JP7364482B2 - バルーンカテーテル - Google Patents

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Description

本発明は、バルーンカテーテルに関する。
例えば、特許文献1には、卵管の病変部(狭窄部又は閉塞部)を治療するためのバルーンカテーテルが開示されている。このバルーンカテーテルは、可撓性を有する外管と、外管に対して軸線方向に移動可能なように外管の内腔に配設された内管と、外管の先端部と内管の先端部とを互いに繋ぐ管状のバルーンとを備える。バルーンの内側には、卵管鏡(内視鏡)が挿入される。
特許第3921112号公報
このようなバルーンカテーテルを用いた卵管鏡下卵管形成術では、バルーンを卵管鏡とともに外管の先端開口から先端方向に突出させて卵管口に挿入する。この際、バルーンは、捲り返されながら外管の先端開口から先端方向に突出するため、バルーンの前進距離は卵管鏡の前進距離の半分となる。そのため、医師等の医療従事者(ユーザ)は、バルーンにおける外管の先端開口から突出した部分の突出端の直前に卵管鏡の先端が到達すると、卵管鏡をバルーンに対して所定長だけ後退させる操作を行う。
ところで、バルーンの全体を不透明に形成した場合、バルーンを外管の先端開口から先端方向に突出させた際に、ユーザは、卵管鏡の撮影画像によってバルーンを介してバルーンの外側を視認することができない。そのため、バルーンが卵管内(所定の生体器官内)に挿入されたか否かを効率的に知ることができない。
一方、バルーンの全体を無色透明に形成した場合、ユーザは、卵管鏡の撮影画像によってバルーンを介してバルーンの外側を視認することができる。しかしながら、ユーザは、卵管鏡の撮影画像によってバルーンの突出端を視認し難くなるため、卵管鏡の先端がバルーンの突出端の直前に位置したことを容易に知ることができないおそれがある。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、バルーンが所定の生体器官内に挿入されたか否かを効率的に知ることができるとともに、内視鏡の先端がバルーンの突出端の直前に位置したことを容易に知ることができるバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、可撓性を有する外管と、前記外管に対して軸線方向に移動可能なように前記外管の内腔に配設された内管と、前記外管の先端部と前記内管の先端部とを互いに繋ぐとともに前記外管の径方向内方に膨らむ管状のバルーンと、を備え、前記バルーンは、内視鏡が挿入可能な内腔を有し、且つ先端方向への押込み力が前記内管から前記バルーンへと伝達されることで前記バルーンが捲り返されながら前記外管の先端開口から先端方向に突出するバルーンカテーテルであって、前記バルーンは、当該バルーンの長手方向に沿って延在した透明部と、当該バルーンが前記外管の前記先端開口から先端方向に突出する際に、前記内視鏡の撮影画像により前記バルーンにおける前記外管の前記先端開口から突出した部分の突出端を視認可能とする着色透明部、半透明部又は不透明部と、を有する、バルーンカテーテルである。
本発明によれば、ユーザは、内視鏡の撮影画像によって透明部を介してバルーンの外側を視認することができる。これにより、ユーザは、バルーンが所定の生体器官内(例えば、卵管内)に挿入されたか否かを効率的に知ることができる。また、ユーザは、内視鏡の撮影画像によってバルーンの突出端を視認できるため、内視鏡の先端がバルーンの突出端の直前に位置したことを容易に知ることができる。
本発明の一実施形態に係るバルーンカテーテルを備えたカテーテルシステムの概略構成図である。 図1のカテーテルシステムの一部省略縦断面図である。 図1のカテーテルシステムを用いた卵管鏡下卵管形成術の第1説明図である。 図1のカテーテルシステムを用いた卵管鏡下卵管形成術の第2説明図である。 図1のカテーテルシステムを用いた卵管鏡下卵管形成術の第3説明図である。 図1のカテーテルシステムを用いた卵管鏡下卵管形成術の第4説明図である。 図1のカテーテルシステムを用いた卵管鏡下卵管形成術の第5説明図である。 第1変形例に係るバルーンを有するバルーンカテーテルの一部省略断面図である。 図8のバルーンを外管の先端開口から突出した状態を示す説明図である。 第2変形例に係るバルーンを有するバルーンカテーテルの一部省略断面図である。 図10のXI-XI線に沿った横断面図である。 図10のバルーンを外管の先端開口から突出した状態を示す説明図である。 第3変形例に係るバルーンを有するバルーンカテーテルの一部省略断面図である。 図13のバルーンを外管の先端開口から突出した状態を示す説明図である。
