JP2008047174A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁性粉末を微粒子化してもテープ長手方向において十分な角型比(Br/Bm)を有する高密度記録に適した磁気記録媒体を実現する。
【解決手段】磁性層を構成する磁性粉末として、少なくとも鉄および窒素を構成元素とし且つFe162 相を含む平均粒子サイズが10nm以上30nm以下の粒状ないし楕円状の磁性粉末を用いた磁気記録媒体において、前記磁性粉末の平均粒子サイズをd、粒子サイズの標準偏差値をσとしたときに、σ/dが、0.2以上0.4以下の範囲にある磁性粉末を特に使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、高密度磁気記録に適した塗布型の磁気記録媒体に関し、具体的には主としてデジタルビデオテープ、コンピユータ用のバックアップテープなどの磁気テープに関する。
非磁性支持体上に磁性粉末と結合剤と含有する磁性層を塗布形成してなる塗布型の磁気記録媒体においては、記録再生方式がアナログ方式からデジタル方式への移行に伴い、一層の記録密度の向上が要求されている。とくに、高記録密度用のビデオテープやコンピュータ用のバックアップテープなどにおいては、この要求が、年々、高まってきている。
記録密度の向上に不可欠な短波長記録に対応するためには記録時の厚み損失を小さくする必要があり、そのためには磁性層の厚さを薄くするのが効果的である。このような高記録密度媒体に記録されたデータや信号を読み出すための再生用磁気ヘッドとしては、従来の磁気誘導型の磁気ヘッド(MIGヘッド)に比べて高出力が得られる磁気抵抗効果型の磁気ヘッド(MRヘッド)が一般に用いられる。
一方、磁気記録媒体の高記録密度化に向けて磁性粉末においても各種特性の改善・改良が試みられている。そのような磁性粉末として、鉄−コバルト合金の針状磁性粉や、窒化鉄Fe162 相を主相とした磁性粒子が提案されている(特許文献1〜5、9、10参照)。
本発明者らも、高密度記録に適した磁性粉末として、Fe162 相を含む粒状ないし楕円状の磁性粉末を提案した(特許文献6〜8参照)。この磁性粉末は、粒子サイズが5〜50nmの希土類元素やアルミニウム、シリコンなどを含有させることを特徴としており、従来の磁性粉末では得られない優れた短波長特性を示し、高密度記録を可能にし(特許文献6、8参照)、得られる磁性粉末の保存安定性を向上させるものである(特許文献7参照)。
特開平3−49026号公報 特開平10−83906号公報 特開平10−340805号公報 特開2001−181754号公報 特開2000−277311号公報 特開2004−273094号公報 特開2005−310857号公報 特開2005−63525号公報 WO03/079332Alパンフレット WO03/079333Alパンフレット
しかしながら、上記のようなFe162 相を含む磁性粉末においても、高記録密度化に向けて磁性粉末粒子の更なる微粒子化が図られている。そのため、磁性層形成用の磁性塗料を得るのに不可欠な分散工程において、磁性粉末を均一に分散させることが困難になっている。このような分散性の低下は、結果として、得られた磁気テープにおいて記録再生特性に影響するテープ長手方向の角型比Br/Bm(残留磁束密度/飽和磁束密度)の低下という問題を招来する。
また、上記のような磁性粉末は、通常、特許文献9、10に記載されているように、ヘマタイト、マグネタイト、ゲータイトのような鉄系酸化物または水酸化物を出発原料に用い、これに少なくとも希土類元素、アルミニウム、シリコンから選ばれる元素を被着させた後、水素ガスなどの還元ガス中で加熱還元処理を行い、その後、アンモニアを含むガス中で加熱窒化処理を行うことにより製造される。その際、出発原料を得る過程で、攪拌速度やpH値、あるいは反応剤の混合比により、出発原料の平均粒子サイズ(平均粒径)と粒径分布が変化し、ひいては最終的に得られる磁性粉末の平均粒子サイズや粒径分布も変化する。