以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図9を参照して説明する。図1は本実施の形態のバルーンカテーテル1の全体構成を示すものである。このバルーンカテーテル1には体腔内に挿入される可撓性を有する細長いシース2が設けられている。このシース2は、例えば、テフロン(登録商標)、ポリエチレン或いはポリアミド系エラストマー等の樹脂材料によって形成されている。
また、シース2の先端部にはこのシース2の外表面に被せた状態で配置される管状のバルーン3が設けられている。このバルーン3は例えば天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン、ポリアミド系エラストマー、シリコン等の材料からなる。さらに、シース2の基端側には手元側の操作部4が設けられている。そして、この操作部4によってバルーンカテーテル1を操作するようになっている。
また、図2(B)に示すようにシース2の内部には複数、本実施の形態では3つのルーメン5,6,7が形成されている。ここで、断面積が最も大きいルーメン5によってバルーンカテーテル1を目的部位に案内するために用いる図5に示すガイドワイヤ8を挿通するガイドワイヤルーメンが形成されている。さらに、他の1つのルーメン6によってバルーン3内に流体、例えば空気、造影剤、あるいは生理食塩水を供給するためのバルーンルーメン、他の1つのルーメン7によってバルーンカテーテル1の先端付近から体腔内に流体、例えば造影剤や生理食塩水を送液するための送液ルーメンがそれぞれ形成されている。
また、シース2の外径は軸線方向に伸びるに従って少なくとも1段階以上に変化させてある。これは、体内に挿入されるシース2の挿入部分2aを細径とし、術者が操作する基端側部分2bを太径にしたものである。これは、生体には低侵襲で、かつ操作性の良さを両立させる為に、本実施の形態のバルーンカテーテル1のみならず、各種のカテーテルで広く採用されている仕様である。
また、シース2の最先端部には図2(A)に示すように長手方向(軸線方向)に先細状のテーパ部9が形成されている。これにより、シース2の挿入部分2aを体内に挿入する際に、狭い管腔への挿入性を向上させ、かつ生体への圧迫を最小限にしている。
さらに、シース2の具体的な寸法については、図5に示すように組合わせて使用する内視鏡10によって最適な数値は異なるが、例えば全長は500〜4000mm程度、太径部の外径は2〜5mm程度、細径部の外径は1〜2mm程度、テーパ部9の最先端部の外径は0.5〜2mm程度の範囲で設定されることが好ましい。ここで、細径部の長さは、シース2が挿入される管腔の長さにより、50〜300mm程度の範囲内で設定されることが好ましい。
また、図2(B)に示すように、シース2の内部の各ルーメン5,6,7の形状には以下の特徴を有する。すなわち、本実施の形態のバルーンカテーテル1と組合わせて使用するガイドワイヤ8の外径に制約を受けるガイドワイヤルーメン5を基準に、バルーンルーメン6と送液ルーメン7の各断面を、シース2の外径の制約の範囲内でできるだけ大きく設定する為に、バルーンルーメン6と送液ルーメン7は略楕円形、ガイドワイヤルーメン5は略扇形に形成されている。この構成により、各ルーメン5,6,7内の流体抵抗を最小限にし、最大の送液能力を得ることが可能になる。
ここで、バルーンルーメン6及び送液ルーメン7は、例えば短径が0.2〜0.4mm程度、長径が0.5〜1mm程度の略楕円の断面形状、ガイドワイヤルーメン5は、半径0.9〜1.5mm程度、中心角80〜120°程度の略扇形の断面形状であることが望ましい。なお、上記の各条件を逸脱しない範囲で各ルーメン5,6,7の形状・寸法は任意である。
また、操作部4にはテフロン、ポリエチレン或いはポリアミド系エラストマー等の材料から成る分岐部11が設けられている。この分岐部11にはシース2と同じく、可撓性を有する、例えば、テフロン、ポリエチレン或いはポリアミド系エラストマー等の材料から成る3つのガイドシース12,13,14が3方向に分岐して伸びている。ここで、分岐部11とシース2及び各ガイドシース12,13,14との間の連結部はインサート成形、あるいは例えばシリコン、シアノアクリレートやエポキシ系等の接着剤を用いて固着される。ここで、1つのガイドシース12はバルーンルーメン6に連通されている。そして、このガイドシース12によってバルーンシースが形成されている。さらに、他の1つのガイドシース13はガイドワイヤルーメン5に連通され、ガイドワイヤシースが形成されている。さらに、他の1つのガイドシース14は送液ルーメン7に連通され、送液シースが形成されている。
さらに、上記3つのガイドシースであるバルーンシース12,ガイドワイヤシース13,送液シース14は各々の目的が外観上で明確に認識できるように、それぞれ別々の色に着色したり、長さを変えたり、記号や文字で明示する等の手段を用いて区別される。
また、図3(A)に示すようにバルーンルーメン6はシース2の先端部で閉塞されている。さらに、シース2の先端部にはバルーンルーメン6に連通する側孔15が開口されている。この側孔15はシース2の外周面におけるバルーン3の中間部が位置する領域に配置されている。そして、バルーンルーメン6はこの側孔15を通じてバルーン3内に連通されている。
また、バルーン3はいわゆるゴム弾性体であり、シース2のバルーン膨縮用の側孔15を覆うようにシース2の先端近傍の外周面に膨縮変形可能に被嵌されている。このバルーン3は、例えばその膨張径が半径方向に0〜40mm程度まで拡張出来、体腔内の異物を掻き出すに十分な強度を有する仕様であれば良い。さらに、そのバルーン3の肉厚は上述した使用目的を達成できる範囲内でできるだけ薄い方が望ましい。
また、シース2の外周面には、バルーン3の前後の両端部分3a,3bに、線状部材、例えば糸16をシース2の周方向に巻き付けてバルーン3の両端部分3a,3bをシース2に固定させるバルーン巻き付け部(第1の固定手段)17が設けられている。ここで、バルーン3をシース2に密着させる為に、バルーン3を予めシース2の長手方向(軸線方向)に伸ばした状態でシース2に取付けることが望ましい。
さらに、このシース2の外周面にはバルーン3の前後に管状部材18が被嵌され、シース2に熱による溶着、あるいは、例えばシリコン系やエポキシ系の接着剤にて接着固定されている。この管状部材18は、例えばプラスチック、ステンレスや、X線不透過性に優れたタングステン、タンタル、あるいはプラチナ製のパイプによって形成されている。なお、これらの管状部材18の内径がシース2の外径よりも小さく設定され、シース2に圧入固定されることもある。
