JP2008065251A - 偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、偏光子と偏光板保護フィルムとの接着性に優れ、高い生産速度で製造可能な偏光板を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、ポリビニルアルコールからなる偏光子と、上記偏光子の両面に形成された接着層と、上記偏光子の両面であって、上記接着層上に形成された偏光板保護フィルムと、を有する偏光板であって、上記接着層が、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とから得られるウレタン(メタ)アクリレート、および、上記偏光板保護フィルムに対して浸透性を有する基材浸透性モノマーの硬化物を含むことを特徴とする偏光板を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置等に用いられる偏光板に関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図3に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル101とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル101は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。さらに、偏光板102Aおよび102Bは、偏光子112A、112Bの両面に偏光板保護フィルム122A、122Bが貼り合わされた構成を有するものである。
このような液晶表示装置は、上記液晶セルに用いられる液晶材料の配列形態により種々の駆動方式を用いたものが知られている。今日、普及している液晶表示装置の主たるものは、TN、STN、MVA、IPS、および、OCB等に分類される。なかでも上記MVA、および、IPSの駆動方式を有するものが広く普及するに至っている。
上記液晶表示装置を構成する偏光板としては、従来、上記偏光子としてポリビニルアルコールからなるフィルムにヨウ素を含浸させ、これを一軸延伸することによってポリビニルアルコールとヨウ素との錯体を形成させたものが用いられ、上記偏光板保護フィルムとして、トリアセチルセルロースに代表されるセルロース誘導体からなるフィルムが用いられたものが一般的である。また、このような構成を有する偏光板の製造方法としては、上記偏光子の両面に、接着剤としてのポリビニルアルコール水溶液を介して、上記偏光板保護フィルムをラミネートする方法が一般的である。このような偏光板、および、その製造方法については、例えば、特許文献1〜8等に開示されている。
ところで、近年の液晶表示装置の需要拡大に伴って、上記偏光板についても需要が拡大しており、高品質な偏光板を高い生産性で製造することが求められている。しかしながら、上述したような構成を有する従来の偏光板では、上記接着剤としてポリビニルアルコール水溶液が使用されているため、偏光板製造工程において当該接着剤を乾燥するのに時間がかかり、これが律速となって生産性を向上することが困難であるという問題点があった。この点について、生産性向上と接着剤の乾燥との両立を図るため、偏光板製造装置の乾燥工程を長くする方法も検討されたが、このような方法では設備コストが大幅に増大してしまうという問題点があった。
また、上記トリアセチルセルロースからなる偏光板保護フィルムをポリビニルアルコールからなる偏光子と接着するには、上記偏光板保護フィルムの表面をアルカリけん化することが必要とされていた。このため、トリアセチルセルロースからなる偏光板保護フィルムを偏光板保護フィルムとして使用する場合、偏光子と貼り合わせる前にけん化処理工程を行う必要があり、偏光板の製造工程が煩雑になってしまうという問題点も指摘されていた。
このような問題点に対し、特許文献9および10には、イソシアネート化合物等からなる接着剤によって、偏光子と偏光板保護フィルムとが接着された偏光板が開示されている。しかしながら、このような接着剤を用いて貼合された偏光板は、偏光子と偏光板保護フィルムとの接着性が乏しいという問題点があった。
このようなことから、上記液晶表示装置に用いられる偏光板については、その需要が拡大している状況であるが、偏光子と偏光板保護フィルムとの接着性に優れ、かつ、高い生産速度で製造可能な偏光板を得ることができないという問題点が顕在化していた。
特許第3148513号公報 特許第3427130号公報 特許第3525543号公報 特許第3629286号公報 特開平1−32203号公報 特開平3−64703号公報 特開平5−681号公報 特開平8−271733号公報 特許第3724792号公報 特開2003−177247号公報
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、偏光子と偏光板保護フィルムとの接着性に優れ、かつ、高い生産速度で製造可能な偏光板を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、ポリビニルアルコールからなる偏光子と、上記偏光子の両面に形成された接着層と、上記偏光子の両面であって、上記接着層上に形成された偏光板保護フィルムと、を有する偏光板であって、上記接着層が、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とから得られるウレタン(メタ)アクリレート、および、上記偏光板保護フィルムに対して浸透性を有する基材浸透性モノマーの硬化物を含むことを特徴とする偏光板を提供する。
本発明によれば、上記接着層に上記ウレタン(メタ)アクリレート、および、上記基材浸透性モノマーの硬化物が含まれることにより、上記偏光板と上記偏光板保護フィルムとの密着性に優れた偏光板を得ることができる。
また、上記接着層に含まれる上記ウレタン(メタ)アクリレート、および、上記基材浸透性モノマーの硬化物は、上記接着層が上記ウレタン(メタ)アクリレート、および、上記基材浸透性モノマーに光を照射することによって生成することが可能であるため、本発明の偏光板を製造する工程において、上記接着層を形成するために溶媒を用いることが不要となる。このため、本発明の偏光板を製造する工程において上記接着層を乾燥する工程を設置することが不要となる。
このようなことから、本発明によれば、偏光子と偏光板保護フィルムとの接着性に優れ、高い生産速度で製造可能な偏光板を得ることができる。
本発明においては、上記接着層にシランカップリング剤が含まれていてもよい。上記接着層にシランカップリング剤が含まれることにより、本発明の偏光板において上記偏光子と上記偏光板保護フィルムとの接着性をより向上することができるからである。
また、本発明においては、上記ポリオール化合物がポリエーテルポリオールであることが好ましい。上記ポリオール化合物としてポリエーテルポリオールを用いることにより、本発明の偏光板において上記接着層と上記偏光子との接着性を向上することができるからである。
さらに本発明においては、上記ポリイソシアネート化合物が、脂環式ポリイソシアネート化合物であることが好ましい。上記ポリイソシアネート化合物として脂環式ポリイソシアネート化合物を用いることにより、本発明の偏光板において上記接着層と上記偏光板保護フィルムとの接着性を向上することができるからである。