さらに、被着させる希土類元素の種類や被着量、あるいは加熱還元処理条件によっても、最終的に得られる磁性粉末の平均粒子サイズや粒径分布が変化する。この場合、磁性粉末(たとえば磁性粉末Aと磁性粉末B)の粒子組成が同一で且つ平均粒子サイズも同一であったとしても、粒径分布が異なっていれば、これらを用いてそれぞれ形成された磁性層は互いに異なった磁気特性を示す。すなわち、粒径分布aの磁性粉末Aを用いて形成された磁性層を有する磁気テープと、粒径分布bの磁性粉末Bを用いて形成された磁性層を有する磁気テープとでは、記録再生特性に影響するテープ長手方向の角型比Br/Bm(残留磁束密度/飽和磁束密度)も異なったものとなる。したがって、高記録密度化に向けて磁性粉末粒子の更なる微粒子化を図るにしても、その粒径分布をも同時に考慮する必要があり、塗料化する際の分散手法だけでは磁気テープの記録再生特性に影響する長手方向の角型比Br/Bm(残留磁束密度/飽和磁束密度)を安定的に向上させることはできなかった。
本発明は、上記のような問題に対処するもので、Fe162 相を含む磁性粉末を使用した磁性層を有する塗布型の磁気記録媒体(特に磁気テープ)において、高記録密度化に対応すべく磁性粉末の粒子サイズを微粒子化した際に、記録再生特性に影響する長手方向(テープ長手方向)の角型比Br/Bmを確実に向上させることを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、非磁性支持体と、この非磁性支持体の一方の面側に設けられた、磁性粉末および結合剤を含有する磁性層とを有し、前記磁性粉末が、少なくとも鉄および窒素を構成元素とし且つFe162 相を含む平均粒子サイズが10nm以上30nm以下の粒状ないし楕円状の磁性粉末からなる磁気記録媒体において、前記磁性粉末の平均粒子サイズをd、粒子サイズの標準偏差値をσとしたときに、σ/dが、0.2以上0.4以下の範囲にあることを特徴とするものである。
ここで、本発明でいう磁性粉末の平均粒子サイズ(平均粒子径ともいう)および粒子サイズの標準偏差値とは、電解放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用い、磁性層中の結合剤の影響を抑えるため加速電圧を2〜5kVとし、当該磁性粉末を含有した磁性層塗膜の表面を倍率30万倍で観察して、得られた反射電子像写真から粒子サイズを300個以上実測し、その粒子サイズと平均値により求められるものである。また、磁性粉末について粒状ないし楕円状とは、磁性粉末粒子の短軸方向に対する長軸方向の長さの比が1以上2以下のものをいい、粒子サイズとは磁性粉末粒子の外接円の直径をいう。
上記のような所定の窒化鉄系磁性粉末を用いる磁気記録媒体において、当該磁性粉末の平均粒子サイズをd、粒子サイズの標準偏差値をσとしたときに、σ/dが0.2以上0.4以下の範囲にある磁性粉末を特に選択して使用することにより、テープの長手方向の角型比が向上し、記録再生特性に優れた磁気記録媒体が得られる。
また、分散性の観点から、磁性粉末は、希土類元素、シリコンおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の元素を、鉄に対して0.05原子%以上20.0原子%以下含有していることが好ましい。さらに、耐食性の観点から、チタン、バナジウム、タングステンおよびモリブデンの中から選ばれる少なくとも1種の元素を、鉄に対して0.05原子%以上20.0原子%以下を含有していることが好ましい。
なお、本発明では、上記のように窒化鉄系磁性粉末を用いた磁気テープの長手方向の角型比を向上させるため、磁性粉末の平均粒子サイズをd、粒子サイズの標準偏差値をσとしたときのσ/dの最適範囲を示したが、磁性粉末粒子の短軸方向に対する長軸方向の長さの比が1以上2以下の磁性粉末であれば、本発明におけるような粒子状ないし楕円状の窒化鉄系磁性粉末と同様に分散が困難になるため、現在広く使用されているFe、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Niを主成分とする金属あるいは合金磁性粉末を磁性層に用いた磁気記録媒体においても、σ/dが上記の条件を満たすようにすることにより、同様の効果(テープ長手方向の角型比の向上)が期待できる。
