JP2008056172A - 車両用注意喚起システム - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造により、確実に振動刺激を運転者に伝達して注意喚起する注意喚起システムを提供すること。
【解決手段】車両周辺を監視するセンサ101、100が検出した信号に基づき、運転者に注意喚起する車両用注意喚起システム1において、カバー13に覆われた振動ワイヤ14であって、ステアリングホイール4のリム部11の円周に沿ってカバー13の一部が露出した状態で配設された該振動ワイヤ14と、振動ワイヤ14を駆動するアクチュエータ(モータ)3と、を有すること特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、乗員の注意を喚起する車両用注意喚起システムに関し、特に、車載装置の振動により注意を喚起する車両用注意喚起システムに関する。
他車両との接近や運転者の漫然運転等を注意喚起するため、警報を吹聴したり音声メッセージを出力する注意喚起システムが知られている。走行中の運転者は、音楽やラジオを聴いていたり、音による注意喚起は煩わしさを感じさせる場合もあることから、音による注意喚起に加え、振動による注意喚起が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1記載の注意喚起システムは、ステアリングホイールのスポーク部に振動モータを設け、所定の条件下で振動モータが回転することで、運転者に注意喚起するものである。
しかしながら、特許文献1記載の注意喚起システムは、振動する部位が振動モータの近くに制限されるため、振動モータの近くを握っていない場合、注意喚起性が低下するおそれがあった。そこで、ステアリングホイールの全体にわたって振動部材を配設した注意喚起システムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2記載の注意喚起システムは、ステアリングホイールの外周部にドーナツ状のゴムチューブを配設し、ゴムチューブ内に収納された流体圧等を変化させることで、振動を生じさせる。
特開平7−10007号公報 特開2001−80436号公報
しかしながら、特許文献2記載の注意喚起システムは、ゴムチューブ内に収納された流体の漏れだしを防止するためのシール構造が必須であるなど、構造が複雑で大幅なコスト高となるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、簡易な構造により、確実に振動刺激を運転者に伝達して注意喚起する注意喚起システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、車両周辺を監視するセンサが検出した信号に基づき、運転者に注意喚起する車両用注意喚起システムにおいて、カバーに覆われた振動ワイヤであって、ステアリングホイールの円周に沿ってカバーの一部が露出した状態で配設された該振動ワイヤと、振動ワイヤを駆動するアクチュエータ(例えば、モータ3)と、を有すること特徴とする。
本発明によれば、アクチュエータによって振動ワイヤが駆動され、ステアリングホイールを握っている運転者の触感を直接的に刺激するので、車両周辺の障害物を確実かつ速やかに運転者に認識させることができる。また、振動ワイヤを用いたので、特別なシール機構が不要であり、簡易な構造で低コストな注意喚起システムを提供できる。
また、本発明の一形態において、振動ワイヤの断面形状は一部が前記カバーに接触する非円形であって、アクチュエータは、振動ワイヤを長手方向を軸に回転させる、ことを特徴とする。
本発明によれば、振動ワイヤの断面を非円形の形状にして回転させるので、運転者の触感を確実に刺激することができる。
また、本発明の一形態において、アクチュエータは、モータ及び該モータの回転軸に接続された偏芯カムを有し、モータの回転に応じて、偏芯カムが前記ワイヤに一端が連結された振動伝達手段(例えば、伝達ロッド17)を打撃する、ことを特徴とする。
本発明によれば、モータの回転に連動する偏芯カムの偏芯運動が振動伝達手段を介して振動ワイヤに伝達され、振動ワイヤの振動によって直接的に触感を刺激することができる。特殊な振動ワイヤが不要であるため、より簡易に構成とすることができる。