さらにまた、本発明においては上記偏光板保護フィルムがセルロース誘導体からなるものであることが好ましい。本発明によればセルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムをけん化処理を施さないで用いることができるため、他の材料からなる偏光板保護フィルムを用いる場合と比較して、より高い生産性向上効果を得ることができるからである。
本発明の偏光板は、偏光子と偏光板保護フィルムとの接着性に優れ、かつ、高い生産速度で製造可能であるという効果を奏する。
以下、本発明の偏光板について詳細に説明する。
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコールからなる偏光子と、上記偏光子の両面に形成された接着層と、上記偏光子の両面であって、上記接着層上に形成された偏光板保護フィルムと、を有するものであって、上記接着層が、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とから得られるウレタン(メタ)アクリレート、および、上記偏光板保護フィルムに対して浸透性を有する基材浸透性モノマーの硬化物を含むことを特徴とするものである。
このような本発明の偏光板について図を参照しながら説明する。図1は本発明の偏光板の一例を示す概略図である。図1に例示するように本発明の偏光板10は、ポリビニルアルコールからなる偏光子1と、上記偏光子1の両面に形成された接着層2と、上記偏光子1の両面であって、上記接着層2上に形成された偏光板保護フィルム3と、を有するものである。
このような例において、本発明の偏光板10は、上記接着層2が、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とから得られるウレタン(メタ)アクリレート、および、上記偏光板保護フィルム3に対して浸透性を有する基材浸透性モノマーの硬化物を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、上記接着層に上記ウレタン(メタ)アクリレート、および、上記基材浸透性モノマーの硬化物が含まれることにより、上記偏光板と上記偏光板保護フィルムとの密着性に優れた偏光板を得ることができる。
また本発明においては、上記接着層に含まれる上記ウレタン(メタ)アクリレート、および、上記基材浸透性モノマーの硬化物を、上記ウレタン(メタ)アクリレート、および、上記基材浸透性モノマーに光を照射することによって生成することが可能であるため、本発明の偏光板を製造する工程において、上記接着層を形成するために溶媒を用いることが不要となる。これより、本発明の偏光板を製造する工程において、従来偏光板製造速度の律速となっていた接着層の乾燥工程を設置することが不要となることため、本発明によって高速で製造可能な偏光板を得ることができる。
このようなことから、本発明によれば、偏光子と偏光板保護フィルムとの接着性に優れ、かつ、高速で生産可能な偏光板を得ることができる。
また本発明においては、上記接着層に上記ウレタン(メタ)アクリレート、および、上記基材浸透性モノマーの硬化物が含まれるものであるため、上記偏光板保護フィルムとして、トリアセチルセルロースに代表されるセルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムを用いる場合であっても、従来のように偏光板保護フィルムに対してけん化処理を行うことが不要となる。これは、従来は接着剤としてPVA水溶液が用いられていたため、偏光板保護フィルムの表面に水素結合の形成に寄与する水酸基を形成することが必要であったが、本発明に用いられる接着剤は水素結合によって接着力を発現するものではないからである。このようなことから、本発明の偏光板は、セルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムを用いる場合であってもけん化処理工程を行うことなく製造することができ、偏光板製造工程を簡略化することができるという利点を有する。
また、上述したけん化処理工程を行うことなく本発明の偏光板を製造できるということは、次のような利点も有するものである。すなわち、上記偏光板保護フィルムに所望の機能を有する材料を含有させたり、あるいは、所望の機能を備える機能性層を積層することにより、偏光板に付加機能を付与することが従来より行われている。しかしながら、従来は、セルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムを用いる場合、上記けん化処理工程が必要であったことから、上記セルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムに所望の機能を付与するために用いられる材料としては、アルカリ耐性を有するものしか用いることができないという制約があった。この点、本発明の偏光板は、上記けん化処理工程を行うことなく製造することが可能であるため、所定の機能を有する材料をアルカリ耐性を有するものに限定する必要がなくなり、広い範囲から適当な材料を選択して用いることができるようになる。
さらに、上記効果に加えて、本発明の偏光板は次のような利点を有する。すなわち、従来の偏光板は偏光子と偏光板保護フィルムとを接着する接着剤としてポリビニルアルコールが用いられてきた。ポリビニルアルコールは水溶性を示すため、このような接着剤が用いられた偏光板は、耐湿性に乏しいという問題点があった。
この点、本発明に用いられる接着層は、上記ウレタン(メタ)アクリレート、および、上記基材浸透性モノマーの硬化物を含有するものであるため、高湿雰囲気下においても接着力の耐久性に優れたものとなる。このため、本発明の偏光板は高湿雰囲気下における耐久性に優れるという利点を有する。
なお、本発明における「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを含むことを意味するものとする。
本発明の偏光板は、少なくとも上記偏光子、上記接着層、および、上記偏光板保護フィルムを有するものである。
以下、このような本発明の偏光板に用いられる各構成について順に説明する。
1.接着層
まず、本発明に用いられる接着層について説明する。本発明に用いられる接着層は、後述する偏光子の両面に形成されるものであり、後述する偏光子と偏光板保護フィルムとを接着する機能を有するものである。そして、本発明に用いられる接着層は、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とから得られるウレタン(メタ)アクリレート、および、上記偏光板保護フィルムに対して浸透性を有する基材浸透性モノマーの硬化物を含むことを特徴とするものである。本発明の偏光板は、このような接着層が用いられていることにより、後述する偏光子と偏光板保護フィルムとの接着性に優れ、生産性に優れたものになるのである。
以下、このような接着層について詳細に説明する。
(1)ウレタン(メタ)アクリレート
最初に、本発明における接着層に用いられるウレタン(メタ)アクリレートについて説明する。本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とから得られるものである。
