JP2008050733A - ポリエステル系繊維製品の染色方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリエステル系繊維製品を第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を含む水溶液で処理した後、天然染料にて染色する。第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を含む水溶液での処理が100℃以上140℃以下である。
【選択図】なし
Description
しかしながら、ポリエステル系繊維製品を天然染料で染色処理したものは、天然染料を高濃度にもちいた場合においても、ほとんど着色することができなかった。
そこで、5−スルホイソフタル酸塩共重合ポリエステル系繊維をもちいて、天然染料による染色が検討されている(特許文献1)
したがって、本発明では、上記課題を解決し、様々なポリエステル系繊維を天然染料で高濃度に着色できる染色方法を提供することを目的としている。
すなわち、本発明は下記の(1)〜(3)からなる。
(1)ポリエステル系繊維製品を第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を含む水溶液で処理した後、天然染料にて染色することを特徴とするポリエステル系繊維製品の染色方法。
(2)第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を含む水溶液での処理が、80℃以上140℃以下であることを特徴とする上記(1)に記載のポリエステル系繊維製品の染色方法。
(3)天然染料での染色温度が70℃以上140℃以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のポリエステル系繊維製品の染色方法。
本発明のポリエステル系繊維製品とは、テレフタル酸とエチレングリコールを用いて得られるポリエステル(レギュラーポリエステル)、テレフタル酸とトリメチレングリコールを用いて得られるポリエステル(ポリトリメチレンテレフタレート:PTT)やテレフタル酸とテトラメチレングリコールを用いて得られるポリエステルなどから得られるものが挙げられる。
また、テレフタル酸成分の一部を、他の2官能性カルボン酸で置き換えたポリエステルであってもよく、または、グリコール成分の一部を上記グリコール成分以外のジオール成分に置き換えたポリエステルから得られるものであってもよい。
また、ポリエステル系繊維製品が、常圧分散染料可染型ポリエステルやカチオン染料可染型ポリエステル(CDP)、ポリ乳酸(PLA)から得られるものであってもよい。
本発明では、常圧分散染料可染型ポリエステルやカチオン染料可染型ポリエステル(CDP)、ポリ乳酸(PLA)に比べ染まり難いと思われるレギュラーポリエステルを用いたポリエステル系繊維製品であっても、濃く染めることが可能である。
また、必要に応じ、触媒、安定剤、着色防止剤、難燃剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、耐熱剤、抗菌剤、SR剤、無機粒子などの添加剤が含有されていてもよい。
これらの添加剤は、予めポリエステル樹脂に添加しておいてもよいし、糸、織物、編物等のシート状、衣服等の縫製品となった後に付与してもよい。
より具体的には、
また、第4級アンモニウム塩は、第4級アンモニウム塩ポリマーであってもよい。
0.05g/l未満では十分な濃度まで天然染料で着色することがでないことがある。
また、50g/lを超えても、濃度に応じての天然染料での着色濃度が向上しないので経済的に不利である。また、ポリエステルの溶解が著しく進んでしまい、得られるポリエステル系繊維製品の風合が大きく変化したり、強度が著しく低下してしまう可能性がある。
また、50g/lを超えても、さほど天然染料での着色濃度が向上しないので経済的に不利である。また、ポリエステルの溶解が著しく進んでしまい、得られるポリエステル系繊維製品の風合が大きく変化したり、強度が著しく低下してしまう可能性がある。
また、第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を含む水溶液での処理が、80℃以上140℃以下であると好ましい。より好ましくは、100℃以上135℃以下がよい。
80℃未満では、その後の染色処理において、充分な濃度を有する天然染料で着色されたポリエステル系繊維製品がえられないことがあり、140℃を超えるとポリエステル系繊維製品が脆化し、また、天然染料の色素が分解する恐れがある。
また、液流染色機などのバッチ式処理装置を用いたときのポリエステル系繊維製品と第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を含む水溶液の浴比は1:5〜1:300程度にておこなうことができる。
また、動物から抽出されるものとして、貝から抽出される帝王紫などが挙げられる。
天然染料の繊維への付与量は、天然物のため、季節や産地によって異なるため、濃度を確認し、任意の濃度で付与するとよい。
また、天然染料として、特に、生薬効果を有するものをもちいれば、本発明では、得られる繊維製品に抗菌防臭性や制菌性、花粉やダニの死骸を不活化するアレルゲン抑制機能を付与することができる。
70℃未満にて染色した場合には、染料の種類やポリエステルの種類等によっては、十分な濃度のポリエステル系繊維製品がえられないことがあり、また、140℃以上では、ポリエステル系繊維製品が脆化する恐れがある。
また、液流染色機などのバッチ式処理装置を用いたときのポリエステル系繊維製品と天然染料を含む染色液の浴比は1:5〜1:300程度にておこなうことができる。
なお、K/Sは、K/S=(1−R)2/2Rにて求められたものであり、Rは、本発明の染色方法にて染色されたポリエステル系繊維製品での最大吸収波長での反射率をいう(全反射=1)。また、反射率は値が高いほど色濃度は低くなり、値が低いほど色濃度は高くなるが、K/S値は、値が高いほど色濃度は高くなり、値が低いほど色濃度は低くなる。
