JP2008056975A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上に膜を形成する際に、異物の発生を抑制し、膜を良好に形成できる成膜装置を提供する。
【解決手段】成膜装置は、ターゲット材料にイオン粒子を照射して、ターゲット材料より膜を形成するためのスパッタ粒子を放出させるスパッタ装置と、基板を保持して移動可能であり、ターゲット材料からのスパッタ粒子が供給可能な位置に基板を配置可能な基板保持部材と、ターゲット材料と基板との間に配置され、ターゲット材料からのスパッタ粒子の少なくとも一部が通過可能な開口を有する所定部材とを備える。所定部材は、ターゲット材料と同じ材料によって形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、成膜装置に関する。
液晶装置は、液晶分子を配向させる配向膜を備えている。配向膜として、ポリイミド等の有機材料からなる配向膜、すなわち有機配向膜を用いる場合が多いが、近時においては、耐熱性及び耐光性の向上等を目的として、窒化珪素等の無機材料からなる配向膜、すなわち無機配向膜を用いることが提案されている。下記特許文献には、スパッタ法を用いて無機配向膜を形成する成膜装置に関する技術の一例が開示されている。
特開2004−170744号公報
スパッタ装置は、ターゲット材料にイオン粒子を照射して、ターゲット材料よりスパッタ粒子を放出させ、そのスパッタ粒子を基板に供給することによって、基板上に膜を形成する。ターゲット材料から放出されたスパッタ粒子の一部は基板に供給されるが、別の一部は成膜装置を構成する各種部材の表面に供給される可能性がある。基板以外の部材の表面に供給されたスパッタ粒子がその部材の表面に膜を形成した場合、その膜の一部が部材の表面から剥がれる可能性がある。剥がれた膜は異物として作用し、その異物が基板に付着した場合、基板上に膜を良好に形成することができず、製造されるデバイスの性能が劣化する可能性がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、基板上に膜を形成する際に、異物の発生を抑制し、膜を良好に形成できる成膜装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
本発明の第1の態様によると、基板の表面に膜を形成する成膜装置であって、ターゲット材料にイオン粒子を照射して、前記ターゲット材料より前記膜を形成するためのスパッタ粒子を放出させるスパッタ装置と、前記基板を保持して移動可能であり、前記ターゲット材料からの前記スパッタ粒子が供給可能な位置に前記基板を配置可能な基板保持部材と、前記ターゲット材料と前記基板との間に配置され、前記ターゲット材料からの前記スパッタ粒子の少なくとも一部が通過可能な開口を有する所定部材と、を備え、前記所定部材は、前記ターゲット材料と同じ材料によって形成されている成膜装置が提供される。
本発明の第1の態様によれば、ターゲット材料から放出されたスパッタ粒子の少なくとも一部は、所定部材の開口を介して基板上に供給されるので、基板上に膜を良好に形成することができる。ターゲット材料から放出されたスパッタ粒子の別の一部は、所定部材の表面に供給される可能性があり、その供給されたスパッタ粒子によって、所定部材の表面に膜が形成される可能性があるが、所定部材は、ターゲット材料と同じ材料によって形成されているので、所定部材の表面から膜が剥がれるのを抑制することができる。すなわち、所定部材の表面に形成された膜が剥がれる原因の1つとして、所定部材と膜との線膨張係数の違いが挙げられる。所定部材と膜との線膨張係数が大きく異なると、スパッタリング処理において所定部材が高温となる場合、所定部材の膨張量と膜の膨張量との間に大きな差が生じ、所定部材の表面に形成された膜に亀裂(クラック)が発生し、そのクラックの発生によって、膜の一部が所定部材から剥がれる可能性がある。所定部材を、ターゲット材料と同じ材料によって形成することによって、所定部材の表面から膜が剥がれるのを抑制することができる。したがって、異物の発生を抑制することができ、基板上に膜を良好に形成することができる。
本発明の第2の態様によると、基板の表面に膜を形成する成膜装置であって、ターゲット材料にイオン粒子を照射して、前記ターゲット材料より前記膜を形成するためのスパッタ粒子を放出させるスパッタ装置と、前記基板を保持して移動可能であり、前記ターゲット材料からの前記スパッタ粒子が供給可能な位置に前記基板を配置可能な基板保持部材と、前記ターゲット材料と前記基板との間に配置され、前記ターゲット材料からの前記スパッタ粒子の少なくとも一部が通過可能な開口を有する所定部材と、を備え、前記所定部材は、前記ターゲット材料の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成されている成膜装置が提供される。
本発明の第2の態様によれば、ターゲット材料から放出されたスパッタ粒子の少なくとも一部は、所定部材の開口を介して基板上に供給されるので、基板上に膜を良好に形成することができる。ターゲット材料から放出されたスパッタ粒子の別の一部は、所定部材の表面に供給される可能性があり、その供給されたスパッタ粒子によって、所定部材の表面に膜が形成される可能性があるが、所定部材は、ターゲット材料の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成されているので、所定部材の表面から膜が剥がれるのを抑制することができる。すなわち、所定部材の表面に形成された膜が剥がれる原因の1つとして、所定部材と膜との線膨張係数の違いが挙げられる。所定部材と膜との線膨張係数が大きく異なると、スパッタリング処理において所定部材が高温となる場合、所定部材の膨張量と膜の膨張量との間に大きな差が生じ、所定部材の表面に形成された膜に亀裂(クラック)が発生し、そのクラックの発生によって、膜の一部が所定部材から剥がれる可能性がある。所定部材を、ターゲット材料の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成することによって、所定部材の表面から膜が剥がれるのを抑制することができる。したがって、異物の発生を抑制することができ、基板上に膜を良好に形成することができる。
上記態様の成膜装置において、前記基板上における前記スパッタ粒子が供給される供給領域を規定する開口を有する第1部材を備え、前記所定部材は、前記第1部材を含む構成を採用することができる。
これによれば、ターゲット材料と基板との間に、基板上におけるスパッタ粒子が供給される供給領域を規定する開口を有する第1部材が配置されるので、開口によって規定される基板上の所望の供給領域にスパッタ粒子を供給することができる。そして、その第1部材の表面にスパッタ粒子が供給され、その第1部材の表面の少なくとも一部に膜が形成された場合であっても、第1部材は、ターゲット材料と同じ材料又はターゲット材料の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成されているので、その膜が剥がれるのを抑制することができる。したがって、異物の発生を抑制することができ、基板上の所望の領域に膜を良好に形成することができる。
上記態様の成膜装置において、前記基板上における前記スパッタ粒子が供給される供給領域を規定する開口を有する第1部材と、前記第1部材の表面に前記スパッタ粒子が供給されるのを抑制する第2部材とを備え、前記所定部材は、前記第2部材を含む構成を採用することができる。
これによれば、ターゲット材料と基板との間に、基板上におけるスパッタ粒子が供給される供給領域を規定する開口を有する第1部材が配置されるので、開口によって規定される基板上の所望の供給領域にスパッタ粒子を供給することができる。そして、第2部材によって、第1部材の表面にスパッタ粒子が供給されるのを抑制することができ、第1部材の表面に膜が形成されるのを抑制することができる。したがって、第1部材からの異物の発生を抑制することができる。そして、その第2部材の表面にスパッタ粒子が供給され、その第2部材の表面の少なくとも一部に膜が形成された場合であっても、第2部材は、ターゲット材料と同じ材料又はターゲット材料の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成されているので、その膜が剥がれることを抑制することができる。したがって、異物の発生を抑制することができ、基板上の所望の領域に膜を良好に形成することができる。
上記態様の成膜装置において、前記第2部材を交換する交換装置を備えた構成を採用することができる。
これによれば、第2部材を交換する交換装置を設けたので、例えば第2部材の表面に許容量以上の膜が形成された場合には、交換装置を用いて、第2部材を新たなものと交換することができる。したがって、成膜装置内における第2部材からの異物の発生を抑制することができ、基板上に膜を良好に形成することができる。
上記態様の成膜装置において、前記交換装置は、前記第2部材を着脱可能に保持する保持機構と、前記保持機構に前記第2部材を搬入可能であるとともに前記保持機構から前記第2部材を搬出可能な搬送装置とを含む構成を採用することができる。
これによれば、第2部材を新たなものと円滑に交換することができる。
上記態様の成膜装置において、前記第2部材上の前記スパッタ粒子の量を検出可能な検出装置を備え、前記交換装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて作動する構成を採用することができる。
これによれば、第2部材上のスパッタ粒子の量を検出可能な検出装置を設けたので、例えば検出装置の検出結果に基づいて、第2部材の表面に許容量以上の膜が形成されたと判断された場合に、交換装置を用いて、適切なタイミングで、第2部材を新たなものと交換することができる。したがって、成膜装置内における第2部材からの異物の発生を抑制することができ、基板上に膜を良好に形成することができる。
