JP4575075B2 - 電気機械フィルタ、これを用いた電気回路および電気機器 - Google Patents

電気機械フィルタ、これを用いた電気回路および電気機器 Download PDF

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Description

本発明は、微小な振動子を備える電気機械フィルタ、これを用いた電気回路および電気機器に関する。
無線端末などの端末の小型化が進む中、端末の筐体内に内蔵されるフィルタなどの受動部品の小型化が望まれている。近年、特に、無線通信でよく用いられているLCなどによる電気的共振を利用したフィルタは、共振器サイズが電気長に依存するため、フィルタの小型化が難しいという問題があり、新たな信号選択の原理が模索されている。
その中で、次世代フィルタの候補として、MEMS(Micro Electro Mechanical Syst-ems)、NEMS(Nano Electoro Mechanical Systems)技術により微小な電気機械フィルタが作製されている。
この電気機械フィルタは、メカニカルな共振を利用し、その構成においては共振する振動子の質量とバネ定数に依存するため、電気的共振を用いたフィルタよりもサイズを減少することができる。例えば、1GHz帯で共振する共振子のサイズは、形状、共振モードに依るが、数ミクロン以下の大きさとなる。また、このようにフィルタのサイズが数ミクロン以下の大きさとなることから、微小な振動子の製造方法および微小な振動を検出する方法も必要となる。
従来の微小振動子を用いた電気機械フィルタとして、例えば、特許文献1に示すように、微小な振動子にカーボンナノチューブを用いたものがある。カーボンナノチューブは、炭素原子が網目の形で結びついて形成されたナノメートルサイズの非常に小さい筒状の物質である。
この特許文献1における電気機械フィルタの信号選択の仕組みは、カーボンナノチューブやフラーレンが圧電材料であると仮定した場合を前提としている。詳細には、この従来の電気機械フィルタでは、所定長のカーボンナノチューブの両端部分にそれぞれ、入力信号ポートが接続された電極、出力信号ポートが接続された電極が2つずつ設けられ、これら電極が、カーボンナノチューブに信号を印加する入力端子、出力端子を形成している。
そして、この電気機械フィルタでは、入力信号ポートより入力した信号により、カーボンナノチューブが圧電効果によりその自己共振周波数で振動し、圧電効果により出力信号ポートへ出力が電圧として取り出されるものとなっている。また、このような従来の微小な振動体の振動検出方法として、マグネトモーティブ、レーザードップラー干渉法などの方法が検討されている。
特開平6−310976号公報
しかしながら、現在のところ、特許文献1にみられるカーボンナノチューブやフラーレンについては、強誘電性絶縁体に見られる圧電効果の発現の報告はなく、むしろ非常に優れた導電性をもつことが報告されている。したがって、上記カーボンナノチューブやフラーレンの物性の仮定による特許文献1の技術は、その実現が難しいという問題がある。
また、この電気機械フィルタにおいて、微小構造物である振動子の振動を検出方法として、マグネトモーティブの手法を用いた場合では、大きな外部磁場を発生させる装置が必要となり、マイクロコイル作製プロセスや、スペースの確保などの問題がある。また、レーザードップラー干渉法を用いて従来の振動子の振動検出を行う場合には、対象となる振動子に焦点を当て、且つ十分な反射光を得るのは困難である。さらに、別の振動検出の方法として、微小な振動子の先端に、レーザー反射用の金属やシリコン(Si)製のミラーを付け、構造物の振動を検出する方法も検討されているが、その方法では、ミラーも含めた構造物の振動を検出することとなり、微小な振動子自体の振動特性を検出するのは困難である。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、導電性に優れたカーボンナノチューブなどの微小の振動子を用いることで全体を微小にすることができるとともに、所定の周波数の信号を選択することができる電気機械フィルタ、これを用いた電気回路および電気機器を提供することを目的とする。
本発明の電気機械フィルタは、信号が入力されることにより物理変化する第1部材と、前記第1部材から所定間隔空けて配置され、前記第1部材に所定の周波数の信号が入力されたときに、前記第1部材の物理変化を検出する第2部材とを有し、前記第1部材および前記第2部材のうち、一方の部材は他方を覆う殻状の部材である構成を採る。
この構成によれば、第1部材に所定の周波数の信号が入力されたときに、第2部材は第1部材の物理変化を検出するため、例えば、カーボンナノチューブ、フラーレンなどのように所定の周波数の信号が入力されることで物理変化する微小な部材を第1部材に用いることにより、全体を微小にすることができるとともに、第2部材により所定の周波数の信号を選択することができる。また、この構成によれば、第1部材および第2部材のうち、一方の部材は他方を覆う殻状の部材であるため、これら第1部材および第2部材は殻構造をなし、第1部材および第2部材のうち他方に一方が被さる分、例えば、第1部材に第2部材が被さる分、占有スペースを小さくすることができ、電気機械フィルタ全体のスケールを更に小さくすることができる。
本発明の電気機械フィルタは、上記構成において、前記第1部材は、当該第1部材の中心軸に対して対称構造を有するとともに、信号が入力されることにより振動し、前記第2部材は、前記第1部材に所定の周波数の信号が入力されたときに、前記第1部材の振動を検出する構成を採る。
この構成によれば、第1部材の中心軸に対して対称構造を有する第1部材に、所定の周波数の信号が入力されたときに、第2部材は、第1部材の振動を検出するため、第1部材を用いるだけで、所定の周波数の信号を選択できる。例えば、第1部材に、カーボンナノチューブ、フラーレンなどのように所定の周波数の信号が入力されることによって振動する微小な部材を用い、全体を微小にすることができるとともに、第2部材により所定の周波数の信号を選択することができる。
本発明の電気機械フィルタは、上記構成において、前記第1部材に接続され、当該第1部材に信号を入力することにより励振させる入力側電極と、前記第2部材に接続され、当該第2部材が前記第1部材の振動を検出した際に、前記第1部材に入力された信号と同様の周波数の信号を出力する出力側電極と、を更に有する構成を採る。
この構成によれば、入力側電極から第1部材に所定の周波数の信号が入力されたとき、第2部材が第1部材の物理変化としての振動を検出し、出力側電極は、第1部材に入力された信号と同様の周波数の信号を出力するため、所定の周波数を選択的に出力することができる。
本発明の電気機械フィルタは、上記構成において、前記第1部材から所定間隔空けて配置され、信号が入力されることにより前記第1部材を励振させる入力側電極とを更に備え、前記第2部材は、前記第1部材の振動を検出した際に、前記第1部材に入力された信号と同様の周波数の信号を出力する出力側電極である構成を採る。
この構成によれば、入力側電極に所定の周波数の信号が入力されたとき、第2部材は第1部材の振動を検出し、第2部材は、出力側電極として、入力された信号と同様の周波数の信号を出力するため、所定の周波数を選択的に出力することができる。
本発明の電気機械フィルタは、上記構成において、前記第2部材は前記第1部材を覆う殻状の部材であり、前記第2部材に接続され、当該第2部材に信号を入力することにより前記第1部材を励振させる入力側電極と、前記第1部材に接続され、当該第1部材に電圧を印加する電極と、前記第2部材に接続され、当該第2部材が前記第1部材の振動を検出した際に、前記第1部材に入力された信号と同様の周波数の信号を出力する出力側電極とを有する構成を採る。
この構成によれば、第2部材が第1部材を覆い、入力側電極から第2部材に所定の周波数の信号が入力されたとき、第2部材が第1部材の物理変化としての振動を検出し、出力側電極は、第2部材に入力された信号と同様の周波数の信号を出力するため、第1部材と第2部材とが並列配置されることなくコンパクト化、つまりは、より微小化された構造において、所定の周波数を選択的に出力することができる。つまり、構造的に前端的に微小なフィルタを実現できる。
本発明の電気機械フィルタは、上記構成において、前記第1部材および第2部材のうち少なくとも第1部材は、カーボンナノチューブやカーボンナノホーン、フラーレンを含む自己組織化により形成される物質により構成され、前記所定の間隔は少なくとも前記第1部材による自己組織化によって形成される微小ギャップである構成を採る。
この構成によれば、振動子となる第1部材が、少なくとも自己組織化により形成される物質により構成され、所定の間隔が自己組織化によって形成される微小ギャップであるため、所定の間隔を人工的に形成する必要が無く、第1部材および第2部材を所定間隔空けて配置する構成を容易に形成することができる。例えば、所定の間隔が、人工的に形成が困難な微小な間隔であっても、第1部材の自己組織化により容易に形成することができる。
本発明の電気機械フィルタは、上記構成において、前記第1部材および前記第2部材のうち少なくとも前記第1部材は、触媒材料により成長するように構成され、前記触媒材料を含む電極材料からなる電極部に接続されている構成を採る。
この構成によれば、第1部材および第2部材のうち、少なくとも第1部材は、触媒材料を含む電極部に接続されているため、第1部材を電極部に接続するだけで、成長させることができる。
