以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
この実施形態は、燃料供給配管や燃料供給配管の接続部等から透過する燃料透過量を評価するにあたり、燃料透過量の計測対象である燃料供給配管を、計測対象部位毎に異なる計測対象格納容器に格納して、この計測対象格納容器内の気体から、前記計測対象部位からの燃料透過量を求める点に特徴がある。ここで、燃料供給配管は、ゴム製の燃料ホースや樹脂製の燃料チューブ等のように、燃料が透過するおそれがある配管であり、材質はゴムや樹脂に限定されるものではない。
また、本発明において透過量を計測する対象の燃料は、主としてガソリンや軽油、アルコール、あるいはLPG(Liquefied Petroleum Gas:液化石油ガス)のような炭化水素系の燃料であるが、これらに限定されるものではない。また、燃料透過量は、燃料供給配管を透過する燃料の他、燃料供給配管の接続部(例えば、燃料フィルタに設けられる金属パイプと燃料供給配管との接続部)から漏れる燃料の量も含まれる。次に、この実施形態に係る燃料透過量計測装置について説明する。
図1は、この実施形態に係る燃料透過量計測装置の構成を示す全体構成図である。この燃料透過量計測装置100は、燃料透過量の計測対象である燃料供給配管20を計測対象部位毎に格納する計測対象格納容器1A、1B、1C、1Dと、計測対象格納容器1A、1B、1C、1D内の気体に含まれる燃料Fを検出し、分析する分析手段とを備える。
ここで、計測対象格納容器1A、1B、1C、1Dは、それぞれ第1計測対象格納容器1A、第2計測対象格納容器1B、第3計測対象格納容器1C、第4計測対象格納容器1Dという。なお、計測対象格納容器の個数は4個に限定されるものではなく、計測対象である燃料供給配管20の計測対象部位の数に応じて適宜増減することができる。また、以下においては説明の便宜上、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D内の気体を、試料ガスGという。
この実施形態において、分析手段7は、試料ガスGに含まれる燃料の濃度を検出する燃料濃度計測手段であり、より具体的には、燃料の主成分である炭化水素(HC)の濃度(炭化水素濃度)を計測する炭化水素濃度計測手段である。この実施形態においては、分析手段7として、総炭化水素(THC:Total Hydro Carbon)濃度計測器7A及びエタノール(EtOH)濃度計測器7Bを用いる。なお、ガソリンや軽油の透過量を評価する際には、エタノール濃度計測器7Bは用いなくともよい。このように、分析手段は、透過量が評価される燃料の種類によって変更することができる。
分析手段7に用いる燃料濃度計測手段は、ガス中の成分を分析するものであり、一般に分析精度は高いので、気体中の微量な成分も分析でき、高い精度で試料ガス中の燃料濃度を計測できる。このため、この実施形態に係る燃料透過量計測装置100では、従来の方法(例えば、上記特許文献1の方法)と比較して、高い精度で燃料透過量を計測することができる。
この実施形態に係る燃料透過量計測装置100は、燃料透過量の計測対象である燃料供給配管20へ燃料を充填する燃料充填用手段として、燃料充填管23を備える。燃料充填管23は、燃料供給配管20と接続される燃料供給配管接続管23Aと、燃料供給配管20をバイパスして、燃料供給配管20内における燃料の液面を判定するバイパス管23Bとで構成される。燃料供給配管接続管23Aとバイパス管23Bとは、途中で分岐した後、再び集合するようになっている。
燃料充填管23の燃料供給配管接続管23Aは、中間部がない中抜け(不連続)の管であり、図1に示すように、燃料供給配管接続管23Aの中抜けの部分に、燃料透過量の計測対象である燃料供給配管20を取り付け、クランプ3A、3Dで固定する。すなわち、燃料供給配管接続管23Aの燃料供給側における端部と、燃料供給配管接続管23Aの燃料排出側における端部との間に燃料供給配管20を取り付ける。これによって、燃料充填管23の燃料入口23Iと燃料出口23Eとを連通させる。
ここで、燃料供給配管接続管23Aの材料は、燃料供給配管20からの燃料透過量の評価に影響を与えない程度に、燃料Fの透過量が小さいものであれば、特に限定されるものではない。燃料供給配管接続管23Aとしては、例えば、ガラスや金属を用いることができる。なお、燃料供給配管接続管23A材料に、バイパス管23Bと同じ材料を用いれば、燃料充填管23を一体として構成できるので、部品点数が低減でき、好ましい。
燃料充填管23のバイパス管23Bは、燃料充填管23の燃料入口23Iから燃料出口23Eまでつながっており、前記燃料入口23Iと燃料出口23Eとを連通させる。後述するように、バイパス管23Bは、燃料供給配管20内における燃料Fの液面位置を判定するので、例えば、目視や光学的なセンサによって燃料Fの液面位置を判定する場合、バイパス管23Bの材質は、例えばガラスのような透明な材料で構成することが好ましい。この場合、バイパス管23Bすべてを透明な材料で構成する必要はなく、少なくとも前記液面位置を判定する部分が透明であればよい。なお、目視や光学的なセンサによらず、例えば燃料Fの電気伝導度を利用するセンサや、超音波を利用するセンサを用いる場合、バイパス管23Bには不透明な材料(例えば金属)を用いてもよい。
