JP2008158671A - 車両用衝突警報装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、車両用衝突警報装置に係り、運転者に適正な方向への車両の衝突回避操作を促す警報を行うことにある。
【解決手段】自車両に障害物との衝突の可能性がある場合に自車両の運転者に対して警報する車両用衝突警報装置において、PCSセンサを用いて自車両に対して障害物が存在する方向を検出する(ステップ102)。そして、自車両に障害物との衝突の可能性がある場合、運転者に対する警報として、運転者に衝突回避操作を促すべく、運転者の触れるステアリングハンドルのうち、上記の如く検出した障害物の存在方向側に位置する左側部位又は右側部位とは対称の位置にある右側部位又は左側部位を振動させる(ステップ104又は106)。また、検出した障害物の存在方向が略車両正面であるときには、ステアリングハンドルの左右両方の部位を振動させる(ステップ108)。
【選択図】図2
【解決手段】自車両に障害物との衝突の可能性がある場合に自車両の運転者に対して警報する車両用衝突警報装置において、PCSセンサを用いて自車両に対して障害物が存在する方向を検出する(ステップ102)。そして、自車両に障害物との衝突の可能性がある場合、運転者に対する警報として、運転者に衝突回避操作を促すべく、運転者の触れるステアリングハンドルのうち、上記の如く検出した障害物の存在方向側に位置する左側部位又は右側部位とは対称の位置にある右側部位又は左側部位を振動させる(ステップ104又は106)。また、検出した障害物の存在方向が略車両正面であるときには、ステアリングハンドルの左右両方の部位を振動させる(ステップ108)。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両用衝突警報装置に係り、特に、自車両に先行車両や対向車などの対象との衝突の可能性がある場合に自車両の運転者に対して警報する車両用衝突警報装置に関する。
従来、車両前方の障害物に対する自車両の衝突可能性があると判別されるときに車両運転者に対して衝突回避や衝突軽減のための警報を行う警報装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この警報装置は、車両シートのシートクッション前部左右にそれぞれ設置された振動体、及び、車両バンパのコーナー部にそれぞれ設けられた検知センサを備えている。そして、検知センサを用いて自車両の衝突可能性がある前方障害物の存在する方向を検出して、その衝突可能性が検出された場合にその前方障害物の存在方向に応じた位置にある上記の振動体を振動させる。振動体の振動は、車両運転者に対する衝突可能性についての警報として機能する。従って、上記従来の警報装置によれば、車両シートに設けた振動体を振動させることで、自車両に対して衝突可能性のある障害物の存在方向を車両運転者に知らせることができ、これにより、自車両への障害物の接近だけでなくその接近方向をも車両運転者に認識させることが可能となっている。
また、車両運転者に対する警報としては、運転者の操作するステアリングハンドルに設けられる可撓性部材を微小振動させる警報装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この警報装置は、車両が所定の状態(例えばタイヤ空気圧異常や前方車両への接近)にあるか否かを検知して、その状態が検知される場合に上記の可撓性部材を微小振動させてその可撓性部材に対する触感を変化させる。触感の変化は、車両運転者に対する警報として機能する。従って、上記従来の警報装置によれば、ステアリングハンドルに設けた可撓性部材を振動させることで、車両の状態を車両運転者に知らせることができ、これにより、例えば前方車両の接近を車両運転者に認識させることが可能となっている。
特開2000−225877号公報
特開2001−80436号公報
ところで、上記従来の警報装置では、自車両の衝突可能性が検出された場合にその前方障害物の存在方向側にある振動体のみが振動されるので、車両運転者に障害物の存在方向すなわち自車両の衝突可能性のある方向を知らせることは可能であるが、その振動が車両運転者による衝突回避のための操作に繋げる警報としては十分に機能しないおそれがある。例えば、この振動体としてステアリングハンドルの可撓性部材のうち前方障害物の存在方向側が振動されると、その振動による刺激によって運転者の筋肉が前方障害物の存在方向側のみ収縮することで、ステアリングハンドルが衝突回避方向とは逆の方向に回転され、車両の衝突回避操作が促されないおそれがある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、運転者に適正な方向への車両の衝突回避操作を促す警報を行うことが可能な車両用衝突警報装置を提供することを目的とする。
