JP2008054015A - 電力線通信装置とその動作方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】システム間干渉の回避とデータ伝送容量の確保を両立する。
【解決手段】受信処理部(11,12,13)と、受信信号から共存信号(CDCF信号)の有無と信号強度を検出可能な共存信号検出部32と、CDCF信号発生部34と、送信処理部(16,17)と、これらを制御する制御部20とを有する。制御部20は、CDCF信号を発生させ送信することにより帯域予約を行うことが可能な共存モードと、当該帯域予約を行わない孤立モードと、の何れかのモードへの電源起動時モード設定が可能である。制御部20は、共存モードと孤立モードとの間のモード間遷移が可能である。これらの制御は、(1)CDCF信号の有無、(2)CDCF信号が検出される場合は当該検出されるCDCF信号の信号強度、又は、(3)信号強度と当該CDCF信号を含む帯域窓のタイミングとの双方に基づいて行われる。
【選択図】図10

Description

本発明は、帯域予約のための帯域窓とデータ通信のための通信帯域とが交互に所定周期で割り当てられている電力線通信装置と、その動作方法に関する。
電力線を利用する通信装置には、様々な方式が存在する。
例えば、変調方式としてはASK(Amplitude Shift Keying)、FSK(Frequency Shift Keying)、PSK(Phase Shift Keying)などがあり、伝送方式としては単一キャリア方式、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式があり、またスペクトラム拡散方式も利用されている。
しかし、これらの方式が異なると互いに通信することができない。
例えば、同じOFDM方式であっても、占有帯域幅、サブキャリア間隔、サブキャリアの変調方式、同期信号、符号方式、アクセス制御方式、データフォーマットなどの仕様のうちどれか1つでも異なると互いに通信することができない。以下、「方式が異なる」というときは、このような通信仕様が違うことを意味する。
このように互いに通信することができない異なる方式の装置が同じ家庭に存在すると、両者の送信信号が衝突を起こし通信不良が発生する。そして、最悪の場合には双方とも全く通信することができなくなる。今後電力線通信装置の普及が進むと、方式が異なる通信装置の干渉を如何にして低減または防止し、その共存を図るかが重要になると予想される。
方式の異なる無線通信システムの共存に関し、異なる方式の通信装置が送受信可能な信号(ビーコン信号)を用意して通信タイミングの調整を行う技術が知られている(たとえば特許文献1参照)。
一般的な無線LANでビーコン信号は、例えば、以下の使われ方をする。
親機(マスタ局)がビーコン信号という無線標識信号(OFDM変調された制御用パケットの一種)を周期的に報知する。子機(スレーブ局)は、すべての無線チャネル上に送出されているビーコン信号を受信し、このビーコン信号を基に最適な親機を選択する。続いて子機は、選択した親機へ認証を要求し、親機は自身のネットワークへの接続を希望する子機の認証を行うかを決め、認証できる子機ならば互いに管理用信号をやり取りして、以後、当該子機を正式な無線LAN端末として取り扱う。
このようにビーコン信号は、そのマスタ局が管理するネットワークとそれに接続している機器(以下、ネットワークおよびその接続機器を「システム」ともいう)の無線識別信号として用いられマスタ局から発信される、当該システム内の制御信号の一種である。
前述した特許文献1に記載されている発明は、システム間で共通に定義されているビーコン信号に伝送パラメータ等の詳細な制御情報を持たせることによって異なるシステム間の共存を図るものである。
一方、電力線通信の分野では、通信装置(たとえばPLCモデム)同士を共存させるために、異なる方式のモデムが認識可能な共存制御信号(以下、共存信号という)として、CDCF(commonly distributed coordination function)信号を定義し、それを用いて帯域予約のためのシステム仕様を策定することが検討されている(たとえば非特許文献1参照)。
電力線通信では、既設の電灯線を用いることから方式の統一が困難であり、方式共存のための仕様はできるだけ簡潔にする必要がある。
したがって、CDCF信号は最近の高速なモデムが採用している方式を前提にOFDM方式を採用しているが、モデム同士が詳細な情報を交換できるわけではなく、帯域予約を行うマスタ局の存在を知らせ合える程度のものである。
特開2003−258812号公報 CEPCA Technical Work Group,"CEPCA技術仕様",CEPCA技術セミナー,2006年4月5日,インターネット<URL:http://www.cepca.org/about_us/Events/past_events/japan_seminar/CEPCA_SeminarSpecification.pdf>
特許文献1には、異なるシステム間の共存のために方式間で共通なビーコン信号(標識信号の一種)を用い、この信号により互いに無線ネットワークの存在やその利用状況を確認することができると、記載されている。
電力線通信においては、共存信号(たとえばCDCF信号)が同様な機能を持つが、電力線通信のネットワークは新たに導入されたものに限らず既存の設備を利用するため、共存信号に詳細情報を持たせると、多くの機器で対応できない状況が生まれる懸念があり、それでは電力線通信の普及が進まない。したがって電力線通信仕様では、共存信号を、その信号の有無と、その信号専用の帯域(帯域窓)内でのタイミングとが重要な意味を持つ信号として規定している。
CDCF信号に関し、帯域窓内で割り当てられている時間または周波数の領域と、その意味との対応が前述した非特許文献1に開示されている。
しかし、非特許文献1には、起動時に共存すべき場合(共存モード)と共存しなくてもよい場合(孤立モード)との電源起動時の初期設定と、起動後のモード間遷移の条件については記載されていない。
また、システム間の干渉を防止する観点で、その干渉の可能性がないにも拘らず共存信号を受信したことを条件に共存モードにすることがある。共存モードは、データの衝突回避を優先させる一方で、データ伝送に用いる時間或いは周波数の帯域が共存によって制限されるため、データの衝突の可能性がない場合まで共存モードにすると不必要にデータ伝送容量が小さくなり望ましくない。
本発明が解決しようとする課題は、起動時のモード設定と、モード間遷移とを適切に行うことによってデータの衝突(システム間干渉)の回避とデータ伝送容量の確保を両立できる電力線通信装置と、その動作方法を提供することである。
本発明に係る電力線通信装置は、帯域予約のための共存信号を割り当て可能な帯域窓と、任意情報を割り当て可能な通信帯域と、が交互にかつ周期的に割り当てられている電力線通信装置であって、電力線通信網から信号を受信して処理する受信処理部と、前記受信処理部が受信する受信信号から前記共存信号の有無、信号強度、および、当該共存信号が割り当てられている前記帯域窓のタイミングを検出可能な共存信号検出部と、共存信号を発生する共存信号発生部と、信号を処理して前記電力線通信網に送信する送信処理部と、前記共存信号を前記共存信号発生部で発生させ前記送信処理部から送信することにより前記帯域予約を行うことが可能な共存モードと、前記共存信号を利用する前記帯域予約を行わない孤立モードと、の何れかのモードへの電源起動時モード設定、または、前記共存モードと前記孤立モードとの間のモード間遷移を、前記共存信号検出部が検出する前記共存信号の有無に基づいて、前記共存信号が検出される場合は当該検出される共存信号の信号強度に基づいて、あるいは、前記共存信号の信号強度と当該共存信号が割り当てられている前記帯域窓のタイミングとの双方に基づいて制御する制御部と、を有する。
本発明では好適に、前記制御部は、電源起動時に前記共存信号が検出されない場合、または、検出される全ての前記共存信号の信号強度が所定のレベルP3より小さい場合に前記孤立モードを設定し、電源起動時に前記共存信号が少なくとも1つ検出され、検出される共存信号の少なくとも1つの前記検出レベルが前記レベルP3以上の場合に前記共存モードを設定する。
本発明では好適に、前記制御部は、電源起動時に検出される前記全ての共存信号の検出レベルが前記レベルP3より小さい場合、検出される共存信号の前記帯域窓のタイミングで共存信号を送信可能に、前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御する。
