JP2008064702A - Nmrプローブ - Google Patents

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Abstract

【課題】HF(19F核〜1H核の共鳴周波数に相当する周波数の高周波)測定を行なう場合も、LF(31Pの共鳴周波数よりも低い周波数の高周波)測定を行なう場合も、1本のNMRプローブで常に内側コイルにより観測ができるNMRプローブを提供する。
【解決手段】HFとLFに二重共振可能な内側コイルと、HFとLFに二重共振可能な外側コイルとを備えた。
【選択図】図5

Description

本発明は、NMR装置に用いられるNMRプローブに関し、特に多種類の核に対して観測および照射が可能なNMRプローブに関する。
NMR装置は、静磁場中に置かれた被測定試料に高周波信号を照射し、その後、被測定試料から出る微小な高周波信号(NMR信号)を検出し、その中に含まれている分子構造情報を抽出することによって分子構造を解析する装置である。
図1はNMR装置の概略構成図である。高周波発振器1から発振された高周波信号は、位相制御器2及び振幅制御器3によって位相と振幅を制御され、電力増幅器4に送られる。
電力増幅器4で、NMR信号を励起するために必要な電力にまで増幅された高周波信号は、デュプレクサ5を介してNMRプローブ6に送られて、NMRプローブ6内に置かれた図示しない検出コイルから被測定試料に照射される。
高周波照射後、被測定試料から出る微小なNMR信号は、NMRプローブ6内に置かれた図示しない検出コイルにより検出され、再びデュプレクサ5を介した後、前置増幅器7に送られ、受信可能な信号強度にまで増幅される。
受信器8は、前置増幅器7で増幅された高周波のNMR信号を、デジタル信号に変換可能なオーディオ周波数に周波数変換し、同時に振幅の制御を行なう。受信器8でオーディオ周波数に周波数変換されたNMR信号は、アナログ−デジタルデータ変換器9によってデジタル信号に変換され、制御コンピュータ10に送られる。
制御コンピュータ10は、位相制御器2及び振幅制御器3を制御すると共に、時間領域で取り込んだNMR信号をフーリェ変換処理し、フーリェ変換後のNMR信号の位相を自動的に補正した後、NMRスペクトルとして表示する。
NMRプローブ6に印加される高周波には、いくつかの種類がある。以下、19F核〜1H核の共鳴周波数に相当する周波数の高周波をHF、31Pの共鳴周波数よりも低い周波数の高周波をLF、重水素核を用いたロック周波数の高周波をLockと略称して説明を行なうことにする。
図2は、インバース・プローブ、またはHXプローブなどと呼ばれているタイプのNMRプローブの一例である。このタイプのNMRプローブでは、検出コイルは2組あり、試料管を囲むように配置される。
図中11はHFを観測するための内コイルである。内コイルは、HFとLockの二重共振となるようにインダクタンスが決定されている。また、12はLFをデカップリングのために照射する外コイルである。外コイルは、可変範囲の広いLFを効率よくカバーできるようにインダクタンスが決定されている。このプローブでは、被測定試料までの距離が近い内コイル11によってHFを観測するので、HFの検出感度が高くなる。これらの内コイル11と外コイル12は、発生する高周波磁場方向が互いに直交するように配置されている。
13はHF入出力端子、14はLock入出力端子である。HFは、HF用整合バリコンVC1とHF用同調バリコンVC3により整合・同調が取られる。Lockは、Lock用整合バリコンVC2とLock用同調バリコンVC4により整合・同調が取られる。
15はLF入出力端子である。LFは、LF用整合バリコンVC5とLF用同調バリコンVC6により整合・同調が取られる。
なお、C1はVC1と組になってHFの整合を取るコンデンサー、C2はコイルL1と組になってLock周波数に共振し、HF入出力端子13にLock周波数が漏れていくのを防ぐコンデンサー、L1はコンデンサーC1と組になってLock周波数に共振し、HF入出力端子13にLock周波数が漏れていくのを防ぐと同時に、HF周波数でのインピーダンスを高く保ち、HF周波数がグランドに逃げていくのを防ぐコイル、L2はHF周波数がLock入出力端子14に漏れていくのを防ぐコイルである。
これに対し、図3は、チューナブル・プローブ、またはTHプローブなどと呼ばれているタイプのNMRプローブの一例である。このタイプのNMRプローブも、検出コイルは2組あり、試料管を囲むように配置される。インバース・プローブ(HXプローブ)との違いは、内コイル11がLFを観測するためのコイル、外コイル12がHFをデカップリングのために照射するコイルとなっていて、コイルの内外の関係が逆になっている点のみである。このプローブでは、被測定試料までの距離が近い内コイル11によってLFを観測するので、LFの検出感度が高くなる。なお、これらの内コイル11と外コイル12も、発生する高周波磁場方向が互いに直交するように配置されている。
どちらのタイプのプローブにおいても、NMRロック機能を付属させている場合が多い。NMRロックは、重水素核の共鳴を用いて行なわれることがほとんどである。重水素核の共鳴周波数はHF周波数の1/6程度であるので、回路構成の容易さなどから、HFコイルと二重共振させて用いることが多い。これをLFコイルで行なおうとすると、重水素核の共鳴周波数がLF周波数の範囲内に含まれるので、回路構成がむつかしい。実際、LFコイル側でLockを共振させた例はほとんどなく、HFに帰属されるコイルにLockを二重共振させている。
以上、従来のプローブタイプ、コイルの内外とHF/LF/Lockの割り当てを図4の表にまとめておく。
特開2003−121523号公報
従来のNMRプローブでは、インバース・プローブにせよ、チューナブル・プローブにせよ、HFを観測/照射するコイルとLFを観測/照射するコイルは画然と区別されている。そのため、検出感度の良い内側のコイルで観測しようとすると、目的の核の共鳴周波数がHFかLFかによって、プローブを2本用意し、目的に応じてプローブを交換しなければならないという問題があった。
