JP2008062714A - 車両における乗員保護装置 - Google Patents

車両における乗員保護装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008062714A
JP2008062714A JP2006240564A JP2006240564A JP2008062714A JP 2008062714 A JP2008062714 A JP 2008062714A JP 2006240564 A JP2006240564 A JP 2006240564A JP 2006240564 A JP2006240564 A JP 2006240564A JP 2008062714 A JP2008062714 A JP 2008062714A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
airbag
head
protection device
occupant
vehicle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006240564A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Kanehara
秀行 金原
Masami Iwamoto
正実 岩本
Noboru Kikuchi
昇 菊池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2006240564A priority Critical patent/JP2008062714A/ja
Publication of JP2008062714A publication Critical patent/JP2008062714A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】衝突時において、乗員の中枢神経系の傷害を低減させることができる車両における乗員保護装置の提供を課題とする。
【解決手段】頭部用エアバッグ12と、頭部用エアバッグ12よりも乗員P側へ張り出す胴体部用エアバッグ14と、頭部用エアバッグ12に充填材を供給して、頭部用エアバッグ12を展開させる第1インフレーター16と、胴体部用エアバッグ14に充填材を供給して、胴体部用エアバッグ14を展開させる第2インフレーター18と、を備えた乗員保護装置10であって、頭部用エアバッグ12の充填材と胴体部用エアバッグ14の充填材とを異なる物質とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に前方衝突時の車両における乗員保護装置に関する。
車両おける従来の乗員保護装置は、衝突時の衝撃を吸収する機能だけに着目したものが多く、人体の構造学的見知を考慮していないと思われる技術が多い。すなわち、人体に与える傷害メカニズムヘの理解不足から、必ずしも傷害低減に寄与するものとなっていないものがある。例えば、単一のエアバッグで乗員を保護する場合、エアバッグから受ける減衰特性は、頭部と胴体部の間で等しくされている。しかし、頭部と胴体部には重量差があり、この重量差による身体間の慣性力の違いが、人体に重大な影響を与える場合がある。
一般に、頭部の重量は4kg〜5kgであり、胴体部(胸部、腹部、上肢)の重量は40kg〜50kgであって、その重量比はおよそ10倍になっている。頭部の慣性力は胴体部の慣性力よりも小さいため、衝突によって生じる頭部の運動エネルギーは、胴体部に比べて短い時間で吸収される。しかし、胴体部は、頭部よりも大きな運動エネルギーを有するため、その運動エネルギーの吸収に時間を要し、胴体部の制動距離は、頭部よりも長くなる。
したがって、単一のエアバッグで頭部と胴体部を拘束した場合、これらの減衰特性及び制動距離の違いにより、頸部が大きく変形させられ、背骨の中枢を走る脊髄に、破断に至る大きな歪みが生じる可能性がある。なお、エアバッグを頭部用と胴体部用の上下2段式としたものも知られている(例えば、特許文献1参照)が、人体の構造学的見知を考慮すると、未だ改善の余地がある。
特開2003−54353号公報
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、衝突時において、乗員の中枢神経系(脳と脊髄)の傷害を低減させることができる車両における乗員保護装置を得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の車両における乗員保護装置は、頭部用エアバッグと、前記頭部用エアバッグよりも乗員側へ突出する胴体部用エアバッグと、前記頭部用エアバッグに充填材を供給して、該頭部用エアバッグを展開させる第1インフレーターと、前記胴体部用エアバッグに充填材を供給して、該胴体部用エアバッグを展開させる第2インフレーターと、を備え、前記頭部用エアバッグの充填材と前記胴体部用エアバッグの充填材とが異なる物質とされていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、頭部用エアバッグと胴体部用エアバッグの減衰特性に差を付けることができるので、衝撃後の頭部と胴体部(胸部及び腹部)の移動量が等しくなり、頭部と胴体部の間に大きな相対変位が生じないようにできる。つまり、頭部への衝撃力が緩和されて脳への負荷が低減されるとともに、頸部に対する剪断変形が緩和されて脊髄への負荷が低減される。したがって、乗員の中枢神経系(脳と脊髄)の傷害を低減させることができる。
また、請求項2に記載の車両における乗員保護装置は、請求項1に記載の車両における乗員保護装置において、前記頭部用エアバッグの充填材が気体とされ、前記胴体部用エアバッグの充填材が、前記気体とは異なる気体、液体、もしくは粉末状又は粒子状の固体、あるいはこれらの混合体とされていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、頭部用エアバッグと胴体部用エアバッグの減衰特性に好適に差を付けることができる。
また、請求項3に記載の車両における乗員保護装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両における乗員保護装置において、前記頭部用エアバッグの素材が、前記胴体部用エアバッグの素材よりも柔らかい素材であることを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、頭部用エアバッグと胴体部用エアバッグの減衰特性に更に差を付けることができる。