本発明では好適に、前記制御部は、前記共存モードを設定するに際し、前記レベルP3以上の共存信号が割り当てられている前記帯域窓が1つ検出される場合は、当該検出される帯域窓で共存信号を送信可能に、または、前記レベルP3以上の共存信号が割り当てられている前記帯域窓が複数検出される場合は、当該検出される複数の帯域窓のタイミングを共通化し、共通化後のタイミングの帯域窓で共存信号を送信可能に、前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御する。
本発明では好適に、前記制御部は、前記孤立モードにおいて、前記共存信号が検出されない場合、または、検出される全ての共存信号の信号レベルが所定のレベルP2より小さい場合に孤立モードを維持し、前記レベルP2以上の共存信号が送信されている前記帯域窓が複数検出される場合は、当該検出される複数の帯域窓のタイミングを共通化し、共通化後のタイミングの帯域窓で共存信号を送信可能に、前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御し、共存モードに遷移し、前記レベルP2以上の共存信号が送信されている帯域窓が1つ検出される場合は、前記帯域窓のタイミングを共通化しないで前記共存モードに遷移する。
本発明では好適に、前記制御部は、前記帯域窓のタイミングを共通化しないで前記共存モードに遷移する際に、前記検出される共存信号の帯域窓のタイミングが自システムの帯域窓のタイミングと異なるときは、当該タイミングが自システムのものとは異なる帯域窓で共存信号を送信可能に、前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御し、共存モードに遷移する。
本発明では好適に、前記制御部は、前記共存モードにおいて、検出される共存信号の少なくとも1つの信号レベルが所定のレベルP1(<P2)以上の場合に共存モードを維持可能であり、前記共存信号が検出されない場合、または、前記検出される共存信号の全ての信号レベルが前記レベルP1未満の場合に前記孤立モードに遷移する。
本発明では好適に、前記制御部は、前記共存モードにおいて、検出される共存信号の少なくとも1つの信号レベルが所定のレベルP1(<P2)以上の場合に共存モードを維持可能であり、前記共存信号が検出されない場合、または、前記検出される共存信号の全ての信号レベルが前記レベルP1未満の場合で、かつ、前記検出される共存信号の帯域窓のタイミングが自システムの帯域窓のタイミングと異なるときは、当該タイミングが自システムのものとは異なる帯域窓で共存信号を送信可能に、前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御し、孤立モードに遷移する。
本発明では好適に、前記制御部は、電源起動時に検出される前記全ての共存信号の検出レベルが前記レベルP3より小さい場合、共存信号を送信しないで前記孤立モードに遷移する。
本発明では好適に、前記制御部は、前記共存モードにおいて、検出される共存信号の少なくとも1つの信号レベルが所定のレベルP1(<P2)以上の場合に共存モードを維持可能であり、前記共存信号が検出されない場合、または、前記検出される共存信号の全ての信号レベルが前記レベルP1未満の場合に、共存信号の送信を停止するように前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御し、孤立モードに遷移する。
本発明では好適に、前記制御部は、共存信号の送信停止を行う時間、当該送信停止から送信再開までの時間の少なくとも一方を乱数を用いて決定し、決定した時間に従って、前記共存信号の送信停止と送信再開を、前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御することにより実行する。
本発明に係る電力線通信装置の動作方法は、帯域予約のための共存信号を割り当て可能な帯域窓と、任意情報を割り当て可能な通信帯域と、が交互にかつ周期的に割り当てられている電力線通信装置の動作方法であって、受信信号から前記共存信号の有無、信号強度、および、当該共存信号が割り当てられている前記帯域窓のタイミングを検出する共存検出のステップと、前記共存検出で前記共存信号が検出される場合に前記複数の共存信号が、周期がずれた前記複数の帯域窓で検出されるかを調べる窓タイミング確認のステップと、前記共存信号を発生させ送信することにより前記帯域予約を行うことが可能な共存モードと、前記共存信号を利用する前記帯域予約を行わない孤立モードと、の何れかのモードへの電源起動時モード設定、または、前記共存モードと前記孤立モードとの間のモード間遷移を、共存信号の有無に基づいて、前記共存信号が検出される場合は当該検出される共存信号の信号強度に基づいて、あるいは、前記共存信号の信号強度と当該共存信号が割り当てられている前記帯域窓のタイミングとの双方に基づいて制御するモード制御ステップと、を含む。
上述した本発明においてレベルP1、P2、P3を基準とする記載において、「以上」を「より大きい」に相互に置き換えたときは、同レベルに関し、「より小さい」を「未満」に相互に置き換え可能であり、そのような場合も本発明に含む。
本発明によれば、起動時のモード設定と、モード間遷移とを適切に行うことによってデータの衝突(システム間干渉)の回避とデータ伝送容量の確保を両立できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に、本実施形態に係る電力線通信システムの機器接続形態を示す。図1は、2つの宅内の電灯線111と112とを用いる電力線通信システムの概略構成を示す。
電灯線111の幹線から各々分岐して壁コンセントWS1とWS3が設けられている。
壁コンセントWS1に、たとえばPLCモデム等の通信装置1−1のACコードが接続されている。通信装置1−1にLANケーブル等を介して、たとえばパーソナルコンピュータ(PC)等の機器71が接続されている。
壁コンセントWS3に、たとえばプリンタ等、通信とは無関係な他の機器73が接続され、ここでの反射等が通信品質の低下を招く。
一方、他の宅内に敷設されている電灯線112の幹線から分岐して壁コンセントWS2が設けられている。
壁コンセントWS2に、たとえばPLCモデム等の通信装置1−2のACコードが接続されている。通信装置1−2にLANケーブル等を介して、たとえばPC等の機器72が接続されている。
電力線搬送通信(以下、PLCモデムという)は、図1に示すように電灯線を伝送路として利用する通信で、屋内に新たに通信線を配線する必要が無く、利便性の高い通信手段と期待されている。
電力線を利用して通信を行う電力線搬送通信は150[kHz]から450[kHz]を利用するものと、2[MHz]から30[MHz]を利用するものがあり、日本では前者の周波数帯を利用する装置のみ認可されている。
近年、後者の周波数帯を利用する通信装置が米国において認可され、日本においても現在認可に向けて利用条件の検討が行われている。後者の周波数帯を利用する通信装置は高速伝送が可能であることから、様々な用途が提案されており、今後普及が進むことが予想される。
2[MHz]から30[MHz]を利用すると高速通信が可能であるが、無線LANのように100[MHz]から200[MHz]と広い帯域幅があって、それを複数のチャネルに分割して利用するという使い方ができない。
したがって、電力線通信では1つのチャネルを異なる電力線通信装置(PLCモデム)が共用しなければならない。
図2は、同一家屋内におけるPLCモデム間干渉を、図3は異なる家屋間におけるPLCモデム間干渉を説明するための図である。
図2において、家屋107には電灯線111が配設され、当該電灯線111は分電盤102を介して不図示の屋外電力線に接続されている。
電灯線111に対し、通信装置1−1を介して機器71が接続され、通信装置1−2を介して通信装置74が接続され、通信装置1−3を介して機器75が接続され、また、通信装置1−4が接続されている。図2は、機器71と74がPC、機器75が映像の録画再生が可能なビジュアル家電機器を示している。また、通信装置1−1〜1−4はPLCPLCモデムの場合である。
図2で通信装置1−1と1−2が通信しており、通信装置1−3と1−4が通信している場合を考える。このときの通信経路を図2では実線により示している。
このような2つの通信を、同一電灯線111を介して行う場合、図2で破線により示すように、互いの通信が干渉し、これが電灯線111の雑音成分を増大させ、互いに通信を妨害する要因となる。
図3において家屋107では、機器71と74が電灯線111を介して通信しているとする。このとき同時に、他の家屋108が独自に通信を開始する場合を考える。家屋108内の電灯線112に通信装置72が設けられ、その通信機能を利用して信号を屋外に送信する。その信号は、分電盤104から電力線10を通って電柱等に設けられえいる中継器106に伝達される。そして、この信号は中継器106から他の電力線10、分電盤102を通って家屋107内の電灯線111に伝わる。このとき家屋107では、機器71と74が通信していることから、その外部からの信号が妨害波となることがある。
