JP2008051130A - 流体動圧軸受装置及びそれを備えたモータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スリーブ(1)は、貫通孔(1a)とその一端部側に形成されたスリーブの外径(D4)より小径の第1径(D2)なる第1段部(1b2)及び第1径より小径の第2径(D3)なる第2段部(1b1)とを有し、シャフト先端に固定され第2段部に収容されたフランジ(5)と、第1段部に収容され貫通孔の一端部側を封止しスリーブに接着剤(4)で固着されたスラストプレート(3)と、貫通孔の内面又はシャフトの外面に形成された動圧溝(DM1,DM2)と、スリーブの外面の一端部側に設けられた周溝(1d,1dd)とを備え、周溝はそのスリーブの他端部側端部(1d1)が動圧溝の一端部側端部(DM2t)より一端部側に位置するように設けられている。
【選択図】図1
Description
この流体動圧軸受装置を搭載したモータは、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)やLBP(レーザビームプリンタ)に用いられてそれぞれハードディスクやポリゴンミラーを駆動する。
また、スラスト動圧軸受は、一般に、スリーブと、先端にフランジを有しスリーブに挿通されたシャフトと、フランジと対向しスリーブの一端部側を封止するスラストプレートとを含んでスリーブの一端部側に設けられる。
一方、シャフトJ4は先端部側にフランジJ13を有すると共にスリーブJ3の貫通孔J3bに挿通されている。
通常の接着剤の硬化は温度が高い程促進されることから、この流体動圧軸受装置J50の組み立てにおけるスラストプレートJ14の固着において、生産性向上のために常温よりも高い例えば60℃以上の温度で接着剤J5を硬化させることが行われる。
この残留歪みは、スリーブJ3の内周面を歪ませるためラジアル軸受の軸受性能に悪影響を与える可能性が生じる。
従って、このような材料を用いた場合、接着剤を硬化させる高温環境下では、スリーブJ3とスラストプレートJ14との隙間が常温下の場合よりも広がった状態で固定され、接着剤の硬化後に常温に戻すと、スリーブJ3には内周面を縮径する方向の応力が残留するのでラジアル動圧発生部であるスリーブ内径部(内周面)の円筒度が低下してしまう。
前記スリーブ(1)は、貫通孔(1a)と、該スリーブ(1)の一端部側に形成された該スリーブ(1)の外径(D4)よりも小径なる第1の径(D2)の内周面を有する第1の段部(1b2)及び前記第1の径(D2)よりも小径なる第2の径(D3)の内周面を有する第2の段部(1b1)と、を有する一方、
前記シャフト(2)の先端部に固定され前記第2の段部(1b1)に収容されたフランジ(5)と、
前記第1の段部(1b2)に収容されると共に前記貫通孔(1a)の前記一端部側を封止し前記スリーブ(1)に接着剤(4)で固着されたスラストプレート(3)と、
前記貫通孔(1a)の内周面または前記シャフト(2)の外周面に形成された動圧溝(DM1,DM2)と、
前記スリーブ(1)の外周面における前記一端部側に設けられた周溝(1d,1dd)と、を備え、
該周溝(1d,1dd)における前記スリーブ(1)の他端部側となる端部(1d1)が、前記動圧溝(DM1,DM2)の前記一端部側の端部(DM2t)よりも前記一端部側に位置することを特徴とする流体動圧軸受装置(50,50A)である。
2) 前記周溝(1d,1dd)おける最小径(D1)は、前記第1の径(D2)以下であることを特徴とする1)に記載の流体動圧軸受装置(50,50A)である。
3) 1)または2)に記載の流体動圧軸受装置(50,50A)を備えたモータ(51)である。
図1は、本発明の流体動圧軸受装置の実施例を示す断面図である。
図2は、本発明のモータの実施例を示す断面図である。