本発明の電気機械フィルタは、上記構成において、前記第1部材および第2部材は、カーボンナノチューブにイオンドーピングを施した物質および他原子分子を内包した物質を含む複合組成物質である構成を採る。
この構成によれば、第1部材および第2部材は、カーボンナノチューブにイオンドーピングを施した物質および他原子分子を内包した物質を含む複合組成物質であるため、第1部材および第2部材は誘電性を有し、第1部材および第2部材間の電場により、第1部材は物理変化として励振し、第2部材は第1部材に所定の周波数の信号が入力されたときに共振するので、第2部材を介して第1部材に入力された所定の周波数の信号を選択的に出力することができる。
本発明の電気機械フィルタは、上記構成において、前記第1部材および第2部材は、微細加工技術を用い人工的に成形される構成を採る。
この構成によれば、第1部材および第2部材は、微細加工技術を用い人工的に成形されるため、所定の周波数の信号を選択的に出力する電気機械フィルタを微細加工技術により人工的に製造することができる。
本発明の電気機械フィルタは、上記構成において、前記第1部材の物理変化は振動することであり、前記第1部材の振動検出は、前記第1部材に入力される信号を出力する電極に接続されたプローブを用いて、前記第1部材と前記電極との間に流れるトンネル電流を検出することにより行われる構成を採る。
この構成によれば、第1部材の振動検出は、プローブを用いて第1部材と電極との間に流れるトンネル電流を検出することにより行われるため、微小な振動でも容易に検出することができる。
本発明の電気機械フィルタは、上記構成において、前記第1部材は物理変化として振動し、前記第1部材と前記第2部材との間の前記所定間隔を変化させ、前記第1部材の共振周波数を変化させる調整部を更に有する構成を採る。
この構成によれば、調整部が、第1部材と第2部材との間の所定間隔を変化させることにより、第1部材の共振周波数を変化させるため、電気機械フィルタ自体に、製造誤差が生じている場合でも、調整部により第1部材の共振周波数を変化させることにより、第2部材に所定の周波数の信号を出力させることができる。また、第1部材における通過帯域の中心周波数を可変することができ、無線受信装置等に用いて、チャネル選択、バンド選択などを行うことができる。
本発明の電気回路は、上記構成の電気機械フィルタを用いたフィルタバンクを含む構成を採る。さらに、本発明の電気機器は、上記構成の電気回路を有する構成を採る。
上記構成によれば、上記構成の電気機械フィルタを、フィルタバンクを含む電気回路や、電気回路を有する電気機器に適用可能であるため、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、マルチバンド無線端末に向けたフィルタバンクなどの電気回路、や小型高性能無線機などの電気機器として実現できる。
以上説明したように、本発明によれば、導電性に優れたカーボンナノチューブなどの微小の振動子を用いることで全体を微小にすることができるともに、所定の周波数の信号を選択することができる。
本発明の骨子は、携帯電話といった小型化された無線端末などの通信端末の受動部品であるフィルタに用いられる微小な機械振動子(以下「微小振動子」という)として、中心軸に対して対称な構造を有する、つまり、軸対称性を有する部材(詳細には、軸回転対称構造を有する部材)、例えば、炭素の同素体であるカーボンナノチューブやカーボンナノホーン、フラーレンを含む自己組織化により形成される物質を用い、自己共振周波数と同等の所定の周波数の信号が入力されたとき、その信号を選択的に出力することである。
特に、自己組織化により形成される前記微小振動子を、当該微小な機械振動子と同様に、カーボンナノチューブやカーボンナノホーン、フラーレンを含む自己組織化により形成される物質からなる殻状の部材で、覆うように形成された微小な構造体を用いる。そして、この構造体における微小振動子、あるいは殻状の部材の一方(ここでは振動子)に自己共振周波数と同等の所定の周波数の信号を入力することで、前記一方が、微小振動子と殻状の部材との間のギャップで生じる静電気力により大きく励振され、静電容量の変化により他方(ここでは殻状の部材)に、前記所定の周波数の信号を出力する。例えば、以下で説明する実施の形態1に係る電気機械フィルタでは、前記構造体の微小振動子として直径数ナノメートルのカーボンナノチューブを用いている。
機械振動子の自己共振周波数fは、構造体の長さL、ヤング率E、密度ρとすると下記の(式1)と表記される。
Figure 0004575075
上記の(式1)に示すように、共振周波数fを高くするには、より高いヤング率E、より低い密度ρの材料を用いる必要がある。カーボンナノチューブは、1TPaオーダーの非常に高いヤング率の材料であり、より高い共振周波数を発生する微小振動子として用いるに望ましい材料である。
さらに、カーボンナノチューブは、カーボンシートを巻いて筒状にした構造をなし、表面部分で3次元的な立体的構造が形成されている。このため、カーボンナノチューブにおける密度の定義には注意する必要があるが、元素自体が非常に軽い材料である上、振動子を形成する原子数密度も他の材料と比較して低いため、密度ρが低くなっている。多層(マルチウォール)カーボンナノチューブではなく、単層(シングルウォール)カーボンナノチューブを用いれば、更に密度を下げられるため、より高い共振周波数の発生が期待できる。
カーボンナノチューブのようなナノ構造体を機械振動子として用いる場合、その微小な振動を検知するには、ナノ構造体とナノ構造体に信号を入力する電極部などの振動検知手段の間に、ナノメートルオーダーより小さい微小ギャップを形成する必要がある。しかし、この微小なギャップの形成は、現在可能とされているリソグラフィー技術などを用いた人工的な微細加工技術では、非常に困難である。そこで、以下に説明する本発明に係る各実施の形態では、人工的ではなく、原子、分子の自己組織化を利用した振動子としての微小構造体およびその周囲に配置する振動検知手段の製造方法を提示し、自己組織化を有する振動子を有するナノメカニクスによる高周波フィルタを提示する。
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における電気機械フィルタの構成を示す斜視図であり、図2は、本実施の形態1における電気機械フィルタの構成を示す断面図である。図2は、図1におけるA−A´断面を示している。いずれもカーボンナノチューブを用いた電気機械フィルタの構成を示す図である。
図1および図2に示す電気機械フィルタ100では、表面に絶縁膜102が形成された基板104上に、それぞれ自己組織化により形成されたカーボンナノチューブである内殻106および内殻106を覆う外殻108と、内殻106に信号を入力する信号入力側電極部110と、外殻108から信号を外部に出力する信号出力側電極部112と、スペーサ部114とが設けられている。
基板104は、シリコンなどにより形成され、絶縁膜102は、酸化シリコンなどの絶縁体により形成されている。
絶縁膜102上には、その中央部分に信号入力側電極部110が設けられるとともに、この信号入力側電極部110の周囲にスペーサ部114を介して、信号出力側電極部112が設けられている。
信号入力側電極部110には、当該信号入力側電極部110に信号を入力する入力信号ポートが接続され、信号出力側電極部112には、出力信号ポートが接続されている。この信号出力側電極部112は、スペーサ部114を介して基板104上の絶縁膜102に設けられていることにより、信号入力側電極部110との結合が避けられた状態となっている。
また、信号入力側電極部110および信号出力側電極部112は、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)などのように、自己組織化するカーボンナノチューブの成長の触媒材料により形成されている。
信号入力側電極部110の上面には、基端部が接続された内殻106が立った状態で設けられ、信号出力側電極部112の上面には、基端部が接続された外殻108が立った状態で設けられている。
内殻106および外殻108は、それぞれ筒状の本体部の先端部に、当該先端部を塞ぐようにキャップ部が設けられ、内殻106は外殻108に内包された状態で配置されている。これら内殻106及び外殻108は、それぞれ、中心軸に対して対称な構造を有している。なお、中心軸は、ここでは、基板104に対して垂直な軸としている。
そして、内殻106の外面と外殻108の内面との間には所定間隔(以下、ギャップという)Gが設けられ、内殻106は所定の周波数の信号が入力されることで振動する振動子、外殻108は振動検知用の電極となっている。
内殻106の振動子と外殻108の信号検出用の電極との間のギャップGは、多層カーボンナノチューブの各層の間隔と同程度のサイズであり、カーボンの自己組織化を利用した微小ギャップGである。なお、ギャップGのサイズは、数オングストロームから数十nm程度である。このように内殻106を外殻108が覆うような殻構造であるので、外殻108が内殻106に被さっている分、これら内殻106および外殻108が占有するスペースを小さくすることができ、電気機械フィルタ全体のスケールを更に微小にすることができる。
次に、この電気機械フィルタ100における信号伝播と信号選択の仕組みについて説明する。