本発明の目的は、上述した点に鑑み、HF測定を行なう場合も、LF測定を行なう場合も、1本のNMRプローブで常に内側コイルにより観測ができるNMRプローブを提供することにある。
この目的を達成するため、本発明にかかるNMRプローブは、
HFとLFに二重共振可能な内側コイルと、
HFとLFに二重共振可能な外側コイルと
を備えたことを特徴としている。
また、内側コイルに観測用HFとロック用高周波、外側コイルに照射(デカップリング)用LFを供給して使用することを特徴としている。
また、内側コイルに観測用LF、外側コイルに照射用HFとロック用高周波を供給して使用することを特徴としている。
また、内側コイルに観測用HF、外側コイルに照射用HFを供給して使用することを特徴としている。
また、さらに内側コイルのLFチャンネルと外側コイルのLFチャンネルそれぞれに照射用LFとロック用高周波のいずれかを供給して使用することを特徴している。
また、内側コイルに観測用HFとロック用高周波、外側コイルに照射用LFを供給して使用するモードと、
内側コイルに観測用LF、外側コイルに照射用HFとロック用高周波を供給して使用するモードと、
内側コイルに観測用HF、外側コイルに照射用HFを供給して使用するモードと
は、任意に切り替え可能に構成されていることを特徴としている。
本発明のNMRプローブによれば、
HFとLFに二重共振可能な内側コイルと、
HFとLFに二重共振可能な外側コイルと
を備えたので、
HF測定を行なう場合も、LF測定を行なう場合も、1本のNMRプローブで常に内側コイルにより観測ができるNMRプローブを提供することが可能になった。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図5は、本発明にかかる新しいタイプのNMRプローブの一実施例である。このタイプのNMRプローブでは、検出コイルは2組あり、試料管を囲むように配置される。
図中21はHFとLFを観測するための内コイルである。内コイルは、HFとLFの二重共振となるようにインダクタンスが決定されている。また、22はHFとLFをデカップリングのために照射する外コイルである。外コイルも、HFとLFの二重共振となるようにインダクタンスが決定されている。これらの内コイル21と外コイル22は、発生する高周波磁場方向が互いに直交するように配置されている。
23は内コイルのHF入出力端子、24は内コイルのLF入出力端子である。HFは、HF用整合バリコンVC1、HF用同調バリコンVC2、およびHF用同調コンデンサーC1により整合・同調が取られる。コイルL1は、LF周波数をグランドに接続すると同時に、HF周波数でのインピーダンスを高く保ち、HFが減衰するのを防ぐ。コイルL3とコンデンサーC3はHFに共振させ、HF周波数をグランドに接続する。コイルL2とコンデンサーC2はHFに共振させ、HF周波数の通過を阻止する。VC3はLF用整合バリコン、VC4はLF用同調バリコンである。
また、25は外コイルのHF入出力端子、26は外コイルのLF入出力端子である。HFは、HF用整合バリコンVC5、HF用同調バリコンVC6、およびHF用同調コンデンサーC4により整合・同調が取られる。コイルL4は、LF周波数をグランドに接続すると同時に、HF周波数でのインピーダンスを高く保ち、HFが減衰するのを防ぐ。コイルL6とコンデンサーC6はHFに共振させ、HF周波数をグランドに接続する。コイルL5とコンデンサーC5はHFに共振させ、HF周波数の通過を阻止する。VC7はLF用整合バリコン、VC8はLF用同調バリコンである。
このプローブでは、HFを効率良く観測したいときは内コイル21に観測用HFを割り当て、外コイル22に照射用LFを割り当てる。ロックは、内コイル21のLFを重水素核に同調させて行なう。また、LFを効率良く観測したいときは内コイル21に観測用LFを割り当て、外コイル22に照射用HFを割り当てる。ロックは、外コイル22のLFを重水素核に同調させて行なう。この両モードは、任意に切り替え可能に構成される。
また、一方のコイルをHFとLock、他方のコイルをHFに割り当てても良い。その際、内コイル側のHFを観測用、外コイルのHFを照射用とする。つまり、内外両方ともHFの割り当てである。実際、HFの一方が1H核、他方が19F核であるF/Hと呼ばれる測定が行なわれており、本例はそれに当たるものである。その場合、Lockに用いない方のLFチャンネルを利用して、LF照射を行なうことができる。このモードも、先の両モードと合わせて、任意に切り替え可能な構成とする。
このように内外の両コイルともHFとLFの二重共振にしたことで、1本のプローブにより、従来のインバース・プローブ(HXプローブ)とチューナブル・プローブ(THプローブ)の2本分のコイル割り当てが可能になった。従来例と本実施例の比較を図6の表にまとめておく。
実施例1の変形例として、もしNMRロックを必要としないならば、内外コイルのHF/LFの割り当てをすべての組み合わせにおいて実現させることができる。
NMR測定に広く利用できる。
従来のNMR装置の一例を示す図である。 従来のNMRプローブの一例を示す図である。 従来のNMRプローブの一例を示す図である。 従来のNMRプローブをまとめた表である。 本発明にかかるNMRプローブの一実施例を示す図である。 本発明にかかるNMRプローブと従来のNMRプローブの比較表である。
符号の説明
1:高周波発振器、2:位相制御器、3:振幅制御器、4:電力増幅器、5:デュプレクサ、6:NMRプローブ、7:前置増幅器、8:受信器、9:アナログ−デジタルデータ変換器、10:制御コンピュータ、11:内コイル、12:外コイル、13:HF入出力端子、14:Lock入出力端子、15:LF入出力端子、21:内コイル、22:外コイル、23:内コイルのHF入出力端子、24:内コイルのLF入出力端子、25:外コイルのHF入出力端子、26:外コイルのLF入出力端子