ここで、「ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とから得られる」とは、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物との反応によって生成されることを意味するものである。したがって、本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させることによって、反応生成物として得ることが可能な構造を有するものを意味するものである。
このように、本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とから得られるものであるため、通常、本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは、上記ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基が、上記ポリオール化合物が有する水酸基、および、上記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物が有する水酸基とそれぞれ反応することにより、これらの化合物が結合された構造を有するものとなる。
以下、本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートを得るために用いられる、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、および、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物について順に説明し、次いで、これらの化合物からウレタン(メタ)アクリレートを得る方法等について説明する。
a.ポリイソシアネート化合物
まず、本発明に用いられるポリイソシアネート化合物について説明する。本発明に用いられるポリイソシアネート化合物としては、分子内に複数のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されるものではない。このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等を挙げることができる。
本発明においては、これらのポリイソシアネート化合物のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも脂環式ポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。上記ポリイソシアネート化合物として脂環式ポリイソシアネート化合物を用いることにより、本発明の偏光板において、接着層と後述する偏光板保護フィルムとの接着性をより向上することができるからである。このような観点からすると、本発明に好適に用いられるポリイソシアネート化合物としては、TDIベースとして住友化学製スミジュールL75、スミジュールIL、デスモジュールHL、MDIベースとして、住友化学製スミジュール44S、スミジュール44V10、スミジュール44N20、スミジュール44V40、スミジュール44V70、IPDIベースとして住友化学製デスモジュールZ4470等を挙げることができる。このような脂環式ポリイソシアネート化合物を用いることにより、本発明の偏光板において、接着層と後述する偏光板保護フィルムとの接着性をさらに向上することができる。
なお、本発明に用いられるポリイソシアネート化合物は、1種類であってもよく、または、2種類以上であってもよい。
b.ポリオール化合物
次に、本発明に用いられるポリオール化合物について説明する。本発明に用いられるポリオール化合物としては、複数の水酸基を有するものであれば特に限定されるものではない。このようなポリオール化合物としては、例えば、芳香族ポリエーテルポリオール、脂肪族ポリエーテルポリオール、脂環族ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、および、ポリカプロラクトンポリオール等を挙げることができる。
以下、これらのポリオール化合物について、その具体例を順に説明する。
上記芳香族ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールAのブチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加ジオール、ハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール、ナフトキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール等を挙げることができる。
上記脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、置換テトラヒドロフラン、オキセタン、置換オキセタン、テトラヒドロピラン及びオキセバンから選ばれる少なくとも1種の化合物を開環(共)重合することにより得られるもの等を挙げることができる。これらの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、ポリイソブチレングリコール、プロピレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体ポリオール、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランの共重合体ポリオール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体ポリオール、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフランの共重合体ポリオール、エチレンオキサイドと1,2−ブチレンオキサイドの共重合体ポリオール等を挙げることができる。
上記脂環族ポリエーテルポリオールとしては、例えば、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのブチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのブチレンオキサイド付加ジオール、ジシクロペンタジエンのジメチロール化合物、トリシクロデカンジメタノール等を挙げることができる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の多価アルコールとフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等の多塩基酸とを反応して得られるポリエステルポリオール等を挙げることができる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンポリカーボネート等を挙げることができる
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ε−カプロラクトンと、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール等の2価のジオールとを反応させて得られるポリカプロラクトンジオール等を挙げることができる。
その他本発明に用いることができるポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、ひまし油変性ポリオール、ポリジメチルシロキサンの末端ジオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ポリオール等を挙げることができる。
