JP2003028769A - 組織片処理装置 - Google Patents

組織片処理装置

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JP2003028769A
JP2003028769A JP2001211554A JP2001211554A JP2003028769A JP 2003028769 A JP2003028769 A JP 2003028769A JP 2001211554 A JP2001211554 A JP 2001211554A JP 2001211554 A JP2001211554 A JP 2001211554A JP 2003028769 A JP2003028769 A JP 2003028769A
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Iwao Kuroiwa
巌 黒岩
Masahiko Arakawa
雅彦 荒川
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Chiyoda Manufacturing Corp
Original Assignee
Chiyoda Manufacturing Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱水剤溶液の劣化を正確に判定可能であっ
て、組織片の確実な脱水および脱水剤溶液のコストダウ
ンを図ることができる組織片処理装置を提供する。 【解決手段】 組織片の顕微鏡標本を作製するための組
織片処理装置において、脱水剤溶液の劣化を判定するこ
とができる劣化判定手段55,84,88,102を具
備することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、組織片を脱水処理
する工程を含む組織片処理装置に関し、具体的には組織
片に包埋剤を浸透させたり、組織片を染色する組織片処
理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】生物の組織片から顕微鏡標本を作製する
ためには、組織片内に含まれている水分を脱水して組織
片を染色したり、またはパラフィン等を浸透させてパラ
フィン包埋させることが必要となる。組織片に含まれる
水分の脱水は、アルコールまたはアセトンを主成分とし
た脱水剤溶液や、アルコール・アセトン・その他の溶剤
を混合した脱水剤溶液内に組織片を浸漬処理することに
よって行なわれる。かかる組織片の脱水作業において
は、後に、染色をしたりパラフィン包埋を行なう際の、
染色剤やパラフィンの浸透具合に影響を及ぼすため、脱
水を完全に行なうことが望まれている。
【0003】このように組織片を処理する装置の一例と
して、組織片の固定、脱水、脱脂・置換、パラフィン包
埋の各処理を自動的に行う組織片処理装置について説明
する。一般的に組織片処理装置は、4回〜6回程度の脱
水工程を、脱水剤溶液の濃度を急激に高くして最終の脱
水工程で100%に近い濃度を維持するように行なって
いる。このように、組織片を複数回の脱水工程によって
脱水を行なう場合、処理槽が1槽しかない1槽式の組織
片処理装置では、1回の脱水工程が終了するたびに使用
済みの脱水剤溶液を組織片が収納されている処理槽内か
ら排出し、次の脱水工程で使用する脱水剤溶液を処理槽
内に給液するようにしている。
【0004】従来の組織片処理装置では、例えば5回の
脱水工程を行なう場合には、濃度の異なる5つの脱水剤
溶液をそれぞれ別個のタンクに予め充填しておき、この
タンクから脱水工程に合わせて処理槽へ給液している。
脱水工程が終わった場合には処理槽から脱水に使用した
脱水剤溶液が元のタンクに戻される。このとき、脱水に
使用された脱水剤溶液は組織片から出た水分を含み、脱
水工程が開始される前よりも含水量が多くなっており、
濃度が低くなっている。
【0005】このようにして、一連の脱水処理を終了す
ると、全ての脱水剤溶液の濃度が低下し、特に1番最初
に使用した脱水剤溶液の濃度低下が著しい。そこで、次
