JP2008062242A - はんだ付け用フラックスおよびはんだペースト組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のはんだ付け用フラックスは、ベース樹脂として、軟化点が60℃以下の低軟化点ロジンを含有する。低軟化点ロジンは、セコデヒドロアビエチン酸を含むこと、および/または、ロジンの加熱分解成分を含むことが好ましく、これらセコデヒドロアビエチン酸および/または加熱分解成分の含有量は低軟化点ロジン中5重量%以上であるのがよい。また、低軟化点ロジンの含有量はフラックス総量に対して0.5〜80重量%であるのがよい。本発明のはんだペースト組成物は、前記本発明のフラックスとはんだ合金粉末とを含有する。
【選択図】 なし
Description
(1)ベース樹脂として、軟化点が60℃以下の低軟化点ロジンを含有することを特徴とするはんだ付け用フラックス。
(2)前記低軟化点ロジンがセコデヒドロアビエチン酸を含む、前記(1)記載のはんだ付け用フラックス。
(3)前記低軟化点ロジンがロジンの加熱分解成分を含む、前記(1)または(2)に記載のはんだ付け用フラックス。
(4)前記低軟化点ロジン中に含まれるセコデヒドロアビエチン酸および/または加熱分解成分の含有量が5重量%以上である、前記(2)または(3)に記載のはんだ付け用フラックス。
(5)前記低軟化点ロジンの含有量がフラックス総量に対して0.5〜80重量%である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のはんだ付け用フラックス。
(6)ベース樹脂として、アクリル化ロジンおよび/またはアクリル樹脂をも含有する、前記(1)〜(5)のいずれかに記載のはんだ付け用フラックス。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載のはんだ付け用フラックスとはんだ合金粉末とを含有することを特徴とするはんだペースト組成物。
本発明のはんだ付け用フラックス(以下、単に「フラックス」と称することもある)は、ベース樹脂として、軟化点が60℃以下の低軟化点ロジンを含有する。軟化点が60℃以下の低軟化点ロジンは、一般に、柔軟な構造を有するとともに、軟化点が60℃を超える従来のロジンと同等の活性力と高い絶縁性を備えている。したがって、このような低軟化点ロジンをベース樹脂とすることにより、はんだ付け後のフラックス残渣中に亀裂が発生するのを効果的に抑制しつつ、良好なはんだ付け性と高信頼性を得ることができるのである。軟化点が60℃を超えるロジンであると、樹脂の柔軟性が低下し、残渣中の亀裂の発生を抑制するという本発明の効果が得られなくなる。
前記セコデヒドロアビエチン酸は、下記式(I)に示す構造を有するものであり、各種ロジンに含まれる共役二重結合を有する成分(例えば、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマール酸等のアビエチン酸型の共役二重結合を有する樹脂酸)が変性されたものである。詳しくは、前記セコデヒドロアビエチン酸は、アビエチン酸型の共役二重結合を有する樹脂酸を、そのカルボン酸部分を保持させたまま、不均斉化と同時に開環させてなるものである。
前記ロジンの加熱分解成分とは、通常、各種ロジンに含まれる種々の成分(例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸等)が熱分解されてなるものであり、具体的には、例えば、ガムロジンを熱分解させてなるピノリンやロジンオイル等が挙げられる。
前記加熱分解成分を含む低軟化点ロジンは、例えば、各種ロジンを、不活性ガス雰囲気中で、250〜300℃の温度で数時間加熱する方法で得ることができる。この方法では、前述したセコデヒドロアビエチン酸を含む低軟化点ロジンを得る方法と異なり、加熱時にヨウ素、イオウ、鉄等の触媒を存在させないので、不均斉化および開環反応は起こらず、単なる熱分解反応のみが起こる。
なお、前記低軟化点ロジンは、前記セコデヒドロアビエチン酸と前記加熱分解成分のいずれか一方のみを含有するものであってもよいし、両方を含有するものであってもよい。
アクリル化ロジンの含有量は、フラックス総量に対して0.1〜60重量%であるのが好ましく、より好ましくは1〜45重量%であるのがよい。アクリル化ロジンが0.1重量%未満であると、はんだ付け性の向上効果が期待できない可能性が高い。一方、アクリル化ロジンが60重量%を超えると、低軟化点ロジンの量が相対的に少なくなってしまい、残渣の耐亀裂性が悪化するおそれがある。