また、請求項4に記載の車両における乗員保護装置は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両における乗員保護装置において、前記頭部用エアバッグと前記胴体部用エアバッグが、同時に展開されることを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、衝撃後の頭部と胴体部(胸部及び腹部)の移動量が等しくなり、頭部と胴体部の間に大きな相対変位が生じないようにできる。
また、請求項5に記載の車両における乗員保護装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車両における乗員保護装置において、乗員から見て、前記頭部用エアバッグが円形状とされ、前記胴体部用エアバッグが、前記頭部用エアバッグと重複する部分が少なくなるように円弧状に切り欠かれた切欠部を有する形状とされていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、衝撃後の頭部と胴体部(肩部及び胸部及び腹部)の移動量が等しくなり、頭部と胴体部の間に大きな相対変位が生じないようにできる。
また、本発明に係る請求項6に記載の車両における乗員保護装置は、車両の助手席側に設けられる乗員保護装置であって、インストルメントパネルに緩衝手段を介して突出可能に設けられる支持部材と、前記支持部材の内部に設けられ、展開時に該支持部材を被覆するとともに、該支持部材の周囲へ張り出すエアバッグと、前記支持部材に設けられ、前記エアバッグに充填材を供給して、該エアバッグを展開させるインフレーターと、を有することを特徴としている。
請求項6に記載の発明によれば、エアバッグにおいて、支持部材が支持する部分(胸部)と支持部材が支持しない周囲の部分(頭部)とで減衰特性に差を付けることができる。したがって、衝撃後の頭部と胴体部(胸部)の移動量が等しくなり、頭部と胴体部の間に大きな相対変位が生じないようにできる。つまり、頭部への衝撃力が緩和されて脳への負荷が低減されるとともに、頸部に対する剪断変形が緩和されて脊髄への負荷が低減される。よって、乗員の中枢神経系(脳と脊髄)の傷害を低減させることができる。
また、請求項7に記載の車両における乗員保護装置は、請求項6に記載の車両における乗員保護装置において、前記支持部材の突出タイミングと前記エアバッグの展開タイミングが同時であることを特徴としている。
請求項7に記載の発明によれば、衝撃後の頭部と胴体部(胸部)の移動量が等しくなり、頭部と胴体部の間に大きな相対変位が生じないようにできる。
以上のように、本発明によれば、衝突時において、乗員の中枢神経系(脳と脊髄)の傷害を低減できる車両における乗員保護装置を提供することができる。
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。なお、各図において、車両前方向を矢印FR、車両後方向を矢印REで示し、車両上方向を矢印UP、車両下方向を矢印DOで示す。図1は本実施形態に係る運転席側の乗員保護装置10を示す概略正面図と概略側面図であり、図2はその運転席側の乗員保護装置10の変形例を示す概略正面図と概略側面図である。また、図3はステアリング22の軸24内にエアバッグモジュール20が組み込まれている様子を示す概略側断面図であり、図4はステアリング22とエアバッグモジュール20の位置関係を示す概略正面図である。
まず最初に、運転席側の乗員保護装置10について説明する。図1で示すように、運転席側の乗員保護装置10は、頭部用と胴体部用の上下2段に分離独立したエアバッグ12、14で構成されている。すなわち、上段の頭部用エアバッグ12は、乗員P(図5参照)から見て円形状(球体形状)に展開し(膨らみ)、下段の胴体部用エアバッグ14は、乗員Pから見て頭部用エアバッグ12よりも大きく、かつ両端が上方を向く三日月型形状に展開する(膨らむ)ように構成されている。
ここで、胴体部用エアバッグ14が、両端が上方を向く三日月型形状とされているのは、胸部及び腹部だけではなく、肩部も受け止めることを想定しているからであり、更に頭部がシートベルトの拘束によっては、前方に突出することも考慮しているからである。なお、胴体部用エアバッグ14は、同様の効果を奏するものであれば、三日月型形状に限定されるものではなく、例えば図2で示すように、略「H」型形状等としてもよい。
また、胴体部用エアバッグ14の上側中央部が、球体形状をなす頭部用エアバッグ12の下側中央部と僅かにオーバーラップ(重複)するが、このオーバーラップ部分は、頭部と胴体部との間に大きな相対変位が生じないように(頭部に胴体部用エアバッグ14が当たらず、衝撃後の頭部と胴体部の移動量が等しくなるように)するためには、少ない方が好ましい。したがって、胴体部用エアバッグ14の上側中央部は円弧状に切り欠かれた切欠部14Aとされ、全体として三日月型形状や略「H」型形状とされている。
また、胴体部用エアバッグ14は、主に胸部における肋骨と胸骨に当たる(接触する)ように構成されることが望ましく、胸部への負荷荷重は、肋骨骨折を最小限に抑えられる程度にすることが望ましい。また、胴体部用エアバッグ14が頭部用エアバッグ12よりも先に乗員P(胴体部)に接触するように、胴体部用エアバッグ14が頭部用エアバッグ12よりも後方側に(乗員P側に)向かって所定高さ(厚さ)突出する構成とされている。
すなわち、頭部用エアバッグ12の乗員Pとの接触面(車両後方側の表面)と、胴体部用エアバッグ14の乗員Pとの接触面(車両後方側の表面)が、車両の前後方向で所定のオフセット量(頭部用エアバッグ12と胴体部用エアバッグ14の厚さの差)Tを有する構成とされている。例えば、標準男性の体型を仮定すれば、このオフセット量Tは、T=0cm〜10cm程度の範囲で適度な長さとされ、胴体部用エアバッグ14の厚さDは、D=25cm〜35cm程度とされている。
また、図3、図4で示すように、運転席側に設けるエアバッグモジュール20は、上下2段のエアバッグ12、14がそれぞれ折り畳まれた状態で格納されているエアバッグケース13、15と、各エアバッグケース13、15に格納されている各エアバッグ12、14にそれぞれ接続され、各エアバッグ12、14に充填材を供給して(送り込んで)展開させる各インフレーター16、18とを備えている。そして、このエアバッグモジュール20は、ステアリング22がどの向きに回転されても回転せず、常に図1、図2で示すような展開状態になるように構成されている。