上記の目的は、自車両に対象との衝突の可能性がある場合に自車両の運転者に対して警報する車両用衝突警報装置であって、前記対象との衝突の可能性がある方向を検出する方向検出手段と、自車両に衝突の可能性がある場合、運転者に対する警報として、該運転者に衝突回避操作を促すべく、該運転者の触れる車内部位のうち、前記方向検出手段により検出された前記方向側に位置する部位とは反対側の部位を振動させる発生振動制御手段と、を備える車両用衝突警報装置により達成される。
この態様の発明において、自車両に対象との衝突の可能性がある場合における運転者に対する警報は、運転者に衝突回避操作を促すべく、運転者の触れる車内部位のうち自車両側から見てその対象との衝突の可能性がある方向側に位置する部位とは反対側の部位を振動させることである。運転者の触れている車内部位の振動が発生すれば、その振動による刺激によって運転者の筋肉がその車内部位に触れている身体部位だけ収縮する。この点、本発明においては、自車両が対象と衝突する可能性がある場合に、その衝突可能性のある方向側に位置する身体部位とは反対側の身体部位のみを筋肉収縮させることが可能となっており、これにより、かかる身体部位の筋肉収縮によって自車両がその対象との衝突を回避するための車両操作が促されることとなる。従って、本発明によれば、運転者に適正な方向への車両の衝突回避操作を促す警報を行うことが可能となっている。
ところで、上記した車両用衝突警報装置において、前記発生振動制御手段は、自車両に衝突の可能性がある場合、運転者に対する警報として、該運転者の操作するステアリングハンドルのうち、前記方向検出手段により検出された前記方向側に位置する左側部位又は右側部位とは対称の位置にある右側部位又は左側部位を振動させることとすれば、運転者の、衝突可能性のある方向側に位置する手のひらとは反対側の手のひらに振動を伝達することによってその腕を筋肉収縮させることができ、これにより、運転者にステアリングハンドルの適正な方向への衝突回避操作を促す警報を行うことができる。
この場合、前記発生振動制御手段は、前記右側部位又は左側部位を振動させる際、該振動部位を、衝突回避のため前記ステアリングハンドルを操作すべき方向へ移動させることとすれば、運転者にステアリングハンドルを適正な方向へ衝突回避操作すべきことを確実に促すことができる。
また、上記した車両用衝突警報装置において、前記発生振動制御手段は、自車両に衝突の可能性がある場合、運転者に対する警報として、該運転者の着座する車両シートのうち、前記方向検出手段により検出された前記方向側に位置する左側部位又は右側部位とは対称の位置にある右側部位又は左側部位を振動させることとすれば、運転者の、衝突可能性のある方向側に位置する肩とは反対側の肩に振動を伝達することによってその腕を筋肉収縮させることができ、これにより、運転者にその手が触れているステアリングハンドルの適正な方向への衝突回避操作を促す警報を行うことができる。
尚、上記した車両用衝突警報装置において、前記発生振動制御手段は、また、自車両に衝突の可能性がある場合において、前記方向検出手段により検出された前記方向が略車両正面であるときは、運転者に対する警報として、該運転者の触れる車内部位の左右両方を振動させることとすればよい。
また、上記した車両用衝突警報装置において、前記方向検出手段は、車両周辺を監視するセンサを用いて前記方向を検出することとしてもよい。
更に、上記した車両用衝突警報装置において、自車両に衝突の可能性がある場合、運転者に対する警報として、該運転者に前記方向検出手段により検出された前記方向を知覚させるべく視覚、聴覚、又は触覚を刺激する警報手段を更に備えることとすれば、対象と衝突の危険性のある方向を視覚や聴覚,触覚の刺激により運転者に知覚させつつ、運転者に振動による刺激により適正な方向への車両の衝突回避操作を促すことができる。
本発明によれば、運転者に適正な方向への車両の衝突回避操作を促す警報を行うことができる。
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1実施例である車両用衝突警報装置10のシステム構成図を示す。本実施例の車両用衝突警報装置10は、自車両と自車両の前方に存在する障害物との衝突を予測して、その衝突可能性が比較的高くなったときに車両運転者に向けて衝突回避或いは衝撃緩和のための警報を行うプリクラッシュセーフティ(PCS)システムである。