また、バルーン3の両端部分3a,3bのバルーン巻き付け部17の少なくとも一方、本実施の形態ではバルーン3の後端部分3bのバルーン巻き付け部17には図3(A)に示すように、例えば糸で構成された保持糸(第2固定手段)19をシース2の軸線方向に1本、あるいは複数本(図3(A)では2本)通しておく。この保持糸19の末端部は図3(A)に示すようにシース2の長手方向(軸線方向)に延出され、管状部材18、あるいはシース2に接着固定されている。
そして、この保持糸19、バルーン巻き付け部17、管状部材18及びシース2が一体固定されることにより、バルーン巻き付け部17がシース2の軸線方向へ移動することを規制するようになっている。
また、図1に示すようにバルーンシース12の基端部にはルアー形状の開口部を有するバルーン口金20が設けられている。このバルーン口金20には流体の流出・封止を制御可能な弁21が設けられている。ここで、バルーンシース12とバルーン口金20はインサート成形、あるいは例えばシリコン、シアノアクリレートやエポキシ系等の接着剤を用いて固着される。
また、バルーン口金20には弁21を介してバルーン用流体供給体22が着脱可能に接続される。このバルーン用流体供給体22には図4に示すように筒状部材23と、この筒状部材23の内腔に挿入されるピストン24とが設けられている。ここで、筒状部材23の先端部には先端部が開口した細径部25が突設されている。さらに、ピストン24の先端部には筒状部材23の内腔に密着し、かつ摺動可能な弾性部材26が装着されている。
そして、このバルーン用流体供給体22のピストン24を操作してバルーンシース12およびバルーンルーメン6を順次介してバルーン3内に膨張用の流体を供給できるようになっている。
また、バルーン3内に流体を供給し、バルーン3を膨張させた後は、弁21を閉じて流体の逆流を阻止することにより、バルーン3を膨張した形状に維持できるようになっている。
さらに、バルーン用流体供給体22の筒状部材23には、規定の位置に流体放出用の側孔27が開口されている。ここで、ピストン24が側孔27の位置より手元側にあるときは流体は側孔27から放出されることになるため、バルーンルーメン6内には流体は送り込まれない。また、ピストン24が側孔27の位置よりも先端側に移動して初めてバルーンルーメン6内に流体が送り込まれることになる。そして、この側孔27により、バルーン3が規定の膨張径以上に膨張し、バルーン3が破裂することを防止するようになっている。
また、この側孔27の位置をバルーン用流体供給体22の筒状部材23の長手方向(軸線方向)に任意に変えたものを予め、複数準備することにより、バルーン3の膨張径に応じた規定の流体供給体22をそれぞれ選択することでバルーン3を所望の大きさに膨張させることが可能となる。
また、図3(A),(B)に示すようにシース2の最先端にはガイドワイヤルーメン5の開口部5aが形成されている。このガイドワイヤルーメン5の基端側にはガイドワイヤシース13が連通されている。このガイドワイヤシース13の基端部にはルアー形状の開口部を有するガイドワイヤ口金28が設けられている。さらに、ガイドワイヤシース13とガイドワイヤ口金28はインサート成形、あるいは例えばシリコン、シアノアクリレートやエポキシ系等の接着剤を用いて固着される。
そして、ガイドワイヤ口金28の開口部を通じてガイドワイヤシース13およびガイドワイヤルーメン5に順次、ガイドワイヤ8を挿通できるようになっている。これにより、ガイドワイヤ8を通じてバルーンカテーテル1が目的部位まで案内されるようになっている。
また、図3(B)に示すように送液ルーメン7は、シース2の先端部で閉塞されている。さらに、シース2の先端部にはバルーン3よりも先端側に送液ルーメン7と連通する少なくとも1個以上の送液開口部29が形成されている。この送液開口部29は、目的に応じてバルーン3よりも先端側のみに設けられる場合や、あるいは後端側のみに設けられる場合や、さらには両側に設けられることもある。
さらに、送液ルーメン7の基端側は送液シース14に連通されている。この送液シース14の基端にはルアー形状の開口部を有する送液口金30が設けられている。送液シース14と送液口金30はインサート成形、あるいは例えばシリコン、シアノアクリレートやエポキシ系等の接着剤を用いて固着される。この送液口金30には流体供給体22が着脱自在に取り付け可能であり、この流体供給体22によって体腔内に流体を送液することができるようになっている。
また、上記3つのバルーン口金20、ガイドワイヤ口金28、送液口金30は各々の目的が外観上で明確に認識できるように、それぞれ別々の色に着色したり、記号や文字で明示する等の手段を用いて区別されることもある。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のバルーンカテーテル1による使用手順の1例について図5乃至図7を用いて説明する。ここでは、バルーンカテーテル1を用いて行う治療の1例として、図5に示すように十二指腸31に内視鏡10を予め挿入させた状態で、この内視鏡10の図示しないチャンネルを通してバルーンカテーテル1を挿入し、胆管32内に発生した結石33をこのバルーンカテーテル1を用いて十二指腸乳頭34を経由して十二指腸31側に排出する方法について説明する。
まず、バルーンカテーテル1のバルーン3を収縮させた状態(図3(A)参照)で、バルーン口金20に弁21を装着しておく。この状態で、図5に示すように十二指腸31に予め挿入された内視鏡10の図示しないチャンネルにバルーンカテーテル1を挿入し、そのチャンネルの先端開口10aからバルーンカテーテル1の先端部分を突き出す。
さらに、このバルーンカテーテル1の先端部分を十二指腸乳頭34へ導き、十二指腸乳頭34から胆管32内にバルーンカテーテル1を挿入する。このとき、バルーンカテーテル1を胆管32内に挿入する前に、予め図示しない内視鏡10のチャンネルを介して体腔外に通じるガイドワイヤ8が十二指腸乳頭34から胆管32内に挿入されているケースがある。その場合は、ガイドワイヤ8の体腔外側の末端部(図示しない)をバルーンカテーテル1の最先端位置のガイドワイヤルーメン5の開口部5aに挿入し、このガイドワイヤ8に沿ってバルーンカテーテル1を押し進めて胆管32内に挿入させることになる。
