JP2008063632A - カルーセル型スパッタリング装置及び薄膜の形成方法及び反射鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の凹状成膜面における膜厚が均一で分光特性のばらつきが少なく、生産性が良く低コストで製造可能な薄膜の形成方法及びカルーセル型スパッタリング装置を提供すること。
【解決手段】所定の真空度に保たれたチャンバ内に、ターゲットとこのターゲットの前方に回転可能に基板ホルダを設け、前記基板ホルダに保持した凹状成膜面を有する基板の凹状成膜面に、前記基板ホルダを回転させ前記ターゲットの前方を横断させて、薄膜を形成するカルーセル型スパッタリング装置を用いた薄膜の形成方法であって、前記基板ホルダの上下部に保持された凹状成膜面を有する基板が前記ターゲットと対向する位置関係において、前記ターゲットに対面する前記基板の基板面はターゲットの中心方向に傾斜して保持される。
【選択図】図4

Description

本発明は、反射鏡等の凹状成膜面を有する基板の凹部内面に形成される薄膜の形成工程に適用されるカルーセル型スパッタリング装置及び薄膜の形成方法に関する。
カルーセル型スパッタリング装置は、ガラス板等の基板の表面に薄膜を形成する装置で、所定の真空状態のチャンバ内にターゲットを設けると共に、この前方に複数の基板を保持する基板ホルダをターゲットの前面を横断するよう回転可能に設け、さらにターゲットと基板との間に高電圧を印加し、プラズマ化したイオンをターゲットに衝突させ、これによってターゲットの構成材料を弾き飛ばし、基板表面に堆積させることにより薄膜の成膜を行うものである。
基板表面に薄膜が形成される光学部品として、液晶プロジェクタ等の投影表示装置の光源やスポット照明に利用される反射鏡がある。この反射鏡は、一面を拡開させた回転放物状または回転楕円状等の凹部を有する反射基体と、この反射基体の凹部内面に被着された多層膜とからなり、凹部の中心位置にハロゲンランプやHIDランプ等の光源ランプを装着するように構成されている。
反射基体の凹部内面に被着される多層膜としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを複数交互積層してなり、高屈折率材料層としてZnS,TiO等が、低屈折率材料層としてMgF,SiO等が用いられ、各層の厚さを適当に設定することにより光の干渉を利用して特定の波長の光を透過・反射する作用を有する。このような多層膜を有する反射鏡は、光源ランプから放射された光のうち可視光を前方に反射し、赤外線を透過して後方に放射させ、赤外線をほとんど含まない可視光、いわゆる冷光を放射することができるため、店舗照明に用いれば商品を熱損するおそれがなく、また投影表示装置の光源に用いれば液晶部材等に熱害を与えない利点があり、これら用途に利用されている(特許文献1)。
ところで、前記液晶プロジェクタは、パーソナルコンピュータやDVDドライブなどの映像関連機器の普及に伴って、プレゼンテーションなどで利用される業務用から一般家庭用に至るまで用途が拡大している。それに伴って、こうした装置の内部に使用される反射鏡などの光学部品には低価格化が要求されている。また、反射鏡の凹状成膜面の多層膜は、光源ランプからの可視光を前面に反射しつつ、赤外線を効率よく透過することが求められている。反射鏡の用途においては、多層膜の膜厚が不均一であると当初の設計通りの分光特性が得られず、赤外線の透過率が低下することで装置内の液晶部材等に熱害を及ぼしたり、投影画像の色再現性が悪くなる虞がある。