図1に示す如く、車両用衝突警報装置10は、コンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(以下、衝突判断ECUと称す)12を備えている。衝突判断ECU12は、自車両と障害物との衝突の可能性を予測して、その予測結果に基づいて各種のデバイスを制御するユニットである。
衝突判断ECU12には、自車両の周辺を監視するプリクラッシュセーフティセンサ(以下、PCSセンサと称す)14が接続されている。PCSセンサ14は、例えば車体前部のバンパやフロントグリルに配設されたミリ波レーダからなるレーダセンサであり、車両前方に広がる所定領域をスキャニングして、自車両の前方に存在する障害物の位置(すなわち、自車両に対する存在方向並びに自車両との相対距離)に応じた信号を出力する。尚、PCSセンサ14は、ミリ波レーダからなるレーダセンサではなく、レーザレーダからなるレーダセンサやカメラの撮影した画像を処理する画像センサなどであってもよい。
PCSセンサ14の出力信号は、衝突判断ECU12に供給される。衝突判断ECU12は、PCSセンサ14の出力信号に基づいて、自車両が走行するのに注意すべき障害物の存在有無を検出する。そして、かかる障害物が存在するときには、自車両とその障害物との相対距離及び相対方向(自車両の車体前部中央から見て車両前方に真っ直ぐ延びる基準方向に対して障害物が存在する方向がなす角度θ)を検出し、そして、その検出距離と車速センサなどを用いて検出される自車速とに基づいて両者の相対速度を検出する。
衝突判断ECU12には、また、警報ブザー16及び警報ディスプレイ18が接続されている。警報ブザー16は、車内に向けてブザー吹鳴などの警報音を発することにより運転者の聴覚を刺激する警報器であり、また、警報ディスプレイ18は、運転者の視認可能な警報表示を行うことにより乗員の視覚を刺激する警告ランプやヘッドアップディスプレイなどの警報器である。警報ブザー16及び警報ディスプレイ18はそれぞれ、発する警報音や警報表示を、自車両に対する障害物の存在位置(特に存在方向)に応じて異ならせることが可能である。警報ブザー16及び警報ディスプレイ18はそれぞれ、衝突判断ECU12からの駆動指令に従って駆動する。
衝突判断ECU12には、更に、アクチュエータ20,22が接続されている。アクチュエータ20,22はそれぞれ、車両運転者が車両を操舵すべく操作するステアリングハンドル24を振動させるアクチュエータであり、例えば2つの電極を備え、その電極間にパルス電圧を加えることによりステアリングハンドル24の振動を発生させる。アクチュエータ20は、ステアリングハンドル24の右側部位のみを振動させるアクチュエータであり、また、アクチュエータ22は、ステアリングハンドル24の左側部位のみを振動させるアクチュエータである。アクチュエータ22は、衝突判断ECU12からの駆動指令に従って駆動する。以下適宜、アクチュエータ20を右側振動用アクチュエータ20と、アクチュエータ22を左側振動用アクチュエータ22と、それぞれ称す。
尚、衝突判断ECU12には、上記した警報ブザー16及び警報ディスプレイ18並びにステアリングハンドル24に設置されたアクチュエータ20,22以外に、自車両と障害物との衝突回避や衝撃緩和を図るデバイスであるPCSデバイスが接続されていてもよい。このPCSデバイスとしては、車両に制動力を発生させるブレーキアクチュエータや、着座乗員の装着するシートベルトを巻き取るシートベルトアクチュエータ,ショックアブソーバの減衰力を可変するアクチュエータなどがあり、衝突判断ECU12からの駆動指令に従って駆動する。
次に、図2乃至図4を参照して、本実施例の車両用衝突警報装置10の動作について説明する。図2は、本実施例の車両用衝突警報装置10において衝突判断ECU12が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図3及び図4はそれぞれ、本実施例の車両用衝突警報装置10の動作を説明するための図を示す。尚、図3(A)及び図4(A)にはそれぞれ、自車両50に対して障害物52が存在する方向を表した様子を車両上空側から見た際の図を示し、また、図3(B)及び図4(B)にはそれぞれ、同図(A)に示す状況において実現されるステアリングハンドル24の振動する部位を表した図を示す。
