JP2008065883A - レンズ、光ピックアップ、光ディスク装置及び転写不良判別方法 - Google Patents

レンズ、光ピックアップ、光ディスク装置及び転写不良判別方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な特性を有する対物レンズを製造する。
【解決手段】球状のガラスボールを金型間で加熱及び加圧して成形されるガラス製のレンズで、回転体形状の凸型の光学面を有し、上記レンズの体積をV[mm]とし、上記レンズの中心軸を通る断面形状における上記凸型の光学面のカーブをf(x)で表すときに、次式

が成立するときの実数解x[mm]のうち、xの絶対値が最小(ただし0.000[mm]を除く)となる実数解x[mm]をxmin[mm]としたときに、次式を満たすようにする。

【選択図】図10

Description

本発明は、レンズ、光ピックアップ及び光ディスク装置に関し、例えばBD(Blu-ray Disc、登録商標)方式に対応した光ピックアップに適用して好適なものである。
従来、光ピックアップにおいて使用されるガラス製の対物レンズとしては、図1に示すように、出射面を形成する出射面金型MMb及び入射面を形成する入射面金型MMaの間に球体でなるガラスボールGBを挟んだ状態で、当該ガラスボールGBをガラス転移点以上の温度に加熱した後、出射面金型MMb及び入射面金型MMaを所定のプレス圧力でガラスボールGBに対して押し当てて型締めする、いわゆるガラスモールド法によって成形されるものがある。
このガラスモールド法で対物レンズを形成する場合、図1のように入射面金型MMaとガラスボールGBとが、入射面金型MMaに形成された転写曲面及び当該ガラスボールGBの中心軸CP付近にある中央接触点TPcで接触する。
この状態でガラスボールGBに入射面金型MMaが押し当てられると、ガラスボールGBが変形し、中央接触点TPcから外側へ向けて徐々に入射面金型MMaとの接触面積を増大させるため、この過程で中央接触点TPcからガラスボールGBと入射面金型MMaとの間に形成された隙間GPにある雰囲気は、中央接触点TPcから徐々に外側に押し出される。
従って、このような対物レンズでは、ガラスボールGBと入射面金型MMaとの間に雰囲気が密封されてしまうことがないため、ガラスモールド法を用いて高い面精度で対物レンズを形成することができる。
ところで、近年、光ピックアップでは、記録媒体である光ディスクにおける記録密度を向上させるため、光源として従来より波長の短い400[nm]付近の青色レーザ光が使用されると共に、対物レンズとして開口数NAが0.8以上と非常に高い非球面レンズが用いられる。
このような開口数NAの高い対物レンズでは、入射面から入射した平行光を、入射面の中心から外周部にいく程大きな角度で屈折させる必要がある。例えば開口数NAが0.85の場合であれば中央軸CP上の入射面の面角度を0度とすると外周部の面角度を60度に近い角度で形成することになる。このため入射面が大きく突出するような形状に形成され、低NAの対物レンズ等と比較して近軸での曲率半径は小さくなることが一般的であり、これに伴って入射面と同一の曲率を有する入射面金型MMaの曲面(以下、これを転写曲面SCと呼ぶ)も同様の曲率で形成する必要がある。
このような対物レンズを上述したガラスモールド法によって形成すると、図2に示すように、入射面金型MMaとガラスボールGBとが、中心軸CPより外側のリング状の線(以下、これをリング状接触線TLと呼ぶ)で接触し、このリング状接触線TLより内側及び外側にそれぞれ内側隙間GPi及び外側隙間GPoを形成する。
この状態でガラスボールGBに入射面金型MMaが押し当てられると、ガラスボールGBは入射面金型MMaに沿って変形し、レンズ状接触線TLから内外へ向けて徐々に接触面積を増大させていく。このとき、入射面金型MMaとガラスボールGBとの間に形成された隙間GPのうち、リング状接触線TLより外側に形成された外側隙間GPoの雰囲気は上述したように徐々に外側に押し出される。
しかしながら、内側隙間GPi内の雰囲気(以下、これを隙間内雰囲気と呼ぶ)はレンズ状接触線TLによって塞がれているため、外側へ移動することが困難であり、完全に密封されてしまう危険性がある。このような隙間内雰囲気がプレス工程の最後まで残留すると、入射面金型MMaが有するカーブを対物レンズの入射面に正確に転写することができず、いわゆるエアートラップが発生して転写不良となる。
そこで、対物レンズの入射面の曲率半径と、ガラスボールGBの曲率半径との比率を限定することにより、対物レンズの入射面におけるエアートラップの発生を制御するようになされたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−335080公報
ところで、かかる構成の対物レンズにおいては、ガラスモールド法によって形成する使用されるガラスボールの半径rと、対物レンズの近軸の曲率半径Rとの比(以下、これをボール・レンズ半径比率r/Rと呼ぶ)を制御することにより、エアートラップの発生を抑制するようになされている。
しかしながら、非球面レンズは球面レンズとは異なり、近軸の曲率半径Rのみによって対物レンズの入射面の形状、すなわち入射面金型MMaにおける入射面に対応する転写曲面SCの形状が定まるものではない。
従って、ボール・レンズ半径比率r/Rを一定にした場合であっても、実際の転写曲面SCの曲率や、これに応じたレンズ状接触線TLの位置などの要因は様々に変化してしまう。
このため、ボール・レンズ半径比率r/Rを一定範囲内に制御したところでエアートラップの発生を到底防止することはできず、対物レンズの特性を良好にすることはできないという課題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、良好な特性を呈するレンズ並びに当該対物レンズを用いた光ピックアップ及び光ディスク装置、良好な特性を呈するレンズを作製する転写不良判別方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、ガラス材料を金型間で加熱及び加圧するガラスモールド法で成形されるガラス製のレンズであって、回転体形状の凸型の光学面を設け、レンズの体積をVとし、レンズの中心軸を通る断面形状における凸型の光学面のカーブをf(x)で表すとき(xの単位は[mm])に、次式
が成立するときの実数解xのうち、xの絶対値が最小(ただし0.000[mm]を除く)となる実数解xをxmin[mm]としたとき(ただしxminが凸型の光学面内にあるときに限る)に、次式