すなわち、頭部用エアバッグ12と胴体部用エアバッグ14の上下方向が、ステアリング22の回転によらず、常に一定となるように、エアバッグモジュール20とステアリング22は互いに独立した機構とされている。例えば、ステアリング22の軸24を回転不能とされた内輪軸26と、回転可能とされた外輪軸28の2重構造として独立させ、回転しない内輪軸26の内部にエアバッグモジュール20を固定し、回転自在な外輪軸28にステアリング機能を付与する構成としている。
なお、エアバッグモジュール20を閉塞し、各エアバッグ12、14の少なくともどちらか一方の膨張圧が所定値以上になると破断されるエアバッグドア23は、各エアバッグ12、14の位置がステアリング22の回転によらず、常に同じ位置に固定されるのであれば、ステアリング22と一緒に回転する構成にしても構わない。また、頭部用エアバッグ12と胴体部用エアバッグ14に供給する充填材は異なる物質とされ、頭部用エアバッグ12と胴体部用エアバッグ14の減衰特性に差が付けられている。
すなわち、頭部用エアバッグ12には、インフレーター16から、気体(空気)が充填され、胴体部用エアバッグ14には、インフレーター18から、変形抵抗が大きい液体、もしくは粉末状又は粒子状の固体、あるいはこれらの混合体が充填されるようになっている。なお、胴体部用エアバッグ14に気体を充填してもよいが、その気体は、頭部用エアバッグ12に充填する気体(空気)よりも比重が高い気体とすることが好ましい。また、各インフレーター16、18は、所定の電流が点火装置(図示省略)に通電されることによって作動する構成とされている。
その他、上下2段とされた各エアバッグ12、14は同時に展開を始め、展開初期から完了までに、上記した円形状や三日月型形状、あるいは略「H」型形状をなすように構成されている。また、頭部用エアバッグ12の素材には、胴体部用エアバッグ14の素材よりも柔らかい素材を使用することが、両者の減衰特性に更に差を付けるうえで望ましい。また、頭部用エアバッグ12の空気抜き孔(図示省略)を、胴体部用エアバッグ14の空気(液体)抜き孔(図示省略)に比べて大きく形成することが、両者の減衰特性に差を付けるうえで更に望ましい。
以上のような構成の運転席側の乗員保護装置10において、次にその作用について説明する。車両が衝突したことをエアバッグセンサー(図示省略)が感知し、乗員Pをエアバッグ12、14で保護すべきとエアバッグECU(図示省略)が判断したときには、以下の流れに沿って乗員保護装置10が作動する。
まず、シートベルト非着用時においては、角度検知機構(図示省略)により、シートの座面位置とシート背もたれ角度を検知する。そして、荷重分布センサー(図示省略)により、シート座面とシート背もたれに加わる荷重分布を検知する。次いで、それらのシート状態とカメラによる状態計測から乗員Pの体重、体格及び姿勢を推定し、更にステアリング22から頭部と胸部までの距離を算出する。つまり、シート座圧分布を検知して乗員Pの重心を探し、シートスライディング位置と合わせて、頭部と胸部の位置を推定する。
ここで、乗員Pが胸部をステアリング22に接近させた状態で着座しているとき、又はステアリング22に接触させている状態(アウト・オブ・ポジション)で着座しているときには、エアバッグ12、14を展開しない。この着座状態のときには、乗員Pにステアリング22からの距離を保つように警報装置(図示省略)により注意を促す。この状態以外のときには、ステアリング22から頭部までの距離と、ステアリング22から胸部までの距離にそれぞれ適した容量分、エアバッグ12、14を展開する。
すなわち、インフレーター16、18に所定の電流が通電されて点火装置が作動し、頭部用エアバッグ12にインフレーター16から空気のみが充填される。そして、これと同時に、胴体部用エアバッグ14にインフレーター18から空気よりも反力のある別の物質、例えば液体(水)と粒状体(公知のビーズなど)の混合体が充填される。
一方、シートベルト着用時においては、上記と同様に、角度検知機構により、シートの座面位置とシート背もたれ角度を検知し、荷重分布センサーにより、シート座面とシート背もたれに加わる荷重分布を検知する。そして、それらのシート状態とカメラによる状態計測から乗員Pの体重、体格及び姿勢を推定し、更にステアリング22から頭部と胸部までの距離を算出する。つまり、シート座圧分布を検知して乗員Pの重心を探し、シートスライディング位置と合わせて、頭部と胸部の位置を推定する。
また、車両に設けられた調節機構(図示省略)により、ステアリング22の上下角度に対する乗員Pとの車両前後方向の距離を自動的に調節し、それに基づいてエアバッグ12、14の展開量を調節する。そして、シートベルトによる胸部拘束の最終移動量を想定した位置に、エアバッグ12、14を展開する。すなわち、頭部用エアバッグ12には、インフレーター16から空気のみが充填され、胴体部用エアバッグ14には、インフレーター18から空気よりも反力のある別の物質、例えば液体(水)と粒状体(公知のビーズなど)の混合体が充填される。
ここで、同時に展開される各エアバッグ12、14は、車両前後方向にオフセット量Tを有し、かつ頭部用エアバッグ12には気体が充填され、胴体部用エアバッグ14には液体と固体の混合体が充填されているので、頭部用エアバッグ12と胴体部用エアバッグ14の減衰特性に差を付けることができる。したがって、衝撃後の頭部と胴体部(胸部及び腹部)の移動量が等しくなり、頭部と胴体部の間に大きな相対変位が生じない。つまり、頭部への衝撃力が緩和されて脳への負荷が低減されるとともに、頸部に対する剪断変形が緩和されて脊髄への負荷が低減される。よって、乗員Pの中枢神経系(脳と脊髄)の傷害を低減させることができる。
なお、シートベルト着用時には、エアバッグ12、14が展開したときに、シートベルトによる拘束力が、すでに胴体部に加えられているので、このときの胴体部用エアバッグ14には、頭部用エアバッグ12と同様に気体(空気よりも比重が高い気体)を充填しても構わない。このように、シートベルトの着用・非着用で、胴体部用エアバッグ14に供給する充填材(物質)を切り換えるようにしてもよい。その場合は、胴体部用エアバッグ14のインフレーター18を2種類設けておけばよい。
また、頭部用エアバッグ12の素材を、胴体部用エアバッグ14の素材よりも柔らかい素材にするなどして、乗員Pの頭部をその頭部用エアバッグ12で柔らかく受け止められるようにすれば、胴体部よりも重量が小さい頭部を、その胴体部よりも早く制止させないようにできる。換言すれば、胴体部用エアバッグ14の素材を、頭部用エアバッグ12の素材よりも堅い素材にするなどして、乗員Pの胴体部をその胴体部用エアバッグ14で減衰力を高めつつ制動距離を短めに保てるようにすれば、頭部よりも重量が大きい胴体部を、その頭部よりも早く制止させることができる。なお、米国などでは、重量過多(例えば100kg〜200kg)の乗員もいるため、胴体部用エアバッグ14は、大きな慣性力に対しても充分に対抗できる堅さにすることが望ましい。
