JP2008054508A - ガラクトマンナン酵素分解物の製造方法 - Google Patents

ガラクトマンナン酵素分解物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】品質に優れるとともに生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物を確実にかつ効率よく得ることが可能なガラクトマンナン酵素分解物の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位にα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するガラクトマンナン酵素分解物の製造方法である。この製造方法では、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有し、それら酵素の比活性の割合が1〜100:1:0〜0.5である酵素群を用いる。そしてこの酵素群をグアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳部分に作用させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラクトマンナン酵素分解物の製造方法に係り、特にはそれに用いる酵素に特徴を有するガラクトマンナン酵素分解物の製造方法に関するものである。
ガラクトマンナンは、主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位にα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有する物質であって、飲食品、食品添加物、飼料、飼料添加物、医薬品、工業用資材等の素材として、従来からよく利用されている。また、加水分解処理により低分子化されたガラクトマンナン(即ちガラクトマンナン分解物)は、高分子状態のガラクトマンナンにはない種々の生理作用を有するため、近年特に注目を浴びている(例えば、特許文献1〜3参照)。
例えば、特許文献1には、ガラクトマンナン分解物を有効成分とする腸内環境改善剤に関する技術が開示されている。特許文献2には、ガラクトマンナン分解物を粉末飲料向け腸内有用菌増殖用組成物の製造に用いる技術が開示されている。特許文献3には、ガラクトマンナン分解物を有効成分とする鉄吸収促進剤に関する技術が開示されている。
ところで、ガラクトマンナン分解物はガラクトマンナンの主鎖を部分的に加水分解することによって得られるが、その一般的な方法としては酵素を用いる方法や希酸を用いる方法等がある。しかし、希酸を用いる方法では、糖鎖がランダムに分解されるので、単糖類、二糖類、オリゴ糖類といった低分子が多く生成されてしまう。それゆえ、所望とする平均分子量及び粘度を有する分解物を得ることができず、目的とする生理作用を得ることができない。これに対して、酵素を用いる方法であれば、ある程度決まった位置で糖鎖が切断されることから、所望とする平均分子量及び粘度の分解物が希酸を用いる方法に比べて得やすくなる。
このような事情の下、上記特許文献1〜3においても、酵素を用いたガラクトマンナン分解物の製造方法が開示されている。具体的には以下のとおりである。まず、水に対して加水分解酵素であるガラクトマンナナーゼと基質であるガラクトマンナンとを添加混合し、酸性域に調整して40〜45℃で24時間酵素を作用させる。所定時間酵素を作用させた後、加熱して酵素を失活させ、反応を停止させる。その後、濾過分離、減圧濃縮及び噴霧乾燥を順次行って、ガラクトマンナン酵素分解物の粉末を得る。
特許第3008138号公報 特許第3441756号公報 特開平6−247860号公報
ところで、特許文献1〜3には、ガラクトマンナン酵素分解物の生理作用に関する有効性は開示されているが、所望とする平均分子量及び粘度のものを多く含有するガラクトマンナン酵素分解物を効率よく製造する方法については十分に開示されていない。従って、特許文献1〜3に開示された技術のみでは、生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物を工業ベースで製造することは困難であると考えられる。
また、生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物をある程度効率よく製造できるようになったとしても、その品質がよくなければ結局は商品価値に乏しいものとなる。従って、高品質化の達成のためには、例えば分解物粉末の白度の向上、無臭化、無味化、保存性の向上などが必須課題となる。しかし、特許文献1〜3には、高品質なガラクトマンナン酵素分解物を製造するための方法が十分に開示されていない。
以上のように、従来のガラクトマンナン酵素分解物の製造方法には多くの課題があったので、これらの課題を解決するための対策が必要とされていた。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、品質に優れるとともに生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物を確実にかつ効率よく得ることが可能なガラクトマンナン酵素分解物の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく本願発明者らが鋭意研究を行ったところ、基質であるガラクトマンナンを分解するのに用いている酵素の組成等に着目した。一般的によく使用されるこの種の酵素は、微生物に由来するものであるため、純粋にガラクトマンナナーゼのみを含むものではなく、それ以外の酵素(例えばα−ガラクトシダーゼ、β−マンノシダーゼ等)も少なからず含んでいる。しかも、ガラクトマンナナーゼを含む諸酵素の比活性の割合は、必ずしも一定ではない。ここで、ガラクトマンナナーゼは、ガラクトマンナンの主鎖を切断する酵素であるため、所望のガラクトマンナン酵素分解物を得るうえで本来的に好ましい。ところが、それ以外の酵素については、所望のガラクトマンナン酵素分解物を得るうえで本来的に好ましいとはいえないものもある。従って、本願発明者らは、微生物由来の諸酵素の特性を考慮したうえでそれらの比活性の割合に着目し、この割合を適正範囲内に設定すれば高収率化、さらには高品質化が達成可能であることを新規に知見した。そして本願発明者らは、この新規な知見に基づいて最終的に下記の発明を想到することができたのである。なお、ガラクトマンナナーゼを含む諸酵素の比活性の割合に着目したガラクトマンナン酵素分解物の製造方法は、本願発明者らが知るところ、これまでに具体的に提案されるに至っていない。
即ち、請求項1に記載の発明は、主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位にα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するガラクトマンナン酵素分解物の製造方法であって、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有し、それら酵素の比活性の割合が1〜100:1:0〜0.5である酵素群を、グアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳部分に作用させることを特徴とするガラクトマンナン酵素分解物の製造方法をその要旨とする。