を満たすようにした。
これにより、エアートラップの発生しないレンズを作製することができる。
本発明によれば、エアートラップの発生しないレンズを作製することができ、良好な特性を呈するレンズ、当該対物レンズを用いた光ピックアップ及び光ディスク装置、並びに良好な特性を呈するレンズを設計する転写不良判別方法を実現できる。
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)光ディスク装置の全体構成
図3において10は、全体として光ディスク装置を示している。この光ディスク装置10は、制御部12が光ディスク装置10の各部を制御するようになされている。
すなわち制御部12は、サーボ回路13を介してスピンドルモータ14を回転させ、ターンテーブル(図示せず)に載置された光ディスク100を回転駆動する。また制御部12は、サーボ回路13を介して送りモータ15を回転させ、ガイド軸17に沿って光ピックアップ20を光ディスク100の半径方向に移動させる。さらに制御部12は信号処理部18を制御し、光ディスク100に対するデータの読出及び書込を実行させる。
これに加えて制御部12は光ピックアップ20の図示しないレンズ駆動装置を制御し、当該光ピックアップ20の対物レンズをトラッキング方向及びフォーカス方向に駆動する。
図4は光ピックアップ20の構成例を示している。レーザダイオード22は、信号処理部18(図1)から供給される駆動電流に応じてレーザ光を出射し、その中央部分である光ビーム40をビームスプリッタ23へ入射する。ビームスプリッタ23はレーザダイオード22から入射された光ビーム40を反射し、コリメータレンズ24へ入射する。
コリメータレンズ24は、発散光である光ビーム40を平行光へ変換して立上プリズム25へ入射する。立上プリズム25は、入射された光ビーム40の角度を90°変化させて出射し、対物レンズ30に入射する。対物レンズ30は、入射面30aから入射した光ビーム40を出射面30bから出射する際、当該光ビーム40を集光して光ディスク100の信号記録層100aに照射する。
また対物レンズ30は、光ビーム40が信号記録層100aによって反射されてなる反射光ビーム50を受光し、立上プリズム25に入射する。
立上プリズム25は、入射された反射光ビーム50の角度を90度変化させ、当該反射光ビーム50をコリメータレンズ24とビームスプリッタ23を介して調整レンズ27に入射させる。調整レンズ27は、反射光ビーム50の収差を調整するとともにその倍率を変換してフォトディテクタ28に入射する。そして、フォトディテクタ28は反射光ビーム50を光電変換して再生RF信号を生成し、信号処理部18(図1)に供給するようになされている。
このように、光ディスク装置10は、光ディスク100に対するデータの読出し及び書込みを実行するようになされている。
本実施の形態では、上述したガラスモールド法で製造された対物レンズ30を使用している。この対物レンズ30は、製造される際、後述する浮き量BFを所定の値以下にすることにより、上述したエアートラップの発生を制御し、入射面30aが設計どおりの良好な特性を呈し得るようになされている。
(2)エアートラップの制御
(2−1)原理
まず、上述したガラスモールド法において、加熱して軟化させたガラスボールGBに所定のプレス圧力が加えられたとき(以下、これをプレス工程と呼ぶ)の内側隙間GPiにおける動作について、以下のように考えることができる。
図5(A)に示すように、入射面金型MMaにおける対物レンズ30の入射面30aに対応する部分(以下、これを転写曲面SCと呼ぶ)上にガラスボールGBが載置された状態において、ガラスボールGBと入射面金型MMaとは、図5(B)のようにリング状のリング状接触線TLで接触し、入射面金型MMa及びガラスボールGBの間には内側隙間GPiが形成されている。
なお、図1及び図2で示したように、実際のプレス工程では、出射面金型MMbがガラスボールGBの上方に配置され、ガラスボールGBが入射面金型MMa及び出射面金型MMbに挟まれた状態となるが、図5ないし以下の図では、出射面金型MMbを省略して示している。
図6に示すように、プレス初期段階においては、ガラスボールGBが変形しながら入射面金型MMaの底部に沈み込むことによって内側隙間GPi内に密封された状態にある雰囲気(以下、これを隙間内雰囲気と呼ぶ)に圧力が加わると共に、リング状接触線TL周辺の接触面に加えられている圧力がさほど大きくない状態にある。
従って、このプレス初期段階では、圧力の加えられた隙間内雰囲気がガラスボールGBを変形させて外部へ移動することができ、このプレス初期段階のうちに図7に示すようにガラスボールGBが十分に変形し、転写曲面SCの頂点(以下、これを転写曲面頂点OPと呼ぶ)に接触することができれば、隙間内雰囲気が残留することはない。
従って、このような場合には、プレス工程で残留した隙間内雰囲気によってガラスボールGBと転写曲面SCとの間に隙間が形成されることがない。このため、この隙間によって対物レンズ30の入射面30aに転写曲面SCの形状が転写されなくなる、いわゆるエアートラップによる転写不良は発生しない。
しかしながら、プレス工程が進行し、ガラスボールGBに加わるプレス圧力が大きくなるにつれて、リング状接触線TL周辺の接触面に加えられている圧力が大きくなり当該接触面付近におけるガラスボールGBの見かけ上の弾性率が上昇するため、隙間内雰囲気がガラスボールGBを変形させて外部へ移動することは徐々に困難になっていく。
従って、中心軸CP上におけるガラスボールGBと転写曲面SCとの間隔が大きいような場合には、ガラスボールGBが転写曲面頂点OPに接触するよりも早くリング状接触線TL周辺の接触面に加えられている圧力が大きくなってしまい、図8において斜線で示すように、隙間内雰囲気の一部(図中ではAirと示す)が残留することになる。
この状態でガラスボールGB及び入射面金型MMaが冷却されることにより、ガラスボールGBの形状が固定化されて入射面30aの形状が決定され、この後対物レンズ30として入射面金型MMaから分離される。従って、この場合には、対物レンズ30にエアートラップが発生し、入射面30aに凹みが形成される。
以上のことから、本願発明人は、図9に示すように、ガラスボールGBの変形すべき量、すなわち中心軸CP上における転写曲面SCとガラスボールGBとの間隔(以下、これを浮き量と呼ぶ)BFを所定の値以下にすることにより、エアートラップの発生を制御できるのではないかと考えた。
