JP2008060143A - 超電導コイル及びその製造方法 - Google Patents

超電導コイル及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008060143A
JP2008060143A JP2006232204A JP2006232204A JP2008060143A JP 2008060143 A JP2008060143 A JP 2008060143A JP 2006232204 A JP2006232204 A JP 2006232204A JP 2006232204 A JP2006232204 A JP 2006232204A JP 2008060143 A JP2008060143 A JP 2008060143A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
superconducting wire
superconducting
electrode
peripheral surface
metal layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006232204A
Other languages
English (en)
Inventor
Mamoru Hamada
衛 濱田
Shigeo Nagaya
重夫 長屋
Naoki Hirano
直樹 平野
Koji Shikimachi
浩二 式町
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chubu Electric Power Co Inc
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Chubu Electric Power Co Inc
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chubu Electric Power Co Inc, Kobe Steel Ltd filed Critical Chubu Electric Power Co Inc
Priority to JP2006232204A priority Critical patent/JP2008060143A/ja
Publication of JP2008060143A publication Critical patent/JP2008060143A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

【課題】超電導線材の安定層が外径側を向く姿勢で超電導線材が巻回されることにより、超電導線材の超電導層に作用する圧縮応力が抑制され、超電導線材の特性の劣化を抑えた超電導コイル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】内周面及び外周面を有する筒状に形成される巻枠、一対の電極、テープ状の超電導線材を備えた超電導コイルであって、前記巻枠は、その内周面側と外周面側とを連通する連通溝を有しているとともに、巻枠の内周面側に内径側電極がその一部が露出した状態で設けられており、超電導線材は、安定層が径方向外側を向く姿勢で、安定層と内径側電極の露出部分とが接合される部分と、連通溝を通じて巻枠の内周面側から外周面側に導出される部分と、巻枠の外周面上に安定層が径方向外側を向く姿勢で巻回される部分と、安定層と外径側電極とが接合される部分とをこの順に有している。
【選択図】図2

Description

本発明は、酸化物超電導線材を用いたシングルパンケーキ型の超電導コイル及びその製造方法に関するものである。
従来より、例えば下記特許文献1に示されるように、いわゆるシングルパンケーキ型の超電導コイルが知られている。この超電導コイルは、筒状の巻枠にテープ状の超電導線材を同心円状に巻回して形成されており、前記超電導線材の始端部(内径側)及び終端部(外径側)には、それぞれ内径側電極及び外径側電極が取り付けられて構成されている。
この超電導コイルの一般的な製造方法としては、まず、内径側電極に突出して形成された溶接部が巻枠の内周面側から外周面側に露出するように、前記内径側電極を巻枠の内周面に固定する。そして、巻枠の外周面に露出した内部電極の溶接部と超電導線材の始端部とをはんだ付けすることにより固定した後、超電導線材を巻枠の外周面上に巻回し、超電導線材の終端部と外径側電極とをはんだ付けすることによって超電導コイルが形成される。