請求項2に記載の発明は、主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位にα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するガラクトマンナン酵素分解物の製造方法であって、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性プロテアーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有し、それら酵素の比活性の割合が1〜100:1:0〜0.15:0〜0.5である酵素群を、グアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳部分に作用させることを特徴とするガラクトマンナン酵素分解物の製造方法をその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位にα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するガラクトマンナン酵素分解物の製造方法であって、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性プロテアーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有し、それら酵素の比活性の割合が1〜10:1:0〜0.05:0〜0.5である酵素群を、グアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳部分に作用させることを特徴とするガラクトマンナン酵素分解物の製造方法をその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記ガラクトマンナン酵素分解物は、AOAC 985.29に記載の酵素重量法により測定したときに65%以上の水溶性食物繊維含量を示すことをその要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記ガラクトマンナン酵素分解物は、グルコースを標品としてソモジー・ネルソン法で測定したときに10重量%以下の還元糖含有量を示すことをその要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記ガラクトマンナン酵素分解物は、B型粘度計にてローターNo.1またはLowローターを使用し、5℃,60rpm及び30秒の条件で5%(w/v)水溶液を測定したときに5mPa・s〜15mPa・sの粘度を示すことをその要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記ガラクトマンナン酵素分解物は、B型粘度計にてLowローターを使用し、20℃,60rpm及び30秒の条件で15%(w/v)水溶液を測定したときに5mPa・s〜13mPa・sの粘度を示すことをその要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項において、前記ガラクトマンナン酵素分解物は、5%(w/v)水溶液の製造直後の吸光度を400nmで測定したときに0.1以下を示し、500nmで測定したときに0.02以下の値を示すことをその要旨とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項において、前記ガラクトマンナン酵素分解物は、5%(w/v)水溶液を60℃で24時間保管後に吸光度を400nmで測定したときに0.5以下を示し、500nmで測定したときに0.5以下の値を示すことをその要旨とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項において、前記ガラクトマンナン酵素分解物は、乾燥粉末化したものを色差計で測定したときの明度(L値)が85〜100を示すことをその要旨とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項において、前記酵素群を構成する各酵素は、リゾプス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、トリコデルマ(Tricohderma)属、ペニシリウム(Penicillium)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ビブリオ(Vibrio)属、アエロモナス(Aeromonas)属、バチルス(Bacillus)属及びクロストリディウム(Clostridium)属の微生物から選択される少なくとも1種に由来することをその要旨とする。
請求項12に記載の発明は、請求項11において、前記微生物は、小麦粉、小麦ふすま、コーンスターチ、デキストリン及びガラクトマンナンを含有する液体培地で培養されたものであることをその要旨とする。
以上詳述したように、請求項1〜12に記載の発明によると、白度、臭い、味等といった品質に優れるとともに、生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物を確実にかつ効率よく得ることが可能なガラクトマンナン酵素分解物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を詳細に説明する。
ガラクトマンナンとは、人の消化酵素で消化されない難消化性の粘質多糖類のことを指す。ガラクトマンナンは、主としてマメ科植物の種子に多く含まれる成分として知られている。本発明の製造方法では、コスト性等の観点から、原料としてグアー(Cyamopsis tetragonolobus)を用い、特にはその胚乳部分を選択的に用いることとしている。その理由は、種皮などをあらかじめ除去した原材料を用いたほうが、酵素反応を効率よく実施できるからである。
本発明の製造方法により得られるガラクトマンナン酵素分解物は、種々の有用な生理作用を有している必要があるため、平均分子量の値やマンノース直鎖の鎖長の値がそれぞれ所定範囲内であることが望ましい。具体的にいうと本発明のガラクトマンナン酵素分解物は、平均分子量が5000〜30000であり、マンノース直鎖の鎖長が30単位〜200単位の範囲内に80%以上分布していることが好ましい。
その理由は、この条件を満たすガラクトマンナン酵素分解物には各種の有用な生理作用が認められるからである。平均分子量が5000未満の場合には、所望とする有用な生理作用を発揮できなくなる。また、平均分子量が30000を越える場合には、所望とする有用な生理作用を発揮できなくなるばかりでなく、粘性が増すことで大量摂取が困難になりかつ水に対する溶解性も小さくなる。それゆえ、ガラクトマンナン酵素分解物の平均分子量は、10000以上かつ27000以下がより好ましく、13000以上かつ25000以下がさらに好ましい。なお、平均分子量の測定方法は特に限定されないが、高速液体クロマトグラフ法を用いて分子量分布を測定する方法等が好適である。この方法によれば分子量分布を比較的簡単にかつ正確に求めることができる。好ましい具体例としては、酵素分解物を水に溶解し、803D型(東ソー株式会社製)の高速液体クロマトグラフィーを用い、水を移動相にしてG3000PW(東ソー株式会社製)のカラムにてゲル濾過を行い、示差屈折計にて検出するという測定方法を挙げることができる。
また、ガラクトマンナン酵素分解物の好ましい鎖長は、マンノース直鎖の鎖長の範囲が30単位〜200単位、特には30単位〜100単位の範囲内に80%以上分布していることが好適である。このような条件を満たす酵素分解物は、得られる生理作用の程度及び持続性が一般的に高いと考えられるからである。なお、ガラクトマンナン酵素分解物の鎖長とは、当該酵素分解物の主鎖であるマンノースの結合している数を指す。それらの測定法は特に限定されないが、基本的に上記の「平均分子量の測定方法」と同様の方法を採用することができる。例えば、高速液体クロマトグラフ法を用いた測定方法等によれば、当該酵素分解物の鎖長を比較的簡単にかつ正確に求めることができる。
ガラクトマンナン酵素分解物の粘度は、B型粘度計にてローターNo.1またはLowローターを使用し、5℃,60rpm及び30秒の条件で5%(w/v)水溶液を測定したときに、5mPa・s〜15mPa・sを示すことが好適である。その理由は、粘度を5mPa・s未満にしようとすると、平均分子量を好適範囲内に設定することが困難になる場合があり、好ましくないからである。また、15mPa・sを超えると、粘性が高くなるため大量に摂取し辛くなり、水に対する溶解性も小さくなるからである。ゆえに、飲食品、食品添加物、飼料、飼料添加物、医薬品、工業用資材等の素材としての利用を考慮すると、やはり粘度は5mPa・s〜15mPa・sの範囲内であることが望ましいという結論になる。
あるいは、ガラクトマンナン酵素分解物の粘度は、B型粘度計にてLowローターを使用し、20℃,60rpm及び30秒の条件で15%(w/v)水溶液を測定したときに、5mPa・s〜13mPa・sを示すものであってもよい。その理由については上記のとおりである。
