JP2008063511A - リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
回収スチレン系樹脂から平均粒径が0.3mm以上1.0mm以下の回収スチレン系樹脂粒子を形成し、前記回収スチレン系樹脂粒子、分散剤及び不揮発性可塑剤を、前記不揮発性可塑剤が前記回収スチレン系樹脂粒子に対して3.0重量%以下となるように、水性媒体に分散させ、前記水性媒体に易揮発性炭化水素発泡剤を添加し、前記水性媒体を前記回収スチレン系樹脂粒子の軟化点以上に加熱して、前記発泡剤及び前記可塑剤の含浸、及び前記回収スチレン系樹脂粒子の球形化を行って発泡性スチレン系樹脂粒子を得る、リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【選択図】なし
Description
(1)冷蔵庫部品を粗粉砕する
(2)押出機によるペレタイズの過程で、押出機ダイス前に設置されるスクリーンによりゴミを除去し、約3mm程度にペレット化する
(3)ホットカット式の押出機を用い約1mm程度のミニサイズペレットへ再加工する
(4)耐圧反応釜に得られた樹脂を水系分散媒に分散し発泡剤を圧入する
の4工程を経て製造される。
この製造工程においては樹脂を2回溶融するので、コストアップになるばかりでなく、分子量低下に伴う品質低下が起こり、経済的なリサイクル技術でなくなり工業的な生産は困難であるとされていた。
一般に発泡スチレン系樹脂から放散される揮発成分には2種類の系統がある。1つは主成分のスチレンに起因する未反応の残留モノマーやトルエン、エチルベンゼン、キシレン等の「トルエン以上の沸点を有する芳香族炭化水素」であり、もう1つは発泡剤として使用するブタン、ペンタン等の「易揮発性脂肪族・脂環族炭化水素」である。これらは低く抑える必要がある。前者は、住環境での易揮発性有機化合物(VOC)低減からの流れであり、後者は地球環境問題からの揮発性炭化水素の低減という社会的ニーズに対応する課題である。
一方、建材用や家電用樹脂は対象外であることから、規制外であったが、近年、建材用はハウスシック症候群の問題から、これらの揮発性成分の含有量を抑えることが必要となっている。また、家電用や自動車用等、現時点では規制や指針が無い用途であっても、今後「トルエン以上の沸点を有する芳香族炭化水素」を出来る限り少なくすることが求められている。
1.回収スチレン系樹脂から平均粒径が0.3mm以上1.0mm以下の回収スチレン系樹脂粒子を形成し、前記回収スチレン系樹脂粒子、分散剤及び不揮発性可塑剤を、前記不揮発性可塑剤が前記回収スチレン系樹脂粒子に対して3.0重量%以下となるように、水性媒体に分散させ、前記水性媒体に易揮発性炭化水素発泡剤を添加し、前記水性媒体を前記回収スチレン系樹脂粒子の軟化点以上に加熱して、前記発泡剤及び前記可塑剤の含浸、及び前記回収スチレン系樹脂粒子の球形化を行って発泡性スチレン系樹脂粒子を得る、リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
2.前記回収スチレン系樹脂が、廃冷蔵庫由来のものである1に記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
3.前記リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子に含まれる芳香族炭化水素が0.10重量%以下である、1又は2に記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
4.前記易揮発性炭化水素発泡剤がブタン及び/又はペンタンで、前記リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子に含まれるブタン及び/又はペンタンの合計量が3.5重量%以上5.5重量%以下である1〜3のいずれかに記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
5.前記回収スチレン系樹脂粒子を洗浄し、乾燥させずに前記水性媒体に分散させる1〜4のいずれかに記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
6.嵩密度が0.01g/ml以上0.1g/ml以下である1〜5のいずれかに記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
7.1〜6のいずれかに記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法により得られるリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子。
8.7に記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子を熱融着成形してなる梱包材又は断熱部材。