そこで、本実施の形態では、対物レンズ30の入射面30aの形状、すなわち入射面金型MMaの転写曲面SCの形状を反映させて浮き量BFを算出すると共に、エアートラップが発生しない浮き量BFの値を実験によって特定した。
(2−2)浮き量の算出原理
次に、かかる浮き量BFの算出方法について図10を用いて説明する。
対物レンズ30、ガラスボールGB及び入射面金型MMaの転写曲面SCは、中心軸CPを通る断面を回転させた回転体であることから、どの角度における断面であっても対物レンズ30、ガラスボールGB及び転写曲面SCの中心軸CPを通る断面形状は同一となる。
従って、本実施の形態では、対物レンズ30の中心軸CPを通る断面におけるガラスボールGBと転写面カーブSCとの2次元的な関係から、中心軸CP上でのガラスボールGBと転写曲面SCとの間隔である浮き量BFを算出する。
図10において、入射面金型MMaの転写曲面SCと中心軸CPとの交点である転写曲面頂点OPを原点とし、当該転写曲面頂点OPから中心軸CPに沿って、出射面30bに向かう方向(図では上方向)を正としてz座標をとり、中心軸CPに対して垂直な一方向(図では右方向)を正としてx座標をとるものとし、ガラスボールGB及び入射面金型MMaの断面が存在する平面をx−z平面と表すものとする。
回転体でなる対物レンズ30の断面における入射面30aの2次元的なカーブ(以下、これを入射面カーブと呼ぶ)S1(図13)は、一般的な非球面関数Asp(x)として表すことができる。また、この対物レンズ30の入射面30aを転写する入射面金型MMaの転写曲面SCは、入射面30aに基づく同一の形状を有することから、x−z平面における転写曲面SCのカーブ(以下、転写面カーブSCaと呼ぶ)は、入射面カーブS1と同一の非球面関数Asp(x)として表すことができる。
上述したように、ガラスボールGBと転写曲面SCとは、リング状接触線TLにおいて接触する。ここで、x−z平面上ではこのリング状接触線TLは転写面カーブSCa上の点であるため、リング状接触線TLを(x、Asp(x))として表す(x、Asp(x)の単位はいずれも[mm])。
具体的に、転写面カーブSCaは、一般的なn次の非球面関数として、cを転写曲面頂点OP付近(すなわち、入射面カーブS1における近軸)の曲率、kを円錐係数、A、A、A・・・Aを非球面係数としたとき、次式で表される。
なお、(3)式中の、g(x)は次式によるものとする。
また、(3)式を微分することにより、次式に従ってAsp´(x)を得ることができる。
また、ガラスボールGBの体積は、対物レンズ30の体積に応じて選択されるため、ガラスボールGBの体積と対物レンズ30の体積は同一である。ここで、ガラスボールGBの体積を体積V[mm]とすると、ガラスボールGBの半径(以下、これをボール半径と呼ぶ)r[mm]を次式に従って算出することができる。
次に、ボール半径rを斜辺とする直角三角形(斜線で示す)に着目すると、中心軸CP上にある辺Lb、及び中心軸CPに垂直な辺Laの長さ(いずれも単位は[mm])を次式に従って算出することができる。
リング状接触線TLの半径でもある辺Laは、z軸からリング状接触線TLまでの距離、すなわちリング状接触線TLのx座標を表していることから、x[mm]を次式のように表すことができる。
また、リング状接触線TL上における転写曲面SCの接線αLは、ガラスボールGBに対する接線でもあるため、中心軸CPと半径Rとの成す角度θ、及び接線αL及びx軸の成す角度θは同一であることから、(4)式で算出したAsp´(x)を用いて、θを次式のように表すことができる。
ここで、(9)式に(10)式を代入すると、次式を得ることができる。
そして、(11)式においてxの値を算出することにより、リング状接触線TLにおけるx座標の値を算出することができる。このとき、(11)式がn−1次の高次方程式であることからxの値が複数存在することが考えられるが、ガラスボールGB及び転写面カーブSCaの形状から、xの絶対値が最小でない場合においてガラスボールGBと転写面カーブSCaが接触するとは考えられない。従って、xの絶対値が最小になる実数解xの値(ただし0.000を除く)をxminとして算出し、この値をリング状接触線TLにおけるx座標とする。なお、このときのxminの算出方法については後述する。
ここで、転写曲面頂点OPとガラスボールGBの中心CCとの距離は、(7)式で表される辺Lbの長さに対してリング状接触線TLにおけるz座標を加算した加算値として表される。従って、浮き量BFをこの加算値からボール半径rを減算した値として表すことができる。
(12)式に(10)式を代入すると、次式を得ることができる。
ここで、(11)式で算出したxminの値を用いることにより、(13)式によって浮き量BFの値を算出することができる。
このように、ガラスボールGBの体積及び転写面カーブSCaの非球面関数Asp(x)に基づいて、浮き量BFを算出することができる。
続いて、(11)式を用いたxminの算出方法について具体的に説明する。
まず、(11)式を変形し、xについての関数D(x)として次式のように表す。
次いで、図11に示すように、(14)式で表される関数D(x)についてのグラフを作成し、このグラフに基づいて、関数D(x)とx軸との交点付近となるときのxminの値(ただし、x=0.000を除く)を概算する。なお、図11では、xmin=1.3付近となる。
次に、1/1000刻みでこのxmin付近の数値(実数)を関数D(x)に代入していき、関数D(x)の絶対値が最小となるときのxの値をxminとする。
例えば、図12に示すような計算結果が得られた場合、x=1.297のときに関数D(x)の絶対値が0.00006と最小になっていることから、xminの値は1.297とする。すなわち、関数D(x)がゼロ(0.00000[mm])になるときには、xの絶対値が1.296・・・・となり、これを1/10000の位で四捨五入すると1.297となるため、この1.297を関数D(x)がゼロとなるとき(すなわち(11)式が成立するとき)の、xの絶対値が最小(0.000[mm]を除く)になる実数解xmin[mm]の値としている。
なお、xminが(11)式における関数Aps(x)で表される転写面カーブSCaの範囲内に存在していない場合には、転写曲面SC以外の部分にリング状接触線TLが存在することになるため、(13)式は成立しなくなる。
このように、ガラスボールGBの体積と、2次元で表される転写面カーブSCaの非球面関数Asp(x)とから、浮き量BFを算出することができる。
(2−3)対物レンズに基づく浮き量の算出