次に、助手席側の乗員保護装置30について説明する。図5は本実施形態に係る第1実施例の助手席側の乗員保護装置30を示す概略側面図であり、図6は助手席側の乗員保護装置30の形状を示す概略正面図である。図5、図6で示すように、この助手席側の乗員保護装置30は、頭部用と胴体部用の上下2段に分離独立したエアバッグ32、34で構成されている。
すなわち、上段の頭部用エアバッグ32は、乗員Pから見て円形状(球体形状)に展開し(膨らみ)、下段の胴体部用エアバッグ34は、乗員Pから見て頭部用エアバッグ32よりも大きく、かつ上側中央部に円弧状に切り欠かれた切欠部34Aが形成される凹型形状に展開する(膨らむ)ように構成されている。
ここで、胴体部用エアバッグ34が、上側中央部に円弧状に切り欠かれた切欠部34Aが形成される凹型形状とされているのは、胸部及び腹部だけではなく、肩部も受け止めることを想定しているからであり、更に頭部がシートベルトの拘束によっては、前方に突出することも考慮しているからである。なお、胴体部用エアバッグ34は、凹型形状に限定されるものではなく、同様の効果を奏するものであれば、どのような形状に形成してもよい。
また、胴体部用エアバッグ34の上側中央部が、球体形状をなす頭部用エアバッグ32の下側中央部と僅かにオーバーラップ(重複)するが、このオーバーラップ部分は、頭部と胴体部との間に大きな相対変位が生じないように(頭部に胴体部用エアバッグ34が当たらず、衝撃後の頭部と胴体部の移動量が等しくなるように)するためには、少ない方が好ましい。したがって、胴体部用エアバッグ34の上側中央部は円弧状に切り欠かれた切欠部34Aとされ、全体として凹型形状とされている。
また、胴体部用エアバッグ34は、主に胸部における肋骨と胸骨が当たる(接触する)ように構成されることが望ましく、胸部への負荷荷重は、肋骨骨折を最小限に抑えられる程度にすることが望ましい。また、胴体部用エアバッグ34が頭部用エアバッグ32よりも先に乗員P(胴体部)に接触するように、胴体部用エアバッグ34が頭部用エアバッグ32よりも後方側に(乗員P側に)向かって所定高さ(厚さ)突出する構成とされている。
すなわち、頭部用エアバッグ32の乗員Pとの接触面(車両後方側の表面)と、胴体部用エアバッグ34の乗員Pとの接触面(車両後方側の表面)が、車両の前後方向で所定のオフセット量(頭部用エアバッグ32と胴体部用エアバッグ34の厚さの差)Tを有する構成とされている。例えば、標準男性の体型を仮定すれば、このオフセット量Tは、T=0cm〜10cm程度の範囲で適度な長さとされ、胴体部用エアバッグ34の厚さDは、D=25cm〜35cm程度とされている。
また、頭部用エアバッグ32と胴体部用エアバッグ34は、それぞれ折り畳まれた状態でエアバッグケース33、35に格納され、そのエアバッグケース33、35に格納されているエアバッグ32、34に、それぞれインフレーター36、38が接続されている。つまり、各エアバッグ32、34は、各インフレーター36、38によって独立して展開するように構成されており、頭部用エアバッグ32と胴体部用エアバッグ34に供給する(送り込む)充填材が異なる物質とされて、両者の減衰特性に差が付けられている。
すなわち、頭部用エアバッグ32には、インフレーター36から、気体(空気)が充填され、胴体部用エアバッグ34には、インフレーター38から、変形抵抗が大きい液体、もしくは粉末状又は粒子状の固体、あるいはこれらの混合体が充填されるようになっている。なお、胴体部用エアバッグ34に気体を充填してもよいが、その気体は、頭部用エアバッグ32に充填する気体(空気)よりも比重が高い気体とすることが好ましい。また、インフレーター36、38は、所定の電流が点火装置(図示省略)に通電されることによって作動する構成とされている。
その他、上下2段とされた各エアバッグ32、34は同時に展開を始め、展開初期から完了までに、上記した円形状や凹型形状をなすように構成されている。また、頭部用エアバッグ32の素材には、胴体部用エアバッグ34の素材よりも柔らかい素材を使用することが、両者の減衰特性に更に差を付けるうえで望ましい。また、頭部用エアバッグ32の空気抜き孔(図示省略)を、胴体部用エアバッグ34の空気(液体)抜き孔(図示省略)に比べて大きく形成することが、両者の減衰特性に差を付けるうえで更に望ましい。
以上のような構成の助手席側の第1実施例に係る乗員保護装置30において、次にその作用について説明する。車両が衝突したことをエアバッグセンサー(図示省略)が感知し、乗員Pをエアバッグ32、34で保護すべきとエアバッグECU(図示省略)が判断したときには、以下の流れに沿って乗員保護装置30が作動する。
まず、シートベルト非着用時においては、角度検知機構(図示省略)により、シートの座面位置とシート背もたれ角度を検知する。そして、荷重分布センサー(図示省略)により、シート座面とシート背もたれに加わる荷重分布を検知する。次いで、それらのシート状態とカメラによる状態計測から乗員Pの体重、体格及び姿勢を推定し、更にインストルメントパネル(以下「インパネ」という)42から頭部と胸部までの距離を算出する。つまり、シート座圧分布を検知して乗員Pの重心を探し、シートスライディング位置と合わせて、頭部と胸部の位置を推定する。
ここで、乗員Pが胸部をインパネ42に接近させた状態で着座しているとき、又はインパネ42に接触させている状態で着座しているときには、エアバッグ32、34を展開しない。この着座状態のときには、乗員Pにインパネ42からの距離を保つように警報装置(図示省略)により注意を促す。この状態以外のときには、インパネ42から頭部までの距離と、インパネ42から胸部までの距離にそれぞれ適した容量分、エアバッグ32、34を展開する。
すなわち、インフレーター36、38に所定の電流が通電されて点火装置が作動し、頭部用エアバッグ32にインフレーター36から空気のみが充填される。そして、これと同時に、胴体部用エアバッグ34にインフレーター38から空気よりも反力のある別の物質、例えば液体(水)と粒状体(公知のビーズなど)の混合体が充填される。
一方、シートベルト着用時においては、上記と同様に、角度検知機構により、シートの座面位置とシート背もたれ角度を検知し、荷重分布センサーにより、シート座面とシート背もたれに加わる荷重分布を検知する。そして、それらのシート状態とカメラによる状態計測から乗員Pの体重、体格及び姿勢を推定し、更にインパネ42から頭部と胸部までの距離を算出する。つまり、シート座圧分布を検知して乗員Pの重心を探し、シートスライディング位置と合わせて、頭部と胸部の位置を推定する。
