JP2008051496A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】セパレート型の空気調和装置の運転前に冷媒連絡配管の情報を入力する手間を極力減らしつつ、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定できるようにする。
【解決手段】空気調和装置1は、熱源ユニット2と利用ユニット4、5とが冷媒連絡配管6、7を介して接続されることによって構成される冷媒回路10と、配管容積演算手段とを備えている。配管容積演算手段は、熱源ユニット2と利用ユニット4、5とを冷媒連絡配管6、7を介して接続して冷媒回路10を構成した後に追加充填される冷媒量である追加充填量Maに基づいて、冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpを演算する。
【選択図】図6

Description

本発明は、空気調和装置の冷媒回路内の冷媒量の適否を判定する機能、特に、熱源ユニットと利用ユニットとが冷媒連絡配管を介して接続されることによって構成される空気調和装置の冷媒回路内の冷媒量の適否を判定する機能に関する。
従来より、熱源ユニットと利用ユニットとが冷媒連絡配管を介して接続されることによって構成されるセパレート型の空気調和装置において、冷媒回路内の冷媒量の過不足を精度よく判定できるようにするために、冷媒連絡配管の長さ等の情報を入力することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−200905号公報
しかし、上述の冷媒連絡配管の情報を入力する作業は、非常に手間がかかる作業であり、また、入力ミスも生じやすいという問題がある。
本発明の課題は、セパレート型の空気調和装置の運転前に冷媒連絡配管の情報を入力する手間を極力減らしつつ、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定できるようにすることにある。
第1の発明にかかる空気調和装置は、熱源ユニットと利用ユニットとが冷媒連絡配管を介して接続されることによって構成される冷媒回路と、配管容積演算手段と、冷媒量演算手段と、冷媒量判定手段とを備えている。配管容積演算手段は、熱源ユニットと利用ユニットとを冷媒連絡配管を介して接続して冷媒回路を構成した後に追加充填される冷媒量である追加充填量に基づいて、冷媒連絡配管の容積を演算する。冷媒量演算手段は、配管容積演算手段によって演算された冷媒連絡配管の容積と冷媒回路からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒漏洩検知運転における冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量とに基づいて、冷媒回路全体の冷媒量である全演算冷媒量を演算する。冷媒量判定手段は、全演算冷媒量と冷媒回路からの冷媒の漏洩の有無を判定する基準となる基準冷媒量とを比較することで、冷媒回路からの冷媒の漏洩の有無を判定する。
この空気調和装置では、熱源ユニットと利用ユニットとを冷媒連絡配管を介して接続して冷媒回路を構成した後に追加充填される冷媒量である追加充填量に基づいて、冷媒連絡配管の容積を演算するようにしているため、冷媒連絡配管の容積が未知の場合であっても、追加充填量の値を入力することによって、冷媒連絡配管の容積を演算することができる。これにより、冷媒連絡配管の情報を入力する手間を極力減らしつつ、冷媒連絡配管の容積を得ることができるようになり、その結果、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。
第2の発明にかかる空気調和装置は、第1の発明にかかる空気調和装置において、冷媒量判定手段は、冷媒回路内に冷媒を追加充填する冷媒自動充填運転における冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量に基づいて、冷媒回路内に充填されている冷媒量が目標充填量に到達したかどうかを判定する。追加充填量は、冷媒自動充填運転において冷媒回路内に追加充填された冷媒量である。
この空気調和装置では、冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量に基づいて目標充填量に到達したかどうかを判定することができるため、冷媒の追加充填を確実に行うことができるとともに、冷媒連絡配管の容積を演算するために必要となる追加充填量の値を、冷媒自動充填運転を行うことによって得ることができる。
第3の発明にかかる空気調和装置は、第2の発明にかかる空気調和装置において、冷媒量演算手段は、冷媒自動充填運転における冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から、冷媒回路の冷媒連絡配管を除く部分における冷媒量であるユニット内冷媒量を演算する。配管容積演算手段は、冷媒自動充填運転よりも前に冷媒回路内に充填されている冷媒量である初期充填量に追加充填量を加算することによって冷媒自動充填運転直後における冷媒回路全体の冷媒量である全充填冷媒量を得て、全充填冷媒量からユニット内冷媒量を減算することによって冷媒連絡配管内の冷媒量である連絡配管冷媒量を得て、冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒連絡配管内を流れる冷媒の密度を演算し、連絡配管冷媒量及び密度に基づいて、冷媒連絡配管の容積を演算する。
この空気調和装置では、初期充填量に追加充填量を加算することによって得られる全充填冷媒量から、冷媒自動充填運転における冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から演算されるユニット内冷媒量を減算することによって、冷媒自動充填運転時における連絡配管冷媒量を精度よく演算することができるため、冷媒連絡配管の容積を精度よく演算することができる。
第4の発明にかかる空気調和装置は、第3の発明にかかる空気調和装置において、冷媒連絡配管は、液冷媒連絡配管及びガス冷媒連絡配管を有している。配管容積演算手段は、液冷媒連絡配管内を流れる液冷媒の密度である液冷媒密度及びガス冷媒連絡配管内を流れるガス冷媒の密度であるガス密度を演算し、連絡配管冷媒量、液冷媒連絡配管とガス冷媒連絡配管との容積比、液冷媒密度及びガス冷媒密度に基づいて、液冷媒連絡配管及びガス冷媒連絡配管の容積を演算する。
液冷媒連絡配管及びガス冷媒連絡配管は、利用ユニットと熱源ユニットとを接続するように設けられるため、配管長はほぼ同じであり、管内を流れる冷媒の密度が異なることに起因して配管径、すなわち、流路断面積が異なるものである。このため、液冷媒連絡配管とガス冷媒連絡配管との容積比は、両者の流路断面積の比にほぼ対応することになり、しかも、利用ユニット及び熱源ユニットの能力や型式によって流路断面積の比は決まっているため、この容積比はある範囲内の値となる。そして、液冷媒連絡配管とガス冷媒連絡配管との容積比が既知であれば、液冷媒連絡配管の容積に液冷媒密度を乗算した値とガス冷媒連絡配管の容積にガス冷媒密度を乗算した値との合計値が連絡配管冷媒量と同じになることから、結果的に、液冷媒連絡配管の容積及びガス冷媒連絡配管の容積をそれぞれ演算することができるようになる。
そこで、この空気調和装置では、液冷媒連絡配管とガス冷媒連絡配管との容積比を予め設定しておくことで、液冷媒連絡配管の容積及びガス冷媒連絡配管の容積をそれぞれ簡単に演算することができる。
第5の発明にかかる空気調和装置は、第2の発明にかかる空気調和装置において、配管容積演算手段は、冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒連絡配管内を流れる冷媒の密度を演算し、追加充填量及び密度に基づいて、冷媒連絡配管の容積を演算する。
この空気調和装置では、例えば、冷媒自動充填運転を行う前の冷媒回路内に、冷媒自動充填運転によって冷媒回路内の冷媒量が目標充填量に到達した際において、冷媒回路の冷媒連絡配管を除く部分における冷媒量であるユニット内冷媒量に近似する量の冷媒を初期充填量として充填しておくことで、冷媒自動充填運転において冷媒回路内に追加充填される冷媒量を、冷媒連絡配管内に存在する冷媒量に相当するものとみなすことができる。これにより、追加充填量及び密度に基づいて、冷媒連絡配管の容積を精度よく演算することができる。
第6の発明にかかる空気調和装置は、第5の発明にかかる空気調和装置において、冷媒連絡配管は、液冷媒連絡配管及びガス冷媒連絡配管を有している。配管容積演算手段は、液冷媒連絡配管内を流れる液冷媒の密度である液冷媒密度及びガス冷媒連絡配管内を流れるガス冷媒の密度であるガス冷媒密度を演算し、追加充填量、液冷媒連絡配管とガス冷媒連絡配管との容積比、液冷媒密度及びガス冷媒密度に基づいて、液冷媒連絡配管及びガス冷媒連絡配管の容積を演算する。
液冷媒連絡配管及びガス冷媒連絡配管は、利用ユニットと熱源ユニットとを接続するように設けられるため、配管長はほぼ同じであり、管内を流れる冷媒の密度が異なることに起因して配管径、すなわち、流路断面積が異なるものである。このため、液冷媒連絡配管とガス冷媒連絡配管との容積比は、両者の流路断面積の比にほぼ対応することになり、しかも、利用ユニット及び熱源ユニットの能力や型式によって流路断面積の比は決まっているため、この容積比はある範囲内の値となる。そして、液冷媒連絡配管とガス冷媒連絡配管との容積比が既知であれば、液冷媒連絡配管の容積に液冷媒密度を乗算した値とガス冷媒連絡配管の容積にガス冷媒密度を乗算した値との合計値が追加充填量と同じになることから、結果的に、液冷媒連絡配管の容積及びガス冷媒連絡配管の容積をそれぞれ演算することができるようになる。
そこで、この空気調和装置では、液冷媒連絡配管とガス冷媒連絡配管との容積比を予め設定しておくことで、液冷媒連絡配管の容積及びガス冷媒連絡配管の容積をそれぞれ簡単に演算することができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明では、冷媒連絡配管の情報を入力する手間を極力減らしつつ、冷媒連絡配管の容積を得ることができるようになり、その結果、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。
第2の発明では、冷媒の追加充填を確実に行うことができるとともに、冷媒連絡配管の容積を演算するために必要となる追加充填量の値を、冷媒自動充填運転を行うことによって得ることができる。