また、本発明の一形態において、振動ワイヤは、カバーを貫通又は変形してステアリングホイールの表面より突出した複数の突起体を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、振動ワイヤの振動によって複数の突起体が往復運動し、運転者の触感を直接的に刺激するので、振動ワイヤの振幅をそれほど大きくしなくても注意喚起が可能になる。
また、本発明の一形態において、12時と6時の位置に振動ワイヤの振動を遮断する振動遮断部と、2つの振動遮断部より左側の振動ワイヤを振動させるモータLと、右側の振動ワイヤを振動させるモータRと、センサが検出した信号に基づき、モータL又はモータRの少なくとも一方を選択的に駆動する制御部(例えば、ECU2)と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、周辺監視センサからの信号を受けて、左右のモータを選択的に駆動して左右別々に振動ワイヤを振動させることができ、障害物の方向を運転者に報知することができる。
また、本発明の一形態において、振動ワイヤは、12時及び6時の位置に当該振動ワイヤの振動の節を固定する固定節を備えると共に、2つの前記固定節より左側と右側とで異なる固有振動数を有し、振動伝達手段は、2つの前記固定節より左側又は右側のいずれかの前記振動ワイヤに連結され、センサが検出した前記信号に基づき、振動させる側の前記固有振動数に対応した回転数で前記モータを駆動する制御部、を有することを特徴とする。
本発明によれば、振動させたい側の固有振動数に対応した回転数でモータを駆動するので、振動ワイヤを振動させるモータを1つにすることができる。
また、本発明の一形態において、左側の固有振動数をA、右側の固有振動数をBとした場合、制御部は、左側を選択的に振動させる場合、モータを固有振動数Aに対応する回転数でモータを駆動し、右側を選択的に振動させる場合、モータを固有振動数Bに対応する回転数でモータを駆動し、左右同時に振動させる場合は、固有振動数AとBの公倍数に対応する回転数で前記モータを駆動する、ことを特徴とする。
本発明によれば、左側、右側、及び、全域、の3種類の注意喚起を1つのモータで達成することができる。
また、本発明の一形態において、制御部は、左右いずれかの振動ワイヤを選択的に振動させた後、左右の振動ワイヤを同時に振動させる、ことを特徴とする。
本発明によれば、振動する部位が2段階に切り替わるので、より確実に注意喚起することができる。
簡易な構造により、確実に振動刺激を運転者に伝達して注意喚起する注意喚起システムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
図1は、注意喚起システム1の機能ブロック図の一例を示す。注意喚起システム1はECU(Electronic Control Unit)2がモータ3を制御して実現される。ECU2はCAN(Controller Area Network)などの車内LANに接続されており、先行車両との相対距離が所定以下になった場合や、居眠りしたような場合に他のECUから信号を受信して、モータ3を駆動する。図1では、一例として距離制御ECU100を示した。距離制御ECU100は、ミリ波レーダ装置101が検出する障害物との相対距離や方向に基づき、注意喚起を指示する信号をECU2に送信する。
なお、ECU2は、プログラムを実行するCPU、プログラム実行の作業領域となり又は一時的にデータを記憶するRAM、電源オフしてもデータを保持するNV(不揮発性)−RAM、各種センサ類とのインターフェイスとなる入出力インターフェイ、他のECUと通信する通信コントローラ、及び、プログラムを記憶するROM等がバスにより接続されたマイコンである。
本実施形態の注意喚起システム1はステアリングホイール(以下、単にSTGという)4の構造に特徴を有し、モータ3はSTG4の全域を振動させることができる。また、注意喚起システム1は、ワイヤ及びモータという簡易な構成で実現されるため、STG4でなくシートクッション、シートバッグ、ニーパネル、シフトレバー、パーキングブレーキレバー、ウィンカレバーなど、乗員が接する部位に適用してもよい。