以下、本発明に係るバルーンカテーテルについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態に係るカテーテルシステム12は、バルーンカテーテル10と、医療機器としての卵管鏡14とを備える。バルーンカテーテル10は、例えば、卵管の病変部(狭窄部又は閉塞部等)を治療する卵管鏡下卵管形成術に用いられる。ただし、バルーンカテーテル10は、卵管以外のもの、例えば、血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の臓器等の生体器官内の病変部を治療するためのものでもよい。
図1及び図2に示すように、バルーンカテーテル10は、外側カテーテル16と、外側カテーテル16に設けられたスライダ18と、外側カテーテル16内に挿入された内側カテーテル20と、内側カテーテル20の先端部に設けられたバルーン22とを備える。
外側カテーテル16は、可撓性を有する長尺な外管24と、外管24の基端部に設けられた外管ハブ26と、外管ハブ26に設けられた固定ねじ28とを有する。外管24の全長は、100mm以上1500mm以下に設定するのが好ましく、200mm以上1000mm以下に設定するのがより好ましい。
図2において、外管24は、外管本体30と、外管本体30の先端部に設けられた先端チップ32とを含む。外管本体30及び先端チップ32のそれぞれの構成材料としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等)、オレフィン系エラストマー、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリエステル系エラストマー、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ウレタン系エラストマー、ポリアミド、アミド系エラストマー、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素樹脂エラストマー、ポリイミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等の可撓性を有する高分子材料が挙げられる。
外管本体30には、先端から基端まで貫通した第1内腔30aが形成されている。外管本体30は、先端から基端まで略一定外径を有する。外管本体30の先端側は、軸線方向に円弧状に湾曲するように形状付けられている。外管本体30の肉厚は、0.1mm以上1.5mm以下に設定され、0.15mm以上に設定するのが好ましく、0.2mm以上に設定するのがより好ましい。
先端チップ32の外面は、バルーンカテーテル10や生体組織の損傷を防止するために湾曲している。先端チップ32には、バルーン22を先端チップ32よりも先端方向に導出させるためのバルーン導出孔32aが形成されている。
外管ハブ26は、硬質樹脂又は金属(ステンレス鋼、チタン、チタン合金等)によって構成されている。硬質樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
外管ハブ26は、人手によって操作し易い大きさに中空状に形成されている。外管ハブ26には、外管24の第1内腔30aに連通する第1空間34と、第1空間34の基端側に位置して内側カテーテル20が挿通する第1挿通孔36と、第1空間34に連通する導入ポート38とが形成されている。
導入ポート38は、図示しないシリンジ等から供給されたバルーン拡張流体を第1空間34に導入する。バルーン拡張流体は、バルーン22を外管24の径方向内方に膨らませるためのものであって、例えば、生理食塩水である。外管ハブ26には、第1空間34内のバルーン拡張流体が第1挿通孔36を介して外部に漏出することを防止する第1シール部材42が設けられている。
固定ねじ28は、外管ハブ26の基端部に形成されたねじ穴44に螺合することにより、外管ハブ26に対して内側カテーテル20を固定する。固定ねじ28の構成材料は、外管ハブ26と同様のものが挙げられる。
スライダ18は、外管24の外周面に外管24の軸線方向に移動可能(スライド可能)な状態で設けられている。スライダ18の全長は、外管24の全長よりも短い。スライダ18は、長尺な管状のスライダ本体46と、スライダ本体46の基端部に設けられたスライダハブ48とを有する。スライダ本体46及びスライダハブ48のそれぞれは、上述した外管ハブ26と同様の材料によって構成される。スライダハブ48は、人手によって操作し易い大きさに環状に形成されている。