上記態様の成膜装置において、前記開口は、前記基板の表面よりも小さい構成を採用することができる。
これによれば、開口を少なくとも基板の表面よりも十分に小さくすることによって、例えばスパッタ装置で発生したプラズマが基板の表面の広い領域に作用したり(基板の表面の広い領域がプラズマに晒されたり)、そのプラズマにより生成される荷電粒子(電子、イオン状物質等)が基板の表面の広い領域に供給されるのを所定部材で抑制することができる。したがって、それらプラズマ等によって基板がダメージを受けるといった不具合を抑制することができ、基板上に膜を良好に形成することができる。
上記態様の成膜装置において、前記基板を第1方向に移動しつつ前記開口を通過した前記スパッタ粒子が前記基板に供給され、前記開口は、前記第1方向と直交する第2方向に長いスリット状である構成を採用することができる。
これによれば、基板の表面の広い領域において均一な膜を良好に形成することができる。
上記態様の成膜装置において、前記第1部材は、前記基板の表面に対して傾斜するように配置され、前記スパッタ粒子が通過可能な複数の通路を有する筒状部材を含み、前記開口は、前記通路の端を含む構成を採用することができる。
これによれば、基板の表面に対するスパッタ粒子の入射角を規定することができ、基板の表面に所望状態の膜を形成することができる。
上記態様の成膜装置において、前記スパッタ装置で発生したプラズマにより生成される荷電粒子を捕捉して、前記基板に前記荷電粒子が供給されるのを抑制する捕捉装置を備えた構成を採用することができる。
これによれば、プラズマにより生成される荷電粒子(電子、イオン状物質等)を捕捉する捕捉装置を設けたので、荷電粒子が基板に供給されるの抑制することができ、荷電粒子によって基板がダメージを受けるといった不具合を抑制することができ、基板上に膜を良好に形成することができる。
上記態様の成膜装置において、前記捕捉装置は、前記開口に配置され、前記スパッタ粒子を通過可能な金属製のメッシュを含む構成を採用することができる。
これによれば、開口に金属製のメッシュを配置したので、スパッタ粒子は、メッシュの微細な開口を通過して基板に供給され、荷電粒子は、金属製のメッシュによって捕捉されるので、基板上に膜を良好に形成することができる。
上記態様の成膜装置において、前記捕捉装置は、磁力で前記荷電粒子を捕捉する磁界生成装置を含む構成を採用することができる。
これによれば、磁界生成装置を設けたので、荷電粒子は、磁力によって捕捉され、スパッタ粒子は、基板に供給されるので、基板上に膜を良好に形成することができる。
前記ターゲット材料は無機材料を含み、前記開口を通過した前記スパッタ粒子が前記基板の表面に斜め方向から供給されるように、前記ターゲット材料と前記開口と前記基板とが所定の位置関係で配置される構成を採用することができる。
これによれば、所望の形状(所望の角度)で形成された複数の射方柱(カラム、柱状構造体)を含む無機配向膜を基板上に良好に形成することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る成膜装置1を示す概略構成図である。本実施形態においては、成膜装置1は、スパッタ法に基づいて、基板Wの表面に膜を形成可能である。以下の説明においては、成膜装置1が、液晶装置の少なくとも一部となる基板Wの表面に無機材料からなる無機配向膜Mを形成する成膜装置である場合を例にして説明する。
図1において、成膜装置1は、ターゲット材料Tにイオン粒子p1を照射して、ターゲット材料Tより無機配向膜Mを形成するためのスパッタ粒子p2を放出させるスパッタ装置2と、基板Wを保持して移動可能であり、ターゲット材料Tからのスパッタ粒子p2が供給可能な位置に基板Wを配置可能な基板ステージ3と、ターゲット材料Tと基板Wとの間に配置され、ターゲット材料Tからのスパッタ粒子p2の少なくとも一部が通過可能な開口4K、5Kを有する所定部材4、5と、成膜装置1全体の動作を制御する制御装置6とを備えている。
本実施形態においては、所定部材4、5は、ターゲット材料Tと同じ材料によって形成されている。本実施形態においては、ターゲット材料Tは、無機材料を含み、所定部材4、5も、無機材料を含む。本実施形態においては、ターゲット材料Tは、二酸化珪素(SiO)を含み、所定部材4、5も、二酸化珪素(SiO)を含む。なお、ターゲット材料Tは、アルミナ(Al)を含んでもよい。その場合、所定部材4、5も、ターゲット材料Tと同様、アルミナ(Al)を含む。
成膜装置1は、第1チャンバ(基板処理チャンバ、成膜室)7を備えており、スパッタ装置2の少なくとも一部、及び基板ステージ3のそれぞれは、第1チャンバ7の内側に配置されている。成膜装置1は、第1チャンバ7の内側において、スパッタ装置2を用いて、基板Wの表面に無機配向膜Mを形成する。第1チャンバ7には、その第1チャンバ7内の環境を調整する第1空調ユニット7Lが接続されている。本実施形態においては、第1空調ユニット7Lは、排気機構(真空システム)を含み、第1チャンバ7の内側の空間は、第1空調ユニット7Lによって、真空状態に調整される。
また、本実施形態においては、第1チャンバ7には、第2チャンバ(ロードロックチャンバ)8が接続されている。第2チャンバ8には、基板ステージ3に基板Wを搬入可能であるとともに、基板ステージ3から基板Wを搬出可能な搬送装置9が配置されている。第2チャンバ8には、その第2チャンバ8内の環境を調整する第2空調ユニット8Lが接続されている。本実施形態においては、第2空調ユニット8Lは、排気機構(真空システム)を含み、第2チャンバ8の内側の空間は、第2空調ユニット8Lによって、真空状態に調整される。
第1チャンバ7と第2チャンバ8とは通路(ゲート)10を介して接続されており、その通路10には、通路10を開閉可能な扉(バルブ)11が配置されている。制御装置6は、搬送装置9を用いて基板ステージ3との間で基板Wを搬送する場合、扉11を駆動して通路10を開ける。また、制御装置6は、基板ステージ3に保持されている基板Wを処理(成膜処理)する場合、扉11を駆動して通路10を閉じる。
スパッタ装置2は、RFスパッタ装置を含み、高周波電源2Aと、高周波電源2Aに接続され、ターゲット材料Tを保持可能な電極2Bとを有する。スパッタ装置2は、第1チャンバ7内におけるターゲット材料Tの近傍、本実施形態においては、ターゲット材料Tの−Z側の所定領域において、プラズマを発生させる。また、スパッタ装置2は、プラズマが発生したプラズマ発生領域PUに、アルゴンガス(Arガス)及び酸素ガス(Oガス)の少なくとも一方を放電用ガスとして供給可能である。スパッタ装置2は、プラズマ発生領域PUに放電用ガスを供給することによって、その放電用ガスに基づくイオン粒子p1を生成する。スパッタ装置2は、生成したイオン粒子p1をターゲット材料Tに照射して、ターゲット材料Tより、無機配向膜Mを形成するためのスパッタ粒子p2を放出させる。
本実施形態においては、ターゲット材料Tは、直方体状であり、電極2Bは、プラズマ発生領域PUと対向するターゲット材料Tの下面とXY平面とがほぼ平行となるように、ターゲット材料Tを保持する。また、本実施形態においては、XY平面内におけるターゲット材料Tの下面の形状は、Y軸方向に長い長方形状である。
基板ステージ3は、基板Wを保持可能なホルダ部材3Aと、その基板Wを保持したホルダ部材3AをX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能な駆動機構3Bとを有する。すなわち、基板ステージ3は、ホルダ部材3Aで保持した基板Wを、駆動機構3Bを用いて6自由度の方向に移動可能である。基板ステージ3は、無機配向膜Mが形成される基板Wの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、ホルダ部材3Aで基板Wを保持する。
成膜装置1は、基板ステージ3のホルダ部材3Aで保持した基板Wの温度を調整可能な温度調整装置12を備えている。温度調整装置12は、ホルダ部材3Aで保持した基板Wを加熱可能な加熱装置12Aと、ホルダ部材3Aで保持した基板Wを冷却可能な冷却装置12Bとを有する。加熱装置12Aは、例えばホルダ部材3Aの内部に配置された電熱線等のヒータ部材を含む。冷却装置12Bは、例えばホルダ部材3Aの内部に配置された冷媒が流れる流路形成部材を含む。加熱装置12A及び冷却装置12Bを含む温度調整装置12は、ホルダ部材3Aの温度を調整し、そのホルダ部材3Aを介して、ホルダ部材3Aに保持された基板Wを所望の温度に調整可能である。
所定部材4は、スパッタ装置2の電極2Bによって保持されるターゲット材料Tと、基板ステージ3のホルダ部材3Aによって保持される基板Wとの間に配置されている。
所定部材4は、ターゲット材料Tからのスパッタ粒子p2の少なくとも一部が通過可能な開口4Kを有している。開口4Kは、基板W上におけるスパッタ粒子p2が供給される供給領域APを規定する。本実施形態においては、XY平面内における開口4Kの形状は、Y軸方向に長いスリット状である。また、XY平面内における開口4Kの大きさは、基板Wの表面の大きさよりも小さい。
ここで、以下の説明において、基板W上におけるスパッタ粒子p2が供給される供給領域APを規定するスリット状の開口4Kを有する所定部材4を適宜、スリット部材4、と称する。
スリット部材4の開口4Kは、ターゲット材料Tの下面のZ軸とほぼ平行な法線に対して+X方向に所定距離離れた位置に形成されている。そして、ターゲット材料Tの下面の中心と交わるその下面の法線と、ターゲット材料Tの下面の中心と開口4Kの中心とを結ぶ線とがなす角度θは、基板Wの表面に形成される無機配向膜Mの目標形状に応じて定められる。本実施形態においては、角度θは、約45度に設定されている。
所定部材5は、スパッタ装置2の電極2Bによって保持されるターゲット材料Tと、基板ステージ3のホルダ部材3Aによって保持される基板Wとの間に配置されている。