本実施例において、PCSセンサ14は、車両起動後(アクセサリオンかつイグニションオン後)、定期的に、車両前方に広がる所定領域をスキャニングして、自車両の前方に存在する障害物の位置に応じた信号を衝突判断ECU12に対して出力する。衝突判断ECU12は、PCSセンサ14からの出力信号を受信して、自車両が走行するのに注意すべき障害物の存在有無を検出し、そして、障害物の存在を検知した場合は、その障害物との相対距離及び相対速度に基づいて、現時点で自車両がその前方障害物と衝突する可能性(衝突可能性)を演算する。尚、この衝突可能性の演算に際しては、自車両の進路やステアリング状態,ヨーレート,その進路に対する障害物の位置(自車線確率)等を考慮することとしてもよい。また、自車両が障害物と衝突するまでの時間が短いほどその衝突可能性は高まるので、衝突判断ECU12が演算する衝突可能性は、自車両と障害物との距離を両者の相対速度で割って求まる時間(衝突予測時間)に対応した値とすればよく、この場合には、その衝突予測時間が短いほど大きな値となる。
衝突判断ECU12は、上記した衝突可能性について、運転者が不快な思いをすることなく衝突回避操作を有効にとることが可能な、警報を開始するためのしきい値レベル(例えば衝突までのしきい値タイム)を予め記憶装置に格納している。衝突判断ECU12は、上記の如く衝突可能性を演算した後、その衝突可能性がそのしきい値レベルに達しているか否かを判別する(ステップ100)。
そして、上記ステップ100における判別の結果、演算した衝突可能性がしきい値レベルに達していないときは、処理を何ら進めることなく終了する。一方、衝突可能性がしきい値レベル以上であるときは、次に、その自車両が衝突する可能性がある対象としての障害物が自車両に対して存在する方向(なす角θ)を検出し、その存在方向が何れの方向であるかを判定する(ステップ102)。尚、この障害物の存在方向は、自車両から見て前方左側と前方右側と略正面との3つの領域の何れかに判定されるものとすればよく、その障害物との衝突可能性がしきい値レベル以上となった時点でのなす角θに基づいて判定されるものとすればよい。
上記した判定の結果、障害物が自車両に対して前方左側の領域に存在する場合は、右側振動用アクチュエータ20に対してステアリングハンドル24を振動させるべき駆動指令を行う(ステップ104)が、左側振動用アクチュエータ22に対してはかかる駆動指令を行わない。また、障害物が自車両に対して前方右側の領域に存在する場合は、左側振動用アクチュエータ22に対してステアリングハンドル24を振動させるべき駆動指令を行う(ステップ106)が、右側振動用アクチュエータ20に対してかかる駆動指令を行わない。更に、障害物が自車両に対して略正面の領域に存在する場合は、右側振動用アクチュエータ20及び左側振動用アクチュエータ22に対して共にステアリングハンドル24を振動させるべき駆動指令を行う(ステップ108)。このようにアクチュエータ20,22に対する駆動指令が行われると、適宜、アクチュエータ20,22が駆動して、ステアリングハンドル24の所定部位が振動することとなる。
衝突判断ECU12は、また、自車両が衝突する可能性がある対象としての障害物の存在方向が何れの方向であるかを判定した結果として、障害物が自車両に対して前方左側の領域に存在する場合は、更に、運転者に自車両が障害物と衝突する可能性があってその障害物の存在方向が自車両前方の左側方向であることを聴覚的及び視覚的に知らせる注意喚起を行うべく、警報ブザー16及び警報ディスプレイ18に対して駆動指令を行う(ステップ110)。また、障害物が自車両に対して前方右側の領域に存在する場合は、更に、運転者に自車両が障害物と衝突する可能性があってその障害物の存在方向が自車両前方の右側方向であることを聴覚的及び視覚的に知らせる注意喚起を行うべく、警報ブザー16及び警報ディスプレイ18に対して駆動指令を行う(ステップ112)。また、障害物が自車両に対して略正面の領域に存在する場合は、更に、運転者に自車両が障害物と衝突する可能性があってその障害物の存在方向が自車両の正面方向であることを聴覚的及び視覚的に知らせる注意喚起を行うべく、警報ブザー16及び警報ディスプレイ18に対して駆動指令を行う(ステップ114)。このように駆動指令が行われると、警報ブザー16及び警報ディスプレイ18が作動して警報音が発せられかつ警報表示がなされる。この場合、車両運転者は、障害物との衝突可能性があることかつその障害物の存在方向を警報音により聴覚的に或いは警報表示により視覚的に知ることが可能となる。
