような微細な晶析出物が均一的に分散した複合材料を製造することができる。
本発明によれば、熱伝導率(κ)が高く、かつ熱膨張係数(α)が小さい複合材料を提供することができる。また、本発明製造方法は、熱伝導率が高く、熱膨張係数が小さい複合材料を生産性よく製造することができる。
表1に示す添加元素をAgに含有した銀合金(残部Ag及び不純物)の溶湯を準備し、この溶湯に表2に示すセラミックス粒子を添加して撹拌し、得られた溶融混合物を鋳型に注湯して鋳造し、銀合金をマトリクスとする複合材料を作製した。添加元素の含有量(質量%)は、銀合金を100質量%としている。セラミックス粒子の含有量(体積%)は、製造された複合材料を100体積%としたとき、表2に示す体積割合となるように調整した。また、セラミックス粒子は、表2に示す平均粒径の市販のもの、又は、表2に示す平均粒径となるように粉砕したものを利用した。
Figure 2008066379
Figure 2008066379
具体的には、以下のようにして複合材料を製造した。銀インゴット(Ag:99.0%以上、残部不可避的不純物)を大気中において電気炉で溶解し、表1に示す添加元素を添加してAg合金の溶湯を作製した。この溶湯を、るつぼと撹拌羽根とを有し、真空引きが可能な複合炉に移槽した後、溶湯表面に形成された酸化膜を除去し、炉内を真空引きした。この状態で撹拌羽根を回転して溶湯を撹拌し、溶湯の撹拌が安定したことを確認した後、表2に示すセラミックス粒子を添加して更に撹拌し、セラミックス粒子が銀合金中に分散した溶融混合物を作製した。この溶融混合物を表3に示す温度の鋳型(フィン付き形状の鋳型)に注湯した後、冷却して、複合材料を得た。冷却は、水冷とし、冷却速度は、10℃/秒とした。
試料No.19,22を除く試料はいずれも、鋳型の隅々まで十分に溶融混合物を充填することができた。一方、試料No.19の溶融混合物は、粘度が高く、他の試料と比較して、溶湯にセラミックス粒子を均一に分散することが難しかった。そこで、回転数を上げて高速撹拌を行ったが、試料No.19の溶融混合物は、セラミックス粒子を均一に分散できなかった。また、フィン付き形状の鋳型に注湯したところ、溶融混合物を鋳型の隅々まで十分に充填させることが難しかった。他方、試料No.22は、鋳型の途中で溶融混合物が固まり始め、凝固状態にばらつきが生じた。
得られた複合材料について、熱伝導率(κ、W/m・K)及び熱膨張係数(α、1/K)を測定した。熱伝導率は、上記と同様にして作製した円板状試片を用いてレーザーフラッシュ法にて測定した。測定は、試片の任意の6点について行い、その最大値(max)、最小値(min)、平均(av)を表3に示す。熱膨張係数は、上記と同様にして作製した柱状試片を用いて作動トランス方式にて測定した。測定は、6個の試片を用意してそれぞれ行い、その最大値(max)、最小値(min)、平均値(av)を表3に示す。
得られた複合材料について、晶析出物の有無及び組成を調べた。その結果を表3に示す。晶析出物の組成は、XPSを用いて調べた。XRDにより組成を調べてもよい。
得られた複合材料についてセラミックス粒子及び晶析出物の分散状態を調べた。その結果を表3に示す。分散状態は、試料の任意の箇所で切断した切断面を研磨した後、この切断面を顕微鏡観察して調べた。具体的には、顕微鏡付属カメラで切断面を撮影し(倍率25倍)、この視野範囲を一視野とし、切断面の任意の10箇所(10視野)について撮影し、視野ごとに写真を画像処理し、視野内の全てのセラミックス粒子の面積及び全ての晶析出物の面積を求める。得られた面積からその視野に対するセラミックス粒子及び晶析出物の面積率を算出し、各視野の面積率と10視野の平均面積率を得る。そして、各視野の面積率と10視野の平均面積率との差を求め、平均面積率に対する最大の差が所定の範囲内に含まれる場合、均一に分散されていると判断した。
得られた複合材料について晶析出物の最大粒径(μm)を調べた。その結果も表3に示す。最大粒径は、上記10視野について全晶析出物の粒径を測定し、その中で最大の粒径とした。
得られた複合材料について晶析出物の含有量(体積%)を調べた。その結果も表3に示す。晶析出物の含有量は、銀合金を100体積%とし、上記10視野の平均面積率を体積率に換算した。