本発明においては、これらのいずれのポリオール化合物であっても好適に用いることができるが、なかでもポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。その理由は次の通りである。すなわち、本発明の偏光板は、偏光機能を発現する偏光子としてポリビニルアルコールからなるものが用いられているものである。このため、本発明においては、上記ウレタン(メタ)アクリレートとして、ポリビニルアルコールの接着性に優れたものを用いることにより、上記接着層と上記偏光子との接着性をより向上することができることになる。この点、上記ポリエーテルポリオールは、水素結合に寄与するエーテル結合部位を分子内に有することから、ポリビニルアルコールとの接着性に優れるものであるため、上記ポリオール化合物として、ポリエーテルポリオールを用いることにより、上記接着層と上記偏光子との接着性をより向上することができるからである。また、ポリエーテルポリオールは、ガラス転移温度が低く、偏光板保護フィルム表面に対して濡れ広がる性質を有しており、硬化後もその性質は変わらないことから、偏光板保護フィルムの種類が変わっても安定した接着性を示すからである。
本発明に好ましく用いられるポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および、その誘導体を挙げることができる。
なお、本発明に用いられるポリオール化合物は、1種類であってもよく、または、2種類以上であってもよい。
本発明に用いられるポリオール化合物は、数平均分子量が500〜12000の範囲内であることが好ましく、なかでも1500〜9000の範囲内であることが好ましく、特に3500〜9000の範囲内であることが好ましい。数平均分子量が上記範囲よりも小さいと、本発明に用いられる接着層の接着力が低下してしまう可能性があるからである。また、上記範囲よりも大きいと、例えば、本発明の偏光板を作製する方法として、上記ウレタン(メタ)アクリレートを含有する接着層形成用組成物を塗工することによって着色層を形成する方法を用いる場合に、上記接着層形成用組成物の粘度が高くなりすぎてしまい、塗工適性が損なわれてしまう場合があるからである。
c.水酸基含有(メタ)アクリレート化合物
次に、本発明に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレート化合物について説明する。本発明に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、水酸基と、アクリレート基を有するものであれば特に限定されるものではない。このような水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルホスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、本発明に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、下記構造式(1)または(2)で表される化合物を挙げることもできる。
Figure 2008065251
ここで、上記構造式(1)または(2)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは1〜15の数を示す。
さらに、本発明に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も挙げられる。
本発明においては、これらのいずれの水酸基含有(メタ)アクリレート化合物であっても好適に用いることができる。なかでも本発明においては、上記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を用いることが好ましい。
なお、本発明に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、1種類であってもよく、または、2種類以上であってもよい。
d.ウレタン(メタ)アクリレート
本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートを、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とから得る方法としては、所望の構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、および、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の種類等に応じて任意の方法を用いることができる。このような方法としては、例えば、次の4つの方法挙げることができる。
第1に、ポオール化合物、ポリイソシアネート化合物、および、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を一括に仕込んで反応させる方法。
第2に、ポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物とを反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させる方法。
第3に、ポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させた後、ポリオール化合物を反応させる方法。
第4に、ポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させた後、ポリオール化合物を反応させ、再び水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させる方法。
本発明においては、これらのいずれの方法によって得られるウレタン(メタ)アクリレートであっても好適に用いることができる。
また、上述したように、本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とから得ることができるものであり、上記ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基が、上記ポリオール化合物が有する水酸基、および、上記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物が有する水酸基とそれぞれ反応することにより、これらの化合物が結合された構造を有するものである。ここで、本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートを構成する上記ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、および、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の組み合わせとしては、所望の接着性を備えるウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる組み合わせであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレート得るために用いられるポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、および、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の好適な組み合わせとしては、例えば、IPDI、ポリプロピレングリコール、および、2−ヒドロキシエチルアクリレートの組み合わせ、または、IPDI、ポリエチレングリコール、および、2−ヒドロキシエチルアクリレートの組み合わせを挙げることができる。