ここで、前記超電導コイルの超電導線材としてY系(イットリウム系)酸化物超電導線材を用いた場合には、合金系超電導線材を用いる場合に比べて液体ヘリウム温度以上の温度であっても高磁場を発生させることができる。このY系酸化物超電導線材は、基材、絶縁層、Y系超電導層、及び安定層が、この順に線材の厚さ方向に積層されることにより構成されており、Y系超電導層は線材の表面寄り(安定層寄り)に位置している。
このY系酸化物超電導線材を用いて上記製造方法により超電導コイルを形成する場合には、Y系酸化物超電導線材を前記巻枠の内周面に固定される内径側電極に固定するが、この内径側電極の溶接部が、巻枠の外周面から径方向外側を向くように露出しているため、前記Y系酸化物超電導線材の安定層が径方向内側を向く状態ではんだ付けを行う。そして、その状態から前記Y系酸化物超電導線材を巻枠の外周面上に巻回する。すなわち、Y系超電導線材が巻回された状態では、前記安定層が常に径方向内側を向く姿勢で巻回されており、Y系超電導層は、Y系超電導線材の厚さ方向において相対的に内径側に位置した状態で巻回される。
特開平9−167705号公報
ここで、Y系酸化物超電導線材は、このY系酸化物超電導線材のY系超電導層が、適当な引張応力を受けた場合にはその特性が向上するという傾向がある反面、圧縮応力を受けた場合には、その特性が劣化するという傾向がある。したがって、Y系酸化物超電導線材が巻回された状態において、Y系酸化物超電導線材の安定層が径方向外側を向く姿勢で巻回されることが望まれる。すなわち、Y系酸化物超電導線材の安定層が外径側を向く姿勢で巻回することにより、Y系超電導層がY系超電導線材の厚さ方向において相対的に外径側に位置する状態となるため、このY系超電導層には引張応力が作用してY系超電導線材の特性の劣化を防ぐことができる。
しかし、上記の超電導コイルでは、Y系酸化物超電導線材が接合される内径側電極の溶接部を径方向外側に突出させて巻枠の外周面に臨ませ、この外周面上で前記超電導線材を巻回させる構造なので、Y系酸化物超電導線材の安定層は径方向内側を向く姿勢で巻回せざるを得ない。この状態では、Y系超電導層がY系超電導線材の厚さ方向において相対的に内径側に位置することになり、Y系超電導層には圧縮応力が作用することとなる。したがって、上記超電導コイルの構造では、Y系酸化物超電導線材の特性を生かした超電導コイルとするのは困難である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、超電導線材の安定層が外径側を向く姿勢で超電導線材が巻回されることにより、超電導線材の超電導層に作用する圧縮応力が抑制され、超電導線材の特性の劣化を抑えた超電導コイル及びその製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる超電導コイルは、超電導線材が巻回される巻胴を有する巻枠と、前記巻枠に設けられる一対の電極と、電極接合用金属層と超電導層とを含むテープ状の線材であって、前記電極接合用金属層が最上層に配置され前記超電導層は相対的に前記電極接合用金属層寄りに配置される超電導線材と、を備えた超電導コイルであって、前記巻枠の巻胴は、内周面及び外周面を有する筒状に形成されているとともに、前記内周面側と外周面側とを連通する連通溝を有しており、前記一対の電極は、前記巻胴の内周面側にその一部が露出した状態で設けられる内径側電極と、前記巻胴よりも径方向外側に設けられる外径側電極とで構成され、前記超電導線材は、その一方側端部において、前記超電導線材の電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で、前記電極接合用金属層と前記内径側電極の露出部分とが接合される部分と、前記連通溝を通じて前記巻胴の内周面側から外周面側に導出される部分と、前記巻胴の外周面上に前記電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で巻回される部分と、前記超電導線材の他方側端部において、前記超電導線材の電極接合用金属層と前記外径側電極とが接合される部分とをこの順に有していることを特徴としている。