第3の発明では、冷媒連絡配管の容積を精度よく演算することができる。
第4の発明では、液冷媒連絡配管の容積及びガス冷媒連絡配管の容積をそれぞれ簡単に演算することができる。
第5の発明では、冷媒連絡配管の容積を精度よく演算することができる。
第6の発明では、液冷媒連絡配管の容積及びガス冷媒連絡配管の容積をそれぞれ簡単に演算することができる。
以下、図面に基づいて、本発明にかかる空気調和装置の実施形態について説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、1台の熱源ユニットとしての室外ユニット2と、それに並列に接続された複数台(本実施形態では、2台)の利用ユニットとしての室内ユニット4、5と、室外ユニット2と室内ユニット4、5とを接続する冷媒連絡配管としての液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とを備えている。すなわち、本実施形態の空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4、5と、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とが接続されることによって構成されている。
<室内ユニット>
室内ユニット4、5は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット4、5は、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
次に、室内ユニット4、5の構成について説明する。尚、室内ユニット4と室内ユニット5とは同様の構成であるため、ここでは、室内ユニット4の構成のみ説明し、室内ユニット5の構成については、それぞれ、室内ユニット4の各部を示す40番台の符号の代わりに50番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
室内ユニット4は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路10a(室内ユニット5では、室内側冷媒回路10b)を有している。この室内側冷媒回路10aは、主として、膨張機構としての室内膨張弁41と、利用側熱交換器としての室内熱交換器42とを有している。
本実施形態において、室内膨張弁41は、室内側冷媒回路10a内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、室内熱交換器42の液側に接続された電動膨張弁である。
本実施形態において、室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。
本実施形態において、室内ユニット4は、ユニット内に室内空気を吸入して、室内熱交換器42において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための送風ファンとしての室内ファン43を有している。室内ファン43は、室内熱交換器42に供給する空気の風量Wrを可変することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータからなるモータ43aによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。
また、室内ユニット4には、各種のセンサが設けられている。室内熱交換器42の液側には、冷媒の温度(すなわち、暖房運転時における凝縮温度Tc又は冷房運転時における蒸発温度Teに対応する冷媒温度)を検出する液側温度センサ44が設けられている。室内熱交換器42のガス側には、冷媒の温度Teoを検出するガス側温度センサ45が設けられている。室内ユニット4の室内空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度Tr)を検出する室内温度センサ46が設けられている。本実施形態において、液側温度センサ44、ガス側温度センサ45及び室内温度センサ46は、サーミスタからなる。また、室内ユニット4は、室内ユニット4を構成する各部の動作を制御する室内側制御部47を有している。そして、室内側制御部47は、室内ユニット4の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット4を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット2との間で伝送線8aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
<室外ユニット>
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されており、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して室内ユニット4、5に接続されており、室内ユニット4、5の間で冷媒回路10を構成している。
次に、室外ユニット2の構成について説明する。室外ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路10cを有している。この室外側冷媒回路10cは、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23と、膨張機構としての室外膨張弁38と、アキュムレータ24と、温度調節機構としての過冷却器25と、液側閉鎖弁26と、ガス側閉鎖弁27とを有している。
圧縮機21は、運転容量を可変することが可能な圧縮機であり、本実施形態において、インバータにより回転数Rmが制御されるモータ21aによって駆動される容積式圧縮機である。本実施形態において、圧縮機21は、1台のみであるが、これに限定されず、室内ユニットの接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されていてもよい。
四路切換弁22は、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁であり、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42、52を室外熱交換器23において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ24)とガス冷媒連絡配管7側とを接続し(図1の四路切換弁22の実線を参照)、暖房運転時には、室内熱交換器42、52を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡配管7側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続することが可能である(図1の四路切換弁22の破線を参照)。
本実施形態において、室外熱交換器23は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、そのガス側が四路切換弁22に接続され、その液側が液冷媒連絡配管6に接続されている。
本実施形態において、室外膨張弁38は、室外側冷媒回路10c内を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行うために、室外熱交換器23の液側に接続された電動膨張弁である。
本実施形態において、室外ユニット2は、ユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するための送風ファンとしての室外ファン28を有している。この室外ファン28は、室外熱交換器23に供給する空気の風量Woを可変することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータからなるモータ28aによって駆動されるプロペラファン等である。
アキュムレータ24は、四路切換弁22と圧縮機21との間に接続されており、室内ユニット4、5の運転負荷の変動等に応じて冷媒回路10内に発生する余剰冷媒を溜めることが可能な容器である。
過冷却器25は、本実施形態において、2重管式の熱交換器であり、室外熱交換器23において凝縮された後に、室内膨張弁41、51に送られる冷媒を冷却するために設けられている。過冷却器25は、本実施形態において、室外膨張弁38と液側閉鎖弁26との間に接続されている。
本実施形態において、過冷却器25の冷却源としてのバイパス冷媒回路61が設けられている。尚、以下の説明では、冷媒回路10からバイパス冷媒回路61を除いた部分を、便宜上、主冷媒回路と呼ぶことにする。
バイパス冷媒回路61は、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51へ送られる冷媒の一部を主冷媒回路から分岐させて圧縮機21の吸入側に戻すように主冷媒回路に接続されている。具体的には、バイパス冷媒回路61は、室外膨張弁38から室内膨張弁41、51に送られる冷媒の一部を室外熱交換器23と過冷却器25との間の位置から分岐させるように接続された分岐回路61aと、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口から圧縮機21の吸入側に戻すように圧縮機21の吸入側に接続された合流回路61bとを有している。そして、分岐回路61aには、バイパス冷媒回路61を流れる冷媒の流量を調節するためのバイパス膨張弁62が設けられている。ここで、バイパス膨張弁62は、電動膨張弁からなる。これにより、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51に送られる冷媒は、過冷却器25において、バイパス膨張弁62によって減圧された後のバイパス冷媒回路61を流れる冷媒によって冷却される。すなわち、過冷却器25は、バイパス膨張弁62の開度調節によって能力制御が行われることになる。
液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁26は、室外熱交換器23に接続されている。ガス側閉鎖弁27は、四路切換弁22に接続されている。
