JP4472586B2 - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
微細化の手法としては、一般に露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザー(248nm)が量産の中心となり、さらにArFエキシマレーザー(193nm)が量産で導入され始めている。また、F2エキシマレーザー(157nm)やEUV(極端紫外光)、EB(電子線)等を光源(放射線源)として用いるリソグラフィー技術についても研究が行われている。
このような条件を満たすレジストの1つとして、ベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが知られている。
化学増幅型レジストには、露光部のアルカリ可溶性が増大するポジ型と、露光部のアルカリ可溶性が低下するネガ型とがある。
しかし、PHS系樹脂は、ベンゼン環等の芳香環を有するため、248nmよりも短波長、例えば193nmの光に対する透明性が充分ではない。そのため、PHS系樹脂をベース樹脂成分とする化学増幅型レジストは、例えば193nmの光を用いるプロセスでは解像性が低いなどの欠点がある。
そのため、現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、これらの特性に加えて、近年のように高解像性のレジストパターンが要求されるようになるにつれて、現像後のレジストパターンのディフェクト(表面欠陥)の改善が必要となってくる。
このディフェクトとは、例えば、KLAテンコール社の表面欠陥観察装置(商品名「KLA」)により、現像後のレジストパターンを真上から観察した際に検知される不具合全般のことである。
この不具合とは、例えば現像後のスカム、泡、ゴミ、レジストパターン間のブリッジ、色むら、析出物等である。特に、ArFエキシマレーザー以降、すなわちArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV、EB等を光源として微細パターン、例えば130nm以下のレジストパターンを形成する場合には、ディフェクトの解決の問題がいっそう厳しくなってきている。
例えばディフェクトを低減する方法の1つとして、ベース樹脂の親水性を高め、それによって現像後の析出物の発生等を抑制する方法が考えられる。
しかしながら、ベース樹脂の親水性を高めることは、通常、リソグラフィー特性の低下を伴ってしまう。
本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記(A)成分が、単環又は多環式基含有酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)、水酸基および/またはシアノ基含有多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)、及び下記一般式で表される構成単位(a4)を有する共重合体(A1)を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
ここで、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素原子数1〜5のアルキル基である。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
「構成単位」とは、重合体を構成するモノマー単位を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有するものである。
本発明のポジ型レジスト組成物において、(A)成分は、露光前はアルカリ不溶性であり、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体のアルカリ溶解性が増大し、アルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することができる。
本発明において、(A)成分は、単環又は多環式基含有酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)、水酸基および/またはシアノ基含有多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)、及び前記一般式(a4−1)で表される構成単位(a4)を有する共重合体(A1)を含む樹脂成分である。
構成単位(a1)は、単環又は多環式基含有酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における単環又は多環式基含有酸解離性溶解抑制基は、解離前は共重合体(A1)全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後はこの共重合体(A1)全体をアルカリ可溶性へ変化させるものであれば、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の単環又は多環式基含有酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。
一般的には、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基と、環状の第3級アルキルエステルを形成する基、または環状のアルコキシアルキルエステルを形成する基などが広く知られている。
なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
なお、前記環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
また、環状のアルコキシアルキルエステルとは、カルボキシ基の水素原子が環状のアルコキシアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O―)の末端の酸素原子に前記アルコキシアルキル基が結合している構造を示す。このアルコキシアルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子とアルコキシアルキル基との間で結合が切断される。
X1は、単環又は多環式基含有酸解離性溶解抑制基であれば特に限定することはなく、例えば環状のアルコキシアルキル基、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、中でも第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、本明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基又は多環式基であることを示す。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。好ましくは多環式基である。
このような脂肪族環式基の具体例としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。
具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
そして、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えばシクロアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式で示す構成単位の様に、アダマンチル基の様な脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基を有する基が挙げられる。
特に、R17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
R19は、シクロアルキル基又はアルキレン基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、環状、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。さらに具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でも、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
具体的には、R17及びR19が、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であって、R19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
Y2は、炭素数1〜4のアルキレン基又は2価の脂肪族環式基である。該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられる以外は、前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
Yの脂肪族環式基については、上述の「脂肪族環式基」の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるものや、式(a1−1−36)、(a1−1−38)、(a1−1−39)及び(a1−1−41)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)も好ましい。
R11の低級アルキル基は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R12の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
構成単位(a1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体(A1)中、構成単位(a1)の割合は、共重合体(A1)を構成する全構成単位に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%が特に好ましく、30〜50モル%が最も好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
共重合体(A1)は、前記構成単位(a1)とともに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する。
ここで、「ラクトン含有環式基」とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン含有環式基は、共重合体(A1)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、現像液との親水性を高めたりする上で有効なものである。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。