衝突判断ECU12は、上記ステップ104、106、又は108においてステアリングハンドル24を振動させるべき駆動指令を行った後、自車両が障害物との衝突を回避できたか否かを判別する(ステップ116)。そして、肯定判定がなされるまで繰り返しその判別処理を実施する。尚、この判別は、PCSセンサ14の出力に基づいて演算する衝突可能性が上記したしきい値レベル未満となったときや、上記ステップ100で肯定判定がなされた後所定時間が経過するまでに、車両に搭載された前後加速度センサなどに基づいて自車両と障害物とが衝突したことが検知されなかったときなどに肯定されるものとすればよい。
尚、衝突判断ECU12は、ステアリングハンドル24の振動指令後、自車両が障害物との衝突を回避できたと判別されない場合において、PCSセンサ14の出力に基づいて演算する衝突可能性が上記したしきい値レベルよりも高い所定のしきい値レベルに達することにより自車両が障害物との衝突を避けられない状況にあるときは、障害物との衝突による衝撃を緩和すべくPCSデバイスであるブレーキアクチュエータやシートベルトアクチュエータなどに対して駆動指令を行うこととしてもよい。この駆動指令が行われると、例えば、衝撃力の軽減のため車両制動が作用し或いは大きなブレーキアシスト力が発生し、ショックアブソーバの減衰力が適正化され、また、乗員の拘束力を高めるためシートベルトが巻き取られることで、車両乗員に対する衝撃を緩和することが可能となる。
一方、衝突判断ECU12は、上記ステップ116における判別の結果として自車両が障害物との衝突を回避できた場合は、右側振動用アクチュエータ20又は左側振動用アクチュエータ22に対するステアリングハンドル24を振動させる駆動指令を停止する(ステップ118)。かかる駆動指令の停止が行われると、アクチュエータ20,22の駆動が停止して、ステアリングハンドル24の振動が停止されることとなる。
このように、本実施例の車両用衝突警報装置10においては、自車両が前方の障害物と衝突する可能性が所定のしきい値レベル以上である場合、自車両に対してその障害物が存在する方向を検出したうえで、ステアリングハンドル24の、その障害物の存在方向側に位置する部位(左側部位又は右側部位の何れか)とは反対側(対称)の位置にある部位(右側部位又は左側部位の何れか)のみを振動させることができる。すなわち、自車両の衝突可能性が所定のレベル以上である場合に、車両運転者が手のひらで触れて操作するステアリングハンドル24を振動させると共に、その振動させる部位(位置)を自車両に対する障害物の存在方向に応じて変更することができる。
例えば、図3(A)に示す如く自車両の衝突しそうな障害物が自車両の左前方(なす角θ1)に存在するときは、図3(B)に示す如くステアリングハンドル24のうちその障害物の存在方向とは反対側の右側部分のみが振動される。また、図4(A)に示す如く自車両の衝突しそうな障害物が自車両の右前方(なす角θ2)に存在するときは、図4(B)に示す如くステアリングハンドル24のうちその障害物の存在方向とは反対側の左側部分のみが振動される。
運転者の触れているステアリングハンドル24が振動すれば、その振動がその振動部位に触れている運転者の手のひらに伝達されることで、振動による刺激によって反射的に運転者の腕の筋肉がその振動部位に触れている側だけ収縮する。ステアリングハンドル24からの振動伝達によって筋肉収縮した運転者の腕は反射作用でそのステアリングハンドル24を離れて運転者の胴体側に近づこうと動くことが多いため、そのステアリングハンドル24からの振動伝達による運転者の腕の筋肉収縮が片腕のみで行われたときは、その筋肉収縮した腕の動きによってステアリングハンドル24がその腕側(例えば右腕が動いたときは右回り)に回転操作されるように促されることとなる。
従って、本実施例の車両用衝突警報装置10によれば、自車両が障害物と衝突する可能性がある場合に、自車両の運転者に対する警報として、その運転者が操作すべく触れているステアリングハンドル24のうち、自車両に対して障害物が存在する方向側に位置する部位とは反対側の部位を振動させることで、障害物の存在方向側の手のひらとは反対側の手のひらにその振動を伝達して片側の腕のみを筋肉収縮させることが可能であり、その片側の腕における筋肉収縮によって、障害物の存在方向とは反対方向へ向けて自車両が操舵されるようにすなわち障害物との衝突が回避されるようにステアリングハンドル24の回転操作を運転者に促すことが可能となっている。