以下、STG4の構造について説明する。
図2(a)は、STG4の概略図を示す。STG4は、環状のリム部11を4本のスポークから成るスポーク部12が橋架した構造であって、スポーク部12はエアバッグ装置等が収納したパッドで覆われている。
リム部11の外周には全周にわたって半環状の溝が形成されており、一部がリム部11よりも高くなるよう、又は、リム部11と同程度の高さになるように振動部材10が埋設されている。したがって、運転者がSTG4を握ると振動部材10の一部に触れることができる。なお、半環状の溝は、運転者が触れるリム部11の外周側(半径方向外側)に形成されることが好ましいが、リム部11の幅の略中央や内周側などに設けてもよい。
図2(b)は、STG4に埋設された振動部材10の構成図を示す。振動部材10は、STG4の半環状の溝に沿うように、空洞の筒が環状に形成されたカバー13の中に、環状のワイヤ14を有するように構成される。カバー13は内周側に貫通孔を有し、ワイヤ14の一端14aが該貫通孔を貫通して、一端14aの長手方向がモータ3の回転軸と一致するように連結されている。したがって、モータ3はその回転軸がリム部11の円周方向と鈍角になるよう、より好ましくは一致するように配置されることが好適となる。このような構成により、モータ3が回転するとワイヤ14も同じ回転数で回転する。なお、貫通孔を設けずにモータ3をカバー13内に配置してもよい。
図2(c)は、図2(a)のAA線及びBB線断面図の一例を示す。ウレタンや木材等で構成されるリム部11は、略中心に円形状の芯金15を全周にわたって有し、リム部11の外周側に上述した半環状の溝が形成されている。カバー13内に配設されたワイヤ14は一部がカバー13に接触している。図2(c)では、ワイヤ14の断面形状を略楕円として、断面視においてワイヤ14(楕円)の長軸の2点でカバー13が接触している。ワイヤ14とカバー13の接触面積が少ないので、ワイヤ14は少ない摩擦力で回転することができる。
モータ3の回転と共にワイヤ14が回転すると、ワイヤ14はカバー13に摺接しながら回転する。運転者はカバー13に触れているので、触感を介してワイヤ14の回転による断続的な刺激を受容する。カバー13は、STG4の意匠性、防塵性、耐久性等を考慮して配置されるものであるため、必ずしもなくてもよい。
なお、ワイヤ14及びカバー13はどのような材質で形成されていてもよく、例えば、ワイヤ14は金属や樹脂、カバー13は硬質樹脂、軟質樹脂、ゴム、ガラスなどワイヤ14の回転を手の触感で検知できる材質である。
ワイヤ14はモータ3の駆動により運転者に刺激を与えるように作用すればよいため、種々の変形例が挙げられる。
図3(a)、(b)は、ワイヤ14の断面形状の別の一例を示す図である。図3(a)のワイヤ14は略十字形の断面形状であるため、4点でカバー13と接触している。また、図3(b)のワイヤ14は断面視においてピン状の凸部を有し、1点でカバー13と接触している。その他、3角形、四角形等の多角形であってもよい。
また、ワイヤ14は全周にわたってカバー13と接触している必要はない。図3(c)は、ワイヤ14の長手方向に垂直な方向(C方向)から見た、図3(a)のワイヤ14の形状の一例を示す。図3(c)のようにカバー13との接触面積を減らすことで、ワイヤ14の回転が容易になり、モータ3の小型化が可能になる。
また、図3(d)に示すように、ワイヤ14を分割し複数のモータ3により回転してもよい。図3(d)のような分割したワイヤ14は、STG4が円形でない場合や、STG4自体が左右に分割されている場合に好適となる。
ところで、ワイヤ14をSTG4の円周方向に回転してもよい。図3(e)は、STG4の円周方向に回転するワイヤ14の一例を示す。図3(e)では、ワイヤ14にギア16を噛合させ、ギア16をモータ3が回転させることでワイヤ14がSTG4の円周方向に回転可能になっている。ワイヤ14を図3(c)のような形状とすれば、円周方向に回転することで運転者に触感による刺激を与えることができる。また、例えば、ワイヤ14に螺旋状の溝を形成しておき、溝と歯合するようにギア16を組み合わせると、ワイヤ14は自転しながら円周方向に回転する。したがって、少ない抵抗で円周方向等に回転することができ、またワイヤ14の溝が運転者に刺激を与えることができる。