尚、回収スチレン系樹脂は、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂等の他に、少量のABS樹脂等を含んでいてもよい。また、透明スチレン系樹脂は、その透明性を阻害しない範囲で着色されていてもよい。
洗浄後は脱水のみを行い、乾燥させずに水性媒体に分散させることで、乾燥に必要なエネルギーを節約することができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
分散剤の使用量は、通常、回収スチレン系樹脂粒子に対し0.1〜0.5重量%使用することが好ましい。尚、分散剤として難溶性無機粒子とアニオン系界面活性剤を併用する場合は、アニオン系界面活性剤を回収スチレン系樹脂粒子に対して0.001〜0.01重量%とすることが好ましい。
尚、芳香族炭化水素は回収スチレン系樹脂粒子に対し微量でも強い可塑性を示すが、揮発性物質の発生原因となることから、VOC低減のため本発明で使用する可塑剤から除くことが好ましい。
本発明においては、例えば廃冷蔵庫から回収したスチレン系樹脂のように、原料樹脂を作る段階でのペレタイズ、インジェクション成形、さらには、成型品としての数年間の使用等を経て、揮発性成分は著しく減少している。このことから本発明のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子は、新たな揮発性物質の追加が無い限り、極めて少ない揮発成分量となる。本発明のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子に含まれる芳香族炭化水素は、好ましくは0.10重量%以下である。
実施例1
[回収スチレン系樹脂粒子の製造]
家電リサイクル工場で回収される未水洗の透明樹脂製棚板、野菜室部品であって、GPPSが94重量%、AS樹脂が6重量%である回収スチレン系樹脂を10mmのメッシュスクリーンを持つ汎用粉砕機(ZA−560型粉砕機、株式会社ホーライ)で粗粉砕した。粗粉砕品の大部分は白色であるものの一部は、極めて薄い緑青色、紫色、灰色であったが、一見して分かるような、明らかな着色品はなかった。
大粒子(粒径1.18mm超) :1.9重量%
中粒子(粒径0.71〜1.18mm) :48.7重量%
小粒子(粒径0.355〜0.71mm) :35.9重量%
微粉末(粒径0.355mm未満) :13.5重量%
である平均粒径が0.85mmの回収スチレン系樹脂粒子を得た。この回収スチレン系樹脂粒子の中粒子の重量平均分子量は約29万であった。また、回収スチレン系樹脂粒子の中粒子の芳香族炭化水素(揮発性物質)は、スチレンが620ppm、その他の不純物が80ppmで合計700ppmであった。
測定装置:(株)日立製作所製
分離液:THF、液量:2ml/分
検出器UV 220nm
カラム:日立化成工業(株)製 GL−R400M 2本
測定装置:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィー、GC−9AM
検出器:水素炎イオン化ディテクタ(FID)
インジェクション温度:200℃
キャリアガス:窒素 0.3MPa,40ml/min
水素 0.06MPa,50ml/min
空気 0.07MPa,300ml/min
カラム:PEG−20MT カラム温度:105℃
測定可能物質:スチレン、トルエン、エチルベンゼン、P−キシレン、M−キシレン、O−キシレン、1−プロピルベンゼン等
硝子ビーカーの中に、得られた回収スチレン系樹脂粒子のうち中粒子(平均粒径:0.86mm)のみ1500g及び洗浄水1500gを投入し、30分間撹拌した。次いで、遠心分離器で脱水を行った。洗浄された中粒子を乾燥することなく、内容積4000mlの撹拌機付き耐圧反応器に移し、脱イオン水2000g、リン酸3カルシウム4.5g、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.03gを添加し撹拌した。撹拌しながら、ポリビニルアルコール0.1%水溶液500g及び可塑剤であるDOA7.5gをホモジナイザーを用いて分散した分散液を加えた後、密閉し100℃に昇温した。
尚、リサイクル樹脂粒子の軟化点は95℃であった。軟化点はTMA(熱機械分析装置)により測定した。
乾燥後には、得られた樹脂粒子に対し、微粉状のジンクステアレートを0.08重量%、粉末状ひまし硬化油を0.05重量%及びポリエチレングリコール#400を0.02重量%を加えて表面被覆し、リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られたリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子は、
ペンタン含有量 :5.5重量%
含有水分 :0.15重量%
揮発性成分 スチレン :550ppm
その他不純物 :70ppm
重量平均分子量 :29万
であった。また、リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子を、沸騰水中で3分間加熱したところ、嵩密度0.025g/ml(40倍)の発泡性を有していた。