所定部材5は、ターゲット材料Tからのスパッタ粒子p2の少なくとも一部が通過可能な開口5Kを有している。所定部材5は、無機配向膜Mが形成される基板Wの表面に対して傾斜するように配置され、スパッタ粒子p2が通過可能な複数の通路5Gを有している。開口5Kは、その所定部材5の通路5Gの上端及び下端のそれぞれに形成されている。所定部材5は、複数の筒状の部材を組み合わせたものである。
ここで、以下の説明において、基板Wの表面に対して傾斜するように配置され、スパッタ粒子p2が通過可能な複数の通路5Gを有する所定部材5を適宜、筒状部材5、と称する。
図2は、スリット部材4の開口4Kの近傍を示す模式図である。図1及び図2に示すように、筒状部材5は、スリット部材4の開口4Kの近傍に配置されている。筒状部材5の複数の開口5Kのそれぞれは、基板W上におけるスパッタ粒子p2に供給される供給領域APを規定する。本実施形態においては、XY平面内における筒状部材5の開口5Kのそれぞれの形状は、六角形状である。また、XY平面内における開口5Kそれぞれの大きさは、基板Wの表面の大きさよりも小さい。
また、本実施形態においては、筒状部材5は、筒状部材5の複数の通路5Gのそれぞれ中心軸と、ターゲット材料Tの下面の中心とスリット部材4の開口4Kの中心とを結ぶ線とがほぼ平行となるように、スリット部材4の開口4Kの近傍に配置されている。すなわち、筒状部材5の複数の通路5Gのそれぞれは、XY平面とほぼ平行な基板Wの表面に対して角度θ(約45度)傾斜するように配置されている。
本実施形態においては、筒状部材5は、スリット部材4の開口4Kの−Z側に配置されている。また、XY平面内における筒状部材5の外形は、スリット部材4の開口4Kよりも大きい。
本実施形態においては、筒状部材5は、六角形の筒状の部材を並列に複数組み合わせたものであって、それら複数の六角形の筒状の部材を組み合わせることによって、筒状部材5は、いわゆるハニカム構造(最密充填構造)を形成する。筒状部材5をハニカム構造にすることによって、筒状部材5の外形の大型化を抑制しつつ、通路5Gを大きくすることができる。したがって、通路5Gにおける圧力損失を小さくすることができ、スパッタ粒子p2は、通路5Gを円滑に通過可能である。なお、本実施形態においては、通路5Gの長さは、例えば1cm〜20cmである。
また、成膜装置1は、スパッタ装置2で発生したプラズマにより生成される荷電粒子p3を捕捉して、基板Wに荷電粒子p3が供給されるのを抑制する捕捉装置13を備えている。本実施形態においては、捕捉装置13は、開口5Kに配置され、荷電粒子p3を捕捉可能であるとともに、スパッタ粒子p2を通過可能な金属製のメッシュ14を含む。メッシュ14は、アルミニウム等の非磁性金属によって形成されている。
メッシュ14は、スリット部材4の開口4Kの−Z側に配置されている。また、XY平面内におけるメッシュ14の外形は、スリット部材4の開口4Kよりも大きい。すなわち、メッシュ14は、スリット部材4の開口4Kを覆うように配置されている。そして、本実施形態においては、スリット部材4の開口4Kを通過したスパッタ粒子p2の全てが、メッシュ14に供給される。また、メッシュ14は、接地(アース)されている。
筒状部材5は、メッシュ14よりも−Z側に配置されている。すなわち、本実施形態においては、スリット部材4と筒状部材5との間に、メッシュ14が配置されている。なお、図2においては、見やすくするため、メッシュ14の一部を破断して図示してある。
また、上述のように、XY平面内における筒状部材5の外形は、スリット部材4の開口4Kよりも大きい。すなわち、本実施形態においては、スリット部材4の開口4Kを通過したスパッタ粒子p2の大部分は、メッシュ14を介して、筒状部材5の上端に供給される。そして、筒状部材5の上端に供給されたスパッタ粒子p2は、上端の複数の開口5Kのそれぞれを介して、複数の通路5Gのそれぞれに流入する。通路5Gに流入したスパッタ粒子p2は、通路5Gを通過した後、下端の複数の開口5Kのそれぞれを介して、基板W上に供給される。
次に、上述の構成を有する成膜装置1を用いて、基板Wの表面に無機配向膜Mを形成する方法について説明する。
まず、成膜処理されるべき基板Wが、所定の処理装置15(図1参照)から第2チャンバ8内に供給される。処理装置15は、基板Wの基材(例えばガラス基板)上に所定の機能膜を形成可能であり、本実施形態においては、基板W上には、処理装置15によって、例えばITO等の透明導電膜が予め形成されている。基板Wが第2チャンバ8内に供給された後、第2チャンバ8内は、真空状態に調整される。また、制御装置6は、第1空調ユニット7Lを制御して、第1チャンバ7内を真空状態に調整する。
制御装置6は、搬送装置9を用いて、基板Wを第1チャンバ7内に搬送し、基板ステージ3のホルダ部材3Aに基板Wを搬入(ロード)する。ホルダ部材3Aは、基板Wを保持する。そして、制御装置6は、温度調整装置12の加熱装置12Aを用いて、ホルダ部材3Aに保持されている基板Wを、例えば250℃〜300℃で加熱し、基板Wの表面に付着している水分を除去する脱水処理、及び基板Wの表面に付着しているガスを除去する脱ガス処理の少なくとも一方を実行する。
制御装置6は、加熱装置12Aによる加熱処理を実行した後、スパッタリングによる基板Wの温度上昇を抑制するため、温度調整装置12の冷却装置12Bを用いて、ホルダ部材3Aに保持されている基板Wを所定の温度(例えば23度程度の室温)に調整する。なお、このとき、制御装置6は、基板Wを所定の温度(室温)に調整するために、加熱装置12Aと冷却装置12Bとを並行して作動させてもよい。
制御装置6は、基板Wを所定の温度に調整した後、スパッタ装置2を用いて、ターゲット材料Tをスパッタリングする。すなわち、制御装置6は、第1チャンバ7内に、アルゴンガス及び酸素ガスの少なくとも一方を含む放電用ガスを、単位時間当たり所定量で供給するとともに、第1空調ユニット7Lを用いて、第1チャンバ7内を所定の圧力(例えば1〜10Pa)に調整する。そして、制御装置6は、スパッタ装置2の高周波電源2Aより、ターゲット材料Tを保持している電極2Bに電力を供給し、第1チャンバ7内におけるターゲット材料Tの近傍の所定領域において、プラズマを発生させる。
プラズマ発生領域PUに放電用ガスが供給されることによって、その放電用ガスに基づくイオン粒子p1が生成される。生成されたイオン粒子p1は、ターゲット材料Tに照射される。ターゲット材料Tにイオン粒子p2が照射されることによって、そのターゲット材料Tから、無機配向膜Mを形成するためのスパッタ粒子p2が放出される。
なお、プラズマ発生領域PUにおいて、酸素ラジカル、酸素の負イオンが発生するため、第1チャンバ7内(プラズマ発生領域PU)に対する酸素ガスの供給を実行しないようにしてもよい。また、制御装置6は、スパッタリング処理中において、必要に応じて温度調整装置12を用いて、基板Wの温度の調整を実行する。
図3は、スリット部材4の開口4K近傍を拡大した模式図である。ターゲット材料Tより放出されたスパッタ粒子p2の少なくとも一部は、スリット部材4の開口4Kを通過する。スリット部材4の開口4Kを通過したスパッタ粒子p2は、メッシュ14を通過した後、筒状部材5の上端の開口5Kに供給される。筒状部材5の上端の開口5Kに供給されたスパッタ粒子p2は、上端の複数の開口5Kのそれぞれを介して、複数の通路5Gのそれぞれに流入する。
本実施形態においては、スリット部材4と筒状部材5との間に、開口4Kを覆うように、アースされた金属製のメッシュ14が配置されており、プラズマにより生成される電子、イオン状物質等の荷電粒子p3は、基板Wに供給される前に、メッシュ14で捕捉される。
制御装置6は、基板ステージ3を用いて、ターゲット材料Tからのスパッタ粒子p2が供給可能な位置に基板Wを配置する。具体的には、制御装置6は、筒状部材5の下端の開口5Kと対向する位置に、基板Wを配置する。筒状部材5の上端の開口5Kを介して通路5Gに流入し、その通路5Gを通過したスパッタ粒子p2は、下端の複数の開口5Kのそれぞれを介して、基板W上に供給される。
図4は、ターゲット材料Tと開口4K、5Kと基板W上の供給領域APとの位置関係、及びそれぞれの形状を説明するための模式図である。上述のように、本実施形態においては、XY平面内におけるターゲット材料Tの下面の形状は、Y軸方向に長い長方形状である。また、XY平面内におけるスリット部材4の開口4Kの形状は、Y軸方向に長いスリット状(矩形状、長方形状)である。また、基板W上におけるスパッタ粒子p2が供給されるXY平面内における供給領域APの形状は、開口4Kに応じて、Y軸方向に長い長方形状である。また、XY平面内におけるスリット部材4の開口4Kの大きさは、基板Wの表面の大きさよりも小さく、XY平面内における筒状部材5の開口5Kのそれぞれの大きさも、基板Wの表面の大きさよりも十分に小さい。
そして、本実施形態においては、制御装置6は、基板ステージ3を用いて基板WをX軸方向に移動しつつ、スパッタ装置2を用いたスパッタリング処理を実行する。すなわち、本実施形態においては、基板WをX軸方向に移動しつつ、開口4K、5Kを介したスパッタ粒子p2が、基板Wの表面に連続的に供給される。
スパッタリングを実行することによって、ターゲット材料Tからは、スパッタ粒子p2が放射状に放出される。本実施形態においては、ターゲット材料Tと基板Wとの間に、基板W上における供給領域APを規定する開口4Kを有するスリット部材4が配置されているので、ターゲット材料Tから放出されたスパッタ粒子p2のうち、スリット部材p2の開口4Kを通過する一部のスパッタ粒子p2のみが、基板W上に供給される。また、ターゲット材料Tと基板Wとの間には、基板W上における供給領域APを規定する開口5Kを有する筒状部材5も配置されているので、ターゲット材料Tから放出されたスパッタ粒子p2の少なくとも一部は、基板W上の供給領域APに良好に供給される。