この点、本実施例の車両用衝突警報装置10によれば、自車両が障害物と衝突する可能性がある場合に、運転者にステアリングハンドル24の左右何れかの側で振動による刺激を付与することによってステアリングハンドル24をその衝突を回避すべき適正な方向へ衝突回避操作すべきことを促すことが可能となっており、その適正な方向への車両の衝突回避操作(ステアリング操作)を運転者に促す警報を行うことが可能となっている。
尚、本実施例の車両用衝突警報装置10においては、自車両が障害物と衝突する可能性がある場合において、その障害物が存在する方向が自車両に対して車両正面方向であるときは、ステアリングハンドル24の左右両方が振動される。このため、本実施例によれば、ステアリングハンドル24の振動による刺激により運転者に自車両が障害物と衝突する可能性があること、更には、その障害物が自車両の車両正面方向から近づいてくることを知覚させることが可能となっている。
更に、本実施例の車両用衝突警報装置10においては、自車両が障害物と衝突する可能性がある場合、運転者に対する警報として、上記したステアリングハンドル24が振動されることで運転者の触覚が刺激されると共に、警報ブザー16により警報音が発せられことで運転者の聴覚が刺激されかつ警報ディスプレイ18により警報表示がなされることで運転者の視覚が刺激される。この警報ブザー16の警報音及び警報ディスプレイ18の警報表示は、障害物の存在方向に応じたものであり、障害物の存在方向を運転者に知らせることが可能である。この場合、車両運転者は、警報ブザー16の警報音により聴覚的にかつ警報ディスプレイ18の警報表示により視覚的に障害物との衝突可能性があること及びその障害物の存在方向を知ることが可能である。
従って、本実施例の車両用衝突警報装置10によれば、自車両が障害物と衝突する危険性のある方向を警報ブザー16の警報音による聴覚の刺激及び警報ディスプレイ18の警報表示による視覚の刺激により運転者に知覚させることが可能となっており、これにより、障害物の存在方向を運転者に速やかに知覚させつつ、ステアリングハンドル24の振動による刺激により運転者に適正な方向への車両の衝突回避操作を速やかに促すことが可能となっている。このため、本実施例によれば、自車両が障害物と衝突する可能性が生じたときの走行安全性を向上させることが可能となっている。
また、本実施例の車両用衝突警報装置10においては、自車両が障害物と衝突する可能性があることでステアリングハンドル24がその障害物の存在方向に応じた部位において自動的に振動された後、自車両と障害物との衝突が避けられた場合に、そのステアリングハンドル24の振動を停止させることができる。従って、本実施例によれば、自車両と障害物との衝突が回避されて実際には生じなかったときに、ステアリングハンドル24の振動が継続するのを回避することができ、これにより、衝突可能性を示す警報が不要となったときにステアリングハンドル24の振動が長時間に亘って継続されることに伴う不都合、例えば運転者によるステアリングハンドル24の操作性の低下が長期化することを防止することが可能となっている。
尚、上記の実施例においては、自車両前方の障害物が特許請求の範囲に記載した「対象」に、ステアリングハンドル24が特許請求の範囲に記載した「運転者の触れる車内部位」に、PCSセンサ14が特許請求の範囲に記載した「センサ」に、それぞれ相当していると共に、衝突判断ECU12が、PCSセンサ14を用いて自車両前方に存在する障害物を検知してその障害物が自車両に対して存在する方向を検出することにより特許請求の範囲に記載した「方向検出手段」が、上記図2に示すルーチン中ステップ104、106、及び108の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「発生振動制御手段」が、ステップ110、112、及び114の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「警報手段」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記の実施例においては、右側振動用アクチュエータ20によりステアリングハンドル24の右側部位を、また、左側振動用アクチュエータ22によりステアリングハンドル24の左側部位を、それぞれ振動させることとしているが、この際、ステアリングハンドル24を左右2等分して、各アクチュエータ20,22によりそれぞれステアリングハンドル24の右側半分全域又は左側半分全域を振動させてもよいが、その半分全域における運転者が触れそうな一部のみを振動させてもよい。