入力信号ポートより入力された信号は、内殻106に伝搬すると、内殻106と外殻108との電位差により微小ギャップGにおいて静電気力が発生する。この発生する静電気力により、内殻106は励振される。入力信号ポートからは様々な周波数の信号が入力されるが、所定の周波数の信号、つまり、内殻106の共振周波数と同等の周波数の信号が、内殻106を大きく励振させる。なお、図2では振動方向を矢印V1で示している。
このように内殻106が大きく励振した場合、内殻106と外殻108との間のギャップGが狭くなり、静電容量の増加とインピーダンスの減少が生ずる。すると、信号は、インピーダンスの減少により選択的に外殻108に伝播し、この外殻108および信号出力側電極部112を介して、出力信号ポートへ伝播する。これは、材料の自己組織化により形成された微小ギャップGによって、内殻106の微小振動を検出したことと等価である。
一方、内殻106の共振周波数ではない周波数の信号は、内殻106の大きな振幅の振動を励起することができず、インピーダンスの減少を得ることができないため、外殻108から信号出力側電極部112、出力信号ポートへ伝播することができない。
このように、電気機械フィルタ100によれば、所定の周波数の信号を選択して、出力することができ、それ以外の信号を遮断することができる。
すなわち、本実施の形態1によれば、内殻106に所定の周波数の信号が入力されたときに、外殻108は内殻106の物理変化、すなわち、振動を検出するため、カーボンナノチューブまたはフラーレンなどのように所定の周波数の信号が入力されることで物理変化する微小な部材を内殻106に用いることにより、全体を微小にすることができるとともに、外殻108により所定の周波数の信号を選択することができる。
図3は、本図1及び図2の電気機械フィルタの変形例を示す縦断面図である。図3に示す電気機械フィルタ100aでは、電気機械フィルタ100において振動検知用の電極である筒状の外殻108に代えて、自己組織化により形成され、カーボンナノチューブの一種である一端が閉じた裾広がりの角状のカーボンナノホーンを外殻118として用いている。なお、図3の電気機械フィルタ100aにおいて、図1および図2に示す電気機械フィルタ100と同様の構成については同名称および同符号を付して説明は省略する。なお、外殻118は、ここでは、基板104に対して垂直な中心軸に対して対称な構造を有する。
電気機械フィルタ100aは、電気機械フィルタ100と同様に、基板104の表面に形成された絶縁膜102上に、入力信号ポートが接続されている信号入力側電極部110と、スペーサ部114aを介して設けられ、出力信号ポートが接続されている信号出力側電極部112aとが配置されている。
信号入力側電極部110には、その表面に内殻106が接続された状態で設けられ、信号出力側電極部112aには、その表面に、外殻118が接続された状態で設けられている。内殻106は信号入力側電極部112aから立った状態で配置され、外殻118は、軸心を内殻106の軸心と同軸心となるように内殻106を覆うように配置されている。
信号出力側電極部112aに接続される外殻118が、先端部が閉じされ基端部側に向かって裾広がりの略円錐状のカーボンナノホーンであるので、電気機械フィルタ100aでは、電気機械フィルタ100と比べ、外殻118の基端側に向かって、内殻106と外殻118とのギャップG1が広くなっている。このため、外殻118の基端部に接続される信号出力側電極部112aは、絶縁膜102上において、内殻106の基端部に接続される信号入力側電極部110から離れた位置に配置される構成となり、信号入力側電極部110と信号出力側電極部112aの基板104に対するパターニング作業が、容易なものとなっている。
なお、この電気機械フィルタ100aにおける信号選択の仕組みは、電気機械フィルタ100と同様であるので説明は省略する。
また、内殻106、外殻108、外殻118を構成するカーボンナノチューブおよびカーボンナノホーンは、多層または単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンを用いることができる。また、本実施の形態で挙げた内殻106、外殻108、外殻118は、それぞれ中が空洞の円筒形、円錐形を示したが、これに限らず、円柱形、円錐形、角柱形、角錐形を含む他の形状であっても良い。
図4および図5は、それぞれ本実施の形態1における電気機械フィルタの変形例を示す断面図である。図4に示す電気機械フィルタ100cは、電気機械フィルタ100において、内殻106を円柱形の内殻106aとした例である。図5に示す電気機械フィルタ100dは、図3に示す変形例としての電気機械フィルタ100aにおいて、内殻106を円柱形の内殻106aとした例である。内殻106aは、中心軸に対して対称な中実の構造を有している。なお、内殻106aの中心軸は、ここでは基板104に対して垂直な軸としている。
ここで、電気機械フィルタ100の製造方法について説明する。
図6(a)〜(d)および図7(e)、(f)は、本発明の実施の形態1における電気機械フィルタの製造工程を段階的に説明する断面図である。
先ず、図6(a)に示すように、シリコン基板104上に熱酸化により絶縁膜102(図2参照)となる酸化シリコン202を1μm程度の厚さで形成し、更にその上にスペーサ部114となる数十nm程度の厚さの酸化シリコン214をスパッタにより形成する。
次いで、図6(b)に示すように、酸化シリコン214を、ドライエッチングにより成形するため、フォトリソグラフィーによりパターンニングしたフォトレジスト204を形成する。
そして、酸化シリコン214をドライエッチングし、フォトレジスト204をアッシングにより除去する。このようにフォトレジスト204を除去した後のシリコン基板104上の酸化シリコン214は、図6(c)に示すように、スペーサ部114となる。
次いで、各電極部(ここでは図2に示す信号入力側電極部110および信号出力側電極部112)の形成を行う。
図6(d)に示すように、スペーサ部114およびスペーサ部114間の絶縁膜202上に、Fe、Co、Niなどの電極材料205をスパッタにより数十nm程度堆積し、その上にフォトリソグラフィーにより電極パターンにパターニングされたフォトレジスト206を形成する。
次いで、電極材料205をドライエッチングして、フォトレジスト206をアッシングにより除去し、図7(e)に示すように、スペーサ部114上の電極材料205部分を電極部(信号入力側電極部110、信号出力側電極部112)として形成する。
図7(e)に示すように、電極材料205の加工によりスペーサ部114上に電極部(信号入力側電極部110、信号出力側電極部112)を形成した後、図7(f)に示すように、信号入力側電極部110、信号出力側電極部112上に、基板104に対して垂直方向に電界を発生させながら熱CVD(化学気相成長、Chemical Vapor Deposition)法により内殻106、外殻108となるカーボン構造体(カーボンナノチューブ)を形成し、成長方向制御により内殻106および内殻106を覆う外殻108を有する多殻構造206を作製する。
上記の様な自己組織化により形成される多殻構造206は、CVD法、スパッタ法などの材料堆積条件(ガス種、ガス圧、ガス流量、RF(Radio Frequency)パワー、プラズマ状態、プラズマ発生方式、装置の電極形状など)、電界条件(電界方向、電界強度)などにより構造を制御することが可能であり、内殻106および外殻108間のサイズ、ギャップGのサイズ、形成位置、形状、カーボン系材料の様に層状の構造を形成する材料に関しては層の数、などを制御することができる。
本実施の形態によれば、カーボンナノチューブからなる内殻106および外殻108がそれぞれ接続されている信号入力側電極部110、信号出力側電極部112の電極材料として、Fe、Co、Niなどのカーボンナノチューブの成長の触媒材料を用いているので、それぞれカーボンナノチューブからなる内殻106および外殻108は自己組織化し、人工的に調整することなく内殻106の振動検出に必要なギャップGは好適なサイズで容易に形成される。
これにより、内殻106、106aおよび外殻108が微小構造物であり、これら内殻106および外殻108との間のギャップGが人工的に形成困難な微小なギャップであっても、信号入力側電極部110、信号出力側電極部112を触媒として内殻106および外殻108が自己組織化して成長することにより、所定の周波数の信号を検出可能な微小な電気機械フィルタ100を容易に製造することができる。
また、内殻106、106aおよび外殻108、外殻118により構成される多殻構造は、ナノプローブなどを用いたナノマニュピュレーティング、ナノマニュファクチャリングにより成形可能である。本実施の形態のようなカーボン系材料の構造体の場合には、外殻108や外殻118を内殻106に被せたり、また、多層カーボンナノチューブの層を抜き出したり、カーボンナノチューブのキャップを外したり、カーボンナノチューブを引っ張るなどの成形を行うことにより制御することが可能である。
なお、内殻106、106aおよび外殻108、118との電場に非対称性をもたせるため、外殻108、118の一部を引っ張る、焼結する、異原子を注入するなどの工程を行うことができる。また、電気機械フィルタ100における内殻106および外殻108は、カーボンナノチューブを用いたが、これに限らず、カーボンナノホーン、フラーレン、タンパク質の様な高分子、Siなどの半導体、Alなどの金属などを含む、自己組織化によって構造を形成する他の物質であってもよい。また、内殻106および外殻108は、カーボンナノチューブにイオンドーピングを施した物質および他原子分子を内包した物質を含む、複合組成物質であってもよい。さらに、信号入力側電極部110、信号出力側電極部112の材料としてカーボンナノチューブなどの微小材料を用いることができる。