また、本実施形態においては、開口4K、5Kを通過したスパッタ粒子p2が基板Wの表面に斜め方向から供給されるように、ターゲット材料Tと開口4K、5Kと基板Wとが所定の位置関係で配置されている。具体的には、上述のように、ターゲット材料Tの下面の中心と交わるその下面の法線と、ターゲット材料Tの下面の中心と開口4Kの中心とを結ぶ線とが角度θ(例えば45度)に定められており、筒状部材5の複数の通路5Gのそれぞれが、基板Wの表面(XY平面)に対して角度θ(約45度)傾斜するように配置されている。したがって、開口4K、5Kを通過したスパッタ粒子p2は、基板Wの表面に対して角度θ(45度)傾斜した斜め方向から、その基板Wの表面に供給される。すなわち、基板Wの表面には、入射角θでスパッタ粒子p2が供給される。これにより、基板Wの表面には、所望の角度で傾くように形成された複数の射方柱(カラム、柱状構造体)を含む無機配向膜Mが形成される。
また、ターゲット材料T(プラズマ発生領域PU)と基板Wとの間には、スリット部材4及び筒状部材5が配置されているので、基板Wがプラズマに晒されるのを抑制することができ、プラズマの影響が基板W側に及ぶのを抑制することができる。スリット部材4の開口4K、筒状部材5Kの開口5Kは、少なくとも基板Wの表面に対して十分に小さいので、開口4K、5Kを介してプラズマの一部が基板W側に漏れ出るのを抑え、基板Wに及ぼされるプラズマの影響を最小限に抑えることができる。
ターゲット材料Tから放出されたスパッタ粒子p2のうち、スリット部材4の開口4K、及び筒状部材5の開口5Kを通過しない一部のスパッタ粒子p2は、例えばスリット部材4の表面の少なくとも一部(例えばターゲット材料Tと対向する+Z側の面)に供給されたり、筒状部材5の表面の少なくとも一部に供給される可能性がある。例えば、スリット部材4の+Z側の面(上面)に供給されたスパッタ粒子p2は、そのスリット部材4の上面に膜M’(図3参照)を形成する可能性がある。
本実施形態においては、スリット部材4は、ターゲット材料Tと同じ材料によって形成されているので、スリット部材4の表面から、膜M’の一部が剥がれるのを抑制することができる。すなわち、スリット部材4に形成された膜M’の一部が剥がれる原因の1つとして、スリット部材4と膜M’との線膨張係数(熱膨張係数)の違いが挙げられる。スパッタリング処理において、スリット部材4が高温となる場合、スリット部材4と膜M’との線膨張係数が大きく異なると、スリット部材4の膨張量と膜M’の膨張量との間に大きな差が生じ、スリット部材4の表面に付着していた膜M’に亀裂(クラック)が発生し、そのクラックの発生によって、膜M’の一部がスリット部材4から剥がれる可能性がある。すなわち、スリット部材4の線膨張係数と、そのスリット部材4の表面に形成された膜M’の線膨張係数とが大きく異なると、スリット部材4の温度が大きく変化したときに(高温になったときに)、膜M’にクラックが発生し、膜M’の少なくとも一部がスリット部材4から剥がれやすくなる可能性がある。スリット部材4から剥がれた膜M’は異物として作用し、その異物(膜M’の一部)が基板Wに付着すると、基板Wに基づいて製造されるデバイスの性能が劣化する。
本実施形態においては、スリット部材4及び筒状部材5等、基板W以外のスパッタ粒子p2が供給される可能性のある部材(スパッタ粒子p2が通過可能な開口を有する部材)を、ターゲット材料Tと同じ材料によって形成したので、ターゲット材料Tから放出されたスパッタ粒子p2がその部材4、5の表面に膜M’を形成した場合でも、その部材4、5の線膨張係数と、その部材4、5の表面に形成される膜M’の線膨張係数とはほぼ等しいので、膜M’が形成されたスリット部材4の温度が大きく変化した場合でも、膜M’におけるクラックの発生、膜M’のスリット部材4からの剥がれ等を抑制することができる。したがって、基板W上に膜M’を良好に形成することができ、その基板Wに基づいて、所望の性能を有するデバイスを製造することができる。
以上説明したように、スパッタ粒子p2が供給される可能性がある基板W以外の部材4、5を、ターゲット材料Tと同じ材料で形成することによって、その部材4,5の表面にスパッタ粒子p2に基づいて膜M’が形成されても、その膜M’が部材4、5から剥がれるのを抑制することができる。したがって、異物の発生を抑制することができ、基板W上に膜を良好に形成することができる。
また、本実施形態においては、部材4、5に形成される膜M’は、その部材4、5から剥がれにくいので、例えばその部材4、5に形成される膜M’の量(厚み等)がある程度多くなるまで、部材4、5のメンテナンス作業等を実行しなくても許容される。換言すれば、本実施形態においては、部材4、5の表面に形成される膜M’の許容量(許容厚み)を大きくすることができる。したがって、部材4、5等のメンテナンス作業を実行する周期を長くすることができたり、メンテナンス作業を簡易に行うことができる。したがって、メンテナンス作業に起因するデバイス生産性の劣化を抑制し、デバイス生産性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態においては、メッシュ14はターゲット材料Tと異なる材料によって形成されているが、メッシュ14の交換作業、メンテナンス作業等は、スリット部材4の交換作業、メンテナンス作業等に比べて短時間で簡易に実行可能であり、デバイス生産性の大幅な劣化を抑制することができる。
また、本実施形態においては、ターゲット材料T(プラズマ発生領域PU)と、基板Wとの間にスリット部材4が配置されているので、例えばスパッタ装置2で発生したプラズマが基板Wの表面の広い領域に作用したり(基板Wの表面の広い領域がプラズマに晒されたり)、そのプラズマにより生成される荷電粒子(電子、イオン状物質等)が基板Wの表面の広い領域に供給されるのを抑制することができる。また、スリット部材4に形成されている開口4Kは、少なくとも基板Wの表面に比べて十分に小さく、基板Wの表面の広い領域がプラズマに晒されたり、荷電粒子が基板Wに容易に供給されるのを抑制することができる。したがって、プラズマ、荷電粒子等によって基板Wがダメージを受けるといった不具合を抑制することができ、基板W上に膜を良好に形成することができる。
また、本実施形態においては、スパッタ装置2で発生したプラズマにより生成される荷電粒子p3をメッシュ14で捕捉しているので、荷電粒子p3が基板Wに供給されるの抑制することができ、荷電粒子p3によって基板Wがダメージを受けるといった不具合を抑制することができ、基板W上に膜を良好に形成することができる。上述のように、スリット部材4の開口4Kは小さく、この開口4Kから基板W側にプラズマが漏れ出たり、荷電粒子p3が基板W側に供給されるのを抑制しているが、この開口4Kを覆うように金属製のメッシュ14を配置することによって、より一層、基板Wに対するプラズマ、荷電粒子p3等の影響を抑制することができる。そして、開口4K及びメッシュ14を介して、スパッタ粒子p2のみが基板Wに供給され、基板Wに対するプラズマ、荷電粒子p3等の供給等を抑制することができる。また、本実施形態においては、メッシュ14の開口の大きさ(直径)は、例えば2〜3mmであり、プラズマ、荷電粒子p3等が基板Wに供給されるのを十分に抑えることができる。
また、本実施形態においては、基板Wの表面に対して傾斜するように配置され、スパッタ粒子p2が通過可能な複数の通路5Gを有する筒状部材5を設けたので、基板Wの表面に対するスパッタ粒子p2の入射角θを規定することができ、基板Wの表面に所望状態の膜を形成することができる。
そして、形成しようとする無機配向膜Mの目標形状(射方柱の目標角度)に応じて、通路5Gの角度、あるいはターゲット材料Tと開口4Kとの位置関係を規定することによって、所望の形状(角度)を有する複数の射方柱を含む無機配向膜Mを基板W上に良好に形成することができる。したがって、配向性が良好な無機配向膜Mを形成することができる。したがって、無機配向膜Mを備えた液晶装置は、液晶分子のプレチルト角を良好に制御することができる。また、配向性が良好な無機配向膜Mを用いて、液晶分子のプレチルト角を良好に制御することができるので、例えば液晶分子の配向状態をTNモードからVAモードまで自在に制御することができる。
また、本実施形態においては、基板WをX軸方向に移動しつつ、Y軸方向に長いスリット状の開口4Kを通過したスパッタ粒子p2が連続的に基板Wに供給されるので、基板Wの表面の広い領域において、開口4Kに応じた幅の均一な膜を良好に高い生産性で形成することができる。
また、本実施形態においては、基板Wの温度を調整可能な加熱装置12A及び冷却装置12Bを含む温調装置12を設けたので、例えば成膜時に基板Wを所定温度(例えば室温)に調整することによって、スパッタリングによって基板W上に付着したスパッタ粒子p2の基板W上での拡散(マイグレーション)を抑制することができる。したがって、無機配向膜Mの射方柱の一方向への成長を促進できる。したがって、良好な配向性を有する無機配向膜Mを形成することができる。
また、本実施形態においては、RFスパッタ装置(スパッタ装置2)によるスパッタ法を採用しているので、例えば蒸着法、イオンビームスパッタ法に比べて、低い真空度で成膜することができる。
また、本実施形態においては、例えば蒸着法に比べて低い真空度で成膜することができ、成膜材料(配向膜材料)の平均自由行程を短くすることができる。したがって、蒸着法を採用した場合に比べて、第1チャンバ(成膜室)7等を小型化することができる。
また、本実施形態においては、スパッタ法に基づいて基板W上に膜を形成しており、ターゲット材料Tから放出されるスパッタ粒子p2が持つエネルギーは例えば10eVである。一方、蒸着法に基づいて膜を形成する場合、蒸着源から発生するクラスター状粒子が持つエネルギーは例えば0.1eVである。このように、スパッタ粒子p2の持つエネルギーは、蒸着法によるクラスター状粒子に比べて十分に大きいので、スパッタ粒子p2は、蒸着法によるクラスター状粒子に比べて、基板Wに対する高い密着性を有する。したがって、蒸着法によるクラスター状粒子に基づいて、成膜室の内壁面等、基板以外の各種部材の表面に膜が形成された場合には、その膜の一部が剥がれやすいので、異物が発生し易い可能性がある。スパッタ法によるスパッタ粒子p2に基づく膜は、クラスター状粒子に基づく膜に比べて剥がれ難く、異物を発生し難い。