続いて、送液シース14の送液口金30から造影剤を供給する。これにより、図5に示すように、胆管32内に造影剤35を満たし、X線装置を用いて結石33の位置を確認する。
その後、シース2を前進させ、図6に示すようにバルーンカテーテル1の先端部のバルーン3が結石33を越えて胆管32の上流部に至るまでバルーンカテーテル1を押し出し操作する。
続いて、バルーンシース12の弁21に所望のバルーンサイズに適合するバルーン用流体供給体22を係合させる。そして、そのバルーン用流体供給体22から流体をバルーンシース12を経てバルーンルーメン6に送り込むことで図6に示すようにバルーン3を所定の大きさに膨張させる。
このバルーン用流体供給体22の操作時にはバルーン用流体供給体22のピストン24が側孔27の位置よりも先端側に移動して初めてバルーンルーメン6内に流体が送り込まれることになる。そのため、必要以上の流量の流体がバルーン3に送り込まれることが防止される。
また、図6に示す状態で、バルーンカテーテル1を手元側に引張り操作する。これにより、膨張したバルーン3が手元側に移動する後退動作にともない膨張したバルーン3によって結石33が胆管32内から図7に示すように十二指腸乳頭34を経由して十二指腸31に掻き出される。このとき、十二指腸31に掻き出された結石33は、専用の器具を用いて体外に回収するか、消化管を通して自然に排出させる。
また、バルーン3を膨張させた状態で、結石33を掻き出す作業時に、結石33が十二指腸乳頭34の大きさと比較して大きい場合には、結石33が十二指腸31に掻き出され難い。この場合には、バルーン3に長手方向(軸線方向)へ大きな引張り力量が加わるので、結果としてその力量はバルーン3の両端部分3a,3bのバルーン巻き付け部17に集中的に加わることになる。このとき、本実施の形態ではシース2の外周面にバルーン3の前後に管状部材18を配設し、さらにシース2の軸線方向に保持糸19を設け、この保持糸19、管状部材18、バルーン巻き付け部17、及びシース2を一体固定することにより、バルーン巻き付け部17がシース2の軸線方向へ移動することを規制している。そのため、本実施の形態では、バルーン3の両端部分3a,3bのバルーン巻き付け部17の固定強度を増している為、結石33が大きい場合でもバルーン巻き付け部17がシース2から外れることがなく、結石33を十二指腸31に掻き出すことができる。
なお、バルーン巻き付け部17の一部に固定強度を局部的に弱くしている箇所を設けた場合には、ある一定以上の長手方向(軸線方向)への引張り力量が加わった場合に、バルーン巻き付け部17の一部(固定強度が弱い部分)が外れてバルーン3が萎んでしまい、結石33を掻き出す作業が出来なくなり、本来の目的を果たすことが出来なくなる問題がある。
本実施の形態では、バルーン巻き付け部17、保持糸19、管状部材18及びシース2を一体固定することにより、このバルーン巻き付け部17の強度を増している為、結石33が大きい場合でもバルーン巻き付け部17が外れることがなく、結石33を十二指腸31に掻き出す作業を確実に行なうことができる。
また、結石33が異常に大きい場合には、本来予期していない過度な力量がバルーン3に作用することが稀に発生することがある。この場合、従来のように、糸を巻き付けただけでバルーン3を固定したカテーテル(図14参照)においては、バルーン固定部cが剥離して可撓管aの前方に移動した場合にはバルーンbをしぼませたときにシワになる。そのため、バルーンカテーテルによる所定の操作後にバルーンカテーテルを内視鏡のチャンネルに戻す際に、バルーンbの収容部分の摩擦抵抗が高くなり、その操作が行ない難くなる可能性がある。
これに対し、本実施の形態のバルーンカテーテル1では、バルーン巻き付け部17、保持糸19、管状部材18及びシース2を一体固定してバルーン巻き付け部17の強度を増すことにより、バルーン3のシース2への固定強度を増して、一般的なバルーン3の固定強度よりも大きくしている。そのため、上記の結石33が異常に大きい場合のような状況下ではバルーン巻き付け部17が移動する前に図8に示すようにバルーン3自体が切れる。この場合にはバルーン3内に満たされた流体がバルーン3外に流出するので、図9に示すようにバルーン3が収縮し、シワの発生がなくなり、バルーンカテーテル1を容易に内視鏡のチャンネルから引き抜くことができるようになる。以上のことから、本実施の形態では、結石33が異常に大きい場合のような状況下でも操作性が優れたバルーンカテーテル1を提供することができる。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のバルーンカテーテル1ではシース2の外周面にバルーン3の前後に管状部材18を配設し、さらにシース2の軸線方向に保持糸19を設け、バルーン巻き付け部17、保持糸19、管状部材18及びシース2を一体固定し、バルーン巻き付け部17がシース2の軸線方向へ移動することを規制している。そのため、カテーテル1の軸線方向へのバルーン3の固定力量を増し、バルーン3にカテーテル1の軸線方向への過度な負担が掛かった場合においても、バルーン3の両側のバルーン巻き付け部17が外れることがない。したがって、予め設定されたバルーン形状に正確にバルーン3を膨張させることができるとともに、バルーン3をしぼませた時にシワにならず、所定の操作後に内視鏡10のチャンネルに戻す際に抵抗になるおそれがなく、操作し易いバルーンカテーテル1を提供することができる。
また、本実施の形態のバルーン用流体供給体22では筒状部材23に流体放出用の側孔27を規定の位置に形成し、ピストン24が側孔27の位置より手元側にあるときは筒状部材23内の流体が側孔27から放出されるようにしている。そのため、この側孔27により、バルーン3が規定の膨張径以上に膨張し、バルーン3が破裂することを防止することができる。その結果、本実施の形態のバルーン用流体供給体22を用いることで、術者が流体注入量とバルーン3の膨張径の関係を知らずとも、確実に所望のバルーン3の膨張径にバルーン3を拡張する操作を行うことができる。
さらに、本実施の形態のバルーン用流体供給体22では必要以上の流量の流体がバルーン3に注入されることがなくなるので、術者の意図しないバルーン3の過大な膨張、さらには過度の流体がバルーン3に注入されることによるバルーン3の破裂を未然に防止することができる。したがって、本実施の形態では操作性に優れたバルーンカテーテル1の流体供給体22を提供することができる。
