JP2008047840A - 磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリ、及びそれらの製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリ、及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微細化可能で、微細化においても書き込み電流をより小さくすることが可能な磁気抵抗効果素子を提供する。
【解決手段】反強磁性層1a、1b、磁化固定層2a、2b、磁化自由層3、非磁性層4及び磁化固定層5を具備する磁気抵抗効果素子を用いる。反強磁性層1a、1bは基板11の表面に垂直に設けられる。磁化固定層2a、2bは反強磁性層1a、1bに略平行に設けられる。磁化自由層3は磁化固定層2a、2bの一方の上端に一端を、他方の上端に他端を接続され、磁化の向きが可変である。非磁性層4は磁化自由層3に隣接して設けられる。磁化固定層5は非磁性層4に隣接し、磁化自由層3とは反対側に設けられ、磁化が一方向に固定される。磁化固定層2a、2bと磁化自由層3とは同一磁性膜32である。同一磁性膜32の両端部である第1磁化固定層2a、2bの磁化の向きは、反強磁性層1a、1bで固定される。
【選択図】図2

Description

本発明は、本発明は磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリ、及びそれらの製造方法に関し、特にスピントルクを用いた磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリ、及びそれらの製造方法に関する。
磁気抵抗効果素子を記憶素子として用いる磁気ランダムアクセスメモリが知られている。磁気ランダムアクセスメモリは不揮発性であり、書き換え耐性に優れ、また高速動作や高温動作が可能である。このように磁気ランダムアクセスメモリは他のメモリにはない特性を有することから、その実用化に向けた研究が盛んに行われている。この磁気抵抗効果素子は、磁気抵抗効果を発現する磁化固定層/非磁性層/磁化自由層によって構成される。磁気抵抗効果素子においては、二つの強磁性層の磁化の相対角が平行の場合に、上記3層間の抵抗は低抵抗、反平行な場合に高抵抗となる。その抵抗変化率は、数10〜数100%になることが知られている。
磁気抵抗効果素子は主に反強磁性層、磁化固定層、非磁性層及び磁化自由層から構成される。磁化固定層は、一般的には隣接して反強磁性層が設けられており、その磁化方向は実質的に固定されている。一方、磁化自由層の磁化は磁化容易軸方向を向き、磁化固定層の磁化方向との相対角度は平行、反平行のいずれかとなる。
データの読出しは磁気抵抗効果素子の垂直方向(磁化自由層−非磁性層−磁化固定層の間)に電圧を印加し、その抵抗を測定することにより行われる。例えば、相対角が平行の場合、その抵抗は低抵抗となり、それを「0」と読み出す。送対角が反平行な場合、その抵抗は高抵抗となり、それを「1」と読み出す。
一方、この磁気抵抗効果素子へのデータの書き込み方法としては以下のような方法が用いられている。まず代表的なものは、磁気抵抗効果素子の近くに配置された書き込み配線に電流を流し、それによって誘起される磁界により磁化自由層の磁化の方向を変化させることにより行うものである(以下、「電流磁界方式」という)。
電流を印加することで発生する磁界は電流1mAあたり数Oe(エールステッド)〜十数Oeである。一方、磁気抵抗効果素子の記憶情報の熱安定性のためには、磁化自由層の反転に必要な磁界は数十Oeである。これらのことから、1mA以下の書き込み電流での書き込みは非常に難しい。したがって、電流磁界方式の磁気ランダムアクセスメモリは、この点で他のランダムアクセスメモリと比べて競争力に劣る。さらに、磁気抵抗効果素子のサイズにほぼ反比例して、磁化自由層の磁化を反転させるために必要な磁界は大きくなる。そのため、メモリセルが微細化されるにつれて、書き込み電流が増加してしまうという問題点がある。
この書き込み電流が大きく、微細化に対してさらに増大するという問題を解決する方法として、スピン注入を利用した書き込み方式が提案されている。例えば、M.Hosomi et al.,“A Novel Nonvolatile Memory with Spin Torque Transfer Magnetization Switching: Spin−RAM”,International Electron Devices Meeting,Technical Digest,p.473,2005,に、その書き込み方式が記載されている。この方式では、データの書き込みは磁気抵抗効果素子の磁化自由層−非磁性層−磁化固定層の間に電流を流して行う。この方法によれば、磁化自由層の磁化反転は磁化自由層−非磁性層−磁化固定層の間で流れる電流の電流密度が大きいほど起こりやすくなる。そのため、磁気抵抗効果素子のサイズが小さくなれば磁化反転に必要な電流値は低減していくことがわかる。
また、近年、強磁性体細線中の磁壁が電流によって駆動されることが実証され、理論的、実験的な研究が行われている。例えば、A.Yamaguchi et al.,“Real−Space Observation of Current−Driven Domain Wall Motion in Submicron Magnetic Wires”,Physical Review Letters,vol.92,pp.077205−1,2004,に、磁壁の電流駆動が記載されている。この磁壁の電流駆動は、磁壁を有する幅数十ナノメートル〜数マイクロメートルの磁性細線に磁壁を横切るような電流が流れたとき、伝導電子の持つスピン磁気モーメントによって磁壁が動かされるという現象である。
この磁壁の電流駆動現象を利用した磁気抵抗効果素子も提案されている。例えば、特開2005−191032号公報に磁気記憶装置及び磁気情報の書込み方法が記載されている。この磁気記憶装置は、磁化固定層と、トンネル絶縁層と、磁化自由層と、一対の磁気情報書込み用端子とを備える。磁化固定層は、固定磁化が付与され、導電性である。トンネル絶縁層は、前記磁化固定層に積層形成されている。磁化自由層は、前記トンネル絶縁層を介して前記磁化固定層と積層形成された接合部、前記接合部の一対の端部に隣接形成された磁壁ピン止め部、及び、前記磁壁ピン止め部に隣接する互いに反対向きの固定磁化が付与された一対の磁化固定部を具備し、導電性である。一対の磁気情報書込み用端子は、前記一対の磁化固定部に電気接続し、前記磁化自由層の前記接合部、前記一対の磁壁ピン止め部及び前記一対の磁化固定部を貫通する電流を磁化自由層に流す。この磁壁の電流駆動もスピン注入方式と同様に、磁化反転に必要な電流値は素子の微細化とともに小さくなる。
