JP2008060935A - 電気機械フィルタ - Google Patents

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Yoshito Nakanishi
淑人 中西
Kunihiko Nakamura
邦彦 中村
Akinori Hashimura
昭範 橋村
Michiaki Matsuo
道明 松尾
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Abstract

【課題】低損失、低インピーダンス、インピーダンス整合が容易、超小型かつ周波数選択性に優れた電気機械フィルタを実現すること。
【解決手段】エネルギー変換部1(例えば、導電性のカーボンコイル)は、入力信号によるローレンツ力によって自身が振動し、電気エネルギーを、機械的な振動エネルギーに変換する。その振動エネルギーが微小構造の振動子3に伝達され、振動子3が励振される。振動子3はバイアス部4によって直流バイアスされており、したがって、振動検出部5は、振動子3の振動による寄生容量(C1)の変化に応じた電流信号を、取り出すことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気機械フィルタに係り、特に微小な振動子を備える電気機械フィルタ(MEMSフィルタ)に関する。
無線端末の更なる小型化を図るため、無線部の占有面積を大きく占めるフィルタなどの受動素子の小型化が望まれている。このため電気的共振を用いた従来のフィルタに代わり、機械的共振を利用した電気機械フィルタが提案されている。
従来の電気共振を用いたフィルタのサイズは共振周波数に依存するため、サイズを激的に小さくすることには限界がある。
一方、機械的共振を用いたフィルタのサイズは、共振する振動子の質量とバネ定数に依存するためフィルタサイズを小さくすることが可能となる。例えば、1GHz帯で機械的に共振する共振子のサイズは、形状、共振モードにも依るが、数ミクロン以下の大きさにすることが可能である。
また振動子が振動する際の空気との摩擦による運動エネルギーのロスを真空状態にすることで低減すれば、Q値を従来の電気的共振を用いたフィルタと同等かそれ以上にする効果がある。
従来の微小振動子を用いた電気機械フィルタとして、例えば、非特許文献1の例が知られている。
この非特許文献1の電気機械フィルタは、2つの微小な両持ち梁と、2つの両持ち梁と僅かなギャップを介して直下に配置された高周波信号を入出力するための線路で構成されている。2つの両持ち梁は微小な梁で結合されており、2つの両持ち梁は機械的に結合された状態になっている。この入力線路に高周波信号を入力すると、1つ目の振動子は、高周波信号自身が有する静電力により、励振される。
このとき、両持ち梁の固有振動数と高周波信号の周波数が一致すれば、両持ち梁は基板垂直方向に強く励振され振動を始める。両持ち梁は固有振動数で振動しているため、静電容量、すなわちインピーダンスが変化するため、直流電位を印加すれば、インピーダンス変化に応じて電流が流れる。このように振動子の固有振動数と高周波信号が一致した場合のみ、高周波信号を出力するので、所望の信号のみを選択することができる。
また、MEMSフィルタの構造の一例は、例えば、特許文献1に記載されている。
"High Q Microelctromechanical Filters",Frank D.Bannon,IEEE Jounal of solid-state circuit,Vol.35,No4,April 2000 特開2005−167546号公報
しかしながら、機械的な振動を用いた電気機械フィルタは、振動子を微小なギャップを介して設けた電極から信号の静電力で励振・検出しようとすると、振動子のサイズが数μmと極めて小さくなるため、電極-振動子間に形成される容量は微小となり、インピーダンスが極めて大きくなる。
例えば1GHz帯の振動子サイズは5μm×0.5μmの直方体を想定した場合、仮にギャップを10nmまで小さくすることが可能としても、容量は2fF程度なり、1GHzのインピーダンスは70kΩとなる。通常、無線端末に搭載されるフィルタのインピーダンスは50Ωであることが望ましく、最大でもアンテナのインピーダンス70kΩを超えることは許されない。
フィルタのインピーダンスが大きく、アンテナ端および能動素子端との整合がとれない場合(つまり、インピーダンス不整合の場合)は、入力信号が反射されて損失が生じるという問題がある。
また、従来の振動子を、電極を介して静電力により励振する場合、電極に面した振動子の面を一様に励振することになっている。機械的振動子の振動モードは多数あるため、不要な振動モードを励起する要因ともなっていた。以下、具体的に説明する。