この実施形態に係る燃料透過量計測装置100では、燃料充填管23の燃料入口23Iが重力の作用方向(図1中の矢印g方向)側に、燃料出口23Eが重力の作用方向とは反対側に配置される。これによって、燃料充填管23から燃料供給配管20へ燃料Fを充填する際には、燃料Fの液面が燃料供給配管20の下方から上方へ向かって移動するので、燃料供給配管20内への気泡の混入を低減できる。ここで、下方あるいは下側とは重力の作用方向側であり、上方あるいは上側とは重力の作用方向とは反対側である。
燃料充填管23の燃料入口23Iには、燃料供給/排出切替手段として、燃料供給/排出切替用三方弁14が設けられる。燃料供給/排出切替用三方弁14は、燃料供給通路21によって燃料タンク11と接続されている。そして、燃料充填管23へは、燃料供給通路に設けられるフィードポンプ9によって燃料タンク11内の燃料Fが供給される。このとき、燃料供給/排出切替用三方弁14は、その入口と、燃料充填管23の燃料入口23Iと接続される出口とが連通する。
例えば、計測が終了して、燃料充填管23内の燃料F、及び燃料供給配管20内の燃料Fを排出する際には、燃料供給/排出切替用三方弁14が切り替えられ、燃料充填管23の燃料入口23Iと廃油タンク12とが連通する。そして、燃料充填管23内の燃料F、及び燃料供給配管20内の燃料Fは、廃油通路22を通って廃油タンク12へ排出される。このとき、フィードポンプ9と燃料供給/排出切替用三方弁14との間に設けられる開閉弁13が閉じられて、燃料充填管23内の燃料F、及び燃料供給配管20内の燃料Fが燃料タンク11へ逆流することを防ぐ。
燃料充填管23の燃料供給配管接続管23Aとバイパス管23Bとが集合した後には、燃料充填管23の燃料出口23Eが設けられる。燃料出口23Eは、燃料溜16内に開口しており、燃料充填管23内の気相の燃料F、すなわち燃料蒸気を燃料溜16内へ導く。燃料蒸気は、燃料溜16内で凝縮して液体となる。燃料溜16内の燃料がある程度の量に達すると、開閉弁15が開けられて、燃料溜16内の燃料は、廃油タンク12へ排出される。なお、燃料溜16内の燃料の量は、燃料溜16に設けられる燃料レベルセンサ44により検出される。燃料溜16内で液化しなかった燃料蒸気は、排気通路24を通って大気中へ放出される。このとき、排気通路に設けられる、活性炭等の燃料吸着手段を備えた燃料フィルタ18で燃料蒸気が除去される。
燃料供給配管接続管23Aに燃料供給配管20を取り付けると、バイパス管23Bと燃料供給配管20とは略平行かつ、重力の作用方向に対して略平行に配置される。このため、バイパス管23B内における燃料Fの液面位置は、計測対象である燃料供給配管20内における燃料Fの液面位置と等しくなる。計測対象である燃料供給配管20は通常不透明なので、バイパス管23B内における燃料Fの液面位置を知ることができれば、燃料供給配管20内における燃料Fの液面位置を知ることができる。
燃料供給配管20内における燃料Fの液面位置を知るため、燃料充填管23のバイパス管23Bには、バイパス管23B内における燃料Fの液面位置を検出するための液面位置検出手段が取り付けられる。バイパス管23Bに取り付けられる液面位置検出手段は、燃料充填管23の下側、すなわち燃料充填管23の燃料入口23I側から順に、評価時下限位置検出センサ40、評価時上限位置検出センサ41、膨潤時下限位置検出センサ42、膨潤時上限位置検出センサ43である(以下、必要に応じて位置検出センサという)。
これらの位置検出センサは、例えば、光学的にバイパス管23B内における燃料Fの液面位置を検出する光学センサを用いる。この場合、バイパス管23Bに位置検出センサを取り付ける部分を透明な材料(例えばガラス)で構成する。また、位置検出センサには、電磁気を利用してバイパス管23B内における燃料Fの液面位置を検出するセンサを用いてもよい。この場合、バイパス管23Bに位置検出センサを取り付ける部分を透明にする必要はない。
この実施形態においては、燃料供給配管20からの燃料透過量を計測する前に、燃料供給配管20全体に液相の燃料Fを充填して、ある程度膨潤させる。これを初期膨潤という。初期膨潤にあたっては、燃料供給配管20全体に液相の燃料Fを充填する。このため、初期膨潤において、燃料供給配管20は、第4計測対象格納容器1D内から第1計測対象格納容器1A内に配置されるすべての部分に、液相の燃料Fが充填される。
膨潤時下限位置検出センサ42は燃料供給配管20の気相側端部20GTの位置に、膨潤時上限位置検出センサ43は第1計測対象格納容器1Aの上側開口部の位置に設けられる。そして、初期膨潤にあたっては、バイパス管23B内における燃料Fの液面位置を、膨潤時下限位置検出センサ42と膨潤時上限位置検出センサ43との間に保持する。