図3は、周溝最小径D1と第2段部内径D2との差ΔDと、円筒度変化量ΔETとの関係を示すグラフである。
図4は、周溝最小径D1と第2段部内径D2との差ΔDと、スラストプレート3の接着強度との関係を示すグラフである。
図5は、本比較例と発明に係る実施例とにおける円筒度変化量ΔETの違いを説明するグラフである。
図6は、本発明の流体動圧軸受装置の変形例を示す断面図である。
また、スラストプレート3は、鉄系合金のSUS420J2で形成されており、その線膨張係数は、約1.1×10-5/℃である。
この実施例では、この段部1bは小径側から順に第1段部1b1と第2段部1b2との2段を有する。
この固着における接着剤4の硬化は、その硬化速度を上げ生産効率を向上させるために、常温ではなく、高温環境下で行われる。
高温下での硬化速度向上は、接着剤の硬化システムによらず発現するので種々の接着剤に対して有効である。
接着剤として、エポキシ系熱硬化型を用いることができるが、これに限らず、エポキシ系UV硬化型やアクリル系の接着剤などを用いてももちろんよい。
また、高温とは例えば60℃であり、通常、60℃〜80℃の範囲で設定される。
ラジアル動圧軸受部RB及びスラスト動圧軸受部SBに充填された潤滑流体6はそれぞれ共有されると共にこのテーパシール部TSにおいて封止され、外部への漏出が防止されている。
これについて詳述するならば、まず、軸CL方向において、スリーブ1の他端部の端面1eから周溝1dの端部(凹みの開始部位)1d1までの距離L1は、スリーブ1の一端部側のラジアル動圧溝DM2と重ならないように設定されている。
より具体的には、この距離L1は、スリーブ1の端面1eからラジアル動圧溝DM2のスラストプレート3側の端部DM2tまでの距離L2より大きくなるように設定されている。
従って、スリーブ1の第2段部1b2の内径の方がスラストプレート3の外径よりも大きく熱拡張して両者の径差が常温の場合よりも大きい状態で固着される、
そのため、接着剤4の硬化後における常温への温度降下に伴って、スリーブ1の第2段部1b2の周壁が縮径しようとするものの、スラストプレート3に接着固定されているためにそれが阻止され残留応力が生じる
すなわち、残留応力による変形は、第2段部1b2の内周径D2よりも小径の部位を有する周溝1dによって薄肉された部位でその伝播が遮断される。
また、この変形の伝播を遮断する周溝1dの軸CL方向における最もラジアル動圧軸受RB側の位置、すなわち、端部1d1が、ラジアル動圧溝DM2のスラストプレート3側の端部DM2tの位置よりもスラストプレート3側にあるので、スリーブ1のラジアル動圧軸受RB側の変形が更に生じ難くなっている。
これは、後述するモータ51におけるモータベース31への嵌着時に互いが干渉せずに良好に固定されるために設けられている。
より具体的には、この距離L1は、スリーブ1の端面1eからラジアル動圧溝DM2のスラストプレート3側の端部DM2tまでの距離L2より大きくなるように設定されている。
モータベース31の外底面31hにおける貫通孔31bの周囲は、円形の凹部31gとされている。この凹部31gは、モータベース31とスリーブ1との間に両者を確実に導通させるための導電性接着剤を塗布する場合に、その接着剤が外底面31hからはみ出して突出しないようにする為に設けられている。
上記の円筒度ETの変化量ΔETは、60℃の環境下で接着剤4を硬化させ、その後に常温(23℃)に戻した際の円筒度ΔETと基準となる設定値との差を示しており、いずれの図も同じ工程と作業を施しての比較である。
ΔDが大きい程(周溝1dが浅くなる程)変化量ΔETが増加し、特に0(ゼロ)を越えると急激に増加(悪化)する。
また、ΔDがマイナスの領域において、ΔETは安定して小さい値を維持する。
従って、ΔD≦0、すなわち、周溝1dの最小径D1を第2段部1b2の内径D2以下に設定すると極めて良好な円筒度ETが得られることがわかる。