スライダ18を外管24に対して最も基端側に移動させた状態(スライダ18の基端を外管ハブ26の先端に位置させた状態)で、外管24の先端側は、スライダ18よりも先端側に露出するとともに円弧状に湾曲する。スライダ18を外管24に対して最も先端側に移動させた状態で、外管24の先端側は、スライダ本体46の形状に沿って直線状に延在する。
内側カテーテル20は、長尺な内管50と、内管50の基端部に設けられた内管ハブ52とを備える。内管50の全長は、100mm以上1500mm以下に設定するのが好ましく、200mm以上1000mm以下に設定するのがより好ましい。
内管50の構成材料としては、比較的硬質な樹脂(例えば、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、PEEK樹脂等)又は金属(例えば、ステンレス鋼、チタン、チタン合金等)によって構成されている。内管50は、先端から基端まで貫通した第2内腔50aを有するチューブ体である。
内管50は、外管ハブ26の第1空間34及び第1挿通孔36を挿通するとともに外管24の第1内腔30aに配設されている。内管50の先端は、外管24の先端よりも基端方向に位置している。内管50と外管24との間には、バルーン拡張流体が流通する外側ルーメン54(拡張用ルーメン)が設けられている。
内管50の第2内腔50aには、卵管鏡14の長尺な挿入部15が挿入される。卵管鏡14は、卵管内を撮影するための内視鏡である。挿入部15は、線状に形成されるとともに可撓性を有している。内管50の第2内腔50aに卵管鏡14の挿入部15が挿入された状態で、内管50と挿入部15との間には、灌流液が流通する内側ルーメン56(灌流用ルーメン)が形成される。灌流液は、例えば、生理食塩水である。
内管ハブ52は、外管ハブ26と同様の材料によって構成される。内管ハブ52は、中空状に形成されている。内管ハブ52には、内管50の第2内腔50aに連通する第2空間58と、第2空間58の基端側に位置して挿入部15が挿通する第2挿通孔60と、第2空間58に連通する導入ポート62とが形成されている。
導入ポート62は、図示しない灌流ポンプ等から供給された灌流液を第2空間58に導入する。内管ハブ52には、第2空間58内の灌流液が第2挿通孔60を介して外部に漏出することを防止する第2シール部材66が設けられている。
バルーン22は、外管24の先端部と内管50の先端部とを互いに繋ぐ管状部材である。バルーン22は、外管24の径方向内方に膨らむ。換言すれば、バルーン22は、径方向に弾性変形可能に形成されている。
バルーン22の構成材料としては、例えば、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイソプレン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンゴム等が挙げられる。バルーン22は、ポリアミドエラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステルエラストマーで構成するのが好ましい。
バルーン22の一端部は、外管24の先端部に接着又は融着されている。換言すれば、バルーン22の一端部は、外管24のうちバルーン導出孔32aの基端側の近傍に接着又は融着されている。バルーン22の他端部は、内管50の外面の先端部に接着又は融着固定されている。ただし、バルーン22の他端部は、内管50の内面の先端部に接着又は融着されてもよい。
図4において、バルーン22は、内管50が外管24に対して相対的に先端方向に移動することにより、バルーン導出孔32aを介して外管24の先端開口24aから先端方向に押し出される。この際、バルーン22は、外側に捲り返されながら突出する。つまり、バルーン22は、外管24の先端開口24aよりも先端側において、径方向に二重に折り重なった部分(重なり部70)が形成される。
図2に示すように、バルーン22と外管本体30との間には、先端が閉じた袋状の外側空間Sが形成されている。バルーン22は、卵管鏡14の撮影画像によりバルーン22の外側が視認可能な透明部72を有する。透明部72は、バルーン22の全体に亘って設けられている。