上記超電導コイルによれば、前記超電導線材は、この超電導線材の電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で巻枠に巻回される。すなわち、前記巻枠の巻胴における内周面側に内径側電極が設けられており、前記超電導線材の前記電極接合用金属層が前記内径側電極の径方向内側に露出する部分に接合されるため、前記超電導線材は、その一方側端部において電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で接合される。そして、前記超電導線材を前記連通溝を通じて前記巻胴の外周面側に導出することで、前記超電導線材は従来と同様に前記巻胴の外周面上で巻回される。すなわち、前記超電導線材は、前記巻胴の外周面上に前記電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で巻回される。したがって、前記超電導線材が巻枠に巻回された状態では、前記超電導線材の超電導層は、前記超電導線材の厚さ方向において相対的に外径側に位置する状態で曲げられるため、この超電導層には引張方向の応力が作用する。すなわち、超電導線材の電極接合用金属層が内径側を向く姿勢で前記超電導線材が巻回されることにより、超電導層が相対的に内径側に位置する状態で曲げられて形成される従来の超電導コイルに比べて、超電導層に作用する圧縮応力を抑制することができる。このように、超電導層に圧縮応力が作用するとその特性が劣化する超電導線材を用いる場合であっても、超電導線材の有する特性の劣化を抑えた超電導コイルとすることができる。
また、上記特性を有する具体的な超電導線材としては、上記超電導線材は、Y系酸化物超電導層を有する超電導線材であって、基材、絶縁材、Y系酸化物超電導層、及び電極接合用金属層が、この順に積層されているものが挙げられる。
また、上記Y系酸化物超電導層を有する超電導線材の電極接合用金属層は、銀、銀合金、銅、及び銅合金の中から選ばれる材料で構成されており、前記電極接合用金属層と電極とは、はんだ付けで接合されていることが好ましい。
この構成によれば、Y系酸化物超電導線材は高温に曝されるとその特性が劣化する性質を有しているため、上記電極接合用金属層に、通電性がよく、融点が比較的低い銀又は銀合金若しくは銅又は銅合金を用いることにより、はんだ付けにおける高温の影響を抑えて、上記Y系酸化物超電導線材の特性の劣化を抑えることができる。
また、前記内径側電極の露出部分は、前記超電導線材が接合されるとともに径方向内側を向く内側面を有しており、前記内径側電極は、前記内側面と前記連通溝とが連続的に繋がるように配置されているのが好ましい。
この構成によれば、前記超電導線材は、前記内径側電極の内側面から連通溝に連続的に挿通されるため、前記内径側電極の内側面と連通溝との間において、前記超電導線材が屈曲するのを防止し、前記超電導線材の特性の劣化を抑えることができる。
また、前記内径側電極の内側面は、前記巻胴の内周面に沿う円弧形状を有していることが好ましい。
この構成によれば、前記超電導線材が内径側電極の内側面と接合する部分で屈曲するのを防止することができるため、超電導線材の特性の劣化を抑えることができる。
また、前記巻枠の巻胴に形成される連通溝は、前記巻胴の内周面側から外周面側に、曲率半径が連続的に増大する円弧形状を有していることが好ましい。
この構成によれば、前記巻胴の内周面側から外周面側に前記超電導線材を屈曲させることなく導出することができるため、超電導線材の特性の劣化を抑えることができる。
また、本発明にかかる超電導コイルの製造方法は、前記巻枠における巻胴の内周面側に前記内径側電極を取り付ける工程と、前記内径側電極と前記超電導線材の一方側端部における電極接合用金属層とを、この電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢ではんだ付けによって接合する工程と、前記内径側電極に接合された前記超電導線材を前記連通溝に挿通させて前記巻胴の外周面側に導出させ、この超電導線材の電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で超電導線材を巻胴の外周面上に巻回する工程と、前記超電導線材の他方側端部における電極接合用金属層と前記外径側電極とをはんだ付けによって接合する工程と、を含むことを特徴としている。
この超電導コイルの製造方法によれば、前記超電導線材が、前記巻枠の巻胴の内周面側に設けられる前記内径側電極に前記超電導線材の電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で接合された後、この超電導線材を連通溝に挿通させて前記巻胴の外周面側に誘導し、電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で超電導線材を巻胴の外周面上に巻回することにより、前記超電導線材の電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で前記巻枠に巻回される。すなわち、前記超電導線材の超電導層が前記超電導線材の厚さ方向において相対的に外径側に位置する状態で巻回される。したがって、前記超電導層に作用する圧縮応力が抑制されるため、超電導線材の特性の劣化を抑えた超電導コイルを製作することができる。