活性剤の含有量は、フラックス総量に対して0.1〜30重量%であるのがよい。活性剤が0.1重量%未満であると、活性力が不足し、はんだ付け性が低下するおそれがある。一方、活性剤が30重量%を超えると、フラックスの皮膜性が低下し、親水性が高くなるので、腐食性および絶縁性が低下するおそれがある。
はんだ合金粉末としては、特に制限はなく、一般に用いられている錫−鉛合金、さらに銀、ビスマスまたはインジウムなどを添加した錫−鉛合金等を用いることができる。また、錫−銀系、錫−銅系、錫−銀−銅系等の鉛フリー合金を用いてもよい。なお、はんだ合金粉末の粒径は、5〜50μm程度であるのがよい。
なお、得られたフラックスおよびはんだペースト組成物の評価は、下記の方法で行なった。
20本のリードを持つ0.8mmピッチのSOP(Shrink Outline Package)パターンが15個存在するガラスエポキシ基板にフラックスを塗布した。フラックス塗布後の基板を噴流はんだ付け装置ではんだ付けした後(はんだ付けには、Sn−Ag−Cu合金(Sn:Ag:Cu=96.5:3.0:0.5(重量比))からなるはんだ合金粉末を使用)、目視観察によりSOPパターン部でのブリッジ不良の有無を判定し、ブリッジがあった場合、その数(不良発生数)をカウントし、全SOPパターン(300本)に対する不良発生数の割合を百分率で示した値を不良率(%)として求めることにより評価した。
0.8mmピッチのQFP(Quad Flat Package)パターンが存在する基板に、同じパターンを有する厚み200μmのメタルマスクを用いてはんだペースト組成物を印刷した。印刷後10分以内に、大気下において175±5℃で80±5秒間プリヒートを行い、最高温度235±5℃でリフローを行った。そして、はんだ付け性の指標となるはんだボールの発生状況を、20倍の実体顕微鏡を用いて80パッド(80個のはんだ付け部)の周囲に発生したはんだボール数(個)をカウントすることにより評価した。
上記のはんだ付け性試験またははんだボール試験を行った後の基板を試験片とし、該試験片に、−30℃×30分→85℃×30分を100サイクルの条件で冷熱サイクル負荷をかけた後、基板上のSOPパターンまたはQFPパターンのはんだ付け部における亀裂発生状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
○;亀裂が全く認められない。
△;亀裂は発生しているが、信頼性に悪影響を及ぼす亀裂、すなわち2つ以上の隣接するはんだ付け部にまたがるような亀裂(以下「連結亀裂」と称する)は認められない。
×;連結亀裂が発生している。
1)フラックスの場合;JIS−Z−3197に規定するくし形基板(II型)に、フラックスを塗布した。フラックス塗布後、噴流はんだ付け装置ではんだ付けを行った(はんだ付けには、Sn−Ag−Cu合金(Sn:Ag:Cu=96.5:3.0:0.5(重量比))からなるはんだ合金粉末を使用)。はんだ付け後の基板を、85℃、85%の恒温恒湿槽内に放置して経時的に(初期、500時間後および1000時間後)抵抗値(Ω)を測定することにより電気的な信頼性として絶縁抵抗を評価した。
2)はんだペースト組成物の場合;JIS−Z−3197に規定するくし形基板(II型)に、同じパターンを有する厚み100μmのメタルマスクを用いてはんだペースト組成物を印刷した。印刷後10分以内に、大気下において175±5℃で80±5秒間プリヒートを行い、最高温度235±5℃でリフローを行った。リフロー後の基板に上記残渣亀裂試験と同じ条件で冷熱サイクル負荷をかけ、その後、85℃、85%の恒温恒湿槽内に放置して経時的に(初期、500時間後および1000時間後)抵抗値(Ω)を測定することにより電気的な信頼性として絶縁抵抗を評価した。
フラックスまたははんだペースト組成物を用いてJIS−Z−3197に規定する銅板腐食試験片を作製し、該試験片に上記残渣亀裂試験と同じ条件で冷熱サイクル負荷をかけた。その後、各試験片を40℃、85%の恒温恒湿槽内に放置して、500時間後および1000時間後に、目視観察により点食もしくは腐食発生の有無を確認した。
ガムロジン100重量部に対し、ノニルフェノールジスルフィドオリゴマー(イオウ含有量10重量%)0.5重量部を添加し、260℃に昇温した後、同温度で6時間保持して、合成ロジンAを得た。