なお、本実施形態においては、メッシュ14は、スリット部材4と筒状部材5との間に配置されているが、例えば図5に示すように、筒状部材5と基板Wとの間に配置してもよい。この場合においても、荷電粒子p3等は、基板Wに供給される前に、メッシュ14で捕捉される。
なお、本実施形態においては、メッシュ14によって、基板Wに荷電粒子p3等が供給されるのを抑制しているが、開口4K、5Kの形状、大きさ等によって、基板Wに対する荷電粒子p3の供給量を許容値以下に抑えることができるのであれば、メッシュ14を省略してもよい。
なお、本実施形態においては、筒状部材5は、スリット部材4の−Z側、すなわちスリット部材4と基板Wとの間に配置されているが、例えば図6に示すように、スリット部材4とターゲット材料Tとの間に配置されてもよい。
なお、本実施形態においては、スリット部材4の開口4Kに筒状部材5が配置されており、その筒状部材5によって、基板Wの表面に対するスパッタ粒子p2の入射角θが良好に制御されるが、筒状部材5を省略し、スリット部材4の開口4Kのみによって、供給領域APを所望の形状に規定できるのであれば、筒状部材5を省略してもよい。
なお、本実施形態においては、プラズマ発生領域PUと対向するターゲット材料Tの下面とXY平面とがほぼ平行となるように、ターゲット材料Tが電極2Bに保持されているが、例えば図7に示すように、ターゲット材料Tの下面の法線とXY平面とがなす角度が、角度θ(約45度)となるように、ターゲット材料Tを配置するようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、所定の角度の射方柱を有する無機配向膜Mを形成するために、ターゲット材料Tと開口4Kと基板Wとの位置関係を最適化して、スパッタ粒子p2を基板Wの表面に斜め方向から供給しているが、形成しようとする膜Mに応じて、スパッタ粒子p2は、必ずしも基板Wの表面に斜め方向から供給されなくてもよい。
なお、本実施形態においては、スパッタ装置2としてRFスパッタ装置を用いたが、DCスパッタ装置などの他のスパッタ装置を用いることも可能である。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
上述の第1実施形態においては、所定部材4、5の表面に形成された膜M’が剥がれるのを抑制するために、所定部材4、5を、ターゲット材料Tと同じ材料によって形成しているが、所定部材4、5の表面に形成された膜M’が剥がれるのを抑制するために、所定部材4、5を、ターゲット材料Tの線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成してもよい。例えば、ターゲット材料Tがアルミナ(Al)である場合には、所定部材4、5を、アルミナの線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する、例えば硫化亜鉛(ZnS)、ゲルマニウム(Ge)、ジンクセレナイド(ZnSe)等によって形成することができる。こうすることによっても、所定部材4、5の表面に、ターゲット材料Tから放射されたスパッタ粒子p2に基づく膜M’が形成されても、その膜M’が所定部材4、5から剥がれるのを抑制することができる。したがって、異物の発生を抑制することができ、基板Wの表面に膜(無機配向膜)Mを良好に形成することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態に係る成膜装置1を示す概略構成図である。本実施形態の特徴的な部分は、成膜装置1が、基板W上におけるスパッタ粒子p2が供給される供給領域APを規定する開口4Kを有するスリット部材4と、スリット部材4の表面にスパッタ粒子p2が供給されるのを抑制する抑制部材16とを備えた点にある。
図8において、成膜装置1は、スリット部材4の表面にスパッタ粒子p2が供給されるのを抑制する抑制部材16を備えている。本実施形態においては、抑制部材16は、ターゲット材料Tとスリット部材4との間に配置されている。抑制部材16は、板状の部材であって、ターゲット材料Tと対向するスリット部材4の+Z側の上面を覆うように配置されている。また、抑制部材16は、ターゲット材料Tから放出されたスパッタ粒子p2がスリット部材4の開口4Kに供給されるのを妨げないように、その開口4Kに対応した開口16Kを有している。
そして、本実施形態においては、抑制部材16が、ターゲット材料Tと同じ材料によって形成されている。例えば、ターゲット材料Tが二酸化珪素(SiO)で形成されている場合、抑制部材16も、ターゲット材料Tと同様、二酸化珪素(SiO)で形成され、ターゲット材料Tがアルミナ(Al)で形成されている場合、抑制部材16も、ターゲット材料Tと同様、アルミナ(Al)で形成される。これにより、抑制部材16の表面に、スパッタ粒子p2に基づく膜M’が形成されても、その膜M’が剥がれるのを抑制することができる。
本実施形態においては、スリット部材4は、ターゲット材料Tと同じ材料で形成されていてもよいし、ターゲット材料Tと異なる材料、例えば所定の金属によって形成されていてもよい。例えば、スリット部材4を、メッシュ14と同様、アルミニウム等の金属によって形成することによって、そのスリット部材4によって、荷電粒子p3、プラズマ等が基板Wに供給されるのを抑制することができる。この場合、スリット部材4を接地(アース)することが望ましい。また、スリット部材4を、ターゲット材料Tと同じ材料で形成することによって、仮にスリット部材4の表面に膜M’が形成されても、その膜M’が剥がれるのを抑制することができる。同様に、筒状部材5は、ターゲット材料Tと同じ材料で形成されていてもよいし、所定の金属等、ターゲット材料Tと異なる材料によって形成されていてもよい。
また、本実施形態においては、成膜装置1は、抑制部材16を交換する交換装置17を備えている。交換装置17は、抑制部材16を着脱可能に保持する保持機構18と、保持機構18に抑制部材16を搬入可能であるとともに保持機構18から抑制部材16を搬出可能な搬送装置19とを含む。
保持機構18は、ターゲット材料Tとスリット部材4との間に抑制部材16が配置されるように、その抑制部材16を保持する。本実施形態においては、保持機構18の少なくとも一部は、スリット部材4の上面(+Z側の面)の所定領域に設けられている。
保持機構18は、例えば磁力によって抑制部材16を保持可能な電磁チャック機構を含む。電磁チャック機構を含む保持機構18は、抑制部材16を着脱可能である。少なくとも基板Wの成膜処理中(スパッタリング中)においては、抑制部材16は、保持機構18に保持される。なお、抑制部材16を着脱可能に保持可能であるならば、保持機構18は、電磁チャック機構に限られず、任意の機構を有してよい。
本実施形態においては、第1チャンバ7には、第3チャンバ20が接続されている。搬送装置19は、第3チャンバ20に配置されている。第3チャンバ20には、その第3チャンバ20内の環境を調整する第3空調ユニット20Lが接続されている。本実施形態においては、第3空調ユニット20Lは、排気機構(真空システム)を含み、第3チャンバ20の内側の空間は、第3空調ユニット20Lによって、真空状態に調整される。
第1チャンバ7と第3チャンバ20とは通路(ゲート)21を介して接続されており、その通路21には、通路21を開閉可能な扉(バルブ)22が配置されている。制御装置6は、基板ステージ3に保持されている基板Wを処理(成膜処理)する場合、保持機構18で抑制部材16を保持するととともに、扉22を駆動して通路21を閉じる。
また、制御装置6は、搬送装置19を用いて保持機構18との間で抑制部材16を搬送する場合、扉22を駆動して通路21を開ける。搬送装置19は、保持機構18にアクセス可能である。
制御装置6は、搬送装置19を用いて、抑制部材16を保持機構18に搬入する際、図9(A)の模式図に示すように、通路21を開けた状態で、抑制部材16を保持した搬送装置19を保持機構18に接近させ、搬送装置19から保持機構18に抑制部材16を渡す。そして、制御装置6は、保持機構18を制御し、抑制部材16を保持機構18で保持する。
また、制御装置6は、搬送装置19を用いて、抑制部材16を保持機構18から搬出する際、図9(B)の模式図に示すように、保持機構18による抑制部材16の保持を解除するとともに、搬送装置19を保持機構18に接近させ、保持機構18から搬送装置19に抑制部材16を渡す。そして、制御装置6は、搬送装置19を制御し、抑制部材16を保持した搬送装置19を、保持機構18から離す。
また、本実施形態においては、成膜装置1は、抑制部材16上のスパッタ粒子p2の量を検出可能な検出装置23を備えている。検出装置23は、例えば水晶振動子を含み、抑制部材16に対して所定の位置に配置されている。本実施形態においては、検出装置23は、保持機構18に保持されている抑制部材16の近傍であって、その抑制部材16から僅かに離れた位置に配置されている。
水晶振動子を含む検出装置23は、抑制部材16上のスパッタ粒子p2の量、ひいてはスパッタ粒子p2に基づいて所定部材16の表面に形成される膜M’の量(厚み)を検出可能である。すなわち、本実施形態の検出装置23は、いわゆる水晶振動子型膜厚モニタを含む。
検出装置23の水晶振動子は、その水晶振動子上に形成される膜M’の量(厚み、重さ)に応じて、その振動状態を変化させる。具体的には、水晶振動子に膜M’が形成されると、その質量変化により、共振周波数が変化する。すなわち、水晶振動子の振動状態と、その水晶振動子上に形成される膜M’の量とは対応関係にあり、共振周波数の変化によって、水晶振動子上に形成された膜M’の量(厚み、重さ)を求めることができる。検出装置23の検出結果は制御装置6に出力される。
