JP2008065281A - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、前記樹脂成分(A)は、一般式(I)[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R1’は水素原子または低級アルキル基を示す。nは0〜3の整数である。R1は低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化低級アルキル基を示し;pは0〜2の整数である。]で表される構成単位(a1)を有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
[化1]
【選択図】なし
Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
これまで、化学増幅型レジストのベース樹脂としては、KrFエキシマレーザー(248nm)に対する透明性が高いポリヒドロキシスチレン(PHS)やその水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護した樹脂(PHS系樹脂)が用いられてきた。しかし、PHS系樹脂は、ベンゼン環等の芳香環を有するため、248nmよりも短波長、たとえば193nmの光に対する透明性が充分ではない。そのため、PHS系樹脂をベース樹脂成分とする化学増幅型レジストは、たとえば193nmの光を用いるプロセスでは解像性が低いなどの欠点がある。
そのため、現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が主に用いられている(たとえば特許文献1参照)。
かかるラフネスは、たとえば、ラインパターン側壁表面のラフネス、すなわちラインエッジラフネス(LER)の場合、ライン幅のばらつき等の原因となり、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与える恐れがある。
したがって、レジストパターンの微細化がますます進む状況のなか、高解像性の要望がさらに高まるにつれ、LERの低減がさらに重要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、LERの低減されたレジストパターンを形成できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、前記樹脂成分(A)は、下記一般式(I)で表される構成単位(a1)を有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」とは、炭素原子数1〜5のアルキル基を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)とを含有する。
かかるポジ型レジスト組成物において、(A)成分は、露光前はアルカリ不溶性であり、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸が(A)成分に作用してアルカリ溶解性を増大させる。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成することができる。
本発明において、(A)成分は、前記一般式(I)で表される構成単位(a1)を有する。
また、(A)成分は、構成単位(a1)に加え、好ましくは、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する。
また、(A)成分は、構成単位(a1)に加え、または構成単位(a1)と構成単位(a2)に加え、好ましくは、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが特に好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
構成単位(a1)は、前記一般式(I)で表される構成単位である。構成単位(a1)を有することにより、LERの低減されたレジストパターンを形成することができる。
R1’は、水素原子または低級アルキル基を示す。R1’において、低級アルキル基は、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明において、R1’は、なかでも水素原子であることがより好ましい。
nは0〜3の整数であり、0〜2であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0が最も好ましい。
R1は、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化低級アルキル基を示す。R1において、低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
pは0〜2の整数であり、なかでも0または1であることが好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
R1の置換位置は、pが1である場合はいずれの置換位置でもよい。pが2の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
Xはハロゲン原子を示す。なかでも、Xとしては、塩素原子又は臭素原子が好ましく挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、たとえばクロロメトキシシクロペンタン、ブロモメトキシシクロペンタン等が挙げられる。
上記一般式(2)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示す。Rとしては、一般式(I)中のRと同様である。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸又はトリフルオロメチルアクリル酸等が挙げられる。
反応温度としては、通常、−200〜200℃であり、−50〜100℃が好ましい。
反応圧力としては、通常、絶対圧力で0.01〜10MPaであり、常圧〜1MPaが好ましい。
反応圧力が低すぎる場合、発生するハロゲン化水素ガスの溶媒等への溶解度が低下するため、反応時間が長くなる。
反応圧力が高すぎる場合は、特別な装置が必要となり、経済的でない。
塩基性物質としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ピリジン、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。
塩基性物質の使用量としては、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、1〜5倍モル、好ましくは1〜2倍モルである。
ここで、塩基性化合物としては、一般的な塩基性化合物を用いることができるが、中でも、無機塩基性化合物が好ましい。
具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸二水素カリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ピリジン等の有機塩基性化合物を使用することもできるが、無機塩基性化合物に比べ、有機塩基性化合物は水洗により除去され難いため、構成単位(a1)を誘導するモノマー中に残留し、該化合物の保存安定性に影響する恐れがある。
このようにして得られた構成単位(a1)を誘導するモノマーは、このまま製品とすることもできるし、更に、得られる構成単位(a1)を誘導するモノマーの性状と含まれる不純物の種類を考慮して、蒸留、晶析等の精製を行ってもよい。
反応温度としては、通常、−200〜200℃であり、−50〜100℃が好ましい。