本発明の超電導コイル及びその製造方法によれば、超電導線材の安定層が外径側を向く姿勢で超電導線材が巻回されることにより、超電導線材の超電導層に作用する圧縮応力が抑制され、超電導線材の特性の劣化を抑えることができる。
本発明の超電導コイルの実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態における超電導コイル1の全体を示す概略図であり、図2は図1の一部を分解した図であり、図3は、図2の平面図(一部断面図)である。
図1〜図3において、超電導コイル1は、シングルパンケーキ型の超電導コイル1であり、略円筒形状の巻枠2と、この巻枠2に設けられる一対の電極3と、前記巻枠2に巻回される超電導線材4とを有している。本実施形態では、超電導線材4として、Y系(イットリウム系)酸化物超電導線材4(以下単に超電導線材4という)が巻回されている例について説明する。
前記巻枠2は、前記超電導線材4が巻き付けられる筒状の巻胴21と、この巻胴21の軸方向両端部から前記巻胴21の円周方向に亘って巻胴21の延びる方向と直交する方向に延びる鍔部22とを有している。
前記巻胴21は、内周面21aと外周面21bとを有しており、この内周面21aと外周面21bとを連通する連通溝23を有している。
この巻胴21の内周面21aは、巻胴21の軸心方向から見て螺旋状に形成されている(図3参照)。具体的には、前記内周面21aは、径方向内側から曲率半径が連続的に増大する円弧形状に形成されており、その径方向外側に位置する部分は、後述する連通溝23と連続的に繋がるように形成されている。そして、この内周面21aには、一対の電極3を構成する内径側電極31が設けられている。
前記内径側電極31は、断面略半円弧形状を有しており一方向に延びる棒状の金属製部材である。この内径側電極31の凹状部分(内側面31a)は、超電導線材4とはんだ付けにより接合される面であり、巻胴21の内周面21aに沿う形状を有している。そして、内径側電極31は、この内径側電極31の内側面31aが径方向内側に向く姿勢で、かつ、この内側面31aが径方向内側に露出された状態で巻胴21の内周面21aに埋設されている。具体的には、内径側電極31は、前記内側面31aが巻胴21の内周面21aの一部を形成しており、この内側面31aと連通溝23とが連続的に繋がるように設けられている。したがって、巻枠2の内周面21a、内径側電極31の内側面31a、及び、連通溝23は、その途中で屈曲することなく連続的に繋がっている。
前記連通溝23は、超電導線材4を内周面21a側から外周面21b側に導出させるための溝であり、巻胴21の軸心方向から見て径方向外側に膨らむように形成されている。具体的には、この連通溝23は、連通溝23の曲率半径が内周面21aの曲率半径と等しい曲率半径から外周面21bの曲率半径と等しい曲率半径に至るまで、前記巻胴21の内周面21a側から外周面21b側に連続的に増大する円弧形状に形成されている。そして、連通溝23の入口側23a(径方向内側)は、巻胴21の内周面21aに沿うように連続的に形成されているとともに、連通溝23の出口側23b(径方向外側)は、巻胴21の外周面21bに沿うように連続的に形成されている。すなわち、この連通溝23に超電導線材4が挿通された状態では、連通溝23の入口側23aから出口側23bまで超電導線材4が屈曲するのを防止できるようになっている。
前記鍔部22は、前記巻胴21の両端部分に設けられる平板状の円盤部材である。これらの鍔部22の外径側には、その周方向に並ぶ複数の箇所にボルト5が挿通可能なボルト穴22aが形成されている。すなわち、これらの鍔部22が巻胴21に組み付けられた状態では、これらの鍔部22と巻胴21の軸方向両端部分とが接着剤等で接着されるとともに、前記ボルト穴22aに挿通されたボルト5で締結されていることにより両鍔部22と巻胴21とが連結されている。また、鍔部22の外径側には、後述する外径側電極32を取り付けるための切込部22bが形成されている。この切込部22bは、外径側電極32が挿通できる切込幅を有しており、鍔部22の一部を鍔部22の外周面から所定長さ切り込むことによって形成されている。そして、これらの鍔部22が巻胴21に組み付けられた状態では、それぞれの切込部22bが対面するようになっている。