また、上記の実施例においては、自車両が障害物と衝突する可能性がある場合、その判定を行った際に障害物が自車両に対して存在する方向を、自車両と障害物との衝突の可能性のある方向として用いることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、自車両が障害物と衝突する可能性がある場合において、自車両の走行状態と障害物の走行状態との関係に基づいてその衝突が自車両の車体のどの部分(例えば左前部や右前部など)で生ずるかを推定して、その衝突推定部分の車体中心からの方向を、自車両と障害物との衝突の可能性のある方向として用いることとしてもよい。かかる変形例においては、自車両と障害物との衝突が生ずる可能性のある車体部位の方向を検知したうえで、ステアリングハンドル24の、その方向側に位置する部位とは反対側の位置にある部位のみを振動させることで、運転者にステアリングハンドル24の的確な衝突回避操作を促すことができるので、自車両と障害物との衝突を回避させ易くすることが可能となる。
また、上記の実施例においては、自車両の衝突する可能性のある障害物が自車両に対して略正面以外の左右何れかの側の領域に存在する場合におけるステアリングハンドル24の振動を、その障害物の存在方向に応じた左右何れかの側において行うこととしているが、このステアリングハンドル24の左右何れかの側の振動の際、その振動部位をその範囲内で衝突回避のためそのステアリングハンドル24を操作すべき方向へ規則的に移動させることとしてもよい。例えば、障害物が自車両に対して前方左側の領域に存在するときは、ステアリングハンドル24の右側部位を振動させると共に、その右側部位においてその振動部位を、ステアリングハンドル24の右回転を促して衝突を回避させるべく右回転で移動させる。かかる変形例によれば、ステアリングハンドル24に手のひらを触れている運転者は、そのステアリングハンドル24から伝達される振動による触覚刺激でそのステアリングハンドル24を操作すべき方向を知覚することができるので、この点で、運転者にステアリングハンドル24を適正な方向へ衝突回避操作すべきことを確実に促すことが可能である。
また、上記の実施例においては、自車両が障害物と衝突する可能性がある場合におけるステアリングハンドル24の振動を、その衝突が回避されたと判定されるまで継続することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ステアリングハンドル24の振動開始後、予め定められた所定時間だけ継続することとしてもよい。
また、上記の実施例においては、ステアリングハンドル24の振動と同時に、障害物の存在方向を運転者に知覚させるべく警報ブザー16の警報音による聴覚刺激及び警報ディスプレイ18の警報表示による視覚刺激を行うこととしているが、何れか一方のみ行うこととしてもよいし、また、ステアリングハンドル24の振動以外に運転者の触覚を刺激する処理、例えば障害物の存在方向から風圧を加えることなどを行うこととしてもよい。この場合、衝突判断ECU12がステアリングハンドル24の振動以外に運転者の触覚を刺激することにより特許請求の範囲に記載した「警報手段」が実現される。
更に、上記の実施例においては、自車両が障害物と衝突する可能性がある場合における運転者に対する警報として、運転者の手のひらが触れるステアリングハンドル24を振動させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、運転者の着座する車両シート(特に図5に示す如くそのシートバック)を振動させることとしてもよい。かかる変形例においては、車両シートの右側部位のみを振動させる右側振動用アクチュエータ20と、車両シートの左側部位のみを振動させる左側振動用アクチュエータ22とを設け、それぞれのアクチュエータ20,22を、障害物との衝突の可能性がある方向に応じて適宜駆動することとすればよい。具体的には、障害物との衝突可能性がある場合における運転者に対する警報として、車両シートのシートバックのうち、その障害物の存在方向側に位置する部位とは反対側の部位を振動させることとすればよい。
かかる変形例の構成によれば、障害物との衝突可能性が生じた際に、運転者の、障害物の存在方向側に位置する肩とは反対側の肩にのみその振動が伝達されることで、その振動が伝達された肩に連なる腕が筋肉収縮し、上記の如くステアリングハンドル24が振動される場合と同様に、その筋肉収縮した腕の動きによってステアリングハンドル24がその腕側(例えば右腕が動いたときは右回り)に回転操作されるように促されることとなるので、自車両が障害物と衝突する可能性がある場合に、運転者に車両シートの左右何れかの側で振動による刺激を付与することによって、その運転者の手が触れているステアリングハンドル24をその衝突を回避すべき適正な方向へ衝突回避操作すべきことを促すことが可能となり、その適正な方向への車両の衝突回避操作(ステアリング操作)を運転者に促す警報を行うことが可能となる。