以上のような理由から、スピン注入や磁壁の電流駆動は、スケーリング特性に優れた低電流動作の磁気ランダムアクセスメモリを提供する原理として注目されている。
しかし、磁壁の電流駆動を利用して磁気抵抗効果素子を実現する場合にも以下に挙げるような問題がある。
磁壁の電流駆動を磁気抵抗効果素子に利用する場合、磁化自由層は二方向の磁化を取り得なければならない。そのためには、磁化が可変な領域へのスピン偏極した伝導電子の導入源となる磁化が互いに反平行に固定された二つの領域が必要となる。すなわち、磁気情報の記憶部分が、磁化方向が可変な一つ以上の領域と磁化方向が固定された二つ以上の領域とを、互いに電気的に接続された状態で具備することが必要になる。これらを実現するためには、磁化が固定された領域には保磁力の大きい材料を用い、磁化が可変な領域には保磁力の小さな材料を用いる方法が考えられる。
しかし、この場合、磁化が固定された領域と磁化が可変な領域とを別々に作製する必要があるため、複雑なプロセスを必要とする。さらに磁化が固定された領域が電流導入時も磁化方向が不変であり、かつ磁化が可変な領域も電流が流れていないときは熱的に安定であるためには、これらを具備する層としてはある程度大きな面積を要してしまい、微細化が困難となる。また、磁性膜は表面に酸化膜が形成されやすい材料のため、磁化が固定された領域と磁化が可変な領域との接続部に絶縁膜が形成されることによって電気的な不良が発生するおそれがある。微細化可能で、微細化においても書き込み電流をより小さくすることが可能な磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリが望まれる。広い書き込みマージンを有し、大きなセル面積を要さず、かつ設計自由度の高い磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリが求められる。
関連する技術として特開2000−195250号公報に磁気メモリ装置が開示されている。この磁気メモリ装置は、第一の強磁性層と前記第一の強磁性層に絶縁障壁を介して対向した第二の強磁性層とを有する磁気メモリセルを備え、前記第一の強磁性層の磁化状態を、前記第二の強磁性層の磁化状態を変化させることにより得られるトンネルコンダクタンスの変化として検出する。この磁気メモリ装置において、前記第二の強磁性層は、前記絶縁障壁と接合する自由磁化領域、及び前記自由磁化領域に隣接する周辺部を備える。
関連する技術として特開2005−150303号公報に磁気抵抗効果素子および磁気メモリが開示されている。この磁気抵抗効果素子は、第1の強磁性層/トンネル障壁層/第2の強磁性層の3層構造を含む強磁性トンネル接合を有し、前記第1の強磁性層は前記第2の強磁性層よりも保磁力が大きく、前記2つの強磁性層の磁化の相対的角度によりトンネルコンダクタンスが変化する。この磁気抵抗効果素子において、前記第2の強磁性層の端部の磁化が前記第2の強磁性層の磁化容易軸方向と直交する成分を持つ方向に固着されていることを特徴とする。
特開2005−191032号公報 特開2000−195250号公報 特開2005−150303号公報 M.Hosomi et al.,"A Novel Nonvolatile Memory with Spin Torque Transfer Magnetization Switching: Spin−RAM",International Electron Devices Meeting,Technical Digest,p.473,2005 A.Yamaguchi et al.,"Real−Space Observation of Current−Driven Domain Wall Motion in Submicron Magnetic Wires",Physical Review Letters,vol.92,pp.077205−1,2004
本発明の目的は、微細化可能で、微細化においても書き込み電流をより小さくすることが可能な磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリ及びそれらの製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、広い書き込みマージンを有し、大きなセル面積を要さず、かつ設計自由度の高い磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリ及びそれらの製造方法を提供することにある。
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明の磁気抵抗効果素子は、二つの反強磁性層(1a、1b)と、二つの第1磁化固定層(2a、2b)と、磁化自由層(3)と、非磁性層(4)と、第2磁化固定層(5)とを具備する。二つの反強磁性層(1a、1b)は、基板(11)の表面に対して略垂直に設けられている。二つの第1磁化固定層(2a、2b)は、二つの反強磁性層(1a、1b)に略平行に設けられている。磁化自由層(3)は、二つの第1磁化固定層(2a、2b)の一方の上端に一端を、他方の上端に他端を、それぞれ接続され、磁化の向きが可変である。非磁性層(4)は、磁化自由層(3)に隣接して設けられている。第2磁化固定層(5)は、非磁性層(4)に隣接し、磁化自由層(3)とは反対側に設けられ、磁化が一方向に固定されている。二つの第1磁化固定層(2a、2b)と磁化自由層(3)とは、同一磁性膜(32)で構成されている。同一磁性膜(32)の両端部である二つの第1磁化固定層(2a、2b)の磁化の向きは、二つの反強磁性層(1a、1b)で固定されている。
本発明では、第1磁化固定層(2a、2b)の磁化が反強磁性層(1a、1b)により固定されているため、磁壁消失による動作不良が発生することはない。また、反強磁性層(1a、1b)及び第1磁化固定層(2a、2b)が基板(11)の表面から略垂直に伸びるように形成されているので、磁気抵抗効果素子(20)の面積、延いては磁気メモリセル(21)の面積を小さくすることができる。磁化自由層(3)と第1磁化固定層(2a、2b)は同一膜(32)で形成されるため、磁化自由層(3)と第1磁化固定層(2a、2b)との接続部に絶縁層が形成されるなどの電気的な不良が発生しない。