また、室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21の吸入圧力Psを検出する吸入圧力センサ29と、圧縮機21の吐出圧力Pdを検出する吐出圧力センサ30と、圧縮機21の吸入温度Tsを検出する吸入温度センサ31と、圧縮機21の吐出温度Tdを検出する吐出温度センサ32とが設けられている。吸入温度センサ31は、アキュムレータ24と圧縮機21との間の位置に設けられている。室外熱交換器23には、室外熱交換器23内を流れる冷媒の温度(すなわち、冷房運転時における凝縮温度Tc又は暖房運転時における蒸発温度Teに対応する冷媒温度)を検出する熱交温度センサ33が設けられている。室外熱交換器23の液側には、冷媒の温度Tcoを検出する液側温度センサ34が設けられている。過冷却器25の主冷媒回路側の出口には、冷媒の温度(すなわち、液管温度Tlp)を検出する液管温度センサ35が設けられている。バイパス冷媒回路61の合流回路61bには、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口を流れる冷媒の温度を検出するためのバイパス温度センサ63が設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち、室外温度Ta)を検出する室外温度センサ36が設けられている。本実施形態において、吸入温度センサ31、吐出温度センサ32、熱交温度センサ33、液側温度センサ34、液管温度センサ35、室外温度センサ36及びバイパス温度センサ63は、サーミスタからなる。また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部37を有している。そして、室外側制御部37は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリやモータ21aを制御するインバータ回路等を有しており、室内ユニット4、5の室内側制御部47、57との間で伝送線8aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8aとによって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部8が構成されている。
制御部8は、図2に示されるように、各種センサ29〜36、44〜46、54〜56、63の検出信号を受けることができるように接続されるとともに、これらの検出信号等に基づいて各種機器及び弁21、22、24、28a、38、41、43a、51、53a、62を制御することができるように接続されている。また、制御部8には、各種制御用の設定値の入力や変更を行ったり、後述の冷媒自動充填運転によって冷媒回路10内に追加充填された冷媒量や初期充填量も含めた全充填冷媒量を入力することができるように、入力部9aが設けられている。さらに、制御部8には、後述の冷媒自動充填運転において、追加充填が完了したことを知らせたり、後述の冷媒漏洩検知運転において、冷媒漏洩を検知したことを知らせるためのLED等からなる表示部9bが接続されている。ここで、図2は、空気調和装置1の制御ブロック図である。尚、入力部9aは、制御部8に設けられているものに限られず、追加充填量や全充填冷媒量を入力する際に必要に応じて制御部8に接続されるものであってもよい。
<冷媒連絡配管>
冷媒連絡配管6、7は、空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管であり、設置場所や室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。このため、例えば、新規に空気調和装置を設置する場合には、冷媒の追加充填量を計算するために、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報を正確に把握する必要があるが、その情報管理や冷媒量の計算自体が煩雑である。また、既設配管を利用して室内ユニットや室外ユニットを更新するような場合には、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報が失われていることがある。
以上のように、室内側冷媒回路10a、10bと、室外側冷媒回路10cと、冷媒連絡配管6、7とが接続されて、空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。また、この冷媒回路10は、バイパス冷媒回路61と、バイパス冷媒回路61を除く主冷媒回路とから構成されていると言い換えることもできる。そして、本実施形態の空気調和装置1は、室内側制御部47、57と室外側制御部37とから構成される制御部8によって、四路切換弁22により冷房運転及び暖房運転を切り換えて運転を行うとともに、各室内ユニット4、5の運転負荷に応じて、室外ユニット2及び室内ユニット4、5の各機器の制御を行うようになっている。
(2)空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について説明する。
本実施形態の空気調和装置1の運転モードとしては、各室内ユニット4、5の運転負荷に応じて室外ユニット2及び室内ユニット4、5の構成機器の制御を行う通常運転モードと、空気調和装置1の構成機器の設置後(具体的には、最初の機器設置後に限られず、例えば、室内ユニット等の構成機器を追加や撤去する等の改造後や機器の故障を修理した後等も含まれる)に行われる試運転を行うための試運転モードと、試運転を終了して通常運転を開始した後において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒漏洩検知運転モードとがある。そして、通常運転モードには、主として、室内の冷房を行う冷房運転と、室内の暖房を行う暖房運転とが含まれている。また、試運転モードには、主として、冷媒回路10内に冷媒を充填する冷媒自動充填運転と、冷媒連絡配管6、7の容積を演算する配管容積演算処理とが含まれている。
以下、空気調和装置1の各運転モードにおける動作について説明する。
<通常運転モード>
(冷房運転)
まず、通常運転モードにおける冷房運転について、図1及び図2を用いて説明する。
冷房運転時は、四路切換弁22が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁38は、全開状態にされている。液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、開状態にされている。各室内膨張弁41、51は、室内熱交換器42、52の出口(すなわち、室内熱交換器42、52のガス側)における冷媒の過熱度SHrが過熱度目標値SHrsで一定になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、各室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHrは、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値(蒸発温度Teに対応)を差し引くことによって検出されるか、又は、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力Psを蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、各室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される蒸発温度Teに対応する冷媒温度値を、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から差し引くことによって、各室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHrを検出するようにしてもよい。また、バイパス膨張弁62は、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbが過熱度目標値SHbsになるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbは、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力Psを蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、バイパス温度センサ63により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度値をバイパス温度センサ63により検出される冷媒温度値から差し引くことによって、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbを検出するようにしてもよい。
この冷媒回路10の状態で、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン43、53を起動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。その後、高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して室外熱交換器23に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、この高圧の液冷媒は、室外膨張弁38を通過して、過冷却器25に流入し、バイパス冷媒回路61を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却されて過冷却状態になる。このとき、室外熱交換器23において凝縮した高圧の液冷媒の一部は、バイパス冷媒回路61に分岐され、バイパス膨張弁62によって減圧された後に、圧縮機21の吸入側に戻される。ここで、バイパス膨張弁62を通過する冷媒は、圧縮機21の吸入圧力Ps近くまで減圧されることで、その一部が蒸発する。そして、バイパス冷媒回路61のバイパス膨張弁62の出口から圧縮機21の吸入側に向かって流れる冷媒は、過冷却器25を通過して、主冷媒回路側の室外熱交換器23から室内ユニット4、5へ送られる高圧の液冷媒と熱交換を行う。
そして、過冷却状態になった高圧の液冷媒は、液側閉鎖弁26及び液冷媒連絡配管6を経由して、室内ユニット4、5に送られる。この室内ユニット4、5に送られた高圧の液冷媒は、室内膨張弁41、51によって圧縮機21の吸入圧力Ps近くまで減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって室内熱交換器42、52に送られ、室内熱交換器42、52において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。