これによって、初期膨潤にあたっては、燃料Fの揮発や透過等に関わらず、燃料供給配管20内全体に液相の燃料Fが充填された状態を維持できるので、確実に燃料供給配管20全体を初期膨潤させることができる。その結果、燃料供給配管20の場所によって初期膨潤が不均一であることに起因する、燃料透過量の評価精度低下を抑制することができる。
この実施形態においては、第1計測対象格納容器1A及び第2計測対象格納容器1Bで気相の燃料Fの透過量を評価し、第3計測対象格納容器1C及び第4計測対象格納容器1Dで液相の燃料Fの透過量を計測する。このため、燃料透過量を計測する際には、燃料供給配管20は、第3計測対象格納容器1C内及び第4計測対象格納容器1D内に配置される部分まで、液相の燃料Fを充填する。
評価時下限位置検出センサ40及び評価時上限位置検出センサ41は、第3計測対象格納容器1Cと第2計測対象格納容器1Bとの間に設けられている。そして、燃料透過量を計測する際には、バイパス管23B内における燃料Fの液面位置を、評価時下限位置検出センサ40と評価時上限位置検出センサ41との間に保持する。
これによって、燃料透過量を計測する際には、燃料Fの揮発や透過等に関わらず、第3計測対象格納容器1C内及び第4計測対象格納容器1D内に配置される部分まで燃料供給配管20内に燃料Fが充填された状態に維持できる。その結果、液相の燃料Fが不足したり、気相の燃料Fの透過量を計測する領域まで液相の燃料Fが充填されたりするおそれを低減できるので、燃料透過量の評価精度が向上する。
この実施形態において、燃料供給配管20は、気相側端部20GTにおける接続部(気相側接続部)20A、気相燃料接触部20B、液相燃料接触部20C、液相側端部20LTにおける接続部(液相側接続部)20Dを計測対象部位として、これらの部位からの燃料透過量を評価する。このため、これらの計測対象部位は、それぞれ計測対象格納容器に格納される。この実施形態では、液相側接続部20Dが第4計測対象格納容器1Dに、液相燃料接触部20Cが第3計測対象格納容器1Cに、気相燃料接触部20Bが第2計測対象格納容器1Bに、気相側接続部20Aが第1計測対象格納容器1Aに格納される。
この実施形態に係る燃料透過量計測装置100では、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1Dに接続される気体供給通路25から、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D内に気体(この実施形態では精製空気)aを常に流す。これによって、計測対象格納容器内に格納される燃料供給配管20の計測対象部位から透過する燃料Fが、前記計測対象格納容器内に滞留し、前記計測対象格納容器内や燃料供給配管20に吸着することにより、燃料透過量の計測に与える影響を極小にする。
燃料供給配管20の計測対象部位からは、前記計測対象部位が格納される計測対象格納容器内の気体へ燃料Fが透過する。このため、分析手段7によって、計測対象格納容器内の気体に含まれる燃料Fを検出し、これに基づいて当該燃料Fの量を求めれば、前記計測対象部位の燃料透過量を求めることができる。例えば、液相燃料接触部20Cからの燃料透過量は、分析手段7によって検出した、第3計測対象格納容器1Cの気体に含まれる燃料Fに基づいて求めることができる。
第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1Dは、筒状の容器内であって、燃料供給配管20を貫通させるようになっている。第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D内を密封するため、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1Dの両端における開口部には、それぞれシール部材2A、2B、2C、2Dが取り付けられる。シール部材2A、2B、2C、2Dには燃料供給配管20が貫通している。シール部材2A、2B、2C、2Dは、例えば、ゴムやエラストマ等の弾性体で構成され、シール部材2A、2B、2C、2Dと第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1Dとの間の気密、及びシール部材2A、2B、2C、2Dと燃料供給配管20との気密を確保する。これによって、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D内の試料ガスGを、漏れなく分析手段7に導くようにして、計測精度を確保する。
第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1Dには、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D内の試料ガスGを外部に取り出して分析手段7に導入するための第1試料ガス導管26A、第2試料ガス導管26B、第3試料ガス導管26C、第4試料ガス導管26Dが接続されている。この実施形態に係る燃料透過量計測装置100は、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1Dから分析手段7へ導かれる試料ガスGの流量を検出する、ガス流量検出手段を備える。そして、ガス流量検出手段によって計測された試料ガスGの流量と、分析手段で計測された、試料ガスG中に含まれる燃料(炭化水素)の濃度とに基づいて、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D内における燃料供給配管20の各計測対象部位から透過する燃料透過量を算出する。