に組織片を処理する場合は、前の組織片処理で1番最初
に使用した脱水剤溶液は、すでに濃度が低下しすぎてい
ると推定した場合には廃棄し、2番目に使用した脱水剤
溶液を次の組織片処理に対しては1番最初に使用し、3
番目に使用した脱水剤溶液を次の組織片処理に対しては
2番目に使用するというように、組織片処理に対して浸
漬処理する順番を1ずつシフトさせ、最後に使用する脱
水剤溶液は濃度が高く1回も処理に使われていない物を
新たに導入していた。すなわち、従来の組織片処理装置
において脱水剤溶液は、含水率が高くなって使用ができ
ない程度になるまで、例えば1回目処理用としては3度
から6度(なお、ここでいう度数は、1の組織片処理に
おける濃度を変えた脱水処理の回数ではなく、一連の脱
水処理工程を有する組織片処理を何度行なうかという意
味に用いている)の範囲で同じ脱水剤溶液を繰り返し利
用するようにしていたのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の組織片処理装置
においては、脱水工程に使用された脱水剤溶液の濃度を
測定することなく、繰り返し利用した度数をもとに廃棄
すべきか否かを判断するようにしていた。しかし、脱水
に使用された脱水剤溶液の濃度は、組織片に予め含まれ
ている水分の量や組織片そのものの大きさや数量に依存
するので、単に脱水工程に繰り返し利用した度数だけで
廃棄すべきか否を判断していた従来の方法では、正確に
劣化しているか否かを判定していなかった。このため、
すでに廃棄すべきほど劣化(含水率が高い、すなわち濃
度が低い)が著しい脱水剤溶液を用いてしまい確実に脱
水が行なわれない場合があったり、その逆に劣化程度が
良好な脱水剤溶液を廃棄してしまい無駄なコストがかか
っていたという課題があった。
【0007】なお、従来から、脱水剤溶液の劣化をある
程度判断するために、組織片の大きさ、数量および含水
分量を予め演算して、目安としての脱水剤の劣化の指標
を計算する方法や、脱水処理を行なう処理槽に比誘電率
センサを設けて脱水剤の比誘電率を測定することによっ
て、脱水剤の劣化を測定する方法も考えられていた。し
かし、前者の方法では脱水剤溶液の劣化を直接計測して
いるわけではなく、正確性に欠け、あくまで目安程度に
しか用いることができないという課題があった。また、
後者の方法では、処理槽内には脱水剤溶液だけでなく、
キシレン等の中間剤やパラフィン等の浸透剤も給液され
る場合もあり、処理槽に設けた比誘電率センサ表面に
は、これらの薬剤が付着して正確な測定ができないとい
う課題があった。さらに後者の方法においては、比誘電
率の正確な測定をするには溶液を一定容量にして測定す
ることが必要な点は経験上知られているが、処理槽内に
給液される脱水剤溶液は常に一定容量であるとは限らず
比誘電率の再現性が劣るという課題もある。
【0008】そこで、本発明は上記課題を解決すべくな
され、その目的とするところは、脱水剤溶液の劣化を正
確に判定可能であって、組織片の確実な脱水および脱水
剤溶液のコストダウンを図ることができる組織片処理装
置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明にかか
る組織片処理装置によれば、組織片の顕微鏡標本を作製
するための組織片処理装置において、脱水剤溶液の劣化
を判定することができる劣化判定手段を具備することを
特徴としている。この構成を採用することによって、組
織片の確実な脱水を図り、且つ脱水剤溶液の無駄な利用
を防止することができる。
【0010】また、前記劣化判定手段は、脱水剤溶液の
密度を測定することによって脱水剤溶液の劣化を判定す
ることを特徴としてもよい。
【0011】さらに、前記劣化判定手段は、組織片を脱
水処理する処理槽と脱水剤溶液が貯留されているタンク
との間を連結する管路の中途部に設けられ、該管路から
一定容量の脱水剤溶液を導入する秤量管と、該一定容量
の脱水剤溶液が導入された秤量管の重量を測定する重量
測定手段とから成ることを特徴とする。この構成を採用
することによって、脱水剤溶液の劣化の判定を簡単な構