反応圧力としては、通常、絶対圧力で0.01〜10MPaであり、常圧〜1MPaが好ましい。
反応圧力が低すぎる場合、反応に用いる塩化水素ガス又は臭化水素ガスの溶媒等への溶解度が低下するため、反応時間が長くなる。
反応圧力が高すぎる場合は、特別な装置が必要となり、経済的でない。
具体的には、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
未反応のホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒドは、水層に移行し除去される。
得られた反応生成物より溶媒を減圧留去することにより、一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
得られた一般式(1)で表される化合物は、このまま構成単位(a1)を誘導するモノマーの製造に用いてもよいし、必要に応じて、蒸留、再結晶等の精製を行った後、構成単位(a1)を誘導するモノマーの製造に用いてもよい。
(A)成分中の構成単位(a1)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、10〜80モル%であることが好ましく、20〜70モル%であることがより好ましく、25〜50モル%であることがさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a1)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
本発明において、(A)成分は、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
Aの炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
(A)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%であることが好ましく、10〜50モル%であることがより好ましく、20〜50モル%であることがさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
本発明において、(A)成分は、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。
構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
jは、1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
(A)成分中の構成単位(a3)の割合は、当該(A)成分を構成する全構成単位に対して、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることがより好ましく、5〜25モル%であることがさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
かかる他の構成単位としては、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
他の構成単位として具体的には、たとえば酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)等が挙げられる。
本発明において、(A)成分は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)を含んでいてもよい。ただし、前記一般式(I)で表される構成単位(a1)と同様の構成単位を除く。
構成単位(a1’)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A)成分全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後はこの(A)成分全体をアルカリ可溶性へ変化させるものであれば、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。
一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
構成単位(a1’)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基の具体例としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式(a1”)で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1−1)で表される基が好適なものとして挙げられる。
nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
R1’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、特に、上記式(p1−1)中のR1’が水素原子である基が好ましい。
Yの低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。ただし、前記一般式(I)で表される構成単位中に含有される脂肪族単環式基(シクロペンタンから1〜3個の水素原子を除いた基)を除くものとする。
Yの脂肪族環式基として具体的には、下記化学式で示される構造のものが例示できる。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
X1は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定することはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
X2は、式(a1−0−1)中のX1と同様である。
Y2は好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基又は2価の脂肪族環式基であり、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられる以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
Yの脂肪族環式基については、上述の「脂肪族環式基」の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明において、(A)成分は、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)を含んでいてもよい。
該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1’)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
本発明において、(A)成分としては、特に下記式(A1−11)の様な構成単位の組み合わせを含む共重合体が好ましい。
nは、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
また、(A)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
本発明において、ポジ型レジスト組成物中の(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
前記直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R51としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u”は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