上記の磁気抵抗効果素子において、二つの第1磁化固定層(2a、2b)の磁化の向きは、基板(11)の表面に対して同じ向きに固定されている。
上記の磁気抵抗効果素子において、磁化自由層(3)に第1データを書き込むための第1書き込み動作時、二つの第1磁化固定層(2a、2b)のいずれか一方、磁化自由層(3)、及び二つの第1磁化固定層(2a、2b)の他方を通る書き込み電流経路において、第1書き込み電流(IW1)が第1の向きに流れる。磁化自由層(3)に第2データを書き込むための第2書き込み動作時、書き込み電流経路において、第2書き込み電流(IW2)が第1の向きとは逆の第2の向きに流れる。
本発明の磁気抵抗効果素子(20)への書き込みは、第1磁化固定層(2a、2b)から磁化自由(3)層内に流入する電流(IW1/IW2)の向きを制御し、第1磁化固定層(2a、2b)と磁化自由層(3)の境界付近に形成される磁壁を移動させることにより磁化自由層(3)の磁化方向を変化させることにより、二つの値(“0”/“1”)を書き分ける。
上記の磁気抵抗効果素子において、磁化自由層(3)のデータを読み出すための読み出し動作時に、二つの第1磁化固定層(2a、2b)のいずれか一方、磁化自由層(3)、非磁性層(4)、及び第2磁化固定層(5)を通る読み出し電流経路において、読み出し電流が流れる。
本発明の磁気ランダムアクセスメモリは、磁気抵抗効果素子(20)と、第1ビット線(BL1)と、第2ビット線(BL2)と、ワード線(WL)とを具備する。磁気抵抗効果素子(20)は、上記いずれか一項に記載されている。第1ビット線(BL1)は、二つの第1磁化固定層(2a、2b)の一方に第1トランジスタ(TR1)を介して接続されている。第2ビット線(BL2)は、二つの第1磁化固定層(2a、2b)の他方に第2トランジスタ(TR2)を介して接続されている。ワード線(WL)は、第1トランジスタ(TR1)及び第2トランジスタ(TR2)のゲートに接続されている。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、磁気抵抗効果素子(20)に第1データを書き込むための第1書き込み動作時、ワード線(WL)が選択され、第1ビット線(BL1)、第1トランジスタ(TR1)、二つの第1磁化固定層(2a、2b)のいずれか一方、磁化自由層(3)、二つの第1磁化固定層(2a、2b)の他方、第2トランジスタ(TR2)、及び第2ビット線(BL2)を通る書き込み電流経路において、第1書き込み電流(IW1)が第1の向きに流れる。磁気抵抗効果素子(20)に第2データを書き込むための第2書き込み動作時、ワード線(WL)が選択され、書き込み電流経路において、第2書き込み電流(IW2)が第1の向きとは逆の第2の向きに流れる。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、磁気抵抗効果素子(20)のデータを読み出すための読み出し動作時に、ワード線(WL)が選択され、第2ビット線(BL2)から、第2トランジスタ(TR2)、二つの第1磁化固定層(2a、2b)の一方、磁化自由層(3)、非磁性層(4)、及び第2磁化固定層(5)を通る読み出し電流経路において、読み出し電流が流れる。
本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法は、(a)基板(11)の表面に対して凸部(31)を形成する工程と、(b)基板(11)及び凸部(31)を覆うように反強磁性膜(1)を形成する工程と、(c)基板(11)の表面に略垂直な方向に反強磁性膜(1)をエッチングして、凸部(31)の側面に二つの反強磁性層(1a、1b)を形成する工程と、(d)基板(11)、二つの反強磁性層(1a、1b)及び凸部(31)の上部の各々の表面を覆うように、第1磁性膜(32)、非磁性膜(33)、及び第2磁性膜(34)をこの順に積層する工程と、(e)第2磁性膜(34)をエッチングして、凸部(31)の上部の非磁性膜(33)上に、第2磁化固定層(5)を形成する工程と、(f)非磁性膜(33)及び第1磁性膜(32)をエッチングして、二つの反強磁性層(1a、1b)の側面を覆うように第1磁性膜(32)で形成された二つの第1磁化固定層(2a、2b)と、凸部(31)の上部を覆うように第1磁性膜(32)で形成された磁化自由層(3)とを形成する工程とを具備する。
本発明において、反強磁性層(1a、1b)が凸部(31)の側壁部分に自己整合的に形成されるため、磁気抵抗効果素子(20)の面積、延いては磁気メモリセル(21)の面積を小さくすることができる。また、磁化自由層(3)と第1磁化固定層(2a、2b)は同一膜(32)で形成されるため、磁化自由層(3)と第1磁化固定層(2a、2b)との接続部に絶縁層が形成されるなどの電気的な不良が発生しない。
上記の磁気抵抗効果素子の製造方法において、(a)ステップにおいて、(a1)基板(11)の表面を覆うように絶縁膜を形成する工程と、(a2)基板(11)の表面に対して略垂直な側面を有する凸部(31)を形成するように絶縁膜をエッチングする工程とを備える。
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの製造方法は、(a)半導体基板上に半導体回路を形成する工程と、(b)上記各項いずれかに記載の磁気抵抗効果素子の製造方法を実行する工程とを具備する。
微細化可能で、微細化においても書き込み電流をより小さくすることが可能な磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリ及びそれらの製造方法を得ることが出来る。広い書き込みマージンを有し、大きなセル面積を要さず、かつ設計自由度の高い磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリ及びそれらの製造方法を得ることが出来る。
以下、添付図面を参照して、本発明による磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリ(以下、「MRAM」ともいう)、及びそれらの製造方法について説明する。
図1は、本発明の磁気抵抗効果素子を磁気メモリセルに適用したMRAMの実施の形態の構成を示すブロック図である。MRAM50は、メモリセルアレイ51、Xセレクタ52、Yセレクタ53、Y側電流終端回路54、Y側電流源回路55、Y側電流源回路56、読み出し電流負荷回路57、センスアンプ58を具備する。