得られるポリエステル系繊維布帛の風合いの観点からは、高圧タイプの液流染色機が好ましく、また、生産性の観点からは、パッダ−を用いた連続染色が好ましい。
また、本発明の天然染料にて染色する際の染色液の中には、pH調整剤や中性無水芒硝などの無機塩などを添加してもよいが、本発明ではこれらのものを添加しなくとも、従来に比べ著しく濃色にポリエステル系繊維を染色することができる。
また、染色後、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、木酢鉄、塩化第一鉄、酢酸銅、合成タンニンなどを含む水溶液で媒染処理をおこなってもよい。
さらに、天然染料にて染色した後、必要に応じ、帯電防止加工、撥水加工、柔軟加工、SR加工、紫外線遮蔽加工、抗菌加工、消臭加工等任意の仕上加工をおこなってもよい。
以下の実施例における評価は次の方法によった。
A 染色濃度 K/Sにて求めた。K/S=(1−R)2/2R。Rは、染色されたポリエステル系繊維製品での最大吸収波長での反射率(全反射=1)。また、反射率は値が高いほど色濃度は低くなり、値が低いほど色濃度は高くなるが、K/S値は、値が高いほど色濃度は高くなり、値が低いほど色濃度は低くなる。
B 抗菌性 JIS L1902 定量試験 菌液吸収法 殺菌活性値により測定した。(SEKマーク(社団法人繊維評価技術協議会認証マーク)の制菌性赤ラベル基準では殺菌活性値0以上合格)
次に、アレルゲン溶液を試験管ミキサ−を用いて攪拌しながら試験片20cm2をいれて37℃で48時間に亘って振とうした。
続いて、アレルゲン溶液のアレルゲン性をアレルゲン測定具(シント−ファイン社製商品名「マイティ−チェッカ−」)を用いて評価した。そして、アレルゲン測定具の発色度合いを目視観察して評価した。評価は、「−」、「±」、「+」、「++」で行う。「−」がアレルゲン抑制機能が大きく、「++」はアレルゲン抑制効果が小さい。
なお、撥水加工がなされる繊維製品での試験は、撥水加工を行う前の繊維製品で行った。
ポリエステル平織物(タテ糸、ヨコ糸とも:レギュラーポリエステル)を精練したものをポリエステル系繊維製品としてもちいた。
ポリエステル系繊維製品を水酸化ナトリウム 1.5g/lと第4級アンモニウム塩として
次に、染料液として、ウコン液50((株)田中直染料店)を用い10%omf、20%omf、50%omfの染料液にて、浴比1:100、冷水から昇温し、120℃で30分染色処理をおこなった(液流染色機使用)。その後、水洗し、120℃で30秒乾燥した後、ナイスポールFL(日華化学(株)製) 0.5%水溶液を用い帯電防止加工を行った。
次に、150℃にて30秒間、仕上げセットを行い、天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。得られた繊維製品のK/S、抗菌性は以下の通りであり、濃く染まっており、また、抗菌性も有していた。
抗菌性 10%omf 2.8、 20%omf 2.8、 50%omf 2.8
第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物を含む処理液で処理をおこなわなかった以外は、実施例1と同様にして天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。
得られた繊維製品のK/S、抗菌性は以下の通り、濃度は低く、抗菌性もなかった。
K/S 10%omf 0.22、20%omf 0.29、50%omf 0.5
抗菌性 10%omf −1.2、20%omf −1.2、50%omf −1.2
処理液に水酸化ナトリウムを用いなかった以外は、実施例1と同様にして天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。得られた繊維製品のK/Sは以下の通り、濃度は低かった。
K/S 10%omf 0.30、20%omf 0.45、50%omf 0.66
処理液に第4級アンモニウム塩を用いなかった以外は、実施例1と同様にして天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。得られた繊維製品のK/Sは以下の通り、濃度は低かった。
K/S 10%omf 0.24、20%omf 0.31、50%omf 0.51
ポリエステル天竺(糸:レギュラーポリエステル)を精練したものをポリエステル系繊維製品としてもちいた。
ポリエステル系繊維製品を水酸化ナトリウム 0.5g/lと第4級アンモニウム塩として
次に、染料液として、RKカラ−5KA−Fconc 柿渋(洛東化成工業(株))を用い5%omf、10%omf、20%omfの染料液にて、浴比1:50、冷水から昇温し、120℃で30分処理をおこなった(液流染色機使用)。その後、水洗し、120℃で30秒乾燥した後、アサヒガードAG710(旭硝子(株)製) 3%水溶液を用い撥水加工を行った。
次に、150℃にて30秒間、仕上げセットを行い、天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。得られた繊維製品のK/Sは大きく、濃い色に染まっていた。制菌性、アレルゲン抑制機能も有していた。
K/S 5%omf 0.41、10%omf 0.56、20%omf 0.78
抗菌性 5%omf 2.8、 10%omf 2.8 、20%omf 2.8
アレルゲン
抑制機能 5%omf 「−」 10%omf 「−」 、20%omf 「−」
第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物を含む処理液で処理をおこなわなかった以外は、実施例2と同様にして天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。
得られた繊維製品のK/S、抗菌性、アレルゲン抑制機能は以下の通り、濃度は低く、抗菌性、アレルゲン抑制機能もなかった。
K/S 5%omf 0.17、10%omf 0.23、20%omf 0.29
抗菌性 5%omf −1.2、10%omf −1.0、20%omf −1.0
アレルゲン
抑制機能 5%omf「++」 、10%omf「++」 、20%omf「++」