また、車両に設けられた調節機構(図示省略)により、エアバッグ32、34の展開量を調節する。そして、シートベルトによる胸部拘束の最終移動量を想定した位置にエアバッグ32、34を展開する。すなわち、頭部用エアバッグ32には、インフレーター36から空気のみが充填され、胴体部用エアバッグ34には、インフレーター38から空気よりも反力のある別の物質、例えば液体(水)と粒状体(公知のビーズなど)の混合体が充填される。
ここで、同時に展開される各エアバッグ32、34は、車両前後方向にオフセット量Tを有し、かつ頭部用エアバッグ32には気体が充填され、胴体部用エアバッグ34には液体と固体の混合体が充填されているので、頭部用エアバッグ32と胴体部用エアバッグ34の減衰特性に差を付けることができる。したがって、衝撃後の頭部と胴体部(胸部及び腹部)の移動量が等しくなり、頭部と胴体部の間に大きな相対変位が生じない。つまり、頭部への衝撃力が緩和されて脳への負荷が低減されるとともに、頸部に対する剪断変形が緩和されて脊髄への負荷が低減される。よって、乗員Pの中枢神経系(脳と脊髄)の傷害を低減させることができる。
なお、シートベルト着用時には、エアバッグ32、34が展開したときに、シートベルトによる拘束力が、すでに胴体部に加えられているので、このときの胴体部用エアバッグ34には、頭部用エアバッグ32と同様に気体(空気よりも比重が高い気体)を充填しても構わない。このように、シートベルトの着用・非着用で、胴体部用エアバッグ34に供給する充填材(物質)を切り換えるようにしてもよい。その場合は、胴体部用エアバッグ34のインフレーター38を2種類設けておけばよい。
また、頭部用エアバッグ32の素材を、胴体部用エアバッグ34の素材よりも柔らかい素材にするなどして、乗員Pの頭部をその頭部用エアバッグ32で柔らかく受け止められるようにすれば、胴体部よりも重量が小さい頭部を、その胴体部よりも早く制止させないようにできる。換言すれば、胴体部用エアバッグ34の素材を、頭部用エアバッグ32の素材よりも堅い素材にするなどして、乗員Pの胴体部をその胴体部用エアバッグ34で減衰力を高めつつ制動距離を短めに保てるようにすれば、頭部よりも重量が大きい胴体部を、その頭部よりも早く制止させることができる。なお、米国などでは、重量過多(例えば100kg〜200kg)の乗員もいるため、胴体部用エアバッグ34は、大きな慣性力に対しても充分に対抗できる堅さにすることが望ましい。
次に、助手席側の別の乗員保護装置40について説明する。図7は本実施形態に係る第2実施例の助手席側の乗員保護装置40を示す概略側面図である。図7で示すように、この助手席側の乗員保護装置40は、衝突時にインパネ42から飛び出す(突出する)支持部材44と、その支持部材44から飛び出す(突出する)単一のエアバッグ50とで構成されている。
すなわち、この支持部材44の車両前方側(裏面側)には、緩衝手段としてのバネ46及びダンパー48の一端部がそれぞれ独立して取り付けられており、それらの他端部がインパネ42よりも車両前方側の車体フレーム(図示省略)等に取り付けられている。そして、通常時には、その支持部材44がインパネ42の一部を構成するようになっている。なお、緩衝手段としてのバネ46及びダンパー48は、どちらか一方だけ設ける構成としてもよいが、両方設ける構成とした方が好ましい。
また、衝突時にインパネ42から乗員Pの胸部(胴体部)めがけて飛び出す(突出する)支持部材44の車両後方側の表面は、その胸部(胴体部)に対して平面で受け止められる略平面形状とされており、その支持部材44の突出距離は、胸部(胴体部)の表面から車両前方側に向かって、20cm〜30cm程度の距離を保てる範囲までとされている。これにより、胸部(胴体部)への負荷荷重が、肋骨骨折を最小限に抑えられる程度となる構成である。
そして、その支持部材44の内部に、エアバッグ50が折り畳まれた状態で格納されているエアバッグケース51と、エアバッグケース51に格納されているエアバッグ50に接続され、そのエアバッグ50に充填材を送り込むインフレーター52が設けられている。なお、インフレーター52は、支持部材44の内部ではなく、外部、例えば支持部材44の裏面側に取り付けられる構成としてもよい。また、インフレーター52は、所定の電流が点火装置(図示省略)に通電されることによって作動する構成とされている。
また、このエアバッグ50は、展開したときに(膨らんだときに)、その容量が、上記した運転席側の頭部用エアバッグ12の容量と胴体部用エアバッグ14の容量を合計した容量よりも若干大きくされ、かつ上記のような上下2段に分離独立された構成とされておらず、単一で頭部から腹部(胴体部)までを覆う大きさ(サイズ)に形成されている。したがって、インパネ42から飛び出した(突出した)支持部材44の車両後方側の表面は、エアバッグ50で完全に覆われ、かつ、このエアバッグ50は、支持部材44から頭部側及び腹部側(周囲)に所定長さ張り出す構成である。
つまり、頭部及び腹部が接触するエアバッグ50の裏面側(車両前方側)には、支持部材44の支えが無く、エアバッグ50のみによって、頭部及び腹部が拘束される構成である。そして、胸部は、エアバッグ50が変形して支持部材44に底つきした後、支持部材44の裏面側(車両前方側)に取り付けられているバネ46及びダンパー48の緩衝作用によって減衰される構成であり、これによって、衝突時の衝撃が好適に受け止められる構成である。
なお、このエアバッグ50の展開タイミングは、頭部と胸部(胴体部)との間に大きな相対変位が生じないように(衝撃後の頭部と胸部の移動量が等しくなるように)、支持部材44の突出タイミングと同時とされている。また、このエアバッグ50には、気体(空気又は空気よりも比重が高い気体)が充填される。
以上のような構成の助手席側の第2実施例に係る乗員保護装置40において、次にその作用について説明する。車両が衝突したことをエアバッグセンサー(図示省略)が感知し、乗員Pをエアバッグ50で保護すべきとエアバッグECU(図示省略)が判断したときには、以下の流れに沿って乗員保護装置40が作動する。
まず、シートベルト非着用時においては、角度検知機構(図示省略)により、シートの座面位置とシート背もたれ角度を検知する。そして、荷重分布センサー(図示省略)により、シート座面とシート背もたれに加わる荷重分布を検知する。次いで、それらのシート状態とカメラによる状態計測から乗員Pの体重、体格及び姿勢を推定し、更にインパネ42から頭部と胸部までの距離を算出する。つまり、シート座圧分布を検知して乗員Pの重心を探し、シートスライディング位置と合わせて、頭部と胸部の位置を推定する。