メモリセルアレイ51は、X方向へ延在するワード線WLと、Y方向へ延在する第1ビット線BL1及び第2ビット線BL2の複数のビット線対と、複数のワード線WLと複数のビット線対との交点の各々に対応して行列状に設けられた複数の磁気メモリセル21とを備える。ただし、複数の磁気メモリセル21は、データの記録に用いられる磁気メモリセル21と共に、データ読み出しの際に参照されるリファレンスセル21rを含んでいる。リファレンスセル21rの基本構造は、磁気メモリセル21のものと同じである。複数のビット線対は、リファレンスセル用の第1ビット線BL1r及び第2ビット線BL2rの複数のビット線対を含んでいる。
磁気メモリセル21は、第1トランジスタTR1、第2トランジスタTR2、及び磁気抵抗効果素子20を備える。第1トランジスタTR1は、そのゲート電極をワード線WLに、一方のソース・ドレイン電極を第1ビット線BL1に、他方のソース・ドレイン電極を磁気抵抗効果素子20に、それぞれ接続されている。第2トランジスタTR2は、そのゲート電極をワード線WLに、一方のソース・ドレイン電極を第2ビット線BL2に、他方のソース・ドレイン電極を磁気抵抗効果素子20に、それぞれ接続されている。磁気抵抗効果素子20は、第1端子を第1トランジスタTR1のソース・ドレイン電極に、第2端子を第2トランジスタTR2のソース・ドレイン電極に、第3端子を配線14を介して接地にそれぞれ接続されている。磁気抵抗効果素子20の詳細な構造は後述する。
Xセレクタ52は、書き込み動作時及び読み出し動作時に、複数のワード線WLから選択ワード線WLsを選択する。それにより、選択ワード線WLsにゲート電極を接続された第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2はオンになる。Yセレクタ53は、書き込み動作時及び読み出し動作時に、複数の第2ビット線BL2から選択第2ビット線BL2sを選択する。それにより、書き込み動作時に選択第2ビット線BL2sへY側電流源回路55から書き込み電流IW2を供給するか、又は書き込み電流IW1を終端する。また、読み出し動作時に複数の第2ビット線BL2へ読み出し電流負荷回路57から読み出し電流IRを供給する。
Y側電流終端回路54は、書き込み動作時に、複数の第1ビット線BL1から選択第1ビット線BL1sを選択する。それにより、書き込み動作時に選択第1ビット線BL1sへY側電流源回路56から書き込み電流IW1を供給するか、又は書き込み電流IW2を終端する。Y側電流源回路55は、書き込み動作時にYセレクタ53を介して選択第2ビット線BL2sへ書き込み電流IW2を供給する。Y側電流源回路56は、書き込み動作時にY側電流終端回路54を介して選択第1ビット線BL1sへ書き込み電流IW1を供給する。
読み出し電流負荷回路57は、読み出し動作時にYセレクタ53を介して選択第2ビット線BL2sへ読み出し電流IRを供給する。それと共に、読み出し動作時にリファレンスセル用の第2ビット線BL2rへ同じ読み出し電流IRを供給する。センスアンプ58は、読み出し動作時に、選択第2ビット線BL2sの電位とリファレンスセル用の第2ビット線BL2rとの電位を比較することで、選択第2ビット線BL2s、及び選択第1ワード線WL1sとで選択される磁気メモリセル1(以下、「選択セル21s」ともいう)に格納されたデータ(情報)を読み出す。
これらXセレクタ52、Yセレクタ53、Y側電流終端回路54、Y側電流源回路55、及びY側電源回路56は、磁気メモリセル21に書き込み電流IW1,IW2を供給するための「書き込み電流回路」を構成している。
これらワード線WL、第1ビット線BL1、及び第2ビット線BL2を制御するための周辺回路は、当業者により適宜設計され得る。また、MRAMの構成は、この例に限定されるものではなく、本発明の磁気抵抗効果素子を適用していれば、他の構成を有していても良い。
書き込み・読み出しの双方において、選択セル21sにつながる選択ワード線WLsが選択され、その電位が“High”に設定される。これにより、選択セル21sの第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2がONになる。
選択セル21sにデータ「1」を書き込む場合、選択第1ビット線BL1s及び選択第2ビット線BL2sの電位は、それぞれ“High”及び“Low”に設定される。その結果、第1書き込み電流IW1が、選択第1ビット線BL1sから、第1トランジスタTR1、磁気抵抗効果素子20及び第2トランジスタTR2を経由して、選択第2ビット線BL2sに流れる。一方、データ「0」を書き込む場合、選択第1ビット線BL1s及び選択第2ビット線BL2sの電位は、それぞれ“Low”及び“High”に設定される。その結果、第2書き込み電流IW2が、選択第2ビット線BL2sから、第2トランジスタTR2、磁気抵抗効果素子20及び第1トランジスタTR1を経由して、選択第1ビット線BL1sに流れる。
データを読み出す場合、例えば、選択第2ビット線BL2sの電位は“High”に設定され、第1ビット線BL1は“Open”に設定される。これにより、読み出し電流IRが、選択第2ビット線BL2sから、第2トランジスタTR2、磁気抵抗効果素子20及び配線14を経由して、接地に流れる。
次に、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態の構成について説明する。図2は、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態の構成を示す断面図である。磁気抵抗効果素子20は、半導体回路(図示されず)を作製された基板11上に作製される。半導体回路との電気的な接続は、第1層間絶縁層18に埋設された二つの金属層12を介して行われる。磁気抵抗効果素子20は、二つの反強磁性層1a,1bと、二つの第1磁化固定層2a,2bと、磁化自由層3と、非磁性層4と、第2磁化固定層5と、反強磁性層6と、キャップメタル7を備えている。
二つの反強磁性層1a,1bは、それぞれ二つの金属層12の一部表面上に、基板11表面に対して略垂直に形成されている。すなわち、二つの反強磁性層1a,1bは、絶縁膜(例示:SiO(酸化シリコン)、SiNx(窒化シリコン))の凸部31の側面に沿って、金属層12から略垂直上方に伸びるように設けられている。