10 車両用衝突警報装置
12 衝突判断ECU
14 PCSセンサ
16 警報ブザー
18 警報ディスプレイ
20,22 振動用アクチュエータ
24 ステアリングハンドル
12 衝突判断ECU
14 PCSセンサ
16 警報ブザー
18 警報ディスプレイ
20,22 振動用アクチュエータ
24 ステアリングハンドル
Claims (7)
- 自車両に対象との衝突の可能性がある場合に自車両の運転者に対して警報する車両用衝突警報装置であって、
前記対象との衝突の可能性がある方向を検出する方向検出手段と、
自車両に衝突の可能性がある場合、運転者に対する警報として、該運転者に衝突回避操作を促すべく、該運転者の触れる車内部位のうち、前記方向検出手段により検出された前記方向側に位置する部位とは反対側の部位を振動させる発生振動制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用衝突警報装置。 - 前記発生振動制御手段は、自車両に衝突の可能性がある場合、運転者に対する警報として、該運転者の操作するステアリングハンドルのうち、前記方向検出手段により検出された前記方向側に位置する左側部位又は右側部位とは対称の位置にある右側部位又は左側部位を振動させることを特徴とする請求項1記載の車両用衝突警報装置。
- 前記発生振動制御手段は、前記右側部位又は左側部位を振動させる際、該振動部位を、衝突回避のため前記ステアリングハンドルを操作すべき方向へ移動させることを特徴とする請求項2記載の車両用衝突警報装置。
- 前記発生振動制御手段は、自車両に衝突の可能性がある場合、運転者に対する警報として、該運転者の着座する車両シートのうち、前記方向検出手段により検出された前記方向側に位置する左側部位又は右側部位とは対称の位置にある右側部位又は左側部位を振動させることを特徴とする請求項1記載の車両用衝突警報装置。
- 前記発生振動制御手段は、また、自車両に衝突の可能性がある場合において、前記方向検出手段により検出された前記方向が略車両正面であるときは、運転者に対する警報として、該運転者の触れる車内部位の左右両方を振動させることを特徴とする請求項1記載の車両用衝突警報装置。
- 前記方向検出手段は、車両周辺を監視するセンサを用いて前記方向を検出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の車両用衝突警報装置。
- 自車両に衝突の可能性がある場合、運転者に対する警報として、該運転者に前記方向検出手段により検出された前記方向を知覚させるべく視覚、聴覚、又は触覚を刺激する警報手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載の車両用衝突警報装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006344730A JP2008158671A (ja) | 2006-12-21 | 2006-12-21 | 車両用衝突警報装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006344730A JP2008158671A (ja) | 2006-12-21 | 2006-12-21 | 車両用衝突警報装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008158671A true JP2008158671A (ja) | 2008-07-10 |
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Family Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2022147552A (ja) * | 2021-03-23 | 2022-10-06 | 本田技研工業株式会社 | 車両システム |
-
2006
- 2006-12-21 JP JP2006344730A patent/JP2008158671A/ja active Pending
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