つぎに、電力線通信仕様、特にシステム共存を実現するための帯域予約とデータ通信のため帯域割り当てについて説明する。
以下、共存信号としてCDCF信号を用いることを前提とする。なお、共存信号は電力線通信仕様によって他の名称で呼ばれることがあり、CDCF信号はその一例である。
図4に、帯域割り当ての概略説明図を示す。
図解する電力線通信仕様では、所定時間幅を有する帯域窓としてのCDCF窓120と、それに続く所定時間幅の通信領域としてのスロット130A,130B,130C,…とを1サイクルとして、このサイクルが繰り返されている。
CDCF窓120が「変調方式が異なる複数のシステムを共存させる帯域予約のための共存信号をシステムごとに異なるタイミングで割り当て可能な帯域窓」であり、CDCF窓120間のスロット130A,130B,130C,…が「任意情報をシステムごとに異なる時間領域に割り当て可能な通信帯域」である。
図5(B)にCDCF窓120の構成、図5(C)にスロット130i(i:任意のアルファベット)の構成を模式的に示す。
CDCF窓120は幾つかのブロックに区分されている。図5(B)では、そのうちCDCF信号を送信するためのブロックのみ示す。図ではシステム#1のCDCF信号121がブロック120Aで伝送され、システム#2のCDCF信号122がブロック120Bで伝送されている様子を示す。ブロック120Cはシステム#3に対応するが図ではCDCF信号が伝送されていない。共存可能なシステムに応じてブロックが設けられている。このうちどのブロックにCDCF信号が存在するかによって、CDCF信号(共存信号)のCDCF窓(帯域窓)内のタイミングが決まる。
なお、CDCF窓120のブロックが宅内系システム用途と、アクセス系システム用途とに、例えば周波数を分けて設けられる場合、システムごとに使用中と使用要求表示とのブロックを分ける場合、アクセス系の存在表示や時分割多重(TDM:time division multiplex)、周波数分割多重(FDM:frequency division multiplex)の違いを表示し、帯域予約でなくベストエフォート型伝送方式であることの表示や要求のためのブロックなど、様々なブロックを有してもよい。CDCF窓のタイミング変更要求信号のブロックも設けられ、これを利用してシステム変更が可能である。
このように、これらのブロックは領域(時間領域、即ちタイミング、または、周波数領域)に意味を持ち、したがってCDCF信号がどのブロックで伝送されるかが重要である。つまり、図5(B)ではブロック120Aと120BにCDCF信号が立っているため、システム#1と#2で共存のため帯域予約を行う又は行われていることが分かる。
このCDCF窓120の仕様に対応して、図5(A)に示すスロット130i(スロット130A,130B,130C,…)の使い方が規定されている。
各スロットは図5(C)に示すように、ベストエフォートのためのサブスロット131等のほかに、CDCF窓120が想定するシステム数だけデータ伝送のためのサブスロット、本例ではTDMAサブスロット132,133,…を有している。
システム#1のCDCF信号121がCDCF窓120内に存在するときに、各スロットのTDMAサブスロット132が使用可能であり、システム#2のCDCF信号122がCDCF窓120内に存在するときに、各スロットのTDMAサブスロット133が使用可能であり、この関係は他のシステムでも同様である。
この構成を利用して帯域予約が可能である。帯域予約をしない場合は、ベストエフォートのためのサブスロット131を使用することとなるが、その使用率によって伝送速度が影響を受ける。これに対し、帯域予約の場合はCDCF信号を伝送することによって使用領域の優先使用が確保され、他のシステムの影響が排除される。
このようにCDCF信号は異なる方式のPLCモデムが利用するデータや制御信号の伝送領域が重ならないように調停することが目的であり、各方式内の標識信号であるビーコン信号とは異なる。
ビーコン信号は、各システム内のマスタ局の存在を知らせるために、通常、マスタ局が起動されている限りシステムごとに規定される一定間隔で送信される。ビーコン信号は、図5(A)に示すように、スロット130iを利用して伝送される。図ではシステム#1のビーコン信号141と、システム#2のビーコン信号142が発信されている様子を示す。
このためマスタ局がビーコン信号を発信するには、先にCDCF信号を利用して帯域予約する必要がある。
また、ビーコン信号はシステム固有の信号であるため、システムが異なると検出できない。よって、図5に示す2種類のビーコン信号について、システム#1からはビーコン信号141しか見えず(検出できず)、システム#2からはビーコン信号142しか見えない。
PLCモデム等の通信装置が起動されたときに、CDCF信号が複数検出される場合があり、さらにビーコン信号が検出される場合とされない場合がある。この場合、異なるシステム間の調停作業が必要である。また、システム内の調停の作業が必要な場合がある。
ビーコン信号を用いるシステム内調停に関しては基本的には、PLCモデムメーカ各社に依存する。
本実施形態では、そのビーコン信号の検出までを行い、その後は、ビーコン信号を検出した通信装置が、その発信元のマスタ局との間で制御信号をやり取りすることで上記システム内の調停が行われる。
一方、CDCF窓を時間基準にして後続のデータ領域の帯域割り当て(例えばスロット内の使用可能なサブスロット)が決定されるため、システム同士がCDCF信号によって互いに検出できる場合には、CDCF窓のタイミングを一致させる必要がある。なぜなら、CDCF信号を用いる共存ルールでは、CDCF窓のタイミングを一致させない状態で帯域予約を行うと、共存ルールの下での帯域予約ができず、互いに信号が干渉するからである。
CDCF窓のタイミングを一致させること、または、一致のための作業を以下、「窓タイミングの共通化」と称する。
この複数検出されるCDCF信号のどちらのCDCF信号が自システムのものであるかは、ビーコン信号を検出し、それに続くシステム情報を読み出すことにより判断できる。システム情報(例えばシステムID)は通常、32ビット或いはそれ以上必要であるため、CDCF信号を用いる共存で、この情報を交換することはできない。CDCF信号を用いる共存では、各システムのデータが衝突することがないように、データのシステムごとの割り当て領域を時系列(または周波数帯域に分けて)に配置するルールを規定しているに過ぎないからである。
図6(A)〜図6(C)に、サブスロットの割り当て例を示す。
本例では、図6(A)に示すように、CDCF窓120が所定の時間ピッチ、たとえば100〜200[ms]で繰り返され、そのCDCF窓120の間がさらに所定の時間ピッチ、たとえば10〜20[ms]に分けられてn個のスロット130i(i=1,2,3,4,…,n-1,n)に時分割されている。
各CDCF窓120は、図6(B)に示すように、5つのブロック120A,120B,120C,120D,120Eを有する。また、各スロット領域130iは、本例では4つのサブスロット)131,132,133,134に時分割されている。
CDCF窓120の最初のブロック120AにCDCF信号が存在すると、そのことがサブスロット131を用いるデータ伝送が可能なことを意味する。同様に、ブロック120BにCDCF信号が存在すると、そのことがサブスロット132を用いるデータ伝送が可能なことを意味し、ブロック120CにCDCF信号が存在すると、そのことがサブスロット133を用いるデータ伝送が可能なことを意味し、ブロック120DにCDCF信号が存在すると、そのことがサブスロット134を用いるデータ伝送が可能なことを意味する。
本例では、サブスロット131がベストエフォート型データ伝送に割り当てられ、その他の3つのサブスロット132,133,134が帯域保証型データ伝送に割り当てられている。サブスロット132,133,134は、それぞれシステム#1,#2,#3に対応づけられている。
また、CDCF窓120の最後のブロック120Eは、CDCF窓のタイミング変更要求のためのブロックである。このブロック120Eにタイミング変更要求信号が存在すると、このCDCF窓を検出した他システムのマスタ局は、自身が使用しているCDCF窓の送出タイミングを変更しなければならない。
CDCF窓の送出タイミングは、たとえば電源周期に対して決めることができる。即ち、CDCF窓120の時間間隔が200[ms]の場合、たとえば電源の1/6周期ごとにタイミング変更が可能とすると、CDCF窓が取りうるタイミングは、AC電源の周波数が50[Hz]の場合に60通り存在する。CDCF窓のタイミング要求信号を受けた上記マスタ局は、自システムが現在使用している窓タイミング以外の59通りの何れかにCDCF窓を変更する。