電気機械フィルタの帯域は、振動子の数と結合度によって決定され、同一の共振周波数f0を持つ共振器を何らかの手段で結合させた場合、2つの共振器は、もともとの共振周波数f0から±fだけ僅かにずれて共振する。つまり共振周波数は、f0−fとf0+fとなり、フィルタの帯域は2fとなる。
電気機械フィルタの場合は、共振器間を機械的に接続して、振動エネルギーを結合させ、共振器の数を増やすことで広帯域化をはかることができる。
1GHz帯で固有振動数を有する三角柱の共振子を例に説明する。ここでは、共振子の材質をシリコンとし、長さを1μm、幅を0.566μm、厚みを0.4μmとしたとき、この共振子に生じるモードを表1に示す。このときヤング率を169GPa、密度を2.5kg/mとしている。
Figure 2008060935
そしてここでは、700MHzから2.26GHzまでに6個のモードがある。これらの周波数帯は無線通信システムで比較的よく使用される周波数帯であるため、仮に1.12GHzを所望の信号帯域とした場合、他の5個のモードの共振周波数は、本来抑制するべき周波数帯であるにもかかわらず、5個のモードと一致する信号が入力されれば振動子は励振されてしまう。これによりフィルタからは不要な信号を抑制することなく出力されるという課題が生じる。
本発明はこのような考察に基づいてなされたものであり、その目的は、静電力で振動子を励振する従来構造とは異なる新規な構造を採用して、低損失、低インピーダンス、かつ周波数選択性に優れた電気機械フィルタを実現することにある。
本発明の電気機械フィルタは、機械的な共振を利用して入力信号の周波数選択効果を得る電気機械フィルタであって、前記入力信号の電気エネルギーを機械的な振動エネルギーに変換するエネルギー変換部と、このエネルギー変換部から伝達される前記振動エネルギーによって励振される振動子と、この振動子の振動を検出して、その振動を電気信号に変換する振動検出部と、を有する。
この構成によれば、エネルギー変換部において、入力した信号の電力や周波数に対応した電気エネルギーが振動エネルギーに変換され、その振動エネルギーが振動子に伝達される。容量を介して、静電力で振動子を励振させているわけではなく、機械的な振動エネルギーによって励振しているため、静電容量に起因する等価インピーダンスの制限がなくなり、エネルギー変換部の特性を調整することによって等価インピーダンスを50Ω以下に調整することができる。また、変換効率の高い変換部によってエネルギー変換を行っているため、低損失のエネルギー変換が実現される。したがって、低インピーダンスで、アンテナとのインピーダンス整合をとり易く、かつ低損失の電気機械フィルタを実現することができる。
以上説明したように、本発明によれば、振動子を、容量を介さずに機械的な振動エネルギーの伝達によって励振するとともに、エネルギー変換効率の高いエネルギー変換部によってエネルギー変換を行うことができるため、極めて低インピーダンスであってかつ低損失の、高性能な電気機械フィルタを実現することができる。
また、振動子を局所的に励振することが可能なため、効率的な励振や、所望のモードで励振することができ、したがって、所望の周波数のみを選択的に出力することが可能となる。
したがって、静電力で振動子を励振する従来構造とは全く異なる新規な構造を採用することによって、低損失、低インピーダンス、インピーダンス整合が容易、超小型かつ周波数選択性に優れた電気機械フィルタを実現することができる。
本発明により、高周波回路上での受動部品の小型化を実現し、大静電容量高速通信に向けた、使用帯域の高周波数化、及び端末の小型化に対応した次世代通信装置を実現させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
機械振動子の共振周波数fは、構造体の長さL、弾性率E、密度ρとすると下記の(1)式のように表される。
f=1/L√(E/ρ)・・・・・・・(1)
図1は、本発明のける電気機械フィルタの一例の主要な構成を示す図である。
図示されるように、電気機械フィルタ100は、エネルギー変換部1と、基板2と、振動子3と、バイアス部4と、振動検出部5と、を備える。
エネルギー変換部1は、入力信号の電気エネルギー(電力、周波数、電圧等に対応する)を、機械的な振動エネルギーに変換する。このエネルギー変換部1は、微小コイル(例えば、カーボンコイル)によって形成される。ここで、「カーボンコイル」とは、導電性のカーボン繊維が螺旋状(コイル状)になった物質であり、ナノサイズのスプリングコイルとして利用可能なものである。
但し、これに限定されるものではなく、エネルギー変換部1としては、PZTなどの圧電素子も利用することができる。すなわち、圧電素子に電圧を印加して励振することによって、電気エネルギーを振動エネルギーに変換することができる。