この低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管7を経由して室外ユニット2に送られ、ガス側閉鎖弁27及び四路切換弁22を経由して、アキュムレータ24に流入する。そして、アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
(暖房運転)
次に、通常運転モードにおける暖房運転について説明する。
暖房運転時は、四路切換弁22が図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側がガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁38は、室外熱交換器23に流入する冷媒を室外熱交換器23において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力Pe)まで減圧するために開度調節されるようになっている。また、液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、開状態にされている。室内膨張弁41、51は、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度SCrが過冷却度目標値SCrsで一定になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度SCrは、吐出圧力センサ30により検出される圧縮機21の吐出圧力Pdを凝縮温度Tcに対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、各室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される凝縮温度Tcに対応する冷媒温度値を、液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値から差し引くことによって室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度SCrを検出するようにしてもよい。また、バイパス膨張弁62は、閉止されている。
この冷媒回路10の状態で、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン43、53を起動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を経由して、室内ユニット4、5に送られる。
そして、室内ユニット4、5に送られた高圧のガス冷媒は、室外熱交換器42、52において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、室内膨張弁41、51を通過する際に、室内膨張弁41、51の弁開度に応じて減圧される。
この室内膨張弁41、51を通過した冷媒は、液冷媒連絡配管6を経由して室外ユニット2に送られ、液側閉鎖弁26、過冷却器25及び室外膨張弁38を経由してさらに減圧された後に、室外熱交換器23に流入する。そして、室外熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、四路切換弁22を経由してアキュムレータ24に流入する。そして、アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
以上のような通常運転モードにおける運転制御は、冷房運転及び暖房運転を含む通常運転を行う通常運転制御手段として機能する制御部8(より具体的には、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8a)によって行われる。
<試運転モード>
次に、試運転モードについて、図1〜図3を用いて説明する。ここで、図3は、試運転モードのフローチャートである。本実施形態において、試運転モードでは、まず、ステップS1の冷媒自動充填運転が行われ、続いて、ステップS2の配管容積演算処理が行われる。
本実施形態では、冷媒が予め充填された室外ユニット2と、室内ユニット4、5とをビル等の設置場所に設置し、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して接続して冷媒回路10を構成した後に、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7の容積に応じて不足する冷媒を冷媒回路10内に追加充填する場合を例にして説明する。
(ステップS1:冷媒自動充填運転)
まず、室外ユニット2の液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27を開けて、室外ユニット2に予め充填されている冷媒を冷媒回路10内に充満させる。
次に、試運転を行う作業者が、追加充填用の冷媒ボンベを冷媒回路10のサービスポート(図示せず)に接続し、制御部8に対して直接に又はリモコン(図示せず)等を通じて遠隔から試運転を開始する指令を出すと、制御部8によって、図4に示されるステップS11〜ステップS13の処理が行われる。ここで、図4は、冷媒自動充填運転のフローチャートである。
(ステップS11:冷媒量判定運転)
冷媒自動充填運転の開始指令がなされると、冷媒回路10が、室外ユニット2の四路切換弁22が図1の実線で示される状態で、かつ、室内ユニット4、5の室内膨張弁41、51及び室外膨張弁38が開状態となり、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン43、53が起動されて、室内ユニット4、5の全てについて強制的に冷房運転(以下、室内ユニット全数運転とする)が行われる。
すると、図5に示されるように、冷媒回路10において、圧縮機21から凝縮器として機能する室外熱交換器23までの流路には圧縮機21において圧縮されて吐出された高圧のガス冷媒が流れ(図5の斜線のハッチング部分のうち圧縮機21から室外熱交換器23までの部分を参照)、凝縮器として機能する室外熱交換器23には室外空気との熱交換によってガス状態から液状態に相変化する高圧の冷媒が流れ(図5の斜線のハッチング及び黒塗りのハッチングの部分のうち室外熱交換器23に対応する部分を参照)、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51までの室外膨張弁38、過冷却器25の主冷媒回路側の部分及び液冷媒連絡配管6を含む流路と室外熱交換器23からバイパス膨張弁62までの流路には高圧の液冷媒が流れ(図5の黒塗りのハッチング部分のうち室外熱交換器23から室内膨張弁41、51及びバイパス膨張弁62までの部分を参照)、蒸発器として機能する室内熱交換器42、52の部分と過冷却器25のバイパス冷媒回路側の部分とには室内空気との熱交換によって気液二相状態からガス状態に相変化する低圧の冷媒が流れ(図5の格子状のハッチング及び斜線のハッチングの部分のうち室内熱交換器42、52の部分と過冷却器25の部分を参照)、室内熱交換器42、52から圧縮機21までのガス冷媒連絡配管7及びアキュムレータ24を含む流路と過冷却器25のバイパス冷媒回路側の部分から圧縮機21までの流路とには低圧のガス冷媒が流れるようになる(図5の斜線のハッチングの部分のうち室内熱交換器42、52から圧縮機21までの部分と過冷却器25のバイパス冷媒回路側の部分から圧縮機21までの部分とを参照)。図5は、冷媒量判定運転における冷媒回路10内を流れる冷媒の状態を示す模式図(四路切換弁22等の図示を省略)である。
次に、以下のような機器制御を行って、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態を安定させる運転に移行する。具体的には、蒸発器として機能する室内熱交換器42、52の過熱度SHrが一定になるように室内膨張弁41、51を制御(以下、過熱度制御とする)し、蒸発圧力Peが一定になるように圧縮機21の運転容量を制御(以下、蒸発圧力制御とする)し、室外熱交換器23における冷媒の凝縮圧力Pcが一定になるように、室外ファン28によって室外熱交換器23に供給される室外空気の風量Woを制御(以下、凝縮圧力制御とする)し、過冷却器25から室内膨張弁41、51に送られる冷媒の温度が一定になるように過冷却器25の能力を制御(以下、液管温度制御とする)し、上述の蒸発圧力制御によって冷媒の蒸発圧力Peが安定的に制御されるように、室内ファン43、53によって室内熱交換器42、52に供給される室内空気の風量Wrを一定にしている。
ここで、蒸発圧力制御を行うのは、蒸発器として機能する室内熱交換器42、52内には室内空気との熱交換によって気液二相状態からガス状態に相変化しながら低圧の冷媒が流れる室内熱交換器42、52内(図5の格子状のハッチング及び斜線のハッチングの部分のうち室内熱交換器42、52に対応する部分を参照、以下、蒸発器部Cとする)における冷媒量が、冷媒の蒸発圧力Peに大きく影響するからである。そして、ここでは、インバータにより回転数Rmが制御されるモータ21aによって圧縮機21の運転容量を制御することによって、室内熱交換器42、52における冷媒の蒸発圧力Peを一定にして、蒸発器部C内を流れる冷媒の状態を安定させて、主として、蒸発圧力Peによって蒸発器C内における冷媒量が変化する状態を作り出している。尚、本実施形態の圧縮機21による蒸発圧力Peの制御においては、室内熱交換器42、52の液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値(蒸発温度Teに対応)を飽和圧力値に換算して、この圧力値が低圧目標値Pesで一定になるように、圧縮機21の運転容量を制御して(すなわち、モータ21aの回転数Rmを変化させる制御を行って)、冷媒回路10内を流れる冷媒循環量Wcを増減することによって実現されている。尚、本実施形態では採用していないが、室内熱交換器42、52における冷媒の蒸発圧力Peにおける冷媒の圧力に等価な運転状態量である、吸入圧力センサ29によって検出される圧縮機21の吸入圧力Psが、低圧目標値Pesで一定になるように、又は、吸入圧力Psに対応する飽和温度値(蒸発温度Teに対応)が、低圧目標値Tesで一定になるように、圧縮機21の運転容量を制御してもよいし、室内熱交換器42、52の液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値(蒸発温度Teに対応)が、低圧目標値Tesで一定になるように、圧縮機21の運転容量を制御してもよい。