本発明の製造方法により得られるガラクトマンナン酵素分解物において、水溶性食物繊維含量は、AOAC 985.29に記載の酵素重量法による測定値で65%以上、好ましくは70%以上、最も好ましくは75%以上を示すことがよい。その理由は、水溶性食物繊維含量が65%未満であると、種々の生理作用が十分に得られないからである。即ち、水溶性食物繊維含量が少ないということは、ガラクトマンナンの主鎖が過度に酵素で切断されていることを意味し、ひいては所望とするガラクトマンナン酵素分解物の収率が悪いことを意味するからである。
本発明の製造方法により得られるガラクトマンナン酵素分解物は、グルコースを標品としてソモジー・ネルソン法で測定したときに、10重量%以下の還元糖含量を示すことが好ましい。即ち、還元糖含量が多いということは、ガラクトマンナンの側鎖が過度に酵素で切断されていること、あるいはガラクトマンナンの主鎖末端の糖(マンノース)が過度に酵素で切断されていることを意味し、ひいては所望とするガラクトマンナン酵素分解物の収率が悪いことを意味するからである。従って、高収率であるというためには還元糖含量が10重量%以下であることが好ましく、さらには8重量%以下であることがより好ましい。
本発明の製造方法により得られるガラクトマンナン酵素分解物の性状は特に限定されず、乾燥して粉末化された固体状であってもよく、あるいは液体状であってもよい。
乾燥粉末化された固体状のガラクトマンナン酵素分解物は通常白色を呈しているが、より好ましくは色差計で測定したときの明度(L値)が85〜100を示すことが好ましい。L値が85未満であると、白色の度合いが低くなる結果、製品自体の外観が悪くなり、品質に劣るものとなるからである。また、このような着色の原因は主として不純物であるため、製品に味や臭いが着いてしまい、品質の低下につながる。これに対して、L値が85以上であれば、製品の色、味、臭いに関する品質が確実に向上するため、添加物として使用したときでも被添加物に好ましくない色、味、臭いを着ける心配がなくなる。なお、測定に用いる色差計は特殊なものではなく、従来公知の市販の色差計であればよい。
また、乾燥粉末化された固体状のガラクトマンナン酵素分解物を色差計で測定した場合、a値が−5〜5、b値が0〜15であることがよく、特にはa値が−3〜2、b値が3〜10であることがよい。a値及びb値がこの範囲を満たしていれば、製品の色、味、臭いに関する品質が高いことになるからである。
また、固体状のガラクトマンナン酵素分解物の嵩比重は特に限定されないが、例えば粗密度として、噴霧乾燥品では0.30g/mL〜0.60g/mL、好ましくは0.35g/mL〜0.55g/mL、造粒乾燥品では0.15g/mL〜0.50g/mLであることがよい。その理由は、嵩比重が小さすぎると水に対する溶解性が悪くなり、嵩比重が大きすぎると収量が低下するため、いずれの場合も生産性低下の原因となるからである。
さらに、本発明の製造方法により得られる液体状のガラクトマンナン酵素分解物は、5%(w/v)水溶液の製造直後の吸光度を400nmで測定したときに0.1以下を示し、500nmで測定したときに0.02以下の値を示すことが好ましい。各波長における吸光度の測定値は、ガラクトマンナン酵素分解物における不純物含量の指標となる。この測定値が高いということは、それだけ不純物が多く含まれていて、製品の色、味、臭いに関する品質が低いことを意味する。それに対して、各波長における吸光度の測定値が上記のように低ければ、不純物含量も少なくて、製品の色、味、臭いに関する品質が高くなるため、好ましい。
また、本発明の製造方法により得られる液体状のガラクトマンナン酵素分解物は、5%(w/v)水溶液を60℃で24時間保管後に吸光度を400nmで測定したときに0.5以下を示し、500nmで測定したときに0.5以下の値を示すことが好ましい。製造直後における吸光度の測定値が低くても、高温で一定期間保管した後における吸光度の測定値が高いということは、それだけ製品に着色が起こりやすくて保存性が低いことを意味する。それに対して、各波長における吸光度の測定値が上記のように低ければ、保存性が高くなり製品の品質がいっそう高くなるため、好ましい。
以下、本発明のガラクトマンナン酵素分解物の製造方法を工程順に詳細に説明する。
まず最初に酵素処理工程を行い、グアーの胚乳部分を酸性域で酵素的に加水分解する。
この工程では、ガラクトマンナナーゼを主成分として含有し、さらにα−ガラクトシダーゼ等を含有する酵素群が使用される。その理由は、グアーの胚乳部分にはガラクトマンナンが最も多く含まれており、これを加水分解することが当該工程の主目的だからである。ここで使用する酵素群には、α−ガラクトシダーゼよりも少量のβ−マンノシダーゼが含有されていてもよく、さらにはα−ガラクトシダーゼよりも少量の酸性プロテアーゼが含有されていてもよい。
具体的にいうと、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有する酵素群を用いる場合、それら酵素の比活性の割合が1〜100:1:0〜0.5であることが好ましい。また、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性プロテアーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有する酵素群を使用する場合、それら酵素の比活性の割合が1〜100:1:0〜0.15:0〜0.5であることが好ましく、1〜10:1:0〜0.05:0〜0.5であることがより好ましい。
ここで、本発明で使用される酵素群を構成する酵素であるガラクトマンナナーゼの比活性とは、ガラクトマンナナーゼがガラクトマンナンであるローカストビーンガムに37℃、pH5.0で作用するとき、反応初期の1分間に1マイクロモルのマンノースに相当する還元力の増加をもたらす試料1g中の酵素量のことを指す。ガラクトマンナナーゼの分子量は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動後にクーマシーブルー染色(CBB染色)した結果、20kDa〜60kDaを示すことがよい。当該分子量のより好ましい範囲は30kDa〜50kDaであり、最も好ましい範囲は35kDa〜45kDaである。
ガラクトマンナナーゼは、ガラクトマンナンの主鎖を切断するエンド型ヘミセルラーゼであり、ガラクトマンナン酵素分解物を効率よく得るうえで最も重要な役割を果たす。従って、ガラクトマンナナーゼの比活性は、α−ガラクトシダーゼの比活性と同等以上である必要があり、酸性プロテアーゼ及びβ−マンノシダーゼの比活性よりも高い必要がある。例えば、α−ガラクトシダーゼの比活性を1としたときにガラクトマンナナーゼの比活性が1未満であると、ガラクトマンナン酵素分解物を効率よく得ることが困難になる。また、ガラクトマンナナーゼの比活性が100を越えるような酵素群を作製するためには、分離精製工程が必要になることから、酵素群の高コスト化が避けられず、ひいてはガラクトマンナン酵素分解物の製造コストが高くなるおそれがある。
本発明で使用される酵素群を構成する酵素であるα−ガラクトシダーゼの比活性とは、当該α−ガラクトシダーゼがp−ニトロフェニル−α−ガラクシドに37℃、pH5.5で作用するとき、反応初期の1分間に1マイクロモルのp−ニトロフェニルを遊離する試料1g中の酵素量のことを指す。
α−ガラクトシダーゼは、ガラクトマンナンの側鎖(言い換えると主鎖に結合しているα−ガラクトシル基)を切断するヘミセルラーゼであり、その切断の結果としてガラクトースを生じさせる。ただし、α−ガラクトシダーゼは、ガラクトマンナン酵素分解物を効率よく得るうえで、必ずしもプラスに作用する酵素ではない。その理由は、α−ガラクトシダーゼを作用させた場合、側鎖のないガラクトマンナン酵素分解物が得られるが、このような分解物には必ずしも所望とする生理作用があるとは限らないからである。また、この場合には単糖が多く生じるため、製品に甘味が付きやすくなるばかりでなく、着色の原因となるメイラード反応が起こりやすくなるからである。従って、例えばα−ガラクトシダーゼの比活性がガラクトマンナナーゼの比活性よりも高いような場合には、所望とする生理作用を有する高品質なガラクトマンナン酵素分解物を効率よく得ることが困難になる。それゆえ、α−ガラクトシダーゼの比活性は、ガラクトマンナナーゼの比活性よりも低いことが好適であるといえる。