実際には、この浮き量BFは、対物レンズ30における入射面30aの入射面カーブS1及び対物レンズ30の体積から算出されることになる。
上述したように、転写曲面SCa及び入射面カーブS1、並びにガラスボールGBの体積及び対物レンズ30の体積は同一であることから、上述した(3)、(4)、(5)、(6)、(11)及び(13)式を一部変形することにより、対物レンズ30の入射面カーブS1及び対物レンズ30の体積から浮き量BFを算出することができる。
すなわち、まず、入射面30aの入射面カーブS1を一般的な非球面関数Asp(x)として(15)式及び(16)式で表す。なおこの場合、cは対物レンズ30の近軸の曲率となる。
また、ガラスボールGBの体積及び対物レンズ30の体積は同一であることから、体積V[mm]として対物レンズ30の体積を用いると共に、(11)式におけるボール半径r[mm]に(6)式を代入することによって書き換えると、次式を得ることができる。
なお、Asp´(x)は(15)式を微分したものであり、次式のように表される。
従って、(11)式と同様の算出方法により、(17)式が成立する場合において、絶対値が最小となる0.000[mm]以外の実数解であるxの値をxmin[mm]として算出する。ただし、xminが(15)式における関数Aps(x)で表される入射面カーブS1の範囲内に存在する場合に限定されるものとする。
また、(13)式におけるボール半径r[mm]に(6)式を代入することによって書き換えると、次式を得ることができる。
従って、(17)式を用いて算出したxminの値を用いることにより、(19)式に従って浮き量BFを算出することができる。なお、(19)式で算出される値は、1/10000[mm]の位を四捨五入することにより算出されるものとする。
なお、体積Vは、対物レンズ30及びガラスボールGBとしての体積であり、上述した非球面関数やコバ厚みにより、2次元として表される対物レンズ30の形状における面積を算出し、この2次元形状を回転させたときの体積を、対物レンズ30の設計に使用される一般的な3次元CAD(Computer-Aided Design)プログラム(例えば、CADCEUS:日本ユニシス株式会社の登録商標、I−DEAS:SDRC株式会社の登録商標、AutoCAD:オートデスク株式会社の登録商標、CATIA:ダッソーシステムズ株式会社の登録商標、SolidWorks:ソリッドワークスジャパン株式会社の登録商標)で算出したものである。なお、いずれの3次元CADプログラムを用いた場合でも、その誤差は微差であり、上述した浮き量BFの値に影響を与えることはない。
また、非球面関数Asp(x)やコバ厚みなどの断面形状を測定し、測定された断面形状を回転させたときの体積Vを上述した3次元CADプログラムを用いて算出するようにしても良い。
このとき、対物レンズ30の体積の算出方法としては、例えば0.1[μm]オーダーの形状を正確に測定可能な3次元測定機を用いて対物レンズ30の中心軸CPを通る2次元の断面形状を測定することにより、対物レンズ30の設計時に用いられる非球面関数やコバ厚みなどの断面形状から算出される対物レンズ30の体積とほぼ同一値を得ることができる。なお、対物レンズ30の設計時に用いられる入射面カーブS1の非球面関数やコバ厚みから対物レンズ30の体積を算出した場合と、3次元測定機などを用いた測定結果から対物レンズ30の体積を算出した場合とで算出される体積の誤差は微差であり、(19)式において0.001[mm]以上の誤差が生じるものではない。
また、入射面カーブS1についても同様であり、上述した3次元CADプログラムによって算出された非球面関数Asp(x)を用いても、0.1[μm]オーダーの形状を正確に測定可能な3次元測定機などを用いて算出された非球面関数Asp(x)を用いてもほぼ同一の値を得ることができ、どちらの非球面関数Asp(x)を用いた場合においても(19)式において0.001[mm]以上の誤差が生じるものではない。
(3)エアートラップが発生しない浮き量の値
次いで、実際に対物レンズ30を形成し、エアートラップが発生しない浮き量BFの値の範囲を特定した。
(3−1)第1の実験
本実施の形態では、レンズNo.1〜No.6の6つの対物レンズ30を実際に作製した。レンズNo.1〜No.6では、上述した浮き量BFの値を大きく変えることにより、エアートラップが発生しない浮き量BFの値の範囲を大まかに検討している。
図13に、本実施の形態で使用される用語の説明を示す。すなわち、入射面カーブS1は対物レンズ30の入射面30aに対応し、出射面カーブS2は出射面30bに対応している。また、コバ厚みFlange_t、光透過保護層厚CG_t、レンズ厚みLens_t、有効径S1e及びS2e、非球面径S1d及びS2d、外径D並びに有効差動距離WDをそれぞれ表している。
図14〜17に本実施の形態で作製されたレンズNo.1〜No.6の対物レンズ30の形状及び算出された各種特性を表している。図14では、主に対物レンズ30としての特性として、レンズ厚みLens_t、コバ厚みFlange_t、有効差動距離WD、外径D、使用されると想定される波長λ、焦点距離f、屈折率n、アッベ数νd、光透過保護層厚CG_t、rを示している。
また、図15及び図16では、それぞれ入射面カーブS1及び入射面カーブS2の特性として、近軸の曲率半径R、近軸の曲率c、円錐係数k、非球面係数A〜A20、有効径S1e、非球面径S1dをそれぞれ示している。図17では、主に対物レンズ30の特性として、体積V、ボール半径r、(17)式によって算出された最小実数解xmin、(19)式によって算出された浮き量BF、設計上の波面収差λrms、色収差Δを示している。
金型としては、入射面30aに対応する入射面カーブS1及び出射面30bに対応する出射面カーブS2を転写するための凹型形状の転写曲面をそれぞれ有する入射面金型MMa及び出射面金型MMbを準備する。この入射面金型MMa及び出射面金型MMbの転写面は、鏡面加工されている。
ガラスボールGBの材料としては、一般的な光学ガラス材料が用いられる。具体的には、三酸化ホウ素(B)、二酸化珪素(SiO)、酸化リチウム(LiO)、などを含有し、屈折率が1.5以上、アッベ数νdが40以上、屈伏点Atが650[℃]以下、好ましくは600[℃]以下の光学ガラス材料が用いられる。また、ガラスボールGBとしては、真球状に形状加工されていると共に、精密に研磨された状態のものを使用した。
まず、このガラスボールGBを入射面金型MMaの転写面カーブSC内に載置する。このときの浮き量BFを、図18〜図23に表している。なお、図中では、対物レンズ30とガラスボールGBとの関係を表しているが、転写面カーブSCaと入射面カーブS1とは同一であることから、入射面金型MMaとガラスボールGBとの関係も同様となる。