この窓タイミングの変更要求信号の送信と窓タイミングの確認を、窓タイミングが一致するまで行うことで、前述した窓タイミングの共通化が可能である。
なお、「窓タイミングの共通化」というときに、「窓タイミングが一致するまで変更要求信号を繰り返し送る」ことと同義ではない。つまり、「窓タイミングの共通化」の動作は、「変更要求信号を一回のみ発信する」こと、「相手に変更要求を出すのではなく自システムの窓タイミングを変更する」ことを含む。なぜなら、この「窓タイミングの変更要求信号を受けたマスタ局は窓タイミングの変更を行う」というルールに従うモデムが増えれば増えるほど、「窓タイミングの共通化」が進展するからである。その意味では「窓タイミングの共通化」は、「完全な共通化」のほか、「窓タイミング共通化のための作業」の意味を含む。
以上により、自システムのまたは他のシステムのCDCF信号を正しく受信でき、またシステム同士が互いに干渉する関係にある場合、窓タイミングの共通化(のための作業)を行ってデータ衝突を回避することが可能である。
図7に、3つのシステム(ここでは家屋)を模式的に示す。
いま、家屋1ではモデム1−1とモデム1−2が電灯線を介した通信を行っており、家屋3ではモデム3−1とモデム3−2が通信を行っている。
このとき家屋1と3間の電力線10の長さ(距離)が長く、家屋1と3の中間に位置する家屋2のシステムは停止しているため通信干渉がほとんどないとする。
この場合、家屋3からのCDCF信号の家屋1での検出レベルが、逆に、家屋1からのCDCF信号の家屋3での検出レベルが、CDCF信号が検出できないか、検出されても干渉とはならない程度に十分小さいレベルである。したがって、この2つの動作しているシステムは、独立に動作することが可能である。
図7において家屋1と3が通信中に家屋2のモデム2−1または2−2が起動した場合を考える。
図8は、そのときのシステム干渉を表している。また、図9に家屋2内のPLCモデムが起動されたときに観測される信号例を示す。
家屋2のシステムが起動したときに、家屋2からは、家屋1と家屋3のシステムが送信する2つのCDCF信号が十分なレベルで検出される。ただし、図9に示すようにタイミングが異なる、すなわち周期がずれた2種類のCDCF信号が観測され、また、各システムでは、各CDCF信号に続いて自システムのビーコン信号も観測されることがある。
前述したようにCDCF信号には詳細な情報が含まれないため、家屋2が起動したときに自身がどのシステムに従って動作すればよいかが分からない。また、このとき2つのCDCF信号に続いて各々、ビーコン信号が送られ、このうち1つのビーコン信号を家屋2が受信する場合、CDCF信号には詳細な情報を含まないため、受信したビーコン信号がどのCDCF信号に従って送信されているかまで判断できない。
また、家屋2が適切な起動時動作を行わずに信号送信を開始したとすると、図8に示すように、家屋2のシステムが送信する信号S2が家屋1と家屋3のシステムに妨害を与えることがある。したがって家屋2の起動時動作では、CDCF信号を用いて干渉回避を行うことが必要である。
ところで、CDCF信号は信頼性が重要であり、SN比が非常に小さくても検出できるように通信仕様が規定されている。したがってCDCF信号は、そのレベルが非常に小さい場合でも検出可能である。
CDCF信号を用いることによって電力線通信装置同士の干渉を回避することは可能となるが、CDCF信号が検出される場合に必ず干渉するとは限らない。なぜなら、通信相手からの受信信号のCDCF信号に対する電力比が、データを復調するために十分な必要な最小のS/N比を上回っていれば、CDCF信号が検出されても他システムの信号が干渉となることはないからである。また、このとき他システムからの非希望波の信号がある場合は、その信号とCDCF信号の電力和に対する受信信号の電力比が、データを復調するために十分な必要な最小のS/N比を上回っていれば、CDCF信号が検出されても他システムの信号が干渉となることはない。
他の通信装置と干渉しない場合には同じタイミングでデータ送信が可能となり、通信容量の向上につながる。
しかし、現在の電力線通信仕様では、電源起動時にどのような条件下で共存モードにし、どのような条件下で共存しない孤立モードに設定するかが決められていない。また、電源起動後に共存を行っていない場合に共存信号を受けたら一律に共存モードに変更すると、実際はシステム間干渉が生じない場合まで共存モードに変更するため、利用するデータ通信容量が不必要に低下し望ましくない。
本実施形態では、この不利益を回避するために、電源起動時とモード間遷移のアルゴリズムを以下のように規定する。
即ち、本実施形態に係る電力線通信装置は、帯域予約のための共存信号を割り当て可能な帯域窓と、任意情報を割り当て可能な通信帯域と、が交互にかつ周期的に割り当てられている電力線通信装置であって、電力線通信網から信号を受信して処理する受信処理部と、前記受信処理部が受信する受信信号から前記共存信号の有無、信号強度、および、当該共存信号が割り当てられている前記帯域窓のタイミングを検出可能な共存信号検出部と、共存信号を発生する共存信号発生部と、信号を処理して前記電力線通信網に送信する送信処理部と、前記共存信号を前記共存信号発生部で発生させ前記送信処理部から送信することにより前記帯域予約を行うことが可能な共存モードと、前記共存信号を利用する前記帯域予約を行わない孤立モードと、の何れかのモードへの電源起動時モード設定、または、前記共存モードと前記孤立モードとの間のモード間遷移を、前記共存信号検出部が検出する前記共存信号の有無に基づいて、前記共存信号が検出される場合は当該検出される共存信号の信号強度に基づいて、あるいは、前記共存信号の信号強度と、当該共存信号が割り当てられている前記帯域窓のタイミングの双方に基づいて制御する制御部と、を有する。
以下、この電力線通信装置の実施形態を、PLCモデムを例として更に詳細に説明する。
図10は、本実施形態のPLCモデムのブロック図である。
図解するPLCモデムは、受信アンプ11、復調器12、誤り検出部15を有する。この3つのブロックは本発明の「受信処理部」に対応する。受信処理部は、不図示の電力線通信網から受信信号を受信し処理する回路である。
受信アンプ11は、受信信号の利得(ゲイン)を変更可能なゲインアンプである。
復調器12は、ゲイン調整後の受信信号をデジタル信号に変換し、当該受信信号が送信時に生成されたときの所定の変調方式に応じた方法で復調を行い、デジタルデータに変換する回路である。
誤り検出部15は、デジタルデータから誤りの有無判定(誤り検出)を行うことが可能で、受信データ(パケット)を抽出するように構成されている回路またはソフトウエア部分である。
図10のPLCモデムは、パケット処理部14と、選択回路35と、「送信処理回路」としての変調器16および送信アンプ17とを備える。
パケット処理部14は、受信データパケットの送り先を確認し、そのた必要なパケット処理を行う回路である。パケット処理部14には、パケット処理後のデータをさらに処理する上位層ブロック30が接続される。
パケット処理部14に対し、選択回路35を介して変調器16と送信アンプ17が縦続接続されている。
変調器16は、上位層ブロック30からパケット処理部14、選択回路35を介して送られてきた送信データ(パケット)を用いて、所定の変調方式で搬送波(交流電源波)を変調し、これにより送信信号を発生する回路である。
送信アンプ17は、送信信号の利得を調整する回路である。送信アンプ17からは、利得調整後の送信信号が不図示の電力線通信網に送り出されることが可能になっている。
図10に示すPLCモデムは、「共存信号検出部」としてのCDCF信号検出部32と、「共存信号発生部」としてのCDCF信号発生部34と、発生するビーコン信号またはCDCF信号を選択して変調器16に出力する選択回路35と、さらに、これらを制御して本実施形態の起動時動作を実行するための制御部20とを有する。
つぎに、この構成の基本動作を説明する。
受信アンプ11で増幅された信号は復調器12、CDCF信号検出部32に入力される。復調器12では受信信号が復調され、誤り検出部15に送られる。誤り検出部15では誤り検出(および誤り訂正)が行われ、受信データがパケット処理部14に入力される。
パケット処理部14では本装置が受信して処理すべきパケットかどうか判断し、そうである場合には受信データを次の処理部(上位層ブロック30)に渡す。
CDCF信号検出部32ではCDCF信号を検出し、その結果を制御部20に入力する。結果にはCDCF信号の受信有無だけでなく、受信強度レベル、検出タイミングが含まれる。制御部20はCDCF信号検出部32の検出結果をもとに、共存するべきか否か判断(共存モードと独立モードの設定または遷移)、マスタ局の場合にはCDCF信号の送信要求発生を行う。