本実施例によれば、ワイヤ14がモータ3に回転駆動されることで、STG4を握っている運転者の触感を直接的に刺激することができるため、車両周辺の危険を確実かつ速やかに運転者に認識させることができる。
また、注意喚起の手段としてワイヤ14を用いたので、特別なシール機構などが不要であり、簡易な構造かつ低コストな注意喚起システムを提供することができる。
実施例1ではワイヤ14を回転させて運転者の触感に刺激を与えたが、本実施例ではワイヤ14に振動を伝達することで運転者の触感に刺激を与える注意喚起システム1について説明する。
図4は本実施例のSTG4の概略図を示す。なお、図4において図2と同一構成部分には同一の符号を付しその説明は省略する。本実施例のSTG4も、リム部11の外周に全周にわたって半環状の溝が形成されており、振動部材10が埋設されている点で実施例1と同様である。しかしながら、本実施例では、ワイヤ14の半径方向に伝達ロッド17が連結されており、モータ3の回転が伝達ロッド17に振動を生じさせ、それがワイヤ14に伝達して運転者に注意喚起する。
伝達ロッド17及びモータ13の拡大図に示すように、伝達ロッド17の一端は貫通孔を貫通して直接ワイヤ14に接続されている。また、伝達ロッド17の他端は自由端であり、その近傍にモータ3が配置される。モータ3の回転軸には偏芯カム18が取り付けられている。モータ3及び偏芯カム18の正面図に示すように、偏芯カム18と伝達ロッド17の自由端との距離はモータ3の回転位置に応じて変動するため、1回転毎に所定回数(図4では、1回転毎に1回)、伝達ロッド17を打撃する。すなわち、偏芯カム18が伝達ロッド17の打撃を繰り返すことで、伝達ロッド17はワイヤ14に振動を伝達することができる。偏芯カム18の形状に応じて1回転毎の打撃数が定まるので、ECU2は、「モータ3の回転数」×「1回転毎の打撃数」=ワイヤ14の振動数として、運転者に注意喚起する振動数を制御する。
このように、本実施例ではワイヤ14が振動して運転者を注意喚起するため、実施例1のように一部がカバー13に接触するような形状は必ずしも必要とされない。図4では、ワイヤ14の断面形状を略円形とした。なお、実施例1のように、カバー13に一部が接触する形状であってもよいし、略円形、多角形などであってもよい。
以上のように、本実施例の注意喚起システム1は、特殊なワイヤが不要なため、低コストに構成することができる。
実施例2ではワイヤ14の断面形状を略円形としたが、これだとカバー13にワイヤ14が接触するために比較的大きな振幅の振動が必要となる。そこで、本実施例ではワイヤ14に複数の突起体を設け、より小さな振幅の振動でも運転者の触感を刺激することができる注意喚起システムについて説明する。
図5は本実施例のSTG4の概略図を示す。なお、図5において図4と同一構成部分には同一の符号を付しその説明は省略する。本実施例においても伝達ロッド17がワイヤ14に振動を伝達する。
ワイヤ14はEE線断面図の拡大図に示すように、突起体19が外周方向に全周にわたって間隔を置いて配置されている。すなわち、突起体19はその側面図に示すように、外周方向に連続した凸部でなく、それぞれが、略円柱状、円錐状、多角推等の形状を構成している。突起体19の配置間隔は、等間隔(例えば1cm)であってもよいし、運転者が握ることが比較的多い領域(例えば、9時15分〜10時10分の方向)に密に配置してもよい。
カバー13の突起体19が接する部位には突起体カバー21が設けられることが好適である。突起体カバー21は、カバー13よりも若干厚みが薄いカバー13と同じ材質又はゴム系の素材などで構成された部位である。
ワイヤ14が振動すると突起体19が往復運動し、突起体カバー21を介して運転者が突起体19に触れることができるので、ワイヤ14の振幅をそれほど大きくしなくても運転者に振動を伝えることができる。
なお、突起体カバー21をなくし、カバー13に設けられた孔を突起体19の先端が通過することとしてもよい。突起体カバー21を介さずに突起体19が直接運転者に触れるため、運転者に振動を伝えやすくすることができる。