この合成ロジンAは、軟化点が57℃であり、セコデヒドロアビエチン酸を3.6重量%、加熱分解物であるピノリンを2.2重量%含有するものであった。
ガムロジン100重量部に対し、ノニルフェノールジスルフィドオリゴマー(イオウ含有量10重量%)0.35重量部と、ヨウ素0.14重量部と、ナフテン酸鉄0.013重量部とを添加し、250℃に昇温した後、同温度で3時間保持して、合成ロジンBを得た。
この合成ロジンBは、軟化点が44℃であり、セコデヒドロアビエチン酸を14.8重量%含有するものであった。
ガムロジン100重量部に対し、ノニルフェノールジスルフィドオリゴマー(イオウ含有量10重量%)0.56重量部と、ヨウ素0.05重量部と、ナフテン酸鉄0.01重量部とを添加し、250℃に昇温した後、同温度で3時間保持して、合成ロジンCを得た。
この合成ロジンCは、軟化点が48℃であり、セコデヒドロアビエチン酸を11.2重量%含有するものであった。
ガムロジン100重量部に対し、t−アミルフェノールジスルフィドオリゴマー(イオウ含有量23重量%)0.30重量部と、ヨウ素0.05重量部と、ナフテン酸鉄0.01重量部とを添加し、260℃に昇温した後、同温度で3時間保持して、合成ロジンDを得た。
この合成ロジンDは、軟化点が35℃であり、セコデヒドロアビエチン酸を21.2重量%含有するものであった。
ガムロジン100重量部を窒素ガス雰囲気下、280℃に昇温した後、同温度で10時間保持して、合成ロジンEを得た。
この合成ロジンEは、軟化点が56℃であり、ガムロジンの加熱分解成分であるピノリンおよびジテルペンを合計で6.1重量%含有するものであった。
ベース樹脂として、上記各製造例で得られた合成ロジン、アクリル樹脂(重量平均分子量5000、酸価50mgKOH/g)、アクリル化ロジン(軟化点110℃、酸価210mgKOH/g)およびガムロジン(軟化点79℃、酸価168mgKOH/g)、のうちのいずれかと、表1に示す活性剤および溶剤とを、表1に示す配合組成で混合し、均一になるように充分に熱を加えて溶解させ、フラックスをそれぞれ得た。
得られた各フラックスを用いて、はんだ付け性試験、残渣亀裂試験、絶縁抵抗試験および腐食試験を行った。結果を表1に示す。
ベース樹脂として、上記各製造例で得られた合成ロジン、アクリル樹脂(重量平均分子量8000、酸価75mgKOH/g)、アクリル化ロジン(軟化点105℃、酸価200mgKOH/g)およびガムロジン(軟化点77℃、酸価165mgKOH/g)、のうちのいずれかと、表2に示す活性剤、チキソ剤および溶剤とを、表2に示す配合組成で混合し、均一になるように充分に熱を加えて溶解させ、フラックスをそれぞれ得た。
次いで、得られた各フラックスと、Sn−Ag−Cu合金(Sn:Ag:Cu=96.5:3.0:0.5(重量比))からなるはんだ合金粉末(粒径38〜25μm)とを、フラックス:はんだ合金粉末=12:88(重量比)の比率で混合して、はんだペースト組成物をそれぞれ得た。
得られた各はんだペースト組成物を用いて、はんだボール試験、残渣亀裂試験、絶縁抵抗試験および腐食試験を行った。結果を表2に示す。
Claims (7)
- ベース樹脂として、軟化点が60℃以下の低軟化点ロジンを含有することを特徴とするはんだ付け用フラックス。
- 前記低軟化点ロジンがセコデヒドロアビエチン酸を含む、請求項1記載のはんだ付け用フラックス。
- 前記低軟化点ロジンがロジンの加熱分解成分を含む、請求項1または2に記載のはんだ付け用フラックス。
- 前記低軟化点ロジン中に含まれるセコデヒドロアビエチン酸および/または加熱分解成分の含有量が5重量%以上である、請求項2または3に記載のはんだ付け用フラックス。
- 前記低軟化点ロジンの含有量がフラックス総量に対して0.5〜80重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載のはんだ付け用フラックス。
- ベース樹脂として、アクリル化ロジンおよび/またはアクリル樹脂をも含有する、請求項1〜5のいずれかに記載のはんだ付け用フラックス。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のはんだ付け用フラックスとはんだ合金粉末とを含有することを特徴とするはんだペースト組成物。
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