前記外径側電極32は、平板状の一方向に延びる金属製部材である。この外径側電極32は、前記鍔部22の切込部22bに設けられている。具体的には、外径側電極32は、両鍔部22の切込部22bに挿入された状態で接着剤等により固定される。そして、外径側電極32は、径方向内側を向く面(内面32a)を有しており、この内面32aと超電導線材4とが、はんだ付けにより接合されている。
この超電導線材4は、図4に示すように、複数の層を有するテープ状の線材である。ここで図4は、超電導線材4を構成する各層を概略的に示す図である。図4に示すように、この超電導線材4は、金属製(例えばハステロイ)の基材4a上に、金属酸化物からなる絶縁層4b、超電導層4c(Y系超電導層4c)、及び電極3とはんだ付けされる電極接合用金属層4d(安定層)がこの順に積層されたもので、前記電極接合用金属層4dは、銀、銀合金、銅、及び銅合金の中から選ばれる材料により構成されている。そして、超電導線材4全体の半分以上の厚みが基材4a及び絶縁層4bにより形成されている。従って、超電導層4cは、超電導線材4の厚み方向において、相対的に電極接合用金属層4d寄りに位置している。
この超電導線材4は、巻枠2の内径側から巻回されており、その巻始め端部である始端部41において内径側電極31と接合(はんだ付け)される部分と、連通溝23によって巻枠2の外周面21b側に導出される部分と、巻枠2の外周面21b上に巻回される部分と、巻終り端部である終端部42において外径側電極32と接合される部分とをこの順に有している。
具体的には、超電導線材4が内径側電極31と接合される部分では、電極接合用金属層4dが、内径側電極31の内側面31aに沿う状態で接合されている。すなわち、電極接合用金属層4dが径方向外側を向く姿勢で超電導線材4と内径側電極31とが接合されている。
また、連通溝23によって導出される部分では、超電導線材4は、電極接合用金属層4dが径方向外側を向く姿勢のまま、巻胴21の外周面21b側に導出されている。すなわち、超電導線材4は、内径側電極31に接合された部分から、巻胴21の内周面21a、連通溝23、ひいては巻胴21の外周面21bに至るまで、屈曲することなく円弧状に延びるように電極接合用金属層4dが径方向外側を向く姿勢で巻胴21の外周面21b側に導出されている。
また、巻枠2の外周面21b上では、連通溝23を通じてこの外周面21b側に導出された超電導線材4が所定回数巻回されている。具体的に、超電導線材4は、電極接合用金属層4dが径方向外側を向く姿勢で、超電導線材4が径方向に重なるように巻回されており、この巻回数は超電導コイルに要求される性能を満足するように設計されている。そして、超電導線材4の終端部42における電極接合用金属層4dが外径側電極32の内面32aと接合されている。したがって、超電導線材4は、電極接合用金属層4dが径方向外側を向く姿勢で外径側電極32と接合されている。このようにして、超電導線材4が巻枠2に巻回された状態では、超電導線材4は、電極接合用金属層4dが常に径方向外側を向く姿勢で巻回されている。
次に、上記超電導コイル1の製造方法について説明する。
まず、巻枠2における巻胴21の内周面21aに内径側電極31を取り付ける。具体的には、巻胴21の一方側端部に鍔部22を接着剤等で固定する。そして、この状態で、内径側電極31の内側面31aが巻枠2の内周面21aに沿う状態で、前記巻胴21の内周面21aに内径側電極31を固定する。
次に、内径側電極31と超電導線材4とを接合する。具体的には、内径側電極31の内側面31aと超電導線材4の始端部41における電極接合用金属層4dとをはんだ付けによって接合する。すなわち、内径側電極31は、内径側電極31の内側面31aが径方向内側を向く姿勢で設けられているため、超電導線材4の始端部41における電極接合用金属層4dが径方向外側を向く姿勢で超電導線材4と内径側電極31とが接合される。なお、超電導層4cは、このはんだ付けにより高温に曝されるが電極接合用金属層4dに比較的融点の低い銀又は銀合金若しくは銅又は銅合金を用いているため、超電導層4cへのはんだ付けにおける高温の影響を抑えることができる。
次に、超電導線材4を連通溝23を通じて巻胴21の外周面21bに導出させ、超電導線材4を外周面21b上に巻回する。具体的には、超電導線材4が径方向外側を向く姿勢で内径側電極31の内側面31aに接合された状態から、超電導線材4を内径側電極31の内側面31a、巻胴21の内周面21aに沿わせて連通溝23の入口側23aに誘導し、連通溝23を通じて巻胴21の外周面21bに導出させる。すなわち、超電導線材4は、電極接合用金属層4dが径方向外側を向く姿勢を維持した状態で巻胴21の外周面21bに導出される。その際、内径側電極31の内側面31a、巻胴21の内周面21a及び連通溝23は、連続的に繋がるように構成されているため、超電導線材4が屈曲されることなく巻胴21の外周面21b側に誘導される。そして、巻胴21の他方端部に鍔部22を接着剤等で固定した後、巻胴21の外周面21b側に導出された超電導線材4を電極接合用金属層4dが径方向外側を向く姿勢で外周面21bに巻回し、さらに巻回された超電導線材4の上から重ねるように超電導線材4を複数回巻回する。
