JP2008051130A - 流体動圧軸受装置及びそれを備えたモータ - Google Patents

流体動圧軸受装置及びそれを備えたモータ Download PDF

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Abstract

【課題】スリーブにスラストプレートを接着剤により高温下で固着してもスリーブ円筒度が低下せず高い長期信頼性が得られる流体動圧軸受装置(50,50A)を提供する。
【解決手段】スリーブ(1)は、貫通孔(1a)とその一端部側に形成されたスリーブの外径(D4)より小径の第1径(D2)なる第1段部(1b2)及び第1径より小径の第2径(D3)なる第2段部(1b1)とを有し、シャフト先端に固定され第2段部に収容されたフランジ(5)と、第1段部に収容され貫通孔の一端部側を封止しスリーブに接着剤(4)で固着されたスラストプレート(3)と、貫通孔の内面又はシャフトの外面に形成された動圧溝(DM1,DM2)と、スリーブの外面の一端部側に設けられた周溝(1d,1dd)とを備え、周溝はそのスリーブの他端部側端部(1d1)が動圧溝の一端部側端部(DM2t)より一端部側に位置するように設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体動圧軸受装置及びそれを備えたモータに係る。
近年、モータは、その高速回転化に伴いその軸受装置として流体動圧軸装置を用いたものが多くなっている。
この流体動圧軸受装置を搭載したモータは、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)やLBP(レーザビームプリンタ)に用いられてそれぞれハードディスクやポリゴンミラーを駆動する。
そして、この流体動圧軸受装置におけるラジアル動圧軸受は、スリーブの内周面とシャフトの外周面と両者間の僅かな隙間に充填された潤滑流体とを含み、軸方向に一対が離隔して設けられた構成とされる。
また、スラスト動圧軸受は、一般に、スリーブと、先端にフランジを有しスリーブに挿通されたシャフトと、フランジと対向しスリーブの一端部側を封止するスラストプレートとを含んでスリーブの一端部側に設けられる。
さらに詳しくは、フランジの両端面に動圧溝を有する一方、スリーブとフランジとスラストプレートなどとの間には僅かな隙間が設けられて潤滑流体が充填されており、シャフトの回転に伴い動圧溝によって動圧が発生し、フランジを有するシャフトがスリーブ及びスラストプレートに対して浮上し非接触に回転するように構成されている。
このような流体動圧軸受装置やこれを備えたモータの例が特許文献1や特許文献2に記載されている。
特開2004−183864号公報 特開2005−114165号公報
ところで、上述したように、スラストプレートはスリーブの一端部側を封止するようにスリーブに固定される。これについて、特許文献2の図3を引用した図7により、従来の流体動圧軸受装置J50として説明する。
まず、スリーブJ3は貫通孔J3bを有してその一端部側には段部J3aが形成されている。
一方、シャフトJ4は先端部側にフランジJ13を有すると共にスリーブJ3の貫通孔J3bに挿通されている。
スリーブJ3の段部J13aにはスラストプレートJ14が接着剤J5により固着されスリーブJ3の一端部側を封止している。
通常の接着剤の硬化は温度が高い程促進されることから、この流体動圧軸受装置J50の組み立てにおけるスラストプレートJ14の固着において、生産性向上のために常温よりも高い例えば60℃以上の温度で接着剤J5を硬化させることが行われる。
この60℃以上という比較的高温下で接着剤J5を硬化させると、スリーブJ3とスラストプレートJ14との材質が異なる場合にはそれらの熱膨張係数の差により、接着剤J5が硬化した後の常温への降温において接着部位近傍に無視できない残留歪みが生じる。
この残留歪みは、スリーブJ3の内周面を歪ませるためラジアル軸受の軸受性能に悪影響を与える可能性が生じる。