さらに、電気機械フィルタ100、100a、100c、100dでは、内殻106、106aを振動子、外殻108、118を信号検出用の電極としたが、これに限らず、内殻106に出力信号ポートを接続して内殻106、106aを信号検出用の電極とし、外殻108、118に入力信号ポートを接続して外殻108、118を振動子として用いてもよい。この場合、上記電気機械フィルタ100、100aの構成において、内殻106、106aには出力信号ポートを接続し、外殻108、118に入力信号ポートを接続することにより可能となる。
また、電気機械フィルタ100、100a、100c、100dによれば、振動子としての内殻106の横振動、縦振動、ねじり振動を含む全ての共振モードを使用することができる。また、本発明における内殻106、106aおよび外殻108、118からなる多殻構造物を複数、直列または並列に接続して電気機械フィルタとすることができ、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、フィルタバンクなどを構成することができる。
図8は本発明に係る電気機械フィルタを用いたフィルタバンク回路のブロック図である。フィルタバンク回路1000は、複数の電気機械フィルタ700とスイッチ800とを有する。複数の電気機械フィルタ700は、それぞれ、電気機械フィルタ100と同様のものであり、それぞれ、各通信システムに応じて信号通過周波数帯域が異なっている。なお、電気機械フィルタ700として、電気機械フィルタ100a、100c、100dを用いても良い。複数の電気機械フィルタ700として、電気機械フィルタ100、100a、100c、100dのいずれかを複数用いてもよいし、また、これら電気機械フィルタ100、100a、100c、100dを適宜、所定の数分選択して用いてもよい。
このフィルタバンク回路1000は、各電気機械フィルタ700をスイッチ800により選択する構成となっている。この様なフィルタバンク回路1000は、マルチバンド無線機への適用が望まれる。さらに、CVD法に関しては、プラズマCVD法などの他のCVD法を用いることができる。また、内殻106、106aおよび外殻108、118の成長方向制御のための電界発生方法は、外部電場発生機構を用いてもよい。また、スペーサ部114、114aと信号入力側電極部110、信号出力側電極部112、112aの形成は、リフトオフプロセスにより行うことができる。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における電気機械フィルタの構成を示す斜視図であり、図10は、同実施の形態2における電気機械フィルタの構成を示す断面図である。なお、図10は、図9におけるB−B´断面を示している。図9及び図10いずれに示す電気機械フィルタは、カーボンナノチューブを用いた構成を示している。
本実施の形態2における電気機械フィルタ200は、実施の形態1における電気機械フィルタ100と基本的な構造および製造工程は共有している。したがって、電気機械フィルタ200の説明において、図1および図2に示す電気機械フィルタ100と同様の構成については同名称および同符号を付して説明は省略する。
電気機械フィルタ200と電気機械フィルタ100との差違は、信号入力側電極部110がスペーサ部114b上に形成されており、外殻108に接続されていること、内殻106の下方に電極部311が設けられており、電圧Vを内殻106に印加できる構成となっていること、信号入力側電極部110と信号出力側電極部112との間、およびスペーサ部114bとスペーサ部114との間がギャップ201により分離されていることである。
ギャップ201は、実施の形態1における電気機械フィルタ100の製造工程において、図6(b)および図6(d)に示す酸化シリコン214および電極材料205を成形するマスクパターンを変えることにより形成可能である。
次に、この電気機械フィルタ200における信号伝播と信号選択の仕組みについて説明する。
入力信号ポートより入力された信号は、外殻108に伝搬すると、内殻106と外殻108との電位差によりギャップGにおいて静電気力が発生する。この発生する静電気力により、内殻106は励振される。入力信号ポートからは様々な周波数の信号が入力されるが、所定の周波数の信号、つまり、カーボンナノチューブからなる内殻106の共振周波数と同等の周波数の信号が、内殻106を大きく励振させる。なお、図10では振動方向を矢印V1で示している。
このように内殻106が大きく励振した場合、内殻106と外殻108との間のギャップGが狭くなり、静電容量の増加が生ずる。すると、内殻106の共振周波数の容量変化が生じ、内殻106に電極部311から電圧Vが印加されているため、信号出力電極部112側の外殻108に内殻106の共振周波数の信号が励起される。
励起された信号は、信号出力側電極部112を介して、出力信号ポートへ伝播する。これは、材料の自己組織化により形成された微小ギャップGにより、内殻106の微小振動を検出したことと等価である。
一方、内殻106の共振周波数ではない周波数の信号は、内殻106の大きな振幅の振動を励起することができず、静電容量の変化を得ることができない。このため、信号出力側電極部112側の外殻108から信号出力側電極部112、出力信号ポートへ伝播することができない。
このように、電気機械フィルタ200によれば、所定の周波数の信号を選択して出力することができ、それ以外の信号を遮断することができる。
すなわち、本実施の形態2によれば、内殻106に所定の周波数の信号が入力されたときに、外殻108は内殻106の物理変化、すなわち、振動を検出するため、カーボンナノチューブまたはフラーレンなどのように所定の周波数の信号が入力されることで物理変化する微小な部材を内殻106に用いることにより、全体を微小にすることができるとともに、外殻108により所定の周波数の信号を選択することができる。
なお、外殻108を信号入力電極部110側と信号出力電極部112側に電気的に分離するため、外殻108の一部を引っ張る、焼結する、異原子を注入する、絶縁膜を堆積するなどの工程を行うことで、局所的に絶縁、または電気伝導性の悪い状態にすることができる。また、ギャップ201に絶縁体を形成してもよい。
(実施の形態3)
図11は、本発明に係る実施の形態3における電気機械フィルタの構成を示す斜視図である。
図11に示す電気機械フィルタ300では、シリコン基板302上に酸化シリコンによりなる絶縁膜304が形成され、この絶縁膜304上にスペーサ部306を介して、互いに所定間隔を空けて配置された電極部310、312、314が設けられている。
電極部310、312、314は、カーボンナノチューブの成長における触媒材料であるFe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)などから構成され、スペーサ部306を介してそれぞれが接触しないように配置されている。
これら電極部310、312、314のうち電極部310には、入力信号ポートが接続され、この電極部(以下、「信号入力側電極部」という)310と、電極部312との間には、長尺な筒状の振動子316が架設されている。また、この振動子316の側方には、振動子316の振動により当該振動子316を介して入力される信号を出力する電極部(以下、「信号出力側電極部」という)314が配置されている。
スペーサ部306は酸化シリコンにより形成され、触媒材料で形成された電極部310、312は、絶縁膜304である下地表面からの分子間力などの相互作用が防止されている。
振動子316は、上述した内殻106と同様の物資であるカーボンナノチューブからなり、信号入力側電極部310を介して所定の周波数の信号が入力された際に、信号出力側電極部314との間に静電気力が発生し、この静電気力により励振する。そして、信号出力側電極部314は、この励振を検出することにより、振動子316から、当該振動子316に入力された信号と同様の周波数の信号が入力される。なお、振動子316は、中心軸に対して対称な構造を有しており、ここでは、その中心軸は、シリコン基板302と平行な水平軸としている。
次に、本実施の形態3における電気機械フィルタ300の動作を説明する。
入力信号ポートから入力される信号は、信号入力側電極部310を介してカーボンナノチューブである振動子316に伝搬する。その場合、信号により振動子316の電位が変化し、信号出力側電極部314との間に静電気力の変化が生ずる。この静電気力の変化によって振動子316が励振され、振動子316と信号出力側電極部314との間のギャップG2が狭くなる。
この振動子316の機械振動により、振動子316と信号出力側電極部314との間の静電容量の増加とインピーダンスの減少が生じ、振動子316の共振周波数と同等の周波数の信号が信号出力側電極部314に伝わり、出力信号ポートへ伝搬する。すなわち、通過帯域外の周波数の信号は、信号出力側電極部314には伝播することができない。
なお、電気機械フィルタ300において、単層、多層といった層の数、異方性をもった成長方向、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンといった振動子316を構成するカーボンナノチューブの形状など、その構造形成は、熱CVD法を用いたカーボンナノチューブ形成制御により制御している。このカーボンナノチューブ構造形成については後述する。