含有水分は空気気流中での加熱が可能な加熱炉を有し、加熱窒素気流がカールフィッシャーに接続された水分測定器(三菱化学製 VA−100)を用い、加熱温度200℃、窒素流量250ml/分の条件で水分を吸収させて定量した。
総揮発性成分量は、リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子を200℃で7分間保持したときの加熱減量値を総揮発成分量とした。
嵩密度(g/ml)=樹脂重量(g)÷1000(ml)
発泡倍数(倍、ml/g)=1000(ml)÷樹脂重量(g)
得られたリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子を、攪拌機を有し内容積が約70Lで50Lの位置に位置センサーを有するスチーム直接加熱式予備発泡機を用い、100℃で100秒加熱して、嵩密度0.025g/ml(=40倍)に発泡された予備発泡粒子を得た。この発泡粒子を通気性の良い布製袋の中に、17時間保持し、乾燥し、熟成した。熟成された予備発泡粒子を12リットルの体積を持つ箱状金型に充填し、0.8kg/cm2のスチーム圧力で20秒間加熱、110秒間冷却し箱状発泡成型品を得た。得られた成型品は、美麗な外観と良好な粒子間融着を有していた。
得られた発泡成型品の熱伝導率は0.031kcal/m・hr・℃であった。また、揮発性成分(トルエン以上の沸点を有する芳香族炭化水素揮発性物質)はスチレン420ppm、その他不純物60ppmであった。
粉砕した回収スチレン系樹脂のうち小粒子(平均粒径:0.52mm)のみを用い、可塑剤としてトリグリセライドのアセチル化物を15g、発泡剤であるペンタンの使用量を75g、微粉状のジンクステアレートを0.12重量%、粉末状ひまし硬化油を0.07重量%、ポリエチレングリコール#400を0.025重量%とした以外は、実施例1と同様に行い、リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
ペンタン含有量 :5.10重量%
含有水分 :0.18重量%
揮発性成分 スチレン :520ppm
その他不純物 :60ppm
重量平均分子量 :29万
であった。また、リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子を、沸騰水中で3分間加熱したところ、嵩密度40ml/gの発泡性を有していた。
得られた発泡成型品の熱伝導率は0.029kcal/m・hr・℃であった。また、揮発性成分「トルエン以上の沸点を有する芳香族炭化水素揮発性物質」はスチレン400ppm、その他不純物60ppmであった。
Claims (8)
- 回収スチレン系樹脂から平均粒径が0.3mm以上1.0mm以下の回収スチレン系樹脂粒子を形成し、
前記回収スチレン系樹脂粒子、分散剤及び不揮発性可塑剤を、前記不揮発性可塑剤が前記回収スチレン系樹脂粒子に対して3.0重量%以下となるように、水性媒体に分散させ、
前記水性媒体に易揮発性炭化水素発泡剤を添加し、
前記水性媒体を前記回収スチレン系樹脂粒子の軟化点以上に加熱して、前記発泡剤及び前記可塑剤の含浸、及び前記回収スチレン系樹脂粒子の球形化を行って発泡性スチレン系樹脂粒子を得る、
リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 - 前記回収スチレン系樹脂が、廃冷蔵庫由来のものである請求項1に記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 前記リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子に含まれる芳香族炭化水素が0.10重量%以下である、請求項1又は2に記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 前記易揮発性炭化水素発泡剤がブタン及び/又はペンタンで、
前記リサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子に含まれるブタン及び/又はペンタンの合計量が3.5重量%以上5.5重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 - 前記回収スチレン系樹脂粒子を洗浄し、乾燥させずに前記水性媒体に分散させる請求項1〜4のいずれかに記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 嵩密度が0.01g/ml以上0.1g/ml以下である請求項1〜5のいずれかに記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法により得られるリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子。
- 請求項7に記載のリサイクル発泡性スチレン系樹脂粒子を熱融着成形してなる梱包材又は断熱部材。
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