また、図10(A),(B)は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図9参照)のバルーンカテーテル1におけるバルーン用流体供給体22の構成を次の通り変更したものである。
すなわち、本実施の形態のバルーン用流体供給体22の主要部の構成は第1の実施の形態のバルーン用流体供給体22と同一構成になっており、第1の実施の形態のバルーン用流体供給体22と同一部分には同一の符号を付してここではその説明を省略する。
本実施の形態のバルーン用流体供給体22には図10(B)に示すようにピストン24の外周面に少なくとも1つの突起部41が外向きに突設されている。さらに、筒状部材23の内周面にはこのピストン24の突起部41と対応する形状の嵌合凹部42がピストン24の軸線方向に沿って複数、本実施の形態では3つの嵌合凹部42a,42b,42cが図10(B)中で、右側から順に並設されている。そして、ピストン24を筒状部材23の内周面に沿って軸線方向に移動する操作時にはピストン24の突起部41が各嵌合凹部42a,42b,42cに順次、凹凸嵌合され、その凹凸嵌合位置で係脱可能に係止(停止)されるようになっている。すなわち、ピストン24の突起部41と凹凸嵌合される嵌合凹部42a,42b,42cをピストン24の移動方向に複数、並設させることにより、その嵌合凹部42a,42b,42cの数の分だけピストン24の係止位置(停止位置)を設定させることができる。
また、本実施の形態では図10(A)に示すように、略透明な筒状部材23を設け、この筒状部材23の表面に目盛43を設けている。この目盛43には、例えばピストン24のそれぞれの係止位置(各嵌合凹部42との凹凸嵌合位置)におけるバルーン3の膨張径が示されている。さらに、ピストン24の位置指標としては、弾性部材26、あるいは突起部41のいずれでも良く、またそれ以外の指標を用いてもよい。これにより、筒状部材23内のピストン24の位置指標である例えば弾性部材26の位置を略透明な筒状部材23の壁面を透過して筒状部材23の目盛43に合わせることにより、視覚的にバルーン3の膨張径を認識させるようになっている。
なお、ピストン24のそれぞれの係止位置間にもそれぞれの位置におけるバルーン3の膨張径を表示する構成にしてもよい。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のバルーン用流体供給体22ではピストン24の突起部41が図10(B)中で右端部位置の嵌合凹部42aと凹凸嵌合されている位置がピストン24の初期嵌合位置として設定される。そして、バルーン用流体供給体22の使用時には術者が所望するバルーン3の膨張径と対応する目盛43の位置までピストン24を押し込む。
このとき、初期嵌合位置(嵌合凹部42aとの凹凸嵌合位置)からピストン24を押し込み操作する押圧力によってピストン24の突起部41が初期嵌合位置の嵌合凹部42aを離れ、凹凸嵌合が解除される。そして、ピストン24がこの初期嵌合位置(嵌合凹部42aとの凹凸嵌合位置)から次の(中央位置の)嵌合凹部42b側に向けて移動し、次の嵌合凹部42bとの凹凸嵌合位置に達した時点で、この嵌合凹部42bと再度、凹凸嵌合する。
このとき、ピストン24の突起部41が嵌合凹部42bと凹凸嵌合する動作によって、術者は手感(クリック感)にてピストン24が嵌合凹部42bとの嵌合位置に達したことが認識できる。
また、嵌合凹部42bとの凹凸嵌合位置におけるピストン24の位置指標によって筒状部材23の目盛43上に示されたバルーン3の膨張径を目視することにより、嵌合凹部42bとの凹凸嵌合位置におけるバルーン3の膨張径が実際のバルーン3の膨張径を確認せずとも分かるようになっている。
また、ピストン24を嵌合凹部42bとの凹凸嵌合位置からピストン24をさらに押し込む場合には、嵌合凹部42bと42cとの間に設けられた目盛43を利用し、ピストン24の停止位置を決定することで、嵌合凹部42bと42cとの間で設定されているバルーン3の膨張径の範囲でバルーン3の膨張径の更なる微調整を行うことができる。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のバルーン用流体供給体22では筒状部材23内のピストン24の位置指標である例えば弾性部材26の位置を略透明な筒状部材23の壁面を透過して筒状部材23の目盛43に合わせることにより、視覚的にバルーン3の膨張径を認識させるようにしている。そのため、本実施の形態のバルーン用流体供給体22を用いることで、術者が流体注入量とバルーン3の膨張径の関係を知らずとも所望のバルーン3の膨張径に拡張操作を行うことができる。
また、本実施の形態ではピストン24の突起部41が筒状部材23のいずれかの位置の嵌合凹部42a,42b,42cと凹凸嵌合する動作によって、術者は手感(クリック感)にてピストン24の嵌合位置が認識できる。そのため、術者は手感でピストン24の位置を認識し、かつピストン24の位置によりバルーン3の膨張径が認識できる為、確実に所望のバルーン径に膨張させることが可能になると共に、ピストン24の位置の調整操作が容易になる。特に、微妙なバルーン膨張径の設定を繰り返す場合においてその効果は顕著となる。
さらに、バルーン膨張径のサイズ毎に流体供給体22の取り替えを行う必要がなくなる効果もある。したがって、本実施の形態では操作性の非常に優れたバルーンカテーテル1の流体供給体22を提供することが可能になる。
なお、本実施の形態では図10(B)に示すように、筒状部材23に複数の嵌合凹部42a,42b,42c、ピストン24に突起部41をそれぞれ設けた例を示したが、この嵌合関係を逆転し、筒状部材23に突起部41、ピストン24に複数の嵌合凹部42a,42b,42cをそれぞれ設ける構成にしてもよい。
また、本実施の形態の筒状部材23の各嵌合凹部42a,42b,42cと、ピストン24の突起部41との凹凸嵌合部は筒状部材23及びピストン24の周方向に対して1点以上形成され、突起部41および各嵌合凹部42a,42b,42cの両方、あるいはどちらか一方が周方向の全周に渡って形成されることが望ましい。
また、図11は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第2の実施の形態(図11(A),(B)参照)のバルーン用流体供給体22の構成を次の通り変更したものである。
すなわち、本実施の形態のバルーン用流体供給体22には、筒状部材23の後端部にアタッチメント51が取付けられている。このアタッチメント51には内方向に延出される爪部52が突設されている。