ここで、乗員Pが胸部をインパネ42に接近させた状態で着座しているとき、又はインパネ42に接触させている状態で着座しているときには、支持部材44を突出させず、かつエアバッグ50を展開しない。この着座状態のときには、乗員Pにインパネ42からの距離を保つように警報装置(図示省略)により注意を促す。この状態以外のときには、支持部材44を突出させ、かつ支持部材44の周囲(乗員Pの頭部側及び腹部側)へ所定長さ張り出すのに適した容量分、エアバッグ50を展開する。すなわち、インフレーター52に所定の電流が通電されて点火装置が作動し、エアバッグ50にインフレーター52から空気のみが充填される。
一方、シートベルト着用時においては、上記と同様に、角度検知機構により、シートの座面位置とシート背もたれ角度を検知し、荷重分布センサーにより、シート座面とシート背もたれに加わる荷重分布を検知する。そして、それらのシート状態とカメラによる状態計測から乗員Pの体重、体格及び姿勢を推定し、更にインパネ42から頭部と胸部までの距離を算出する。つまり、シート座圧分布を検知して乗員Pの重心を探し、シートスライディング位置と合わせて、頭部と胸部の位置を推定する。
また、車両に設けられた調節機構(図示省略)により、乗員Pの胸部に対する支持部材44の突出量を調節し、それに基づいてエアバッグ50の展開量を調節する。そして、シートベルトによる胸部拘束の最終移動量を想定した位置にエアバッグ50を展開する。すなわち、エアバッグ50にインフレーター52から空気のみが充填される。
ここで、展開されたエアバッグ50の頭部が接触する部分の裏面側には、支持部材44が存在しない構成とされ、胴体部よりも重量が小さい頭部がエアバッグ50のみで受け止められるように(頭部が支持部材44によって支持されないように)して、その頭部が胴体部よりも早く制止されないようにしている。換言すれば、胴体部(胸部)のみを、エアバッグ50だけではなく、バネ46及びダンパー48によって緩衝される支持部材44によって受け止め、頭部よりも重量が大きい胴体部が減衰力を高めつつ制動距離を短めに保てるようにして、その胴体部が頭部よりも早く制止されるようにしている。
つまり、これにより、エアバッグ50において、支持部材44が支持する胸部側と、支持部材44が支持しない頭部側(支持部材44の周囲)とで、減衰特性に差が付けられるようになっている。したがって、衝撃後の頭部と胴体部(胸部)の移動量が等しくなり、頭部と胴体部の間に大きな相対変位が生じない。
すなわち、頭部への衝撃力が緩和されて脳への負荷が低減されるとともに、頸部に対する剪断変形が緩和されて脊髄への負荷が低減される。よって、乗員Pの中枢神経系(脳と脊髄)の傷害を低減させることができる。なお、米国などでは、重量過多(例えば100kg〜200kg)の乗員もいるため、大きな慣性力に対しても充分に対抗できるように、バネ46及びダンパー48の緩衝力は、調節可能にすることが望ましい。
ここで更に、脳・脊髄へ加えられる障害のメカニズムについて説明する。すなわち、頭頸部複合人体モデルMを使用したシミュレーションの結果を図8〜図10で示す。このシミュレーションでは、前突時を想定し、初速度V(V=10m/s)で前方に移動する人体モデルMの頭部(顔面)と胴体部(胸部)が、エアバッグなどの拘束物に衝突するとき、又はエアバッグなどの拘束物に拘束されて運動が減衰されるときに受ける障害の程度を計測した。人体モデルMの頭部と胴体部が接触する(衝突する)拘束物としては、ハニカム材でできた2種類のハニカムモデルN1、N2を用意した。
各ハニカムモデルN1、N2はそれぞれ堅さが異なり、一方のハニカムモデルN1は、エアバッグ相当の柔らかさ(1.5psi)を有し、他方のハニカムモデルN2は、その10倍の堅さ(15psi)を有する構成とした。そして、このハニカムモデルN1、N2を、人体モデルMの頭部が衝突する位置と胴体部が衝突する位置に、適宜組み合わせて配置するとともに、図8で示すパラメータースタディーS1と、図9で示すパラメータースタディーS2では、人体モデルMの頭部と胴体部が同時にハニカムモデルNに衝突する配置とし、図10で示すパラメータースタディーS3では、人体モデルMの頭部が胴体部よりも後にハニカムモデルNに衝突する配置とした。
つまり、図10で示すパラメータースタディーS3では、人体モデルMの頭部とハニカムモデルNとの間にオフセット量Tを有する構成とし、上記各乗員保護装置10、30、40と同等となる構成とした。この3つのパラメータースタディーS1〜S3を実施した結果を図11、図12に示す。図11は脳に20%を超える歪みが検出された領域の体積を示すグラフであり、図12は脊髄の白質、灰白質、軟膜における歪みの最大値を示すグラフである。
この結果から、脳への負荷は、エアバッグの10倍の堅さとされたハニカムモデルN2に頭部が接触する図9で示すパラメータースタディーS2が最も高かった。また、エアバッグ相当の柔らかさとされたハニカムモデルN1に頭部が接触する図8、図10で示すパラメータースタディーS1、S3では、脳への負荷は低減するが、頭部と胴体部が同時に接触するパラメータースタディーS1では、頸部に対する剪断変形が顕著になり、脊髄への負荷が高かった。
一方、エアバッグの10倍の堅さとされたハニカムモデルN2に胴体部が接触した後、エアバッグ相当の柔らかさとされたハニカムモデルN1に頭部が接触する(オフセット量Tを有する)図10で示すパラメータースタディーS3では、脳と脊髄への負荷が最も少なかった。このように、上記各乗員保護装置10、30、40は、人体の中枢神経系(脳と脊髄)を保護するのに最適かつ有効である。
(A)本実施形態に係る運転席側の乗員保護装置を示す概略正面図、(B)本実施形態に係る運転席側の乗員保護装置を示す概略側面図 (A)運転席側の乗員保護装置の変形例を示す概略正面図、(B)運転席側の乗員保護装置の変形例を示す概略側面図 ステアリングの軸内にエアバッグモジュールが組み込まれている様子を示す概略側断面図 ステアリングとエアバッグモジュールの位置関係を示す概略正面図 本実施形態に係る助手席側の乗員保護装置を示す概略側面図 助手席側の乗員保護装置の形状を示す概略正面図 本実施形態に係る助手席側の別の乗員保護装置を示す概略側面図 エアバッグによる人体への衝撃力をシミュレートして示す説明図 エアバッグによる人体への衝撃力をシミュレートして示す説明図 エアバッグによる人体への衝撃力をシミュレートして示す説明図 脳に20%を超える歪みが検出された領域の体積を示すグラフ 脊髄の白質、灰白質、軟膜における歪みの最大値を示すグラフ
符号の説明
10 乗員保護装置
12 頭部用エアバッグ
13 エアバッグケース