透明部72は、着色透明部である。透明部72は、卵管の内面の色(赤色)とは異なる色(例えば、黄緑色)を有する。透明部72の色は、卵管の内面とは異なる色であれば適宜設定可能である。透明部72は、バルーン22の上述した構成材料に染料を混合することによって形成される。染料としては、例えば、ペリレン系、ペリノン系、アンスラキノン系及び複素環系等が挙げられる。透明部72は、無色透明の基材層の内面及び外面のいずれかに着色透明の表面層を接合することによって形成してもよい。
透明部72は、着色透明部の例に限らず、半透明部であってもよい。この場合、透明部72は、バルーン22の上述した構成材料に顔料(有機顔料又は無機顔料)を混合することによって形成される。有機顔料としては、キナクリドン系、ペリレン系、アンスラキノン系等が挙げられる。無機顔料としては、ベンガラ、ストロネルグリーン等が挙げられる。透明部72を半透明に形成する場合、透明部72の色は、無色であっても有色であってもよい。また、透明部72は、無色透明の基材層の内面及び外面のいずれかに半透明の表面層を接合することによって形成してもよい。
透明部72は、バルーン22が外管24の先端開口24aから先端方向に突出する際に卵管鏡14の撮影画像によりバルーン22における外管24の先端開口24aから突出した部分(重なり部70)の突出端23が視認可能となるように形成されている。ここで、バルーン22の突出端23は、バルーン22が外管24の先端開口24aよりも先端方向で折り返されている部分をいう。
具体的に、透明部72は、重なり部70の可視光透過率が10%以上90%以下に形成されるのが好ましく、重なり部70の可視光透過率が30%以上70%以下に形成されるのがより好ましく、重なり部70の可視光透過率が40%以上60%以下に形成されるのがさらに好ましい。これにより、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像によって、バルーン22の重なり部70を介してバルーン22の外側を良好に視認することができ、且つバルーン22の突出端23を視認することができる。バルーン22の重なり部70の可視光透過率は、バルーン22の材質、バルーン22の厚さ、染料及び顔料のそれぞれの種類、染料及び顔料のそれぞれの粒子径等によって調整することができる。
次に、このように構成されるバルーンカテーテル10を用いた卵管鏡下卵管形成術について説明する。
卵管鏡下卵管形成術では、まず、内側カテーテル20の基端側から内管50の第2内腔50aに卵管鏡14の挿入部15を挿入する(準備工程)。この際、挿入部15の先端は、外管24の先端よりも基端側(例えば、バルーン22の内側)に位置させておく。
その後、図3に示すように、操作者(術者)は、バルーンカテーテル10を経頸管的に子宮底200まで挿入し、外管24の先端を卵管202の卵管口202aに近づける(挿入工程)。この際、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像により卵管口202aを確認する。
続いて、バルーン導出工程を行う。具体的に、導入ポート38にバルーン拡張流体を供給する(加圧工程)。そうすると、バルーン拡張流体は、導入ポート38から第1空間34及び外側ルーメン54を介してバルーン22の外側空間Sに供給される。バルーン22は、外側空間Sに供給されたバルーン拡張用流体によって径方向内方に押圧されて弾性変形する。つまり、バルーン22のうち卵管鏡14の挿入部15の外周側に位置する部位は、挿入部15の外周面に密着する。バルーン22のうち卵管鏡14の先端よりも先端側に位置する部位は、内面同士が互いに接触する。
その後、図4に示すように、操作者は、固定ねじ28を緩めた状態で内管ハブ52を操作して内管50を外管24に対して前進させる(前進工程)。そうすると、内管50によって先端方向に押されたバルーン22は、卵管鏡14とともに外管24に対して前進し、バルーン導出孔32aを介して外管24の先端方向に導出する。なお、前進工程において、導入ポート62に灌流用流体を供給してもよい。
この際、バルーン22の一端部が外管24の先端部に固定されているため、バルーン22は、その突出端23が捲り返されながら前進する。つまり、バルーン22は、その突出端23で内面が外側を向くように捲り返される。そのため、バルーン22は、卵管鏡14の前進距離の半分の距離相当前進する。前進工程は、卵管鏡14の先端がバルーン22の突出端23の直前に到達するまで行う。
また、前進工程において、卵管鏡14の挿入部15の先端部がバルーン22の突出端23よりも基端方向に位置する状態(バルーン22における卵管鏡14の先端よりも先端側が閉じている状態)で、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像によってバルーン22の透明部72を介してバルーン22の外側を視認することができる。そのため、ユーザは、バルーン22の重なり部70が卵管口202aを介して卵管202内に確実に挿入されているか否かを容易に確認できる。