そして、このような蒸発圧力制御を行うことによって、室内熱交換器42、52から圧縮機21までのガス冷媒連絡配管7及びアキュムレータ24を含む冷媒配管内(図5の斜線のハッチングの部分のうち室内熱交換器42、52から圧縮機21までの部分を参照、以下、ガス冷媒流通部Dとする)を流れる冷媒の状態も安定して、主として、ガス冷媒流通部Dにおける冷媒の圧力に等価な運転状態量である、蒸発圧力Pe(すなわち、吸入圧力Ps)によってガス冷媒流通部D内における冷媒量が変化する状態を作り出している。
また、凝縮圧力制御を行うのは、室外空気との熱交換によってガス状態から液状態に相変化しながら高圧の冷媒が流れる室外熱交換器23内(図5の斜線のハッチング及び黒塗りのハッチングの部分のうち室外熱交換器23に対応する部分を参照、以下、凝縮器部Aとする)における冷媒量が、冷媒の凝縮圧力Pcに大きく影響するからである。そして、この凝縮器部Aにおける冷媒の凝縮圧力Pcは、室外温度Taの影響より大きく変化するため、モータ28aにより室外ファン28から室外熱交換器23に供給する室内空気の風量Woを制御することによって、室外熱交換器23における冷媒の凝縮圧力Pcを一定にして、凝縮器部A内を流れる冷媒の状態を安定させて、主として、室外熱交換器23の液側(以下、冷媒量判定運転に関する説明では、室外熱交換器23の出口とする)における過冷却度SCoによって凝縮器A内における冷媒量が変化する状態を作り出している。尚、本実施形態の室外ファン28による凝縮圧力Pcの制御においては、室外熱交換器23における冷媒の凝縮圧力Pcに等価な運転状態量である、吐出圧力センサ30によって検出される圧縮機21の吐出圧力Pd、又は、熱交温度センサ33によって検出される室外熱交換器23内を流れる冷媒の温度(すなわち、凝縮温度Tc)が用いられる。
そして、このような凝縮圧力制御を行うことによって、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51までの室外膨張弁38、過冷却器25の主冷媒回路側の部分及び液冷媒連絡配管6を含む流路と室外熱交換器23からバイパス冷媒回路61のバイパス膨張弁62までの流路とには高圧の液冷媒が流れて、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51及びバイパス膨張弁62までの部分(図5の黒塗りのハッチング部分を参照、以下、液冷媒流通部Bとする)における冷媒の圧力も安定し、液冷媒流通部Bが液冷媒でシールされて安定した状態となる。
また、液管温度制御を行うのは、過冷却器25から室内膨張弁41、51に至る液冷媒連絡配管6を含む冷媒配管内(図5に示される液冷媒流通部Bのうち過冷却器25から室内膨張弁41、51までの部分を参照)の冷媒の密度が変化しないようにするためである。そして、過冷却器25の能力制御は、過冷却器25の主冷媒回路側の出口に設けられた液管温度センサ35によって検出される冷媒の温度Tlpが液管温度目標値Tlpsで一定になるようにバイパス冷媒回路61を流れる冷媒の流量を増減して、過冷却器25の主冷媒回路側を流れる冷媒とバイパス冷媒回路側を流れる冷媒との間の交換熱量を調節することによって実現されている。尚、このバイパス冷媒回路61を流れる冷媒の流量の増減は、バイパス膨張弁62の開度調節によって行われる。このようにして、過冷却器25から室内膨張弁41、51に至る液冷媒連絡配管6を含む冷媒配管内における冷媒の温度が一定となる液管温度制御が実現されている。
そして、このような液管温度一定制御を行うことによって、冷媒回路10に冷媒を充填することによって冷媒回路10内の冷媒量が徐々に増加するのに伴って、室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tco(すなわち、室外熱交換器23の出口における冷媒の過冷却度SCo)が変化する場合であっても、室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tcoの変化の影響が、室外熱交換器23の出口から過冷却器25に至る冷媒配管のみに収まり、液冷媒流通部Bのうち過冷却器25から液冷媒連絡配管6を含む室内膨張弁41、51までの冷媒配管には影響しない状態となる。
さらに、過熱度制御を行うのは、蒸発器部Cにおける冷媒量が、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の乾き度に大きく影響するからである。この室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHrは、室内膨張弁41、51の開度を制御することによって、室内熱交換器42、52のガス側(以下、冷媒量判定運転に関する説明では、室内熱交換器42、52の出口とする)における冷媒の過熱度SHrが過熱度目標値SHrsで一定になるように(すなわち、室内熱交換器42、52の出口のガス冷媒を過熱状態)にして、蒸発器部C内を流れる冷媒の状態を安定させている。
そして、このような過熱度制御を行うことによって、ガス冷媒連絡部Dにガス冷媒が確実に流れる状態を作り出している。
上述の各種制御によって、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態が安定して、冷媒回路10内における冷媒量の分布が一定となるため、続いて行われる冷媒の追加充填によって冷媒回路10内に冷媒が充填され始めた際に、冷媒回路10内の冷媒量の変化が、主として、室外熱交換器23内の冷媒量の変化となって現れる状態を作り出すことができる(以下、この運転を冷媒量判定運転とする)。
以上のような制御は、冷媒量判定運転を行う冷媒量判定運転制御手段として機能する制御部8(より具体的には、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8a)により、ステップS11の処理として行われる。
(ステップS12:冷媒量の演算)
次に、上記の冷媒量判定運転を行いつつ、冷媒回路10内に冷媒の追加充填を実施するが、この際、冷媒量演算手段として機能する制御部8によって、ステップS12における冷媒の追加充填時における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。
まず、本実施形態における冷媒量演算手段について説明する。冷媒量演算手段は、冷媒回路10を複数の部分に分割して、分割された各部分ごとに冷媒量を演算することで、冷媒回路10内の冷媒量を演算するものである。より具体的には、分割された各部分ごとに、各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式が設定されており、これらの関係式を用いて、各部分の冷媒量を演算することができるようになっている。そして、本実施形態においては、冷媒回路10は、四路切換弁22が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52の出口に接続された状態において、圧縮機21の部分及び圧縮機21から四路切換弁22(図5では図示せず)を含む室外熱交換器23までの部分(以下、高圧ガス管部Eとする)と、室外熱交換器23の部分(すなわち、凝縮器部A)と、液冷媒流通部Bのうち室外熱交換器23から過冷却器25までの部分及び過冷却器25の主冷媒回路側の部分の入口側半分(以下、高温側液管部B1とする)と、液冷媒流通部Bのうち過冷却器25の主冷媒回路側の部分の出口側半分及び過冷却器25から液側閉鎖弁26(図5では図示せず)までの部分(以下、低温側液管部B2とする)と、液冷媒流通部Bのうち液冷媒連絡配管6の部分(以下、液冷媒連絡配管部B3とする)と、液冷媒流通部Bのうち液冷媒連絡配管6から室内膨張弁41、51及び室内熱交換器42、52の部分(すなわち、蒸発器部C)を含むガス冷媒流通部Dのうちガス冷媒連絡配管7までの部分(以下、室内ユニット部Fとする)と、ガス冷媒流通部Dのうちガス冷媒連絡配管7の部分(以下、ガス冷媒連絡配管部Gとする)と、ガス冷媒流通部Dのうちガス側閉鎖弁27(図5では図示せず)から四路切換弁22及びアキュムレータ24を含む圧縮機21までの部分(以下、低圧ガス管部Hとする)と、液冷媒流通部Bのうち高温側液管部B1からバイパス膨張弁62及び過冷却器25のバイパス冷媒回路側の部分を含む低圧ガス管部Hまでの部分(以下、バイパス回路部Iとする)とに分割されて、各部分ごとに関係式が設定されている。次に、上述の各部分ごとに設定された関係式について、説明する。
本実施形態において、高圧ガス管部Eにおける冷媒量Mog1と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mog1=Vog1×ρd
という、室外ユニット2の高圧ガス管部Eの容積Vog1に高圧ガス管部Eにおける冷媒の密度ρdを乗じた関数式として表される。尚、高圧ガス管部Eの容積Vog1は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、高圧ガス管部Eにおける冷媒の密度ρdは、吐出温度Td及び吐出圧力Pdを換算することによって得られる。
凝縮器部Aにおける冷媒量Mcと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mc=kc1×Ta+kc2×Tc+kc3×SHm+kc4×Wc
+kc5×ρc+kc6×ρco+kc7
という、室外温度Ta、凝縮温度Tc、圧縮機吐出過熱度SHm、冷媒循環量Wc、室外熱交換器23における冷媒の飽和液密度ρc及び室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρcoの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkc1〜kc7は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、圧縮機吐出過熱度SHmは、圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度であり、吐出圧力Pdを冷媒の飽和温度値に換算し、吐出温度Tdからこの冷媒の飽和温度値を差し引くことにより得られる。冷媒循環量Wcは、蒸発温度Teと凝縮温度Tcとの関数(すなわち、Wc=f(Te、Tc))として表される。冷媒の飽和液密度ρcは、凝縮温度Tcを換算することによって得られる。室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρcoは、凝縮温度Tcを換算することによって得られる凝縮圧力Pc及び冷媒の温度Tcoを換算することによって得られる。