また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。特に、以下のような構造式を有するラクトン含有トリシクロアルカンから水素原子1つを除いた基が、工業上入手し易いなどの点で有利である。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
これらの中でも、一般式(a2−1)〜(a2−5)から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)から選択される少なくとも1種以上を用いることがより好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
共重合体(A1)中、構成単位(a2)の割合は、共重合体(A1)を構成する全構成単位の合計に対し、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%が特に好ましく、25〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
共重合体(A1)は、前記構成単位(a1)および(a2)に加えて、さらに水酸基および/またはシアノ基含有多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する。
構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
多環式基としては、多環式の脂肪族炭化水素基が挙げられる。該多環式基としては、例えば化学増幅型レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
その中でも、水酸基、シアノ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。
フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体(A1)中、構成単位(a3)の割合は、当該共重合体(A1)を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、10〜25モル%が最も好ましい。
共重合体(A1)は、前記構成単位(a1)〜(a3)に加えて、さらに前記一般式(a4−1)で表される構成単位を有する。
構成単位(a4)を有することにより、ディフェクトがより低減される。特には、ワインステイン系のディフェクト(色むら)が抑制される。このディフェクト低減の効果は、構成単位(a4)により(A)成分の親水性がより高まり、現像液との親和性が高まることで得られるものと推測される。
また、構成単位(a4)を有することにより、焦点深度幅(DOF)特性、レジストパターン形状等の種々のリソグラフィー特性がより良好となる。
式(a4−1)中、R’は、水素原子、低級アルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基である。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
中でも、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子であることが好ましい。なお、R’が2個存在するときは、これらは相互に同じであってもよく、異なっていてもよい。
fは0又は1であり、リソグラフィー特性が良好なことから、1であることが好ましい。
共重合体(A1)中、構成単位(a4)の割合は、共重合体(A1)を構成する全構成単位の合計に対し、1〜15モル%が好ましく、2〜13モル%がより好ましく、3〜12モル%がさらに好ましく、3〜10モル%が最も好ましい。下限値以上とすることにより充分なディフェクト低減効果が得られるとともに、良好なリソグラフィー特性が得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
共重合体(A1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a4)以外の構成単位を含んでいてもよいが、共重合体(A1)中、上記構成単位(a1)〜(a4)の合計の割合は、共重合体(A1)を構成する全構成単位の合計に対し、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、100モル%が最も好ましい。
上記構成単位(a1)〜(a4)以外の構成単位(a5)(以下、構成単位(a5)という。)としては、上述の構成単位(a1)〜(a4)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等の化学増幅型レジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a5)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等の化学増幅型レジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基で置換されていてもよい。
構成単位(a5)として、具体的には、下記一般式(a5−1)〜(a5−5)の構造のものを例示することができる。
係る共重合体としては、例えば、上記構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体、上記構成単位(a1)、(a2)、(a3)、(a4)および(a5)からなる共重合体等が例示され、中でも上記構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体が好ましい。
係る構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体としては、例えば下記一般式(A1−1)で表される共重合体が好ましく用いられる。
R11は、低級アルキル基であり、前記Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基が好ましい。
また、共重合体(A1)には、上記重合の際に、例えば、HS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。
このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(A)成分中、共重合体(A1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポジ型レジスト組成物において、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
R1”〜R3”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R1”〜R3”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。中でも、解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから、好ましいものとしてメチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
前記直鎖のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
また、該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R5”〜R6”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては、上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R21の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、例えばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある。)が好ましい。
なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。
なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R21としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R22としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R31としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R31におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R32のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R35の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R32のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
pは、好ましくは2である。
また、下記化学式で表される化合物が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(A=3の場合)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(A=4の場合)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(A=6の場合)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(A=10の場合)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(B=2の場合)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(B=3の場合)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(B=6の場合)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(B=10の場合)などを挙げることができる。
本発明においては、中でも(B)成分としてフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という。)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよいが、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でも、トリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。これらの中で特にサリチル酸が好ましい。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が、好ましくは70:30〜95:5とされる。