特開平06−207269号公報(特許文献2)には、薄膜の成膜工程において、製造コスト低減およびスループット向上を目的とした、カルーセル型スパッタリング装置が開示されている。この装置では、基板の移動方向がターゲットに平行となる場合に基板の移動方向に直角な面内で薄膜を形成する基板をターゲットに対して傾斜させる、つまりホルダ内の膜厚の厚い基板をターゲットから遠ざけ、ホルダ内の膜厚の薄い基板をターゲットに近づけるようにして薄膜の形成を行うものである。
特開平08−83506号公報 特開平06−207269号公報
カルーセル型スパッタリング装置を用い、反射鏡等の凹状成膜面を有する基板の基板面をターゲット表面に平行となるよう基体ホルダに保持して薄膜の形成を行ったところ、基板ホルダの上部及び下部に保持した基板について、その凹状成膜面の開口端周辺の上面及び下面の薄膜に膜厚差が生じた。尚、本発明では、凹状成膜面を有する基板において、凹部の開口端を含む平面を基板の基板面と称している。例えば基板が反射鏡の場合、基板面は反射鏡の光軸方向と直交し凹部の開口端を含む平面である。
一面を拡開させた回転放物状または回転楕円状等の大きく窪んだ凹状成膜面に薄膜を形成する場合、凹状成膜面の最深部周辺と開口端周辺とで、薄膜の形成に寄与するターゲットの位置が異なる。凹状成膜面の最深部周辺はターゲット表面に略平行の成膜面であり、基板の上方もしくは下方に位置するターゲットから弾き出されたスパッタ粒子は開口端周辺によって遮蔽されるため、基板の正面のターゲットのみが薄膜の形成に寄与する。これに対し、凹状成膜面の開口端周辺はターゲット表面に略垂直の成膜面であり、基板の上方もしくは下方に位置するターゲットから斜めに弾き出されたスパッタ粒子が薄膜の形成に寄与する。このため、基板が保持される位置とターゲットとの位置関係によって、前述のように凹状成膜面の開口端周辺の上下面の薄膜の形成状態が異なることになる。例えば、基板ホルダの上部に基板を取り付けた場合、基板の上方に位置するターゲットが少ないため、凹状成膜面の開口端周辺下面に入射するスパッタ粒子は少なく形成される薄膜も薄くなってしまう。これに対し、同じ基板の凹状成膜面の開口端周辺上面については、基板の下方に位置するターゲットからのスパッタ粒子が多く、上面に形成される薄膜は下面と比較して厚くなる。また、基板ホルダの下部に基板を取り付けた場合、同様の理由で、基板の凹状成膜面の開口端周辺上面に形成される薄膜は薄く、下面に形成される薄膜は上面と比較して厚くなる。
そこで、基板ホルダの上下部に保持される基板の凹状成膜面の開口端周辺の上下面の膜厚差を解消するため、特許文献2に記載の方法で薄膜を形成した。基板ホルダの上部に保持される基板は、膜厚が薄く形成される凹状成膜面の開口端周辺下面をターゲットに近づけ、膜厚が厚く形成される開口端周辺上面をターゲットから遠ざける形、つまり基板の基板面を上向きに傾斜させて薄膜を形成した。しかし、凹状成膜面の開口端周辺に形成された薄膜は、下面の膜厚はさらに薄くなり、上下面の膜厚差は解消されなかった。
特許文献2の薄膜の形成方法が凹状成膜面を有する基板の薄膜形成に適さない理由として、次のことが考えられる。特許文献2において薄膜の形成対象としているものは、LSIを搭載した実装基板や液晶表示に用いるマトリクス基板のような平板状基板である。平板状の成膜面に薄膜を形成する場合、対向するターゲットとの距離は全ての成膜面で等しい。そのため、基板ホルダにおける縦方向の基板の膜厚分布に応じて成膜面とターゲットとの距離を調整するだけで膜厚分布の制御が可能である。
これに対し、一面を拡開させた回転放物状または回転楕円状等の大きく窪んだ凹状成膜面に薄膜を形成する場合、凹状成膜面の開口端周辺の膜厚が薄い面をターゲットに近づけると、他の面とターゲットとの位置関係が変化することで他の面の薄膜の形成状態も変化してしまい、結果的に均一な薄膜の形成が難しいと考えられる。