レンズNo.1では浮き量BFが0.001[mm]と非常に僅かであるのに対し、レンズNo.2(0.023[mm])、No.3(0.058[mm])と大きくなっていき、レンズNo.4(0.308[mm])、No.5(0.383[mm])、No.6(0.293[mm])では非常に大きくなっていることが分かる。なお、レンズNo.5及びNo.6では、リング状接触線TLが入射面カーブS1内に存在しないため、算出された浮き量BFは実際の浮き量BFとは異なっているため、図17においては実際の浮き量BFの値をかっこ書きで示している。
入射面金型MMa上にガラスボールGBを載置した後、このガラスボールGBを覆うようにして当該ガラスボールGB上に出射面金型MMbを配置し、入射面金型MMa及び出射面金型MMbを介してガラスボールGBが所定の加熱温度になるまで加熱する。このときの加熱温度は、ガラスボールGBの表面における粘度が105.5Pa・s〜10Pa・sになるような温度が設定される。なお、ガラスボールGB表面の酸化を防止するため、この加熱処理及び以降のプレス工程は全て無酸素雰囲気下で実行される。
次いで、加熱温度を維持した状態で、金型MMを介してガラスボールGBに対して任意の速度で徐々に圧力を印加すると共に、所定のプレス圧力を維持したままで所定のプレス時間に渡って入射面金型MMaの下面側及び出射面金型MMbの上面側から押圧し、ガラスボールGBを成形する。このプレス時間の経過後、プレス圧力を維持したままの状態で入射面金型MMa及び出射面金型MMbを冷却することにより、ガラスボールGBのガラス転移点以下となる所定のプレス終了温度になるまでガラスボールGBの温度を低下させる。
プレス終了温度になるまでガラスボールGBが冷却されたことを確認すると、成形されたガラスボールGBを入射面金型MMa及び出射面金型MMbから取り出すことにより、対物レンズ30が作製されるようになされている。
エアートラップの有無についての評価としては、この対物レンズ30の入射面30a側、及び入射面30a及び出射面30bを上下方向とした場合の側面側から顕微鏡を用いて目視による観察を行い、凸状の入射面30aの特に近軸付近において凹みが存在するか否かにより、エアートラップの有無を評価した。
図24に、レンズNo.1〜No.6の対物レンズ30についての代表的な特性及びエアートラップの有無についての評価結果を示している。エアートラップの評価については、エアートラップが発生しなかったものについては○を付している一方、エアートラップが確認されたものについては×を付している。
すなわち、レンズNo.2〜No.6(浮き量BFが0.023[mm]以上)の場合にはエアートラップが確認されたが、浮き量BFが0.001[mm]の場合にはエアートラップが確認されなかったことから、浮き量BFが0.001[mm]以下であればエアートラップが発生しないことが分かった。
従って、レンズNo.1の形状を有する対物レンズ30では、波面収差や色収差を設計値に近い値に抑えることができる一方、レンズNo.2〜No.6では、エアートラップによる転写不良により、設計どおりの波面収差や色収差を呈することができず、例えば干渉計測定などで計測できないほど著しく波面収差が悪化する。
(3−2)第2の実験
この第2の実験では、第1の実験(図24)でエアートラップが発生した浮き量BFが0.023[mm]付近を中心として、浮き量BFが0.013[mm]〜0.042[mm]となる条件で、レンズNo.11〜No.16の対物レンズ30を作製し、エアートラップの有無について評価した。なお、対物レンズ30の作製方法及び評価方法については、上述した第1の実験と同様である。
図25に、第2の実験の主な条件として、ガラスボールGBの直径を表すボール直径、ボール半径r、体積V、浮き量BF、レンズ・ボール半径比率r/R、エアートラップの有無、エアートラップの大きさを表すトラップ径DAを示している。
また、図26に、レンズNo.11〜No.16として実際に作製された対物レンズ30の入射面30a側からみた上面図と、側面図とを示す。この上面図において、エアートラップが確認された部分を斜線で示すと共に、側面図において実際に形成された入射面30aのカーブを実線で表している。
図25及び図26から明らかなように、レンズNo.11〜No.13の対物レンズ30は、入射面30a全域に渡って滑らかな凸状の非球面のカーブが形成されており、エアートラップは確認されなかった。
これに対して、レンズNo.14〜No.16の対物レンズ30には、入射面30aの近軸付近に凹みが見られ、エアートラップが発生していることが確認された。また、浮き量BFがレンズNo.14(0.025[mm])、No.15(0.035[mm])、No.16(0.042[mm])と大きくなるにつれて、エアートラップの直径を表すトラップ径DA(それぞれ0.84[mm]、1.23[mm]、1.37[mm])が大きくなることが確認された。このことは、浮き量BFが大きくなるとプレス終了時まで残留する隙間内雰囲気が多くなることを表している。
なお、図26は、図27に示すレンズNo.11〜No.16の顕微鏡写真をトレースしたものである。なお、各顕微鏡写真において、同じように写っている白い大小2つのリングは、顕微鏡のリング照明が映り込んだものである。そして、レンズNo.14〜No.16におけるエアートラップは、上面図においては、大小2つのリングの間に薄く見えるリングであり、側面図においては、入射面30aの近軸付近に生じている変則的に光る部分及びその周囲の影部分である。
以上のことから、浮き量BFを0.020[mm]以下に設定することにより、対物レンズ30におけるエアートラップの発生を防止し得ることが確認された。
(3−3)第3の実験
第3の実験における対物レンズ30の特性を図28及び図29に示す。対物レンズ30の入射面カーブS1における近軸の曲率半径R、曲率c、レンズ・ボール半径比率r/R及び体積Vなどの値を一定にし、入射面カーブS1における円錐係数kの値を変化させただけの場合であっても、浮き量BFの値が大きく変化していることが分かる。
このレンズNo.21〜No.26のうち、レンズNo.23及びNo.24について、実際に対物レンズ30を作製し、エアートラップの発生の有無を評価した。なお、対物レンズ30の作製方法及び評価方法については、上述した第1の実験と同様である。