従って、ユーザは、前進工程において、例えば、図5に示すように、バルーン22の重なり部70が卵管202内に挿入されていなかった場合には、卵管鏡14がバルーン22の突出端23の直前に到達する前に、卵管202に対するバルーン22の位置を修正することができる。よって、卵管鏡14が卵管口202aを形成する壁面に直接当たることを効果的に抑えることができる。
続いて、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像に基づいてバルーン22が病変部204に到達したか否かを判断する。なお、ユーザは、バルーン22を全て前方に導出させたことでバルーン22が病変部204に到達したと判断してもよい。バルーン22が病変部204の手前に位置していた場合には、卵管鏡14の先端がバルーン22の突出端23の直前に位置した時に、バルーン22及び卵管鏡14の前進を停止する。
この際、透明部72が着色透明部(又は半透明部)であるため、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像によりバルーン22の突出端23を視認可能である。そのため、ユーザは、卵管鏡14の先端をバルーン22の突出端23の直前に容易に停止させることができる。そして、図6に示すように、バルーン拡張流体を減圧するとともに導入ポート62に灌流用流体を供給する(減圧工程)。次いで、ユーザは、卵管鏡14を所定距離だけ後退させる(後退工程)。
その後、上述した加圧工程及び前進工程を再度行う。そして、図7に示すように、バルーン22が病変部204に到達すると、バルーン22によって病変部204が押し広げられる。すなわち、卵管202の狭窄又は閉塞が改善される。
病変部204を広げた後、ユーザは、バルーンカテーテル10を抜去する(抜去工程)。なお、バルーンカテーテル10の抜去前に、導入ポート62を介して生理食塩水を注入してから卵管鏡14を挿入し、卵管鏡14によって卵管202内を観察しながらバルーンカテーテル10を抜去してもよい。これにより、卵管鏡下卵管形成術が終了する。
この場合、本実施形態に係るバルーンカテーテル10は、以下の効果を奏する。
バルーン22は、バルーン22の長手方向に沿って延在した透明部72を有する。バルーン22は、バルーン22が外管24の先端開口24aから先端方向に突出する際に、卵管鏡14の撮影画像によりバルーン22における外管24の先端開口24aから突出した部分の突出端23を視認可能とする着色透明部(又は半透明部)を有する。
このような構成によれば、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像によって透明部72を介してバルーン22の外側を視認することができる。これにより、ユーザは、バルーン22が卵管202内に挿入されたか否かを効率的に知ることができる。また、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像によってバルーン22の突出端23を視認できるため、卵管鏡14の先端がバルーン22の突出端23の直前に位置したことを容易に知ることができる。
透明部72は、バルーン22の全体に亘って設けられている。
このような構成によれば、バルーン22の構成を一層簡素化することができる。
(第1変形例)
次に、第1変形例に係るバルーン22aについて図8及び図9を参照して説明する。本変形例に係るバルーン22aにおいて、上述したバルーン22と同一の構成要素については同一の参照符号を付し、その説明については省略する。後述する第2変形例についても同様である。なお、図8では、バルーン22aを断面ではなく外形で示している。
図8及び図9に示すように、本変形例に係るバルーン22aは、透明部72と、外管24の先端開口24aからのバルーン22aの突出長を示す目盛部74とを有する。目盛部74は、バルーン22aの長手方向に沿って等間隔に設けられた複数本の目盛線74aを含む。
複数本の目盛線74aは、透明部72の内面に設けられている。複数本の目盛線74aは、透明部72の外面に設けられてもよい。この場合であっても、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像によって透明部72を介して目盛部74を視認することができる。