突起体19は、ワイヤ14と同じ材質で構成されていてもよいし、別の素材、例えば、樹脂、ゴム、等をワイヤ14に接合したものであってもよい。
突起体19のいくつかの変形例について図6に基づき説明する。突起体19は全てが同じ高さを有していなくてもよい。図6(a)は、高さが異なる突起体19を交互に配置したワイヤ14の一例を示す。高さの異なる突起体19が交互に配置されることで、運転者の触感が複雑になり、注意喚起性が向上する。
また、図6(b)に示すように突起体19の高さを更に多段に構成してもよい。多段にすると、ワイヤ14の振幅や振動数に応じて運転者の手に触れる突起体19の数が変わるので、モータ3の回転数を制御することで運転者に多様な振動を認識させることができる。例えば、先行車両との相対距離に応じてモータ3の回転数を制御すれば、運転者は刺激の強さに応じて緊急性を認識できる。
以上のように、本実施例によれば、ワイヤ14に突起体19を設けることで、比較的小さな振幅で運転者に振動刺激を与えることができる。
本実施例では、STG4の左右それぞれを独立に振動させる注意喚起システム1について説明する。左右を独立に振動させることができれば、他車両が左右のどちらから接近するかなどの情報を運転者に報知することができる。
図7は本実施例のSTG4の概略図を示す。なお、図7において図4と同一構成部分には同一の符号を付しその説明は省略する。図7では、STG4にワイヤ14を振動させる2つのモータ3,5が配置され、ワイヤ14が振動遮断部M、Nを有する点で図4と異なる。
モータ3及びモータ5は、図4と同様に伝達ロッド17又は伝達ロッド22を介して振動を伝達するが、モータ5及び伝達ロッド22の構成はモータ3及び伝達ロッド17と左右が反転したのみであるので説明は省略する。
振動遮断部M、Nは、STG4の左右を分割して振動させるため、操舵角がゼロの状態においてSTG4の上端(12時の位置)と下端(6時の位置)に設けられる。
モータ3及びモータ5は、ECU2の制御信号により左右独立に回転駆動されるが、振動遮断部M、Nによりモータ3の振動はSTG4の右半分には殆ど伝達せず、モータ5の振動はSTG4の左半分には殆ど伝達しない。
振動遮断部M、Nについて説明する。振動遮断部M、Nは、例えば次のような構造を有する。
a)ワイヤ14を振動遮断部M、Nで切断する。
b)ワイヤ14を振動遮断部M、Nで振動吸収材で接合する
c)振動遮断部M、Nで、ワイヤ14を芯金15に固定する
図8(a)は振動遮断部M、Nで切断されたワイヤ14の一例を示す。図8(a)に示すように、振動遮断部M及びNでワイヤ14を切断することで、左右のモータ3又は5の振動を振動遮断部M及びNで遮断することができる。なお、カバー13も同様に遮断し振動部材10を左右で別体にしてもよい。
図8(b)は振動遮断部M、Nにおいて振動吸収材で接合されたワイヤ14の一例を示す。図8(b)に示すように、振動遮断部M及びNを振動吸収材で接合することで、左右のモータ3又は5の振動を振動遮断部M及びNで遮断することができる。振動吸収剤は、ゴム、樹脂、ジェル、シリコン等、制震性にすぐれた物が好ましい。
図8(c)は、ワイヤ14を芯金15に固定した振動遮断部M、Nにおけるリム部11の断面図の一例を示す。図8(c)に示すように、ワイヤ14を金属などで芯金15に固定すると、固定された位置でワイヤ14の振幅をほぼゼロにすることができるため、振動遮断部M、Nにより振動を遮断することができる。
なお、本実施例ではワイヤ14の断面形状を略円形としたが、実施例3と同様に突起体19を設けてもよい。
このように、ワイヤ14の左右を独立に振動させることができると、例えば、障害物が接近している方向を選択的に振動させ、運転者に報知することができる。
また、例えば、右又は左の一方を振動させた後、左右を同時に振動させる2段階振動により、より確実に運転者に注意喚起することができる。
また、運転者が回避操作を行うか否かを距離制御ECU100が監視して、回避操作しない場合には、右左を交互に振動させるなどして運転者に注意喚起してもよい。
本実施例によれば、振動遮断部M、Nをワイヤ14に設けることで、STG4を左右独立して振動させることができる。