この実施形態においては、ガス流量検出手段として、第1流量制御装置4A、第2流量制御装置4B、第3流量制御装置4C、第4流量制御装置4Dが、第1〜第4試料ガス導管26A、26B、26C、26Dにそれぞれに設けられる。第1〜第4流量制御装置4A、4B、4C、4Dは、これらを通過する試料ガスGの質量流量を一定に維持する機能を有する。したがって、第1〜第4流量制御装置4A、4B、4C、4Dの質量流量の設定値から、第1〜第4流量制御装置4A、4B、4C、4Dを流れる試料ガスGの流量(質量流量)、すなわち、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1Dから分析手段へ導かれる試料ガスGの流量(質量流量)を得ることができる。
この燃料透過量計測装置100のように、ガス流量検出手段として第1〜第4流量制御装置4A、4B、4C、4Dを用いると、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1Dから分析手段へ導かれるそれぞれの試料ガスGの流量を、独立して制御できるという利点がある。なお、ガス流量検出手段は、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1Dから分析手段へ導かれる試料ガスGの流量(質量流量)を得ることができればよいので、第1〜第4流量制御装置4A、4B、4C、4Dの代わりに流量計(例えば質量流量計)を用いてもよい。
第1〜第4流量制御装置4A、4B、4C、4Dと、分析手段7との間における第1〜第4試料ガス導管26A、26B、26C、26Dには、それぞれ第1三方弁5A、第2三方弁5B、第3三方弁5C、第4三方弁5Dが、計測対象切替手段として設けられる。第1〜第4三方弁5A、5B、5C、5Dは、それぞれ試料ガス入口INと、計測用試料ガス出口OSと、掃気用試料ガス出口OPとを備えており、試料ガス入口INから流入した試料ガスGを、計測用試料ガス出口OS又は掃気用試料ガス出口OPのいずれか一方に流すことができる。
第1〜第4三方弁5A、5B、5C、5Dの試料ガス入口INには、第1〜第4流量制御装置4A、4B、4C、4Dを通過した試料ガスGが流入する。第1〜第4三方弁5A、5B、5C、5Dの計測用試料ガス出口OSには、それぞれ第1試料ガス供給通路27A、第2試料ガス供給通路27B、第3試料ガス供給通路27C、第4試料ガス供給通路27Dが接続されている。また、第1〜第4三方弁5A、5B、5C、5Dの掃気用試料ガス出口OPには、それぞれ第1試料ガス排出通路28A、第2試料ガス排出通路28B、第3試料ガス排出通路28C、第4試料ガス排出通路28Dが接続されている。
第1〜第4試料ガス供給通路27A、27B、27C、27Dは、1本の試料ガス供給通路27に集合して、試料ガス供給手段であるサンプリングポンプ6へ接続される。サンプリングポンプ6は、試料ガス供給通路27を通過した試料ガスGを、分析手段7へ送る。分析手段7へ送られた試料ガスGは、分析手段7によって試料ガスG中の燃料濃度が計測される。この実施形態において、燃料はガソリンや軽油なので、その主成分はHCであり、また、濃度は体積濃度である。
なお、サンプリングポンプ6と分析手段7との間に、総炭化水素濃度計測器7A及びエタノール濃度計測器7Bを選択する試料ガス供給対象選択手段を設けて、総炭化水素濃度計測器7Aとエタノール濃度計測器7Bとを切り替えながら燃料透過量を計測してもよい。ここで、サンプリングポンプ6から分析手段7へ送り込まれる試料ガスGは、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D中の試料ガスGのうち、いずれか一つの試料ガスGである。
第1〜第4試料ガス排出通路28A、28B、28C、28Dは、1本の試料ガス排出通路28に集合して、試料ガス排出手段である排出ポンプ10へ接続される。排出ポンプ10は、試料ガス排出通路28を通過した試料ガスGを、活性炭等の燃料吸着手段を備えた燃料フィルタ17へ送る。燃料フィルタ17へ送られた試料ガスGは、試料ガスG中の燃料が除去されて、大気中へ放出される。ここで、排出ポンプ10から燃料フィルタ17へ送り込まれる試料ガスGは、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D中の試料ガスGのうち、分析手段7へ送り込まれた試料ガスGを除いたものである。
図1に示す第1〜第4三方弁5A、5B、5C、5Dにおいて、計測用試料ガス出口OS又は掃気用試料ガス出口OPのうち塗りつぶした方は、試料ガスGが通過しないことを示す。例えば、図1に示す第1三方弁5Aは、掃気用試料ガス出口OPが塗りつぶされているので、試料ガス入口INと計測用試料ガス出口OSとが連通していることになる。したがって、試料ガス入口INから流入した試料ガスGは、掃気用試料ガス出口OPを通過しないで、計測用試料ガス出口OSへ流れる。これによって、第1三方弁5Aを通過した試料ガスG(すなわち、第1計測対象格納容器1A内の試料ガス)が、分析手段7へ送られる。