また、振動子3(ならびに振動検出部5)は、微細なMEMS(機械電気微小システム)素子やカーボンナノチューブ等を利用することによって実現できる(カーボンナノチューブを利用した例については、後述する)。
また、図1の電気機械フィルタ100では、振動子3は基板2上に形成され、バイアス部4から直流電位を印加されている。
以下、エネルギー変換部1として微小コイルを採用した場合を例にとって説明する。微小コイルに信号(例えば、アンテナで受信された信号)が入力されると、信号自身が生成するローレンツ力によって、微小コイル自体が振動する。
エネルギー変換部1である微小コイルは、振動子3と機械的、電気的に接続されており、エネルギー変換部1が振動すれば、振動子3に振動が伝達され、振動子3が励振され、振動する。
振動子3は、その構造や材料等によってきまる固有振動数を有しており、エネルギー変換部1によって励起された振動の周波数が、振動子3の固有振動数と一致した場合に、振動子3は大きく振動する。逆に、固有振動数と一致しない場合は、振動子3は振動しない。
これにより、固有振動数と一致した信号が入力した場合のみ、振動子3が振動するため、周波数選択効果を得ることができる。
振動子3の振動は、振動検出部5により検出される。すなわち、振動子3に直流電位が印加されているため、振動子3と振動検出部5の間の容量(寄生容量)C1が変化すれば、電流が流れる。つまり、所望の信号が入力されたときのみ、電流信号が流れることになり、周波数選択効果を得ることができ、したがって、電気機械フィルタ100を周波数選択素子(例えば、バンドパスフィルタ)として利用することが可能となる。
次に、エネルギー変換部について説明を行う。
本実施の形態のエネルギー変換部3は、微小コイルで形成されている。微小コイルに電流が流れた際に、コイル自身が受けるローレンツ力Fは、下記の式2で示される。右辺第1項は、コイルが変位した際にコイルのインダクタンスの変化を、Iは電流をそれぞれ示す。
例えば、長さが有限のソレノイド形状のコイルをカーボンナノチューブで形成した場合について説明する。有限の長さのソレノイドコイルのインダクタンスLは下記の式3で示される。式3において、μは透磁率、DDはソレノイドコイルの径、nは巻き数、lはソレノイドコイル長をそれぞれ示す。
また、コイルのばね定数は下記の式4で示される。Gは横弾性係数、dはコイルの線径、nは巻き数を示す。ばねにある力を加えた際の変位量は、フックの法則で決まる。図2は、ソレノイドコイルに電流を流した際の、電流と変位量と巻き数の関係を示す図である。例えば1nmの変位は、巻き数6巻き以上のソレノイドコイルに、40μAの電流を流すことで得ることができる。


Figure 2008060935

Figure 2008060935
Figure 2008060935
(実施の形態2)
以下本発明の実施の形態2について説明する。
図3はMEMS技術によって製造される電気機械フィルタの構成を示す斜視図である。 また、エネルギー変換部を振動子に機械的・電気的に接続する位置は、振動子の振動の腹にすると、最も効率的な振動が得られる。本実施の形態は梁の中心が振動しない2次の振動モードを励起させる方法について、説明を行うが、当然、1次モード、N次モードにも対応できる。
図3の電気機械フィルタは、両端を支持された梁型の振動子21に隣接して設置された2つの振動検出電極22,23と、振動検出電極にスルーホールHを介して振動を伝達するエネルギー変換部24、25で構成されている。
図3の電気機械フィルタでは、2次モードを励起するために、エネルギー変換部22、23は振動子21の2次モード振動の腹部分、すなわち、両端から梁の長さの1/4程度中心方向の位置に設置している。
また、このとき、振動検出電極の設置の妨げにならないように、振動検出電極22,23にスルーホールを設け、そのスルーホールを通して、エネルギー変換部を設置し、振動を伝達している。
当然、エネルギー変換部の接続位置を変えれば、別のモードを励起することも可能となる。
さらに、適応的にエネルギー変換部の接続位置を変化できれば、周波数可変フィルタを実現することができる。これはエネルギー変換部をピエゾ素子で駆動する微小可動ステージ上に設けておけば、容易に実現することが可能である。
(実施の形態3)
以下本発明の実施の形態3について説明する。
本実施の形態では、より強い振動エネルギーを伝達するために、エネルギー変換部を複数個設け、振動の振幅を大きくする例について説明する。図4は、エネルギー変換部を複数個並列に設けた(つまり、共通の振動子に複数のエネルギー変換部を接続した)構成の電気機械フィルタの要部構造を示す斜視図である。図4では、4本の微小コイル24a〜24dが、共通の振動子21に接続されている。なお、参照符号20は基板であり、参照符号22は、振動検出部である。