本発明によれば、磁性層に含有させる磁性粉末として、少なくとも鉄および窒素を構成元素とし且つFe162 相を含む平均粒子サイズが10nm以上30nm以下の粒状ないし楕円状の磁性粉末であり、さらに当該磁性粉末粒子の平均粒子サイズをd、粒子サイズの標準偏差値をσとしたときに、σ/dが0.2以上0.4以下であるという条件を満たした磁性粉末を使用するので、磁性粉末を微粒子化してもテープ長手方向の角型比に優れた磁気記録媒体を実現できるという効果(σ/dが上記の範囲にある磁性粉末を用いたことによる効果)が得られ、優れた短波長特性といった磁性粉末自体の効果(上記窒化鉄系粉末を用いたことによる効果)をさらに向上できる。
本発明では、Fe162 相を少なくとも含む平均粒子サイズが10〜30nmの粒状ないし楕円状の磁性粉末を使用する。この磁性粉末において、鉄に対する窒素の含有量は1.0〜20.0原子%が好ましい。より好ましくは5.0〜18.0原子%、さらに好ましくは8.0〜15.0原子%である。窒素の含有量が少なすぎると、Fe162 相の形成量が少なく、保磁力増加の効果が少なくなり、多すぎると、Fe4 NやFe3 N相などが形成されやすく、保磁力増加の効果が少なくなり、また飽和磁化が過度に低下するおそれがあるからである。
この磁性粉末は、鉄に対して希土類元素を0.05〜20.0原子%添加することが好ましい。希土類元素の量が少なすぎると、希土類元素による分散性の向上効果が少なくなり、また還元時の粒子形状維持効果が小さくなる。一方、多すぎると、添加した希土類元素のうち、未反応の部分が多くなり、分散、塗布工程の障害となるばかりでなく、保磁力や飽和磁化の過度な低下が生じやすい。希土類元素としては、イットリウム、イッテルビウム、セシウム、プラセオジウム、ランタン、ユーロピウム、ネオジウムなどが挙げられる。これらのうち、イットリウム、サマリウムまたはネオジウムは、とくに還元時の粒子形状の維持効果が大きいことから、これらの元素の中から、その少なくとも1種を選択使用するのが望ましい。希土類元素のみならず、シリコン、アルミニウム、チタン、バナジウム、タングステン、モリブデンを添加すると、形状維持効果と同時に分散性、耐食性の向上をはかれることから、希土類元素と組み合わせて使用することがより好ましい。
これらの希土類元素やシリコン、アルミニウムを磁性粉末の外層部分に主体的に存在させることで、前記分酸性向上、焼結防止、粒子形状維持効果がより高められ、その結果、保磁力を200kA/m以上と高くできるとともに、高密度記録に適したBET比表面積が40〜100m2 /gの化学的に安定な微粒子磁性粉末を実現することができる。
前記窒化鉄系磁性粉末を製造するにあたっては、出発原料として鉄系酸化物または水酸化物を使用する。たとえばヘマタイト、マグネタイト、ゲータイトなどが挙げられる。これらの粒子サイズとしては5〜50nm、平均粒子サイズを10〜30nmとするのがよい。より好ましくは、粒子サイズとしては5〜40nm、平均粒子サイズを10〜25nmとするのがよい。粒子サイズが小さすぎると、還元処理時に粒子間焼結が生じやすく、また大きすぎると、還元処理が不均質となりやすく、粒子径や磁気特性の制御が困難となる。
この出発原料に対して、希土類元素を被着させることができる。この場合、通常は、アルカリまたは酸の水溶液中に出発原料を分散させ、これに希土類元素の塩を溶解させ、中和反応などにより、出発原料粉末に希土類元素を含む水酸化物や水和物を沈殿析出させるようにすればよい。
