JP2008050533A - 硬化性組成物およびシーリング材 - Google Patents

硬化性組成物およびシーリング材 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化性組成物、およびシーリング材を提供する。
【解決手段】ポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ分子末端に加水分解性シリル基を有する重合体(P)と、エポキシ基を1個有し、ケイ素原子を含まない、分子量300以下のエポキシ化合物(E)とを含む硬化性組成物、好ましくは、重合体(P)、エポキシ基を1個有し、ケイ素原子を含まない、分子量300以下のエポキシ化合物(E)、充填材、および触媒を含む硬化性組成物であって、重合体(P)の100質量部に対して、エポキシ基を1個有する化合物の0.5〜20質量部、触媒の0.1〜10質量%、および充填材の100〜500質量部を含む請求項1または2に記載の硬化性組成物、該硬化性組成物からなるシーリング材。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物およびシーリング材に関する。
ポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ分子末端に加水分解性シリル基を有する重合体(以下、変成シリコーンポリマーともいう。)は、加水分解反応により硬化して、高耐久性のゴム状硬化物を形成する。変成シリコーンポリマーを含む硬化性組成物は、シーリング材、接着剤、コーティング剤、等として広く使用されている。
近年では、作業性と経済性を向上させる観点から、ガラスバルーン、有機樹脂バルーン等の充填材を多く含む硬化性組成物が知られている。しかし、前記硬化性組成物の硬化物は、建築部材の分野においては、耐久性が悪くなる傾向があり改善する必要がある。
前記硬化物の耐久性を改善するために、エポキシ基を有する可塑剤をさらに含む硬化性組成物(特許文献1および特許文献2参照。)が提案されている。
特開昭57−155249号公報 特開平05−132616号公報
しかし、前記硬化物の耐久性を充分に改善するためには、前記硬化性組成物にエポキシ基を含有する可塑剤を多く配合する必要があった。この場合、物性面での低下や硬化物表面を塗装した場合、塗膜を汚染するといった問題がある。そのため、少量の添加剤によって、充分な耐久性を有する硬化物を形成する変成シリコーンポリマーを含む硬化性組成物が求められていた。
本発明者らは、鋭意検討の結果、変成シリコーンポリマーと、エポキシ基を1個有し、ケイ素原子を含まない、分子量300以下のエポキシ化合物(E)とを含む硬化性組成物の硬化物は、少量のエポキシ化合物(E)の添加により、耐久性に優れ、物性への影響がないという知見を得た。
すなわち、本発明は下記発明を提供する。
ポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ分子末端に加水分解性シリル基を有する重合体(P)と、エポキシ基を1個有し、ケイ素原子を含まない、分子量300以下のエポキシ化合物(E)とを含む硬化性組成物。
上記硬化性組成物からなるシーリング材。
本発明によれば、少量の添加剤の使用により、耐久性に優れ、かつ物性が良好である硬化物を形成する硬化性組成物が提供される。本発明の硬化性組成物は、建築部材の分野において用いられるシーリング材として有用である。
本発明の硬化性組成物は、ポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ分子末端に加水分解性シリル基を有する重合体(P)を含む。
重合体(P)がポリオキシアルキレン鎖を有するとは、重合体(P)がアルキレンオキシドの開環重合により形成されたアルキレンオキシドに由来する繰り返し単位(以下、オキシアルキレン単位ともいう。)からなる分子構造を有することをいう。
重合体(P)が分子末端に加水分解性シリル基を有するとは、重合体(P)のオキシアルキレン単位の末端に加水分解性シリル基を有することをいう。加水分解性シリル基は、特に限定されず、トリアルコキシシリル基、またはジアルコキシアルキルシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、またはジエトキシエチルシリル基が特に好ましい。
ポリオキシアルキレン鎖は、1種のオキシアルキレン単位からなっていてもよく、2種以上のオキシアルキレン単位からなっていてもよい。後者の場合、それぞれのオキシアルキレン単位の並び方は、ランダム状であってもよく、ブロック状であってもよい。
アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、およびヘキシレンオキシドからなる群から選ばれる1種以上のアルキレンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドが特に好ましい。
重合体(P)の製造方法は、特に限定されず、開環重合触媒の存在下、活性水素原子を有する化合物にアルキレンオキシドを開環重合させて得られた、オキシアルキレン鎖を有し、かつ分子末端にヒドロキシ基を有する重合体(以下、重合体(H)ともいう。)から調製されるのが好ましい。
開環重合触媒は、特に限定されず、複合金属シアン化物錯体が好ましく、亜鉛ヘキサシアノコバルテートがより好ましく、有機配位子を有する亜鉛ヘキサシアノコバルテートが特に好ましい。
有機配位子としては、エーテル系配位子(グライム、ジグライム等。)またはアルコール系配位子(tert−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、iso−ペンチルアルコール、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル等。)が挙げられる。