図28に示したように、第2の実験と同様に、浮き量BFが0.020[mm]となるレンズNo.23の条件で形成された対物レンズ30では、エアートラップが観察されなかったが、浮き量BFが0.023[mm]となるレンズNo.24の条件で形成された対物レンズ30ではエアートラップが観察された。
この結果は、浮き量BFが0.020[mm]以下では発生しないとした第1及び第2の実験を支持するものと言える。
ここで、第1の実験〜第3の実験の結果をひとまとめにして図30にグラフとして示す。このグラフでは、ボール・レンズ半径比率r/R、浮き量BF及びエアートラップ発生の有無の関係を表している。
このグラフから明らかなように、エアートラップの発生がボール・レンズ半径比率r/Rではなく、浮き量BFによって決定されると共に、浮き量BFが0.020[mm]以下であれば、エアートラップが発生しないことが確認された。
以上のことから、この浮き量BFが0.020[mm]以下になるように対物レンズ30を設計することにより、エアートラップのない良好な特性を呈する対物レンズ30を製造することが可能であることが確認された。
(4)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置10に使用される対物レンズ30は、対物レンズ30の体積をV[mm]とし、回転体である対物レンズ30の入射面30aを回転する前の状態として2次元的に捉え、中心軸CPを通る断面形状における入射面カーブS1が(15)式及び(16)式で表され、かつ(15)式の微分値が(18)式で表されるとき、(17)式が成立し、xの絶対値が最小(ただし0.000[mm]を除く)となるときの実数解xをxmin[mm]として算出する。そしてこのxminの値を用いたときに、(19)式に従って算出される浮き量BFが0.020[mm]以下になるようにした。
これにより、エアートラップが発生しないように対物レンズ30を設計することができ、このように設計された対物レンズ30を製造したときの歩留まりを向上させることができる。
また、本発明においては、入射面金型MMaにおける転写面カーブSCa及び対物レンズ30における入射面カーブS1の形状が同一であり、さらにガラスボールGB及び対物レンズ30の体積が同一であることに着目し、対物レンズ30の形状を設計した段階において、対物レンズ30の体積と入射面カーブS1から製造時における入射面金型MMa及びガラスボールGBの中心軸CP上の距離である浮き量BFを算出するようにした。
これにより、実際に対物レンズ30を製造する以前の設計段階において、エアートラップの発生の有無が判別できる。従来は、実際に設計された形状に応じた金型MMを製作し、試作を行うことによってしかエアートラップの有無を確認することができず、この金型MMの製作に大変な時間及び費用を要していたが、本発明によって金型MMを製作しなくてもエアートラップの有無が判別できるようになり、効率よく対物レンズ30を設計することができる。
以上の構成によれば、対物レンズ30を製造するときの浮き量BFを制御することにより、エアートラップの発生を防止することができ、良好な特性を呈するレンズ、このレンズを用いた光ピックアップ及び光ディスク装置、並びに良好な特性を呈するレンズを作製する転写不良判別方法を実現することができる。
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、入射面カーブS1は非球面形状を有するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、対物レンズ30が凸型を有する左右対称な断面形状を回転させた回転体を構成していれば良く、例えば球面形状やその他の回転対称形状、例えば回折面を伴った回転対称非球面形状を有するようにしても良い。
入射面カーブS1が球面形状を有し、かつボール・レンズ半径比率r/Rが一定な場合であっても、図31に示すように、対物レンズ30の体積(すなわちガラスボールGBの体積)に応じて浮き量BFは変化する。
このことから、浮き量BFが0.200[mm]以下になるように対物レンズ30を製造することにより、上述した実施の形態と同様に、エアートラップのない良好な特性を呈する対物レンズ30を製造することが可能となる。
この場合、上述した入射面カーブS1を関数f(x)で表すと共に、非球面関数Asp(x)を関数f(x)に置き換えることにより、上述した(11)式を次式のように書き換えることができる。
従って(11)式のときと同様の方法により、(20)式が成立し、xの絶対値が最小になる実数解xの値(ただし0.000[mm]を除く)をxminとして算出することにより、リング状接触線TLにおけるx座標の値を算出することができる。
また、非球面関数Asp(x)を関数f(x)に置き換えることにより、上述した浮き量BFを表す(13)式を次式のように書き換えることができる。
(13)式のときと同様にして、(20)式を用いて算出したxminを(21)式に代入することにより、浮き量BFを算出することができる。
ここで、(21)式を満たすときの対物レンズ30の形状について考える。まず、ガラスボールGBのボール半径rを(6)式を用いて置き換えて、(20)及び(21)式をそれぞれ変形し、それぞれ(1)式及び(22)式を得る。
従って、中心軸CPを通る2次元の断面上にある入射面カーブS1がxについての関数f(x)として表されるとき、対物レンズ30の体積を体積Vとして表された(1)式が成立し、かつ絶対値が最小となる0.000[mm]以外の実数解xをxminとする。ただし、xminが(21)式における関数f(x)で表される入射面カーブS1の範囲内に存在する場合に限定されるものとする。
そして(21)式が表す浮き量BFの値を0.020[mm]以下とし、(2)式を満たすことにより、エアートラップの発生しない良好な特性を呈する各種光学レンズを形成することができる。
さらに上述の実施の形態においては、(19)式で算出される浮き量BFの値を0.020[mm]以下にして対物レンズ30の形状を特定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この(19)式を用いてエアートラップの有無を判別するようにしても良い。このとき実行されるこの浮き量の算出手順について、図32に示すフローチャートを用いて説明する。
浮き量の算出手順RT1の開始ステップから入ってステップSP1へ移り、各種係数(近軸の曲率c、円錐係数k、非球面係数A、A・・・A)及び対物レンズ30の体積を測定若しくは算出し、(15)式及び(16)式にそれぞれ代入すると、次のステップSP2へ移る。