また、図1に示す第2三方弁5Bは、計測用試料ガス出口OSが塗りつぶされているので、試料ガス入口INと掃気用試料ガス出口OPとが連通していることになる。したがって、試料ガス入口INから流入した試料ガスGは、計測用試料ガス出口OSを通過しないで、掃気用試料ガス出口OPへ流れる。これによって、第2三方弁5Bを通過した試料ガスG(すなわち、第2計測対象格納容器1B内の試料ガス)は、燃料フィルタ17へ送られる。
この実施形態に係る燃料透過量計測装置100は、第1〜第4三方弁5A、5B、5C、5Dを切り替えることにより、分析手段7で計測する試料ガスGを、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D中の試料ガスGの中から選択することができる。例えば、図1に示す例では、第1三方弁5Aの試料ガス入口INと計測用試料ガス出口OSとが連通し、第2〜第4三方弁5B、5C、5Dの試料ガス入口INと掃気用試料ガス出口OPとが連通している。
この状態で、サンプリングポンプ6を運転すると、第1計測対象格納容器1A内の試料ガスGが分析手段7へ送られて、分析手段7で前記試料ガスG中の燃料濃度dが計測される。また、通過する第1計測対象格納容器1A内の試料ガスGは第1試料ガス導管26Aを通過するので、第1試料ガス導管26Aに設けられる第1流量制御装置4Aにより前記試料ガスGの流量Qが計測される。
第1計測対象格納容器1A内の試料ガスGには、燃料供給配管20の計測対象部位である気相側接続部20Aから透過した燃料Fが含まれる。したがって、分析手段7によって求めた第1計測対象格納容器1A内の試料ガスG中の燃料濃度d、第1流量制御装置4Aにより求めた前記試料ガスGの流量Q(この実施形態においては、1分あたりの流量:l/min.)、計測時間t及び燃料密度ρに基づいて算出した燃料Fの質量が、気相側接続部20Aからの燃料透過量となる。ここで、燃料透過量M(単位時間あたりの燃料透過質量)は、式(1)によって求めることができる。
M=ρ×Q/60×t×d・・(1)
一方、第2〜第4三方弁5B、5C、5Dは、試料ガス入口INと掃気用試料ガス出口OPとが連通している。このため、第2〜第4計測対象格納容器1B、1C、1D内の試料ガスGは、第2〜第4三方弁5B、5C、5D、第2〜第4試料ガス排出通路28B、28C、28D及び試料ガス排出通路28を介して排出ポンプ10に吸引されて、燃料フィルタ17へ送り出される。
この実施形態に係る燃料透過量計測装置100は、ある計測対象格納容器(第1計測対象格納容器1A)に格納されている計測対象部位(気相側接続部20A)の燃料透過量を計測している間には、排出ポンプ10を用いて、他の計測対象部位(気相燃料接触部20B等)を格納する計測対象格納容器(第2計測対象格納容器1B等)へ気体(精製空気)aを流し、燃料フィルタ17を介して大気中へ放出する。
このとき、計測対象ではない計測対象部位を格納する計測対象格納容器から流出する試料ガスGの流量は、計測対象の計測対象部位を格納する計測対象格納容器から流出する試料ガスGの流量と等しくすることが好ましい。これによって、燃料透過量の計測対象ではない計測対象部位を格納する計測対象格納容器からも、燃料透過量の計測対象である計測対象部位を格納する計測対象格納容器と同様に試料ガスGが流出するので、燃料透過量の計測条件を一定にすることができる。また、燃料透過量の計測対象ではない計測対象部位から透過する燃料Fが、当該計測対象部位を格納する計測対象格納容器内に滞留・吸着することを抑制して、各計測対象部位の燃料透過量の計測精度を向上させることができる。
第1計測対象格納容器1A内に格納される気相側接続部20Aからの燃料透過量の評価が終了したら、第1三方弁5A、第3三方弁5C及び第4三方弁5Dの試料ガス入口INと掃気用試料ガス出口OPとを連通させる。そして、第2三方弁5Bの試料ガス入口INと計測用試料ガス出口OSとを連通される。そして、第1計測対象格納容器1Aに格納される気相側接続部20Aの燃料透過量を計測した手法と同様の手法で、第2計測対象格納容器1Bに格納される気相燃料接触部20Bの燃料透過量を計測する。これをすべての計測対象格納容器に対して繰り返すことにより、燃料透過量の計測対象である燃料供給配管20の燃料透過量(接続部の燃料透過量も含む)を計測する。
このように、計測対象切替手段(第1〜第4三方弁5A、5B、5C、5D)を用いて、試料ガスGを取得する計測対象格納容器を切り替えるので、単独の分析手段7で燃料透過量を計測できる。これによって、高価な分析手段を複数用意する必要がなくなるので、燃料透過量計測装置100の製造コストを低減することができる。なお、分析手段7は、計測対象部位の数、すなわち計測対象格納容器の数だけ用意してもよい。このようにすれば、試料ガスGを取得する計測対象格納容器を切り替える必要はなく、複数の計測対象部位の燃料透過量を同時に計測できるので、計測時間をさらに短縮することができる。