本実施例では、1つのモータ3によりSTG4の左右を選択的に振動させることができる注意喚起システムについて説明する。
図9(a)は本実施例のSTG4の概略図を示す。なお、図9(a)において図7と同一構成部分には同一の符号を付しその説明は省略する。図9(a)では、ワイヤ14を振動させるモータが1つのみ配置されている点で図7と異なる。
また、操舵角がゼロの状態においてSTG4の上端と下端に、固定節P,Qが設けられている。固定節P,Qはワイヤ14の振動が必ず節になる点である。
固定節P,Qについて説明する。図9(b)は、固定節Pの概略図の一例を示す。固定節P,Qは同じ構造としてよいので以下では固定節Pについて説明する。固定節Pは、芯金15にゴム等のマウント部材でマウントされ、ワイヤ14を一点で芯金15に固定した部位である。マウント部材が弾性を有するため、固定節Pは完全な固定端とならず、モータ3がワイヤ14に発生させた振動をSTG4の右側に透過することができる。また、固定節Pはワイヤ14の振幅を制約するため、振幅を低減するように作用する。
そして、本実施例では、ワイヤ14が固定節P,Qの右側と左側で異なる固有振動数を有する。固有振動数とは、系が持っている最も振動しやすい振動数のことであり、通常の系は複数の固有振動数を有する。固有振動数と同じ周波数を系に与えると、共振により振幅が増幅される。
固有振動数は物の密度や形状等により変わるため、本実施例では、STG4の右側のワイヤ14を左側より細くすることで、固有振動数を変えることとした(左側の固有振動数をA〔Hz〕、右側の固有振動数をB〔Hz〕とする)。STG4の左右でワイヤ14の材質を変えることで、固有振動数を調整してもよい。
このような構成により、1つのモータ3で左、右、又は、全体を選択的に振動させることができる。
・STG4の左側を振動させる場合
モータ3が左側のワイヤ14の固有振動数と同じA〔Hz〕で伝達ロッド17を振動させると、左側のワイヤ14が共振するので伝達ロッド17が与える振幅よりも大きな振幅で振動する。この場合、固定節P,QによりSTG4の右側に伝わる振動は低減されかつ、その振動数は右側のワイヤ14の固有振動数でないため、STG4の右側はほとんど振動しない。したがって、STG4の左側のみを振動させることができる。
・STG4の右側を振動させる場合
モータ3が右側のワイヤ14の固有振動数と同じB〔Hz〕で伝達ロッド17を振動させると、固定節P,QによりSTG4の右側に伝わる振動は低減されるが、右側のワイヤ14は振動数Bの振動に共振するので、STG4の右側は十分な振幅で振動する。この場合、伝達ロッド17が生じさせた振動の一部が固定節P,Qにより反射してワイヤ14の左側に定常波が生じるが、この波は共振により生じた右側のワイヤ14の振動より小さい。したがって、STG4の右側のみを振動させることができる。
・STG4の全体を振動させる場合
STG4の左右を共に振動させる場合、左右のワイヤに共通する固有振動数で、モータ3が伝達ロッド17に振動を生じさせればよい。左右に共通する固有振動数は、固有振動数Aと固有振動数Bの最小公倍数、及び、その整数倍の振動数である。例えば、B=A×1.5〔Hz〕の場合、A×3〔Hz〕となるようモータ3が伝達ロッド17を振動させる。伝達ロッド17が、左右のワイヤの両方に共通する固有振動数の振動をワイヤ14に与えることで、左右のワイヤ14が共振するので、STG全体を振動させることができる。
なお、本実施例ではワイヤ14の断面形状を略円形としたが、実施例3と同様に突起体19を設けてもよい。
このように、ワイヤ14の左右を独立に振動させることができると、例えば、障害物が接近している方向を選択的に振動させ、運転者に報知することができる。
また、例えば、右又は左の一方を振動させた後、左右を同時に振動させる2段階振動により、より確実に運転者に注意喚起することができる。
また、運転者が回避操作を行うか否かを距離制御ECUが監視して、回避操作しない場合には、右左を交互に振動させるなどして運転者に注意喚起してもよい。
本実施例によれば、固有振動数でワイヤ14を振動させることで、1つのモータで、STG4を左右独立して振動させることができる。