次に、本実施の形態3の電気機械フィルタの製造方法を説明する。
図12(a)〜(e)は、本発明に係る実施の形態3の電気機械フィルタにおける製造工程を段階的に説明するための断面図である。
先ず、図12(a)に示すように、シリコン基板302上に、熱酸化により絶縁膜304(図11参照)となる酸化シリコン404を1μm程度の厚さで形成し、更にその上に1μm程度の厚さのスペーサ部306(図11参照)となる酸化シリコン406をスパッタにより形成する。
次に、図12(b)に示すように、酸化シリコン404上に形成された酸化シリコン406を、ドライエッチングにより成形してスペーサ部306にするため、酸化シリコン406においてスペーサ部306を形成する部分の上面にフォトリソグラフィーによりパターンニングしたフォトレジスト408を形成する。なお、図12(b)では、図12(a)の酸化シリコン404は、シリコン基板302の表面に絶縁膜304として形成された状態となっている。
次いで、酸化シリコン406をドライエッチングし、フォトレジスト408をアッシングにより除去する。
すると、図12(c)に示すように、フォトレジスト408(図12(b)参照)をアッシングにより除去することにより、絶縁膜304上の酸化シリコン406(図12(b)参照)のうち、フォトレジスト408の下部に位置していた部分が、スペーサ部306として絶縁膜304上に形成される。
次に、電極部の形成を行う。すなわち、図12(d)に示すように、Fe、Co、Niなどといったカーボンナノチューブの成長における触媒となる電極材料410をスパッタにより数十nm程度堆積し、スペーサ部306上に堆積した電極材料410部分上に、フォトリソグラフィーにより電極パターンにパターニングされたフォトレジスト412を形成する。そして、電極材料410のドライエッチングを行った後、フォトレジスト412をアッシングにより除去する。
これにより、フォトレジスト412が堆積されていた電極材料410部分が、スペーサ部306上に電極310、312、314(図11参照)として形成される。なお、これら各電極部310、312、314は、それぞれ所定間隔を空けて形成されており、信号入力側電極部310と電極部312とは互いに対向して配置され、信号出力側電極部314は、信号入力側電極部310と電極部312とを結ぶ線の中心から、当該線と直交する方向に所定間隔(ギャップG2分)離間して配置されている。図12(d)では、信号入力側電極部310および電極部312となる電極材料410部分を図示している。
そして、これら信号入力側電極部310、電極部312などの形成が終わった後、図12(e)に示すように、信号入力側電極部310と、電極部312間に電圧を印加しながら熱CVD法によりカーボンナノチューブを形成し、成長方向制御により電極部310、312間に架橋するように成長させて、信号入力側電極部310、電極部312間に架設される微小の機械振動子316を作製する。なお、熱CVD法に用いられるガスは、メタンガスを用い、その場合の振動子(カーボンナノチューブ)316の成長温度は、850℃程度である。
ここで、カーボンナノチューブである振動子316の成長制御方法は、振動子316の成長方向を水平方向に制御するため、信号入力側電極部310と電極部312の間に電圧を印加し、振動子316の成長方向と同方向に電界を発生させる。なお、ここでは、振動子316は信号入力側電極部310から成長するようにセットしている。
これより、カーボンナノチューブは、電界方向にクーロン引力を感じ、電界方向に成長を始め、信号入力側電極部310と電極部312との間に架橋された状態となる。
この様な工程においてカーボンナノチューブの成長時間を制御すれば、図13に示すように、電気機械フィルタ300aにおける振動子316aを構成するカーボンナノチューブの片持ち梁構造を作製することが可能である。なお、この電気機械フィルタ300aは電気機械フィルタ300と振動子の構成が異なり、その他の構成は同一である。よって、同一構成には同名称、同符号を付して説明は省略する。
上記の様な自己組織化により形成される振動子316(図11参照)は、CVD法、スパッタ法などの材料堆積条件(ガス種、ガス圧、ガス流量、RFパワー、プラズマ状態、プラズマ発生方式、装置の電極形状など)、電界条件(電界方向、電界強度)などにより構造を制御することが可能であり、振動子316のサイズ、ギャップG2のサイズ、形成位置、形状、カーボン系材料の様に層状の構造を形成する材料に関しては層の数、などを制御することができる。
本実施の形態によれば、カーボンナノチューブからなる振動子316が接続されている信号入力側電極部301、信号出力側電極部314の電極材料として、Fe、Co、Niなどのカーボンナノチューブの成長の触媒材料を用いているので、それぞれカーボンナノチューブからなる振動子316は自己組織化し、人工的に調整することなく振動子316の振動検出に必要なギャップG2は好適なサイズで容易に形成される。
これにより、振動子316が微小構造物であり、これら振動子316、316aと信号出力側電極部314との間のギャップG2が人工的に形成困難な微小なギャップであっても、信号入力側電極部301、信号出力側電極部314を触媒として振動子316が自己組織化して成長することにより、所定の周波数の信号を検出可能な微小な電気機械フィルタ300を容易に製造することができる。
本実施の形態によれば、信号が入力信号ポートから信号入力側電極部310を介して振動子316に入力された場合、振動子316の自己共振周波数と同等の周波数の信号のときに、振動子316は励振され、信号出力側電極部314との間の静電容量の増加とインピーダンスの減少が生じて、信号が信号出力側電極部314に伝搬するので、所定の周波数の信号を選択して出力することができる。
なお、信号出力側電極部314に対向して、かつ、振動子316を挟んだ位置に、制御信号電源に接続された制御電極部をさらに設け、振動子316の振動を制御してもよい。
また、電気機械フィルタ100における振動子316は、カーボンナノチューブを用いたが、これに限らず、カーボンナノホーン、フラーレン、タンパク質の様な高分子、Siなどの半導体、Alなどの金属などを含む、自己組織化によって構造を形成する他の物質であってもよい。
また、振動子316は、カーボンナノチューブにイオンドーピングを施した物質および他原子分子を内包した物質を含む、複合組成物質であってもよい。さらに、信号入力側電極部301、信号出力側電極部314、電極部312の材料としてカーボンナノチューブなどの微小材料を用いることができる。
さらに、図11、図13においては、振動子316、316aを単数として示したが、複数本構成されていても良い。また、振動子316を構成するカーボンナノチューブは、多層または単層カーボンナノチューブ、多層または単層カーボンナノホーンを用いることができる。また、本実施の形態で挙げた振動子316は、中が空洞の円筒形を示したが、これに限らず、円柱形、円錐形、角柱形、角錐形を含む他の形状であっても良い。
また、電気機械フィルタ300、300aによれば、振動子316、316aの横振動、縦振動、ねじり振動を含む全ての共振モードを使用することができる。また、本実施の形態における電気機械フィルタ300、300aを、直列または並列に複数接続して電気機械フィルタとすることができ、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、フィルタバンクなどを構成することができる。
例えば、図8のフィルタバンク回路のブロック図に示すフィルタバンク回路1000において、電気機械フィルタ700を電気機械フィルタ300、300aを直列または並列に複数接続して形成する。この構成による効果はフィルタバンク回路1000において、電気機械フィルタ100、100a、100c、100dを電気機械フィルタ700として用いた場合と同様であるため説明は省略する。
さらに、振動子316、316aを製造する際に熱CVD法を用いたが、これに限らず、プラズマCVD法などの他の化学気相成長法を用いることにより製造してもよい。また、振動子316、316aの成長方向制御のための電界発生方法は、外部電場発生機構を用いてもよい。さらに、スペーサ部306と各電極部310、312、314の形成は、リフトオフプロセスにより行うようにしてもよい。
(内殻106、外殻108および振動子316、316aであるカーボンナノチューブの振動検出方法)
図14は本発明に係る電気機械フィルタにおける振動子の振動検出方法の一例を説明するための図である。図14(a)は、実施の形態1の電気機械フィルタにおける内殻として用いられるカーボンナノチューブの振動検出を説明するための断面図、図14(b)は検出されたトンネル電流を示す図である。
上述した各微小な電気機械フィルタ100,100a、300、300aなどにおける内殻106、振動子316としてのカーボンナノチューブの振動は、微小な変位の振動であり、この振動を検出にあたり、ここでは、トンネル電流をプローブの一部として用いる走査トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscopy;:以下、「STM」という)により行う。
図14(a)に示す電気機械フィルタ100bは、図2に示す電気機械フィルタ100において、外殻108、スペーサ部114、信号出力側電極部112を除いた構成である。よって、電気機械フィルタ100と同様の構成要素には同符号を付して説明は省略する。