また、計測対象格納容器(第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D)から分析手段7までの経路に加熱手段を設けて前記経路を加熱してもよい。これによって、前記経路内に付着する燃料Fを低減できるので、燃料透過量の計測精度を向上させることができる。ここで、前記経路は、第1〜第4試料ガス導管26A、26B、26C、26D及び第1〜第4試料ガス供給通路27A、27B、27C、27Dである。次に、この実施形態に係る燃料透過量計測装置100を制御する計測制御装置の構成を説明する。次の説明においては、適宜図1を参照されたい。
図2は、この実施形態に係る燃料透過量計測装置を制御する計測制御装置の構成を示す説明図である。この計測制御装置50は、この実施形態に係る燃料透過量計測装置100(図1)が備える第1〜第4三方弁5A、5B、5C、5D、サンプリングポンプ6、フィードポンプ9等を制御したり、第1〜第4流量制御装置4A、4B、4C、4Dや分析手段7等の検出結果に基づいて、燃料透過量を求めたりする。
計測制御装置50は、データ処理部51と、動作制御部52と、記憶部53と、入力ポート54と、出力ポート55とを備える。データ処理部51と、動作制御部52とは、例えば、RAM、ROM等のメモリとCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)とにより構成することができる。また、記憶部53は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等のストレージ手段等の組み合わせにより構成することができる。
記憶部53には、この実施形態に係る燃料透過量計測装置100の動作を制御するための制御プログラムが格納されている。この制御プログラムは、データ処理部51及び動作制御部52へすでに記録されているコンピュータプログラムと組み合わせることによって、この実施形態に係る燃料透過量計測装置100の動作を制御できるものであってもよい。また、この計測制御装置50は、前記制御プログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、データ処理部51及び動作制御部52の機能を実現するものであってもよい。
計測制御装置50のデータ処理部51と、動作制御部52と、記憶部53とは、入力ポート54及び出力ポート55を介して接続される。これにより、データ処理部51と動作制御部52とは、相互に制御データをやり取りしたり、一方に命令を出したりできる。また、データ処理部51と動作制御部52とは、演算途中のデータを記憶部53に格納したり、記憶部53に格納されている処理プログラムを取得して演算に用いたりすることができる。
入力ポート54には、評価時下限位置検出センサ40、評価時上限位置検出センサ41、膨潤時下限位置検出センサ42、膨潤時上限位置検出センサ43、燃料レベルセンサ44、第1〜第4流量制御装置4A、4B、4C、4D、総炭化水素濃度計測器7A、エタノール濃度計測器7Bが接続されている。これによって、データ処理部51及び動作制御部52は、入力ポート54を介して、燃料透過量の演算に必要な情報や、燃料透過量計測装置100の制御に必要な情報を取得する。
出力ポート55には、第1〜第4三方弁5A、5B、5C、5D、サンプリングポンプ6、フィードポンプ9、排出ポンプ10、開閉弁15、表示装置56が接続されている。これによって、データ処理部51及び動作制御部52は、入力ポート54を介して取得した情報に基づいて、出力ポート55に接続される制御対象を制御する。なお、出力ポートに接続される表示装置56は、燃料透過量の演算結果や、燃料透過量計測装置100の動作状態を示す情報(例えば、どの計測対象格納容器からの試料ガスGを分析しているか等)を表示する。次に、この実施形態に係る燃料透過量計測装置100を用いて燃料供給配管20の燃料透過量を計測する手順の一例を説明する。次の説明においては、適宜図1、図2を参照されたい。
図3は、この実施形態に係る燃料透過量計測装置を用いた燃料透過量の計測手順の一例を示すフローチャートである。燃料透過量計測装置100を用いて燃料供給配管20の燃料透過量を計測する際には、燃料供給配管接続管23Aに燃料供給配管20を取り付け、燃料供給配管20の計測対象部位を、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D内に格納しておく。
燃料透過量の計測対象である燃料供給配管20が新品である場合、初期膨潤をとってから燃料透過量の評価へ移行する。初期膨潤をとるにあたっては、液相の燃料Fを膨潤上限レベルまで充填する(ステップS101)。ここで膨潤上限レベルは、膨潤時上限位置検出センサ43が取り付けられる位置である(図1参照)。計測制御装置50の動作制御部52は、開閉弁13を開くとともに、燃料供給/排出切替用三方弁14の入口と燃料充填管23の燃料入口23Iとを連通させる。そして、フィードポンプ9を駆動して、燃料タンク11から液相の燃料Fを燃料充填管23へ供給する。