また、シリコン、アルミニウム、チタン、バナジウム、タングステン、モリブデンなどの元素で構成された化合物を溶解させ、これに原料粉末を浸漬して、原料粉末に対して、シリコン、アルミニウム、チタン、バナジウム、タングステン、モリブデンを被着させるようにしてもよい。これらの被着処理を効率良く行うため、還元剤、pH緩衝剤、粒径制御剤などの添加剤を混入させてもよい。これらの被着処理として、希土類元素とシリコン、アルミニウム、チタン、バナジウム、タングステン、モリブデンを同時にあるいは交互に被着させるようにしてもよい。また希土類元素やシリコン、アルミニウム、チタン、バナジウム、タングステン、モリブデンなどの元素は、出発原料粉末に被着させることもできるが、出発原料合成時に同時に添加し、後述する加熱処理時に磁性粉表面に析出させることもできる。さらに出発原料合成時に添加することと、原料合成後に被着させることとを組み合わせることもできる。
このような原料を水素気流中で加熱還元する。還元ガスはとくに限定されず、水素ガス以外に、一酸化炭素ガスなどの還元性ガスを使用してもよい。還元温度は300〜600℃が望ましい。還元温度が300℃より低くなると還元反応が十分進まなくなり、600℃を超えると粉末粒子の焼結が起こりやすくなり、いずれも好ましくない。
加熱還元処理後、窒化処理を施すことにより、本発明の鉄と窒素を構成元素とする磁性粉末が得られる。窒化処理としては、アンモニアを含むガスを用いて行うのが望ましい。アンモニアガス単体のほかに、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガスなどをキャリアーガスとした混合ガスを使用してもよい。窒素ガスは安価なため、特に好ましい。
窒化処理温度は、100〜300℃とするのがよい。窒化処理温度が低すぎると、窒化が十分進まず、保磁力増加の効果が少ない。高すぎると、窒化が過剰に促進され、Fe4 NやFe3 N相などの割合が増加して、保磁力がむしろ低下し、さらに飽和磁化の過度な低下を引き起こしやすい。また、窒化状態を最適にするために、窒化処理と、前述の加熱還元処理を複数回組み合わせてもよい。
このような窒化処理にあたり、得られる磁性粉末中の鉄に対する窒素の含有量が1.0〜20.0原子%となるように、窒化処理の条件を選択することが望ましい。上記窒素の量が少なすぎると、Fe162 の生成量が少なくなるため、保磁力向上の効果が少なくなる。また上記窒素の量が多すぎると、Fe4 NやFe3 N相などが形成されやすくなり、保磁力がむしろ低下し、さらに飽和磁化の過度な低下を引き起こしやすい。
本発明で使用する窒化鉄系磁性粉末は、従来の形状磁気異方性のみに基づく針状磁性粉末とは異なり、大きな結晶磁気異方性を有し、粒状形状とした場合でも、一方向に大きな保磁力を発現すると考えられる。
このような磁性材料を平均粒子サイズが10〜30nmの微粒子にすると、磁気ヘッドでの記録・消去が可能な範囲内で高い保磁力と適度な飽和磁化を示し、さらに、そのうちでも、平均粒子サイズをd、粒子サイズの標準偏差値をσとしたときに、σ/dが0.2以上0.4以下を満たす磁性粉末を特に選択使用することにより、テープの長手方向の角型比が向上し、薄層領域の塗布型磁気記録媒体として優れた電磁変換特性を有するものが得られる。σ/dが0.2以上0.4以下を満たす磁性粉末を使用したときにテープ長手方向の角型比が向上するメカニズムは明らかではないが、結晶磁気異方性を有する磁性粒子が隣接した場合に、適度な大きさの異なる磁性粒子が介在することで静磁結合が作用しやすくなり、形状磁気異方性効果を奏するようになることが考えられる。このように、本発明で使用する磁性粉末は、飽和磁化、保磁力、粒子サイズ、粒子サイズ分布、粒子形状のすべてが薄層磁性層を得るのに本質的に適したものである。