14 胴体部用エアバッグ
14A 切欠部
15 エアバッグケース
16 インフレーター(第1インフレーター)
18 インフレーター(第2インフレーター)
20 エアバッグモジュール
22 ステアリング
23 エアバッグドア
24 軸
26 内輪軸
28 外輪軸
30 乗員保護装置
32 頭部用エアバッグ
33 エアバッグケース
34 胴体部用エアバッグ
34A 切欠部
35 エアバッグケース
36 インフレーター(第1インフレーター)
38 インフレーター(第2インフレーター)
40 乗員保護装置
42 インパネ(インストルメントパネル)
44 支持部材
46 バネ(緩衝手段)
48 ダンパー(緩衝手段)
50 エアバッグ
51 エアバッグケース
52 インフレーター
P 乗員

Claims (7)

  1. 頭部用エアバッグと、
    前記頭部用エアバッグよりも乗員側へ突出する胴体部用エアバッグと、
    前記頭部用エアバッグに充填材を供給して、該頭部用エアバッグを展開させる第1インフレーターと、
    前記胴体部用エアバッグに充填材を供給して、該胴体部用エアバッグを展開させる第2インフレーターと、
    を備え、
    前記頭部用エアバッグの充填材と前記胴体部用エアバッグの充填材とが異なる物質とされていることを特徴とする車両における乗員保護装置。
  2. 前記頭部用エアバッグの充填材は気体とされ、前記胴体部用エアバッグの充填材は、前記気体とは異なる気体、液体、もしくは粉末状又は粒子状の固体、あるいはこれらの混合体とされていることを特徴とする請求項1に記載の車両における乗員保護装置。
  3. 前記頭部用エアバッグの素材は、前記胴体部用エアバッグの素材よりも柔らかい素材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両における乗員保護装置。
  4. 前記頭部用エアバッグと前記胴体部用エアバッグは、同時に展開されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両における乗員保護装置。
  5. 乗員から見て、前記頭部用エアバッグは円形状とされ、前記胴体部用エアバッグは、前記頭部用エアバッグと重複する部分が少なくなるように円弧状に切り欠かれた切欠部を有する形状とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車両における乗員保護装置。
  6. 車両の助手席側に設けられる乗員保護装置であって、
    インストルメントパネルに緩衝手段を介して突出可能に設けられる支持部材と、
    前記支持部材の内部に設けられ、展開時に該支持部材を被覆するとともに、該支持部材の周囲へ張り出すエアバッグと、
    前記支持部材に設けられ、前記エアバッグに充填材を供給して、該エアバッグを展開させるインフレーターと、
    を有することを特徴とする車両における乗員保護装置。
  7. 前記支持部材の突出タイミングと前記エアバッグの展開タイミングが同時であることを特徴とする請求項6に記載の車両における乗員保護装置。
JP2006240564A 2006-09-05 2006-09-05 車両における乗員保護装置 Pending JP2008062714A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006240564A JP2008062714A (ja) 2006-09-05 2006-09-05 車両における乗員保護装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006240564A JP2008062714A (ja) 2006-09-05 2006-09-05 車両における乗員保護装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008062714A true JP2008062714A (ja) 2008-03-21

Family

ID=39285811

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006240564A Pending JP2008062714A (ja) 2006-09-05 2006-09-05 車両における乗員保護装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008062714A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102849016A (zh) * 2011-06-30 2013-01-02 富士重工业株式会社 乘员保护装置
JP2013014176A (ja) * 2011-06-30 2013-01-24 Fuji Heavy Ind Ltd 乗員保護装置
US9738243B2 (en) 2015-11-06 2017-08-22 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Airbag device for driver's seat
CN112055672A (zh) * 2018-03-19 2020-12-08 瑞维安知识产权控股有限责任公司 用于在远侧车辆碰撞中提供保护的安全气囊装置
JP2021006457A (ja) * 2015-11-26 2021-01-21 オートリブ ディベロップメント エービー エアバッグ装置およびエアバッグ装置の製造方法

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4726622Y1 (ja) * 1967-08-22 1972-08-16
JPH0335601U (ja) * 1989-08-18 1991-04-08
JPH0352832U (ja) * 1989-09-25 1991-05-22
JPH07215160A (ja) * 1994-01-31 1995-08-15 Niles Parts Co Ltd サイドエアバッグ装置
JP3035601U (ja) * 1995-09-11 1997-03-28 モートン インターナショナル,インコーポレイティド エアバッグ
JPH09240406A (ja) * 1996-03-06 1997-09-16 Toyoda Gosei Co Ltd エアバッグ
JP3052832U (ja) * 1998-03-31 1998-10-09 有限会社ジアス エアバックシステム