前記直鎖または分岐のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては、上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R31の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
本発明においては、中でも(B)成分としてフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜15質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という。)を含有することが好ましい。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミンが特に好ましく、トリ−n−ペンチルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、なかでも(D)成分としてアルキルアミンが好ましく、炭素数5〜10のトリアルキルアミンを用いることが特に好ましい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、サリチル酸が最も好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル(EL)、γ−ブチロラクトンが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
さらに、(S)成分としては、上述のPGMEAとPGMEとの混合溶剤と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明に用いられる樹脂成分は、アセタール型の酸解離性溶解抑制基を含む構成単位(a1)を有する。かかる酸解離性溶解抑制基は、たとえば第3級アルキルエステル型の酸解離性溶解抑制基に比べて低い活性化エネルギーによる解離が可能である。そのため、露光部において、構成単位(a1)の酸解離性溶解抑制基が解離しやすく、露光部と未露光部とのアルカリ溶解性の差(コントラスト)が大きくなることにより、露光部と未露光部との境界部分でのラフネスが改善されると考えられる。
また、構成単位(a1)の酸解離性溶解抑制基は、シクロペンチル基を含有する。シクロペンチル基を含有することにより、たとえば多環式基、鎖状の第三級アルキル基等を含有する酸解離性溶解抑制基に比べて、樹脂成分のガラス転移温度が従来よりも下がると考えられる。そのため、たとえばレジストパターン形成の際、PEB(露光後加熱)等の処理によりレジスト膜が軟化しやすくなって、レジストパターン表面の微細な凹凸が低減されやすくなると考えられる。
以上の理由から、本発明のポジ型レジスト組成物は、LERの低減されたレジストパターンを形成できると推測される。
ここで、「DOF」とは、同一露光量において、焦点を上下にずらして露光した際に、ターゲット寸法に対するずれが所定の範囲内となる寸法でレジストパターンを形成できる焦点深度の範囲、すなわちマスクパターンに忠実なレジストパターンが得られる範囲のことであり、DOFは大きいほど好ましい。
また、本発明においては、露光余裕度が良好である(露光マージンが大きい)。
たとえばラインアンドスペースパターンを形成する際に、ラインとラインとが完全に分離する(スペースが形成される)最小の露光量を「Eclr」、ライン幅:スペース幅=1:1に形成できる最適露光量を「E1:1」、露光量が過剰でラインが崩壊してしまう最小の露光量を「Eb」とすると、本発明のポジ型レジスト組成物を用いた場合、EclrとE1:1との間の幅、E1:1とEbとの間の幅が大きい。
そのため、下記計算式で求められる2種のマージン[Ms(Margin to separate)およびMb(Margin to break)]の値がともに大きくなって露光余裕度が良好である。
Ms=(「E1:1」/「Eclr」−1)×100
Mb=(「Eb」/「E1:1」−1)×100
また、たとえば上記E1:1の±5%の範囲において、ターゲット寸法のL/Sパターンを形成する際の1mJ/cm2当たりの寸法変化量[nm/(mJ/cm2)]の絶対値が小さくなって露光余裕度が良好である。
本発明のレジストパターン形成方法は、上記本発明のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む方法である。
本発明のレジストパターン形成方法は、たとえば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いで、これをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、場合によっては、上記アルカリ現像後にポストベーク工程を含んでもよいし、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
また、露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。本発明にかかるポジ型レジスト組成物は、特に、ArFエキシマレーザーに対して有効である。
下記実施例1および比較例1〜2で用いた樹脂(A)−1〜(A)−3は、以下に示すモノマー(1)〜(5)を用いてそれぞれ合成した。
モノマー(1)は、下記の手順で合成した。
撹拌器及び塩化水素ガス導入用のノズルを取り付けた500mLナスフラスコに、シクロペンタノール25.92g(300mmol)、パラホルムアルデヒド11.71g(390mmol)及び乾燥したジクロロメタン200mLを加え、水浴で30℃に保ちながら撹拌した。
次に、常圧において、塩化ナトリウム175.5gと濃硫酸200mLを混合して発生させた塩化水素ガスを上記ジクロロメタン溶液にノズルを通して60分間吹き込んだ。
更に、60分間撹拌後、反応生成物のガスクロマトグラフィ分析を行ったところシクロペンタノールは完全に消失し、選択率99%でクロロメトキシシクロペンタン1が得られていることを確認した。
反応生成物を分液ロートに移し、有機層と水層を分離し、有機層から溶媒を減圧蒸留により留去することにより、粗反応生成物を得た。
更に、粗反応生成物を減圧蒸留することにより、クロロメトキシシクロペンタン1を収率83.1%(収量33.66g、ガスクロマトグラフィ純度97.6%)で得た。
撹拌器、温度計及び滴下ロートを取り付けた500mLナスフラスコに、上記で得られたクロロメトキシシクロペンタン1を29.61g(220mmol)、重合禁止剤としてメトキノン59mg及びヘキサン200mLを加えた後、氷浴で液温が2℃になるまで冷却した。
この時点でフラスコ内の状態は無色透明な溶液となった。
次に、トリエチルアミン33.39g(330mmol)を滴下ロートより滴下した後、更に、メタクリル酸28.41g(330mmol)を滴下した。
メタクリル酸を滴下する場合、発熱が観察されるので、液温が15℃以下になるよう滴下速度を調節した。
この時点で反応溶液の状態は、白濁溶液となった。
メタクリル酸の滴下終了後、経時的にサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィを用いて、クロロメトキシシクロペンタン1が消失するまで3時間撹拌を行い、目的物の生成を確認した。
次に、反応生成物に氷水100mLを加え、3分間撹拌したところ、白濁した反応生成物が無色透明な溶液となった。
この溶液を分液ロートに移し、水層を分離後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mLで3回洗浄した。