本発明で使用される酵素群を構成する酵素であるβ−マンノシダーゼの比活性とは、当該β−マンノシダーゼがp−ニトロフェニル−β−マンノシドに37℃、pH5.5で作用するとき、反応初期の1分間に1マイクロモルのp−ニトロフェニルを遊離する試料1g中の酵素量のことを指す。
β−マンノシダーゼは、ガラクトマンナンの主鎖をその非還元末端から切断するエキソ型ヘミセルラーゼであり、その切断の結果としてマンノースを生じさせる。ただし、β−マンノシダーゼは、ガラクトマンナン酵素分解物を効率よく得るうえで、必ずしもプラスに作用する酵素ではない。例えば、α−ガラクトシダーゼの比活性を1としたときにβ−マンノシダーゼの比活性が0.5を越えると、ガラクトマンナン酵素分解物を効率よく得ることが困難になる。また、この場合には単糖が多く生じるため、製品に甘味が付きやすくなるばかりでなく、着色の原因となるメイラード反応が起こりやすくなるので、好ましくない。
本発明で使用される酵素群を構成する酵素である酸性プロテアーゼの比活性とは、当該酸性プロテアーゼが乳製カゼインに30℃、pH3.0で作用するとき、反応初期の1分間に1マイクログラムのチロシンに相当する非蛋白性のフォリン試液呈色物質の増加をもたらす試料1g中の酵素量のことを指す。
グアーの胚乳部分にはガラクトマンナンが最も多く含まれているが、タンパク質もある程度含まれている。そして、このようなタンパク質存在下で酸性プロテアーゼを作用させると、タンパク質が加水分解されてアミノ酸が生じる。しかし、アミノ酸の含量が増えると、製品に味、臭いが付きやすくなり、高品質化を阻害してしまう。また、この場合には着色の原因となるメイラード反応が起こりやすくなる。従って、例えば、α−ガラクトシダーゼの比活性を1としたときに酸性プロテアーゼの比活性が0.15を越えるような場合、多くのアミノ酸が生じる結果、製品の色、味、臭いに関する品質が低下しやすくなる。それに対して、α−ガラクトシダーゼの比活性を1としたときに酸性プロテアーゼの比活性が0.15以下であれば、製品に色、味、臭いが付きにくくなり、高品質化を実現しやすくなる。
先に列挙した酵素群を構成する各酵素(即ち、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性プロテアーゼ、β−マンノシダーゼ)は、リゾプス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、トリコデルマ(Tricohderma)属、ペニシリウム(Penicillium)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ビブリオ(Vibrio)属、アエロモナス(Aeromonas)属、バチルス(Bacillus)属及びクロストリディウム(Clostridium)属の微生物から選択される少なくとも1種に由来することが好ましい。即ち、これらの微生物は、ガラクトマンナナーゼを主成分とする上記酵素群を産生しうるからである。なお、上記酵素群は、Rhizopus niveus、Aspergillus niger、Trichoderma reesei、Penicillium purpurogenam、Streptomyces属、Enterococcus caseliflavas、Vibrio属、Aeromonas属、Bacillus属及びClostridium tertiumのうちから選択される少なくとも1種の微生物に由来することがより好ましく、特にはAspergillus nigerに由来することが最も好ましい。
当該微生物を培養するときの培地は、固体培地及び液体培地のいずれでもよいが、生産性等の観点から液体培地のほうが好ましい。好適な液体培地としては、小麦粉、小麦ふすま、コーンスターチ、デキストリン及びガラクトマンナンを含有する液体培地を例示することができる。この組成の液体培地を用いた場合には各々の酵素を生産する微生物を効率よく繁殖させることができ、当該微生物を高い収率で得ることが可能となる。なお、この組成の液体培地の特徴は、通常よく用いられる栄養分に加えて、酵素反応における基質であるガラクトマンナンを含有している点にあり、このことが微生物の繁殖にとってプラスに作用しているものと推測される。
なお、本発明の製造方法における上記の酵素群としては、好適な市販品があればそれをそのまま使用してもよいが、好適な市販品がなければ各酵素の比活性の割合を従来公知の手法により適宜変更して使用することも可能である。各酵素の比活性の割合を好適なものに変更する具体的な手法としては、例えば、市販品に対して所定の酵素を添加したり、市販品から所定の酵素を除去したりすること等が挙げられる。また、複数種の酵素産生微生物を別々に培養して得た培養液を所定割合で混合したり、あるいは、複数種の酵素産生微生物を共通の容器内にて同時に培養したりする手法を採用することもできる。さらに、酵素群を産生する市販の微生物に対して従来公知の変異誘発処理により突然変異を誘発させ、各酵素の比活性の割合について変異が生じた微生物をスクリーニングし、これを培養して酵素群を得るようにしてもよい。このような突然変異処理を行う場合、酸性プロテアーゼやβ−マンノシダーゼの産生能が低下した突然変異体を選択的にスクリーニングすることが望ましい。
酵素処理工程では、上記の酵素群を用いて酸性域で加水分解を行うことがよく、より具体的にはpH2.0〜pH6.0の範囲内で加水分解を行うことが好ましい。その理由は、上記の酵素群を構成する酵素の至適pHは酸性域にあるからである。当該工程においてpHが6.0を超えていると(即ち中性域になると)、加水分解反応が効率よく進まないため、ガラクトマンナン酵素分解物の収率が低下してしまう。しかも、基質を含む溶液に土壌細菌等の雑菌が繁殖しやすくなり、保存性の悪化や臭いの付着といった問題が起こりやすくなる。また、当該工程においてpHが2.0未満であると、雑菌の繁殖といった問題は起こらない反面、加水分解反応の効率が悪くなり、ガラクトマンナン酵素分解物の収率が低下してしまう。なお、加水分解はpH3.0〜pH5.0の範囲内で行うことがより好適であり、pH4.0〜pH5.0の範囲内で行うことが最も好適である。
酵素処理工程では、50℃〜80℃で8時間〜24時間、または60℃〜80℃で3時間〜12時間加水分解を行うことが好ましい。つまり、酵素の作用温度を高くすることで加水分解の反応時間を短く設定することが可能となり、ひいては生産性の向上を達成しやすくなる。
ちなみに、作用温度を50℃〜80℃とした場合において、反応時間が8時間未満のとき、または24時間を越えるようなときには、生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物の収率が低下してしまう。同様に、作用温度を60℃〜80℃とした場合において、反応時間が3時間未満のとき、または12時間を越えるようなときにも、生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物の収率が低下してしまう。
続く反応停止工程では、酵素処理工程を経て得られた未精製の溶液の加水分解反応を停止させる。仮に加水分解反応の停止を遅いタイミングで行ったとすると、反応が必要以上に進んでガラクトマンナンが過度に低分子化するおそれがあり、生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物が得にくくなる。これに対して反応停止を早いタイミングで行えば、反応を適時に停止させることができ、生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物を確実に得ることができる。そして、このことはガラクトマンナン酵素分解物を高い収率で得るのに貢献する。
加水分解反応を停止させる具体的手法としては、例えば、基質から酵素を分離除去する方法や、基質における酵素を熱や薬品で失活させる方法などがある。ただし、本発明の製造方法においては、酵素を熱で失活させる方法が工程的に有利である。具体的には、85℃以上で15分間〜60分間加熱して酵素を失活させ、加水分解反応を停止させることがよい。加熱による方法は、薬品等の添加を伴わず比較的簡単に実施できることに加え、熱により反応液をある程度殺菌することもできる点で好ましい。ただし、反応液中には不純物が残っているので、後工程において液中の不純物を除去する処理が必要となる。