次に、超電導線材4と外径側電極32とを接合する。具体的には、巻枠2の鍔部22の切込部22bに外径側電極32を差込み、超電導線材4の終端部42における電極接合用金属層4dと外径側電極32の内面32aとをはんだ付けによって接合する。すなわち、超電導線材4の電極接合用金属層4dが径方向外側を向く姿勢ではんだ付けされる。そして、両鍔部22のボルト穴22aにボルト5を挿通し締結することにより両鍔部22と巻胴21とを確実に固定する。
このような超電導コイル1及びその製造方法によれば、超電導線材4の電極接合用金属層4dが常に径方向外側を向く姿勢で前記超電導線材4を巻回することができる。すなわち、電極接合用金属層4dが常に径方向外側を向く姿勢では、超電導線材4の電極接合用金属層4dが凸となる方向に曲げられた状態で巻回されるため、電極接合用金属層4d寄りに積層されている超電導層4cには、引張応力が作用する。したがって、超電導層4cに圧縮応力が作用するとその特性が劣化する超電導線材4であっても、その超電導線材4の有する特性の劣化を抑えた超電導コイル1とすることができる。
また、本発明の超電導コイル1及びその製造方法は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記本実施形態では、内径側電極31の内側面31aが巻枠2における巻胴21の内周面21aに沿う円弧形状を有するものについて説明したが、平面形状を有するものであってもよい。この場合には、この内径側電極31に接合される超電導線材4が屈曲されずに連続溝の入口側23aに導入されるように前記内径側電極31を配置するのが好ましい。
また、上記実施形態では、外径側電極32が平板形状を有する場合について説明したが、外径側電極32が円弧形状を有するものであってもよい。この場合には、超電導線材4が巻胴21の外周面21b上に巻回される部分に沿うように配置することにより、巻枠2の鍔部22の外径が小さくなり超電導コイル1をコンパクトにできる。
また、上記実施形態では、連続溝が、内周面21a側から外周面21b側に曲率半径が連続的に増大する円弧形状を有している場合について説明したが、直線状に形成されているものであってもよい。この場合において、連続溝の入口側23aと巻胴21の内周面21aとの連結部分、及び、連続溝の出口側23bと巻胴21の外周面21bとの連結部分は、巻回する超電導線材4が屈曲するのを抑制するために連続溝の配置、長さ、角度を適宜設定することが好ましい。
また、上記実施形態では、超電導線材4としてY系酸化物超電導線材4である場合について説明したが、Y系酸化物超電導線材4に限られず、超電導層4cに圧縮応力が作用するとその特性が劣化する超電導線材4であればよい。
具体的には、本発明で巻回するテープ状の超電導線材4としては、Y系酸化物超電導層以外にも、Bi系酸化物超電導層、NbSn超電導層、NbAl超電導層、MgB超電導層を有する超電導線材4であってもよい。
また、上記実施形態では、巻胴21と鍔部22とが別体である巻枠2について説明したが、一方側の鍔部22と巻胴21とが一体的に成形されているものを用いてもよい。
本発明の実施形態に係る超電導コイルを示す概略図(斜視図)である。 図1における超電導コイルの一部を分解した図である。 図2の平面図(一部断面図)である。 超電導線材の各層を概略的に示す図である。
符号の説明
1 超電導コイル
2 巻枠
3 電極
4 超電導線材(Y系酸化物超電導線材)
4b 絶縁層
4c 超電導層
4d 電極接合用金属層
5 ボルト
21 巻胴
21a 内周面
23 連通溝
31 内径側電極

Claims (7)

  1. 超電導線材が巻回される巻胴を有する巻枠と、
    前記巻枠に設けられる一対の電極と、
    電極接合用金属層と超電導層とを含むテープ状の線材であって、前記電極接合用金属層が最上層に配置され前記超電導層は相対的に前記電極接合用金属層寄りに配置される超電導線材と、
    を備えた超電導コイルであって、
    前記巻枠の巻胴は、内周面及び外周面を有する筒状に形成されているとともに、前記内周面側と外周面側とを連通する連通溝を有しており、
    前記一対の電極は、前記巻胴の内周面側にその一部が露出した状態で設けられる内径側電極と、前記巻胴よりも径方向外側に設けられる外径側電極とで構成され、