各目盛線74aは、バルーン22aの周方向に沿って一周延在している。ただし、各目盛線74aは、バルーン22aの周方向に沿って360°未満の長さ(例えば、270°、180°、90°、45°等の長さ)延在してもよい。バルーン22aの長手方向に互いに隣り合う目盛線74aの間隔は、例えば、5mm以上10mm以下が好ましい。この場合、透明部72を介してバルーン22aの外側を卵管鏡14により効率的に視認することができる。ただし、バルーン22aの長手方向に互いに隣り合う目盛線74aの間隔は、適宜設定可能である。
目盛線74aの太さ(バルーン22aの長手方向に沿った長さ)は、例えば、0.1mm以上1.0mm以下が好ましく、0.5mm程度がより好ましい。この場合、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像により目盛線74aを鮮明に視認することができ、バルーン22aの長手方向に互いに隣り合う目盛線74aの間の部位(透明部72)からバルーン22aの外側を効率的に視認することができる。ただし、目盛線74aの太さは、バルーン22aの長手方向に互いに隣り合う目盛線74aの間隔よりも細ければ適宜設定可能である。
ところで、外管24の先端開口24aからのバルーン22aの突出長(内管50の押込み量)を示す目盛部を内管50の基端部に設けた場合、ユーザは、前進工程において、手元の目盛部と卵管鏡14の撮影画像との両方を確認しなければならない。しかしながら、本変形例において、透明部72には、外管24の先端開口24aからのバルーン22aの突出長を示す目盛部74が卵管鏡14の撮影画像によって視認可能なように設けられている。
このような構成によれば、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像によって目盛部74を視認することができるため、前進工程の際に、バルーン22aの突出長の確認のために手元を見る必要がなくなる。従って、前進工程を効率的に行うことができる。
(第2変形例)
次に、第2変形例に係るバルーン22bについて図10~図12を参照しながら説明する。なお、図10では、バルーン22bを断面ではなく外形で示している。
図10~図12に示すように、バルーン22bは、透明部76と、不透明部78とを有する。透明部76は、無色透明な管状部材である。透明部76は、バルーン22bの全長に亘って延在している。
不透明部78は、卵管鏡14の撮影画像によってバルーン22bの外側が視認不能なように形成されている。不透明部78は、透明部76の内面の一部に設けられている。換言すれば、不透明部78は、透明部76の内面の一部に塗料を塗布することにより形成されている。ただし、不透明部78は、透明部76の外面に設けられてもよい。また、不透明部78は、透明部76の外面及び内面の両方に設けられてもよい。
不透明部78の塗料としては、例えば、フタロシアニン系色素等が挙げられる。不透明部78は、生体管(卵管)の内面の色(赤色)とは異なる色(例えば、黄緑色)を有する。これにより、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像によって、卵管202の内面と不透明部78とを容易且つ明確に識別することができる。
不透明部78は、バルーン22bの全長に亘って延在している。不透明部78は、バルーン22bの周方向に180°延在している。バルーン22bの周方向における不透明部78の長さは、適宜設定可能である。つまり、不透明部78は、バルーン22bの周方向に45°、90°又は270°延在してもよい。
本変形例において、バルーン22bは、バルーン22bの長手方向に沿って延在した不透明部78を有している。
このような構成によれば、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像によりバルーン22bの突出端23(不透明部78の突出端)を鮮明に視認することができる。
透明部76は、無色透明である。
このような構成によれば、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像により、バルーン22bの外側をより鮮明に視認することができる。
不透明部78は、バルーン22bの周方向に180°延在している。
このような構成によれば、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像により、バルーン22bの外側とバルーン22bの突出端23とをバランスよく視認することができる。