本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは、数平均分子量が3,000〜80,000の範囲内であることが好ましく、なかでも5,000〜50,000の範囲内であることが好ましく、特に8,000〜30,000の範囲内であることが好ましい。
数平均分子量が上記範囲よりも小さいと、本発明に用いられる接着層の接着力が低下してしまう可能性があるからである。また、上記範囲よりも大きいと、例えば、本発明の偏光板を作製する方法として、上記ウレタン(メタ)アクリレートを含有する接着層形成用組成物を塗工することによって着色層を形成する方法を用いる場合に、上記接着層形成用組成物の粘度が高くなりすぎてしまい、塗工適性が損なわれてしまう場合があるからである。
なお、本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは、1種類であってもよく、または、2種類以上であってもよい。
(2)基材浸透性モノマー
次に、本発明における接着層に用いられる基材浸透性モノマーについて説明する。本発明に用いられる基材浸透性モノマーは、後述する偏光板保護フィルムに対して浸透性を有するものである。
ここで、「偏光板保護フィルムに対して浸透性を有する」とは、モノマーの少なくとも一部が基材の内部に浸透することをいうものとする。また、本発明に用いられる基材浸透性モノマーが、上記「偏光板保護フィルムに対して浸透性を有する」ことは、モノマー中に偏光板保護フィルムを浸漬した際に該保護フィルムの少なくとも一部が膨潤、又は溶解することを確認することによって、評価することができる。
本発明に用いられる基材浸透性モノマーとしては、偏光板保護フィルムに対して浸透性を有するものであれば特に限定されるものではなく、後述する偏光板保護フィルムを構成する材料等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも本発明に用いられる基材浸透性モノマーは、上述したウレタン(メタ)アクリレートと相溶性を示すものであることが好ましい。このような基材浸透性モノマーと、上述したウレタン(メタ)アクリレートと併用することにより、例えば、本発明の偏光板を作製する方法として、上記ウレタン(メタ)アクリレートを含有する接着層形成用組成物を塗工することによって着色層を形成する方法を用いる場合に、上記基材浸透性モノマーの含有量を変化させることで、上記接着層形成用組成物の粘度を所定の範囲に調整することが可能になるという利点があるからである。
ここで、本発明に用いられる基材浸透性モノマーが、上記「相溶性を示す」とは、お互いに親和性を有することを意味するものであり、具体的には、接着層を形成した際に、相分離等により一方が凝集、析出したり塗膜が白化したりせず、可視光域においてヘイズの上昇が認められないことを意味する。
また本発明においては、上記基材浸透性モノマーとして、アクリレート基を有するものを用いることが好ましい。その理由は次の通りである。すなわち、本発明に用いられる基材浸透性モノマーは、本発明に用いられる偏光板保護フィルムの表面に浸透する機能を有するものである。そして、本発明に用いられる接着層は、偏光板保護フィルムの表面に浸透した基材浸透性モノマーと、上述したウレタン(メタ)アクリレートが作用することにより、優れた接着性を発現するものである。このため、本発明に用いられる基材浸透性モノマーとして、アクリレート基を有するものを用いることにより、基材浸透性モノマーが上記ウレタン(メタ)アクリレートと、重合等によって作用しやすくなる結果、本発明に用いられる接着層をより接着性に優れたものにできるからである。
また、上記アクリレート基を有する基材浸透性モノマーとしては、単一のアクリレート基を有するものであってもよく、または、複数のアクリレート基を有するものであってもよい。
また、本発明に用いられるアクリレート基を有する基材浸透性モノマーとしては、極性が小さい非極性アクリレートと、極性が大きい極性アクリレートとを挙げることができる。
上記非極性アクリレートとしては、例えば、スチレン、イソボニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のモノアクリレート;1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、イソボニルアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等のジアクリレート等、を挙げることができる。
また、上記極性アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート等のモノアクリレート;モルフォリンアクリレート、2−エチル−2−ブチループロパンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等のジアクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパントリアクリレート等のポリアクリレート等を挙げることができる。
本発明に用いられる基材浸透性モノマーとしては、上記非極性アクリレート、または、上記極性アクリレートのいずれであっても好適に用いることができる。ここで、本発明に用いられる偏光板保護フィルムとしてセルロース誘導体からなるものが用いられる場合は、上記非極性アクリレート、および、上記極性アクリレートを好適に用いることができる。このような場合に特に好適に用いられる基材浸透性モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、モルフォリンアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる偏光板保護フィルムとしてシクロオレフィン系樹脂からなるものが用いられる場合は、上記極性アクリレートを好適に用いることができる。このような場合に特に好適に用いられる基材浸透性モノマーとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、モルフォリンアクリレート等を挙げることができる。
なお、本発明に用いられる基材浸透性モノマーは、1種類であってもよく、または、2種類以上であってもよい。
(3)その他の添加剤
本発明に用いられる接着層は、少なくとも、上記ウレタン(メタ)アクリレートおよび上記基材浸透性モノマーの硬化物が含まれるものであるが、必要に応じて他の添加剤が含まれるものであってもよい。このような他の添加剤としては、特に限定されるものではなく、上記接着層に所望の機能を付与できるものを、上記接着層の機能を損なわない範囲で適宜選択して用いることができる。なかでも上記他の添加剤として本発明に好適に用いることができるものとしては、例えば、シランカップリング剤を挙げることができる。本発明に用いられる接着層にシランカップリング剤が含まれることにより、接着層の偏光子と偏光板保護フィルムとを接着する機能を向上できるという利点を有する。