    前記超電導線材は、その一方側端部において、前記超電導線材の電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で、前記電極接合用金属層と前記内径側電極の露出部分とが接合される部分と、前記連通溝を通じて前記巻胴の内周面側から外周面側に導出される部分と、前記巻胴の外周面上に前記電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で巻回される部分と、前記超電導線材の他方側端部において、前記超電導線材の電極接合用金属層と前記外径側電極とが接合される部分とをこの順に有していることを特徴とする超電導コイル。
  2. 前記内径側電極の露出部分は、前記超電導線材が接合されるとともに径方向内側を向く内側面を有しており、前記内径側電極は、前記内側面と前記連通溝とが連続的に繋がるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 前記内径側電極の内側面は、前記巻胴の内周面に沿う円弧形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の超電導コイル。
  4. 前記巻枠の巻胴に形成される連通溝は、前記巻胴の内周面側から外周面側に、曲率半径が連続的に増大する円弧形状を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超電導コイル。
  5. 前記超電導線材は、Y系酸化物超電導層を有する超電導線材であって、基材、絶縁材、Y系酸化物超電導層、及び電極接合用金属層が、この順に積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超電導コイル。
  6. 前記Y系酸化物超電導層を有する超電導線材の電極接合用金属層は、銀、銀合金、銅、及び銅合金の中から選ばれる材料で構成されており、前記電極接合用金属層と電極とは、はんだ付けで接合されていることを特徴とする請求項5に記載の超電導コイル。
  7. 前記請求項1〜6のいずれかに記載の超電導コイルの製造方法であって、
    前記巻枠における巻胴の内周面側に前記内径側電極を取り付ける工程と、
    前記内径側電極と前記超電導線材の一方側端部における電極接合用金属層とを、この電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢ではんだ付けによって接合する工程と、
    前記内径側電極に接合された前記超電導線材を前記連通溝に挿通させて前記巻胴の外周面側に導出させ、この超電導線材の電極接合用金属層が径方向外側を向く姿勢で超電導線材を巻胴の外周面上に巻回する工程と、
    前記超電導線材の他方側端部における電極接合用金属層と前記外径側電極とをはんだ付けによって接合する工程と、
    を含むことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
JP2006232204A 2006-08-29 2006-08-29 超電導コイル及びその製造方法 Pending JP2008060143A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006232204A JP2008060143A (ja) 2006-08-29 2006-08-29 超電導コイル及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006232204A JP2008060143A (ja) 2006-08-29 2006-08-29 超電導コイル及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008060143A true JP2008060143A (ja) 2008-03-13

Family

ID=39242575

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006232204A Pending JP2008060143A (ja) 2006-08-29 2006-08-29 超電導コイル及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008060143A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013041871A (ja) * 2011-08-11 2013-02-28 Fujikura Ltd 超電導コイル及びその製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01298706A (ja) * 1988-05-27 1989-12-01 Fuji Electric Co Ltd 超電導コイルの製造方法