Claims (6)

  1. HF(19F核〜1H核の共鳴周波数に相当する周波数の高周波)とLF(31Pの共鳴周波数よりも低い周波数の高周波)に二重共振可能な内側コイルと、
    HFとLFに二重共振可能な外側コイルと
    を備えたことを特徴とするNMRプローブ。
  2. 内側コイルに観測用HFとロック用高周波、外側コイルに照射(デカップリング)用LFを供給して使用することを特徴とする請求項1記載のNMRプローブ。
  3. 内側コイルに観測用LF、外側コイルに照射用HFとロック用高周波を供給して使用することを特徴とする請求項1記載のNMRプローブ。
  4. 内側コイルに観測用HF、外側コイルに照射用HFを供給して使用することを特徴とする請求項1記載のNMRプローブ。
  5. さらに内側コイルのLFチャンネルと外側コイルのLFチャンネルそれぞれに照射用LFとロック用高周波のいずれかを供給して使用することを特徴とする請求項4記載のNMRプローブ。
  6. 内側コイルに観測用HFとロック用高周波、外側コイルに照射用LFを供給して使用するモードと、
    内側コイルに観測用LF、外側コイルに照射用HFとロック用高周波を供給して使用するモードと、
    内側コイルに観測用HF、外側コイルに照射用HFを供給して使用するモードと
    は、任意に切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項2、3、または4記載のNMRプローブ。
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JP2001041913A (ja) * 1999-07-27 2001-02-16 Jeol Ltd Nmrプローブ

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