一般に、流体動圧軸受装置では、スリーブの材料として、切削性が良好でメッキなどの表面処理を施し易い銅系合金のC6782(線膨張係数:約1.7×10-5/℃)を用い、スラストプレートの材料として、摩耗し難く高硬度な鉄系合金であるSUS420J2(線膨張係数:約1.1×10-5/℃)を用いる。
従って、このような材料を用いた場合、接着剤を硬化させる高温環境下では、スリーブJ3とスラストプレートJ14との隙間が常温下の場合よりも広がった状態で固定され、接着剤の硬化後に常温に戻すと、スリーブJ3には内周面を縮径する方向の応力が残留するのでラジアル動圧発生部であるスリーブ内径部(内周面)の円筒度が低下してしまう。
この円筒度の低下は、例えば、スリーブJ3の内径が、スラストプレート側が大きくなるように変形(図7において下向きラッパ形状)したとすると、フランジJ13とは反対側のラジアル軸受における動圧の影響が顕著になってフランジJ13側の潤滑流体の圧力が上昇し、シャフトJ4(フランジJ13を含む)の浮上量のばらつきが大きくなって長期信頼性の低下が懸念される。
一方、スリーブJ3の内径が、スラストプレートJ13側が小さくなるように変形(図7において上向きラッパ形状)したとすると、反フランジ側のラジアル軸受における動圧の影響が微弱になって全体の動圧が上がらず、シャフトJ4(フランジJ13を含む)の浮上量が足りずに他の部材との接触が生じて長期信頼性の低下が懸念される。
特許文献1には、熱膨張に伴うスリーブなどの変形に対し、スリーブの外周面がその端部に向かって縮径するテーパ部などを設けてスリーブの変形がモータベースへの圧入に影響を及ぼさないように工夫した技術が開示されているものの、残留応力から生じるスリーブの内周面の変形を防止するものではなく、同様に円筒度が低下して長期信頼性が損なわれることが懸念される。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、スリーブに対してスラストプレートを接着剤により高温下で固着しても、スリーブ内径の円筒度が低下することなく、高い長期信頼性が得られる流体動圧軸受装置及びそれを備えたモータを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の1)〜3)の構成を有する。
1) スリーブ(1)と該スリーブ(1)に挿通されたシャフト(2)とを含み、前記シャフト(2)を、動圧軸受部(RB,SB)を介して前記スリーブ(1)に対して回転自在に支持する構成の流体動圧軸受装置において、
前記スリーブ(1)は、貫通孔(1a)と、該スリーブ(1)の一端部側に形成された該スリーブ(1)の外径(D4)よりも小径なる第1の径(D2)の内周面を有する第1の段部(1b2)及び前記第1の径(D2)よりも小径なる第2の径(D3)の内周面を有する第2の段部(1b1)と、を有する一方、
前記シャフト(2)の先端部に固定され前記第2の段部(1b1)に収容されたフランジ(5)と、
前記第1の段部(1b2)に収容されると共に前記貫通孔(1a)の前記一端部側を封止し前記スリーブ(1)に接着剤(4)で固着されたスラストプレート(3)と、
前記貫通孔(1a)の内周面または前記シャフト(2)の外周面に形成された動圧溝(DM1,DM2)と、
前記スリーブ(1)の外周面における前記一端部側に設けられた周溝(1d,1dd)と、を備え、
該周溝(1d,1dd)における前記スリーブ(1)の他端部側となる端部(1d1)が、前記動圧溝(DM1,DM2)の前記一端部側の端部(DM2t)よりも前記一端部側に位置することを特徴とする流体動圧軸受装置(50,50A)である。
2) 前記周溝(1d,1dd)おける最小径(D1)は、前記第1の径(D2)以下であることを特徴とする1)に記載の流体動圧軸受装置(50,50A)である。
3) 1)または2)に記載の流体動圧軸受装置(50,50A)を備えたモータ(51)である。
本発明によれば、スリーブに対してスラストプレートを接着剤により高温下で固着しても、スリーブ内径の円筒度が低下することなく、高い長期信頼性が得られる、という効果を奏する。