電気機械フィルタ100bでは、シリコン基板104上に形成された絶縁膜102の表面に、信号入力側電極部110を介してカーボンナノチューブなどによりなる振動子としての内殻106が立った状態で設けられている。
電気機械フィルタ100bが備えるカーボンナノチューブからなる振動子としての内殻106の周囲に、STM(図示省略)の探針502を配置する。探針502と内殻106との距離は、トンネル電流504が流れる程度(数十オングストローム)であり、内殻106が振動(振動方向を矢印V1で示す)した際の探針502と内殻106との間の距離の変化を、トンネル電流504の変化で検知する。
これにより、図14(b)に示すように、内殻106の振動は、トンネル電流の振動として検出され、トンネル電流504の振動の周波数が、カーボンナノチューブである内殻106の振動周波数となる。なお、ギガヘルツ帯の振動を実現する内殻106は、ナノオーダーの微小な構造物であり、その振動の変位は、数十オングストロームと微小である。その変位のオーダーは、丁度原子レベルの表面構造を検出するSTMの分解能と同レベルであるため、この微小な振動の検出にSTMの原理を用いるのは好適であり、高い精度の測定を行うことができる。
この振動検出方法は、実施の形態3における電気機械フィルタ300の構成にも適用できる。図15は実施の形態3の電気機械フィルタにおける振動検出方法の応用例を説明するための斜視図である。
図15に示す電気機械フィルタ300bは、図11の電気機械フィルタ300において、信号出力側電極部314を除いた構成である。よって、電気機械フィルタ300と同様の構成要素には同符号を付して説明は省略する。
この電気機械フィルタ300bは、シリコン基板302上に形成された絶縁膜304の表面に、スペーサ部306を介して信号入力側電極部310、電極部312が所定間隔を空けて設けられ、これら信号入力側電極部310および電極部312間にカーボンナノチューブである振動子316が架設されている。
このように構成された電気機械フィルタ300bにおいて、振動子316の振動検出を行う際には、振動子316の上方に、STM(図示省略)の探針502を配置する。ここで、探針502と振動子316との距離は、上述した電気機械フィルタ100aにおける振動検出のときと同様に、トンネル電流が流れる程度(数十オングストローム)であり、振動子316が垂直方向に振動した際(振動方向を矢印V2で示す)の探針502と振動子316との間の距離の変化を、トンネル電流の変化で検知する。なお、この場合、垂直方向の振動発生のために、下方の各電極部310、312やシリコン基板302に制御信号電源505を接続することができる。
なお、STMの探針502の位置決めは、STMと走査形電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下「SEM」という)を組み合わせた装置、STM−SEM内で行っても良く、トンネル電流検出中は、SEMによる電子ビームが外乱の原因となる恐れがあるため、SEMは使用しなくても良い。
電気機械フィルタ100b、300bにおけるカーボンナノチューブ製の内殻106および振動子316の振動検出方法によれば、STMの探針502を用い、内殻106および振動子316と、探針502間を流れるトンネル電流の変化で検知するため、微小な振動でも容易に検出することができる。よって、マグネトモーティブの手法、レーザードップラー干渉法、レーザー反射用の金属やシリコン(Si)製のミラーなどにより検出する方法等とは異なり、検出のために外部磁場を発生させる大きな装置や、検出作業のための大きなスペース等が必要なく、さらにミラーを用いた場合にミラーも含めた振動を検出することがなく、容易に、微小な内殻106および振動子316自体の振動特性を検出することができる。
(実施の形態4)
図16は本発明の実施の形態4に係る電気機械フィルタの構成を示す斜視図である。
図16に示す電気機械フィルタ600では、シリコン基板602の表面に酸化シリコンからなる絶縁膜604が形成されている。この絶縁膜604上に所定間隔空けて酸化シリコンからなるスペーサ部606を介して電極部608、610が配置されている。
電極部608には信号が入力される入力信号ポートが接続され、電極部610には、電極部610から信号を出力する出力信号ポートが接続されている。
これら電極部608、610間には、電極部608、610の対向方向と直交する方向に延在してカーボンナノチューブである振動子612が配置され、この振動子612の振動により電極部610に信号が伝播した状態となる。なお、この振動子612は図示しない支持部材により支持されている。また、振動子612は、中心軸に対して対称な構造を有しており、ここでは、その中心軸は、シリコン基板602と平行な水平軸である。
カーボンナノチューブである振動子612は、両側の電極部608、610のそれぞれから所定間隔離れた位置に配置され、電極部608に信号が入力された際に、振動子612と電極部608、610との間に生じる静電気力により励振する。また、振動子612は、自己共振周波数と同等の周波数を有する信号が入力された際に振動し、電極部610へ伝搬される。
なお、スペーサ部606は、振動子612と下地である絶縁膜604間の分子間力の影響が、カーボンナノチューブからなる振動子612の駆動特性に影響を及ぼす恐れがあるために設けられている。つまり、各電極部608、610はカーボンナノチューブを挟んで対向するように配置する必要があるため、スペーサ部606は、各電極部608、610と絶縁膜604とを絶縁する。
この電気機械フィルタ600では、所定の周波数の信号が入力信号ポートから入力されると、電極部608を介してカーボンナノチューブである振動子612に伝搬する。その場合、信号により振動子612の電位が変化し、電極部610との間に静電気力の変化が生ずる。
この静電気力の変化によって振動子612が励振され、振動子612と電極部610との間のギャップが狭くなる。ギャップが狭くなることにより、振動子612と電極部610との間の静電容量の増加とインピーダンスの減少が生じ、振動子612の共振周波数と同等の周波数の信号が、電極部610に伝わり、出力信号ポートへ伝搬する。すなわち、通過帯域外の周波数の信号は、信号出力側電極部610には伝播することができない。
よって、電気機械フィルタ600によれば、所定の周波数の信号を選択的に出力することができる。
図17は、実施の形態4における電気機械フィルタの変形例を示す平断面図である。
図17に示す電気機械フィルタ600aは、図16に示す実施の形態4に対応する電気機械フィルタ600において振動子の構成が異なり、その他の構成は電気機械フィルタ600と同様の構成を有する。したがって、共通する部分の説明は省略し、異なる部分についてのみ、図に即して説明する。
電気機械フィルタ600aは、振動子にカーボンナノチューブを用いたメカニカルアクチュエータの駆動方式であり、多層カーボンナノチューブの内殻614を振動子とし、この内殻614を外殻616内で振動させる構成である。内殻614、外殻616は、それぞれ、中心軸に対して対称な構造を有している。ここでは、その中心軸は、シリコン基板上の絶縁膜604と平行な水平軸である。
すなわち、電気機械フィルタ600aにおける多層カーボンナノチューブ618は、外殻616の両端、もしくは片側一方の端のキャップを取ることにより、この端の開放された外殻616内で、内殻614が軸方向に動くように構成されている。
詳細には、多層カーボンナノチューブ618は、筒状の外殻616内に、筒状の内殻614が同軸心上に配置され、内殻614の両端部は、外殻616の両端部より外方に突出した形状をなしている。
また、多層カーボンナノチューブ618の外殻616の側周部(外殻616の軸と略水平に且つ、直交する方向に位置する外面部分)は、入力信号ポート、出力信号ポートがそれぞれ接続された各電極部608、610に接続されている。
このような電気機械フィルタ600aにおいて、入力信号ポートから信号が電極部608に入力されると、電極部608から外殻616に伝搬し、外殻616から内殻614の両端部が突出した状態においては、外殻616と内殻614が接する原子面間で分子間力(ファンデルワールス力)が発生し、内殻614は、外殻616内に引き込まれて、外殻616の一端部側から他端側に移動する。
分子間力によるポテンシャルエネルギーが最も低い安定な状態においては、内殻614が外殻616に引き込まれる運動エネルギーは最も高い状態となる。また、内殻614が逆側で瞬間的に静止した状態においては、再び分子間力によるポテンシャルエネルギーが最大の状態となり、運動エネルギーは零となる。
この運動は、外殻616の一端部分と、他端部分のそれぞれで繰り返されることになり、内殻614は外殻616内で、下に凸型のポテンシャル曲線上を運動する振り子の単振動と同様な運動を行う。
すなわち、内殻614は外殻616内で内殻614及び外殻616の軸方向に往復運動、つまり、振動することとなる。なお、内殻614の振動を制御するため、イオンドーピングや分子注入などにより内殻614のカーボンナノチューブに誘電性をもたせ、外部電場により振動を発生させている。
また、外部電場は、外殻616に接続された電極部608と電極部610との間に発生する。内殻614の外殻616内での移動による変位により、内殻614の静電容量が変化し、電気的に結合することにより信号は電極部610を介し出力信号ポートへ伝播される。