高温液管部B1における冷媒量Mol1と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mol1=Vol1×ρco
という、室外ユニット2の高温液管部B1の容積Vol1に高温液管部B1における冷媒の密度ρco(すなわち、上述の室外熱交換器23の出口における冷媒の密度)を乗じた関数式として表される。尚、高圧液管部B1の容積Vol1は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。
低温液管部B2における冷媒量Mol2と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mol2=Vol2×ρlp
という、室外ユニット2の低温液管部B2の容積Vol2に低温液管部B2における冷媒の密度ρlpを乗じた関数式として表される。尚、低温液管部B2の容積Vol2は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、低温液管部B2における冷媒の密度ρlpは、過冷却器25の出口における冷媒の密度であり、凝縮圧力Pc及び過冷却器25の出口における冷媒の温度Tlpを換算することによって得られる。
液冷媒連絡配管部B3における冷媒量Mlpと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mlp=Vlp×ρlp
という、液冷媒連絡配管6の容積Vlpに液冷媒連絡配管部B3における冷媒の密度ρlp(すなわち、過冷却器25の出口における冷媒の密度)を乗じた関数式として表される。
室内ユニット部Fにおける冷媒量Mrと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mr=kr1×Tlp+kr2×ΔT+kr3×SHr+kr4×Wr+kr5
という、過冷却器25の出口における冷媒の温度Tlp、室内温度Trから蒸発温度Teを差し引いた温度差ΔT、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHr及び室内ファン43、53の風量Wrの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkr1〜kr5は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。尚、ここでは、2台の室内ユニット4、5のそれぞれに対応して冷媒量Mrの関係式が設定されており、室内ユニット4の冷媒量Mrと室内ユニット5の冷媒量Mrとを加算することにより、室内ユニット部Fの全冷媒量が演算されるようになっている。尚、室内ユニット4と室内ユニット5の機種や容量が異なる場合には、パラメータkr1〜kr5の値が異なる関係式が使用されることになる。
ガス冷媒連絡配管部Gにおける冷媒量Mgpと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mgp=Vgp×ρgp
という、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpにガス冷媒連絡配管部Hにおける冷媒の密度ρgpを乗じた関数式として表される。また、ガス冷媒配管連絡部Gにおける冷媒の密度ρgpは、圧縮機21の吸入側における冷媒の密度ρsと、室内熱交換器42、52の出口(すなわち、ガス冷媒連絡配管7の入口)における冷媒の密度ρeoとの平均値である。冷媒の密度ρsは、吸入圧力Ps及び吸入温度Tsを換算することによって得られ、冷媒の密度ρeoは、蒸発温度Teの換算値である蒸発圧力Pe及び室内熱交換器42、52の出口温度Teoを換算することによって得られる。
低圧ガス管部Hにおける冷媒量Mog2と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mog2=Vog2×ρs
という、室外ユニット2内の低圧ガス管部Hの容積Vog2に低圧ガス管部Hにおける冷媒の密度ρsを乗じた関数式として表される。尚、低圧ガス管部Hの容積Vog2は、設置場所に出荷される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。
バイパス回路部Iにおける冷媒量Mobと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mob=kob1×ρco+kob2×ρs+kob3×Pe+kob4
という、室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρco、過冷却器25のバイパス回路側の出口における冷媒の密度ρs及び蒸発圧力Peの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkob1〜kob3は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、バイパス回路部Iの容積Mobは、他の部分に比べて冷媒量が少ないこともあり、さらに簡易的な関係式によって演算されてもよい。例えば、
Mob=Vob×ρe×kob5
という、バイパス回路部Iの容積Vobに過冷却器25のバイパス回路側の部分における飽和液密度ρe及び補正係数kobを乗じた関数式として表される。尚、バイパス回路部Iの容積Vobは、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、過冷却器25のバイパス回路側の部分における飽和液密度ρeは、吸入圧力Ps又は蒸発温度Teを換算することによって得られる。
尚、本実施形態において、室外ユニット2は1台であるが、室外ユニットが複数台接続される場合には、室外ユニットに関する冷媒量Mog1、Mc、Mol1、Mol2、Mog2及びMobは、複数の室外ユニットのそれぞれに対応して各部分の冷媒量の関係式が設定され、複数の室外ユニットの各部分の冷媒量を加算することにより、室外ユニットの全冷媒量が演算されるようになっている。
以上のように、本実施形態では、冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、冷媒量判定運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から各部分の冷媒量を演算することで、冷媒回路10の冷媒量を演算することができるようになっている。
そして、このステップS12は、後述のステップS13における冷媒量の適否の判定の条件が満たされるまで繰り返されるため、冷媒の追加充填が開始してから完了するまでの間、冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、冷媒充填時における運転状態量から各部分の冷媒量が演算される。より具体的には、後述のステップS13における冷媒量の適否の判定に必要な室外ユニット2内の冷媒量Mo及び各室内ユニット4、5内の冷媒量Mr(すなわち、冷媒連絡配管6、7を除く冷媒回路10の各部分の冷媒量)が演算される。ここで、室外ユニット2内の冷媒量Moは、上述の室外ユニット2内の各部分の冷媒量Mog1、Mc、Mol1、Mol2、Mog2及びMobを加算することによって演算される。
このように、冷媒自動充填運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10の各部分の冷媒量を演算する冷媒量演算手段として機能する制御部8により、ステップS12の処理が行われる。
(ステップS13:冷媒量の適否の判定)
上述のように、冷媒回路10内に冷媒の追加充填を開始すると、冷媒回路10内の冷媒量が徐々に増加する。ここで、冷媒連絡配管6、7の容積が未知である場合には、冷媒の追加充填後に冷媒回路10内に充填されるべき冷媒量を、冷媒回路10全体の冷媒量である全充填冷媒量Mtとして規定することができない。しかし、室外ユニット2及び室内ユニット4、5だけに着目すれば(すなわち、冷媒連絡配管6、7を除く冷媒回路10)、試験や詳細なシミュレーションにより最適な室外ユニット2の冷媒量Mo及び室内ユニット4、5の冷媒量Mrを予め知ることができるため、この冷媒量を目標充填量Msとして予め制御部8のメモリに記憶しておき、上述の関係式を用いて冷媒自動充填運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から演算される室外ユニット2の冷媒量Moと室内ユニット4、5の冷媒量Mrとを加算した冷媒量(すなわち、冷媒回路10の冷媒連絡配管6、7を除く部分における冷媒量)の値(以下、ユニット内冷媒量Muとする)が、この目標充填量Msに到達するまで、冷媒の追加充填を行えばよいことになる。すなわち、ステップS13は、冷媒自動充填運転におけるユニット内冷媒量Muが目標充填量Msに到達したかどうかを判定することで、冷媒の追加充填により冷媒回路10内に充填された冷媒量の適否を判定する処理である。
そして、ステップS13において、ユニット内冷媒量Muが目標充填量Msよりも小さく、冷媒の追加充填が完了していない場合には、目標充填量Msに到達するまで、ステップS13の処理が繰り返される。また、ユニット内冷媒量Muが目標充填量Msに到達した場合には、表示部9bに冷媒の追加充填が完了した旨の表示をさせ、冷媒ボンベからの冷媒の供給を停止して、冷媒自動充填運転処理としてのステップS1が完了する。
このように、冷媒自動充填運転の冷媒量判定運転における冷媒回路10内の冷媒量の適否(すなわち、目標充填量Msに到達したかどうか)を判定する、冷媒量判定手段の一つである冷媒自動充填判定手段として機能する制御部8により、ステップS13の処理が行われる。そして、この冷媒自動充填運転によって、冷媒回路10には、冷媒自動充填運転よりも前に冷媒回路10内に充填されていた冷媒量(すなわち、予め室外ユニット2内に充填されていた冷媒量)である初期充填量Miに、追加充填された冷媒量である追加充填量Maを加えた冷媒量である全充填冷媒量Mtが充填された状態になる。
(ステップS2:配管容積演算)
上述のステップS1の冷媒自動充填運転が完了したら、ステップS2の配管容積演算処理に移行する。この配管容積演算処理では、追加充填量Maに基づいて冷媒連絡配管6,7の容積を演算する配管容積演算手段として機能する制御部8により、図6に示されるステップS21〜ステップS24の処理が行われる。ここで、図6は、配管容積演算処理のフローチャートである。