バルーン22bにおいて、透明部76は、着色透明部又は半透明部であってもよい。不透明部78は、バルーン22bの周方向に互いに離間するように複数設けられてもよい。不透明部78は、上述したバルーン22の構成材料に顔料(有機顔料又は無機顔料)を混合することによって形成してもよい。この場合、透明部76と不透明部78とは、バルーン22bの周方向に互いに隣接する。
(第3変形例)
次に、第3変形例に係るバルーン22cについて説明する。本変形例に係るバルーン22cにおいて、第2変形例に係るバルーン22bと同一の構成については同一の参照符号を付し、その説明については省略する。
図13及び図14に示すように、バルーン22cは、透明部76、不透明部78及び目盛部80を有する。目盛部80は、不透明部78の一部に設けられた複数の識別部80aを含む。複数の識別部80aは、不透明部78の一部に塗料を塗布することにより形成されている。ただし、複数の識別部80aは、透明部76の内面に直接的に塗料を塗布することにより形成してもよい。
各識別部80aは、生体管(卵管202)の内面の色(赤色)と不透明部78の色(例えば、黄緑色)とは異なる色(例えば、黒色等)を有する。複数の識別部80aの色は、互いに同じである。ただし、複数の識別部80aの色は、互いに異なってもよい。
複数の識別部80aは、バルーン22cの長手方向に等間隔に設けられている。バルーン22cの周方向に沿った識別部80aの長さは、バルーン22cの周方向に沿った不透明部78の長さと同じである。換言すれば、各識別部80aは、バルーン22cの周方向に180°延在している。バルーン22cの周方向における識別部80aの長さは、適宜設定可能である。つまり、識別部80aは、バルーン22cの周方向に45°、90°又は270°延在してもよい。
バルーン22cの長手方向に沿った識別部80aの長さは、互いに隣り合う識別部80aの間隔と同じである。バルーン22cの長手方向に沿った識別部80aの長さは、5mm以上10mm以下に設定するのが好ましい。ただし、バルーン22cの長手方向に沿った識別部80aの長さは、適宜設定可能である。バルーン22cの長手方向に互いに隣り合う識別部80aの間隔は、適宜設定可能であり、バルーン22cの長手方向に沿った識別部80aの長さと同じでなくてもよい。
本変形例において、バルーン22cには、外管24の先端開口24aからのバルーン22cの突出長を示す目盛部80が卵管鏡14の撮影画像によって視認可能なように設けられている。
このような構成によれば、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像によって目盛部80を視認することができるため、前進工程の際に、バルーン22cの突出長の確認のために手元を見る必要がなくなる。従って、前進工程を効率的に行うことができる。
目盛部80は、バルーン22cの長手方向に等間隔に設けられた複数の識別部80aを含み、複数の識別部80aのそれぞれの色は、不透明部78の色とは異なる。
このような構成によれば、ユーザは、卵管鏡14の撮影画像によって識別部80aを視認し易くなる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
以上の実施形態をまとめると、以下のようになる。
上記実施形態は、可撓性を有する外管(24)と、前記外管に対して軸線方向に移動可能なように前記外管の内腔(30a)に配設された内管(50)と、前記外管の先端部と前記内管の先端部とを互いに繋ぐとともに前記外管の径方向内方に膨らむ管状のバルーン(22、22a~22c)と、を備え、前記バルーンは、内視鏡(14)が挿入可能な内腔を有し、且つ先端方向への押込み力が前記内管から前記バルーンへと伝達されることで前記バルーンが捲り返されながら前記外管の先端開口(24a)から先端方向に突出するバルーンカテーテル(10)であって、前記バルーンは、当該バルーンの長手方向に沿って延在した透明部(72、76)と、当該バルーンが前記外管の前記先端開口から先端方向に突出する際に、前記内視鏡の撮影画像により前記バルーンにおける前記外管の前記先端開口から突出した部分の突出端(23)を視認可能とする着色透明部、半透明部又は不透明部(78)と、を有する、バルーンカテーテルを開示している。
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記透明部は、前記着色透明部又は前記半透明部であり、前記バルーンの全体に亘って設けられてもよい。