JP2000052913A (ja) * 1998-08-10 2000-02-22 Toshiki Uchida エアバッグ装置
JP2001233157A (ja) * 2000-02-25 2001-08-28 Takata Corp エアバッグ装置
JP2004249831A (ja) * 2003-02-20 2004-09-09 Mazda Motor Corp 車両用エアバッグ装置
JP2007283978A (ja) * 2006-04-19 2007-11-01 Toyota Motor Corp ニーエアバッグ支持構造

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4726622Y1 (ja) * 1967-08-22 1972-08-16
JPH0335601U (ja) * 1989-08-18 1991-04-08
JPH0352832U (ja) * 1989-09-25 1991-05-22
JPH07215160A (ja) * 1994-01-31 1995-08-15 Niles Parts Co Ltd サイドエアバッグ装置
JP3035601U (ja) * 1995-09-11 1997-03-28 モートン インターナショナル,インコーポレイティド エアバッグ
JPH09240406A (ja) * 1996-03-06 1997-09-16 Toyoda Gosei Co Ltd エアバッグ
JP3052832U (ja) * 1998-03-31 1998-10-09 有限会社ジアス エアバックシステム
JP2000052913A (ja) * 1998-08-10 2000-02-22 Toshiki Uchida エアバッグ装置
JP2001233157A (ja) * 2000-02-25 2001-08-28 Takata Corp エアバッグ装置
JP2004249831A (ja) * 2003-02-20 2004-09-09 Mazda Motor Corp 車両用エアバッグ装置
JP2007283978A (ja) * 2006-04-19 2007-11-01 Toyota Motor Corp ニーエアバッグ支持構造

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102849016A (zh) * 2011-06-30 2013-01-02 富士重工业株式会社 乘员保护装置
JP2013014176A (ja) * 2011-06-30 2013-01-24 Fuji Heavy Ind Ltd 乗員保護装置
US9738243B2 (en) 2015-11-06 2017-08-22 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Airbag device for driver's seat
JP2021006457A (ja) * 2015-11-26 2021-01-21 オートリブ ディベロップメント エービー エアバッグ装置およびエアバッグ装置の製造方法
JP7014877B2 (ja) 2015-11-26 2022-02-01 オートリブ ディベロップメント エービー エアバッグ装置およびエアバッグ装置の製造方法
CN112055672A (zh) * 2018-03-19 2020-12-08 瑞维安知识产权控股有限责任公司 用于在远侧车辆碰撞中提供保护的安全气囊装置
CN112055672B (zh) * 2018-03-19 2023-09-01 瑞维安知识产权控股有限责任公司 用于在远侧车辆碰撞中提供保护的安全气囊装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11498512B2 (en) Airbag assembly for a vehicle seat of a motor vehicle
JP6681893B2 (ja) エアバッグモジュール
JP5675436B2 (ja) エアバッグ装置
AU2008335137B2 (en) Child restraint apparatus for vehicle
US6682141B2 (en) Seat assembly having a seat repositioning device and an associated method
US5375908A (en) Integral inflatable occupant restraint system
US6736455B1 (en) Dual air bag and crossbar child safety seat
US11447086B2 (en) Vehicle occupant restraining device
US5390952A (en) Integral inflatable occupant restraint system
US11897409B2 (en) Apparatus and method for floor-mounted passenger lower leg protection
JP5781985B2 (ja) サイドエアバッグ装置
JP2021526103A (ja) 車両用のエアバッグデバイス
JP2020518516A (ja) 長期作動膨張式構造体を含む、人及び財産を保護するためのシステム
JP2008007036A (ja) 乗員保護装置
JP2014516857A (ja) 自動車用チャイルドシート
JP2001239872A (ja) 乗員保護装置
JP2019081535A (ja) 自動合致後方シート用エアバッグ
CN110290983B (zh) 用于对较大的乘员距离采取安全措施的双安全气囊系统
JP2008062714A (ja) 車両における乗員保護装置
JPH10264761A (ja) エアバッグ装置
WO2007063914A1 (ja) 乗員保護装置
JP2008037276A (ja) サイドエアバッグ装置
JP6729454B2 (ja) エアバッグシステム
US20210146879A1 (en) Safety Device
JP2009143283A (ja) 車両用シートおよびエアバッグ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080609

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101012

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110322