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図6を用いて説明する。
図1は、本発明の流体動圧軸受装置の実施例を示す断面図である。
図2は、本発明のモータの実施例を示す断面図である。
図3は、周溝最小径D1と第2段部内径D2との差ΔDと、円筒度変化量ΔETとの関係を示すグラフである。
図4は、周溝最小径D1と第2段部内径D2との差ΔDと、スラストプレート3の接着強度との関係を示すグラフである。
図5は、本比較例と発明に係る実施例とにおける円筒度変化量ΔETの違いを説明するグラフである。
図6は、本発明の流体動圧軸受装置の変形例を示す断面図である。
本発明に係る流体動圧軸受装置の実施例を図1に示し、その流体軸受装置を搭載したモータの実施例を図2に示す。
図1において、この流体軸受装置50は、貫通孔1aを有する円筒状のスリーブ1と、先端にリング状のフランジ5が固定され貫通孔1aに挿通されたシャフト2と、スリーブ1の一端部側(図1の下側)に貫通孔1aを封止するように固定されたスラストプレート3と、を有して構成されている。
ここで、スリーブ1及びシャフト2は、銅系合金のC6782で形成されており、その線膨張係数は、約1.7×10-5/℃である。
また、スラストプレート3は、鉄系合金のSUS420J2で形成されており、その線膨張係数は、約1.1×10-5/℃である。
スリーブ1の貫通孔1aの内周面には、軸CL方向に離隔して一対のラジアル動圧溝DM1,DM2が形成されている。図1や後述する他の図においては、理解容易のため、便宜的にシャフト2上に図示している。
このラジアル動圧溝DM1,DM2と、これらに僅かな間隙を有して対向するシャフト2の外周面と、この間隙に充填された潤滑流体(例えば潤滑油)6とを含んでそれぞれ一対のラジアル動圧軸受部RB1,RB2が構成されている(以下、この一対を合わせて単にラジアル動圧軸受部RBとも称する)。
また、貫通孔1aの一端部側には、内径を異ならせて階段状に形成した段部1bが設けられている。
この実施例では、この段部1bは小径側から順に第1段部1b1と第2段部1b2との2段を有する。
スラストプレート3は、この第2段部1b2に収容されると共に、外面3aの縁部と第2段部1b2の内壁部とが接着剤4で固着されて、スラストプレート3はスリーブ1の貫通孔1aの一端部側を封止している。
この固着における接着剤4の硬化は、その硬化速度を上げ生産効率を向上させるために、常温ではなく、高温環境下で行われる。
高温下での硬化速度向上は、接着剤の硬化システムによらず発現するので種々の接着剤に対して有効である。
接着剤として、エポキシ系熱硬化型を用いることができるが、これに限らず、エポキシ系UV硬化型やアクリル系の接着剤などを用いてももちろんよい。
また、高温とは例えば60℃であり、通常、60℃〜80℃の範囲で設定される。
フランジ5は、その軸CL方向の両面(上下面)にそれぞれスラスト動圧溝(図示せず)が形成されており、スリーブ1の第1段部1b1に収容されている。
ここで、フランジ5及びシャフト2の先端面と、スリーブ1及びスラストプレート3との間には僅かな間隙が設けられると共にこの隙間に潤滑流体6が充填されてスラスト動圧軸受部SBが構成されている。
これらの動圧軸受部RB,SBの構成において、シャフト2の回転に伴い動圧が発生し、シャフト2はスリーブ1対して非接触で回転自在に支持される。
スリーブ1の貫通孔1aにおける他端部側(図1の上側)には、その内周面が端面1eに向かうに従ってシャフト2の外周面との径方向距離が大きくなるように拡径したテーパシール部TSが形成されている。
ラジアル動圧軸受部RB及びスラスト動圧軸受部SBに充填された潤滑流体6はそれぞれ共有されると共にこのテーパシール部TSにおいて封止され、外部への漏出が防止されている。
また、スリーブ1の外周面1cにおける、一端部側には、断面が略三角形形状を呈して内側に凹む周溝1dが形成されている。