なお、多層カーボンナノチューブ618の長手方向に信号出力側電極部を設け、振動子である内殻614のカーボンナノチューブと信号出力側電極部とのギャップが狭くなった時、信号が信号出力側電極部へ伝搬する信号選択の仕組みとしてもよい。
また、外殻616と、信号入力側電極部608、信号出力側電極部610の界面には、接合時に形成される絶縁層があってもよい。さらに、内殻614および外殻616との電場に非対称性をもたせるため、外殻616の一部を引っ張る、焼結する、異原子を注入するなどの工程を行うことができる。
また、電気機械フィルタ600aにおける内殻614および外殻616は、カーボンナノチューブを用いたが、これに限らず、カーボンナノホーン、フラーレン、タンパク質の様な高分子、Siなどの半導体、Alなどの金属などを含む、自己組織化によって構造を形成する他の物質であってもよい。
また、内殻614および外殻616は、カーボンナノチューブにイオンドーピングを施した物質および他原子分子を内包した物質を含む、複合組成物質であってもよい。さらに、信号入力側電極部608、信号出力側電極部610の材料としてカーボンナノチューブなどの微小材料を用いることができる。
また、図16においては、振動子612を単数として示したが、複数本構成されていても良い。また、図17においては、内殻614、外殻616を構成するカーボンナノチューブおよびカーボンナノホーンは、それぞれ3層の多層カーボンナノチューブとして示したが、これに限らず、他の層数であってもよく、多層または単層カーボンナノチューブ、多層または単層カーボンナノホーンを用いることができる。また、本実施の形態で挙げた内殻614、外殻616は、それぞれ中が空洞の円筒形、円錐形を示したが、これに限らず、円柱形、円錐形、角柱形、角錐形を含む他の形状であっても良い。
また、電極部608、電極部610は、カーボンナノチューブの成長における触媒材料であるFe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)などの材料で作製することができる。さらに、カーボンナノチューブ618を複数用意し、これら複数の多層カーボンナノチューブ618どうしを上述したように、それぞれの両側部で入出力側電極部608、610が接続されるように直列に接続して電気機械フィルタとしてもよい。また、上記電気機械フィルタ600aを並列に接続した構成としてもよい。
また、内殻614および外殻616により構成される多殻構造は、ナノプローブなどを用いたナノマニュピュレーティング、ナノマニュファクチャリングにより成形可能である。本実施の形態のようなカーボン系材料の構造体の場合には、外殻616を内殻614に被せたり、また、多層カーボンナノチューブの層を抜き出したり、カーボンナノチューブのキャップを外したり、カーボンナノチューブを引っ張るなどの成形を行うことが可能である。
また、電気機械フィルタ600aによれば、振動子としての内殻614の外殻616内での長手方向の振動、長手方向と垂直方向の振動、回転振動、ねじり振動を含む全ての共振モードを使用することができる。また、本実施の形態における内殻614および外殻616からなる多殻構造物を複数、直列または並列に接続して電気機械フィルタとすることができ、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、フィルタバンクなどを構成することができる。例えば、図8のフィルタバンク回路1000において、各通信システムに応じた信号通過周波数帯域の異なった複数の電気機械フィルタ700を、内殻614および外殻616からなる多殻構造物を複数、直列または並列に接続して形成する構成が挙げられる。また、スペーサ部606と信号入力側電極部608、信号出力側電極部610の形成は、リフトオフプロセスにより行うことができる。
(実施の形態5)
図18は、本発明の実施の形態5における電気機械フィルタの構成を示す斜視図である。
図18に示す電気機械フィルタ400は、図14の電気機械フィルタ100bと同様に構成される共振部401と、共振部401の振動を検出する探針402、探針402と共振部401との間の距離を調整する調整部403とを有する。
共振部401では、図14に示す電気機械フィルタ100と同様に構成されてなり、表面に絶縁膜102が形成されたシリコン基板104上に信号入力側電極部110が設けられ、この信号入力電極部110の上面に振動子106bが立った状態で設けられている。
信号入力側電極部110は、振動子106bに信号を入力するものである。また、振動子106bは、図14に示す振動子としての内殻106と同様のものであり、自己組織化により形成されたカーボンナノチューブによりなる。また、振動子106bは、中心軸に対して対称な構造を有しており、ここでは、その中心軸は、シリコン基板104に対して垂直な軸となっている。
一方、探針402は、図14で示す探針502と同様のものであり、この探針402は調整部403により、共振部401の振動子106bに対して接離方向に移動する。この探針402の移動は、探針402と振動子106bとの間に働く力を変化させ、振動子106bの固有振動数を変化させる。また、探針402は、実施の形態1の外殻108と同様の作用効果を有する。
つまり、探針402は、共振部401の振動を検知する電極としても機能し、共振部401の振動子106bに所定の周波数の信号が入力されたときに、振動子106bの物理変化を検出して、図示しない出力信号ポートに出力する。なお、信号出力ポートは、ここでは図示しないが、各実施の形態の信号出力ポートと同様の構成作用を有するものであり説明は省略する。
調整部403は、例えば、カンチレバーであり、探針402が先端に設けられたレバー本体403aと、レバー本体403aの基端に接続され、レバー本体403aを可動させる可動本体部403bとを有する。このレバー本体403aは、可撓性を有し、探針402の振動に伴い振動する。
また、可動本体部403bは、レバー本体403aを振動子106bに対して接離方向に移動して、探針402と振動子106bとの距離を変化させる。例えば、可動本体部403bは、電気機械フィルタ本体の所定位置に固定し、ステッピンモータを用いて、可動本体部403bに対してレバー本体403aを移動させることにより、レバー本体403a自体を振動子106bから離間する方向に移動させる構成が挙げられる。
図18に示すように、振動子106bと探針(プローブ)402間の距離をL、探針402が振動する際の振幅をAとすると、可動本体部403bに対して、レバー本体403aを移動、つまり、探針402を移動することにより、距離Lを変化させ、振動子106bの振幅Aを変化させる。つまり、距離Lを変化させることにより、探針402と振動子106bとの距離L1が変化する。
この距離L1の変化、つまりは距離Lを変化させることにより、微小な振動子106bの固有振動数は変化する。
ここで、振動子106bの固有振動数について説明する。微小な振動子106bの固有振動数は、上述したように振動子自体のサイズで決まる。このため、振動子106bが所望のサイズで製作できなければ、所望の共振周波数を有する電気機械フィルタを実現することができない。ここでは、振動子106bは、円筒形状(詳細には、筒状の本体部と、本体部の先端部を塞ぐキャップ部が設けられた有蓋円筒形状)であるので、円筒形状の振動子として説明する。
図19は、円筒型の振動子の高さと固有振動数の関係を示す図である。図19に示すように、上記の(式1)から、共振周波数は振動子の長さの−2乗で比例するため、僅かな振動子の製作誤差は、共振周波数のずれを生じさせている。いま所望の共振周波数を1GHzとすると、振動子の材料によって異なるが、カーボンナノチューブの場合、おおよそ共振器の高さは0.06μmとなる。
振動子の高さが、所望の0.06μmから1%の誤差(0.0606μm)で作製された場合、共振周波数は2%変化して、1.02GHzとなり、中心周波数が20MH変化することになる。
この振動子の中心周波数ずれの許容量は、振動子を有する電気機械フィルタが電波を受信したり、送信する際のフィルタとして無線システムに用いられた場合、その無線システムに依存する。しかし、20MHzの中心周波数のずれを許容する無線システムは、一般的にはないため、このずれ量は無視できない値となる。
このため、精度の高い振動子の製作方法、もしくは振動子106bの周波数チューニング機構を備えることが望ましい。
この本実施の形態5の電気機械フィルタ400は、上記構成により、精度が高い周波数チューニングを行うことができる。
次に、本実施の形態の電気機械フィルタ400で行うことができる周波数チューニングについて説明する。
一般的にカンチレバー(非特許文献「原子・分子のナノ力学」 丸善株式会社 p53からp56)によると、カンチレバーと試料表面間のギャップdが変化すれば、カンチレバーと試料表面に働く力の向きと大きさが変化するため、共振周波数が変化することが知られている。下記の(式2)に共振周波数の変動量、つまり、振動子106bの固有振動数からのシフト量Δνを示す。
Figure 0004575075
ν、A、Lはそれぞれカンチレバーの共振振動数、振動振幅、カンチレバーと試料表面の平行位置を示す。
Δνはカンチレバーと試料間の力Fの1周期にわたっての重みつき平均に比例する。したがって、小振幅極限A<<Lでは、探針402と振動子106bの間で働く力Fは、Δνに比例する。