ステップSP2において、Asp´(x)が(18)式で表され、かつ(17)式が成立する場合における、絶対値が最小となる実数解xの値をxminとして算出すると、次のステップSP3へ移る。
ステップSP3において、ステップSP3で算出されたxmin値を用いて(19)式に従って浮き量BFを算出すると、次のステップSP4へ移る。
ステップSP4において、算出された浮き量BFが所定の閾値以下であるか否かを判別し、閾値以下である場合には、エアートラップが発生しないと判別する一方、閾値以上である場合には、エアートラップが発生すると判別すると、次のステップSP5へ移って処理を終了する。
なお、ステップSP4における閾値は、対物レンズ30の材質として一般的な光学ガラスが使用される場合には、0.020[mm]に設定されるものとする。
さらに上述の実施の形態においては、浮き量BFの値を0.020[mm]以下にすることにより、ガラスモールド法によって製造される対物レンズ30のエアートラップの発生を防止するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばこの浮き量BFの算出方法を利用して、同様に加熱してプレスすることにより製造されるプラスチック製などのレンズにおけるエアートラップの発生を防止するようにしても良い。なお、成形材料として、プラスチック材料などガラス以外の材質が使用される場合には、材質に応じた閾値が設定される。
また、この浮き量の算出手順RT1は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって実行されるようにしても良い。この場合、情報処理装置の記憶部に浮き量の算出処理手順RT1に従って実行される浮き量の算出プログラムが記憶されると共に、情報処理装置を統括制御する制御部によって処理が実行される。
さらに上述の実施の形態においては、入射面30aについての入射面金型MMaとガラスボールGBの中心軸CP上の距離を浮き量BFとして算出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、出射面30bについての出射面金型MMbとガラスボールGBの中心軸CP上の距離を浮き量BFとして算出するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、浮き量BFを0.000[mm]より大きく、0.020[mm]以下に設定するようにした場合について述べたが、本発明はエアートラップの発生する限界となる浮き量BFを特定したものである。すなわち本発明では、エアートラップが発生するか否かの推測が非常に困難であった領域(BF=0.005[mm]〜0.020[mm]、更に困難を極める0.010[mm]〜0.020[mm])において、特に効果的に作用する。すなわち、エアートラップ発生の臨界値を明確にしたため、従来の感覚的若しくは経験的にエアートラップの発生を推測する場合とは異なり、発生の危険性が予測されるようなグレーゾーンが存在せず、エアートラップ発生の限界ぎりぎりまでの範囲を自由に使用して対物レンズ30を設計することができるため、設計の自由度を向上させることができる。
さらに上述の実施の形態においては、球体でなるガラスボールをガラス材料及び成形材料として用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、中心軸CPを通る断面が楕円や涙滴形等でなる形状のガラス材料(例えばゴブ材等)を用いても良い。この場合には、球形のガラスボールGBよりも一段とエアートラップが発生しにくくなるため、(19)式によって計算される浮き量BFが0.020[mm]以下になるように対物レンズ30を設計することにより、一段と確実にエアートラップの生じないレンズを作製することができる。
さらに上述の実施の形態においては、プレス加工の後に対物レンズ30に対して芯取り加工をしないようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、対物レンズ30のコバ部分の外周部を一部削切する、いわゆる芯取り加工を施すようにしても良い。この場合であっても、この芯取り加工によって対物レンズ30に与える体積の変化はごく僅かであるため、(19)式によって算出される浮き量BFの値を0.020[mm]以下になるように対物レンズ30を設計することにより、上述した実施の形態と同様にエアートラップの生じないレンズを作製することができる。
さらに上述の実施の形態においては、(22)式において、xminの値を概算し、概算された値付近の値をxとして0.001刻みで代入すると共に、このときに関数D(x)の絶対値が最も小さくなるときのxの値をxminとするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、モデリングや所定の算出方法に従って、直接的にxの値を算出すると共に、xの値のうち、最小の絶対値を有するものをxminとするようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、ブルーレイディスク(登録商標)用の対物レンズ30において浮き量BFを0.020[mm]以下にするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、回転体となる凸形状のガラス製のレンズについて、浮き量BFを0.020[mm]以下にすれば、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
さらに上述の実施の形態においては、光源としてのレーザダイオード22と、凸状の光学面としての入射面30aを有する対物レンズとしての対物レンズ30と、駆動部としての送りモータ15とによって本発明の光ディスク装置である光ディスク装置20を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成で成る光源と、対物レンズと、駆動部とによって光ディスク装置を構成するようにしても良い。
本発明のレンズ、光ピックアップ、光ディスク装置及び転写不良判別方法は、例えばレンズを有する様々な電子機器及び光学製品に利用することができる。