さらに、ピストン24の外周面には軸線方向に沿って複数の係合凹部53が形成されている。各係合凹部53にはアタッチメント51の爪部52が係脱可能に係合されるようになっている。そして、ピストン24の押込み操作時には各係合凹部53にアタッチメント51の爪部52が順次係脱可能に係合されることにより、ピストン24の停止位置がそれぞれの係合位置で決定されるようになっている。すなわち、ピストン24の長手方向(軸線方向)に複数個この係合凹部53が並設されることにより、係合凹部53の設定数分だけピストン24の停止位置が設定されることになる。
さらに、本実施の形態ではピストン24の位置指標としては、弾性部材26、あるいは係合凹部53いずれでも良く、またそれ以外の指標を用いてもよい。そして、第2の実施の形態と同様に筒状部材23内のピストン24の位置指標である例えば弾性部材26の位置を略透明な筒状部材23の壁面を透過して筒状部材23の目盛43に合わせることにより、視覚的にバルーン3の膨張径を認識させるようになっている。
そして、本実施の形態のバルーン用流体供給体22の使用時にはピストン24を押し込む操作を行なうことにより、各係合凹部53にアタッチメント51の爪部52が順次係脱可能に係合される。このとき、初期位置の係合凹部53にアタッチメント51の爪部52が係合している初期状態からピストン24を押し込み操作する押圧力によってピストン24の係合凹部53がアタッチメント51の爪部52を離れ、凹凸係合が解除される。そして、ピストン24がこの初期係合位置(アタッチメント51の爪部52と係合凹部53との凹凸係合位置)から押込み方向に向けて移動し、次の係合凹部53とアタッチメント51の爪部52との凹凸係合位置に達した時点で、この係合凹部53とアタッチメント51の爪部52とが再度、凹凸係合する。
このとき、ピストン24の係合凹部53がアタッチメント51の爪部52と凹凸係合する動作によって、術者は手感(クリック感)にてピストン24が次の係合凹部53とアタッチメント51の爪部52との嵌合位置に達したことが認識できる。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のバルーン用流体供給体22では筒状部材23内のピストン24の位置指標である例えば弾性部材26の位置を略透明な筒状部材23の壁面を透過して筒状部材23の目盛43に合わせることにより、視覚的にバルーン3の膨張径を認識させるようにしている。そのため、本実施の形態のバルーン用流体供給体22を用いることで、術者が流体注入量とバルーン3の膨張径の関係を知らずとも所望のバルーン3の膨張径に拡張操作を行うことができる。
また、本実施の形態ではアタッチメント51の爪部52がピストン24のいずれかの位置の係合凹部53と凹凸係合する動作によって、術者は手感(クリック感)にてピストン24の係合位置が認識できる。そのため、術者は手感でピストン24の位置を認識し、かつピストン24の位置によりバルーン3の膨張径が認識できる為、確実に所望のバルーン径に膨張させることが可能になると共に、ピストン24の位置の調整操作が容易になる。特に、微妙なバルーン膨張径の設定を繰り返す場合においてその効果は顕著となる。
さらに、バルーン膨張径のサイズ毎に流体供給体22の取り替えを行う必要がなくなる効果もある。したがって、本実施の形態でも第2実施の形態と同様に操作性の非常に優れたバルーンカテーテル1の流体供給体22を提供することが可能になる。
なお、本実施の形態では図11に示すようにピストン24に複数の係合凹部53、アタッチメント51に爪部52を設ける構成を示したが、両者の凹凸の係合関係を逆転しても差し支えない。
また、アタッチメント51の爪部52とピストン24の複数の係合凹部53との凹凸係合部はアタッチメント51及びピストン24の周方向に対して少なくとも1点以上形成され、爪部52と係合凹部53の両方、あるいはどちらか一方が周方向の全周に渡って形成されることが望ましい。
また、図12は本発明の第4の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第2の実施の形態(図11(A),(B))のバルーン用流体供給体22のさらに別の変形例である。
すなわち、本実施の形態のバルーン用流体供給体22には、筒状部材23の後端部に内方向に向けてピン61が円周方向に少なくとも1個以上突設されている。このピン61と筒状部材23は、例えばシリコン、シアノアクリレートやエポキシ系等の接着剤で接着固定されている。なお、管状部材23にピン61の外径よりもその内径が小さい孔62を設け、この孔62に圧入固定されるか、あるいは熱による溶着でも構わない。また、ピン61はステンレス等の金属、プラスチック、ゴム、あるいはシリコン等の材料で構成されることが望ましい。
ピストン24には、このピン61と凹凸係合する複数の係合凹部63が長手方向(軸線方向)に少なくとも1箇所以上形成されている。そして、筒状部材23内でのピストン24の停止位置がピン61とピストン24のいずれかの係合凹部63とのそれぞれの係合位置で決定される。すなわち、ピストン24の長手方向(軸線方向)に複数個この係合凹部63が並設されることにより、係合凹部63の設定数分だけピストン24の停止位置が設定されることになる。
さらに、本実施の形態ではピストン24の位置指標として弾性部材26が使用される。そして、第2の実施の形態と同様に筒状部材23内のピストン24の位置指標である例えば弾性部材26の位置を略透明な筒状部材23の壁面を透過して筒状部材23の目盛43に合わせることにより、視覚的にバルーン3の膨張径を認識させるようになっている。
そして、本実施の形態のバルーン用流体供給体22の使用時にはピストン24を押し込む操作を行なうことにより、各係合凹部63に管状部材23のピン61が順次係脱可能に係合される。このとき、初期位置の係合凹部63に管状部材23のピン61が係合している初期状態からピストン24を押し込み操作する押圧力によってピストン24の係合凹部63が管状部材23のピン61を離れ、凹凸係合が解除される。そして、ピストン24がこの初期係合位置(管状部材23のピン61と係合凹部63との凹凸係合位置)から押込み方向に向けて移動し、次の係合凹部63と管状部材23のピン61との凹凸係合位置に達した時点で、この係合凹部63と管状部材23のピン61とが再度、凹凸係合する。