活性水素原子を有する化合物は、特に限定されず、活性水素原子を有する有機化合物が好ましく、ヒドロキシ基、またはアミノ基を有する有機化合物がより好ましく、ヒドロキシ基を有する有機化合物が特に好ましい。活性水素原子を有する化合物中の活性水素原子数は、特に限定されず、1〜4個が好ましい。
活性水素原子を有する有機化合物の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、、アリルアルコール、メタリルアルコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の非重合体状アルコール類;ポリオキシプロピレンモノオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンモノオール、ポリオキシエチレンジオール、およびポリオキシエチレントリオールからなる群から選ばれる重合体状アルコールが挙げられる。重合体状アルコールの水酸基あたりのMは、300〜2000が好ましい。
重合体(H)から重合体(P)を調製する方法は、特に限定されず、下記方法1、下記方法2、または下記方法3によるのが好ましい。
[方法1]重合体(H)とアルカリ金属水酸化物を反応させて重合体(H)中のヒドロキシ基をアルコラートした後に重合体(H)とアルケニルハライドを反応させて、ポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ分子末端にアルケニル基を有する重合体(以下、重合体(V)ともいう。)を得て、つぎに、白金触媒の存在下、該重合体とトリアルコキシシランまたはジアルコキシアルキルシランとを反応させて、重合体(P)を得る方法。
[方法2]ラジカル開始剤の存在下、重合体(V)と、メルカプト基および加水分解性シリル基を有する化合物とを反応させて、重合体(P)を得る方法。
[方法3]重合体(H)と、イソシアナト基および加水分解性シリル基を有する化合物とを反応させて、重合体(P)を得る方法。
重合体(P)の1分子あたり平均の加水分解性シリル基の数は、特に限定されず、1.0〜4.0個が好ましく、1.5〜2.5個が特に好ましい。
重合体(P)の数平均分子量は、特に限定されず、5000〜50000が好ましく、7500〜25000が特に好ましい。
重合体(P)の23℃における粘度は、特に限定されず、5000〜40000mPa・sが好ましく、8000〜30000mPa・sが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物においては、1種の重合体(P)を用いてもよく、2種以上の重合体(P)を用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、エポキシ基を1個有し、ケイ素原子を含まない、分子量300以下のエポキシ化合物(E)を含む。エポキシ化合物(E)の分子量は、90〜300が好ましく、特に200以下が添加量の割に、耐久性の効果が高い点で、好ましい。
エポキシ化合物(E)は、特に、炭素原子、水素原子および酸素原子のみからなる化合物であることが好ましい。グリシジルオキシ基を1個有する化合物が最も好ましい。この場合、少量の添加量で著しい効果がある。その理由は必ずしも明確ではないが、分子量が小さく、硬化物中で反応しやすいと考えられる。
エポキシ化合物(E)の具体例としては、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、オルソクレジルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物の硬化物(以下、単に硬化物ともいう。)は、耐久性(特に復元率に関する耐久性。)に優れ、かつ少量の添加剤で効果を発現し、機械物性、表面塗膜への汚染性が小さいという効果を有している。
硬化物の耐久性が向上する理由は必ずしも明確ではないが、エポキシ化合物(E)のエポキシ基が、硬化物中の重合体(P)のシロキサン結合を抑制するためと考えられる。さらに、硬化物中のシロキサン結合が抑制されるため、硬化物の復元率に関する耐久性が特に向上すると考えられる。
なお、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなどに代表されるエポキシ基と加水分解性基を有するケイ素基(特にアルコキシシリル基)を有するシランを添加しても、本発明のエポキシ化合物(E)を用いた場合の効果は得られない。
また、本発明の硬化性組成物においては、低分子量(分子量300以下。)のモノエポキシ化合物が用いられる。そのため、エポキシ基を有する化合物を多量配合することなく硬化物中のエポキシ基濃度が高くできる。したがって、本発明においては、硬化物の耐久性を向上させつつ、硬化物中の成分のブリードアウトを抑制が可能になったと考えられる。
本発明の硬化性組成物は、重合体(P)の100質量部に対して、エポキシ化合物(E)の0.5〜10質量部を含むのが好ましく、該化合物の1〜7質量部を含むのが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物は、硬化触媒を、重合体(P)の100質量部に対して、0.01〜15.0質量部含むのが好ましく、0.1〜10質量部含むのが特に好ましい。
硬化触媒は、重合体(P)の加水分解反応を触媒する化合物であれば特に限定されず、有機金属錯体が好ましい。
有機金属錯体は、中心金属がSn(II)である有機金属錯体、中心金属がSn(IV)である有機金属錯体、または中心金属がBi(II)である有機金属錯体が好ましく、中心金属がSn(II)である有機金属錯体が特に好ましい。