本発明は、このような問題点を解決し、一面を拡開させた回転放物状または回転楕円状等の大きく窪んだ凹状成膜面に薄膜を形成する場合であっても、基板の凹状成膜面における膜厚が均一で分光特性のばらつきが少なく、生産性が良く低コストで製造可能な薄膜の形成方法及びカルーセル型スパッタリング装置を提供することを目的とする。
本発明のカルーセル型スパッタリング装置は、所定の真空度に保たれたチャンバ内に、ターゲットとこのターゲットの前方に回転可能に基板ホルダを設け、前記基板ホルダを前記ターゲットの前方を横断するように回転させて、前記基板ホルダに保持した凹状成膜面を有する基板の凹状成膜面に、薄膜を形成するカルーセル型スパッタリング装置であって、前記基板ホルダは前記ターゲットとの対向関係において、前記基板ホルダの上下部に保持される前記基板の基板面を前記ターゲットの中心方向に傾斜して保持することを特徴とするものである。
また、前記基板は、前記基板の拡開側の上端もしくは下端と前記基板ホルダとの間にスペーサを介することで、基板ホルダに対して傾斜して保持されることを特徴とするものである。
また、前記基板の基板面の傾斜角度は、前記ターゲットの中心から遠いほど大きいことを特徴とするものである。
また、前記基板の基板面の傾斜角度は、前記ターゲット表面に平行な面と基板面とのなす角で10°以内であることを特徴とするものである。
本発明の薄膜の形成方法は、所定の真空度に保たれたチャンバ内に、ターゲットとこのターゲットの前方に回転可能に基板ホルダを設け、前記基板ホルダを前記ターゲットの前方を横断するように回転させて、前記基板ホルダに保持した凹状成膜面を有する基板の凹状成膜面に、薄膜を形成するカルーセル型スパッタリング装置を用いた薄膜の形成方法であって、前記基板ホルダは前記ターゲットとの対向関係において、前記基板ホルダの上下部に保持される前記基板の基板面を前記ターゲットの中心方向に傾斜して保持することを特徴とするものである。
また、前記基板は、前記基板の拡開側の上端もしくは下端と前記基板ホルダとの間にスペーサを介することで、基板ホルダに対して傾斜して保持されることを特徴とするものである。
また、前記基板の基板面の傾斜角度は、前記ターゲットの中心から遠いほど大きいことを特徴とするものである。
また、前記基板の基板面の傾斜角度は、前記ターゲット表面に平行な面と基板面とのなす角で10°以内であることを特徴とする。
本発明の反射鏡は、前記の薄膜の形成方法を用いて薄膜が形成されたものであって、前記凹状反射面は一面を拡開させた回転放物状または回転楕円状の凹部内面であり、前記凹状成膜面に形成された薄膜の分光測定法による波長のばらつきは、基板面に平行な面と凹状成膜面との交線上において15nm以内であることを特徴とするものである。
本発明によれば、反射鏡等の凹状成膜面を有する基板に薄膜を形成するに際し、膜厚が均一のため分光特性のばらつきが少なく、また基板の分光特性のばらつきを少なく制御できるためカルーセル型スパッタリング装置内における成膜可能エリアが増え、1度に成膜可能な基板の数が増える。これにより、薄膜の形成工程における生産性が向上し低コスト化が可能という効果が得られる。
図1は本発明の実施形態に係るカルーセル型スパッタリング装置の概略の構成を示す横断面図であり、図2はカルーセル型スパッタリング装置の概略の構成を示す縦断面図である。
反応室となるチャンバ2は、図示せぬ排気用ポンプと連結され、スパッタに必要な所定の真空度を得ることができる。また、図示されていないが、チャンバ2にはスパッタに必要なガスを導入するための供給手段や基板を出し入れするためのドアが設けられている。
チャンバ2内の中央に配置された基板ホルダ5は、円筒形状のドラム4の外周部に取り付けられており、回転自在に設置されたドラム4と一体的に回転する。尚、ドラム4の形状は円筒形状に限らず、多角筒形状(横断面が多角形状)であっても良い。