更に、飽和塩化ナトリウム水溶液200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムをろ過後、重合禁止剤としてメトキノン6mgを加えた後、溶媒を減圧留去することにより、シクロペンチルオキシメチルメタクリレート2を収率92.6%(分子量:184.23、収量37.54g、ガスクロマトグラフィ純度97.5%)で得た。
・核磁気共鳴スペクトル(溶媒:クロロホルム−d)〔日本電子株式会社製JNM−ECA500〕
1H−NMR(500MHz):1.47−1.80(8H),1.93(3H),4.18(m,1H),5.36(d,2H),5.59(d,1H),6.14(s,1H)
13C−NMR(126MHz):18.27,23.37,32.83,82.07,88.85,126.10,136.35,166.94
・GC−MS(EI)〔株式会社島津製作所製GCMS−QP2010〕
99(22.03%)、98(17.94%)、87(12.66%)、69(100%)
樹脂(A)−1を例にとって説明すると、窒素導入口、撹拌機、コンデンサーおよび温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下でPGMEAを入れ、撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
次に、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と、PGMEAと、モノマー(1)/モノマー(4)/モノマー(5)=4/4/2(モル比)とを混合した単量体溶液を、滴下装置を用いて、一定速度で6時間かけてフラスコ中へ滴下し、その後、80℃で1時間保持した。その後、反応溶液を室温に戻した。
次いで、得られた反応溶液を、約30倍量のメタノール中に撹拌しながら滴下し、無色の析出物の沈殿を得た。得られた沈殿を濾別し、該沈殿を、重合に使用した単量体に対して約30倍量のメタノール中で洗浄した。そして、この沈殿を濾別し、減圧下、50℃で約40時間乾燥することにより、樹脂(A)−1を得た。
樹脂(A)−2、(A)−3の合成は、上記樹脂(A)−1の合成方法において各重合体の構成単位を誘導するモノマーを所定のモル比で用いた以外は、上記樹脂(A)−1の合成方法と同様の方法により合成した。
なお、樹脂(A)−1〜(A)−3において、質量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準でそれぞれ求めた。
また、樹脂(A)−1〜(A)−3の熱分解温度(Td)およびガラス転移温度(Tg)をそれぞれ測定した。Td(℃)は、熱分析装置DSC6200(製品名、Seiko Instrument社製)にて10℃/minの昇温条件で測定を行った。Tg(℃)は、熱分析装置TG/DTA6200(製品名、Seiko Instrument社製)にて10℃/minの昇温条件で測定を行った。
また、樹脂(A)−1〜(A)−3中の各構成単位の割合(モル%)を示す組成比は、カーボンNMRにより算出した。樹脂(A)−1〜(A)−3の構造を示す下記化学式(A)−1〜(A)−3中、各構成単位の右下に付した数字は、樹脂中の各構成単位の割合(モル%)を示す。
表1に示す各成分を混合し、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S)−2:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
市販の有機系反射防止膜組成物を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で185℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚38nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、表2に示すPAB温度で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚130nmのレジスト膜を形成した。
次いで、ArF露光装置NSR−S306C(ニコン社製;NA(開口数)=0.78,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(6%ハーフトーンマスク)を介して選択的に照射した。
そして、表2に示すPEB温度で60秒間のPEB(露光後加熱)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間パドル現像し、その後20秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。その後、100℃で60秒間加熱して乾燥させて、ライン幅85nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下、L/Sパターンという。)をそれぞれ形成した。
85nmのL/Sパターンが、ライン幅:スペース幅=1:1に形成される際の露光量(感度)(単位:mJ/cm2)を「E1:1」として求めた。その結果を表2に示した。
上記E1:1において得られた85nmのL/Sパターン(1:1)について、LERを示す尺度である3σを求めた。
ここで「3σ」とは、側長SEM(日立製作所社製,製品名:S−9360,測定電圧300V)により、上記ポジ型レジスト組成物によって形成された各レジストパターンの幅を測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を示す。
この3σは、その値が小さいほどライン側壁のラフネスが小さく、均一幅のレジストパターンが得られたことを意味する。その結果を表2に示した。
上記E1:1において、焦点を適宜上下にずらし、上記のL/Sパターンがターゲット寸法85nm±10%(すなわち76.5〜93.5nm)の寸法変化率の範囲内で形成できる焦点深度(DOF)の幅(nm)を求めた。その結果を表2に示した。
露光量を次第に上げていき、上記[レジストパターン形成]と同様の手順で85nmのL/Sパターンを形成する際に、ラインとラインとの間が分離する最小の露光量を「Eclr」、形成されたラインの形状が崩壊する最小の露光量を「Eb」として求めた。
そして、露光余裕度を評価する値として、下記計算式により、Ms(Margin to separate)およびMb(Margin to break)をそれぞれ算出した。
Ms=(「E1:1」/「Eclr」−1)×100
Mb=(「Eb」/「E1:1」−1)×100
また、上記E1:1の±5%の範囲において、85nmのL/Sパターンを形成する際の1mJ/cm2当たりの寸法変化量[nm/(mJ/cm2)]を求めた。
ここで、露光余裕度は、「Ms」または「Mb」の値が大きいほど良好であり、また、「寸法変化量」の絶対値が小さいほど良好であることを示す。
表2に、Eclr、E1:1、Eb、Ms、Mbおよび寸法変化量の値をそれぞれ示した。なお、表2中の「NG」は、測定不可であったことを意味する。
また、本発明に係る実施例1は、比較例1に比べてMsおよびMbの値が大きく、また、寸法変化量の絶対値が小さいことから、露光余裕度も良好であることが確認できた。
なお、比較例2においては、L/Sパターンが形成できなかった。
Claims (5)
- 前記樹脂成分(A)は、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記樹脂成分(A)は、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項1または2に記載のポジ型レジスト組成物。
- さらに含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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