本発明の磁気記録媒体は、少なくとも上記した窒化鉄系磁性粉末と結合剤とを溶剤中に分散混合した磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布し乾燥させて、磁性層を形成することにより、作製できる。この場合、同時重層塗布方式により非磁性支持体上に下塗層および磁性層を形成してもよいし、あるいは磁性層の形成に先立ち、非磁性支持体上に、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの非磁性粉末あるいは軟磁性粉末と、結合剤とを含有する下塗り塗料を塗布し乾燥させて下塗層を形成し、この上に磁性層を形成してもよい。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と、これの一方の面に形成された非磁性の下塗層と、この下塗層の上に形成された磁性層と、非磁性支持体の他方の面に形成されたバックコート層とからなる構成とするのが好ましい。これらの構成要素は特に限定されるものではなく、通常磁気記録媒体として使用されているものを使用することができる。これらの構成要素に使用される磁性粉末以外の結合剤、溶剤や研磨材などの素材や各構成要素の作製方法についても特に限定されるものではなく、通常使用されている素材や作製方法を使用できる。さらに、磁性層や下塗層、バックコート層を形成する際に、結合剤や溶剤とともに、アミン系やリン酸系など一般に用いられる防錆剤や分散剤などを添加しても良い。
[実施例]
出発原料を作製する際に、攪拌速度やpH値、あるいは混合比により、出発原料の平均粒径サイズと粒径分布が変化し、被着する希土類元素の種類や被着量、あるいは加熱還元処理条件により得られる磁性粉末の平均粒子サイズや粒径分布が変化する。このため、得られる磁性粉末の平均粒子サイズをd、粒子サイズの標準偏差値をσとしたときに、σ/dが0.2以上0.4以下を満たすようにするには多種多様の組み合わせが考えられる。また、得られた磁性粉末をフィルターや遠心機で分別し、粒径サイズと粒径分布の異なる磁性粉末を適宜再配合する手法などもある。
本発明においては、磁性粉末を得るプロセスによらず、得られる磁性粉末の平均粒子サイズをd、粒子サイズの標準偏差値をσとしたときに、σ/dが0.2以上0.4以下を満たすことが重要であるため、履歴の同じ磁性粉末を使用し、遠心機を用いて平均粒子サイズと粒径分布をコントロールした。
(A) 窒化鉄系磁性粉末の製造:
表面にイットリウムとアルミニウムの酸化物層を形成したマグネタイト粒子を出発原料とした。このマグネタイト粒子100gを、500ccの水に1000rpmで攪拌分散した。次いで、7gの硝酸イットリウムを500ccの水へ溶解し、前記攪拌分散液へ加えた。さらに、2.3gの水酸化ナトリウムを500ccの水へ溶解し、10分間かけて前記拡散分散液へ滴下投入し、さらに継続して30分間攪拌した。この処理により、マグネタイト粒子表面へイットリウムの水酸化物を被着形成した。
また、硝酸アルミニウム25gを500ccの水に溶解した。この硝酸アルミニウム溶液を、上記のイットリウム被着処理後の分散液に、1000rpmで攪拌しながら約10分かけて滴下し、さらに30分間攪拌した。その後、水酸化ナトリウム3.2gを500ccの水に希釈し、この溶液を上記の分散液へ1000rpmで攪拌しながら約10分間かけて滴下投入し、さらに継続して30分間攪拌した。この後、遠心機(KOKUSAN社製 H−201FR)を用い、20000rpmで3時間遠心分離し、上澄み液を除去した後、90℃で乾燥し、マグネタイト粒子の表面にイットリウムの水酸化物およびアルミニウムを被着形成した粉末を得た。
このようにマグネタイト粒子の表面にイットリウムとアルミニウムの水酸化物を被着形成した粉末を、水素気流中500℃で.15時間加熱還元して、イットリウム−アルミニウムー鉄系磁性粉末を得た。つぎに、水素ガスを流した状態で、約2時間かけて150℃まで降温した。150℃に到達した状態で、ガスをアンモニアガスに切り替え、温度を170℃に保った状態で、24時間窒化処理を行った。
その後、温度を維持したまま、アンモニアガスから酸素と窒素との混合ガスに切り替え、3時間安定化処理を行った。ついで、混合ガスを流した状態で、150℃から40℃まで降温し、40℃で約6時間保持したのち、空気中に取り出した。