ここでCDCF信号には、図6(B)に示すCDCF窓内のブロック120A〜120DにおけるCDCF信号の有無による帯域要求だけでなく、ブロック120Eにおける窓タイミング変更要求信号の有無による窓タイミング変更要求が含まれる。CDCF信号発生部34では送信内容に応じたCDCF信号を発生する。即ち、CDCF信号発生部34は、制御部20の制御を受けて、図6(B)に示すCDCF窓内のブロック120A〜120Dの何れかにCDCF信号を含ませ、あるいは、ブロック120Eに窓ブロック変更要求信号を含ませる処理を実行する。CDCF信号発生部34で発生したCDCF信号(及び/又は窓タイミング変更要求信号)は、CDCF信号発生部34から選択回路35に出力される。
上位層から受け取ったデータはパケット処理部14でパケット化され、選択回路35に入力される。
選択回路35は、パケット処理部14からの送信パケット、CDCF信号発生部34からのCDCF信号(及び/又は窓タイミング変更要求信号)のうち1つを選択して、変調器16に出力する。
変調器16は受け取った送信パケットまたはCDCF信号を変調して、その結果を送信アンプ17に出力する。送信アンプ17は、変調後の信号を所定の電力に増幅して送信信号として電力線通信網に出力する。
図11に、PLCモデムの状態遷移図を示す。
PLCモデムは、「電源ON」の起動時と、CDCF信号を利用する「共存モード」、および、当該共存を行わない「孤立モード」を有する。ここで「孤立モード」においては、CDCF信号を利用する共存は行わないが、マスタ局と他の局との間で、たとえばビーコン信号を用いるシステムごとに独自の通信帯域予約が可能である。また、「共存モード」においては、CDCF信号を利用する共存を行い、それに加えて、上記システムごとの独自の通信帯域予約が可能である。
<方法1:電源起動時>
図12は、方法1における電源起動時のモード設定処理を示すフローチャートである。なお、前記図11には、モード設定のルートおよび処理内容を、図12のステップ番号により示す。
ここで図12は処理手順の一例である。
以下、図11を適宜参照しながら、図12の処理フローを説明する。
PLCモデムが起動されたとき(ステップST0)、ステップST1にて、図10のCDCF信号検出部32がCDCF信号の検出を行う。この検出ではCDCF信号の有無、CDCF窓の数(即ち、電源周波数が50[Hz]の場合に60通りあるCDCF窓タイミングのうち検出されたタイミングの数)、および、CDCF信号の強度を検出する。この検出は、たとえば図6(A)のCDCF窓120の間隔、たとえば100〜200[ms]より十分大きい時間範囲で行う。
ステップST1にてCDCF信号が検出できない場合は、干渉する他のシステムの存在が認められないため、どのようなタイミングでCDCF信号を送出してもよい。したがって、ステップST2にてマスタ局は任意の窓タイミングでCDCF信号の送信を開始する。より詳細には、任意の窓タイミングでCDCF信号を送信開始して帯域を予約してビーコン信号の送信を開始してマスタ局となる手続きを実行する。
ここで「任意の窓タイミング」とは、例えば、前述した60通り(電源周波数が50[Hz]の場合)から選択された何れか一の窓タイミングを指す。また、自システムに属する他のPLCモデムが優先的にマスタ局となることが決められ、自身がマスタ局となる優先度が低い場合等にあっては、このステップST2を省略可能である。
その後、ステップST3にて孤立モードを設定し、処理フローを終了する。
以上の「干渉する他のシステムの存在が認められない場合」の処理ルートを、図11では「電源ON」→「ST1:NO」→「ST2」→「ST3」→「孤立モード」により示す。
ステップST1にてCDCF窓が複数検出される場合、例えば図10の制御部20が、次のステップST4にて信号強度が「P3以上」のCDCF信号を含みタイミングが異なるCDCF窓が複数検出されるかを判断する。ここで「異なるタイミング」とは、例えば、前述した60通りのタイミングが異なることを意味する。
このタイミングが異なる複数の「P3以上」のCDCF信号が検出され、当該ステップST4の判断が「YES」の場合は、ステップST5にて、例えば前述した「窓タイミングの共通化」を行う。このときの共通化には、「P3以上」のCDCF信号の相手に窓タイミング変更要求信号を1回又は複数回繰り返し出す場合と、自身の窓タイミングを変更する場合のどちらでもよい。
次のステップST6にて「共通化後の窓タイミングにてCDCF信号送信開始」を実行する。より詳細には、共通化後(または共通化のための作業後)の窓タイミングでCDCF信号を送信開始して帯域を予約してビーコン信号の送信を開始してマスタ局となる手続きを実行する。この場合、窓タイミングの共通化を行っているので、他のシステムが送信するCDCF信号とタイミングが重ならないようにできる。
その後、ステップST7にて共存モードの設定を行い、処理フローが終了する。
以上の「窓タイミングの共通化を行う場合」の処理ルートを、図11では「電源ON」→「ST1:YES,ST4:YES」→「ST5」→「ST6」→「ST7」→「共存モード」により示す。
ステップST1の判断でCDCF窓が単数の場合は、制御部20が次のステップST8にて、「P3以上の」信号強度のCDCF信号があるかを判断する。CDCF信号の強度がP3より小さい場合、この判断が「NO」となる。
この場合、システム間干渉の可能性は殆どなくそのままステップST3の孤立モード設定に移行してもよいが、ここでは任意のステップとしてST6Aを設け、ここで「他のシステムの窓タイミングにてCDCF信号の送信を開始する」を実行する。ここでCDCF信号の検出レベルがP3未満であるため信号が互いに干渉することはないことから、CDCF信号を送信する窓タイミングはどのタイミングでもよい。但し、一旦孤立モードを設定した後に共存モードに移行する可能性があることを考慮して、検出した他システムのCDCF窓タイミングでCDCF信号を送信すると望ましいことから、上記ステップST6Aを行うとよい。この場合も、前述したと同様に、他のシステムの窓タイミングでCDCF信号を送信開始して帯域を予約してビーコン信号の送信を開始してマスタ局となる手続きを実行する。
以上の「CDCF信号が単数でP3より小さい場合」の処理ルートを、図11では「電源ON」→「ST1:YES,ST8:NO」→(「ST6A」)→「ST3」→「孤立モード」により示す。
上記ステップST4の判断が「NO」の場合、即ち「P3」以上のCDCF信号を含むCDCF窓が1つの場合、処理フローがステップST8に進む。ステップST8の判断が「NO」の場合は、上記「CDCF窓が単数で信号強度がP3より小さい場合」の処理ルートと同じとなる。
ステップST8の判断が「YES」の場合、信号強度がP3以上のCDCF信号が1つ存在するので、そのCDCF信号と同じCDCF窓タイミングを用いて、他のシステムが送信するCDCF信号のタイミングと自身のCDCF信号のタイミングが重ならないようにしなければならない。このため処理フローがステップST9に進み、ここで、検出される窓タイミングが自システムの窓タイミングと異なるかを判断する。
窓タイミングが同じ場合は、処理フローがステップST6の前に進み、前述したステップST6とST7が実行されて、共存モードの設定が行われる。なお、この場合、窓タイミングの共通化を行っていないので、ステップST6では「他のシステムの窓タイミングでCDCF信号送信開始」となる。
一方、ステップST9で窓タイミングが異なる場合は、ステップST5で「窓タイミングの共通化」を行った後、同様にステップST6とST7が実行されて、共存モードの設定が行われる。
このようにP3以上のCDCF信号が1つでもある場合は必ず共存モードへの設定が行われる。この処理ルートを、図11では「電源ON」→「ST1:YES,ST8:YES」→「ST6」→「ST7」→「共存モード」により示す。
図12は処理手順の具体例を示すが、以上の動作を場合分けして記述すると、以下の如くである。
(1)電源起動時に他のシステムのCDCF信号を検出し、他システムのCDCF信号が検出できない、又は、十分小さい(P3より小さい)場合には孤立モードに移行する。
(2)他システムのCDCF信号が検出される場合には孤立モードでも同じCDCF窓タイミングでCDCF信号を送信する。
(3)ただし、他システムのCDCF信号と同じ窓タイミングで送信することが可能である。他システムのCDCF信号レベルが共存しなければならない受信強度レベル(P3以上)の場合には、共存モードに移行する。
<方法1:孤立モード→共存モード遷移>
次に方法1における孤立モードにおける動作を、図13のフローチャートを用いて説明する。なお、以後の説明において、処理内容を既に説明したステップは同一番号を記載し、その詳細な内容説明を省略する。