(実施の形態4)
以下本発明の実施の形態4について説明する。
また、複数のエネルギー変換部を多段接続することもできる。図5は、複数のエネルギー変換部を多段接続して構成される電気機械フィルタの断面図である。図示されるように、2個の振動子31,32が多段に(縦列に)接続されており、振動子31,32の接続もエネルギー変換素子35が使用されている。すなわち、振動子と振動子の段間に振動を伝達する手段として、エネルギー変換素子を利用している。
図5において、参照符号34は入力信号によって振動するエネルギー変換素子としての微小コイル(カーボンコイル)であり、参照符号30は基板であり、参照符号33は振動検出部である。
複数の振動子を多段形式で結合させることによって、フィルタの通過帯域を広げることができる。図5の場合、2つの振動子31,32の段間に振動伝達素子として、振動エネルギー変換素子35を配置している。初段のエネルギー変換素子34で励起された振動は、振動子31を励振、振動させ、振動エネルギー変換素子35を介して第2の振動子32に振動エネルギーが伝達される。
さらに、この振動エネルギーを振動検出電極で検出する、これによって広帯域の通過帯域を有するフィルタを実現することができる。つまり段間も容量結合ではなく機械的な振動エネルギーで結合させることで、不整合を解消することが可能となる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、振動子ならびに振動検出部としてカーボンナノチューブを用いた例について説明する。
図6は、振動子ならびに振動検出部としてカーボンナノチューブを利用した本発明の電気機械フィルタの主要な構成を示す図である。
図6の電気機械フィルタの基本的な構造は、前記の実施の形態と同様である。すなわち、振動エネルギー変換素子53と振動子54を含んで構成されている。
基板51上に支持部52,56が形成され、支持部52にエネルギー変換素子53が形成されている。このときエネルギー変換素子53は、例えばカーボンナノチューブでコイルが形成されている。
また、振動子54は、多殻(多層)のカーボンナノチューブの内殻で形成されている。また、カーボンナノチューブの外殻55は、振動子54の振動を検出する電極として適用されている。
振動エネルギー変換素子53に入力した信号により、電気エネルギーから振動エネルギーに変換され、エネルギー変換素子53と接続された振動子54は励振され振動する。振動子54の固有振動数と一致したときのみ、振動子54は大きく励振されるため、周波数選択効果を有することになる。このとき振動子54は、ナノチューブの長手方向に励振されるため、外殻と内殻間の容量が変化する。この容量間に電位差を設けておけば、容量の変化に伴い、電流が流れることになる。
また、エネルギー変換素子53としての微小コイルは、コイル径がnmオーダーであるカーボンナノコイルにより構成される。このようなカーボンナノコイルは、例えば、気相炭化水素の熱分解法によって形成することができる。すなわち、Fe、Co、Ni等の金属触媒を微少粉末に調整し、この金属触媒の近傍を600〜700℃に加熱し、アセチレンやベンゼン等の原料ガスがこの触媒に接触するように流気し、カーボンナノチューブを生成させることによって製造が可能である。
そして振動子54についても同一材料で構成すればよい。振動子54の部分のみ犠牲層を介して外殻層となるカーボン層あるいは金属層を形成した後、犠牲層を除去し、検出電極としての外殻を形成することができる。 また、別途振動子を形成する場合には、多殻構造体を別途形成し、エネルギー変換素子53と多殻構造体の内殻とを電気的および機械的に接続するようにすればよい。
また、振動子54としての内殻の外殻55内での長手方向の振動、長手方向と垂直方向の振動、回転振動、ねじり振動を含む全ての共振モードを使用することができる。また、本実施の形態における内殻(54)および外殻55からなる多殻構造物を複数、直列または並列に接続して電気機械フィルタとすることができ、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、フィルタバンクなどを構成することができる。
以上説明したように本発明によれば、振動子を、容量を介さずに機械的な振動エネルギーの伝達によって励振することができ、かつ、エネルギー変換効率の高いエネルギー変換部によってエネルギー変換を行うことができるため、低インピーダンスかつ低損失の、高性能な電気機械フィルタを実現することができる。