動作制御部52は、バイパス管23Bに設けられる膨潤時上限位置検出センサ43の位置に液相の燃料Fの液面が到達するまでフィードポンプ9を駆動する。膨潤時上限位置検出センサ43の位置まで液相の燃料Fの液面が到達したら、膨潤時上限位置検出センサ43は、前記液面を検出した検出信号を発信する。動作制御部52は、この検出信号を受けて、フィードポンプ9の駆動を停止し、液相の燃料Fの供給を停止する。
液相の燃料Fを膨潤上限レベルまで充填したら、この状態で所定の時間保持して、燃料供給配管20の初期膨潤を進行させる。このとき、動作制御部52は、バイパス管23B内における液相の燃料Fの液面(すなわち燃料供給配管20内における液相の燃料の液面)が、膨潤下限レベルよりも下側にあるか否かを判定する(ステップS102)。これは、計測制御装置50のデータ処理部51が膨潤時下限位置検出センサ42からの信号を取得して、判定する。
前記判定の結果、バイパス管23B内における液相の燃料Fの液面が、評価下限レベルよりも下側にある場合(ステップS102:Yes)、動作制御部52は、フィードポンプ9を駆動し、燃料タンク11から液相の燃料Fを燃料充填管23へ追加供給する(ステップS103)。これによって、燃料供給配管20内全体に液相の燃料Fが充填された状態を維持できるので、確実に燃料供給配管20全体を初期膨潤させることができる。
なお、燃料Fの液面が評価下限レベルよりも下側にある場合、動作制御部52によって燃料供給/排出切替用三方弁14を操作して、燃料充填管23の燃料入口23Iと廃油タンク12とを連通させ、燃料供給配管20内の燃料Fを一旦排出してから、新たに液相の燃料Fを膨潤上限レベルまで充填して、初期膨潤をとってもよい。評価下限レベルよりも下側にあるということは、燃料供給配管20から燃料Fが透過したり、燃料供給配管20内の燃料Fが蒸発したりしていると考えられる。この場合、燃料供給配管20内における燃料Fの性状が変化しているおそれがあるため、燃料供給配管20内及び燃料充填管23内の燃料Fを総入れ替えして、初期膨潤の間は、燃料供給配管20内における燃料Fの性状をできる限り一定の性状に保つようにする。
評価下限レベルよりも上側にある場合(ステップS102:No)、計測制御装置50のデータ処理部51は、初期膨潤が完了したか否かを判定する(ステップS104)。これは、例えば、初期膨潤の開始から所定の時間が経過した場合には、初期膨潤が完了したと判定する。また、所定のサンプリング周期で燃料供給配管20からの燃料透過量を計測し、燃料透過量の変化が一定になったら、初期膨潤が完了したと判定してもよい。
初期膨潤が完了していない場合(ステップS104:No)、初期膨潤が完了するまでステップS102、ステップS103を繰り返す。なお、初期膨潤に燃料性状に変化が現れる程度の時間を要する場合、所定の時間が経過する毎に燃料供給配管20内及び燃料充填管23内の燃料Fを総入れ替えして、燃料供給配管20内及び燃料充填管23内の燃料Fの性状を一定に保つようにしてもよい。これによって、初期膨潤のばらつきを抑制することができる。
所定の時間が経過する毎に燃料供給配管20内及び燃料充填管23内の燃料Fを総入れ替えする場合、例えば、予め定めた所定の時間が経過したら、データ処理部51が動作制御部52に対して廃油、再充填指令を発信するようにプログラミングしておく。動作制御部52が前記指令を受けたら、動作制御部52は燃料供給/排出切替用三方弁14を操作して、燃料供給配管20内及び燃料充填管23内のすべての燃料Fを一旦排出させる。そして、動作制御部52は、バイパス管23Bに設けられる膨潤時上限位置検出センサ43の位置に液相の燃料Fの液面が到達するまでフィードポンプ9を駆動して、燃料供給配管20内及び燃料充填管23内へ液相の燃料Fを再充填する。このように、前記プログラミングによって、自動的かつ定期的に、燃料供給配管20内及び燃料充填管23内の燃料Fの総入れ替えをすることができる。
初期膨潤が完了した場合(ステップS104:Yes)、燃料透過量の計測をすることが可能になる。燃料透過量を計測する場合、液相の燃料Fを評価上限レベルまで充填する(ステップS105)。ここで評価上限レベルは、評価時上限位置検出センサ41が取り付けられる位置である(図1参照)。
液相の燃料Fを評価上限レベルまで充填するにあたり、動作制御部52は、燃料供給/排出切替用三方弁14を操作して、燃料充填管23の燃料入口23Iと廃油タンク12とを連通させ、燃料供給配管20内及び燃料充填管23内のすべての燃料Fを一旦排出させる。そして、動作制御部52は、バイパス管23Bに設けられる評価時上限位置検出センサ41の位置に液相の燃料Fの液面が到達するまでフィードポンプ9を駆動する。評価時上限位置検出センサ41の位置まで液相の燃料Fの液面が到達したら、評価時上限位置検出センサ41は、前記液面を検出した検出信号を発信する。動作制御部52は、この検出信号を受けて、フィードポンプ9の駆動を停止し、液相の燃料Fの供給を停止する。これによって、燃料供給配管20内における液相の燃料Fの液面は、評価上限レベルに達する。