このようにしてイットリウム−アルミニウム−窒化鉄系磁性粉末を作製した。この磁性粉末は、X線回折により、Fe162 を主相とする磁性粉末であることを確認した。
得られた磁性粉末をトルエン溶媒に分散させ、第一段階として遠心機で3000rpmで30分間分離し、沈殿相と浮遊相に分離した。さらに、第二段階として、この浮遊相を遠心機で8000rpmで30分間分離し、沈殿相と浮遊相に分離した。高分解能分析透過電子顕微鏡で、分離したそれぞれの粒子サイズを観察したところ、第一段階の沈殿相の粒子(以下、磁性粉末(1)とする)の粒子サイズ、第二段階の沈殿相の粒子(以下、磁性粉末(2)とする)の粒子サイズ、および第二段階の浮遊相の粒子(以下、磁性粉末(3)とする)の粒子サイズは、後者ほど相対的に小さい磁性粉末であることを確認した。そして、これらの磁性粉末の粒子形状は、いずれも粒状ないし楕円状であった。
(B) 磁性塗料の作製:
上記(A)で作製したイットリウム・アルミニウム含有−窒化鉄系磁性粉末(1)、(2)、(3)を用いて、下記の組成の磁性塗料を作製した。磁性塗料の作製にあたってはフリッチェ社製の遊星型ボールミルにより、ジルコニアビーズを用いて12時間分散させた。
・窒化鉄系磁性粉末 80重量部
(磁性粉末(1):(2):(3)=1:10:1)
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合樹脂 12重量部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂 8重量部
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
・メチルエチルケトン 150重量部
・トルエン 100重量部
この磁性塗料を非磁性支持体である厚さ20μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フイルム上に、乾燥後の厚さが1μmになるように形成した後、強さが318.4kA/mの磁界を印加しながら乾燥し、磁界配向塗布膜(磁性層)を形成した。
得られた塗布膜表面を電解放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM,日立社製 S−4800)で倍率30万倍で観察した二次電子像写真から、検出分解能を考慮して粒子サイズ4nm以上の粒子を実測したところ、磁性層塗膜における磁性粉末の平均粒子サイズ(d)は25nmで、粒子サイズの標準偏差値(σ)は9.5で、σ/dは0.38であった。
実施例1において、「窒化鉄系磁性粉末 80重量部」を(1):(2):(3)=1:35:1とした以外は、実施例1と同様に磁場配向塗膜(磁性層)を形成した。この塗膜における磁性粉末の平均粒子サイズ(d)は20nmで、粒子サイズの標準偏差値(σ)は4.2で、σ/d は0.21であった。
実施例2において、第一段階の遠心機の回転数を1000rpmとし、第二段階の遠心機の回転数を4000rpmとし、窒化鉄磁性粉末を得た。また、高分解能分析透過電子顕微鏡で、分離したそれぞれの粒子サイズを観察したところ、実施例1と同様に、後者ほど相対的に小さい磁性粉末であることを確認した。この磁性粉末を用い、「窒化鉄系磁性粉末 80重量部」を(1):(2):(3)=1:30:2とした以外は、実施例1と同様に磁場配向塗膜(磁性層)を形成した。この塗膜における磁性粉末の平均粒子サイズ(d)は30nmで、粒子サイズの標準偏差値(σ)は6.3で、σ/dは0.21であった。
実施例2において、第一段階の遠心機の回転数を5000rpmとし、第二段階の遠心機の回転数を15000rpmとし、窒化鉄磁性粉末を得た。また、高分解能分析透過電子顕微鏡で、分離したそれぞれの粒子サイズを観察したところ、実施例1と同様に、後者ほど相対的に小さい磁性粉末であることを確認した。この磁性粉末を用い、「窒化鉄系磁性粉末 80重量部」を(1):(2):(3)=1:20:1とした以外は、実施例1と同様に磁場配向塗膜(磁性層)を形成した。この塗膜における磁性粉末の平均粒子サイズ(d)は10nmで、粒子サイズの標準偏差値(σ)は2.5で、σ/dは0.25であった。