なお、加熱温度が85℃未満であったり加熱時間が15分間未満であったりする場合には、加水分解反応が十分に進まず、生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物が得にくくなる。逆に、加熱時間が60分間を超える場合には、加水分解反応が過度に進んでしまう結果、生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物が得にくくなる。ここで好ましい加熱温度は85℃〜100℃であり、特には85℃〜95℃である。即ち、沸点を超える温度に加熱しなくても反応を停止させることは十分可能だからである。また、沸点を超えるような温度に加熱しようとすると、専用の容器や加熱装置が必要になり、設備コスト高の原因になるからである。
反応停止工程後には、遠心分離処理、精製処理、加熱殺菌処理、中和処理が行われる。各処理を実施する順序は特に限定されないが、この順序で実施することが好適である。
遠心分離処理では、反応停止工程を経た溶液(反応液)から未反応物が除去される。この処理は、例えば従来周知の遠心分離装置等を用いて実施することが可能である。この処理を経て得られた清澄液は、ガラクトマンナン酵素分解物を含有する酸性の溶液となっている。
精製処理では、前記清澄液中の不純物がさらに除去され、その結果として生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物の純度が高められる。また、不純物が除去される結果、脱臭・脱色が図られ、高品質化を達成しやすくなる。精製処理の方法は特に限定されず、溶媒沈殿法、限外濾過法、ゲル濾過、イオン交換樹脂法、電気泳動法などが挙げられるが、前記溶液に濾過助剤を添加して攪拌した後に濾過を行う方法が好ましい。このような処理方法によると、溶液中の不純物が濾過助剤に吸着されるため、当該溶液を濾過して濾過助剤とともに取り除くことにより、溶液中のガラクトマンナン酵素分解物の純度を比較的容易に高めることができるからである。
加熱殺菌処理では、熱によって溶液中の微生物を死滅させることで雑菌の繁殖が抑えられる。この処理を行うと製品の保存性を向上させることができる。加熱殺菌処理は精製処理後に行われることが好ましい。その理由は以下のとおりである。仮に精製処理前の状態、つまり不純物が含まれた状態で加熱殺菌処理を行うとすると、相対的に多量の液体を加熱殺菌装置に通じる必要があるため設備コストが高くなり、しかも殺菌の確実性が低下する可能性がある。それに対して、精製処理後に加熱殺菌処理を行えば、設備コスト高や殺菌の確実性低下といった心配がないからである。ここで、加熱殺菌処理は、従来周知の超高温瞬間殺菌装置(UHT殺菌装置)を用いて、前記溶液を120℃〜150℃で1秒間〜6秒間加熱する超高温瞬間殺菌処理であることが好ましい。このような処理であれば、溶液が100℃を超える高温に晒されるため、溶液中の微生物を確実に死滅させることができ、雑菌の繁殖を効果的に抑えることができる。しかも、極めて短い時間で処理できるため生産効率の低下も来たさない。
中和処理では、これまでpHが酸性域に保たれていた溶液をアルカリで中和して中性域にする。このようにして得られた液状のガラクトマンナン酵素分解物は、使用時に特にpH調整する必要がないため、使い勝手がよい。また、使用可能な範囲も広いため、汎用性に優れている。さらに、本発明の製造方法では中和処理を遅いタイミングで行っているため、グアーに含まれている土壌細菌等の繁殖を確実に抑えることができる。よって、得られるガラクトマンナン酵素分解物の保存性を向上させることができる。
中和処理を行った後には、さらに従来周知の濃縮装置を用いて前記溶液を濃縮する濃縮工程を行ってもよい。この工程を行うと、ガラクトマンナン酵素分解物を高濃度で含む溶液を得ることができる。ここで濃縮法としては、例えば、凍結濃縮法、蒸発濃縮法、減圧蒸留濃縮法、膜濃縮法などを採用することができる。また、濃縮工程の実施後には、さらに前記溶液を乾燥して粉末化する乾燥粉末化工程を行ってもよい。この工程を行うと、液状のガラクトマンナン酵素分解物を固体状にすることができ、保存や取扱いに適した形態とすることができる。ここで乾燥法としては、加熱乾燥法、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、減圧乾燥法、造粒乾燥法などを採用することができる。
以上述べた本発明の製造方法により得られるガラクトマンナン酵素分解物は、上記のように飲食品、食品添加物、飼料、飼料添加物、医薬品、工業用資材等の素材として幅広く応用できるが、特に人が手軽に摂食できる飲食品の素材として利用されることが好ましい。
ガラクトマンナン酵素分解物が利用可能な飲食品の形態は限定されず、溶液、懸濁物、粉末、固体成形物のいずれでもよく、経口摂取可能な形態であればよい。飲食物の具体例としては、例えば、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品等の即席食品類、清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料等の飲料類、パン、パスタ、麺、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品、飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子等の菓子類、ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素等の調味料、加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズ等の油脂類、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類等の乳製品、冷凍食品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品等の水産加工品、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品、農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアル等の農産加工品、栄養食品、錠剤、カプセル等を挙げることができる。
ガラクトマンナン酵素分解物を素材として飲食品等を加工する際には、各種栄養成分を強化することができる。
強化できる栄養成分としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン(ニコチン酸)、パントテン酸、葉酸等のビタミン類、リジン、スレオニン、トリプトファン等の必須アミノ酸類や、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅等のミネラル類、及び、例えば、α−リノレン酸、EPA、DHA、月見草油、オクタコサノール、カゼインホスホペプチド(CPP)、カゼインカルシウムペプチド(CCP)、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、オリゴ糖、ビフィズス菌・乳酸菌等の生菌等の人の健康に寄与する物質類、その他の食品や食品添加物として認可されている有用物質の1種または2種以上が使用できる。
以下、本発明の実施形態をより具体化したいくつかの実施例を用いて詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1]ガラクトマンナン酵素分解物の製造
A.試験に供するガラクトマンナン酵素分解物の製造手順
ここでは、小麦粉、小麦ふすま、コーンスターチ、デキストリン及びガラクトマンナンを含む液体培地中で、系統の異なる18種類のAspergillus nigerを所定期間培養し、ガラクトマンナンの加水分解反応に用いる酵素群をあらかじめ採取しておいた(酵素群サンプル1〜18)。このようにして採取した18種類のAspergillus niger由来酵素群は、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性プロテアーゼ及びβ−マンノシダーゼの混合物であった。表1には、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性プロテアーゼ及びβ−マンノシダーゼの比活性の割合がそれぞれ示されている(図1参照)。