なお、評価上限レベルは、膨潤上限レベルよりも下方なので、燃料供給配管20内及び燃料充填管23内の燃料Fを排出して、液相の燃料Fを評価上限レベルとしてもよい。しかし、初期膨潤に用いた燃料は、蒸発や透過等で性状が変化しているおそれがあるため、燃料透過量の評価にあたっては、上述したように、燃料供給配管20内の燃料Fを総入れ替えすることが好ましい。
液相の燃料Fを評価上限レベルまで充填したら(ステップS105)、データ処理部51は、第1〜第4流量制御装置4A、4B、4C、4Dや分析手段7等から、各計測対象格納容器(第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D)中の試料ガスGの流量、及びHC濃度やアルコール濃度(燃料濃度)を計測する(ステップS106)。この手順は、上述した通りである。そして、データ処理部51は、計測によって得られた第1〜第4流量制御装置4A、4B、4C、4Dや分析手段7等からの情報に基づいて、第1〜第4計測対象格納容器1A、1B、1C、1D内に格納される燃料供給配管20の計測対象部位からの燃料透過量を求める。
燃料透過量を計測する際に、燃料供給配管20内における液相の燃料Fの液面位置が、所定の下限位置、すなわち評価下限レベル(膨潤時下限位置検出センサ40が取り付けられる位置)よりも低い場合(下方にある場合)、燃料供給配管20内の燃料をすべて排出し、改めて液相の燃料Fを評価上限レベルまで充填してから燃料透過量を計測することが好ましい。これによって、燃料Fの性状変化の影響を抑制することができる。
すべての計測対象格納容器について計測が終了していない場合には(ステップS107:No)、すべての計測対象格納容器に対してステップS106を実行することにより、すべての計測対象格納容器について計測を終了させる。すべての計測対象格納容器について計測が終了したら(ステップS107:Yes)、一連の計測手順が終了する。この後、同じ燃料供給配管20に対して時間を空けて燃料透過量を計測したり、異なる燃料供給配管20に対して燃料透過量を計測したりする。
例えば、同じ燃料供給配管20を用いて、異なる条件(例えば温度や湿度)で燃料透過量を計測するような場合には、計測制御装置50がステップS105〜ステップS107を自動的に実行するようにプログラミングしてもよい。これによって、計測の自動化による省力化を図ることができる。
なお、燃料透過量の評価の種類によっては、すべての燃料透過量の計測が終了するまでに長時間を要する場合がある。このような場合、燃料性状が変化するおそれがあるため、定期的に燃料供給配管20内及び燃料充填管23内の燃料Fを総入れ替えして、燃料供給配管20内及び燃料充填管23内の燃料Fの性状を一定に保つようにしてもよい。これによって、燃料性状変化の影響を抑制することができる。
定期的に燃料供給配管20内及び燃料充填管23内の燃料Fを総入れ替えする場合、例えば、予め定めた所定の時間が経過したら、データ処理部51が動作制御部52に対して廃油、再充填指令を発信するようにプログラミングしておく。動作制御部52が前記指令を受けたら、動作制御部52は燃料供給/排出切替用三方弁14を操作して、燃料供給配管20内及び燃料充填管23内のすべての燃料Fを一旦排出させる。そして、動作制御部52は、バイパス管23Bに設けられる評価時上限位置検出センサ41の位置に液相の燃料Fの液面が到達するまでフィードポンプ9を駆動して、燃料供給配管20内及び燃料充填管23内へ液相の燃料Fを再充填する。このように、前記プログラミングによって、自動的かつ定期的に、燃料供給配管20内及び燃料充填管23内の燃料Fの総入れ替えをすることができる。
以上、この実施形態では、燃料供給配管や燃料供給配管の接続部等から透過する燃料透過量を評価するにあたり、燃料透過量の計測対象である燃料供給配管を、計測対象部位毎に異なる計測対象格納容器に格納して、この計測対象格納容器内の気体に含まれる燃料から、前記計測対象部位からの燃料透過量を求める。これによって、液相の燃料の透過量、気相の燃料の透過量を同時に計測でき、また、燃料透過量を評価する対象の様々な部位(例えば、管部や接続部)からの燃料評価量を計測することができる。その結果、燃料供給配管の、異なる計測対象部位毎に燃料透過量を計測する際には、計測時間を短縮できる。そして、計測時間を短縮できるので、燃料供給配管内における燃料の性状変化を抑制して、燃料の性状変化が燃料透過量に与える影響を低減して、燃料透過量の計測精度を向上させることができる。
また、燃料供給配管が実際に使用される状態と略同じ状態で燃料透過量を計測できる。さらに、気相の燃料と液相の燃料とが燃料供給配管内に混在するような場合でも、気相の部分と液相の部分とを異なる計測対象格納容器へ格納することで、それぞれの燃料透過量を分離して計測することができる。
さらに、計測対象格納容器内の気体に含まれる燃料(HC)の濃度と、計測対象格納容器から分析手段へ流れる気体の流量とに基づいて、燃料透過量を求める。これによって、従来の質量法と比較して、高い精度で燃料透過量を計測することができる。