(ステップS21、S22:冷媒自動充填運転時のデータを記憶、追加充填量を入力)
ステップS21では、後述のステップS23における冷媒連絡配管6、7内を流れる冷媒の密度を演算することができるように、上述の冷媒自動充填運転時における運転データを制御部8のメモリに記憶する。ここで、制御部8のメモリに記憶されるデータとしては、液冷媒連絡配管部B3における冷媒の密度ρlpの演算に必要な凝縮圧力Pc及び過冷却器25の出口における冷媒の温度Tlpと、ガス冷媒連絡配管部Hにおける冷媒の密度ρgpの演算に必要な吸入圧力Ps、吸入温度Ts、蒸発圧力Pe、出口温度Teoと、冷媒自動充填運転完了時におけるユニット内冷媒量Muとがある。
ステップS22では、入力部9aを通じて追加充填量Ma又は追加充填量Maを含めた全充填冷媒量Mtの値を制御部8のメモリに入力する。ここで、追加充填量Maは、冷媒自動充填運転における冷媒ボンベの重量変化等から得られる冷媒量の値であり、追加充填の作業者等が制御部8に設けられた入力部9aを通じて制御部8のメモリに手動で入力したり、冷媒ボンベの重量変化を測定するための秤を入力部9aとして制御部8に接続して自動的に制御部8のメモリに入力されるようにしてもよい。
尚、これらのステップS21、S22の処理は、ここでは、配管容積演算の処理の中で行うようにしているが、上述の冷媒自動充填運転の処理の中で行うようにしてもよい。
(ステップS23、S24:連絡配管冷媒量の演算、密度の演算、配管容積の演算)
ステップS23では、まず、冷媒自動充填運転よりも前に冷媒回路10内に充填されていた冷媒量である初期充填量Miに、ステップS22において制御部8に入力された追加充填量Maを加算することによって、冷媒自動充填運転直後における冷媒回路10全体の冷媒量である全充填冷媒量Mtを得る。ここで、初期充填量Miは、制御部8のメモリに記憶されている。次に、この全充填冷媒量Mtから、ステップS21において制御部8に記憶されたユニット内冷媒量Mu(又は目標充填量Ms)を減算することによって、冷媒連絡配管6、7内の冷媒量である連絡配管冷媒量Mpを得る。
また、ステップS23では、ステップS21において制御部8に記憶された凝縮圧力Pc及び過冷却器25の出口における冷媒の温度Tlpに基づいて、冷媒自動充填運転時における液冷媒連絡配管部B3(すなわち、液冷媒連絡配管6)内を流れる液冷媒密度ρlpを得るとともに、ステップS21において制御部8に記憶された吸入圧力Ps、吸入温度Ts、蒸発圧力Pe、出口温度Teoに基づいて、冷媒自動充填運転時におけるガス冷媒連絡配管部H(すなわち、ガス冷媒連絡配管7)内を流れるガス冷媒密度ρgpを得る(尚、これらの密度ρlp、ρgpの演算は、上述の冷媒自動充填運転のステップS12における冷媒量の演算における密度ρlp、ρgpと同様であるため、ここでは、説明を省略する)。
ステップS24では、ステップS23において得られた連絡配管冷媒量Mp及び密度ρlp、ρgpに基づいて、冷媒連絡配管6、7の容積(より具体的には、液冷媒連絡配管6の容積Vlp及びガス冷媒連絡配管の容積Vgp)を演算する。
ここで、まず、本実施形態における冷媒連絡配管6、7の容積の演算方法について説明する。
液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7は、室内ユニット4、5と室外ユニット2とを接続するように設けられるため、配管長はほぼ同じであり、管内を流れる冷媒の密度が異なることに起因して配管径、すなわち、流路断面積が異なるものである。このため、液冷媒連絡配管6とガス冷媒連絡配管7との容積比(以下の説明では、ガス冷媒連絡配管Vgpを液冷媒連絡配管6の容積Vlpで除算した値Vgp/Vlpを容積比Rvとする)は、両者の流路断面積の比にほぼ対応することになり、しかも、室内ユニット4、5及び室外ユニット2の能力や型式によって流路断面積の比は決まっているため、この容積比Rvは、ある範囲内の値となる。
そして、液冷媒連絡配管6とガス冷媒連絡配管7との容積比Rvが既知であれば、次式のように、液冷媒連絡配管6の容積Vlpに液冷媒密度ρlpを乗算した値とガス冷媒連絡配管7の容積Vgpにガス冷媒密度ρgpを乗算した値との合計値が連絡配管冷媒量Mpと同じになる。
Vlp×ρlp+Vgp×ρgp=Vlp×ρlp+(Vlp×Rv)×ρgp
=Vlp×(ρlp+Rv×ρgp)
=Mp
これにより、液冷媒連絡配管の容積Vlpは、
Vlp=Mp/(ρlp+Rv×ρgp)
によって、演算することができ、
ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpは、
Vgp=Vlp×Rv
によって、演算することができる。
そして、本実施形態では、液冷媒連絡配管6とガス冷媒連絡配管7との容積比Rvを室内ユニット4、5及び室外ユニット2の能力や型式に応じた値として、予め制御部8のメモリに記憶させておき、ステップS23において得られた連絡配管冷媒量Mp及び密度ρlp、ρgpと、容積比Rvとに基づいて、上述の演算式を用いて、冷媒連絡配管6、7の容積(より具体的には、液冷媒連絡配管6の容積Vlp及びガス冷媒連絡配管の容積Vgp)を演算する。
<冷媒漏洩検知運転モード>
次に、冷媒漏洩検知運転モードについて、図1、図2、図5及び図7を用いて説明する。ここで、図7は、冷媒漏洩検知運転モードのフローチャートである。
本実施形態において、定期的(例えば、休日や深夜等で空調を行う必要がない時間帯等)に、不測の原因により冷媒回路10から冷媒が外部に漏洩していないかどうかを検知する場合を例にして説明する。
(ステップS31:冷媒量判定運転)
まず、上記の冷房運転や暖房運転のような通常運転モードにおける運転が一定時間(例えば、半年〜1年ごと等)経過した場合に、自動又は手動で通常運転モードから冷媒漏洩検知運転モードに切り換えて、初期冷媒量検知運転の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転を行なう。ここで、液管温度制御における液管温度目標値Tlps、過熱度制御における過熱度目標値SHrs及び蒸発圧力制御における低圧目標値Pesは、原則として、冷媒自動充填運転の冷媒量判定運転のステップS11における目標値と同じ値が使用される。
尚、この冷媒量判定運転は、冷媒漏洩検知運転ごとに行われることになるが、例えば、凝縮圧力Pcが異なる場合や冷媒漏洩が生じている場合のような運転条件の違いによって室外熱交換器23出口における冷媒の温度Tcoが変動する場合においても、液管温度制御によって、液冷媒連絡配管6内の冷媒の温度Tlpが同じ液管温度目標値Tlpsで一定に保たれることになる。
このように、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転を行う冷媒量判定運転制御手段として機能する制御部8により、ステップS31の処理が行われる。
(ステップS32:冷媒量の演算)
次に、上述の冷媒量判定運転を行いつつ冷媒量演算手段として機能する制御部8によって、ステップS32における冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。冷媒回路10内の冷媒量の演算は、上述の冷媒回路10の各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式を用いて演算されるが、この際、上述の配管容積演算処理によって、空気調和装置1の構成機器の設置後において未知であった冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが演算されて既知となっているため、これらの冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpに冷媒の密度を乗算することによって、冷媒連絡配管6、7内の冷媒量Mlp、Mgpを演算し、さらに他の各部分の冷媒量を加算することにより(他の各部分の冷媒量の演算については、冷媒自動充填運転のステップS12を参照)、冷媒回路10全体の冷媒量(以下、全演算冷媒量Mとする)を演算することができる。
ここで、上述のように、液管温度制御によって液冷媒連絡配管6内の冷媒の温度Tlpが同じ液管温度目標値Tlpsで一定に保たれているため、液冷媒連絡配管部B3における冷媒量Mlpは、冷媒漏洩検知運転の運転条件の違いによらず、室外熱交換器23出口における冷媒の温度Tcoが変動する場合においても、一定に保たれることになる。
このように、冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10の各部分の冷媒量を演算する冷媒量演算手段として機能する制御部8により、ステップS32の処理が行われる。
(ステップS33、S34:冷媒量の適否の判定、警告表示)
冷媒回路10から冷媒が外部に漏洩すると、冷媒回路10内の冷媒量が減少する。そして、冷媒回路10内の冷媒量が減少すると、主として、室外熱交換器23の出口における過冷却度SCoが小さくなる傾向が現れ、これに伴い、室外熱交換器23における冷媒量Mcが減少し、他の部分における冷媒量がほぼ一定に保たれる傾向になる。このため、上述のステップS32において演算された全演算冷媒量Mは、冷媒回路10からの冷媒漏洩が生じている場合には、冷媒自動充填運転完了直後の冷媒回路10全体の冷媒量であり、冷媒の漏洩の有無を判定する上での基準冷媒量となる全充填冷媒量Mtよりも小さくなり、冷媒回路10からの冷媒漏洩が生じていない場合には、全充填冷媒量Mtとほぼ同じ値になる。
このことを利用して、ステップS33では、冷媒の漏洩の有無を判定している。そして、ステップS33において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩が生じていないと判定される場合には、冷媒漏洩検知運転モードを終了する。
一方、ステップS33において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩が生じていると判定される場合には、ステップS34の処理に移行して、冷媒漏洩を検知したことを知らせる警告を表示部9bに表示した後、冷媒漏洩検知運転モードを終了する。
このように、冷媒漏洩検知運転モードにおいて冷媒量判定運転を行いつつ冷媒回路10内の冷媒量の適否を判定して冷媒漏洩の有無を検知する、冷媒量判定手段の一つである冷媒漏洩検知手段として機能する制御部8により、ステップS32〜S34の処理が行われる。