次に、水900部に塩酸を加えてpHを4.5に調整した後、その水に上記の酵素群0.2部とグアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳100部とを添加混合し、55℃〜65℃で24時間酵素を作用させた。このような酵素処理工程を行う結果、グアーに含まれるガラクトマンナンを酵素的に加水分解した。次に、反応液を90℃,30分間加熱することにより酵素を失活させ、加水分解反応を停止させた。次に、加水分解物を含む反応液を遠心分離装置(石川島播磨重工業社製、商品名HS−50L)で3000rpm,供給量6m/hで遠心分離処理し、反応液を未反応物と清澄液とに分離させるとともに、清澄液のみを採取した。次に、採取した溶液(清澄液)に珪藻土系濾過助剤及び活性炭を添加して60分間攪拌した後、第1濾過手段である濾過装置(昭和製作所社製、商品名202B、濾過圧:250kg/cm)を用いて濾過する粗精製を行った。その結果、前記溶液中に含まれる不純物をある程度吸着除去した。さらに、粗精製された前記溶液に珪藻土系濾過助剤のみを添加して60分間攪拌した後、第1濾過手段よりも目の細かい第2濾過手段である精密濾過装置(中央製作所社製、商品名FS−50B、流量:300L/h)を用いて濾過する本精製を行った。その結果、前記溶液中に含まれる不純物をほぼ完全に吸着除去し、ガラクトマンナン酵素分解物を含有する無色透明で臭いのない溶液を得た。次に、UHT殺菌装置(日阪製作所社製、商品名FX−05)を用いて、前記溶液をUHT殺菌処理しかつ直ちに強制冷却した。なお、この処理では、入り口温度を140℃に設定し、出口温度を4℃に設定し、殺菌時間を4秒に設定した。次に、酵素処理工程以降、pHが酸性域に保持されていた溶液をNaOHで中和してpH=約7.0にした。さらに、得られた中性の溶液を遠心式薄膜濃縮装置(アルファ・ラバル社製、商品名CT−6)を用いて固形分として20%になるように所定時間減圧濃縮した。その後、噴霧乾燥装置(大川原化工機社製、商品名OC−35)を用いて90分間噴霧乾燥を行い、ガラクトマンナン酵素分解物の白色粉末70部を得た。
そして、得られた18種類の粉末状製品を対象として下記の測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
B.測定及び評価の結果
(1)食物繊維含量(%): AOAC 985.29に記載の酵素重量法により水溶性食物繊維の含量(%)を測定したところ、酵素群サンプル1〜15を用いて得た粉末状製品については、その約8割が食物繊維であった。従って、これらの粉末状製品では、ガラクトマンナンの主鎖が適度に切断されており、それゆえ種々の生理作用のある有効な成分が多く含まれているものと示唆された。これに対し、酵素群サンプル16,17,18を用いて得た粉末状製品については、いずれも食物繊維の含量が低かった。従って、ガラクトマンナンの主鎖が過度に切断され、それゆえ種々の生理作用のある有効な成分が少ないものと示唆された。
(2)粘度: 18種類の粉末状製品につきそれぞれ5%(w/v)水溶液を作製した。そして、B型粘度計にてローターNo.1を使用し、5℃,60rpm及び30秒の条件で測定することにより、それら水溶液の粘度(mPa・s)を求めた。その結果、酵素群サンプル1〜15を用いて得た粉末状製品の水溶液の粘度は7〜8mPa・s程度を示したため、各水溶液中に生理作用のある有効な成分が多く含まれていることが示唆された。これに対し、酵素群サンプル16,17,18を用いて得た粉末状製品の水溶液については、いずれも5mPa・s未満となって、好適範囲を下回る結果となった。それゆえ、ガラクトマンナンの主鎖が過度に切断された結果、粘度が下がり、種々の生理作用のある有効な成分が少なくなっていることが示唆された。
(3)収率: 18種類の粉末状製品につきそれぞれ収率(%)を測定したところ、酵素群サンプル1〜15を用いて得た粉末状製品については、60%を越える高い値を示した。これに対し、酵素群サンプル16,17,18を用いて得た粉末状製品については、いずれも収率が低かった。
(4)還元糖の含量(%): 18種類の粉末状製品につきそれぞれ還元糖の含量(%)を測定したところ、酵素群サンプル1〜15を用いて得た粉末状製品については、10%を下回る低い値を示した。よって、これらの粉末状製品では、所望とする生理作用を有する有効なガラクトマンナン酵素分解物が効率よく得られていることを示唆する結果となった。これに対し、酵素群サンプル16,17,18を用いて得た粉末状製品についてはいずれも高い値を示し、とりわけ酵素群サンプル18を用いて得た粉末状製品については約30%という極めて高い値を示した。従って、これらの粉末状製品では、所望とする生理作用を有する有効なガラクトマンナン酵素分解物が効率よく得られなかった。また、還元糖の含量が多いことから、着色の原因となるメイラード反応が起こりやすくなっていると考えられた。
(5)粉体の白度: 18種類の粉末状製品につきそれぞれ粉末状製品の白度、具体的にはL値、a値、b値を従来公知の色差計で測定した。例えば、L値(明度)についてみると、酵素群サンプル1〜14を用いて得た粉末状製品は、酵素群サンプル15〜18を用いて得た粉末状製品に比べて明らかに値が低く、白度が高かった。これは、前者の粉末状製品のほうが後者の粉末状製品よりも不純物が少ないことを意味している。
(6)5%水溶液の吸光度: 18種類の粉末状製品をそれぞれ水に溶解して5%(w/v)水溶液を作製し、それらについて400nm,500nmで吸光度を測定した。その結果、酵素群サンプル1〜14,16,17に由来する水溶液は、酵素群サンプル15,18に由来する水溶液に比べてかなり低い測定値を示した。よって、これらにおいては不純物含量が少なく、製品に殆ど着色が認められなかったため、高い品質及び保存性が確保されていた。これとは逆に、酵素群サンプル15,18に由来する水溶液では、不純物含量が多く、製品に着色が認められる結果となった。なお、酵素群サンプル15,18中には酸性プロテアーゼが多く含まれ、その分解作用によってアミノ酸が多く生成されるが、このアミノ酸と糖との結合が着色の大きな原因であると推測される。
(7)5%水溶液の食味試験: 18種類の粉末状製品をそれぞれ水に溶解して5%(w/v)水溶液を作製し、それらを対象として食味試験を行った。この食味試験は5人のパネラーによって行い、食味を点数(5点満点)で評価した。その結果、酵素群サンプル1〜14に由来する水溶液は、食味に関して殆ど満点に近い結果を示した。また、酵素群サンプル16,17に由来する水溶液は、満点ではないが比較的好結果を示した。一方、酵素群サンプル15,18に由来する水溶液は、かなり低い値を示した。その理由としては、酵素群サンプル15,18中には酸性プロテアーゼが多く含まれ、その分解作用によってアミノ酸が多く生成されるが、このアミノ酸に酸味や苦味があるため、これが全体の評価を下げている原因であると推測される。
C.結論
以上の結果を総合すると、酵素群サンプル1〜15を用いることで、生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物を確実にかつ効率よく得られることが実証された。また、酵素群サンプル1〜14を用いることで、白度、味、臭い、保存性といった品質に優れるため商品価値が高く、しかも生理作用のある有効なガラクトマンナン酵素分解物を確実にかつ効率よく得られることが実証された。
[実施例2]ガラクトマンナン酵素分解物を含有する飲食品の製造1
ここでは、実施例1の酵素群サンプル2を用いて得た粉末状ガラクトマンナン酵素分解物を用いた。そして、この酵素分解物30g、強力粉(日清製粉株式会社製)642g、砂糖35g、スキムミルク13g、食塩11g、無塩バター33g及びパン酵母10gに、水465gを添加した。これを原料として自動製パン機(象印株式会社製)を用いて製パンを行い、ガラクトマンナン酵素分解物を含有する食パンを調製した。
[実施例3]ガラクトマンナン酵素分解物を含有する飲食品の製造2