チャンバ2の内側には、低屈折率膜形成用ターゲット3と高屈折率膜形成用ターゲット3とがそれぞれ設置されている。そして、基板ホルダ5には成膜用の基板が保持固定されており、基板ホルダ5を回転させターゲット3の前方を横断させて、基板表面に薄膜の形成を行う。
薄膜の形成時に基板10が保持固定される基板ホルダ5は、図3に示すように縦横方向に並んだ複数の貫通孔6を有する縦方向に長い平板からなる。基板ホルダ5の貫通孔6の内径寸法は、基板10の凹状成膜面12の開口端における内径と略同一であり、基板ホルダ5の貫通孔6と基板10の基板面13とを合わせて、適宜の方法で固定する。基板ホルダ5は、基板10が保持されている面と反対の面をターゲット側に向けてドラム4の外周部に取り付けられ、基板10の凹状成膜面12は基板ホルダ5の貫通孔6を通してターゲットに対向する。
基板ホルダ5の縦方向の上部及び下部の貫通孔6には、基板10の基板面をターゲットの中心方向に傾斜して保持するために、基板10の拡開側の上端もしくは下端と基板ホルダ5との間にスペーサを設けている。基板ホルダ5の上部に基板10を傾斜状態に保持する場合は、図4(a)に示すように、基板10の開口端下端と基板ホルダ5との間にスペーサである傾斜角度調整用シム7を挟みこみ、基板10の基板面13が下向きとなるようにする。基板ホルダ5の下部に基板10を固定する場合は、基板10の開口端上端と基板ホルダ5との間に傾斜角度調整用シム7を挟みこみ、基板10の基板面13が上向きとなるようにする。また、スペーサは、傾斜角度調整用シム7を用いる代わりに、図4(b)に示すように基板ホルダ5自体に突部8を設けて、基板10を傾斜状態で保持してもよい。
基板10の上端もしくは下端と基板ホルダ5との間にスペーサを設けることで、基板10は基板ホルダ5に対して一端が浮いた状態に傾斜して保持される。基板10を基板ホルダ5の上部に保持する場合、図4(a)に示すように、基板10の下端にスペーサである傾斜角度調整用シム7を介することで、基板10の下端が基板ホルダ5から浮いた状態となる。この状態で薄膜を形成すると、基板10の下方に位置するターゲットから開口端周辺上面に入射するスパッタ粒子の一部は、基板ホルダ5の貫通孔下端(図4(a)にAで示す部分)で遮蔽されるため、開口端周辺上面に形成される薄膜は薄くなる。これに対し、開口端周辺下面に入射するスパッタ粒子は、遮蔽されずに堆積する。これにより、開口端周辺上下面に形成される薄膜の膜厚差は小さくなる。
基板ホルダ自体をターゲットの中心方向に傾斜することで基板を傾斜状態とする場合、開口端周辺に入射するスパッタ粒子を効果的に遮蔽できないため、基板をターゲットに対して傾斜しても開口端周辺の上下面の膜厚差を小さくする効果は得られない。しかし、基板10の拡開側の上端もしくは下端と基板ホルダ5との間にスペーサを設けて基板10が基板ホルダ5に対して傾斜した状態であれば、基板ホルダ5の上下部をターゲットの中心方向に傾斜しても良い。これは、基板ホルダ5の上下部をターゲットの中心方向に傾斜することにより、ターゲットと基板との距離が近くなり、基板ホルダ5の上下部の基板10の膜厚を厚くすることができるためである。よって、本発明の薄膜の形成方法と基板ホルダ5の上下部をターゲットの中心方向に傾斜する方法を組み合わせることで、本発明の効果に加え、基板ホルダの縦方向の基板の膜厚が均一で、同一バッチ内の分光特性のばらつきを少なくすることが可能である。
また、基板と基板ホルダとの間にスペーサを介して基板の傾斜角度を調整するため、傾斜角度調整用シムの厚さや基板ホルダの突部の突出量を変更するだけで基板の傾斜角度が調整でき、基板ホルダの取付位置ごとの個別の傾斜角度調整が容易である。