また、振動子を局所的に励振することが可能なため、効率的な励振や、所望のモードの励振することができ、したがって、所望の周波数のみを選択的に出力することが可能となる。
したがって、静電力で振動子を励振する従来構造とは全く異なる新規な構造を採用することによって、低損失、低インピーダンス、インピーダンス整合が容易、超小型かつ周波数選択性に優れた電気機械フィルタを実現することができる。
本発明によって、高周波回路上での受動部品の小型化を実現し、大静電容量高速通信に向けた、使用帯域の高周波数化、及び端末の小型化に対応した次世代通信装置を実現させることができる。
本発明の電気機械フィルタは、機械的な共振を利用して入力信号の周波数選択効果を得る電気機械フィルタであって、前記入力信号の電気エネルギーを機械的な振動エネルギーに変換するエネルギー変換部と、このエネルギー変換部から伝達される前記振動エネルギーによって励振される振動子と、この振動子の振動を検出して、その振動を電気信号に変換する振動検出部と、を有する。
この構成によれば、エネルギー変換部において、入力した信号の電力や周波数に対応した電気エネルギーが振動エネルギーに変換され、その振動エネルギーが振動子に伝達される。容量を介して、静電力で振動子を励振させているわけではなく、機械的な振動エネルギーによって励振しているため、静電容量に起因する等価インピーダンスの制限がなくなり、エネルギー変換部の特性を調整することによって等価インピーダンスを50Ω以下に調整することができる。また、変換効率の高い変換部によってエネルギー変換を行っているため、低損失のエネルギー変換が実現される。したがって、低インピーダンスで、アンテナとのインピーダンス整合をとり易く、かつ低損失の電気機械フィルタを実現することができる。
また、本発明の電気機械フィルタでは、前記エネルギー変換部が微小なコイルで形成され、そのコイルに流れた信号が発生する電磁力により前記コイル自身が振動し、これによって、電気エネルギーを振動エネルギーに変換する。
微小コイルに信号が入力されると、その信号自身が生成するローレンツ力によって微小コイルが振動するものである。
また、本発明の電気機械フィルタでは、前記エネルギー変換部が圧電素子で形成され、前記入力信号の電圧によって、前記圧電素子が励振され、これによって、電気エネルギーを振動エネルギーに変換する。
圧電素子に電圧を印加して励振することによって、電気エネルギーを振動エネルギーに変換するものである。
また、本発明の電気機械フィルタの他の態様では、複数の前記エネルギー変換部を有する。
複数のエネルギー変換部を設けることによって、より強い振動エネルギーの伝達を可能として振動振幅を増大させることができ、あるいは、より広帯域な通過帯域を有するフィルタを実現することができる。
また、本発明の電気機械フィルタでは、複数の前記エネルギー変換部を共通の振動子に接続する。
この構成によって、より強い振動エネルギーの伝達が可能となり、振動振幅を増大させることができる。また、ばね定数の異なるものを用いることにより、ばね力を変化させることが可能となる。
また、本発明の電気機械フィルタでは、複数の前記エネルギー変換部を多段接続すると共に、段間接続の手段として前記エネルギー変換部を使用する。
複数の振動子を多段接続し、段間も、容量結合ではなく機械的な振動エネルギーによって結合させるものであり、帯域の異なるフィルタを接続することにより、広帯帯域のフィルタが実現され、また、インピーダンス整合をとり易くなる。
また、本発明の電気機械フィルタでは、前記エネルギー変換部は、前記振動子の特定のモードを励起するために、前記振動子を局所的に励振する。
エネルギー変換部は振動子の一部に接続されるが、その接続位置を、所望の振動モードでの励振を起こさせるのに最適な位置に選ぶことによって、所望の振動モードの振動のみを生起させることができ、高精度の周波数選択特性を実現することができる。すなわち、振動子の全体を励振するのではなく、振動子の特定位置のみを局所的に励振することができるため、特定の振動モードを効率的に励振することができ、所望の周波数の信号のみを選択的に出力する高性能なフィルタを実現することができる。
また、本発明の電気機械フィルタでは、振動エネルギー変換部は、前記振動エネルギーを前記振動子にタッピングによって伝達する。
この構成により、機械的なタッピングによって振動エネルギーを振動子に伝えるため、振動を非接触状態から取り出すことができるため、変換効率が向上する。また支持部をなくすことができるため、より変換効率を高めることが可能となる。ここでタッピングとは、エネルギー変換素子と振動子が機械的に接続されていない状態での振動をいい、ギャップを介して、エネルギー変換素子が振動子を励振する構成がタッピングモードである。