二つの第1磁化固定層2a,2bは、それぞれ二つの金属層12の一部表面上に、基板11表面に対して略垂直に形成されている。すなわち、二つの第1磁化固定層2a,2bは、二つの反強磁性層1a,1bに沿って、金属層12から略垂直上方に伸びるように設けられている。二つの第1磁化固定層2a,2bは、それぞれ二つの反強磁性層1a,1bに接し、それらによって磁化方向が固定されている。第1磁化固定層2aは、例えば第1トランジスタTR1に金属層12を介して接続されている。一方、第1磁化固定層2bは、例えば、第2トランジスタTR2に他の金属層12を介して接続されている。
磁化自由層3は、二つの第1磁化固定層2a,2bの上部を接続するように、基板11表面に対して略平行に形成されている。磁化自由層3は、第1磁化固定層2a,2bと同一膜で形成されている。第1磁化固定層2a、磁化自由層3及び第1磁化固定層2bは、この順に連続(一体化)している。
非磁性層4は、連続した第1磁化固定層2a、磁化自由層3及び第1磁化固定層2bに隣接して、それらを覆うように形成されている。第2磁化固定層5は、非磁性層4を挟んで磁化自由層3とは反対側に、基板11表面に対して略平行に形成されている。反強磁性層6は、第2磁化固定層5上に形成されている。反強磁性層6は、第2磁化固定層の磁化を固定するために設けられている。キャップメタル7は、反強磁性層6を保護すると共に、上部で金属層13と電気的に接続されている。非磁性層4、第2磁化固定層5、反強磁性層6、キャップメタル7は、保護層15に覆われている。
磁気抵抗効果素子20は、磁化自由層3の磁化の向きと第2磁化固定層5の磁化の向きとの相対角度(平行及び反平行のいずれか)により、情報を記憶する。
なお、第2磁化固定層5の磁化方向は、反強磁性層6によって固定しても良いし、第2磁化固定層5自身の磁気異方性を用いて固定しても良い。それを示しているのが図3である。図3は、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態の他の構成を示す断面図である。第2磁化固定層5の磁化方向が、反強磁性層6を用いずに、第2磁化固定層5自身の磁気異方性で固定されている。この場合、第2磁化固定層5としては保磁力の大きい永久磁石を用いるのが好ましい。
さらに、磁気抵抗効果素子20は、キャップメタル7の上部に作製される金属層13を介して配線14に電気的に接続されている。配線14は、基板11に作製された半導体回路(例示:接地線)と接続されている。なお、キャップメタル7は金属層13を介して配線14に接続されているが、キャップメタル7と配線14とを直接接続しても良い。それを示しているのが図4である。図4は、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態の更に他の構成を示す断面図である。キャップメタル7と配線14とが、金属層13を用いずに直接接続されている。
次に、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態における読み出し動作について、図2を参照して説明する。この磁気抵抗効果素子20における情報の読み出しは、磁気抵抗効果を利用する。すなわち、配線14と一方の金属層12との間に電位差を与えたとき、非磁性層4を介して第2磁化固定層5から磁化自由層3(もしくはその逆)に読み出し電流IRが流れる。このとき、磁化自由層3の磁化の向きが第2磁化固定層5の向きに対して平行か反平行かによって抵抗値が異なる。したがって、この抵抗値の変化を検出することによって情報を読み出すことができる。
次に、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態における書き込み動作について、図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態における書き込み動作を示す概略図である。ただし、磁気抵抗効果素子20への情報の書き込みは、磁化自由層3の磁化の向きの反転に対応する。図5及び図6には図2乃至図4のうちの第1磁化固定層2a,2bと磁化自由層3のみが示されている。そして、図5には、磁化自由層3が左方向に磁化した状態での磁気モーメントの状態が模式的に示されている。一方、図6には、磁化自由層3が右方向に磁化した状態での磁気モーメントの状態が矢印で模式的に示されている。これら二つの状態はエネルギー的に等しい。
図5のような磁化状態で、第1磁化固定層2a,2b間に電位差を与えることにより、図中に点線の矢印で示すような向きに電子が流れる場合を考える。その場合、磁化自由層3の磁気モーメントは、第1磁化固定層2a側から流れてくる伝導電子の持つスピン磁気モーメントの影響を受ける。その結果、第1磁化固定層2aとの境界にあった磁壁(図中には「D.W.」と表記)は、第1磁化固定層2bとの境界に移動する。それにより、磁化自由層3の磁化は、図6に示されるように第1磁化固定層2aから連続的に繋がった状態になる。
次に、図6のような磁化状態において、第1磁化固定層2a,2b間に電位差を与えることにより、図中に点線で示すような方向に電子が流れる場合を考える。その場合、磁化自由層3の磁気モーメントは、第1磁化固定層2b側から流れてくる伝導電子の持つスピン磁気モーメントの影響を受ける。その結果、第1磁化固定層2bとの境界にあった磁壁(図中には「D.W.」と表記)は、第1磁化固定層2aとの境界に移動する。それにより、磁化自由層3の磁化は、図5に示されるように第1磁化固定層2bから連続的に繋がった状態になる。
以上のように、第1磁化固定層2a,2bと磁化自由層3の間を流れる電流(伝導電子)の方向を制御することにより、磁化自由層3の磁化を反転させ、書き込みを行うことができる。
次に、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態について説明する。図7乃至図18は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。
図7は、半導体回路(図示されず)を作製した基板11を示している。この半導体回路はシリコン基板を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの一般的な集積回路素子で形成されている。その半導体回路は、例えば、図1の第1トランジスタTR1、第2トランジスタTR2、Xセレクタ52、Yセレクタ53、Y側電流終端回路54、Y側電流源回路55、Y側電流源回路56、読み出し電流負荷回路57、センスアンプ58を含んでいる。
基板11の表面には、この上に形成される磁気抵抗効果素子20と半導体回路とを電気的に接続するための金属層12が露出されている。ここでは、一方の金属層12は第1トランジスタTR1のソース/ドレイン電極に、他方の金属層12は第2トランジスタTR2のソース/ドレイン電極に、それぞれ接続されている。それ以外の表面30は層間絶縁層18になっている。