カルーセル型スパッタリング装置1で薄膜の形成を行う際、基板10の基板面13の傾斜角度θは、ターゲットの縦方向の中心から遠いほど大きくなるようにセットする。具体的には、基板ホルダ5の上下端に保持固定した基板10は傾斜角度θを大きくし、基板ホルダ5の上下端部から縦方向の中心部に近くなるほど、傾斜角度θを小さくする。これは、基板面をターゲットに平行となるような状態で基体ホルダに基板を取り付けた場合、基板ホルダ5の縦方向において、ターゲット3の中心から遠いほど凹状成膜面12の上下面の膜厚差が大きくなるためである。このように基板ホルダ5の取付位置に応じて、基板10の基板面13の傾斜角度θを最適に設定することで、膜厚差が少なく分光特性のばらつきが少ない薄膜の形成が可能となる。基板10の傾斜角度θは、基板ホルダ5に取り付ける傾斜角度調整用シム7の厚みを変更したり、基板ホルダ5に設けた突部8の突出量を変更することで調整が可能である。尚、基板10の基板面13の傾斜角度θとは、図4に示す通り、カルーセル型スパッタリング装置1で薄膜を形成する際、基板10とターゲット3とが対向する位置関係において、ターゲット3に平行な面と基板10の基板面13とのなす角をいう。
また、基板10の基板面13の傾斜角度θは、10°以内であることが好ましい。傾斜角度θがこの範囲を超えると、基板ホルダ5の上端部もしくは下端部に保持固定した基板10であっても、上下面の膜厚差が大きくなるためである。例えば、基板ホルダ5の下端部に保持固定した基板10は、傾斜角度θが0°(基板面がターゲット表面に平行)の場合、凹状成膜面12の上面17の薄膜が下面18の薄膜に対して薄くなる。これに対し、傾斜角度θが10°より大きくすると、凹状成膜面12の下面18の薄膜が上面17の薄膜に対して薄くなり、膜厚差を小さくすることができなくなり、分光特性のばらつきが大きくなる。
尚、ターゲットの中心方向に傾斜して保持される基板は、基板ホルダの上下端部の基板のみに限らず、基板の凹状成膜面の形状等に起因して生じる膜厚差に応じて適宜の基板が傾斜して保持される。
カルーセル型スパッタリング装置1で薄膜の形成を行う際、基板ホルダ5の上下部に保持された凹状成膜面12を有する基板10の基板面13を傾斜させ、形成される薄膜の分光特性のばらつきを小さくすることで、1回の成膜で処理できる基板10の数が大幅に増加し、生産性が良く低コストで薄膜を形成することが可能となる。カルーセル型スパッタリング装置1は、バッチ処理型の成膜装置であるため、装置内に投入可能な基板個数を増やすことが生産性向上に影響する。従来は薄膜の膜厚差に起因する分光特性のばらつきの問題で、基板ホルダの上下部に基板を取り付けることができなかった。本発明により、基板ホルダの縦方向の成膜可能領域が増えることで、より多くの基板を装置内に投入可能となり、生産性が向上する。
凹状成膜面12を有する基板10の一例として、液晶プロジェクタ等の投影表示装置の光源部分に用いられる反射鏡がある。この反射鏡は、図5に示すとおり、一面が拡開した回転放物状または回転楕円状の凹部15と凹部15の最深部となる反射鏡中央のネック部14に形成された光源ランプ取付孔からなる。
反射鏡の凹状成膜面12には、TiOとSiOとを交互に25ないし50数層積層した誘電体多層膜が本発明の薄膜の形成方法にて設けられる。凹状成膜面12に形成された誘電体多層膜は反射膜として作用し、反射鏡の首部に取り付けた光源ランプの可視光を前面に反射し、赤外線を背面に透過する。
反射鏡の反射基体11には、プレス成形したホウケイ酸ガラスのほかに、結晶化ガラスやアルミノシリケートガラスなどの耐熱性の高いガラスを使用することができる。また誘電体多層膜には、上記のTiOとSiOを交互に成膜した多層膜のほか、Ta/SiO系やNb/SiO系などの多層膜を使用することかできる。