ガラスモールド製法の説明に供する略線図である。 NAの高い対物レンズの製造の説明に供する略線図である。 光ディスク装置の全体構成を示す略線図である。 光ピックアップの構成を示す略線図である。 プレス圧力がない状態の説明に供する略線図である。 プレス初期の説明に供する略線図である。 良好な対物レンズの形成の説明に供する略線図である。 エアートラップの発生の説明に供する略線図である。 浮き量の定義を示す略線図である。 浮き量の算出の説明に供する略線図である。 minの算出(1)の説明に供する略線図である。 minの算出(2)の説明に供する略線図である。 用語の説明に供する略線図である。 第1の実験の条件(1)を示す略線図である。 第1の実験の条件(2)を示す略線図である。 第1の実験の条件(3)を示す略線図である。 第1の実験の条件(4)を示す略線図である。 レンズNo.1の説明に供する略線図である。 レンズNo.2の説明に供する略線図である。 レンズNo.3の説明に供する略線図である。 レンズNo.4の説明に供する略線図である。 レンズNo.5の説明に供する略線図である。 レンズNo.6の説明に供する略線図である。 第1の実験のまとめの説明に供する略線図である。 第2の実験の条件及び結果を示す略線図である。 第2の実験によるエアートラップの評価の説明に供する略線図である。 第2の実験によるエアートラップの顕微鏡写真である。 第3の実験による実験条件と結果を示す略線図である。 第3の実験の条件を示す略線図である。 実験結果まとめの説明に供する略線図である。 他の実施の形態による浮き量の説明に供する略線図である。 浮き量の算出手順の説明に供するフローチャートである。
符号の説明
10……光ディスク装置、12……制御部、13……サーボ回路、14……スピンドルモータ、18……信号処理部、20……光ピックアップ、22……レーザダイオード、28……フォトダイオード、30……対物レンズ、30a……入射面、30b……出射面、40……光ビーム、50……反射光ビーム、MM……金型、MMa……入射面金型、MMb……出射面金型、GB……ガラスボール、TL……リング状接触線、SC……カーブ転写面、CP……中心軸、BF……浮き量、S1……入射面カーブ、S2……出射面カーブ。

Claims (6)

  1. 金型間に配置されたガラス材料を加熱及び加圧することにより成形されるガラス製のレンズであって、
    回転体形状の凸型の光学面
    を具え、
    上記レンズの体積をV[mm]とし、上記レンズの中心軸を通る断面形状における上記凸型の光学面のカーブをf(x)で表す(xの単位は[mm])ときに、次式
    が成立するときの実数解xのうち、xの絶対値が最小(ただし0.000[mm]を除く)となる実数解xをxmin[mm]としたとき(ただしxminが上記凸型の光学面内にあるときに限る)に、次式
    を満たす
    ことを特徴とするレンズ。
  2. 上記レンズは、
    光源から発射された光ビームを集光して光ディスクに照射する対物レンズであり、
    上記凸型の光学面は、
    非球面形状を有する入射面でなり、cを上記入射面の近軸の曲率、kを円錐係数、A、A、A・・・Aを非球面係数とし、上記入射面のカーブが次式及び次々式(いずれもxの単位は[mm])
    で表され、かつ(3)式の微分値が次式
    で表されるとき、次式
    が成立するときの実数解x[mm]のうち、xの絶対値が最小(ただし0.000[mm]を除く)となる実数解xをxmin[mm]としたとき(ただしxminが上記入射面内にあるときに限る)に、次式
    を満たす
    ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ。
  3. 開口数が0.8以上でなる
    ことを特徴とする請求項2に記載のレンズ。
  4. 光ディスクに照射する光ビームを発射する光源と、
    上記光ビームを集光して光ディスクに照射し、回転体形状でなる凸型の非球面形状の入射面を有する対物レンズと
    を具え、
    上記対物レンズは、
    金型間に配置されたガラス材料を加熱及び加圧することにより成形されると共に、
    cを上記入射面の近軸の曲率、kを円錐係数、A、A、A・・・Aを非球面係数とした場合に、上記入射面の中心軸を通る断面形状における上記入射面のカーブが次式及び次々式(いずれもxの単位は[mm])
    で表わされ、(3)式の微分値が次式
    で表され、上記対物レンズの体積をV[mm]としたとき、次式
    が成立するときの実数解xのうち、xの絶対値が最小(ただし0.000[mm]を除く)となる実数解xをxmin[mm]としたとき(ただしxminが上記入射面内にあるときに限る)に、次式
    を満たす
    ことを特徴とする光ピックアップ。
  5. 光ディスクに照射する光ビームを発射する光源と、
    上記光ビームを集光して光ディスクに照射し、回転体形状でなる凸型の非球面形状の入射面を有する対物レンズと
    上記対物レンズを上記光ディスクの所望の位置に駆動する駆動部と
    を具え、
    上記対物レンズは、
    金型間に配置されたガラス材料を加熱及び加圧することにより成形されると共に、
    cを上記入射面の近軸の曲率、kを円錐係数、A、A、A・・・Aを非球面係数とした場合に、上記入射面の中心軸を通る断面形状における上記入射面のカーブが次式及び次々式(いずれもxの単位は[mm])
    で表わされ、(3)式の微分値が次式
    で表され、上記対物レンズの体積をV[mm]としたとき、次式
    が成立するときの実数解xのうち、xの絶対値が最小(ただし0.000[mm]を除く)となる実数解xをxmin[mm]としたとき(ただしxminが上記入射面内にあるときに限る)に、次式
    を満たす
    ことを特徴とする光ディスク装置。
  6. 金型間に配置された成形材料を加熱及び加圧することにより成形されるレンズに対する転写不良を判別する転写不良判別方法であって、
    cを上記入射面の近軸の曲率、kを円錐係数、A、A、A・・・Aを非球面係数とした場合に、回転体形状でなる凸型の非球面形状を有する入射面の中心軸を通る断面形状における上記入射面のカーブが次式及び次々式
    で表され、かつ(3)式の微分値が次式
    で表され、上記対物レンズの体積をV[mm]としたとき、次式
    が成立するときの実数解xのうち、xの絶対値が最小(ただし0.000[mm]を除く)となる実数解xをxmin[mm]としたとき(ただしxminが上記入射面内にあるときに限る)に、次式
    に従って算出されるBF[mm]の値が所定の閾値以下であるか否かによってエアートラップの有無を判別する転写不良判別方法。
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