上述のように、水晶振動子の振動状態と、その水晶振動子上に形成される膜M’の量とは対応関係にあり、その関係に関する情報は、予め求められていて制御装置6に記憶されている。制御装置6は、検出装置23の検出結果と、上述の記憶情報とに基づいて、水晶振動子上に形成される膜M’の量を求めることができる。検出装置23の水晶振動子は、抑制部材16の近傍に配置されており、水晶振動子上に形成される膜M’の量と、抑制部材16の表面に形成される膜M’の量とはほぼ等しい。したがって、制御装置6は、検出装置23の検出結果に基づいて、スパッタ粒子p2に基づいて抑制部材16上に形成される膜M’の量、ひいては抑制部材16上に供給されるスパッタ粒子p2の量を検出することができる。
本実施形態においては、制御装置6は、検出装置23の検出結果に基づいて、交換装置17を制御する。具体的には、制御装置6は、検出装置23の検出結果に基づいて、保持機構18に保持されている抑制部材16上の膜M’の量が、予め定められた許容量以上になったと判断したとき、交換装置17を用いて、その保持機構18に保持されている抑制部材16の交換動作を実行する。
なお、この許容量は、膜M’にクラックが発生する確率に基づいて定められた値であり、予備実験及びシミュレーションの少なくとも一方を用いて予め求めることができる。例えば、形成される膜M’の量が許容量以下であれば、その膜M’にはクラックが発生する確率が非常に低く、異物が発生する確率が非常に低い。一方、形成される膜M’の量が許容量以上の場合、その膜M’にクラックが発生する確率が高くなり、異物が発生する確率が高くなる。
制御装置6は、検出装置23の検出結果に基づいて、保持機構18に保持されている抑制部材16上の膜M’の量が、予め定められた許容量以上になったと判断したとき、成膜処理(スパッタリング)を停止した後、保持機構18による抑制部材16の保持を解除し、搬送装置19を保持機構18に接近させ、その搬送装置19を用いて、抑制部材16を保持機構18から搬出する。搬出された抑制部材16は、形成されている膜M’の除去等を目的として、例えばクリーニング処理等を施された後、再び保持機構18に保持される。なお、膜M’が形成されている抑制部材16を保持機構18から搬出した後、別の新たな(清浄な)抑制部材16を保持機構18に搬入するようにしてもよい。
以上説明したように、抑制部材16によって、スリット部材4にスパッタ粒子p2が供給されるのを抑制することができる。また、抑制部材16を交換する交換装置17を設けたので、抑制部材16に許容量以上の膜M’が形成された場合には、新たなものと交換することによって、第1チャンバ7内に異物が発生するのを抑制することができる。
スリット部材4に許容量以上の膜M’が形成された場合、そのスリット部材4を新たなものと交換することも考えられるが、上述のように、スリット部材4は、供給領域APを規定する開口4Kを有しており、スリット部材4を交換したり、その位置を変えると、スリット部材4(開口4K)の製造誤差(形状誤差)、あるいはスリット部材4の位置誤差等によって、供給領域APが変動する可能性がある。そのため、スリット部材4を頻繁に交換したり、スリット部材4の位置を頻繁に変えることは望ましくない場合がある。本実施形態においては、スリット部材4にスパッタ粒子p2が供給されるのを抑制する抑制部材16を設けたので、スリット部材4を交換することなく、あるいはスリット部材4の位置を変えることなく、その抑制部材16を交換することによって、異物が発生するのを抑制することができる。抑制部材16の開口16Kは、スリット部材4の開口4Kに対するスパッタ粒子p2の供給を妨げないためのものであって、その形状誤差、位置誤差は、ある程度低くても許容される。すなわち、抑制部材16を交換したり、その位置が僅かに変わっても、成膜処理に与える影響はほぼ無い。
また、本実施形態においては、抑制部材16上のスパッタ粒子p2の量を検出する検出装置23を設け、その検出装置23の検出結果に基づいて、抑制部材16の交換動作を実行するので、例えば抑制部材16上の膜M’の量が僅かであって、抑制部材16の交換を実行しなくてもいい状態であるにもかかわらず交換動作を実行してしまう、といった不具合を抑制することができる。
なお、抑制部材16の交換動作は、検出装置23の検出結果によらずに、例えば予め定められた基板Wの所定処理枚数毎、あるいは所定処理時間間隔毎に実行するようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、抑制部材16は、ターゲット材料Tとスリット部材4との間に配置されているが、スリット部材4と基板Wとの間に配置されてもよいし、ターゲット材料Tとスリット部材4との間、及びスリット部材4と基板Wとの間の両方に配置されてもよい。
なお、本実施形態においては、抑制部材16が、ターゲット材料Tと同じ材料によって形成されているが、抑制部材16は、ターゲット材料Tの線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成されていてもよい。例えば、ターゲット材料Tがアルミナ(Al)である場合には、抑制部材16を、アルミナの線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する、例えば硫化亜鉛(ZnS)、ゲルマニウム(Ge)、ジンクセレナイド(ZnSe)等によって形成することができる。こうすることによっても、抑制部材16の表面に、ターゲット材料Tから放射されたスパッタ粒子p2に基づく膜M’が形成されても、その膜M’が抑制部材16から剥がれるのを抑制することができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図10は、第4実施形態に係る成膜装置1を示す概略構成図である。図10において、成膜装置1は、ターゲット材料T1、T2にイオン粒子p1を照射して、ターゲット材料T1、T2より無機配向膜Mを形成するためのスパッタ粒子p2を放出させるスパッタ装置2と、基板Wを保持して移動可能であり、ターゲット材料T1、T2からのスパッタ粒子p2が供給可能な位置に基板Wを配置可能な基板ステージ3と、ターゲット材料T1、T2と基板Wとの間に配置され、ターゲット材料T1、T2からのスパッタ粒子p2の少なくとも一部が通過可能な開口4Kを有するスリット部材4とを備えている。上述の各実施形態と同様、成膜装置1全体の動作は、制御装置6によって制御される。
本実施形態においては、2つのターゲット材料T1、T2どうしが、互いに対向するように配置されている。第1ターゲット材料T1及び第2ターゲット材料T2のそれぞれは直方体状である。第2ターゲット材料T2に対向する第1ターゲット材料T1の対向面T1Mと、第1ターゲット材料1に対向する第2ターゲット材料T2の対向面T2Mとは、ほぼ平行である。また、対向面TM1、TM2は、基板ステージ3に保持された基板Wの表面(無機配向膜Mが形成される面)と所定の角度θ(例えば45度)傾斜している。なお、本実施形態においては、基板Wの表面は、−Z側を向いている。
成膜装置1は、成膜室7’を備えており、スパッタ装置2の少なくとも一部、及び基板ステージ3のそれぞれは、成膜室7’の内側に配置されている。上述の実施形態と同様、成膜室7’の内側の空間は、空調ユニットによって、真空状態に調整される。
スパッタ装置2は、第1ターゲット材料T1及び第2ターゲット材料T2のそれぞれを保持可能な2つの電極2Bと、それら電極2Bのそれぞれに接続された高周波電源2Aとを有する。スパッタ装置2は、第1ターゲット材料T1の対向面T1Mと第2ターゲット材料T2の対向面T2Mとの間の所定領域において、プラズマを発生させる。また、スパッタ装置2は、プラズマが発生したプラズマ発生領域PUに、放電用ガスとしてアルゴンガス(Arガス)及び酸素ガス(Oガス)の少なくとも一方を供給可能である。本実施形態においては、第1ターゲット材料T1の対向面T1Mと第2ターゲット材料T2の対向面T2Mとの間の所定領域にArガスが供給され、基板Wの表面の近傍に、Oガスがシート状に供給される。
スパッタ装置2は、プラズマ発生領域PUに放電用ガスを供給することによって、その放電用ガスに基づくイオン粒子p1を生成する。スパッタ装置2は、生成したイオン粒子p1をターゲット材料T1、T2に照射して、ターゲット材料T1、T2より、無機配向膜Mを形成するためのスパッタ粒子p2を放出させる。
上述のように、ターゲット材料T1、T2のそれぞれは、直方体状であり、電極2Bのそれぞれは、対向面T1M、T2Mどうしがほぼ平行となるように、且つ基板Wの表面に対して所定の角度θ傾斜するように、ターゲット材料T1、T2を保持する。また、本実施形態においては、ターゲット材料T1、T2それぞれの対向面TM1、TM2の形状は、Y軸方向に長い長方形状(例えば100mm×500mm)である。
本実施形態においては、成膜装置1は、電極2Bを保持する保持部材24と、電極2Bの温度を調整可能な温度調整装置25とを備えている。温度調整装置25は、保持部材24で保持した電極2Bを冷却可能な冷却装置を含む。冷却装置は、例えば保持部材24の内部に配置された冷媒が流れる流路形成部材を含む。なお、温度調整装置25は、保持部材24で保持された電極2Bを加熱可能な加熱装置を含んでもよい。温度調整装置25は、保持部材24の温度を調整し、その保持部材24を介して、保持部材24に保持された電極2Bを所望の温度に調整可能である。