このとき、ピストン24の係合凹部63が管状部材23のピン61と凹凸係合する動作によって、術者は手感(クリック感)にてピストン24が次の係合凹部63と管状部材23のピン61との係合位置に達したことが認識できる。
そこで、上記構成の本実施の形態のバルーン用流体供給体22では筒状部材23内のピストン24の位置指標である弾性部材26の位置を略透明な筒状部材23の壁面を透過して筒状部材23の目盛43に合わせることにより、視覚的にバルーン3の膨張径を認識させるようにしている。そのため、本実施の形態のバルーン用流体供給体22を用いることで、術者が流体注入量とバルーン3の膨張径の関係を知らずとも所望のバルーン3の膨張径に拡張操作を行うことができる。
また、本実施の形態では管状部材23のピン61がピストン24のいずれかの位置の係合凹部63と凹凸係合する動作によって、術者は手感(クリック感)にてピストン24の係合位置が認識できる。そのため、術者は手感でピストン24の位置を認識し、かつピストン24の位置によりバルーン3の膨張径が認識できる為、確実に所望のバルーン径に膨張させることが可能になると共に、ピストン24の位置の調整操作が容易になる。特に、微妙なバルーン膨張径の設定を繰り返す場合においてその効果は顕著となる。
さらに、バルーン膨張径のサイズ毎に流体供給体22の取り替えを行う必要がなくなる効果もある。したがって、本実施の形態でも第2実施の形態と同様に操作性の非常に優れたバルーンカテーテル1の流体供給体22を提供することが可能になる。
なお、本実施の形態では図12に示すように、ピン61は筒状部材23に設けられているが、これに代えてピストン24にピン61を設け、筒状部材23に係合凹部63を設けても良い。
また、図13は本発明の第5の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第2の実施の形態(図11(A),(B))のバルーン用流体供給体22のさらに別の変形例である。
すなわち、本実施の形態のバルーン用流体供給体22には、筒状部材23の後端部に第1のアタッチメント71、ピストン24の後端部に第2のアタッチメント72がそれぞれ設けられている。
第1のアタッチメント71には筒状部材23の軸線方向に対して直交する方向に延設された延設部73が設けられている。この延設部73には筒状部材23の軸線方向に穴74が形成されている。この穴74には内方向に突出された係合凸部75が形成されている。
また、第2のアタッチメント72には略L字状に屈曲されたL字状部材76が設けられている。このL字状部材76には第1のアタッチメント71の穴74に挿入される挿入部77が設けられている。この挿入部77には穴74の係合凸部75と係脱可能に係合する複数の係合凹部78が形成されている。そして、第1のアタッチメント71の穴74内の係合凸部75と、第2のアタッチメント72のいずれかの係合凹部78とが係脱可能に係合され、筒状部材23内でのピストン24の停止位置がそれぞれの係合位置で決定される。すなわち、ピストン24の長手方向(軸線方向)に複数個この係合凹部78が並設されることにより、係合凹部78の設定数分だけピストン24の停止位置が設定されることになる。
さらに、本実施の形態では筒状部材23内でのピストン24の位置を視覚的に認識させる為に、第2のアタッチメント72には目盛79が設けられている。この目盛79には、ピストン24のそれぞれの位置におけるバルーン3の膨張径が示されている。そして、第1のアタッチメント71の穴74の端縁部位(位置指標)を第2のアタッチメント72の目盛79に合わせることにより、視覚的にバルーン3の膨張径を認識させるようになっている。また、目盛79には複数の係合凹部78間の位置におけるバルーン3の膨張径が示されていてもよい。
なお、筒状部材23内のピストン24の位置指標としては、第1のアタッチメント71の穴74の端縁部位以外の指標を用いてもよい。
そして、本実施の形態のバルーン用流体供給体22の使用時にはピストン24を押し込む操作を行なうことにより、第1のアタッチメント71の穴74内の係合凸部75と、第2のアタッチメント72のいずれかの係合凹部78とが順次係脱可能に係合される。このとき、初期位置の係合凹部78に第1のアタッチメント71の係合凸部75が係合している初期状態からピストン24を押し込み操作する押圧力によって第2のアタッチメント72の係合凹部78が係合凸部75を離れ、凹凸係合が解除される。そして、ピストン24がこの初期係合位置(係合凸部75と係合凹部78との凹凸係合位置)から押込み方向に向けて移動し、次の係合凹部78と係合凸部75との凹凸係合位置に達した時点で、この次の係合凹部78と係合凸部75とが再度、凹凸係合する。
このとき、ピストン24の第2のアタッチメント72の係合凹部78が第1のアタッチメント71の係合凸部75と凹凸係合する動作によって、術者は手感(クリック感)にてピストン24が次の係合凹部78と係合凸部75との係合位置に達したことが認識できる。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のバルーン用流体供給体22では第2のアタッチメント72に目盛79を設け、第1のアタッチメント71の穴74の端縁部位(位置指標)を第2のアタッチメント72の目盛79に合わせることにより、視覚的にバルーン3の膨張径を認識させるようにしている。そのため、本実施の形態のバルーン用流体供給体22を用いることで、術者が流体注入量とバルーン3の膨張径の関係を知らずとも所望のバルーン3の膨張径に拡張操作を行うことができる。
また、本実施の形態では第1のアタッチメント71の係合凸部75が第2のアタッチメント72のいずれかの位置の係合凹部78と凹凸係合する動作によって、術者は手感(クリック感)にてピストン24の係合位置が認識できる。そのため、術者は手感でピストン24の位置を認識し、かつピストン24の位置によりバルーン3の膨張径が認識できる為、確実に所望のバルーン径に膨張させることが可能になると共に、ピストン24の位置の調整操作が容易になる。特に、微妙なバルーン膨張径の設定を繰り返す場合においてその効果は顕著となる。
さらに、バルーン膨張径のサイズ毎に流体供給体22の取り替えを行う必要がなくなる効果もある。したがって、本実施の形態でも第2実施の形態と同様に操作性の非常に優れたバルーンカテーテル1の流体供給体22を提供することが可能になる。