ΔDが大きい程強度Fが向上することがわかる。
従って、必要な強度Fが得られる程度にΔDを設定するとよい。
この場合、図3から、周溝1dの最小径D1を大きくしすぎると円筒度の変化量ΔETが悪化することが明らかであるので、ΔD≦0の領域で最適な寸法を設定すると良い。
また、このΔD≦0の領域において、フランジ5の外径を小さく、すなわち第1段部1b1の内径D3(図1参照)を小さくして径方向の肉厚を確保してもよい。
従って、図4においては、ΔDを、600N以上の強度Fが得られる−0.14≦ΔDとし、図3の条件と合わせて、
−0.14≦ΔD≦0 とすることで、良好な円筒度と強度とを両立して得ることができる。
D1=φ6.90mm
D2=φ6.92mm
D3=φ5.80mm
D4=φ7.80mm
と設定することができる。
この図から、周溝1dを設けた実施例の円筒度変化量ΔETは、従来の0.13μmに対して0.03μmと約1/3に減少しており、また、ばらつきも大幅に低減していることがわかる。
また、製造工程において、円筒度を低下させずに接着剤を高温下で硬化させることができるので、硬化が促進されて生産性が極めて高いという効果が得られる。
また、1つに限らず、軸CL方向に並んで形成された複数の溝であってもよい。
その場合は、最もスリーブ1の他端部1eに近い凹みの開始部位を周溝の端部1d1(1dd1)に相当する部位と、また、最も深く部位の直径を最小径D1とみなすことができる。
この場合においても、各動圧溝DM1,DM2に対向するスリーブ1の内周面の高い円筒度が維持されて同様の効果を奏することは言うまでもない。
スリーブ1の外周面1cの周長に対して、この周溝1d,1ddが形成されている範囲の比率が50%以上であれば、顕著な効果を発揮することができる
1a 貫通孔
1b 段部
1b1,1b2 第1,第2段部
1c 外周面
1d,1dd 周溝
1d1,1dd1 端部
1e (他端部の)端面
1f 外底面
2 シャフト
3 スラストプレート
3a 外面
4 接着剤
5 フランジ
6 潤滑流体
31 モータベース
31a 環状壁
31b 貫通孔
31f 内底面
31g 凹部
31h 外底面
32 コイル
33 コア
34 吸引プレート
35 ハブ
35a 基部
35b 周壁部
36 リングマグネット
37 スペーサ
50 流体動圧軸受装置
51 モータ
CL 軸
DM1,DM2 ラジアル動圧溝
HD ハードディスク
SB スラスト動圧軸受部
RB ラジアル動圧軸受部
Claims (3)
- スリーブと該スリーブに挿通されたシャフトとを含み、前記シャフトを、動圧軸受部を介して前記スリーブに対して回転自在に支持する構成の流体動圧軸受装置において、
前記スリーブは、貫通孔と、該スリーブの一端部側に形成された該スリーブの外径よりも小径なる第1の径の内周面を有する第1の段部及び前記第1の径よりも小径なる第2の径の内周面を有する第2の段部と、を有する一方、
前記シャフトの先端部に固定され前記第2の段部に収容されたフランジと、
前記第1の段部に収容されると共に前記貫通孔の前記一端部側を封止し前記スリーブに接着剤で固着されたスラストプレートと、
前記貫通孔の内周面または前記シャフトの外周面に形成された動圧溝と、
前記スリーブの外周面における前記一端部側に設けられた周溝と、を備え、
該周溝における前記スリーブの他端部側となる端部が、前記動圧溝の前記一端部側の端部よりも前記一端部側に位置することを特徴とする流体動圧軸受装置。 - 前記周溝における最小径は、前記第1の径以下であることを特徴とする請求項1記載の流体動圧軸受装置。
- 請求項1または請求項2記載の流体動圧軸受装置を備えたモータ。
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