中心金属がSn(II)である有機金属錯体の具体例としては、ジ2−エチルヘキサン酸スズ、ジナフテン酸スズ、ジステアリン酸スズ等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、硬化触媒に加えて助触媒をさらに含んでいてもよい。助触媒は、アミン、カルボン酸、またはリン酸が好ましく、硬化性組成物の速硬化性と硬化物の機械物性との観点から、アミンが特に好ましい。助触媒は、1種を用いてもよく2種以上を用いてもよい。
助触媒は、重合体(P)の100質量部に対して、0.01〜15質量部を用いるのが好ましく、0.5〜5質量部を用いるのが特に好ましい。
アミンは、特に限定されず、第1級アミンが好ましい。アミンの具体例としては、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、N、N−ジメチルオクチルアミン等の脂肪族モノアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン;芳香族アミン;アルカノールアミン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するアミンが挙げられる。
カルボン酸は、特に限定されず、炭素数1〜20のカルボン酸が好ましく、酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸、アジピン酸、シュウ酸、クエン酸、アクリル酸、メタクリル酸、または安息香酸が好ましい。
本発明における触媒と助触媒の好ましい態様としては、中心金属がSn(II)である有機金属錯体とアミンからなる態様、中心金属がBi(II)である有機金属錯体とアミンまたはカルボン酸からなる態様が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、作業性と経済性の観点から、充填材を含むのが特に好ましい。充填材は、従来シーリング、接着剤に使用していたものを使用することができる。特に限定されず、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム;サランバルーン、フェノールバルーンの有機樹脂バルーン、またはガラスバルーンの無機バルーン、酸化チタン等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、重合体(P)の100質量部に対して、充填材を1〜1000質量部含むのが好ましく、100〜500質量部含むのがより好ましく、100〜400質量部含むのが特に好ましい。本発明の硬化性組成物は充填材を多量含んでいても、硬化物の耐久性(特に復元率に関する耐久性。)が優れ、かつ硬化物の機械特性に優れ、硬化物中の成分のブリードアウトの抑制が可能である。
本発明の硬化性組成物の好ましい態様としては、重合体(P)、エポキシ化合物(E)、充填材、および硬化触媒を含む硬化性組成物であって、重合体(P)の100質量部に対して、エポキシ化合物(E)の0.5〜10質量部、硬化触媒の0.1〜10質量部、および充填材の100〜500質量部を含む硬化性組成物が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、硬化触媒、助触媒、および充填材以外の成分(以下、他の成分という。)を含んでいてもよい。そのような成分としては、可塑剤、接着性付与剤、脱水剤、チキソ付与剤、老化防止剤および顔料などが挙げられる。
本発明における可塑剤の具体例としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類;ポリオキシプロピレングリコール等のポリエーテル系可塑剤;の高分子可塑剤が挙げられる。本発明の硬化性組成物が可塑剤を含む場合、重合体(P)100質量部に対して、可塑剤100質量部以下を含むのが好ましい。
本発明における接着性付与剤の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシラン、アミノ基を有するシラン、エポキシ基を有するシラン、カルボキシル基を有するシラン等の有機シランカップリング剤;イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)プロピルトリメトキシチタネート、3−メルカプトプロピルトリメトキチタネート等の有機金属カップリング剤;エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明の硬化性組成物がシランカップリング剤を含む場合、重合体(P)100質量部に対して、シランカップリング剤を30質量部以下含むのが好ましい。ただし、可塑剤が前記エポキシ樹脂である場合には、重合体(P)100質量部に対して、エポキシ樹脂を100質量部以下含むのが好ましい。
本発明における脱水剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オルトケイ酸テトラメチル(テトラメトキシシランないしはメチルシリケート)、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル等のシラン類;オルトぎ酸トリメチル、オルトぎ酸トリエチル、オルトぎ酸トリプロピル、オルトぎ酸トリブチル等のオルトぎ酸トリアルキル;オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリプロピル、オルト酢酸トリブチル等のオルト酢酸酸トリアルキルが挙げられる。本発明の硬化性組成物が脱水剤を含む場合、重合体(P)100質量部に対して、脱水剤の0.001〜30質量部を含むのが好ましい。
本発明におけるチキソ性付与剤の具体例としては、水添ひまし油、脂肪酸アミドが挙げられる。