ここでは、実施例1の酵素群サンプル3を用いて得た粉末状ガラクトマンナン酵素分解物を用いた。そして、準強力粉1000g(日清製粉株式会社製)に対し、上記の酵素分解物30g、粉末かんすい10g、食塩10g、水330g、99%エタノール20gを配合し、ミキサーで15分間混捏した。これを原料として用い、常法により圧延、切出し(最終麺帯厚1.4mm、切刃#20角)を行った。このようにして得られた中華麺120gをポリ袋で密封し、20℃で24時間麺線熟成を行い、ガラクトマンナン酵素分解物を含有する生中華麺を得た。
[実施例4]ガラクトマンナン酵素分解物を含有する飲食品の製造3
ここでは、実施例1の酵素群サンプル4を用いて得た粉末状ガラクトマンナン酵素分解物を用いた。そして、デュラム小麦粉1000g(日清製粉株式会社製)に、上記の酵素分解物30g及び水300gを加えた。これを原料として用いて、常法に従って製麺を行うことで、ガラクトマンナン酵素分解物を含有するスパゲティの乾燥麺線(水分13%)を調製した。
[実施例5]ガラクトマンナン酵素分解物を含有する飲食品の製造4
ここでは、実施例1の酵素群サンプル5を用いて得た粉末状ガラクトマンナン酵素分解物を用いた。そして、上記の酵素分解物30g及び精白米(商品名:三重コシヒカリ、松阪米穀株式会社製)800gに水1200gを添加したものを、電気式炊飯器(三洋電気株式会社製)で炊飯し、ガラクトマンナン酵素分解物を含有する米飯を得た。
[実施例6]ガラクトマンナン酵素分解物を含有する飲食品の製造5
ここでは、実施例1の酵素群サンプル6を用いて得た粉末状ガラクトマンナン酵素分解物100gにアップルフレーバー2g及び水を加えて、全容2リットルの液体とした。この液体を滅菌済褐色ビン(110ミリリットル)に100ミリリットルずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃、30分間殺菌し、ガラクトマンナン酵素分解物を含有するりんご風味飲料20本を得た。
[実施例7]ガラクトマンナン酵素分解物を含有する飲食品の製造6
ここでは、実施例1の酵素群サンプル7を用いて得た粉末状ガラクトマンナン酵素分解物を用いた。そして、上記の酵素分解物550g、ブドウ糖528g、果糖85.4g、粉末クエン酸15.8g、クエン酸ナトリウム11.2g、乳酸カルシウム1.3g、塩化マグネシウム1.3g、粉末天然香料13.2g及びビタミンCに水を加えて、11リットルの液体とした。この液体を乾熱減菌済110ミリリットル褐色ビンに100ミリリットルずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃、30分間殺菌し、ガラクトマンナン酵素分解物を含有するドリンク剤100本を得た。
[実施例8]ガラクトマンナン酵素分解物を含有する飲食品の製造7
ここでは、実施例1の酵素群サンプル8を用いて得た粉末状ガラクトマンナン酵素分解物を用いた。そして、上記の酵素分解物1%、ガムベース20.0%、砂糖60.0%、結晶ブドウ糖18.9%、香料1.0%を混合してガム用原料を作製した。この原料を用いて、常法により圧延、切り出し工程等を行うことにより、ガラクトマンナン酵素分解物を含有するチューインガムを製造した。
[実施例9]ガラクトマンナン酵素分解物を含有する医薬品の製造
ここでは、実施例1の酵素群サンプル9を用いて得た粉末状ガラクトマンナン酵素分解物を用いた。そして、上記の酵素分解物1.5%、アラビアガム6.0%、ブドウ糖72.0%、モノフルオロリン酸ナトリウム0.7%、ゼラチン1.0%、乳糖19.0%、香料1.0%、ステアリン酸マグネシウム適量を混合して、トローチ用原料を作製した。この原料を用いて、常法により成形工程等を行うことにより、ガラクトマンナン酵素分解物を含有するトローチを製造した。
[実施例10]ガラクトマンナン酵素分解物を含有する飼料の製造1
ここでは、実施例1の酵素群サンプル10を用いて得た粉末状ガラクトマンナン酵素分解物を用いた。そして、上記の酵素分解物1.0%、脱脂粉乳32.1%、小麦粉29.9%、パン粉7.0%、大豆粕5.0%、魚粉5.0%、砂糖4.0%、ブドウ糖9.0%、油脂2.0%、ビタミン・ミネラル類3.0%を混合して、飼料用原料を作製した。この原料を用いて、常法により成形、乾燥工程等を行うことにより、ガラクトマンナン酵素分解物を含有する養豚用飼料を製造した。
[実施例11]ガラクトマンナン酵素分解物を含有する飼料の製造2
ここでは、実施例1の酵素群サンプル11を用いて得た粉末状ガラクトマンナン酵素分解物を用いた。そして、上記の酵素分解物0.025%、トウモロコシ58.0%、大豆粕15.9%、ふすま5.0%、魚粉6.0%、アルファルファ3.0%、炭酸カルシウム7.0%、リン酸カルシウム1.6%、食塩0.4%、ビタミン・ミネラル類0.1%、大豆油2.0%を混合して、飼料用原料を作製した。この原料を用いて、常法により成形、乾燥工程等を行うことにより、ガラクトマンナン酵素分解物を含有する養鶏用飼料を製造した。
[実施例12]ガラクトマンナン酵素分解物を含有する飼料の製造3
ここでは、実施例1の酵素群サンプル12を用いて得た粉末状ガラクトマンナン酵素分解物を用いた。そして、上記の酵素分解物1kg、魚粉6.4kg、小麦グルテン1.0kg、デキストリン0.8kg、ビタミン・ミネラル類0.5kg、セルロース0.3kg、タラ肝油0.5kgを混合し、飼料用原料を作製した。この原料を用いて湿式造粒した後に乾燥することにより、ガラクトマンナン酵素分解物を含有する養殖魚用飼料10.0kgを得た。
[比較例1]市販酵素で調整したガラクトマンナン酵素分解物の評価
水900部に塩酸を加えてpHを4.0に調整した後、その水に市販のマンナナーゼ2種類(ノボ社製、製品名:ガナマーゼ(市販品1とする)及びナガセ生化学工業株式会社製、製品名:セルレースナガセ(市販品2とする))をグアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳1部あたり、400Uとなるように添加混合し、70℃で18時間酵素を作用させた。次に、反応液を100℃,30分間加熱することにより酵素を失活させ、加水分解反応を停止させた。次いで、反応溶液を70℃まで冷却し、ろ過により不純物を除去したのちイオン交換樹脂を用いて脱色脱塩処理を行った。濃縮後、スプレードライにて乾燥してガラクトマンナン酵素分解物の粉末を得た。これらの評価結果を表2に示す(図2参照)。
市販品1を用いて調製したガラクトマンナン酵素分解物は、実施例1に記載の酵素群サンプル1〜15を用い、実施例1の方法で調製したガラクトマンナン酵素分解物と比較して、5%水溶液の60℃での保存性が悪く、5%溶液の食味試験も劣っていた。また、市販品1を用いて調製したガラクトマンナン酵素分解物は、食物繊維含量及び収率が劣っていた。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位にα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するガラクトマンナン酵素分解物の製造方法であって、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性プロテアーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有し、それら酵素の比活性の割合が1〜100:1:0〜0.15:0〜0.5である酵素群を、酸性域にてグアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳部分に作用させることを特徴とするガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
(2)主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位にα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するガラクトマンナン酵素分解物の製造方法であって、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性プロテアーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有し、それら酵素の比活性の割合が1〜100:1:0〜0.15:0〜0.5である酵素群を、グアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳部分に作用させる酵素処理工程と、前記酵素処理工程を経て得られた溶液の酵素反応を停止させる反応停止工程と、前記反応停止工程後に行われる精製処理工程とを含むことを特徴とするガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