また、本実施形態においては、成膜装置1は、スパッタ装置2で発生したプラズマにより生成される荷電粒子p3を捕捉して、基板Wに荷電粒子p3が供給されるのを抑制する捕捉装置13を備えている。本実施形態においては、捕捉装置13は、磁力で荷電粒子p3を捕集する磁界生成装置26を含む。本実施形態においては、磁界生成装置26は、永久磁石26Mを含む。永久磁石26Mは、ターゲット材料T1、T2の上端側(基板Wに近い側)及び下端側(基板Wから遠い側)のそれぞれにおいて、互いに対向するように配置されている。互いに対向する永久磁石26Mどうしの間には、磁界が発生する。この磁界に基づく磁力によって、スパッタ装置2で発生したプラズマにより生成される荷電粒子p3を捕捉することができる。
本実施形態においては、成膜装置1は、第1ターゲット材料T1の対向面T1Mと第2ターゲット材料T2の対向面T2Mとの間の空間に接続し、第1、第2ターゲット材料T1、T2からのスパッタ粒子p2が通過可能な通路27Gを形成する通路形成部材27を備えている。通路27Gは、基板Wの表面に対して所定の角度θ(約45度)傾斜するように配置されている。ターゲット材料T1、T2から放出されたスパッタ粒子p2は、通路27Gを通過し、その通路27Gの上端に形成された開口27Kを介して、基板Wの表面に供給される。また、本実施形態においては、スパッタ装置2の少なくとも一部は、通路形成部材27に保持されている。
基板ステージ3は、基板Wを保持可能なホルダ部材3Aと、その基板Wを保持したホルダ部材3Aを6自由度の方向に移動可能な駆動機構3Bとを有する。基板ステージ3は、無機配向膜Mが形成される基板Wの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、ホルダ部材3Aで基板Wを保持する。また、上述の各実施形態と同様、ホルダ部材3Aには、基板Wの温度を調整可能な加熱装置12A及び冷却装置12Bを含む温度調整装置12が設けられている。
スリット部材4は、スパッタ装置2の電極2Bによって保持されるターゲット材料T1、T2と、基板ステージ3のホルダ部材3Aによって保持される基板Wとの間に配置されている。本実施形態においては、スリット部材4は、通路形成部材27の開口27Kと基板Wとの間に配置されている。
スリット部材4は、ターゲット材料T1、T2からのスパッタ粒子p2の少なくとも一部が通過可能な開口4Kを有している。開口4Kは、基板W上におけるスパッタ粒子p2が供給される供給領域APを規定する。本実施形態においては、XY平面内における開口4Kの形状は、Y軸方向に長いスリット状である。また、XY平面内における開口4Kの大きさは、基板Wの表面の大きさよりも小さい。
本実施形態においては、スリット部材4は、ターゲット材料T1、T2と同じ材料によって形成されている。ターゲット材料T1、T2が、二酸化珪素(SiO)によって形成されている場合には、スリット部材4も、ターゲット材料T1、T2と同様、二酸化珪素(SiO)によって形成される。また、ターゲット材料T1、T2が、アルミナ(Al)によって形成されている場合には、スリット部材4も、ターゲット材料T1、T2と同様、アルミナ(Al)によって形成される。
次に、上述の構成を有する成膜装置1を用いて、基板Wの表面に無機配向膜Mを形成する方法について説明する。
まず、上述の第1実施形態と同様、制御装置6は、ホルダ部材3Aにロードされた基板Wに対して、温度調整装置12を用いて、脱水処理及び脱ガス処理の少なくとも一方を実行する。
そして、制御装置6は、温度調整装置12を用いて、ホルダ部材3Aに保持されている基板Wを所定の温度(例えば23度程度の室温)に調整した後、スパッタ装置2を用いて、ターゲット材料T1、T2をスパッタリングする。制御装置6は、第1ターゲット材料T1の対向面T1Mと第2ターゲット材料T2の対向面T2Mとの間にArガスを供給するとともに、基板Wの表面の近傍にOガスをシート状に供給する。本実施形態においては、Arガスの流れの方向とOガスの流れの方向とが鋭角となるように、Arガスがほぼ−Z側から供給され、Oガスが+X側から供給される。これにより、成膜室7’内のガスの流れ(特に開口27Kの近傍の流れ)に乱れが生じるのを抑制することができる。なお、スパッタリング中、上述の第1実施形態と同様、成膜室7’は、所定の圧力(例えば1〜10Pa)に調整される。
プラズマ発生領域PUに放電用ガスが供給されることによって、その放電用ガスに基づくイオン粒子p1が生成される。生成したイオン粒子p1は、ターゲット材料T1、T2に照射され、そのターゲット材料T1、T2より、無機配向膜Mを形成するためのスパッタ粒子p2が放出される。
ターゲット材料T1、T2より放出されたスパッタ粒子p2は、通路27Gを通過し、開口27Kを介して、成膜室7’内に供給される。通路27Gにおけるスパッタ粒子p2の進行方向は、通路27Gの形状に応じて、基板Wの表面に対して所定の角度θとなる。
開口27Kから成膜室7’内に供給されたスパッタ粒子p2の少なくとも一部は、スリット部材4の開口4Kを通過する。制御装置6は、基板ステージ3を用いて、ターゲット材料T1、T2からのスパッタ粒子p2が供給可能な位置に基板Wを配置しており、スリット部材4の開口4Kを通過したスパッタ粒子p2は、基板W上に供給される。
本実施形態においては、ターゲット部材T1、T2と開口27Kとの間に、永久磁石26Mによって磁界が形成されており、プラズマにより生成される電子、イオン状物質等の荷電粒子p3は、基板Wに供給される前に、その磁界に基づく磁力によって捕捉される。
制御装置6は、基板ステージ3を用いて基板WをX軸方向に移動しつつ、スパッタ装置2を用いたスパッタリング処理を実行する。開口4Kを介したスパッタ粒子p2は、X軸方向に移動する基板Wの表面に連続的に供給される。
本実施形態においては、2つのターゲット材料T1、T2が対向するように配置され、その対向面T1M、T2Mは、基板Wの表面に対して所定の角度θ傾斜している。また、ターゲット材料T1、T2より放出されたスパッタ粒子p2が通過する通路27Gも、基板Wの表面に対して所定の角度θ傾斜している。したがって、ターゲット材料T1、T2から放射状に放出されたスパッタ粒子p2は、第1ターゲット材料T1の対向面T1Mと第2ターゲット材料T2の対向面T2Mとの間の空間、及び通路27Gに沿って、基板Wの表面に向かって、その基板Wの表面に対して傾め方向から入射可能なように進行する。
そして、本実施形態においては、開口27K(ターゲット材料T)と基板Wとの間に、基板W上における供給領域APを規定する開口4Kを有するスリット部材4が配置されているので、ターゲット材料T1、T2から放出されたスパッタ粒子p2のうち、スリット部材p2の開口4Kを通過する一部のスパッタ粒子p2のみが、基板W上の供給領域APに良好に供給される。
また、本実施形態においては、開口4Kを通過したスパッタ粒子p2が基板Wの表面に斜め方向から供給されるように、ターゲット材料T1、T2と通路27Gとスリット部材4の開口4Kと基板Wとが所定の位置関係で配置されている。したがって、開口4Kを通過したスパッタ粒子p2は、基板Wの表面に対して角度θ(45度)傾斜した方向から、その基板Wの表面に供給される。すなわち、基板Wの表面には、入射角θでスパッタ粒子p2が供給される。これにより、基板Wの表面には、所望の角度で傾くように形成された複数の射方柱(カラム、柱状構造体)を含む無機配向膜Mが形成される。
また、ターゲット材料T1、T2(プラズマ発生領域PU)と基板Wとの間には、スリット部材4が配置されているので、基板Wがプラズマに晒されるのを抑制することができ、プラズマの影響が基板W側に及ぶのを抑制することができる。スリット部材4の開口4Kは、少なくとも基板Wの表面に対して十分に小さいので、開口4Kを介してプラズマの一部が基板W側に漏れ出るのを抑え、基板Wに及ぼされるプラズマの影響を最小限に抑えることができる。
ターゲット材料Tから放出されたスパッタ粒子p2のうち、スリット部材4の開口4Kを通過しない一部のスパッタ粒子p2は、例えばスリット部材4の表面の少なくとも一部に供給され、膜M’を形成する可能性がある。本実施形態においては、スリット部材4は、ターゲット材料T1、T2と同じ材料によって形成されているので、スリット部材4の表面から、膜M’の一部が剥がれるのを抑制することができる。
本実施形態においては、通路27Gの形状によって、スパッタ粒子p2の進行方向を制御しており、上述の第1実施形態などで説明した筒状部材5を省略することができる。なお、スパッタ粒子p2の進行方向をより一層高精度に制御するために、例えばスリット部材4の開口4Kの近傍に、上述の第1実施形態などで説明した筒状部材5を配置してもよい。
また、本実施形態においては、永久磁石26Mによって、荷電粒子p3を捕捉可能であるが、荷電粒子p3をより一層確実に捕捉するために、ターゲット材料T1、T2(プラズマ発生領域PU)と基板Wとの間に、上述の第1実施形態などで説明した金属製のメッシュ14を配置してもよい。
なお、本実施形態においては、スリット部材4の表面に形成された膜M’が剥がれるのを抑制するために、スリット部材4を、ターゲット材料T1、T2と同じ材料によって形成しているが、スリット部材4の表面に形成された膜M’が剥がれるのを抑制するために、スリット部材4を、ターゲット材料T1、T2の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成してもよい。例えば、ターゲット材料T1、T2がアルミナ(Al)である場合には、スリット部材4を、アルミナの線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する、例えば硫化亜鉛(ZnS)、ゲルマニウム(Ge)、ジンクセレナイド(ZnSe)等によって形成することができる。こうすることによっても、スリット部材4の表面に、ターゲット材料T1、T2から放射されたスパッタ粒子p2に基づく膜M’が形成されても、その膜M’がスリット部材4から剥がれるのを抑制することができる。したがって、異物の発生を抑制することができ、基板Wの表面に膜(無機配向膜)Mを良好に形成することができる。