本発明における老化防止剤の具体例としては、ポリウレタン樹脂用の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤が挙げられる。老化防止剤の具体例としては、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエ−ト系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系、または硫黄系の老化防止剤が挙げられる。
本発明における顔料の具体例としては、酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されない。
数平均分子量をMnと、重量平均分子量をMwと、分子量分布をMw/Mnと、記す。 重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(内部標準ポリスチレン)を用いて測定した値である。
<重合体(p)の製造例>
[その1]重合体(p1)の製造例
亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、開始剤のポリオキシプロピレントリオール(Mn 5000)にプロピレンオキシドを開環重合させて、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ分子末端にヒドロキシ基を1分子あたり3個有する重合体(h1)(Mn 20000、Mw/Mn 1.4)を得た。
重合体(h1)に、重合体(h1)のヒドロキシ基量に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液を添加しその後加熱減圧によりメタノールを留去して、重合体(h1)をアルコラート化した。つぎに、重合体(h1)のヒドロキシ基量に対して過剰量の塩化アリルを添加して、ポリオキシピレン鎖を有し、かつ分子末端にアリル基を有する重合体(v1)を得た。
1,1,3,3−テトラメチルジビニルシロキサン白金錯体の存在下、重合体(v1)とメチルジメトキシシランを、70℃にて5時間反応させて、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ分子末端にメチルジメトキシシリル基を有する重合体(p1)を得た。重合体(p1)は、23℃において18000mPa・sであり、Mn20000、Mw/Mn1.5であった。また、重合体(p1)は、重合体(v1)の分子末端のアリル基の80%にジメチルメトキシシリル基が導入された重合体であった。
[その2]重合体(p2)の製造例
グリセリンにプロピレンオキシドを開環重合させて得られたポリオキシプロピレントリオール(Mn5000)(開始剤Aという。)と、ジプロピレングリコールにプロピレンオキシドを開環重合させて得られたポリオキシプロピレンジオール(Mn5000)(開始剤Bという。)、ブタノールにプロピレンオキシドを開環重合させて得られたポリオキシプロピレンモノオール(Mn3000)(開始剤Cという。)、およびブタノールにプロピレンオキシドを開環重合させて得られたポリオキシプロピレンモノオール(Mn5000)(開始剤Dという。)を、開始剤として用いた。
亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒(1.2g)の存在下、開始剤A(200g)と開始剤B(120g)に、プロピレンオキシド(2480g)を、120℃にて反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。つぎに、開始剤A(200g)と開始剤B(120g)を添加し、プロピレンオキシド(1680g)を、反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。つづいて、開始剤A(200g)と開始剤B(120g)に、プロピレンオキシド(1280g)を、反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。
さらに、開始剤A(130g)と開始剤B(80g)を添加し、プロピレンオキシド(590g)を、反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。ひきつづき、開始剤A(100g)と開始剤B(60g)を添加し、プロピレンオキシド(240g)を、反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。最後に、開始剤C(125g)と開始剤D(75g)を添加し、プロピレンオキシド(200g)を、反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させて、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ分子末端にヒドロキシ基を有する重合体(h2)(Mn16000、Mw/Mn1.79、23℃における粘度20.6Pa・s)を得た。
重合体(h2)に、重合体(h2)のヒドロキシ基量に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液を添加して、重合体(h2)をアルコラート化した。つぎに、加熱減圧によりメタノールを留去した後に、重合体(h2)のヒドロキシ基量に対して過剰量の塩化アリルを添加して、ポリオキシピレン鎖を有し、かつ分子末端にアリル基を有する重合体(v2)を得た。
1,1,3,3−テトラメチルジビニルシロキサン白金錯体の存在下、重合体(v2)とジメトキシメチルシランを、70℃にて5時間反応させて、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ分子末端にジメトキシメチルシリル基を有する重合体(p2)を得た。重合体(p1)は、23℃において17000mPa・sであり、Mn17000、Mw/Mn1.72であった。また、重合体(p2)は、重合体(v2)の分子末端のアリル基の80%にジメチルメトキシシリル基が導入された重合体であった。