反射鏡の凹状成膜面12に形成された薄膜の分光測定法による波長のばらつきは、基板面13に平行な面と凹状成膜面12との交線16上において15nm以内であることが好ましい。基板面13に平行な面と凹状成膜面12との交線16上における薄膜の分光測定法による波長のばらつきが15nm以内であると、所期の分光特性を満たし、薄膜として求められる機能が得られる。これに対し、薄膜の分光測定法による波長のばらつきが15nmを超えると、所期の分光特性を満たさないものが多くなり、薄膜として求められる機能が得られない。
基板面13に平行な面と凹状成膜面12との交線16上において分光測定法による波長のばらつきをみる理由は、凹状成膜面12を有する基板10をスパッタリング装置で成膜すると、通常は凹状成膜面12の深さ方向に膜厚が異なるためである。具体的には、凹部の最深部の膜厚が基板面13周辺と比べて相対的に薄くなる。これは、凹部の最深部には、基板の正面のターゲットから直角に弾き飛ばされたスパッタ粒子しか届かない。これに対して、凹部の基板面13周辺には、基板の正面のターゲットだけでなく、基板の上方及び下方のターゲットから斜めに弾き出されたスパッタ粒子も届くため、堆積するスパッタ粒子の量が多く、形成される薄膜も相対的に多くなる。そのため、深さ方向がほぼ同一の凹部内面を分光特性の比較対照とした。また、実施例等で凹部内面の上面と下面に形成された薄膜について分光測定法による波長のばらつきを比較している。この理由は、カルーセル型スパッタリング装置では基板ホルダの上下部に取り付けた基板において、凹状成膜面の上面と下面に形成される薄膜の膜厚差が一番大きいため、これらを比較することで、基板面に平行な面と凹状成膜面との交線上の分光特性のばらつきが判断できると考えたためである。
分光測定法による波長のばらつきとは、薄膜が形成された基板の凹部内面の上面及び下面の分光特性を測定したのち、この分光特性のある決まった分光透過率もしくは分光反射率における波長を比較したものである。凹部内面に形成された薄膜の膜厚差が小さいと、この波長のばらつきが少なくなるため、本願発明では分光測定法による波長のばらつきを検証することで、形成された薄膜の膜厚差を判断している。また、分光特性のばらつきとは、分光測定法による波長のばらつきと同様のことである。
反射鏡の凹状成膜面に形成された薄膜の膜厚差は、形成された薄膜の色分布に表れる。基板に形成される薄膜の種類によって異なるが、例えば反射鏡に用いられる可視光を反射し赤外線を透過する誘電体多層膜の場合、凹状成膜面の薄膜の膜厚差が均一であると、凹部内面が一様に青緑色を呈する。これに対し、凹部内面の一部の膜厚が薄いと薄い部分のみが他の部分と異なる青色を呈する。また、凹部内面の一部の膜厚が厚いと厚い部分のみが他の部分と異なる赤〜黄色を呈する。このように薄膜の色分布は膜厚差と相関関係があり、一見しただけで基板面の膜厚差の存在を認識できる。薄膜の膜厚差は分光測定法による波長のばらつきと相関関係があるため、反射鏡の凹状成膜面に形成された薄膜の分光測定法による波長のばらつきが、基板面に平行な面と凹状成膜面との交線上において15nm以内であると、色分布のばらつきは見られない。
以下の各実施例及び比較例では、液晶プロジェクタの光源装置に用いられる反射鏡の凹部内面に対して、カルーセル型スパッタリング装置にて薄膜の形成を行った。基板ホルダの保持固定した反射鏡のうち、基板ホルダの中央、最上部、最上部から200mm下、最下部、最下部から200mm上の5箇所の反射鏡の薄膜について、反射鏡取付時の傾斜角度が凹状成膜面の上下面の膜厚差に与える影響を調べた。成膜条件としては、チャンバ内を排気用ポンプを用いて8×10−4Paまで真空排気した後、酸素ガス80SCCMを導入し、真空ポンプのバルブを調整して圧力を0.3Paとなるようにした。その後、電源装置から電力を印加して、反射鏡の凹状成膜面に1μmのTiO膜を成膜した。尚、基板ホルダとターゲットとの縦方向の位置関係は、基板ホルダとターゲットの縦方向の中心位置は同一であり、ターゲットの全長は基板ホルダの全長(最上部の取付部から最下部の取付部までの長さ)の約1.3倍である。凹状成膜面の上面及び下面の分光波長は、マルチチャンネル分光光度計(MCPD−7000、大塚電子製)を用いて薄膜が形成された凹状成膜面の上面及び下面の分光特性を測定し、その分光特性の特定の分光透過率における波長を分光波長とした。