得られた複合材料について気孔率(体積%)を調べた。その結果も表3に示す。気孔率は、一般的なアルキメデス法を用いて行った。上記顕微鏡観察の視野ごとに全ボイドの面積率を算出し、得られた10視野の面積率の平均を体積率として用いてもよい。
Figure 2008066379
表3から、特定組成のAg合金を金属マトリクスとし、Ag合金の添加元素を含む晶析出物を存在させることで、熱伝導率が高く、かつ熱膨張係数が小さい複合材料が得られることがわかる。特に、セラミックス粒子の含有量が20〜45体積%であると、熱伝導率が180W/mK以上、熱膨張係数が5〜15ppm/Kを満たす複合材料が得られることがわかる。
添加元素が少ない試料No.18,23は、熱膨張係数が大きくなっており、添加元素が多い試料No.24は、熱伝導率が小さくなっている。また、表3から、セラミックス粒子の含有量や大きさ、添加元素の含有量、鋳型の温度などを調整することで、熱膨張係数や熱伝導率のばらつきが小さく、晶析出物やセラミックス粒子が均一的に分散し、熱膨張係数が小さく、熱伝導率が高い複合材料が得られることが分かる。
本発明複合材料は、車載用のパワーデバイスといった種々の半導体デバイスの放熱材料(ヒートスプレッダーやヒートシンクなど)に好適に利用することができる。また、本発明複合材料の製造方法は、上記本発明複合材料の製造に好適に利用することができる。

Claims (8)

  1. 金属マトリクス中にセラミックス粒子が分散された複合材料であって、
    金属マトリクスは、Cu,Si,及びGeからなる第一グループから選択される1種類以上の元素を添加元素とし、残部がAg及び不純物からなる銀合金であり、
    金属マトリクス中に、セラミックス粒子と、添加元素を含む晶析出物とが分散されており、
    銀合金中における第一グループの元素と晶析出物中における第一グループの元素との合計含有量が、銀合金を100質量%としたときに、20質量%以上70質量%以下であることを特徴とする複合材料。
  2. 金属マトリクスは、第一グループの元素と、Ca,Mg,Sr,Ti,Ba,及びBからなる第二グループから選択される1種類以上の元素とを添加元素とし、残部がAg及び不純物からなる銀合金であり、
    銀合金中における第二グループの元素と晶析出物中における第二グループの元素との合計含有量が0.001質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  3. 熱膨張係数が5×10-6/K以上15×10-6/K以下、熱伝導率が180W/m・K以上であることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  4. セラミックス粒子は、酸化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、ホウ化チタン、酸化珪素、酸化ベリリウム、及び窒化アルミニウムから選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  5. セラミックス粒子の含有量は、複合材料を100体積%としたときに、20体積%以上45体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  6. セラミックス粒子の平均粒径は、10μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  7. 金属マトリクス中にセラミックス粒子が分散された複合材料の製造方法であって、
    溶融した銀合金とセラミックス粒子とを混合した溶融混合物を作製する工程と、
    溶融混合物を鋳型に注湯して鋳造し、銀合金からなる金属マトリクス中に、セラミックス粒子と、銀合金中の添加元素を含む晶析出物とが分散された複合材料を作製する工程とを具え、
    溶融する銀合金は、Cu,Si,及びGeから選択される1種類以上の元素を添加元素とし、この添加元素を20質量%以上70質量%以下含有し、残部がAg及び不純物とからなることを特徴とする複合材料の製造方法。
  8. 鋳造は、鋳型全体を100℃以上に加熱した状態で行うことを特徴とする請求項7に記載の複合材料の製造方法。
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