<硬化性組成物の製造例>
硬化性組成物を製造するにあたっては、それぞれの成分として下記化合物を使用した。
重合体(P)は、重合体(p1)、または重合体(p2)を用いた。
モノエポキシ化合物は、ブチルグリシジルエーテル(分子量130)、シクロヘキセンオキシド(分子量98)、フェニルグリシジルエーテル(分子量150)、またはオルソクレジルグリシジルエーテル(分子量164)を用いた。
触媒は、ジ2−エチルヘキサン酸スズを用いた。
助触媒として、ラウリルアミンを用いた。
充填材として、膠質炭酸カルシウム(白石工業社製、商品名:白艶華CCR)、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム工業、商品名:ホワイトンSB)、または有機樹脂バルーン(松本油脂製薬社製、商品名:MFL−80GCA)を用いた。
低モジュラス化剤として、TMP−3TMS(トリメチロールプロパンのトリストリメチルシリル体である。)を用いた。
充填材、耐候性付与の観点から、酸化チタン(石原産業社製、商品名R820)を用いた。可塑剤として、フタル酸ビス−2−エチル−ヘキシル(表中、DOP)を用いた。
チクソ性付与剤として、ディスパロン#305(水添ひまし油系チクソ性付与剤、商品名、楠本化成社製)を用いた。
紫外線吸収剤として、チヌビン571(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、商品名、チバ・スペチャルテイー・ケミカル社製)を用いた。
酸化防止剤として、アデカスタブLA67(ヒンダードアミン系光安定剤、商品名、旭電化工業社製)を用いた。
光安定剤として、イルガノックス1010(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、商品名、チバ・スペチャルテイー・ケミカル社製)を用いた。
それぞれの成分を表1に示す割合で調合して、硬化性組成物(1)〜硬化性組成物(6)を調製した。ただし、表中の数値は質量部を示す。
Figure 2008050533
モノエポキシ化合物としてサンソサイザーE−PS(エポキシ基を1個有する分子量379の化合物。)(新日本理化社製、商品名:サンソサイザーE−PS)を用いて、その他の成分を表1に示す割合で調合して、比較組成物(1)〜比較組成物(3)を調製した。ただし、表中の数値は質量部を示す
Figure 2008050533
<硬化性組成物の評価例>
硬化性組成物(1)〜(6)および比較組成物(1)〜(4)に関して、それぞれの硬化物のH型試験体を用い、その硬化物の50%引張応力(N/mm)(以下、E50ともいう。)、最大引張応力(N/mm)(以下、Tmaxともいう。)、および破断時の伸度の伸び率(%)(以下、破断伸度ともいう。)を測定した。また、それぞれの硬化物の耐久性をJISA5758(2004)に記載の耐久性区分9030に準拠した方法で測定した。結果を表3に示す。表中の耐久性評価については、耐久性試験後のサンプル表面の亀裂を確認し、その亀裂が、ないものを◎とし、一部ありかつ非常に小さい場合を○とし、あるものを×とした。
Figure 2008050533
本発明の硬化性組成物は、作業性と経済性に優れた硬化性組成物であり、耐久性と機械強度
に優れ、かつ表面汚染されにくい硬化物を形成する硬化性組成物である。本発明の硬化性組成物は、シーリング材(建築用弾性シーリング材シーラント、複層ガラス用シーリング材等。)、封止剤(ガラス端部の防錆・防水用封止剤、太陽電池裏面封止剤等。)、電気絶縁材料(電線・ケーブル用絶縁被覆剤。)等の分野に用いられる接着剤として有用である。また、本発明の硬化性組成物は、粘着剤、塗料材料、フィルム材料、ガスケット材料、注型材料としても使用できる。

Claims (8)

  1. ポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ分子末端に加水分解性シリル基を有する重合体(P)と、エポキシ基を1個有し、ケイ素原子を含まない、分子量300以下のエポキシ化合物(E)とを含む硬化性組成物。
  2. エポキシ化合物(E)が、炭素原子、水素原子および酸素原子のみからなる化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. エポキシ化合物(E)が、分子量90〜300である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 重合体(P)の100質量部に対して、エポキシ化合物(E)の0.5〜10質量部を含む請求項1に記載の硬化性組成物。
  5. 重合体(P)、エポキシ化合物(E)、充填材、および硬化触媒を含む硬化性組成物であって、重合体(P)の100質量部に対して、エポキシ化合物(E)の0.5〜10質量部、硬化触媒の0.1〜10.0質量部、および充填材を100〜500質量部を含む請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. 硬化触媒が、中心金属がSn(II)を有する有機金属錯体である請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
  7. 充填材として、ガラスバルーン、または有機樹脂バルーンを含む請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物からなるシーリング材。
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