ここで、図7は、金属層12と絶縁層表面30の上面がCMP(Chemical Mechanical Polishing)のような研磨プロセスを用いてほぼ平坦に処理された場合を示している。しかし、金属層12と絶縁層表面30の上面が必ずしも平坦化されている必要はない。金属層12は、半導体回路の配線と磁気抵抗効果素子20とが電気的に接続される材料であれば良い。金属層12としては、例えば、W(タングステン)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、などの金属およびTiN(窒化チタン)、TaN(窒化タンタル)、などの金属化合物が用いられる。
図7の状態において、その表面にCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて絶縁膜(SiO(酸化シリコン)、SiNx(窒化シリコン)、など)を堆積させる。次に、その絶縁膜が二つの金属層12の間に残るように、フォトリソグラフィー技術を用いてフォトマスクを形成する。続いて、ドライエッチングなどの比較的基板11に対して垂直に加工できるエッチング技術を用いて、その絶縁膜のうちフォトマスクで覆われた部分以外の部分を除去する。その後、フォトマスクを除去する。図8は、フォトマスク除去後の状態を示している。この工程により、金属層12間に絶縁膜の凸部31が形成される。なお、絶縁膜による凸部31の端と金属層12の端は必ずしも完全に一致する必要はなく、多少のズレがあっても構わない。
図8の状態において、その表面に反強磁性膜1をスパッタなどの成膜技術を用いて堆積させる。図9は、反強磁性膜1の成膜後の状態を示している。この反強磁性膜1としては、Fe(鉄)−Mn(マンガン)、Pt(白金)−Mn(マンガン)、Ir(イリジウム)−Mn(マンガン)、Ni(ニッケル)−Mn(マンガン)などが例示される。
図9の状態において、ミリングなどの異方性を持ったエッチング技術を用いて、凸部31の側壁部にのみ反強磁性膜1が残るように、基板11の表面に略垂直な方向に反強磁性膜1をエッチングする(サイドウォールプロセス)。図10は、サイドウォールプロセス後の状態を示している。サイドウォールプロセスにより、二つの反強磁性層1a、1bが形成されている。二つの反強磁性層1a、1bは、必ずしも金属層12に接触していなくても良い。すなわち、凸部31の端と金属層12の端とは多少のずれ(例示:反強磁性膜1の膜厚分)があっても良い。
図10の状態において、その表面に、磁性膜32、非磁性膜33、磁性膜34、反強磁性膜35、金属膜36を、スパッタなどの成膜技術を用いて、この順番に成膜する。図11は、これらの膜を成膜後の状態を示している。このとき、磁性膜32は、金属層12に接触している。
磁性膜32および磁性膜34としては、例えば、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、またはそれらを主成分とする合金を用いることができる。この中で特にFe(鉄)−Ni(ニッケル)、Fe(鉄)−Co(コバルト)−Ni(ニッケル)、Fe(鉄)−Co(コバルト)などが望ましい。またこれらの磁性体には、Ag(銀)、Cu(銅)、Au(金)、B(ボロン)、C(炭素)、N(窒素)、O(酸素)、Mg(マグネシウム)、Al(アルミニウム)、Si(シリコン)、P(リン)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブテン)、Hf(ハフニウム)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)などの非磁性元素を添加しても良い。それにより、磁気特性を調整したり、その他結晶性、機械的特性、化学的特性などの各種性質を調整したりすることができる。
なお、磁性膜32と磁性膜34は同じ材料である必要はなく、磁気特性、プロセス条件など必要に応じて上記材料より個別に任意に選択して良い。
非磁性膜33としては、例えば、Al(酸化アルミニウム)、SiO(酸化シリコン)、MgO(酸化マグネシウム)、AlN(窒化アルミニウム)、などの絶縁体が好ましい。ただし、他にCu(銅)、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)、Zn(亜鉛)などの非磁性金属を用いることもできる。また上記絶縁体は、化学量論的に見て完全に正確な組成である必要はなく、酸素、窒素などの過不足が存在しても良い。
反強磁性膜35としては、例えば、Fe(鉄)−Mn(マンガン)、Pt−Mn(マンガン)、Ir(イリジウム)−Mn(マンガン)、Ni(ニッケル)−Mn(マンガン)などを用いることができる。
金属膜36としては、例えば、W(タングステン)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、などの金属およびTiN(窒化チタン)、TaN(窒化タンタル)、などの金属化合物が用いられる。
図11の状態において、その表面にマスク層37を形成する。図12は、マスク層37を成膜後の状態を示している。このマスク層37は金属膜36、反強磁性膜35、磁性膜34をエッチングするために十分な耐性を持つ材料で形成されている。マスク層37としては、例えば、フォトマスクもしくはハードマスク(SiO(酸化シリコン)、SiNx(窒化シリコン)、などの絶縁膜)が用いられる。
図12の状態において、マスク層37をエッチングマスクとして、金属膜36、反強磁性膜35、磁性膜34をエッチングする。これらのエッチングにはドライエッチングなどの、基板11に対して比較的垂直に加工できるエッチング技術が用いられる。その後、マスク層37を除去する。図13は、マスク層37の除去後の状態を示している。エッチングマスクの形が転写されて、第2磁化固定層5と、第2磁化固定層の磁化を固定するための反強磁性層6と、キャップメタル7とがそれぞれ形成されている。
図13の状態において、露出した非磁性膜33の表面、第2磁化固定層5、反強磁性層6及びキャップメタル7を覆うように保護膜38を成膜する。図14は、保護膜38を成膜後の状態を示している。保護膜38は、第2磁化固定層5及び反強磁性層6の側面を、以後の作製工程によるプロセスダメージから保護する。この保護膜38としては、例えば、Al(酸化アルミニウム)、SiO(酸化シリコン)、MgO(酸化マグネシウム)、AlN(窒化アルミニウム)などの絶縁体が用いられる。