本発明に用いられるシランカップリング剤としては、上記接着層の接着機能の向上に寄与できるものであれば特に限定されるものではない。このような、シランカップリング剤としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル-N-(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。本発明においては、これらのいずれのシランカップリング剤であっても好適に用いることができるが、なかでもメルカプト基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましい。
また、本発明に用いられる接着層にシランカップリング剤が含まれる場合、接着層中に含まれるシランカップリング剤量は、0.1質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.3質量〜7質量%の範囲内であることが好ましく、特に0.5質量%〜3質量%の範囲内であることが好ましい。
なお、本発明に用いられるシランカップリング剤は、1種類であってもよく、または、2種類以上であってもよい。
(4)接着層
本発明に用いられる接着層は、少なくとも、上記ウレタン(メタ)アクリレートおよび上記基材浸透性モノマーの硬化物が含まれるものであるが、上記接着層中に含まれる上記ウレタン(メタ)アクリレートの構成単位と、上記基材浸透性モノマーの構成単位との比率としては、上記ウレタン(メタ)アクリレートおよび上記基材浸透性モノマーの種類、あるいは、本発明に用いられる偏光板保護フィルムの種類等に応じて、上記接着層に所望の接着性を付与できる範囲で適宜調整することができる。なかでも本発明においては、上記接着層中に含まれる上記ウレタン(メタ)アクリレートの構成単位と、上記基材浸透性モノマーの構成単位との比率(上記ウレタン(メタ)アクリレートの構成単位:基材浸透性モノマーの構成単位)が、5:1〜1:5の範囲内であることが好ましく、特に3:1〜1:3の範囲内であることが好ましく、さらに2:1〜1:2の範囲内であることが好ましい。
上記比率がこのような範囲内であることにより、上記接着層の接着性をより高くすることができるからである。
また、本発明に用いられる接着層の厚みとしては、本発明の偏光板の可撓性を所望の範囲内とすることができ、かつ、本発明の偏光板の光学特性を所望の範囲内にすることができる範囲であれば特に限定されるものではなく、上述したウレタン(メタ)アクリレートおよび基材浸透性モノマー等に応じて、適宜決定することができる。なかでも本発明においては、上記接着層の厚みが0.001μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、特に0.01μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、さらに0.1μm〜3μmの範囲内であることが好ましい。厚みが上記範囲よりも厚いと、本発明の偏光板の可撓性が損なわれてしまい、例えば、本発明の偏光板を製造する際に、製造された偏光板をロール状に巻き取ることが困難となることが懸念されるからである。また、本発明の偏光板の色味が変化してしまう場合があるからである。一方、厚みが上記範囲よりも薄いと、後述する偏光子と偏光板保護フィルムとの接着性が不十分となる可能性があるからである。
2.偏光板保護フィルム
次に、本発明に用いられる偏光板保護フィルムについて説明する。本発明に用いられる偏光板保護フィルムは、後述する偏光子の両面であって、上述した接着層上に形成されるものであり、本発明の偏光板において後述する偏光子が空気中の水分等に曝されることを防止する機能や、偏光子の寸法変化を防止する機能等を有するものである。
本発明に用いられる偏光板保護フィルムは、本発明の偏光板において上記偏光子を保護することができ、かつ、所望の透明性を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる偏光板保護フィルムは、可視光領域における透過率が80%以上であるものが好ましく、90%以上であるものがより好ましい。
ここで、上記偏光板保護フィルムの透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に用いられる偏光板保護フィルムを構成する材料としては、例えば、セルロース誘導体、シクロオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類等を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記樹脂材料としてセルロース誘導体またはシクロオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
上記セルロース誘導体としては、本発明の偏光板において後述する偏光子が空気中の水分等に曝されることを防止する機能と、偏光子の寸法変化を防止する機能とを有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記セルロース誘導体としてセルロースエステル類を用いることが好ましく、さらにセルロースエステル類の中でもセルロースアシレート類を用いることが好ましい。セルロースアシレート類は工業的に広く用いられていることから、入手容易性の点において有利だからである。
上記セルロースアシレート類としては、炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルが好ましい。低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであってもよい。
また本発明においては、上記低級脂肪酸エステルの中でもセルロースアセテートを特に好適に用いることができる。セルロースアセテートとしては、平均酢化度が57.5〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のトリアセチルセルロースを用いることが最も好ましい。このようなトリアセチルセルロールは光学的等方性に優れるからである。
ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算により求めることができる。なお、トリアセチルセルロースフィルムを構成するトリアセチルセルロースの酢化度は、フィルム中に含まれる可塑剤等の不純物を除去した後、上記の方法により求めることができる。
なお、従来、セルロース誘導体からなるフィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合、表面をけん化処理することによってポリビニルアルコールからなる偏光子との接着性を向上することが必要とされていた。しかしながら、本発明においては、上述したような接着層が用いられていることにより、ポリビニルアルコールからなる偏光子を用いる場合であっても、セルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムをけん化処理を施さないで用いることができる。このため、本発明においてはセルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムを用いることによって、他の材料からなる偏光板保護フィルムを用いる場合よりも、より高い生産性向上効果を得ることができることになる。