以上のように、本実施形態の空気調和装置1では、制御部8が、冷媒量判定運転手段、冷媒量演算手段、冷媒量判定手段及び配管容積演算手段として機能することにより、冷媒回路10内に充填された冷媒量の適否を判定するための冷媒量判定システムを構成している。
(3)空気調和装置の特徴
本実施形態の空気調和装置1には、以下のような特徴がある。
(A)
本実施形態の空気調和装置1では、室外ユニット2と室内ユニット4、5とを冷媒連絡配管6、7を介して接続して冷媒回路10を構成した後に追加充填される冷媒量である追加充填量Maに基づいて、冷媒連絡配管6、7の容積を演算するようにしているため、冷媒連絡配管6、7の容積が未知の場合であっても、追加充填量Maの値を入力することによって、冷媒連絡配管6、7の容積を演算することができる。これにより、冷媒連絡配管6、7の情報を入力する手間を極力減らしつつ、冷媒連絡配管6、7の容積を得ることができるようになり、その結果、冷媒回路10内の冷媒量の適否、より具体的には、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を高精度に判定することができる。
(B)
本実施形態の空気調和装置1では、冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量に基づいて目標充填量Msに到達したかどうかを判定する冷媒自動充填運転を行うことができるため、冷媒の追加充填を確実に行うことができるとともに、冷媒連絡配管6、7の容積を演算するために必要となる追加充填量Maの値を、冷媒自動充填運転を行うことによって得ることができる。
(C)
本実施形態の空気調和装置1では、冷媒自動充填運転よりも前に冷媒回路10内に充填されている冷媒量である初期充填量Miに追加充填量Maを加算することによって得られる全充填冷媒量Mtから、冷媒自動充填運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から演算されるユニット内冷媒量Muを減算することによって、冷媒自動充填運転時における連絡配管冷媒量Mpを精度よく演算することができるため、冷媒連絡配管6、7の容積を精度よく演算することができる。また、本実施形態の空気調和装置1では、液冷媒連絡配管6とガス冷媒連絡配管7との容積比Rvを室内ユニット4、5及び室外ユニット2の能力や型式に応じた値として予め設定しておくことで、液冷媒連絡配管6の容積Vlp及びガス冷媒連絡配管7の容積Vgpをそれぞれ簡単に演算することができる。
(4)変形例
上述の実施形態においては、冷媒連絡配管6、7の容積の演算に必要な連絡配管冷媒量Mpを、冷媒自動充填運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量からユニット内冷媒量Muを演算し、全充填冷媒量Mtから演算によって得られたユニット内冷媒量Muを減算することによって得るようにしているが、冷媒自動充填運転を行う前の冷媒回路10内(すなわち、設置場所に出荷される室内ユニット4、5や室外ユニット2内)に、冷媒自動充填運転によって冷媒回路10内の冷媒量が目標充填量Msに到達した際におけるユニット内冷媒量Muに近似する量の冷媒を初期充填量Miとして充填しておいてもよい。
この場合には、室外ユニット4、5の能力や型式あるいは台数等による若干の誤差は生じるものの、冷媒自動充填運転において冷媒回路10内に追加充填される冷媒量である追加充填量Maを、冷媒連絡配管6、7内に存在する冷媒量である連絡配管冷媒量Mpに相当するものとみなすことができることから、上述の実施形態とは異なり、ユニット内冷媒量Mu及び全充填冷媒量Mtを用いて連絡配管冷媒量Mpを演算する必要がなくなるため、冷媒連絡配管6、7の容積を簡単に演算することができる。
逆に、上述の実施形態では、冷媒自動充填運転を行う前の冷媒回路10内(すなわち、設置場所に出荷される室内ユニット4、5や室外ユニット2内)に、冷媒自動充填運転によって冷媒回路10内の冷媒量が目標充填量Msに到達した際におけるユニット内冷媒量Muに対応する量の冷媒と異なる量の冷媒が初期充填量Miとして充填していたとしても、上述のように、冷媒自動充填運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量からユニット内冷媒量Muを演算するようにしていることから、種々の初期充填量Miの条件においても正確な連絡配管冷媒量Mpを得ることができ、冷媒連絡配管6、7の容積を精度よく演算することができる。
(5)他の実施形態
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、冷暖切り換え可能な空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、これに限定されず、冷房専用の空気調和装置等の他の空気調和装置に本発明を適用してもよい。また、上述の実施形態では、1台の室外ユニットを備えた空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、これに限定されず、複数台の室外ユニットを備えた空気調和装置に本発明を適用してもよい。
本発明を利用すれば、セパレート型の空気調和装置の運転前に冷媒連絡配管の情報を入力する手間を極力減らしつつ、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定できるようにすることにある。
本発明の一実施形態にかかる空気調和装置の概略構成図である。 空気調和装置の制御ブロック図である。 試運転モードのフローチャートである。 冷媒自動充填運転のフローチャートである。 冷媒量判定運転における冷媒回路内を流れる冷媒の状態を示す模式図(四路切換弁等の図示を省略)である。 配管容積演算処理のフローチャートである。 冷媒漏洩検知運転モードのフローチャートである。
符号の説明
1 空気調和装置
2 室外ユニット(熱源ユニット)
4、5 室内ユニット(利用ユニット)
6 液冷媒連絡配管(冷媒連絡配管)
7 ガス冷媒連絡配管(冷媒連絡配管)
10 冷媒回路

Claims (6)

  1. 熱源ユニット(2)と利用ユニット(4、5)とが冷媒連絡配管(6、7)を介して接続されることによって構成される冷媒回路(10)と、
    前記熱源ユニットと前記利用ユニットとを前記冷媒連絡配管を介して接続して前記冷媒回路を構成した後に追加充填される冷媒量である追加充填量に基づいて、前記冷媒連絡配管の容積を演算する配管容積演算手段と、
    前記配管容積演算手段によって演算された前記冷媒連絡配管の容積と前記冷媒回路からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒漏洩検知運転における前記冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量とに基づいて、前記冷媒回路全体の冷媒量である全演算冷媒量を演算する冷媒量演算手段と、
    前記全演算冷媒量と前記冷媒回路からの冷媒の漏洩の有無を判定する基準となる基準冷媒量とを比較することで、前記冷媒回路からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒量判定手段と、
    を備えた空気調和装置(1)。
  2. 前記冷媒量判定手段は、前記冷媒回路(10)内に冷媒を追加充填する冷媒自動充填運転における前記冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量に基づいて、前記冷媒回路内に充填されている冷媒量が目標充填量に到達したかどうかを判定し、
    前記追加充填量は、前記冷媒自動充填運転において前記冷媒回路内に追加充填された冷媒量である、
    請求項1に記載の空気調和装置(1)。
  3. 前記冷媒量演算手段は、前記冷媒自動充填運転における前記冷媒回路(10)を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から、前記冷媒回路の前記冷媒連絡配管(6、7)を除く部分における冷媒量であるユニット内冷媒量を演算し、
    前記配管容積演算手段は、前記冷媒自動充填運転よりも前に前記冷媒回路内に充填されている冷媒量である初期充填量に前記追加充填量を加算することによって前記冷媒自動充填運転直後における前記冷媒回路全体の冷媒量である全充填冷媒量を得て、前記全充填冷媒量から前記ユニット内冷媒量を減算することによって前記冷媒連絡配管内の冷媒量である連絡配管冷媒量を得て、前記冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から前記冷媒連絡配管内を流れる冷媒の密度を演算し、前記連絡配管冷媒量及び前記密度に基づいて、前記冷媒連絡配管の容積を演算する、
    請求項2に記載の空気調和装置(1)。
  4. 前記冷媒連絡配管は、液冷媒連絡配管(6)及びガス冷媒連絡配管(7)を有しており、
    前記配管容積演算手段は、前記液冷媒連絡配管内を流れる液冷媒の密度である液冷媒密度及び前記ガス冷媒連絡配管内を流れるガス冷媒の密度であるガス密度を演算し、前記連絡配管冷媒量、前記液冷媒連絡配管と前記ガス冷媒連絡配管との容積比、前記液冷媒密度及び前記ガス冷媒密度に基づいて、前記液冷媒連絡配管及び前記ガス冷媒連絡配管の容積を演算する、
    請求項3に記載の空気調和装置(1)。
  5. 前記配管容積演算手段は、前記冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から前記冷媒連絡配管内を流れる冷媒の密度を演算し、前記追加充填量及び前記密度に基づいて、前記冷媒連絡配管の容積を演算する、
    請求項2に記載の空気調和装置(1)。
  6. 前記冷媒連絡配管は、液冷媒連絡配管(6)及びガス冷媒連絡配管(7)を有しており、
    前記配管容積演算手段は、前記液冷媒連絡配管内を流れる液冷媒の密度である液冷媒密度及び前記ガス冷媒連絡配管内を流れるガス冷媒の密度であるガス冷媒密度を演算し、前記追加充填量、前記液冷媒連絡配管と前記ガス冷媒連絡配管との容積比、前記液冷媒密度及び前記ガス冷媒密度に基づいて、前記液冷媒連絡配管及び前記ガス冷媒連絡配管の容積を演算する、
    請求項5に記載の空気調和装置(1)。
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