[比較例1]
実施例1において、窒化鉄系磁性粉末を遠心機で分離をせず、そのまま80重量部を使用した以外は、実施例1と同様に磁場配向塗膜(磁性層)を形成した。この塗膜における磁性粉末の平均粒子サイズ(d)は23nmで、粒子サイズの標準偏差値(σ)は10.5で、σ/dは0.46であった。
[比較例2]
実施例2において、「窒化鉄系磁性粉末 80重量部」を(1):(2):(3)=1:50:1とした以外は、実施例1と同様に磁場配向塗膜(磁性層)を形成した。この塗膜における磁性粉末の平均粒子サイズ(d)は20nmで、粒子サイズの標準偏差値(σ)は3.8で、σ/dは0.19であった。
[比較例3]
実施例2において、「窒化鉄系磁性粉末 80重量部」を(1):(2):(3)=2:15:2とした以外は、実施例1と同様に磁場配向塗膜(磁性層)を形成した。この塗膜における磁性粉末の平均粒子サイズ(d)は20nmで、粒子サイズの標準偏差値(σ)は8.2で、σ/dは0.41であった。
《特性の評価》
上記の各実施例および比較例で得られた磁性層塗膜の特性を調べるために、振動試料型磁力計(VSM;東英工業社製)を用い、1270kA/mの磁界を印加し、テープ長手方向の保磁力、角型比を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2008047174
実施例1〜4に係る磁気テープと比較例1〜3に係る磁気テープはいずれも、磁性層を構成する磁性粉末として、Fe162 を主相とする粒状ないし楕円状のイットリウム−アルミニウム−窒化鉄系磁性粉末を使用したものである。しかしながら、表1を見ると明らかなように、磁性粉末についてσ/dが0.2以上0.4以下であるという条件を満たした実施例1〜4に係る磁気テープでは、最低でも0.85の角型比(テープ長手方向における角型比)が得られている(実施例1の場合)のに対して、磁性粉末について上記の条件を満たしていない比較例1〜3に係る磁気テープでは、最も大きくても0.83の角型比(比較例3の場合)しか得られていない。こうして、σ/dが0.2以上0.4以下である上記磁性粉末を用いることにより、磁性粉末を微粒子化してもテープ長手方向の角型比に優れた磁気記録媒体を実現できることが確認された。

Claims (3)

  1. 非磁性支持体と、
    この非磁性支持体の一方の面側に設けられた、磁性粉末および結合剤を含有する磁性層とを有し、
    前記磁性粉末が、少なくとも鉄および窒素を構成元素とし且つFe162 相を含む平均粒子サイズが10nm以上30nm以下の粒状ないし楕円状の磁性粉末からなる磁気記録媒体であって、
    前記磁性粉末の平均粒子サイズをd、粒子サイズの標準偏差値をσとしたときに、σ/dが、0.2以上0.4以下の範囲にあることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記磁性粉末は、希土類元素、シリコンおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の元素を、当該磁性粉末中の鉄に対して0.05原子%以上20.0原子%以下含有する、請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 前記希土類元素、シリコンおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の元素は、前記磁性粉末の主として外層部分に存在する、請求項2記載の磁気記録媒体。
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