なお、本実施形態において、通路形成部材27を、ターゲット材料T1、T2と同じ材料によって形成したり、ターゲット材料T1、T2の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成することができる。こうすることにより、通路形成部材27の通路27Gの内壁面等に、スパッタ粒子p2に基づいて膜M’が形成されても、その膜M’の剥がれを抑制することができる。
また、通路形成部材27を、ターゲット材料T1、T2と同じ材料によって形成したり、ターゲット材料T1、T2の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成した場合において、通路形成部材27の開口27Kによって、基板W上におけるスパッタ粒子p2が供給される供給領域APを規定することができるのであれば、スリット部材4を省略してもよい。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。図11は、第5実施形態に係る成膜装置1を示す概略構成図である。図11において、成膜装置1は、スリット部材4の表面に、スパッタ粒子p2が供給されるのを抑制する抑制部材16を備えている。抑制部材16は、スリット部材4の開口4Kに対してターゲット材料T1、T2から放出されたスパッタ粒子p2が供給されるのを妨げないように、その開口4Kに対応した開口16Kを有している。
そして、本実施形態においては、抑制部材16が、ターゲット材料T1、T2と同じ材料によって形成されている。なお、抑制部材16は、ターゲット材料T1、T2の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成されてもよい。
また、成膜装置1は、抑制部材16を着脱可能に保持する保持機構18を備えており、所定の搬送装置を用いて、抑制部材16を交換可能である。また、成膜室7’において、スリット部材4に対して所定の位置には、抑制部材16上のスパッタ粒子p2の量を検出可能な検出装置23が配置されている。制御装置6は、検出装置23の検出結果に応じて、抑制部材16を交換可能である。
抑制部材16を設けることによって、スリット部材4を、例えば金属などによって形成しても、成膜室7’内における異物の発生を抑制することができる。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。図12は、第6実施形態に係る成膜装置1を示す概略構成図である。図12において、成膜装置1は、通路27Gを形成す通路形成部材27を備えている。そして、本実施形態においては、通路27Gの内壁面には、その内壁面に対してスパッタ粒子p2が供給されるのを抑制する抑制部材16’が配置されている。抑制部材16’は、通路27Gの内壁面近傍に設けられた保持機構によって着脱可能に保持され、交換可能である。
そして、本実施形態においては、抑制部材16’が、ターゲット材料T1、T2と同じ材料によって形成されている。なお、抑制部材16’は、ターゲット材料T1、T2の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成されてもよい。
抑制部材16’を設けることによって、通路形成部材27を、例えば金属などによって形成しても、成膜室7’内における異物の発生を抑制することができる。
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。図13は、第7実施形態に係る成膜装置1を示す概略構成図である。図13において、成膜装置1は、通路27Gを形成す通路形成部材27を備えている。通路27Gの内壁面には、その内壁面に対してスパッタ粒子p2が供給されるのを抑制する抑制部材16’が配置されている。抑制部材16’は、通路27Gの内壁面近傍に設けられた保持機構によって着脱可能に保持され、交換可能である。抑制部材16’は、ターゲット材料T1、T2と同じ材料によって形成されている。なお、抑制部材16’は、ターゲット材料T1、T2の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成されてもよい。抑制部材16’を設けることによって、通路形成部材27を、例えば金属などによって形成しても、成膜室7’内における異物の発生を抑制することができる。
そして、本実施形態においては、抑制部材16’によって、通路27Gの形状、及び開口27Kの形状が調整されている。本実施形態においては、通路27Gは、抑制部材16’によって、基板Wに向かって窄まる形状に設定されている。
抑制部材16’は、開口27Kを、供給領域APの目標形状に応じた形状に設定する。本実施形態においては、抑制部材16’が、基板W上におけるスパッタ粒子p2が供給される供給領域APを規定している。
第1実施形態に係る成膜装置を示す概略構成図である。 スリット部材の開口の近傍を示す模式図である。 スリット部材の開口の近傍を拡大した模式図である。 ターゲット材料と開口と基板上の供給領域と位置関係を説明するための模式図である。 成膜装置の変形例を示す概略構成図である。 成膜装置の変形例を示す概略構成図である。 成膜装置の変形例を示す概略構成図である。 第3実施形態に係る成膜装置を示す概略構成図である。 第3実施形態に係る成膜装置の動作を説明するための模式図である。 第4実施形態に係る成膜装置を示す概略構成図である。 第5実施形態に係る成膜装置を示す概略構成図である。 第6実施形態に係る成膜装置を示す概略構成図である。 第7実施形態に係る成膜装置を示す概略構成図である。
符号の説明
1…成膜装置、2…スパッタ装置、3…基板ステージ、3A…ホルダ部材、3B…駆動機構、4…スリット部材、4K…開口、5…筒状部材、5G…通路、5K…開口、13…捕捉装置、14…メッシュ、16…抑制部材、16K…開口、17…交換装置、18…保持機構、19…搬送装置、23…検出装置、26…磁界生成装置、26M…永久磁石、27…通路形成部材、27G…通路、27K…開口、W…基板、T…ターゲット材料、p1…イオン粒子、p2…スパッタ粒子、p3…荷電粒子

Claims (14)

  1. 基板の表面に膜を形成する成膜装置であって、
    ターゲット材料にイオン粒子を照射して、前記ターゲット材料より前記膜を形成するためのスパッタ粒子を放出させるスパッタ装置と、
    前記基板を保持して移動可能であり、前記ターゲット材料からの前記スパッタ粒子が供給可能な位置に前記基板を配置可能な基板保持部材と、
    前記ターゲット材料と前記基板との間に配置され、前記ターゲット材料からの前記スパッタ粒子の少なくとも一部が通過可能な開口を有する所定部材と、を備え、
    前記所定部材は、前記ターゲット材料と同じ材料によって形成されている成膜装置。
  2. 基板の表面に膜を形成する成膜装置であって、
    ターゲット材料にイオン粒子を照射して、前記ターゲット材料より前記膜を形成するためのスパッタ粒子を放出させるスパッタ装置と、
    前記基板を保持して移動可能であり、前記ターゲット材料からの前記スパッタ粒子が供給可能な位置に前記基板を配置可能な基板保持部材と、
    前記ターゲット材料と前記基板との間に配置され、前記ターゲット材料からの前記スパッタ粒子の少なくとも一部が通過可能な開口を有する所定部材と、を備え、
    前記所定部材は、前記ターゲット材料の線膨張係数とほぼ等しい線膨張係数を有する材料によって形成されている成膜装置。
  3. 前記基板上における前記スパッタ粒子が供給される供給領域を規定する開口を有する第1部材を備え、
    前記所定部材は、前記第1部材を含む請求項1又は2記載の成膜装置。
  4. 前記基板上における前記スパッタ粒子が供給される供給領域を規定する開口を有する第1部材と、
    前記第1部材の表面に前記スパッタ粒子が供給されるのを抑制する第2部材とを備え、
    前記所定部材は、前記第2部材を含む請求項1又は2記載の成膜装置。
  5. 前記第2部材を交換する交換装置を備えた請求項4記載の成膜装置。
  6. 前記交換装置は、前記第2部材を着脱可能に保持する保持機構と、前記保持機構に前記第2部材を搬入可能であるとともに前記保持機構から前記第2部材を搬出可能な搬送装置とを含む請求項5記載の成膜装置。
  7. 前記第2部材上の前記スパッタ粒子の量を検出可能な検出装置を備え、
    前記交換装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて作動する請求項5又は6記載の成膜装置。
  8. 前記開口は、前記基板の表面よりも小さい請求項1〜7のいずれか一項記載の成膜装置。
  9. 前記基板を第1方向に移動しつつ前記開口を通過した前記スパッタ粒子が前記基板に供給され、
    前記開口は、前記第1方向と直交する第2方向に長いスリット状である請求項8記載の成膜装置。
  10. 前記第1部材は、前記基板の表面に対して傾斜するように配置され、前記スパッタ粒子が通過可能な複数の通路を有する筒状部材を含み、
    前記開口は、前記通路の端を含む請求項8又は9記載の成膜装置。
  11. 前記スパッタ装置で発生したプラズマにより生成される荷電粒子を捕捉して、前記基板に前記荷電粒子が供給されるのを抑制する捕捉装置を備えた請求項1〜10のいずれか一項記載の成膜装置。
  12. 前記捕捉装置は、前記開口に配置され、前記スパッタ粒子を通過可能な金属製のメッシュを含む請求項11記載の成膜装置。
  13. 前記捕捉装置は、磁力で前記荷電粒子を捕捉する磁界生成装置を含む請求項11又は12記載の成膜装置。
  14. 前記ターゲット材料は無機材料を含み、
    前記開口を通過した前記スパッタ粒子が前記基板の表面に斜め方向から供給されるように、前記ターゲット材料と前記開口と前記基板とが所定の位置関係で配置される請求項1〜13のいずれか一項記載の成膜装置。
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