以上のように、本実施形態の車両用注意喚起システム1によれば、STG4の全体を振動させることができるので、運転者がSTG4を握る場所に関わらず注意喚起することができる。また、STG4の左右を選択的に振動させることができるので、障害物の方向などを運転者に報知することができる。
注意喚起システム1の機能ブロック図の一例である。 実施例1におけるステアリングホイールの概略図である。 ワイヤの変形例を示す図である。 実施例2におけるステアリングホイールの概略図である。 実施例3におけるステアリングホイールの概略図である。 突起体の変形例を示す図である。 実施例4におけるステアリングホイールの概略図である。 振動遮断部M、Nを示す図である。 実施例5におけるステアリングホイールの概略図である。
符号の説明
1 車両用注意喚起システム
2 ECU
3 モータ(アクチュエータ)
4 ステアリングホイール
10 振動部材
11 リム部
12 スポーク部
13 カバー
14 ワイヤ(振動ワイヤ)
15 芯金
16 ギア
17 伝達ロッド
18 偏芯カム
19 突起体
21 突起体カバー
M,N 振動遮断部
P、Q 固定節

Claims (8)

  1. 車両周辺を監視するセンサが検出した信号に基づき、運転者に注意喚起する車両用注意喚起システムにおいて、
    カバーに覆われた振動ワイヤであって、ステアリングホイールの円周に沿って前記カバーの一部が露出した状態で配設された該振動ワイヤと、
    前記振動ワイヤを駆動するアクチュエータと、
    を有すること特徴とする車両用注意喚起システム。
  2. 前記振動ワイヤの断面形状は一部が前記カバーに接触する非円形であって、
    前記アクチュエータは、前記振動ワイヤを長手方向を軸に回転させる、
    ことを特徴とする請求項1記載の車両用注意喚起システム。
  3. 前記アクチュエータは、モータ及び該モータの回転軸に接続された偏芯カムを有し、
    前記偏芯カムは、前記モータの回転に応じて、前記ワイヤに一端が連結された振動伝達手段を打撃する、
    ことを特徴とする請求項1記載の車両用注意喚起システム。
  4. 前記振動ワイヤは、前記カバーを貫通又は変形して前記ステアリングホイールの表面より突出した複数の突起体を有する、
    ことを特徴とする請求項3記載の車両用注意喚起システム。
  5. 略12時と略6時の位置に前記振動ワイヤの振動を遮断する振動遮断部と、
    2つの前記振動遮断部より左側の前記振動ワイヤを振動させるモータLと、右側の前記振動ワイヤを振動させるモータRと、
    前記センサが検出した前記信号に基づき、モータL又はモータRの少なくとも一方を選択的に駆動する制御部と、
    を有することを特徴とする請求項3記載の車両用注意喚起システム。
  6. 前記振動ワイヤは、略12時及び略6時の位置に当該振動ワイヤの振動の節を固定する固定節を備えると共に、2つの前記固定節より左側と右側とで異なる固有振動数を有し、
    前記振動伝達手段は、2つの前記固定節より左側又は右側のいずれかの前記振動ワイヤに連結され、
    前記センサが検出した前記信号に基づき、振動させる側の前記固有振動数に対応した回転数で前記モータを駆動する制御部、を有する、
    ことを特徴とする請求項3記載の車両用注意喚起システム。
  7. 左側の固有振動数をA、右側の固有振動数をBとした場合、
    前記制御部は、左側を選択的に振動させる場合、前記モータを前記固有振動数Aに対応する回転数で前記モータを駆動し、
    右側を選択的に振動させる場合、前記モータを前記固有振動数Bに対応する回転数で前記モータを駆動し、
    左右同時に振動させる場合は、固有振動数AとBの公倍数に対応する回転数で前記モータを駆動する、
    ことを特徴とする請求項6記載の車両用注意喚起システム。
  8. 前記制御部は、左右いずれかの振動ワイヤを選択的に振動させた後、左右の前記振動ワイヤを同時に振動させる、
    ことを特徴とする請求項5ないし7いずれか記載の車両用注意喚起システム。
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