有機溶剤の使用量は、特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記本発明のポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベークを40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
次いで、該レジスト膜に対して、例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光(放射線を照射)した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次いで、これをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。必要に応じて、現像処理後にポストベークを施してもよい。
このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
基板としては、例えばシリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウムなどの金属製の基板や、ガラス基板などが挙げられる。
配線パターンの材料としては、例えば銅、ハンダ、クロム、アルミニウム、ニッケル、金などが使用可能である。
本発明にかかるレジスト組成物は、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
・樹脂(A)−1の合成
窒素吹き込み管と還流器と、滴下ロートと温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン370g、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート44.6g、γ−ブチロラクトンアクリレート29.7gと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート22.4g、5−メタクリロイルオキシテトラシクロドデカン−10−カルボン酸6.9gを入れ、窒素置換した後、撹拌しながら70℃に昇温した。
その温度を維持しつつ、重合開始剤V−601(和光純薬工業製)11.5gを17gのテトラヒドロフランに溶解させた重合開始剤溶液を15分かけて滴下した。
滴下終了後、その温度を維持しつつ5時間撹拌を続けた後、25℃に冷却し重合を完了した。
その後、得られた重合溶液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下して析出物を得た。この析出物をろ別、洗浄、乾燥して樹脂(A)−1(下記式)を得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で求めた質量平均分子量(Mw),分散度、及びカーボンNMR(13C−NMR)の測定結果は以下の通りであった。
構成単位の比率 l:m:n:o=38.1:38.1:19:4.8(モル比)
Mw=10000,Mw/Mn=2.0
窒素吹き込み管と還流器と、滴下ロートと温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン370g、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート42.6g、γ−ブチロラクトンアクリレート28.4gと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート21.5g、5−メタクリロイルオキシテトラシクロドデカン−10−カルボン酸13.1gを入れ、窒素置換した後、撹拌しながら70℃に昇温した。
その温度を維持しつつ、重合開始剤V−601(和光純薬工業製)11.5gを17gのテトラヒドロフランに溶解させた重合開始剤溶液を15分かけて滴下した。
滴下終了後、その温度を維持しつつ5時間撹拌を続けた後、25℃に冷却し重合を完了した。
その後、得られた重合溶液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下して析出物を得た。この析出物をろ別、洗浄、乾燥して樹脂(A)−2(下記式)を得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で求めた質量平均分子量(Mw),分散度、及びカーボンNMR(13C−NMR)の測定結果は以下の通りであった。
構成単位の比率 l:m:n:o=36.4:36.4:18.2:9(モル比)
Mw=10000,Mw/Mn=2.0
窒素吹き込み管と還流器と、滴下ロートと温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン350g、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート46.8g、γ−ブチロラクトンアクリレート31.2gと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート23.6gを入れ、窒素置換した後、撹拌しながら70℃に昇温した。
その温度を維持しつつ、重合開始剤V−601(和光純薬工業製)11.5gを17gのテトラヒドロフランに溶解させた重合開始剤溶液を15分かけて滴下した。
滴下終了後、その温度を維持しつつ5時間撹拌を続けた後、25℃に冷却し重合を完了した。
その後、得られた重合溶液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下して析出物を得た。この析出物をろ別、洗浄、乾燥して樹脂(A)−3(下記式)を得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で求めた質量平均分子量(Mw),分散度、及びカーボンNMR(13C−NMR)の測定結果は以下の通りであった。
構成単位の比率 l:m:n=40:40:20(モル比)
Mw=10000,Mw/Mn=2.0
表1に示す各成分を混合、溶解して、ポジ型レジスト組成物溶液を得た。
(D)−1:トリエタノールアミン
(E)−1:サリチル酸
(S)−1:PGMEA/EL=8/2(質量比)の混合溶剤
得られたポジ型レジスト組成物溶液を用いて、リソグラフィー特性として焦点深度幅(DOF,μm)及びレジストパターン形状、並びにディフェクトの評価を以下に示す方法により行った。
有機系反射防止膜組成物「ARC−29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。
該反射防止膜上に、スピンナーを用いてポジ型レジスト組成物溶液を塗布し、ホットプレート上で、表2に示すPAB温度で90秒間プレベークし、乾燥することにより、膜厚220nmのレジスト膜を形成した。
次いで、ArF露光装置NSR−S306(ニコン社製;NA(開口数)=0.78,σ=0.9)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(6%ハーフトーン)を介して選択的に照射した。
そして、表2に示すPEB温度で90秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥して、直径100nmのホールパターン(プリント/マスク/ピッチ=100nm/160nm/1000nm)を形成した。
直径100nmのホールパターンが形成される最適露光量EOP(mJ/cm2)において、焦点を適宜、上下にずらし、孤立ホールパターンが直径100nm±10%の寸法変化率の範囲内で得られる焦点深度(DOF)の幅(μm)を求めた。
その結果、実施例1〜2は、比較例1と同程度に良好なDOF値(0.2μm)であった。
上記の評価において形成されたレジストパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、レジストパターン形状の評価を行った。
その結果、実施例1〜2のレジストパターン形状は、比較例1と同程度に良好な形状を有していた。
スピンナーを用いてポジ型レジスト組成物溶液を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコンウェーハ上に直接塗布し、ホットプレート上で、表2に示すPAB温度で90秒間プレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚220nmのレジスト膜を形成した。
次いで、ArF露光装置NSR−S306(ニコン社製;NA(開口数)=0.78,σ=0.30)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(バイナリー)を介して選択的に照射した。
そして、表2に示すPEB温度で90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、1000回転で1秒間、次に500回転で15秒間の条件(ディフェクトがより発生しやすいような強制条件)でリンス液を滴下して、乾燥してレジストパターンを形成した。
また、パターンは、ホールの直径が300nmのデンスホールパターン(直径300nmのホールパターンを300nm間隔で配置したパターン)を形成した。
次に、KLAテンコール社製の表面欠陥観察装置 KLA2351(製品名)を用いて測定し、ウェーハ内の欠陥数を評価した。結果は、表2に示した。
また、実施例の焦点深度幅(DOF)とレジストパターン形状は、いずれも比較例と同程度に良好であり、必要とされるリソグラフィー特性を有していることが確認された。
Claims (4)
- 酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記(A)成分が、単環又は多環式基含有酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)、水酸基および/またはシアノ基含有多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)、及び下記一般式
で表される構成単位(a4)を有する共重合体(A1)を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物。 - 前記共重合体(A1)を構成する全構成単位中、前記構成単位(a4)の割合が1〜15モル%である請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
- さらに含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1又は2記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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