図13は、孤立モードから共存モードへの変更時のフローチャートである。
孤立モードではCDCF窓でCDCF信号を送信してシステム独自の方法により帯域予約を行う。この際、他のシステムが送信するCDCF信号と同じ窓タイミングでCDCF信号を送信することが可能である。他のシステムが送信するCDCF信号が検出されても十分小さいレベルならば共存する必要がなく、孤立モードを維持する。一方、検出されるCDCF信号の強度レベルが所定レベルP2以上なら、必要に応じて窓タイミング共通化を行い、CDCF信号の送信を開始して共存モードに移行する。
以下、具体的な処理手順を図13の例で説明する。
孤立モードでは、CDCF信号の検出(ST1)を例えば定期的に実行している。
CDCF信号が複数のCDCF窓で検出される場合、例えば図10の制御部20が、次のステップST11にて信号強度が「P2以上」のCDCF信号を含むCDCF窓が複数検出されるかを判断する。ここで信号レベルP2は、前述した信号レベルP3との大小関係は任意である。また、「異なるタイミング」とは、例えば、前述した60通りのタイミングが異なることを意味する。この窓タイミングが異なる複数の「P2以上」のCDCF信号が検出され、当該ステップST11の判断が「YES」の場合は、窓タイミングの共通化(ST5)、続いて、共通化後の窓タイミングにてCDCF信号送信開始(ST6)を実行する。この場合、窓タイミングの共通化を行っているので、他のシステムが送信するCDCF信号と窓タイミングが重ならないようにできる。
その後、共存モードの設定(ST7)を行うと、動作モードが孤立モードから共存モードに変更される。
以上のモード変更時の「窓タイミングの共通化を行う場合」の処理ルートを、図11では「孤立モード」→「ST1:YES,ST11:YES」→「ST5」→「ST6」→「ST7」→「共存モード」により示す。
ステップST1の判断でCDCF信号が単数のCDCF窓で検出される場合は、制御部20が次のステップST12にて、信号強度が「P2以上」のCDCF信号があるかを判断する。
CDCF信号の強度がP2以上であると、この判断が「YES」となり、次のステップST9にて、検出したCDCF信号の窓タイミングが自システムの窓タイミングと異なるかを、図10の制御部20が判断する。
窓タイミングが異なる場合、ステップST9の判断が「YES」となる。
この場合、システム間干渉の可能性があるためそのままステップST7の共存モード設定に移行してもよいように思えるが、ここではステップST6Aを設け、「他のシステムの窓タイミングにてCDCF信号の送信を開始する」を実行する。これは、窓タイミングが異なる別のシステムがあると、そのCDCF信号強度が急に大きくなって、そのシステムとの干渉が発生する場合を想定して、他のシステムがあれば、予めCDCF窓を相手に合わせておく望ましい処置である。この場合も、前述したと同様に、他のシステムの窓タイミングでCDCF信号を送信開始して帯域を予約してビーコン信号の送信を開始する手続きを実行する。
以上の「CDCF信号が単数のCDCF窓でP2以上、かつ、窓タイミングが異なる場合」の処理ルートを、図11では「孤立モード」→「ST1:YES,ST12:YES,ST9:YES」→「ST6A」→「ST7」→「共存モード」により示す。
窓タイミングが同じ場合、ステップST9の判断が「NO」となり、そのままステップST7の共存モード設定を行う。
以上の「CDCF信号が単数のCDCF窓でP2以上、かつ、窓タイミングが自システムの窓タイミングと同じ場合」の処理ルートを、図11では「孤立モード」→「R1」→「共存モード」により示す。
一方、ステップST12の判断が「NO」、即ち単数のCDCF窓で「P2以上」のCDCF信号が検出されない場合は、共存モードへの移行を行う必要がなく、処理フローをステップST1の前に戻す。
この処理ルートはモード遷移を伴わないため、図11では図示を省略している。
以上の方法1における孤立モードでの動作を、手順に上位の概念でまとめると、以下のごとくである。
(1)CDCF信号レベルがP2以上、CDCF窓が1つで、かつ、CDCF窓のタイミングが、自システムが送信するCDCF信号のCDCF窓と同じ場合には、共存モードに移行する。その際、CDCF信号の窓タイミングが重複している場合には、マスタ局は同じCDCF窓でCDCF信号の送信タイミングを変更してから共存モードに移行する。
(2)CDCF信号レベルがP2以上で、かつCDCF窓が1つで、CDCF窓タイミングが、自システムが送信するCDCF信号のCDCF窓タイミングと異なる場合には、他システムのCDCF窓タイミングでマスタ局はCDCF信号送信開始して、共存モードに移行する。
(3)CDCF信号レベルがP2以上で、CDCF窓が複数観測される場合には、まずCDCF窓の統一を行った後、マスタ局は他システムのCDCF窓タイミングでCDCF信号を送信開始して、共存モードに移行する。
(4)CDCF信号レベルの信号レベルがP2未満の場合、孤立モードを維持する。
<方法1:共存モード→孤立モード遷移>
次に方法1における共存モードにおける動作を、図14のフローチャートを用いて説明する。なお、以後の説明において、処理内容を既に説明したステップは同一番号を記載し、その詳細な内容説明を省略する。
共存モードでは、CDCF窓でCDCF信号を送信して帯域予約する。その際、他のシステムが送信するCDCF信号(信号レベルがP1以上のもの)とタイミングが重ならないようにしなければならない。信号レベルがP1未満のCDCF信号が検出されるシステムは共存の対象外であり、検出される全てのCDCF信号の強度がP1未満の場合、孤立モードに移行する。ここで信号レベルP1は前述したP2より小さい値を有する。その理由は後述する。
以下、具体的な処理手順を示す図14の例で説明する。
図14は、共存モードでの動作のフローチャートである。
孤立モードでは、CDCF信号の検出(ST1)を例えば定期的に実行している。
このCDCF信号の検出では、自身が使用しているCDCF窓でのCDCF信号の有無とその強度、および、自身が使用しているCDCF窓の他にCDCF窓があるかを検出する。
例えば図10の制御部20が、このCDCF信号の検出結果に基づいて、以下の判断を実行し、その結果に応じて処理フローを制御する。
自身が用いているCDCF窓で送信されるCDCF信号の強度が「P1以上」であるかを判断する。自身が用いているCDCF窓のCDCF信号の強度が「P1以上」であれば、共存条件が成立しており、その場合、共存モードを維持するため処理フローをステップST1の前に戻し、つぎの検出タイミングを待つ。
ただし、ステップST1では、自身が用いているCDCF窓でのCDCF信号の検出とは独立に、他のCDCF窓で送信されるCDCF信号の強度を検出しており、その結果次第では窓タイミングの共通化を行うことが望ましい場合がある。
具体的には、他のCDCF窓で強度が「P3以上」のCDCF信号が送信されていることが検出された場合は、ステップST13の判断が「YES」となることから、前述した窓タイミングの共通化(ST5)、続いて、共通化後の窓タイミングにてCDCF信号送信開始(ST6)を実行する。この場合、窓タイミングの共通化を行っているので、他のシステムが送信するCDCF信号と窓タイミングが重ならないようにできる。
その後、処理フローをステップST1の前に戻し、ステップST1を例えば定期的に繰り返す。
なお、ステップST13の判断が「NO」の場合、すなわち他のCDCF窓で強度が「P1以上」のCDCF信号が検出されない場合は、自身が使用しているCDCF窓で送信されるCDCF信号の強度が「P1以上」であることを条件に、処理フローをステップST1の前に戻す。
ステップST1の判断で、自身のCDCF窓で強度が「P1以上」のCDCF信号が1つも検出されないときは、ステップST15の孤立モード設定を行い、モード変更が行われる。
このモード変更ルートを、図11では「共存モード」→「R2」→「孤立モード」により示す。
以上のように、ステップST1で行う処理の分岐を以下の4つの条件で行うことができる。
条件1:自身が使用しているCDCF窓のタイミング以外にCDCF窓を検出した場合、
条件2:自身が使用しているCDCF窓内に強度が「P1以上」のCDCF信号を検出した場合、
条件3:自身が使用しているCDCF窓内にCDCF信号を検出できるが、その強度が「P1以上」でない場合、
条件4:自身が使用しているCDCF窓内にCDCF信号を1つも検出できない場合。
ここでP1とP2の関係について説明する。
共存モードと孤立モードにおいて、共存するかどうかの判断基準を共通にすると、この判断基準に近い値でCDCF信号レベルが変動すると、共存モードと孤立モード間を頻繁に移行する現象が生じる可能性がある。このような現象を防止するためにP1、P2の2つの閾値(信号強度レベル)を用意して、共存モードと孤立モードとのモード変更にヒステリシスを持たせる。そのためP2>P1の条件が必要である。