一方、上記シクロオレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する樹脂であれば特に限定されるものではない。このような上記環状オレフィンからなるモノマーとしては、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。
また、本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂としては、シクロオレフィンポリマー(COP)またはシクロオレフィンコポリマー(COC)のいずれであっても好適に用いることができる。
本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は上記環状オレフィンからなるモノマーの単独重合体であってもよく、または、共重合体であってもよい。
また、本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は、23℃における飽和吸水率が1質量%以下であるものが好ましく、なかでも0.1質量%〜0.7質量%の範囲内であるものが好ましい。このようなシクロオレフィン系樹脂を用いることにより、本発明の偏光板を吸水による光学特性の変化や寸法の変化がより生じにくいものとすることができるからである。
ここで、上記飽和吸水率は、上記吸水率は、ASTMD570に準拠し23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる。
さらに、本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は、ガラス転移点が100℃〜200℃の範囲内であるものが好ましく、特に100℃〜180℃の範囲内であるものが好ましく、なかでも100℃〜150℃の範囲内であるものが好ましい。ガラス転移点が上記範囲内であることにより、本発明の偏光板を耐熱性および加工適性により優れたものにできるからである。
本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂からなる偏光板保護フィルムの具体例としては、例えば、Ticona社製 Topas、ジェイエスアール社製 アートン、日本ゼオン社製 ZEONOR、日本ゼオン社製 ZEONEX、三井化学社製 アペル等を挙げることができる。
本発明に用いられる偏光板保護フィルムの構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。また、複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、本発明に用いられる偏光板保護フィルムの厚みは、本発明の偏光板の可撓性を所望の範囲内にすることができ、かつ、後述する偏光子と貼り合わせることにより、偏光子の寸法変化を所定の範囲内にできる範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる偏光板保護フィルムの厚みは、5μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、特に15μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、さらに30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
厚みが上記の範囲よりも薄いと、本発明の偏光板の寸法変化が大きくなってしまう場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明の偏光板を裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
本発明に用いられる偏光板保護フィルムは、位相差性を有するものであってもよい。位相差性を有する偏光板保護フィルムを用いることにより、本発明の偏光板を液晶表示装置の視野角補償機能を有するものにできるという利点がある。
本発明に用いられる偏光板保護フィルムが位相差性を有する態様としては、所望の位相差性を発現できる態様であれば特に限定されるものではない。このような態様としては、例えば、単一の層からなる構成を有し、位相差性を発現する光学特性発現剤を含有することにより位相差性を有する態様と、上述した樹脂材料からなる透明基板上に、屈折率異方性を有する化合物を含有する位相差層が積層された構成を有することにより位相差性を有する態様とを挙げることができる。本発明においては、これらのいずれの態様であっても好適に用いることができる。
なお、上述したように本発明の偏光板には、上記セルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムをけん化処理を施すことなく用いることができるため、上記位相差性を発現させるために用いることができる材料の制約が少なくなるという利点がある。すなわち、上述したように、従来、セルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムを用いる場合には、けん化処理が必要とされていたため、偏光板保護フィルムに位相差性を付与するために用いられる材料は、けん化処理に耐え得るアルカリ耐性を備えるものでなければならないという制約があった。しかしながら、本発明においては、上記セルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムをけん化処理を施すことなく用いることができるため、このような制約がなく、所望の位相差性を発現できる材料をより広く選択することが可能になるという利点を有する。
3.偏光子
次に、本発明に用いられる偏光子について説明する。本発明に用いられる偏光子はポリビニルアルコールからなるものであり、本発明の偏光板に偏光特性を付与する機能を有するものである。
本発明に用いられる偏光子ポリビニルアルコールからなるものであり、本発明の偏光板に所望の偏光特性を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置の偏光板に用いられる偏光子を特に制限なく用いることができる。このような偏光子としては、通常、ポリビニルアルコールからなるフィルムにヨウ素を含浸させ、これを一軸延伸することによってポリビニルアルコールとヨウ素との錯体を形成させたものが用いられる。
4.偏光板の製造方法
次に、本発明の偏光板を製造する方法について説明する。本発明の偏光板を製造する方法としては、上記構成を有する偏光板を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、上述したウレタン(メタ)アクリレートおよび基材浸透性モノマーを含有し、さらに光重合開始剤を含有する接着層形成用組成物を用い、上記接着層形成用組成物を上述した偏光板保護フィルムの片面に塗工する工程と、上述した偏光子の両面に上記接着層形成用組成物が塗設された偏光板保護フィルムを貼り合わせる工程と、上記偏光板保護フィルムを介して、上記接着層形成組成物に紫外線を照射することにより、上記ウレタン(メタ)アクリレートおよび上記基材浸透性モノマーを硬化させる工程とを有する製造方法を挙げることができる。