これについて詳述するならば、まず、軸CL方向において、スリーブ1の他端部の端面1eから周溝1dの端部(凹みの開始部位)1d1までの距離L1は、スリーブ1の一端部側のラジアル動圧溝DM2と重ならないように設定されている。
より具体的には、この距離L1は、スリーブ1の端面1eからラジアル動圧溝DM2のスラストプレート3側の端部DM2tまでの距離L2より大きくなるように設定されている。
一方、軸CLに直交する方向(径方向)については、この周溝1dの最も深い部位の直径、すなわち最小径D1は、スリーブ1の第2段部の内径D2以下となるように形成されている。
上述したように、スラストプレート3のスリーブ1への固定は、高温下での接着剤4の硬化により行なわれ、また、スラストプレート3の材料はスリーブ1の材料よりも大きい線膨張係数を有する。
従って、スリーブ1の第2段部1b2の内径の方がスラストプレート3の外径よりも大きく熱拡張して両者の径差が常温の場合よりも大きい状態で固着される、
そのため、接着剤4の硬化後における常温への温度降下に伴って、スリーブ1の第2段部1b2の周壁が縮径しようとするものの、スラストプレート3に接着固定されているためにそれが阻止され残留応力が生じる
この状態において、実施例では上述したような周溝1dが形成されているので、この残留応力によりラジアル動圧軸受部RBが変形することを防止できる。
すなわち、残留応力による変形は、第2段部1b2の内周径D2よりも小径の部位を有する周溝1dによって薄肉された部位でその伝播が遮断される。
従って、スリーブ1における端部1d1に対するラジアル動圧軸受RB側の変形が極めて生じ難くなっている。
また、この変形の伝播を遮断する周溝1dの軸CL方向における最もラジアル動圧軸受RB側の位置、すなわち、端部1d1が、ラジアル動圧溝DM2のスラストプレート3側の端部DM2tの位置よりもスラストプレート3側にあるので、スリーブ1のラジアル動圧軸受RB側の変形が更に生じ難くなっている。
また、スリーブ1の外周面における周溝1dよりもさらに一端部側には、端部に向かうに従って縮径するテーパ部TPが形成されている。
これは、後述するモータ51におけるモータベース31への嵌着時に互いが干渉せずに良好に固定されるために設けられている。
上述した実施例の流体動圧軸受装置50は、その周溝1dを、上述した断面が略三角形形状のものに限らず、断面が略矩形形状の周溝1ddとしてもよい。この周溝1ddを有する流体動圧軸受装置50Aを図6に示す。
この例においても、周溝1ddの最小径D1が第2段部1b2の内周径D2以下に設定され、軸CL方向において、スリーブ1の他端部の端面1eから周溝1ddの端部(凹みの開始部位)1dd1までの距離L1は、スリーブ1の一端部側のラジアル動圧溝DM2と重ならないように設定されている。
より具体的には、この距離L1は、スリーブ1の端面1eからラジアル動圧溝DM2のスラストプレート3側の端部DM2tまでの距離L2より大きくなるように設定されている。
具体的には、この距離L1は、スリーブ1の端面1eからラジアル動圧溝DM2のスラストプレート3側端部DM2tまでの距離L2より大きくなるように設定されている。
上述した実施例の流体動圧軸受装置50,50Aは、種々のモータに搭載することができ、図2を用いてこの流体動圧軸受装置50を搭載したモータ51について説明する。
このモータ51は、HDD(ハードディスクドライブ)に搭載されハードディスクを駆動するモータであり、例えば、5400回/分で定常回転する。
ステータSとしては、貫通孔31bとその周囲に環状に立ち上げられた環状壁31aとが形成されたモータベース31と、この環状壁31aの内周面に外周面が圧入固定された流体動圧軸受装置50のスリーブ1と、このスリーブ1に固定されたスラストプレート3と、環状壁31aの外周面に固定され突極に駆動コイル32が巻回されたコア33と、モータベース31の内底面31fに固定されたリング状の吸引プレート34と、を備える。