また、同じ窓タイミングでCDCF信号が送信される可能性がある。自分自身が送信するCDCF信号と同じタイミングでCDCF信号が送信されている場合はそれを検出することが不可能である。この問題については次の<方法2>または<方法3>により解決する。
<方法2と3の概略>
上記方法1は、図11の「電源ON」から「孤立モード」への移行時に、ステップST6Aを経由する場合があり、そこでは「他システムの窓タイミング」でCDCF信号送信開始を行うこととしている。また、「孤立モード」から「共存モード」への移行時にもステップST6A、ST6のように他のシステムの窓タイミングでCDCF信号の送信を行うこととしている。
このことは「窓タイミングの共通化」という点では良い。
つまり、CDCF信号の受信先のモデムでは、自システムの窓タイミングでCDCF信号が送られてくることになる。この窓タイミングが共通化されている場合は、容易にCDCF信号を検出できるという利点がある。
その一方で、以下のように不利益を受ける場合がある。
つまり、CDCF信号を受け取る他のモデムが本実施形態と同じ図10の構成が採られているとすると、CDCF信号検出部32は、通常、相関器を用いて信号パターンの相関を検出している。また、前述したようにCDCF信号は強度が低くても検出されるので、この相関器は頻繁に動くことになるため処理負担が重く、その間、CDCF信号検出部32を制御する制御部20は、CDCF信号送出等の作業を迅速に行えない。言い換えると、CDCF信号検出のための相関器の動作が自システムの窓タイミングにおける作業に支障をきたす。
この不利益を解消するには、窓タイミングを意図的にずらず方法(方法2)と、孤立モード移行時にCDCF信号の送信を停止する方法(方法3)ならびにCDCF信号の送信を時々(例えばランダムに)停める方法(方法4)がある。
以下、主に方法2と3を順次説明するが、方法1との差のみ説明し、同じ処理手順や処理内容は同一符号を付して説明を省略する。
<方法2>
図15に方法2の状態遷移図を、図16に方法2の電源起動時のフローチャートを、図17に孤立モードのフローチャートを、そして、図18に共存モードのフローチャートをそれぞれ示す。
図15を図11と比較すると、第1の相違点として、「電源ON」から「孤立モード」への移行時にステップST6Aに代えて、ステップST20が設けられている。ステップST6Aを行うか否かが任意であったのに対し、ステップST20は任意ではない。
ステップST20は、図16において、ステップST8の判断が「NO」となる場合、即ちP3以上の強度のCDCF信号が検出できない場合に、図10の制御部20がCDCF信号発生部34、選択回路35および送信処理部を制御することにより実行するステップである。
ここではマスタ局が、P3以上のCDCF信号を発信した他システムの窓タイミングと異なる窓タイミングでCDCF信号の送信を開始し(ST20)、ステップST3の孤立モード設定を行う。
図15を図11と比較すると、第2の相違点として、「孤立モード」から「共存モード」への移行時にステップST6Aに代えて、ステップST20が設けられている。
このステップST20は、図17において、ステップST9の判断が「NO」となる場合、即ちP2以上の強度のCDCF信号が検出されるため共存モード設定(ST7)への移行に際し、P2以上のCDCF信号の窓タイミングが自システムの窓タイミングと同じ場合に実行するステップである。ステップST20の内容は上記と同じである。
図15を図11と比較すると、第3の相違点として、「共存モード」から「孤立モード」への移行時に、ステップST20が新たに設けられている。
このステップST20は、図18において、ステップST1の判断が「TES(条件3,4)」となる場合、即ち自身のCDCF窓で強度が「P1以上」のCDCF信号が1つも検出されないとき(条件3と4を含む場合)に独立モード設定(ST15)への移行に際し実行するステップである。ステップST20の内容は前記と同じである。
以上の第1〜第3の相違点の何れにおいても、ステップST20を経て送信されたCDCF信号を受信する他のシステムの局(モデム)は、自システムの窓タイミングと異なる窓タイミングでCDCF信号受信ができ、自システムの帯域窓に対応する期間は必要な処理に専念できる。CDCF信号受信の容易性の観点からは、当該他システムの窓タイミングとは異なるが、余りかけ離れたタイミングでないことが望ましい。
どのタイミングとするかは任意であるが、一部に偏らないために乱数によりランダムに決定することが望ましい。
また、乱数の取りうる範囲を制限して、他システムの窓タイミングとは異なるが、余りかけ離れたタイミングとならないようにすることもできる。乱数発生の機能は、図10の制御部20に持たせるとよい。
<方法3>
図19に方法3の状態遷移図を、図20に方法3の電源起動時のフローチャートを、図21に共存モードのフローチャートを、それぞれ示す。
図19を図11と比較すると、第1の相違点として、「電源ON」から「孤立モード」への移行時にステップST2に代えて、ステップST30が設けられている。また、ステップST6Aを行うルートはステップST30を経由するルートに一本化されている。
このことをフローチャートで表すと、図20のようになる。
ステップST30は、図20において、ステップST1の判断が「NO」となる場合、即ちCDCF信号が全く検出されない場合と、CDCF信号が検出されるが全てP3未満(ステップST8が「NO」)の場合に、図10の制御部20がCDCF信号発生部34、選択回路35および送信処理部を制御するステップである。処理内容としてはCDCF信号の送信を行わないことである。
その後、ステップST3の孤立モード設定を行う。
図19を図11と比較すると、第2の相違点として、「共存モード」から「孤立モード」への移行時にルートR2に代えて、ステップST31を経るルートが新たに創設されている。
このことをフローチャートで表すと、図21のようになる。
図21では、ステップST1の判断が「TES(条件3,4)」となる場合、即ち自身のCDCF窓で強度が「P1以上」のCDCF信号が1つも検出されないとき(条件3と4を含む場合)に、CDCF信号の送信を停止し(ステップST31)、その後、孤立モードの設定(ST15)を行う。
以上の第1と第2の相違点の何れにおいても、ステップST30またはST31によって以後、他のシステムがCDCF信号を受信することができない。よって、当該他のシステムからは、CDCF信号を停止したモデムが属するシステムは認識できない。しかし、自身が使用しているCDCF窓で送られてくるCDCF信号がP1未満というシステム干渉が起こらない通信環境にあることを検出した上でCDCF信号を止めたのであるから、システム認識ができないようにしても通常、不利益とならないと考えられる。CDCF信号検出の停止を行ったモデム自身によるCDCF信号検出は常時(または定期的に)行われているため、システム干渉が生じる環境になった時点でCDCF信号送信を再開する。
一方、CDCF信号送信を停止する利点としては、相関器の動作が停止することにより、制御部20の制御負担が軽減され、その分、他の作業に専念でき効率が向上する。
なお、このCDCF信号の送信を停止することを時々、例えばランダムに行ってもよい(方法4)。
一方、CDCF信号を停止してから自動復帰によりCDCF信号の送信を再開してもよい。この場合、CDCF信号送信停止と再開の少なくとも一方のタイミングを乱数によりランダムに決定することができる。乱数発生の機能は、図10の制御部20に持たせるとよい。
以上の方法3および4では、孤立モードから共存モードへの移行制御は方法1または2と同じ方法が採用できる。従って図13または図17が適用されるため、ここでの説明は省略する。
本発明の実施形態によれば、他のPLCモデムと干渉しない場合には同じタイミングでデータ送信が可能となり、通信容量の向上につながる。干渉する場合に採るべき共存モードと干渉しない場合に採るべき孤立モードを想定した際、本発明によって、各モードにおける動作、各モード間遷移の切換動作を行うことが可能となる。