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 可撓管の先端近傍の外表面に固定手段によりバルーンを固定したバルーンカテーテルにおいて、前記固定部の長手方向への強度をバルーン固有の強度よりも大きくしたことを特徴とするバルーンカテーテル。
(付記項2) バルーンの長手方向への移動防止手段を有することを特徴とする付記項1に記載のバルーンカテーテル。
(付記項3) バルーンの外表面上に設けられ、カテーテルの周方向に巻かれたバルーン固定用線状部材と、前記線状部材の長手方向への移動防止手段を有することを特徴とする付記項1に記載のバルーンカテーテル。
(付記項4) バルーンの外表面上に設けられ、カテーテルの周方向に巻かれたバルーン固定用線状部材と、前記線状部材の長手方向への移動防止手段とからなり、前記移動防止手段は前記バルーン固定用線状部材に対して略直交する方向に少なくとも1本以上の移動防止線状部材を前記バルーン固定用線状部材に巻き付け固定したことを特徴とする付記項1に記載のバルーンカテーテル。
(付記項5) 少なくとも1つ以上の内部ルーメンを有する可撓管と、前記可撓管の先端近傍の外表面に固定されるバルーンとからなり、前記バルーンと前記可撓管の手元側に設けられた口金が前記可撓管の内部ルーメンを通じて流体接続され、前記口金から流体を前記バルーンに注入させて前記バルーンを膨張可能なバルーンカテーテルにおいて、前記口金に接続され、バルーンの膨張径に応じた流体量が少なくとも一つ以上予め設定された流体供給体を設けたことを特徴とするバルーンカテーテル。
(付記項6) 付記項1あるいは付記項5に記載のバルーンカテーテルと組合わせて使用され、遠位端および近位端開口部を有する筒状部材と、前記筒状部材の内腔に対して摺動可能なピストンと、前記筒状部材に密着しかつ摺動可能な弾性部材とからなる流体供給体において、前記筒状部材の遠位端および近位端開口部以外で、バルーンの膨張径に応じた位置に流体開放側孔を設けたことを特徴とする流体供給体。
(付記項7) 付記項1あるいは付記項5に記載のバルーンカテーテルと組合わせて使用され、遠位端および近位端開口部を有する筒状部材と、前記筒状部材の内腔に対して摺動可能なピストンと、前記筒状部材に密着しかつ摺動可能な弾性部材とからなる流体供給体において、前記筒状部材と前記ピストン間に少なくとも1つ以上の凹凸嵌合部を設け、前記嵌合部はバルーンの膨張径に応じた位置で前記ピストンを固定可能にしたことを特徴とする流体供給体。
(付記項8) 筒状部材内でのピストンの位置におけるバルーン膨張径が認識可能な指標が筒状部材に少なくとも1つ以上付加されていることを特徴とする付記項7に記載の流体供給体。
(付記項9) 筒状部材に固定された筒状部材アタッチメントが設けられた流体供給体において、前記筒状部材アタッチメントとピストン間に少なくとも一つ以上の凹凸嵌合部を設け、前記嵌合部はバルーンの膨張径に応じた位置に前記ピストンを固定可能にしたことを特徴とする付記項7に記載の流体供給体。
(付記項10) 筒状部材に固定された筒状部材アタッチメントと、ピストンに固定されたピストンアタッチメントが設けられた流体供給体において、前記筒状部材アタッチメントと前記ピストンアタッチメント間に少なくとも一つ以上の凹凸嵌合部を設け、前記嵌合部はバルーンの膨張径に応じた位置に前記ピストンを固定可能にしたことを特徴とする付記項7に記載の流体供給体。
(付記項11) 筒状部材内でのピストンの位置におけるバルーン膨張径が認識可能な指標がピストンアタッチメントに少なくとも一つ以上付加されていることを特徴とする付記項10に記載の流体供給体。
(付記項12) 筒状部材あるいはピストンいずれかに少なくとも1つ以上の棒状部材が取付けられ、この棒状部材と前記筒状部材あるいはピストンいずれかにおいて凹部を設け、前記凹部と前記棒状部材間で少なくとも一つ以上の凹凸嵌合部を形成し、前記嵌合部はバルーンの膨張径に応じた位置に前記ピストンを固定可能にしたことを特徴とする付記項7に記載の流体供給体。
(付記項13) 可撓性を有するカテーテルと、前記カテーテルの外表面に固定されるバルーンと、前記バルーンを前記カテーテルの周方向に押し付けて固定する第1固定手段と、前記第1固定手段とカテーテルとを固定し、前記カテーテルの長手方向への前記第1固定手段の移動を規制する第2固定手段と、を有することを特徴とするバルーンカテーテル。
(付記項14) 前記第2固定手段による前記第1の固定手段の移動規制力は、前記バルーンの破断強度より強い強度であることを特徴とする付記項13に記載のバルーンカテーテル。
(付記項1〜5の従来技術) 医療分野においては、導尿留置用カテーテル等のバルーン付きの医療用泌尿器用カテーテルや、気管内チューブ、消化器用カテーテル、心臓ポンピングバルーンカテーテル等の、カテーテル先端部付近にバルーンを有するバルーン付き医療用カテーテルが多く使用されている。
こうしたバルーンカテーテルは、特公昭62−19871号公報に示されているように、カテーテルを形成する可撓管の外周に管状のバルーンを被せ、その両端を線状部材、例えば糸で可撓管の外周に円周方向に巻き付けて縛ることにより固定したものであった。
しかし、この線状部材による周方向への巻き付けは、線状部材がバルーンを可撓管に周方向へ押し付けているだけなので、内視鏡への挿入時に内視鏡先端に配置された鉗子机上台に引っ掛かったり、胆管や膵管から異物、例えば結石を十二指腸乳頭を通して十二指腸内に掻きだす際には、バルーンに長手方向への力が掛かり、締結固定部が剥離してカテーテル上を移動してしまうことがある。
このような問題を解決する為、特開平1−254172号公報、特開平6−210001号公報のように、バルーン固定部の近傍に凸部を設け、バルーン固定部が長手方向に移動しないようにしたものがある。また、カテーテルとバルーンに同じ材料を用いることで、固定部を溶融固定し、強力な固定強度を得るようにしたものも提案されている。