また、このステータSに対して流体動圧軸受装置50を介して回動自在に支持されるロータRとしては、シャフト2に固定され円板状の基部35a及びこの基部35aの周縁から立ち上げられた周壁部35bを有するハブ35と、この周壁部35bの内面に固着されコア33の外周面と近接対向するリングマグネット36と、を備える。
吸引プレート34は、リングマグネット36と近接対向するよう配置されてロータRに対してステータS側に吸引する吸引力を発揮し、流体動圧軸受装置50のフランジ5の浮上力とバランスされて良好な回転特性が得られるよう構成されている。
このモータ51がHDDに搭載される際には、ハブ35の周壁部35bの外周面に2つのハードディスクHDがスペーサ37を挟んで配設される。
モータベース31の外底面31hにおける貫通孔31bの周囲は、円形の凹部31gとされている。この凹部31gは、モータベース31とスリーブ1との間に両者を確実に導通させるための導電性接着剤を塗布する場合に、その接着剤が外底面31hからはみ出して突出しないようにする為に設けられている。
ここで、流体動圧軸受装置50における、周溝1dの最小径D1と第2段部1b2の内径D2との差をΔD=D1−D2として、このΔDと円筒度ETの変化量ΔETとの関係について図3に示し、また、同じくΔDとスラストプレート3のスリーブ1への接着強度Fとの関係について図4に示してそれぞれ詳述する。
いずれも、周溝1dをL1=L2として形成した場合のものであるが、L1>L2の場合でも同様の結果を得るものである。
上記の円筒度ETの変化量ΔETは、60℃の環境下で接着剤4を硬化させ、その後に常温(23℃)に戻した際の円筒度ΔETと基準となる設定値との差を示しており、いずれの図も同じ工程と作業を施しての比較である。
<ΔDとΔETとの関係(図3)>
ΔDが大きい程(周溝1dが浅くなる程)変化量ΔETが増加し、特に0(ゼロ)を越えると急激に増加(悪化)する。
また、ΔDがマイナスの領域において、ΔETは安定して小さい値を維持する。
従って、ΔD≦0、すなわち、周溝1dの最小径D1を第2段部1b2の内径D2以下に設定すると極めて良好な円筒度ETが得られることがわかる。
<ΔDとFとの関係(図4)>
ΔDが大きい程強度Fが向上することがわかる。
従って、必要な強度Fが得られる程度にΔDを設定するとよい。
この場合、図3から、周溝1dの最小径D1を大きくしすぎると円筒度の変化量ΔETが悪化することが明らかであるので、ΔD≦0の領域で最適な寸法を設定すると良い。
また、このΔD≦0の領域において、フランジ5の外径を小さく、すなわち第1段部1b1の内径D3(図1参照)を小さくして径方向の肉厚を確保してもよい。
一般に、HDDに搭載されたハードディスクドライブに搭載されるモータに要求される耐加速度は1000Gであり、この耐加速度性を満足するスラストプレートの接着強度Fは600N以上であることが知られている。
従って、図4においては、ΔDを、600N以上の強度Fが得られる−0.14≦ΔDとし、図3の条件と合わせて、
−0.14≦ΔD≦0 とすることで、良好な円筒度と強度とを両立して得ることができる。
第1段部1b1の内径をD3とし、スリーブ1の外径をD4とすると、上述の条件を満足するために一例として、
D1=φ6.90mm
D2=φ6.92mm
D3=φ5.80mm
D4=φ7.80mm
と設定することができる。
この実施例と、周溝1dを有していないという点のみが異なり他が同じである比較例とについて、円筒度変化量ΔETを比較したグラフを図5として示す。
この図から、周溝1dを設けた実施例の円筒度変化量ΔETは、従来の0.13μmに対して0.03μmと約1/3に減少しており、また、ばらつきも大幅に低減していることがわかる。
以上、詳述したように、実施例の流体動圧軸受装置50,50Aとそれを備えたモータ51は、スラストプレート3をスリーブ1に対して接着剤4により高温下で固着しても、スリーブ1の内径の円筒度が高い精度で維持され、高い長期信頼性が得られる。
また、製造工程において、円筒度を低下させずに接着剤を高温下で硬化させることができるので、硬化が促進されて生産性が極めて高いという効果が得られる。