JPH03138817A (ja) * 1989-03-31 1991-06-13 Sumitomo Electric Ind Ltd 酸化物超電導線、その製造方法およびそれを用いた製品
JPH09129438A (ja) * 1995-10-30 1997-05-16 Hitachi Ltd 酸化物超電導コイル及びその製造方法
JP2000197263A (ja) * 1998-12-25 2000-07-14 Toshiba Corp 限流素子用超電導コイル装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01298706A (ja) * 1988-05-27 1989-12-01 Fuji Electric Co Ltd 超電導コイルの製造方法
JPH03138817A (ja) * 1989-03-31 1991-06-13 Sumitomo Electric Ind Ltd 酸化物超電導線、その製造方法およびそれを用いた製品
JPH09129438A (ja) * 1995-10-30 1997-05-16 Hitachi Ltd 酸化物超電導コイル及びその製造方法
JP2000197263A (ja) * 1998-12-25 2000-07-14 Toshiba Corp 限流素子用超電導コイル装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013041871A (ja) * 2011-08-11 2013-02-28 Fujikura Ltd 超電導コイル及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8569924B2 (en) Rotating electric machine and compressor
KR970006068B1 (ko) 전자기 펌프용 내측 고정자의 제조 방법
US10848018B2 (en) Stator, motor and pump device
JP5879749B2 (ja) 超電導コイル、超電導マグネット、および超電導コイルの製造方法
JP2011198847A (ja) リアクトル用ボビン、およびリアクトル
JP5534712B2 (ja) 高温超電導パンケーキコイルおよび高温超電導コイル
JP2005085560A (ja) リッツ線コイル
JP2010098267A (ja) 超電導コイル装置
JP2011040567A (ja) 超電導コイル装置及び該超電導コイル装置を具備した超電導回転機
JP2003264110A (ja) スパイラルコイルとトランス
CN106685110B (zh) 一种电机定子及电机
JP2009016622A (ja) 超電導コイルユニットおよび該超電導コイルユニットを備えた超電導機器
JP2008060143A (ja) 超電導コイル及びその製造方法
JP4413365B2 (ja) 超電導コイル装置および超電導コイルの接続方法
JP2010267550A (ja) 離形材付き高温超電導線材および超電導コイル
JP4853406B2 (ja) 超電導コイルユニットおよび該超電導コイルユニットを備えた超電導機器
JP5449822B2 (ja) ダブルパンケーキコイル
JP5858723B2 (ja) 積層型超電導コイル装置および超電導コイル装置
JP2010020970A (ja) 超電導ケーブルコアの接続構造
JP2012114230A (ja) 超電導コイル
JP5710312B2 (ja) 超電導コイル装置
JP2005340607A (ja) インダクタ
JP2005310988A (ja) リアクトル又はトランスの組付け方法
JP7420475B2 (ja) 超電導コイル及び超電導装置
JP2008153372A (ja) 超電導コイルおよび該超電導コイルを備えた超電導機器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110331

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110426

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110816