(実施例1)
実施例1として、基板ホルダの取り付け位置に応じた反射鏡の傾斜角度を以下のようにした。最上部:9.6°(下向き)、最上部から200mm下:4.8°(下向き)、中央:0°、最下部から200mm上:4.8°(上向き)、最下部:9.6°(上向き)。この取付条件で薄膜を形成した反射鏡について、凹状成膜面の上面及び下面の分光波長を測定した結果を図6に示す。
(実施例2)
実施例2として、基板ホルダの取り付け位置に応じた反射鏡の傾斜角度を以下のようにした。最上部:7.2°(下向き)、最上部から200mm下:3.6°(下向き)、中央:0°、最下部から200mm上:3.6°(上向き)、最下部:7.2°(上向き)。この取付条件で薄膜を形成した反射鏡について、凹状成膜面の上面及び下面の分光波長を測定した結果を図6に示す。
(比較例)
比較例として、基板ホルダの全ての反射鏡の傾斜角度を0°、つまりターゲット表面と基板面が平行となるようにした。この取付条件で薄膜を形成した反射鏡について、凹状成膜面の上面及び下面の分光波長を測定した結果を図6に示す。
図6に示す基板ホルダの基板取付位置別の傾斜角度と上下面の分光差から、基板ホルダの基板取付位置別の反射鏡の傾斜角度は、最上部:7.2°(下向き)、最下部:9.6°(上向き)、最下部から200mm上:3.6°(上向き)、最上部から200mm下:0°であると、凹状成膜面の上下面の分光差つまり分光特性のばらつきが少ないことが確認された。
尚、図6をみると基板の傾きを変えたときの分光波長の変化は、膜厚が薄い面より膜厚が厚い面の方が変化量が大きい。これは、基板を傾斜させることで、膜厚が厚い面に入射するスパッタ粒子の一部が基板ホルダで遮蔽されるため、膜厚が薄くなったことを示している。
(実施例3)
実施例3として、基板ホルダの取り付け位置に応じた反射鏡の傾斜角度を以下のようにした。最上部:7.2°(下向き)、最上部から200mm下:4.8°(下向き)、最上部から400mm下:0°、中央:0°、最下部から400mm上:3.6°(上向き)、最下部から200mm上:4.8°(上向き)、最下部:9.6°(上向き)。この取付条件で薄膜を形成した反射鏡及び基板ホルダの全ての反射鏡の傾斜角度を0°で薄膜を形成した比較例の反射鏡について、基板ホルダの取付位置における凹状成膜面の上下面の分光差を測定した結果を図7に示す。比較例では、基板ホルダの端部ほど形成された薄膜の分光差が大きい。これに対し、実施例3では、基板ホルダの最上部から最下部の全ての反射鏡について、分光差が小さいことがわかる。これにより、本発明の薄膜の形成方法によれば、基板ホルダの縦方向に保持固定した反射鏡の分光特性のばらつきを少なくすることが可能である。
基板ホルダにおける反射鏡の傾斜角度は、基板の形状、用いられる装置、膜材料、薄膜形成条件等により異なるため、上記実施例に示した傾斜角度に限らず、本発明の範囲内において適宜設定することで、膜厚差が小さく分光特性のばらつきが少ない薄膜を基板に形成することができる。
本発明の薄膜の形成方法及びカルーセル型スパッタリング装置によれば、凹状成膜面を有する基板の凹部内面に薄膜を形成する場合であっても、形成される薄膜の膜厚が均一で分光特性のばらつきが少なく、生産性が良く低コストで製造することが可能である。