実施例2において、80℃にて染色した以外は実施例2と同様にし、天然染料で染色されたポリエステル系繊維布帛を得た。
得られた繊維製品のK/Sは以下の通り、実施例2と比べると濃度は低いが、比較例4に比べ、濃く染まっていた。
K/S 5%omf 0.24、10%omf 0.32、20%omf 0.55
第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物を含む処理液で処理をおこなわなかった以外は、実施例3と同様にして天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。
得られた繊維製品のK/Sは以下の通り、ほとんど染まっていなかった。
K/S 5%omf 0.09、10%omf 0.11、20%omf 0.17
ポリエステル系繊維製品としてブラウスに縫製されたものをもちいた(たて糸、よこ糸ともPTT)。
ポリエステル系繊維製品を、水酸化ナトリウム 1.0g/lと第4級アンモニウム塩として
次に、染料液としてRKカラ−9KU−HPG クチナシ(洛東化成工業(株))を用い10%omf、20%omf、50%omfの染料液にて、浴比1:80、冷水から昇温し80℃で30分処理をおこなった(ドラム型染色機使用)。
次に、水洗後、媒染剤として、硫酸アルミニウムカリウム5%omf含む処理液にて、浴比1:80、70℃で20分間処理をおこなった。
その後、水洗し、120℃で30秒乾燥した後、ソフテックスK370(北広ケミカル(株)製) 0.5%水溶液をもちいて柔軟加工を行った。
次に、150℃にて30秒間、仕上げセットを行い、天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。得られた繊維製品のK/Sは大きく、濃い色に染まっていた。
K/S 10%omf 0.94、20%omf 1.67、50%omf 3.32
第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物を含む処理液で処理をおこなわなかった以外は、実施例4と同様にして天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。
得られた繊維製品のK/Sは以下の通り、ほとんど染まっていなかった。
K/S 10%omf 0.12、20%omf 0.21、20%omf 0.43
ポリエステル系繊維製品として、パンツに縫製したものをもちいた(ポリウレタン繊維をレギュラーポリエステルでカバーリングした糸を用いた織物を縫製)。
ポリエステル系繊維製品に、水酸化ナトリウム 1.0g/lと第4級アンモニウム塩として
次に、染料液として、緑葉エキスパウダー((株)田中直染料店)を用い0.5%omf、1%omf、2%omfの染料液にて、浴比1:100、冷水から昇温し、120℃で30分処理をおこなった(ドラム型染色機使用)。その後、水洗し、120℃で30秒乾燥した。
次に、150℃にて30秒間、仕上げセットを行い、天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。得られた繊維製品のK/Sは以下の通りであり、濃く染まっていた。
K/S 0.5%omf 1.98、1%omf 2.52、2%omf 3.83
第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物を含む処理液で処理をおこなわなかった以外は、実施例5と同様にして天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。
得られた繊維製品のK/Sは以下の通りであり実施例5と比べ非常に薄かった。
K/S 0.5%omf 0.42、1%omf 0.56、2%omf 0.84
ポリエステル平織物(タテ糸、ヨコ糸とも:PLA)を精練したものをポリエステル系繊維製品としてもちいた。
ポリエステル系繊維製品を水酸化ナトリウム 1.5g/lと第4級アンモニウム塩として
次に、染料液として、RKカラ−9KU−HPG クチナシ(洛東化成工業(株))を用い10%omf、20%omf、50%omfの染料液にて、浴比1:100、冷水から昇温し、110℃で30分染色処理をおこなった(液流染色機使用)。その後、水洗し、120℃で30秒乾燥した後、ナイスポールFL(日華化学(株)製) 0.5%水溶液を用い帯電防止加工を行った。
次に、150℃にて30秒間、仕上げセットを行い、天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。得られた繊維製品のK/Sは以下の通りであり、比較例8と比べK/Sで約9倍の濃色に染まっていた。
K/S 10%omf 0.47、20%omf 0.98、50%omf 1.75
第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物を含む処理液で処理をおこなわなかった以外は、実施例6と同様にして天然染料にて染色されたポリエステル系繊維製品を得た。
得られた繊維製品のK/Sは以下の通りであり実施例6と比べ非常に薄かった。
K/S 10%omf 0.05、20%omf 0.11、50%omf 0.20
Claims (3)
- ポリエステル系繊維製品を第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を含む水溶液で処理した後、天然染料にて染色することを特徴とするポリエステル系繊維製品の染色方法。
- 第4級アンモニウム塩とアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を含む水溶液での処理が、80℃以上140℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系繊維製品の染色方法。
- 天然染料での染色温度が70℃以上140℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル系繊維製品の染色方法。
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