ここで、上記光重合開始剤は、紫外線が照射されることにより上記ウレタン(メタ)アクリレートおよび上記基材浸透性モノマーの硬化反応を誘起する機能を有するものである。上述したような方法によって本発明の偏光板を製造する場合、上記偏光板保護フィルムを介して、上記接着層形成組成物に紫外線が照射されることになる。このため、上記光重合開始剤としては、上記偏光板保護フィルムが吸収する波長領域以外の波長領域に吸収を示すものが用いられる。また、一方で上記光重合開始剤が500nm以上の長波長領域に吸収を有すると、製造される偏光板が着色してしまうことが懸念される。このようなことから、上記本発明の偏光板を製造する際に用いられる光重合開始剤は、400nm〜500nmの波長領域に吸収を示すものが好適に用いられる。このような光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に、実施例を示すことにより本発明についてさらに具体的に説明する。
(1)実施例1
(接着剤用樹脂組成物の調整)
撹拌機を備えた反応容器に、イソホロンジイソシアネート32.9g、分子量4000のポリプロピレングリコール(PPG)、ジオール(PP−4000、三洋化成(株)製)444.0g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.12gを仕込み、これらを撹拌しながら10℃になるまで氷冷した。なお、この仕込み量比で反応させると、ウレタン(メタ)アクリレート1分子中に3分子のPPGの繰り返し単位が含まれることになる。
次いでジブチル錫ジラウレート0.39gを添加して、反応容器を40〜55℃に加熱して90分撹拌した。残留イソシアネート量が0.65%以下になっていることを確認した後、メタノール0.3g添加した。さらに45〜55℃で40分撹拌した。続いて2−ヒドロキシエチルアクリレート7.6gを添加して、55〜70℃で90分撹拌した。残留イソシアネート量が0.05%以下になっていることを確認して反応終了とした。その結果、485.3gのウレタンアクリレートが得られた。
このウレタンアクリレートの液温度を50〜60℃に保ちながらアクリロイルモルホリン(興人(株)製ACMO)160.0g、ルシリンTPO(BASF(株)製)を9.7g、を加え均一な樹脂液になるまで撹拌することにより、本発明の接着剤用樹脂組成物Iを得た。
(偏光板の作製)
40℃に加温した上記接着剤用樹脂組成物Iを、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム(株)製)上に塗工し、ポリビニルアルコールからなる偏光子の両面からラミネートした後、トリアセチルセルロースフィルム面からUV照射装置(フュージョンUVシステムズ製Hバルブ)で200mJ/cmの紫外線を照射した。この操作を両面について行うことにより偏光板を作製した。
ここで、上記偏光子への偏光板保護フィルムのラミネートは、図2に示すような、2本のニップロール23の間を通過させることにより、偏光子21の両面に偏光板保護フィルム22を同時にラミネートする貼り合わせ装置20を用いて行った。
(2)実施例2
(接着剤用樹脂組成物の調整)
実施例1と同様の方法により、接着剤用樹脂組成物Iを調製した。
(偏光板の作製)
40℃に加温した上記接着剤用樹脂組成物Iを厚み60μmの環状ポリオレフィンフィルム(アートンRタイプ;JSR(株)製)上にポリエチレン性マスキングフィルムを剥離したのち塗工し、実施例1と同様の貼り合わせ装置を用いてポリビニルアルコールからなる偏光子の両面からラミネートした後、環状ポリオレフィンフィルム面からUV照射装置(フュージョンUVシステムズ製Hバルブ)で200mJ/cmの紫外線を照射した。この操作を両面について行うことにより偏光板を作製した。
(3)実施例3
偏光板保護フィルムとして、日本ゼオン製の厚み60μmのゼオノアを用いたこと以外は、実施例2と同様の方法により偏光板を作製した。
(4)比較例1
(接着剤用樹脂組成物の調製)
分子量4000のポリプロピレングリコール(PPG)ジオールを用いなかった以外は実施例1と同様の方法により、接着剤用樹脂組成物IIを得た。
(偏光板の作製)
上記接着剤用樹脂組成物IIを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、偏光板を作製した。
(5)比較例2
(接着剤用樹脂組成物の調製)
単官能モノマーとして、アクリロイルモルフォリンを用いなかったこと以外は実施例1と同様の方法により接着剤用樹脂組成物III得た。
(偏光板の作製)
上記接着剤用樹脂組成物IIIを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、偏光板を作製した。
(6)評価
上記実施例および比較例において作製した偏光板について偏光子と偏光板保護フィルムとの間での剥離試験を行った。剥離試験は、幅25mm、長さ150mmとした偏光板を用い、JIS Z0237に準じ、オリエンテック製のテンシロン引張試験機により300mm/min、180度で剥がした時の剥離強度を測定した。
その結果、実施例1〜3において作製した偏光板では偏光子と偏光板保護フィルムとの境界間での剥がれは起こらず、荷重を加え続けた場合、偏光板保護フィルムが破断した。一方、比較例1、2において作製した偏光板では、偏光子と偏光板保護フィルムとの境界間で剥離した。
本発明の偏光板の一例を示す概略図である。 偏光板貼り合わせ装置の一例を示す概略図である。 一般的な液晶表示装置の一部を模式的に例示する概略図である。
符号の説明
1 … 偏光子
2 … 接着層
3 … 偏光板保護フィルム
10 … 偏光板
21 … 偏光子
22 … 偏光板保護フィルム
23 … ニップロール
20 … 貼り合わせ装置
101 … 液晶セル
102A,102B … 偏光板
112A,112B … 偏光子
122A,122B … 偏光板保護フィルム

Claims (5)

  1. ポリビニルアルコールからなる偏光子と、前記偏光子の両面に形成された接着層と、前記偏光子の両面であって、前記接着層上に形成された偏光板保護フィルムと、を有する偏光板であって、
    前記接着層が、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とから得られるウレタン(メタ)アクリレート、および、前記偏光板保護フィルムに対して浸透性を有する基材浸透性モノマーの硬化物を含むことを特徴とする、偏光板。
  2. 前記接着層にシランカップリング剤が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記ポリオール化合物がポリエーテルポリオールであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の偏光板。
  4. 前記ポリイソシアネート化合物が、脂環式ポリイソシアネート化合物であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の偏光板。
  5. 前記偏光板保護フィルムがセルロース誘導体からなるものであることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の偏光板。
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