実施形態に関わる電力線通信システムの機器接続形態を示す図である。 実施形態で用いる、同一家屋内におけるモデム間干渉の説明図である。 実施形態で用いる、異なる家屋間におけるモデム間干渉の説明図である。 実施形態で用いる、帯域割り当ての概略説明図である。 (A)はCDCF窓とビーコン信号の割り当て図、(B)はCDCF窓(帯域窓)の構成図、(C)は通信帯域の構成図である。 実施形態で用いるさらに具体的な例として、(A)は帯域割り当て図、(B)はCDCF窓(帯域窓)の構成図、(C)は通信帯域の構成図である。 実施形態で用いるシステムとして3つの家屋を示す図である。 図5の家屋間でシステム干渉が生じたときの説明図である。 図5の家屋2内のモデムが起動されたときに観測される信号例を示す図である。 実施形態に関わる電力線通信装置のブロック図である。 実施形態の方法1の状態遷移図である。 方法1の電源起動時のフローチャートである。 方法1の孤立モードのフローチャートである。 方法1の共存モードのフローチャートである。 実施形態の方法2の状態遷移図である。 方法2の電源起動時のフローチャートである。 方法2の孤立モードのフローチャートである。 方法2の共存モードのフローチャートである。 実施形態の方法3の状態遷移図である。 方法3の電源起動時のフローチャートである。 方法3の共存モードのフローチャートである。
符号の説明
1−1,1−2等…通信装置、10…電力線、11…受信アンプ、12…復調器、13…誤り検出部、14…パケット処理部、16…変調器、17…送信アンプ、20…制御部、30…上位層ブロック、32…CDCF信号検出部、34…CDCF信号発生部、35…選択回路、71,72…機器、111…電灯線、120…CDCF窓、120A,120B,120C…CDCF窓のブロック、121,122…CDCF信号、130i…スロット、131〜133…スロット、141,142…ビーコン信号

Claims (12)

  1. 帯域予約のための共存信号を割り当て可能な帯域窓と、任意情報を割り当て可能な通信帯域と、が交互にかつ周期的に割り当てられている電力線通信装置であって、
    電力線通信網から信号を受信して処理する受信処理部と、
    前記受信処理部が受信する受信信号から前記共存信号の有無、信号強度、および、当該共存信号が割り当てられている前記帯域窓のタイミングを検出可能な共存信号検出部と、
    共存信号を発生する共存信号発生部と、
    信号を処理して前記電力線通信網に送信する送信処理部と、
    前記共存信号を前記共存信号発生部で発生させ前記送信処理部から送信することにより前記帯域予約を行うことが可能な共存モードと、前記共存信号を利用する前記帯域予約を行わない孤立モードと、の何れかのモードへの電源起動時モード設定、または、前記共存モードと前記孤立モードとの間のモード間遷移を、前記共存信号検出部が検出する前記共存信号の有無に基づいて、前記共存信号が検出される場合は当該検出される共存信号の信号強度に基づいて、あるいは、前記共存信号の信号強度と当該共存信号が割り当てられている前記帯域窓のタイミングとの双方に基づいて制御する制御部と、
    を有する電力線通信装置。
  2. 前記制御部は、
    電源起動時に前記共存信号が検出されない場合、または、検出される全ての前記共存信号の信号強度が所定のレベルP3より小さい場合に前記孤立モードを設定し、
    電源起動時に前記共存信号が少なくとも1つ検出され、検出される共存信号の少なくとも1つの前記検出レベルが前記レベルP3以上の場合に前記共存モードを設定する
    請求項1に記載の電力線通信装置。
  3. 前記制御部は、電源起動時に検出される前記全ての共存信号の検出レベルが前記レベルP3より小さい場合、検出される共存信号の前記帯域窓のタイミングで共存信号を送信可能に、前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御する
    請求項2に記載の電力線通信装置。
  4. 前記制御部は、前記共存モードを設定するに際し、
    前記レベルP3以上の共存信号が割り当てられている前記帯域窓が1つ検出される場合は、当該検出される帯域窓と同じタイミングの帯域窓で共存信号を送信可能に、または、
    前記レベルP3以上の共存信号が割り当てられている前記帯域窓が複数検出される場合は、当該検出される複数の帯域窓のタイミングを共通化し、共通化後のタイミングの帯域窓で共存信号を送信可能に、
    前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御する
    請求項2に記載の電力線通信装置。
  5. 前記制御部は、前記孤立モードにおいて、
    前記共存信号が検出されない場合、または、検出される全ての共存信号の信号レベルが所定のレベルP2より小さい場合に孤立モードを維持し、
    前記レベルP2以上の共存信号が送信されている前記帯域窓が複数検出される場合は、当該検出される複数の帯域窓のタイミングを共通化し、共通化後のタイミングの帯域窓で共存信号を送信可能に、前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御し、共存モードに遷移し、
    前記レベルP2以上の共存信号が送信されている帯域窓が1つ検出される場合は、前記帯域窓のタイミングを共通化しないで前記共存モードに遷移する
    請求項2に記載の電力線通信装置。
  6. 前記制御部は、前記帯域窓のタイミングを共通化しないで前記共存モードに遷移する際に、前記検出される共存信号の帯域窓のタイミングが自システムの帯域窓のタイミングと異なるときは、当該タイミングが自システムのものとは異なる帯域窓で共存信号を送信可能に、前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御し、共存モードに遷移する
    請求項5に記載の電力線通信装置。
  7. 前記制御部は、前記共存モードにおいて、
    検出される共存信号の少なくとも1つの信号レベルが所定のレベルP1(<P2)以上の場合に共存モードを維持可能であり、
    前記共存信号が検出されない場合、または、前記検出される共存信号の全ての信号レベルが前記レベルP1未満の場合に前記孤立モードに遷移する
    請求項5に記載の電力線通信装置。
  8. 前記制御部は、前記共存モードにおいて、
    検出される共存信号の少なくとも1つの信号レベルが所定のレベルP1(<P2)以上の場合に共存モードを維持可能であり、
    前記共存信号が検出されない場合、または、前記検出される共存信号の全ての信号レベルが前記レベルP1未満の場合で、かつ、前記検出される共存信号の帯域窓のタイミングが自システムの帯域窓のタイミングと異なるときは、当該タイミングが自システムのものとは異なる帯域窓で共存信号を送信可能に、前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御し、孤立モードに遷移する
    請求項5に記載の電力線通信装置。
  9. 前記制御部は、電源起動時に検出される前記全ての共存信号の検出レベルが前記レベルP3より小さい場合、共存信号を送信しないで前記孤立モードに遷移する
    請求項2に記載の電力線通信装置。
  10. 前記制御部は、前記共存モードにおいて、
    検出される共存信号の少なくとも1つの信号レベルが所定のレベルP1(<P2)以上の場合に共存モードを維持可能であり、
    前記共存信号が検出されない場合、または、前記検出される共存信号の全ての信号レベルが前記レベルP1未満の場合に、共存信号の送信を停止するように前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御し、孤立モードに遷移する
    請求項5に記載の電力線通信装置。
  11. 前記制御部は、共存信号の送信停止を行う時間、当該送信停止から送信再開までの時間の少なくとも一方を乱数を用いて決定し、決定した時間に従って、前記共存信号の送信停止と送信再開を、前記共存信号発生部および前記送信処理部を制御することにより実行する
    請求項10に記載の電力線通信装置。
  12. 帯域予約のための共存信号を割り当て可能な帯域窓と、任意情報を割り当て可能な通信帯域と、が交互にかつ周期的に割り当てられている電力線通信装置の動作方法であって、
    受信信号から前記共存信号の有無、信号強度、および、当該共存信号が割り当てられている前記帯域窓のタイミングを検出する共存検出のステップと、
    前記共存検出で前記共存信号が検出される場合に前記複数の共存信号が、周期がずれた前記複数の帯域窓で検出されるかを調べる窓タイミング確認のステップと、
    前記共存信号を発生させ送信することにより前記帯域予約を行うことが可能な共存モードと、前記共存信号を利用する前記帯域予約を行わない孤立モードと、の何れかのモードへの電源起動時モード設定、または、前記共存モードと前記孤立モードとの間のモード間遷移を、共存信号の有無に基づいて、前記共存信号が検出される場合は当該検出される共存信号の信号強度に基づいて、あるいは、前記共存信号の信号強度と当該共存信号が割り当てられている前記帯域窓のタイミングとの双方に基づいて制御するモード制御ステップと、
    を含む電力線通信装置の動作方法。
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