(3)主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位にα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するガラクトマンナン酵素分解物の製造方法であって、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性プロテアーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有し、それら酵素の比活性の割合が1〜100:1:0〜0.15:0〜0.5である酵素群を、グアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳部分に作用させる酵素処理工程と、前記酵素処理工程を経て得られた溶液の加水分解反応を停止させる反応停止工程と、前記反応停止工程後に行われる精製処理工程と、前記反応停止工程後に行われる加熱殺菌処理工程と、前記反応停止工程後に行われる中和処理工程とを含むことを特徴とするガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の製造方法により得られたガラクトマンナン酵素分解物を含有する飲食品。
(5)上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の製造方法により得られたガラクトマンナン酵素分解物を含有する医薬品。
(6)上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の製造方法により得られたガラクトマンナン酵素分解物を含有する飼料。
本発明のガラクトマンナン酵素分解物の製造においてグアーの胚乳部分に作用させる酵素群サンプルの比較結果を示す表である(表1)。 市販のマンナナーゼを用いた比較例の評価結果を示す表である(表2)。

Claims (12)

  1. 主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位にα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するガラクトマンナン酵素分解物の製造方法であって、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有し、それら酵素の比活性の割合が1〜100:1:0〜0.5である酵素群を、グアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳部分に作用させることを特徴とするガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
  2. 主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位にα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するガラクトマンナン酵素分解物の製造方法であって、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性プロテアーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有し、それら酵素の比活性の割合が1〜100:1:0〜0.15:0〜0.5である酵素群を、グアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳部分に作用させることを特徴とするガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
  3. 主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位にα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するガラクトマンナン酵素分解物の製造方法であって、ガラクトマンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性プロテアーゼ及びβ−マンノシダーゼを含有し、それら酵素の比活性の割合が1〜10:1:0〜0.05:0〜0.5である酵素群を、グアー(Cyamopsis tetragonolobus)の胚乳部分に作用させることを特徴とするガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
  4. 前記ガラクトマンナン酵素分解物は、AOAC 985.29に記載の酵素重量法により測定したときに65%以上の水溶性食物繊維含量を示すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
  5. 前記ガラクトマンナン酵素分解物は、グルコースを標品としてソモジー・ネルソン法で測定したときに10重量%以下の還元糖含量を示すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
  6. 前記ガラクトマンナン酵素分解物は、B型粘度計にてローターNo.1またはLowローターを使用し、5℃,60rpm及び30秒の条件で5%(w/v)水溶液を測定したときに5mPa・s〜15mPa・sの粘度を示すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
  7. 前記ガラクトマンナン酵素分解物は、B型粘度計にてLowローターを使用し、20℃,60rpm及び30秒の条件で15%(w/v)水溶液を測定したときに5mPa・s〜13mPa・sの粘度を示すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
  8. 前記ガラクトマンナン酵素分解物は、5%(w/v)水溶液の製造直後の吸光度を400nmで測定したときに0.1以下を示し、500nmで測定したときに0.02以下の値を示すことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
  9. 前記ガラクトマンナン酵素分解物は、5%(w/v)水溶液を60℃で24時間保管後に吸光度を400nmで測定したときに0.5以下を示し、500nmで測定したときに0.5以下の値を示すことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
  10. 前記ガラクトマンナン酵素分解物は、乾燥粉末化したものを色差計で測定したときの明度(L値)が85〜100を示すことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
  11. 前記酵素群を構成する各酵素は、リゾプス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、トリコデルマ(Tricohderma)属、ペニシリウム(Penicillium)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ビブリオ(Vibrio)属、アエロモナス(Aeromonas)属、バチルス(Bacillus)属及びクロストリディウム(Clostridium)属の微生物から選択される少なくとも1種に由来することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
  12. 前記微生物は、小麦粉、小麦ふすま、コーンスターチ、デキストリン及びガラクトマンナンを含有する液体培地で培養されたものであることを特徴とする請求項11に記載のガラクトマンナン酵素分解物の製造方法。
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