また、本発明の電気機械フィルタでは、前記エネルギー変換部はカーボンコイルにより形成され、前記振動子は、多殻構造のカーボンナノチューブの内殻により形成され、前記振動検出部は、前記カーボンナノチューブの外殻によって形成される。
カーボンコイル(導電性のカーボン繊維を螺旋状(コイル状)にした物質)によってエネルギー変換部を形成し、また、微小振動子および振動検出部を、導電性に優れたカーボンナノチューブの内殻および外殻にて形成するものである。カーボンナノチューブを利用することによって、電気機械フィルタの全体を微小(ナノサイズ)にすることができ、また、所定の周波数の信号を効率的に選択することが可能となる。
本発明は、低損失、低インピーダンス、インピーダンス整合が容易、超小型かつ周波数選択性に優れた電気機械フィルタを実現するという効果を奏し、したがって、電気機械フィルタ、例えば、カーボンナノチューブ等を用いたMEMSフィルタとして有用である。
本発明の実施の形態1の電気機械フィルタの一例の主要な構成を示す図 ソレノイドコイルに電流を流した際の、電流と変位量と巻き数の関係を示す図 本発明の実施の形態2のMEMS技術によって製造される電気機械フィルタの構成を示す斜視図 本発明の実施の形態3のエネルギー変換部を複数個並列に設けた(つまり、共通の振動子に複数のエネルギー変換部を接続した)構成の電気機械フィルタの要部構造を示す斜視図 本発明の実施の形態4の複数のエネルギー変換部を多段接続して構成される電気機械フィルタの断面図 本発明の実施の形態5の振動子ならびに振動検出部としてカーボンナノチューブを利用した本発明の電気機械フィルタの主要な構成を示す図
符号の説明
1 エネルギー変換部(カーボンコイル、圧電素子等)
2 基板(シリコン基板等)
3 振動子(MEMS素子やカーボンナノチューブの内殻等)
4 バイアス部
5 振動検出部(MEMS素子やカーボンナノチューブの外殻)
C1 振動子と振動検出部を隔てる空間の寄生容量

Claims (9)

  1. 機械的な共振を利用して入力信号の周波数選択効果を得る電気機械フィルタであって、
    前記入力信号の電気エネルギーを機械的な振動エネルギーに変換するエネルギー変換部と、
    このエネルギー変換部から伝達される前記振動エネルギーによって励振される振動子と、
    この振動子の振動を検出し、前記振動を電気信号に変換する振動検出部と、
    を有する電気機械フィルタ
  2. 請求項1記載の電気機械フィルタであって、
    前記エネルギー変換部が微小なコイルで形成され、そのコイルに流れた信号が発生する電磁力により前記コイル自身が振動し、これによって、電気エネルギーを振動エネルギーに変換する電気機械フィルタ。
  3. 請求項1記載の電気機械フィルタであって、
    前記エネルギー変換部が圧電素子で形成され、前記入力信号の電圧によって、前記圧電素子が励振され、これによって、電気エネルギーを振動エネルギーに変換する電気機械フィルタ。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電気機械フィルタであって、
    複数の前記エネルギー変換部を有する電気機械フィルタ。
  5. 請求項4記載の電気機械フィルタであって、
    複数の前記エネルギー変換部を共通の振動子に接続した電気機械フィルタ。
  6. 請求項4記載の電気機械フィルタであって、
    複数の前記エネルギー変換部を多段接続する場合に、段間接続の手段として前記エネルギー変換部を使用する電気機械フィルタ。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電気機械フィルタであって、
    前記エネルギー変換部は、前記振動子の特定のモードを励起するために、前記振動子を局所的に励振する電気機械フィルタ。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の電気機械フィルタであって、
    振動エネルギー変換部は、前記振動エネルギーを前記振動子にタッピングによって伝達する電気機械フィルタ
  9. 請求項1記載の電気機械フィルタであって、
    前記エネルギー変換部はカーボンコイルにより形成され、前記振動子は、多殻構造のカーボンナノチューブの内殻により形成され、前記振動検出部は、前記カーボンナノチューブの外殻によって形成される電気機械フィルタ。
JP2006235733A 2006-08-31 2006-08-31 電気機械フィルタ Withdrawn JP2008060935A (ja)

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