つまり、探針402と振動子106b間に働く力の大きさにより、振動子106bの共振周波数は可変できる。これにより、調整部403は、振動子106bの製造誤差などから生じる共振周波数のずれ量を補正する役目を担うことできる。
力Fの大きさは探針402と振動子106b間に働く力の発生メカニズムで変化する。これは探針402と振動子106bの相対的な位置関係によって決定する。
振動子106bと探針402が十分離れていれば、振動子106bと探針402間に相互作用が発生しないため、力Fは発生しないが、探針402が振動子106bと近づくと、両者の間で引力が発生し、力Fが生じる。
引力は距離の−2乗で比例するため、探針402と振動子106bの距離が近いと、力Fも大きくなる。さらに、探針402を振動子106bに近づけて、探針402と振動子106b間の距離を短くすると、振動子106bと探針402間に斥力が生じ、力Fの方向は反転する。
このように、振動子106bと探針402間の距離を変化させることで、両者に働く力の大きさ、方向を変化させることができる。
図20は、探針402の振幅と、振動子106bの共振周波数との関係を示す図である。なお、図20では、縦軸に振幅、横軸に振動子106bの共振周波数を示し、各グラフQ、R、Sはそれぞれの領域での特性を示している。なお、図20中、q、r、sは、同一の角周波数(ωd)での振動振幅をそれぞれ示す。但し、グラフSにおいて、点線で示した領域は不安定な領域であるため、実際のスペクトルは実線で示している。つまり、曲線Sでは低周波数側と高周波側でそれぞれ不連続な変化をもつ。
図20に示すように、探針402の位置と振動子106bの位置が十分離れている場合、図中のグラフQのように力Fが働かないため、振動子106bは固有振動数で振動する。
探針402を振動子106bに近づければ、探針402と振動子106bの間に引力が作用し、図中のグラフRに示すように共振周波数は低周波側にシフトする。
さらに、探針402を振動子106bに接近させて、斥力領域に入った場合、力Fの向きが反転し、振動子106bの共振周波数は、図中のグラフSに示すように高周波側にシフトする。
なお、本実施の形態5において、探針402の振動を検出する方法としては、実施の形態3と同様に、静電容量の変化を検出、トンネルの電流を検出する方法もあり、また通常の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)のように光により検出してもよい。
また、本実施の形態5の電気機械フィルタ400では、振動子106bの製造誤差を補償するだけではなく、当然、それ以外の要因から生じる共振周波数の変化に対しても補償することができる。また、電気機械フィルタ400において、通過帯域の中心周波数を可変させることが可能となるため、例えば、無線端末装置に用いた場合、チャネル選択、バンド選択などが可能となり、可変フィルタとしても適用できる。
以上のように各実施の形態における、微小な振動子としてカーボンナノチューブを用いた電気機械フィルタにより、高周波回路上での受動部品の小型化を実現し、大静電容量高速通信に向けた、使用帯域の高周波数化、及び端末の小型化に対応した次世代通信装置を実現させることができる。
本発明に係る電気機械フィルタは、カーボンナノチューブ、フラーレンなどのように所定の周波数の信号が入力されることで物理変化する微小な部材を第1部材に用いることにより、全体を微小にすることができ、微小な振動子を備える電気機械フィルタとして有用である。
本発明に係る実施の形態1における多殻構造を用いた電気機械フィルタの構成を示す斜視図 本発明に係る実施の形態1における多層カーボンナノチューブを用いた電気機械フィルタの構成を示す縦断面図 本発明の実施の形態1における変形例である電気機械フィルタの縦断面図 本発明の実施の形態1における変形例である電気機械フィルタの横断面図 本発明の実施の形態1における変形例である電気機械フィルタの横断面図 本発明に係る実施の形態1における電気機械フィルタの製造工程を段階的に説明する断面図 本発明に係る実施の形態1における電気機械フィルタの製造工程を段階的に説明する断面図 本発明に係る電気機械フィルタを用いたフィルタバンク回路のブロック図 本発明に係る実施の形態2における多殻構造を用いた電気機械フィルタの構成を示す斜視図 本発明に係る実施の形態2における多殻構造を用いた電気機械フィルタの構成を示す縦断面図 本発明に係る実施の形態3における電気機械フィルタの構成を示す斜視図 本発明に係る実施の形態3における電気機械フィルタの製造工程を段階的に説明するための断面図 図11に示す電気機械フィルタの変形例を示す斜視図 (a)は、本発明に係る電気機械フィルタにおける振動子の振動検出方法の一例を説明するための図、(b)は(a)において、振動子から検出されたトンネル電流を示す図 本発明に係る実施の形態3における電気機械フィルタにおける振動検出方法の応用例を説明するための斜視図 本発明に係る実施の形態4における電気機械フィルタの構成を示す斜視図 本発明に係る実施の形態4における電気機械フィルタの変形例を示す平断面図 本発明の実施の形態5における電気機械フィルタの構成を示す斜視図 円筒型の振動子の高さと固有振動数の関係を示す図 探針の振幅と、振動子の共振周波数との関係を示す図
符号の説明
100、100a、100b、100c、100d、300、300a、300b、600、600a、700 電気機械フィルタ
106、106a、106b、614 内殻
108、118、616 外殻
110、310、608 信号入力側電極部
112、112a、314、610 信号出力側電極部
201 ギャップ
311、312 電極部
316、316a、612 振動子
502 探針
504 トンネル電流
800 スイッチ
1000 フィルタバンク回路

Claims (13)

  1. 信号が入力されることにより物理変化する第1部材と、
    前記第1部材から所定間隔空けて配置され、前記第1部材に所定の周波数の信号が入力されたときに、前記第1部材の物理変化を検出する第2部材とを有し、
    前記第1部材および前記第2部材のうち、一方の部材は他方を覆う殻状の部材であることを特徴とする電気機械フィルタ。
  2. 前記第1部材は、当該第1部材の中心軸に対して対称構造を有するとともに、信号が入力されることにより振動し、
    前記第2部材は、前記第1部材に所定の周波数の信号が入力されたときに、前記第1部材の振動を検出することを特徴とする請求項1記載の電気機械フィルタ。
  3. 前記第1部材に接続され、当該第1部材に信号を入力することにより励振させる入力側電極と、
    前記第2部材に接続され、当該第2部材が前記第1部材の振動を検出した際に、前記第1部材に入力された信号と同様の周波数の信号を出力する出力側電極と、
    を更に有することを特徴とする請求項1記載の電気機械フィルタ。
  4. 前記第1部材から所定間隔空けて配置され、信号が入力されることにより前記第1部材を励振させる入力側電極とを更に備え、
    前記第2部材は、前記第1部材の振動を検出した際に、前記第1部材に入力された信号と同様の周波数の信号を出力する出力側電極であることを特徴とする請求項1記載の電気機械フィルタ。
  5. 前記第2部材が前記第1部材を覆う殻状の部材であり、
    前記第2部材に接続され、当該第2部材に信号を入力することにより前記第1部材を励振させる入力側電極と、
    前記第1部材に接続され、当該第1部材に電圧を印加する電極と、
    前記第2部材に接続され、当該第2部材が前記第1部材の励振を検出した際に、前記第1部材に入力された信号と同様の周波数の信号を出力する出力側電極と、
    を更に有することを特徴とする請求項1記載の電気機械フィルタ。
  6. 前記第1部材および前記第2部材のうち少なくとも第1部材は、カーボンナノチューブやカーボンナノホーン、フラーレンを含む自己組織化により形成される物質により構成され、前記所定の間隔は少なくとも前記第1部材による自己組織化によって形成される微小ギャップであることを特徴とする請求項1記載の電気機械フィルタ。
  7. 前記第1部材および前記第2部材のうち少なくとも前記第1部材は、触媒材料により成長するように構成され、前記触媒材料を含む電極材料からなる電極部に接続されていることを特徴とする請求項1記載の電気機械フィルタ。
  8. 前記第1部材および前記第2部材は、カーボンナノチューブにイオンドーピングを施した物質および他原子分子を内包した物質を含む複合組成物質であることを特徴とする請求項1記載の電気機械フィルタ。
  9. 前記第1部材および前記第2部材は、微細加工技術を用い人工的に成形されることを特徴とする請求項1記載の電気機械フィルタ。
  10. 前記第1部材の物理変化は振動することであり、前記第1部材の振動検出は、前記第1部材に入力される信号を出力する電極に接続されたプローブを用いて、前記第1部材と前記電極との間に流れるトンネル電流を検出することにより行われることを特徴とする請求項1記載の電気機械フィルタ。
  11. 前記第1部材は物理変化として振動し、前記第1部材と前記第2部材との間の前記所定間隔を変化させ、前記第1部材の共振周波数を変化させる調整部を更に有することを特徴とする請求項1記載の電気機械フィルタ。
  12. 請求項1記載の電気機械フィルタを用いたフィルタバンクを含むことを特徴とする電気回路。
  13. 請求項1記載の電気回路を有することを特徴とする電気機器。
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