図14の状態において、その表面における第2磁化固定層5、反強磁性層6及びキャップメタル7を覆う保護膜38を覆うようにマスク層39を形成する。図15は、マスク層39を成膜後の状態を示している。このマスク層39は保護膜38、非磁性膜33、磁性層32をエッチングするために十分な耐性を持つ材料で形成されている。マスク層39としては、例えば、フォトマスクもしくはハードマスク(SiO(酸化シリコン)、SiNx(窒化シリコン)、などの絶縁膜)が用いられる。
図15の状態において、マスク層39をエッチングマスクとして、保護膜38、非磁性膜33、磁性層32をエッチングする。これらのエッチングにはドライエッチングなどの、基板11に対して比較的垂直に加工できるエッチング技術が用いられる。その後、マスク層39を除去する。図16は、マスク層39の除去後の状態を示している。エッチングマスクの形が転写されて、保護層15および非磁性層4が形成されている。さらに、マスク状に形状加工された磁性膜32のうち、凸部31の上の部分が磁化自由層3、反強磁性層1a、1bに隣接して側壁に形成された部分が第1磁化固定層2a、2bとして形成されている。
図16の状態において、その表面にCVD法などの方法を用いて層間絶縁層19を堆積させる。続いて、CMPなどの研磨を用いて、層間絶縁層19の表面を平坦化する。その後、フォトリソグラフィー技術を用いてフォトマスクを形成して、層間絶縁層19および保護膜15の上部をエッチングすることにより、ビア17を形成する。図17は、ビア17を形成後の状態を示している。層間絶縁層19には、プラズマ酸化膜、プラズマ窒化膜などの、一般的な集積回路の配線工程で用いられる層間絶縁膜を使うことができる。なお、図17の層間絶縁層19はCMPなどの研磨を用いて表面が平坦化された例を示しているが、必ずしも表面を平坦化する必要はない。
図17の状態において、その表面に金属膜を形成する。その後、その金属膜上にマスク層を形成する。そして、それをエッチングマスクとしてその金属膜をエッチングし、配線14を形成する。これらのエッチングにはドライエッチングなどの、基板11に対して比較的垂直に加工できるエッチング技術が用いられる。図18は、層間絶縁層19及びビア17に配線14を形成した状態を示している。配線14としては、例えば、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)などの金属の他、AlCuなどの金属の合金が用いられる。
以上のようにして、本発明の磁気抵抗効果素子が製造される。
本発明は、磁化自由層3、二つの第1磁化固定層2a、2b、第1磁化固定層2a、2bの磁化方向を固定する役割を持つ二つの反強磁性層1a、1b、非磁性層4および第2磁化固定層5を有し、かつ二つの反強磁性層1a、1bは凸部31の側壁部分に自己整合的に形成されている。さらに磁化自由層3と第1磁化固定層2a、2bが同一磁性膜であり、同膜の両端の磁化方向を反強磁性層によって基板に垂直方向に互いに平行に固定することで第1磁化固定層が形成されている。二つの第1磁化固定層2a、2bの間に存在する磁化自由層3の磁化は、第2磁化固定層5の磁化と平行か反平行の2方向を取り得る。
そのため、第1磁化固定層2a、2bの磁化が反強磁性層1a、1bにより固定されているので、磁壁消失による動作不良が発生しない。また、反強磁性層1a、1bが基板11の凸部31の側壁部分に自己整合的に形成されるためセル面積を小さくすることができる。更に、磁化自由層3と第1磁化固定層1a,1bとは同一膜で形成されるため、磁化自由層3と第1磁化固定層1a,1bとの接続部に絶縁層が形成されるなどの電気的な不良が発生しない。
図1は、本発明の磁気抵抗効果素子を磁気メモリセルに適用したMRAMの実施の形態の構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態の構成を示す断面図である。 図3は、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態の他の構成を示す断面図である。 図4は、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態の更に他の構成を示す断面図である。 図5は、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態における書き込み動作を示す概略図である。 図6は、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態における書き込み動作を示す概略図である。 図7は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。 図8は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。 図9は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。 図10は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。 図11は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。 図12は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。 図13は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。 図14は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。 図15は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。 図16は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。 図17は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。 図18は、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態の製造フローを示す概略斜視図である。
符号の説明
1 反強磁性膜
1a,1b 反強磁性層
2a,2b 第1磁化固定層
3 磁化自由層
4 非磁性層
5 第2磁化固定層
6 反強磁性層
7 キャップメタル
11 基板金属層
12 金属層
14 配線
15 保護層