(付記項1〜5が解決しようとする課題) 前述したように、線状部材を巻き付けて縛るバルーンの固定方法では、線状部材がバルーンを可撓管に周方向へ押し付けているだけなので、バルーンの固定強度としては、周方向に対しては有利であるが、長手方向に対しては弱くなってしまう。また、バルーンヘの線状部材の巻き張力を増して長手方向への強度を増す方法もことも考えられるが、巻き張力を増すと可撓管がその張力に負けて潰れてしまうこととなってしまう為、巻き張力は制限されてしまう。このような場合、バルーンに長手方向への力が加わり、締結固定部が剥離してカテーテル上を移動してしまうことがあると、カテーテルに設けられた膨張用の側孔が露出してバルーンとして機能しなくなってしまう。こうした問題に対し、特開平8−24348号公報あるいは特開2002−143311号公報に示されているように、バルーンとカテーテルの固定強度を一部弱くすることで、この現象を回避する手段が提案されている。一方で、バルーンを、例えば薄肉にしてバルーン自体の強度を劣化させ、長手方向への負荷が加えられた場合に、固定部がずれるより先にバルーンが破壊する手段も容易に考えられる。しかし、これらは何れもバルーンカテーテルの構成の一部に弱い部分をあえて設けることであり、バルーンカテーテルとしての品質を損なうものである。以上の背景により、バルーンをカテーテルに固定する強度を高めた構造のものにする必要があった。
さらに、特開平1−254172号公報、特開平6−210001号公報のようにカテーテルに凸部を設けることでバルーンの脱落を防ぐ場合、こうした凸部を形成するためには、カテーテルを溶融して凸形状を成形するか、もしくは予め凸部を有するカテーテルを射出成形するといった非常に煩わしい製造工程を必要とし、さらにはカテーテルを使用する樹脂の溶融温度が高い場合及び流動性が悪い場合には、カテーテルの成形が困難となり、カテーテルに使用する樹脂は溶融温度が比較的低く、流動性が比較的高い、つまり成形性の高い樹脂に特定されてしまっていた。また、凸部を設ける手段としては、カテーテル外表面に新たに管状部材、たとえばステンレス製のパイプを挿入し、バルーンの両端部に配置させる手段が考えられるが、これではバルーンカテーテルが極めて高価なものとなってしまう。
(付記項1〜5の目的) 本発明はこれらの事情に鑑みてなされたもので、バルーンやカテーテルの素材に関わり無く、安価な手段でバルーンの長手方向への固定力量を増し、バルーンに長手方向への過度な負担が掛かった場合においても、その固定部が外れることなく、破壊形態としてバルーンが先に破損するようにした高品質のバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
(付記項1〜5の課題を解決するための手段) 本発明のバルーンカテーテルは、可撓管の先端近傍の外表面に固定手段によりバルーンの両端を固定したバルーンカテーテルにおいて、上記固定部の長手方向への安価な移動防止手段を設け、上記固定部の長手方向への強度をバルーン固有の強度よりも大きくしたことを特徴とするものである。
(付記項1〜5の作用) バルーン固定部の長手方向への移動防止手段を設け、その強度をバルーン固有の強度よりも大きくすることで、バルーンに長手方向へ過剰な力が加えられた場合に、固定部がズレてバルーンをしぼませたときにシワが発生し、バルーンカテーテルの内視鏡のチャンネルからの引き抜きが困難になる現象を回避することが出来る。すなわち、現状から品質を落とすことなく、安価なバルーンカテーテルを提供することが可能となる。
(付記項1〜5の効果) 以上、説明したように、本発明によれば、安価な手段でバルーン固定部の長手方向への強度を向上し、さらにはバルーン固有の強度よりも大きくすることで、非常に安価でかつ高品質のバルーンカテーテルを提供することが可能である。
(付記項6〜12の従来技術) また、先に述べたようなこれらのバルーン付き医療用カテーテルのバルーンを膨張させる場合、バルーン部と流体接続した手元側の口金に流体供給体(例えば医療用注射筒)を取付け、必要量の流体を注入しバルーンを膨張させるのが一般的である。
(付記項6〜12が解決しようとする課題) バルーンカテーテルを使用し各種の治療を行う場合において、術者が治療中に膨張したバルーンの大きさを知ることは治療の効果において非常に重要な課題であることは明らかである。治療中はバルーン部は患者の体腔内に置かれる為、バルーン膨張径は目視で確認出来ない。一方、この類の治療は例えばX線透視下において行われることが多いが、バルーンの材質は一般的にX線を透過しない材料であるので、X線透視下でもバルーンの拡張径の確認は困難となる。よって、流体注入に用いる流体供給体の目盛を利用し、予め設定された流体量を注入することにより所望のバルーン径を得ることとなる。そこで、先に述べたような流体供給体を利用する場合、術者は治療前にバルーン径と流体量の関係を知る必要があり、拡張したいバルーン径のサイズによってその流体注入量を設定しなければならない。これは、術者にとっては非常に煩雑でストレスの溜まる行為である。また、従来の流体供給体にて流体注入量を設定する場合、シリンダに付与された目盛を利用し、術者がピストンを定位置に調整する必要があった。この調整作業は慎重に行う必要があり、特に微妙に異なるバルーン膨張径の設定を繰り返す場合に、術者にとっては非常に煩雑でストレスの溜まる行為であった。
(付記項6〜12の目的) 本発明は以上の背景に鑑み、術者が流体注入量とバルーン膨張径の関係を知らずとも所望のバルーン径に拡張操作を行え、かつ微妙な注入流体量の設定も行うことが出来るような、操作性に優れたバルーンカテーテルの流体供給体を提供することを目的とする。
(付記項6〜12の課題を解決するための手段) また、本発明によるバルーン膨張用流体供給体は、流体供給体の管状部材に側孔を設けるか、あるいは管状部材とピストン間に凹凸嵌合部を設け、管状部材内でのピストンの位置を位置決めし、バルーンに注入する流体の量を制御可能にすることを特徴とするものである。
(付記項6〜12の作用) また、本発明によるバルーン用流体供給体を使用する場合、バルーンの膨張径に応じた流体量が予め流体供給体に設定されている為、術者は流体注入量とバルーン膨張径の関係を知らずとも所望のバルーン膨張径に拡張操作を行うことが出来るようになる。さらに、バルーン膨張径とリンクしたピストンとシリンダの凹凸嵌合部を有することにより、術者はピストン位置の調整操作が容易になり、特に微妙なバルーン膨張径の設定を繰り返す場合においてその効果は顕著となる。以上から、本発明により操作性に優れたバルーンカテーテルの流体供給体を提供することが可能になる。
(付記項6〜12の効果) また、本発明によるバルーン膨張用流体供給体によれば、バルーン膨張径とリンクした凹凸嵌合部を有することにより、術者が流体注入量とバルーン膨張径の関係を知らずとも所望のバルーン膨張径に拡張操作を行うことが出来るようになる。さらには、術者はピストン位置の調整操作が容易になり、特に微妙なバルーン膨張径の設定を繰り返す場合においてその効果は顕著となる。以上から、操作性に優れたバルーンカテーテルの流体供給体を提供することが可能である。