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記透明部には、前記外管の前記先端開口からの前記バルーンの突出長を示す目盛部(74)が前記内視鏡の撮影画像によって視認可能なように設けられてもよい。
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記目盛部は、前記バルーンの内面に設けられてもよい。
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記バルーンは、当該バルーンの長手方向に沿って延在した前記不透明部(78)を有してもよい。
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記透明部は、無色透明であってもよい。
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記不透明部は、前記バルーンの周方向に180°延在してもよい。
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記バルーンには、前記外管の前記先端開口からの前記バルーンの突出長を示す目盛部(80)が前記内視鏡の撮影画像によって視認可能なように設けられてもよい。
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記目盛部は、前記バルーンの長手方向に等間隔に設けられた複数の識別部(80a)を含み、前記複数の識別部のそれぞれの色は、前記不透明部の色とは異なってもよい。
10…バルーンカテーテル 12…カテーテルシステム
14…卵管鏡(内視鏡) 22、22a~22c…バルーン
23…突出端 24…外管
24a…先端開口 30a…第1内腔(内腔)
50…内管 72、76…透明部
74、80…目盛部 78…不透明部
80a…識別部

Claims (9)

  1. 可撓性を有する外管と、前記外管に対して軸線方向に移動可能なように前記外管の内腔に配設された内管と、前記外管の先端部と前記内管の先端部とを互いに繋ぐとともに前記外管の径方向内方に膨らむ管状のバルーンと、を備え、
    前記バルーンは、内視鏡が挿入可能な内腔を有し、且つ先端方向への押込み力が前記内管から前記バルーンへと伝達されることで前記バルーンが捲り返されながら前記外管の先端開口から先端方向に突出するバルーンカテーテルであって、
    前記バルーンは、
    当該バルーンの長手方向に沿って延在した透明部と、
    当該バルーンが前記外管の前記先端開口から先端方向に突出する際に、前記内視鏡の撮影画像により前記バルーンにおける前記外管の前記先端開口から突出した部分の突出端を視認可能とする着色透明部、半透明部又は不透明部と、を有する、バルーンカテーテル。
  2. 請求項1記載のバルーンカテーテルであって、
    前記透明部は、前記着色透明部又は前記半透明部であり、前記バルーンの全体に亘って設けられている、バルーンカテーテル。
  3. 請求項2記載のバルーンカテーテルであって、
    前記透明部には、前記外管の前記先端開口からの前記バルーンの突出長を示す目盛部が前記内視鏡の撮影画像によって視認可能なように設けられている、バルーンカテーテル。
  4. 請求項3記載のバルーンカテーテルであって、
    前記目盛部は、前記バルーンの内面に設けられている、バルーンカテーテル。
  5. 請求項1記載のバルーンカテーテルであって、
    前記バルーンは、当該バルーンの長手方向に沿って延在した前記不透明部を有している、バルーンカテーテル。
  6. 請求項5記載のバルーンカテーテルであって、
    前記透明部は、無色透明である、バルーンカテーテル。
  7. 請求項5又は6に記載のバルーンカテーテルであって、
    前記不透明部は、前記バルーンの周方向に180°延在している、バルーンカテーテル。
  8. 請求項5~7のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルであって、
    前記バルーンには、前記外管の前記先端開口からの前記バルーンの突出長を示す目盛部が前記内視鏡の撮影画像によって視認可能なように設けられている、バルーンカテーテル。
  9. 請求項8記載のバルーンカテーテルであって、
    前記目盛部は、前記バルーンの長手方向に等間隔に設けられた複数の識別部を含み、
    前記複数の識別部のそれぞれの色は、前記不透明部の色とは異なる、バルーンカテーテル。
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