18、19 層間絶縁層
20 磁気抵抗効果素子
30 表面
31 凸部
32 磁性膜
33 非磁性膜
34 磁性膜
35 反強磁性膜
36 金属膜
37、39 マスク層
38 保護膜
50 MRAM
51 メモリセルアレイ
52 Xセレクタ
53 Yセレクタ
54 Y側電流終端回路
55 Y側電流源回路
56 Y側電流源回路
57 読み出し電流負荷回路
58 センスアンプ

Claims (10)

  1. 基板の表面に対して略垂直に設けられた二つの反強磁性層と、
    前記二つの反強磁性層に略平行に設けられた二つの第1磁化固定層と、
    前記二つの第1磁化固定層の一方の上端に一端を、他方の上端に他端を、それぞれ接続され、磁化の向きが可変である磁化自由層と、
    前記磁化自由層に隣接して設けられる非磁性層と、
    前記非磁性層に隣接し、前記磁化自由層とは反対側に設けられ、磁化が一方向に固定された第2磁化固定層と
    を具備し、
    前記二つの第1磁化固定層と前記磁化自由層とは、同一磁性膜で構成され、
    前記同一磁性膜の両端部である前記二つの第1磁化固定層の磁化の向きは、前記二つの反強磁性層で固定される
    磁気抵抗効果素子。
  2. 請求項1に記載の磁気抵抗効果素子において、
    前記二つの第1磁化固定層の磁化の向きは、前記基板の表面に対して同じ向きに固定される
    磁気抵抗効果素子。
  3. 請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果素子において、
    前記磁化自由層に第1データを書き込むための第1書き込み動作時、前記二つの第1磁化固定層のいずれか一方、前記磁化自由層、及び前記二つの第1磁化固定層の他方を通る書き込み電流経路において、第1書き込み電流が第1の向きに流れ、
    前記磁化自由層に第2データを書き込むための第2書き込み動作時、前記書き込み電流経路において、第2書き込み電流が前記第1の向きとは逆の第2の向きへ流れる
    磁気抵抗効果素子。
  4. 請求項3に記載の磁気抵抗効果素子において、
    前記磁化自由層のデータを読み出すための読み出し動作時に、
    前記二つの第1磁化固定層のいずれか一方、前記磁化自由層、前記非磁性層、及び第2磁化固定層を通る読み出し電流経路において、読み出し電流が流れる
    磁気抵抗効果素子。
  5. 請求項1乃至2のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子と、
    前記前記二つの第1磁化固定層の一方に第1トランジスタを介して接続された第1ビット線と、
    前記前記二つの第1磁化固定層の他方に第2トランジスタを介して接続された第2ビット線と、
    前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのゲートに接続されたワード線と
    を具備する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  6. 請求項5に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記磁気抵抗効果素子に第1データを書き込むための第1書き込み動作時、
    前記ワード線が選択され、前記第1ビット線、前記第1トランジスタ、前記二つの第1磁化固定層のいずれか一方、前記磁化自由層、前記二つの第1磁化固定層の他方、前記第2トランジスタ及び前記第2ビット線を通る書き込み電流経路において、第1書き込み電流が第1の向きに流れ、
    前記磁気抵抗効果素子に第2データを書き込むための第2書き込み動作時、
    前記ワード線が選択され、前記書き込み電流経路において、第2書き込み電流が前記第1の向きとは逆の第2の向きに流れる
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  7. 請求項6に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記磁気抵抗効果素子のデータを読み出すための読み出し動作時に、前記ワード線が選択され、第2ビット線、第2トランジスタ、前記二つの第1磁化固定層の前記一方、前記磁化自由層、前記非磁性層、及び第2磁化固定層を通る読み出し電流経路において、読み出し電流が流れる
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  8. (a)基板の表面に対して凸部を形成する工程と、
    (b)前記基板及び前記凸部を覆うように反強磁性膜を形成する工程と、
    (c)前記基板の表面に略垂直な方向に前記反強磁性膜をエッチングして、前記凸部の側面に二つの反強磁性層を形成する工程と、
    (d)前記基板、前記二つの反強磁性層及び前記凸部の上部の各々の表面を覆うように、第1磁性膜、非磁性膜、及び第2磁性膜をこの順に積層する工程と、
    (e)前記第2磁性膜をエッチングして、前記凸部の上部の前記非磁性膜上に、第2磁化固定層を形成する工程と、
    (f)前記非磁性膜及び第1磁性膜をエッチングして、前記二つの反強磁性層の側面を覆うように前記第1磁性膜で形成された二つの第1磁化固定層と、前記凸部の上部を覆うように前記第1磁性膜で形成された前記磁化自由層とを形成する工程と
    を具備する
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  9. 請求項8に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法において、
    前記(a)ステップにおいて、
    (a1)前記基板の表面を覆うように絶縁膜を形成する工程と、
    (a2)前記基板の表面に対して略垂直な前記側面を有する前記凸部を形成するように前記絶縁膜をエッチングする工程と
    を備える
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  10. (a)半導体基板上に半導体回路を形成する工程と、
    (b)請求項8又は9に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法を実行する工程と
    を具備する
    磁気ランダムアクセスメモリの製造方法。
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