カルーセル型スパッタリング装置の概略の構成を示す横断面図 カルーセル型スパッタリング装置の概略の構成を示す縦断面図 基板ホルダに基板を取り付けた状態の正面図及び横断面図 基板ホルダに基板を取り付けた状態の拡大図 反射鏡の断面図 基板取付位置別の基板上下面の分光波長及び分光差 基板ホルダの取付位置における実施例3及び比較例の分光差
符号の説明
1…カルーセル型スパッタリング装置、2…チャンバ、3…ターゲット、4…ドラム、5…基板ホルダ、6…貫通孔、7…傾斜角度調整用シム、8…突部、10…基体(反射鏡)、11…反射基体、12…凹状成膜面、13…基板面、14…ネック部、15…凹部、16…基板面に平行な面と凹状成膜面との交線、17…凹状成膜面の上面、18…凹状成膜面の下面、θ…傾斜角度、A…基板ホルダのスパッタ粒子の一部を遮蔽する部分。

Claims (9)

  1. 所定の真空度に保たれたチャンバ内に、ターゲットとこのターゲットの前方に回転可能に基板ホルダを設け、前記基板ホルダを前記ターゲットの前方を横断するように回転させて、前記基板ホルダに保持した凹状成膜面を有する基板の凹状成膜面に、薄膜を形成するカルーセル型スパッタリング装置であって、前記基板ホルダは前記ターゲットとの対向位置において、前記基板ホルダの上下部に保持される前記基板の基板面を前記ターゲットの中心方向に傾斜して保持することを特徴とするカルーセル型スパッタリング装置。
  2. 前記基板は、前記基板の拡開側の上端もしくは下端と前記基板ホルダとの間にスペーサを介することで、基板ホルダに対して傾斜して保持されることを特徴とする請求項1のカルーセル型スパッタリング装置。
  3. 前記基板の基板面の傾斜角度は、前記ターゲットの中心から遠いほど大きいことを特徴とする請求項1ないし2のカルーセル型スパッタリング装置。
  4. 前記基板の基板面の傾斜角度は、前記ターゲット表面に平行な面と基板面とのなす角で10°以内であることを特徴とする請求項1ないし3のカルーセル型スパッタリング装置。
  5. 所定の真空度に保たれたチャンバ内に、ターゲットとこのターゲットの前方に回転可能に基板ホルダを設け、前記基板ホルダを前記ターゲットの前方を横断するように回転させて、前記基板ホルダに保持した凹状成膜面を有する基板の凹状成膜面に、薄膜を形成するカルーセル型スパッタリング装置を用いた薄膜の形成方法であって、前記基板ホルダは前記ターゲットとの対向位置において、前記基板ホルダの上下部に保持される前記基板の基板面を前記ターゲットの中心方向に傾斜して保持することを特徴とする薄膜の形成方法。
  6. 前記基板は、前記基板の拡開側の上端もしくは下端と前記基板ホルダとの間にスペーサを介することで、基板ホルダに対して傾斜して保持されることを特徴とする請求項5の薄膜の形成方法。
  7. 前記基板の基板面の傾斜角度は、前記ターゲットの中心から遠いほど大きいことを特徴とする請求項5ないし6の薄膜の形成方法。
  8. 前記基板の基板面の傾斜角度は、前記ターゲット表面に平行な面と基板面とのなす角で10°以内であることを特徴とする請求項5ないし7の薄膜の形成方法。
  9. 前記基板の凹状成膜面は一面を拡開させた回転放物状または回転楕円状の凹部内面であり、前記凹状成膜面に形成された薄膜の分光測定法による波長のばらつきは、基板面に平行な面と凹状成膜面との交線上において15nm以内であることを特徴とする請求項5ないし8の薄膜の形成方法を用いて薄膜が形成された反射鏡。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2023036155A (ja) * 2021-09-02 2023-03-14 キヤノンアネルバ株式会社 真空処理装置

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