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
周溝1d,1ddは上述した例に限らず、断面が円弧状のものでもよい。
また、1つに限らず、軸CL方向に並んで形成された複数の溝であってもよい。
その場合は、最もスリーブ1の他端部1eに近い凹みの開始部位を周溝の端部1d1(1dd1)に相当する部位と、また、最も深く部位の直径を最小径D1とみなすことができる。
実施例は、ラジアル動圧軸受RBの動圧溝DM1,DM2がスリーブ1の内周面に形成されたものであるが、シャフト2の外周面に設けられたものであってもよい。
この場合においても、各動圧溝DM1,DM2に対向するスリーブ1の内周面の高い円筒度が維持されて同様の効果を奏することは言うまでもない。
周溝1d,1ddは、外周面1cを周回する溝であることが最も望ましいが、複数に分断されていても概ね周回するように形成されていればよい溝である。
スリーブ1の外周面1cの周長に対して、この周溝1d,1ddが形成されている範囲の比率が50%以上であれば、顕著な効果を発揮することができる
実施例の流体動圧軸受50,50Aを搭載し得るモータは、HDD用のモータに限るものではなく、ポリゴンミラー駆動用モータや、光ディスク駆動用モータなど、種々のモータを適用することができることは言うまでもない。
本発明の流体動圧軸受装置の実施例を示す断面図である。 本発明のモータの実施例を示す断面図である。 周溝最小径D1と第2段部内径D2との差ΔDと、円筒度変化量ΔETとの関係を示すグラフである。 周溝最小径D1と第2段部内径D2との差ΔDと、スラストプレート3の接着強度との関係を示すグラフである。 本比較例と発明に係る実施例とにおける円筒度変化量ΔETの違いを説明するグラフである。 本発明の流体動圧軸受装置の変形例を示す断面図である。 従来の流体動圧軸受装置の一例を説明する断面図である。
符号の説明
1 スリーブ
1a 貫通孔
1b 段部
1b1,1b2 第1,第2段部
1c 外周面
1d,1dd 周溝
1d1,1dd1 端部
1e (他端部の)端面
1f 外底面
2 シャフト
3 スラストプレート
3a 外面
4 接着剤
5 フランジ
6 潤滑流体
31 モータベース
31a 環状壁
31b 貫通孔
31f 内底面
31g 凹部
31h 外底面
32 コイル
33 コア
34 吸引プレート
35 ハブ
35a 基部
35b 周壁部
36 リングマグネット
37 スペーサ
50 流体動圧軸受装置
51 モータ
CL 軸
DM1,DM2 ラジアル動圧溝
HD ハードディスク
SB スラスト動圧軸受部
RB ラジアル動圧軸受部

Claims (3)

  1. スリーブと該スリーブに挿通されたシャフトとを含み、前記シャフトを、動圧軸受部を介して前記スリーブに対して回転自在に支持する構成の流体動圧軸受装置において、
    前記スリーブは、貫通孔と、該スリーブの一端部側に形成された該スリーブの外径よりも小径なる第1の径の内周面を有する第1の段部及び前記第1の径よりも小径なる第2の径の内周面を有する第2の段部と、を有する一方、
    前記シャフトの先端部に固定され前記第2の段部に収容されたフランジと、
    前記第1の段部に収容されると共に前記貫通孔の前記一端部側を封止し前記スリーブに接着剤で固着されたスラストプレートと、
    前記貫通孔の内周面または前記シャフトの外周面に形成された動圧溝と、
    前記スリーブの外周面における前記一端部側に設けられた周溝と、を備え、
    該周溝における前記スリーブの他端部側となる端部が、前記動圧溝の前記一端部側の端部よりも前記一端部側に位置することを特徴とする流体動圧軸受装置。
  2. 前記周溝における最小径は、前記第1の径以下であることを特徴とする請求項1記載の流体動圧軸受装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の流体動圧軸受装置を備えたモータ。
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