成で容易に行なうことができる。
【0012】本発明によれば、前記劣化判定手段は、脱
水剤溶液が貯留されているタンクの重量を測定する重量
測定手段であることを特徴としているので、タンク内に
既知容量の脱水剤溶液が貯留されれば、タンクごと重量
を測定することによって、脱水剤溶液の劣化を判定する
ことができる。
【0013】前記劣化判定手段は、組織片を脱水処理す
る処理槽と脱水剤溶液が貯留されているタンクとの間を
連結する管路の中途部に設けられ、該管路から一定容量
の脱水剤溶液を導入する測定用管と、該一定容量の脱水
剤溶液が導入された測定用管に設けられ、該測定用管内
に導入された脱水剤溶液の比誘電率を測定する比誘電率
センサとから成ることを特徴とする。これによると、比
誘電率センサを設けた測定用管には中間剤や浸透剤を流
さずに脱水剤溶液のみを流すことができるので比誘電率
センサへの中間剤や固定剤の付着を防止することができ
ると共に、比誘電率の測定を定容量で行えるのでより正
確な劣化の判定をすることができる。
【0014】前記劣化判定手段は、脱水剤溶液が貯留さ
れ、全体または一部が内部を観察することができるよう
に透明または半透明に形成されたタンクと、前記タンク
内に収納され、比重が予め判明している浮標とから成る
ことを特徴としている。この構成を採用することによ
り、浮標を収納して浮標の浮いている位置を見て脱水剤
溶液の劣化を判定することができ、簡単な構成で製造コ
スト等もかさむことなく組織片の確実な脱水を図り、且
つ脱水剤溶液の無駄な利用を防止することができる。
【0015】前記タンク内には、それぞれ比重が異なる
複数個の浮標が収納されていることを特徴とすることに
より、1つの浮標の位置を見て脱水剤溶液の含水率の判
断をするよりも見やすく、判定がしやすい。
【0016】また、前記劣化判定手段は、組織片を脱水
処理する処理槽と脱水剤溶液が貯留されているタンクと
の間を連結する管路の中途部に設けられ、該管路から脱
水剤溶液を導入する判定用管と、該判定用管内に収納さ
れ、比重が予め判明している1個または複数個の浮標と
から成ることを特徴とする。この構成を採用することに
よって、判定管内の浮標の位置で脱水剤溶液の劣化を判
定することができるので、簡単な構成で容易に劣化の判
定を行なうことができる。
【0017】また、前記秤量管、測定用管または判定用
管は、底部が上部よりも小径となるように設けられ、脱
水剤溶液を導入するために管路から分岐された導入管の
先端部が前記底部へ達するように設けられているか、ま
たは該導入管の先端部が底部に接続されていることを特
徴とするので、先に劣化判定をした脱水剤溶液を廃棄し
て入れ替えなくとも、次に劣化判定を行なう脱水剤溶液
を導入すれば、新旧の脱水剤溶液を密度の差によって自
動的に入れ替えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の組
織片処理装置の好適な実施形態について詳細に説明す
る。なお、以下に説明する組織片処理装置の具体的な実
施形態として、最終的に組織片にパラフィンを浸透させ
て固めるために、組織片を固定剤による固定、アルコー
ルまたはアセトンを含む脱水剤溶液による脱水、中間剤
による置換の順に浸漬処理を行う組織片処理装置につい
て説明するが、組織片処理装置の例としてはこのような
パラフィン包埋を行なう装置に限定されることなく、組
織片を染色する装置であってもよい。また、以下の実施
形態は全て一例として処理槽を1つ設けた1槽式組織片
処理装置について説明している。
【0019】まず、図1に基づいて組織片処理装置内で
行なわれる組織片処理工程の一例を説明する。これは第
1〜第5までの各実施形態で共通の処理工程であるもの
とする。1つの組織片を処理するには、最終的に組織片
にパラフィンを浸透させて固めるために、組織片を固定
剤による固定、アルコールまたはアセトンを含む脱水剤
溶液による脱水、中間剤による置換の順に浸漬処理を行
うことが必要となる。さらに、同じ薬液でも濃度を変え
て何回も浸漬処理を行うことが必要となる。組織片処理
装置では、このように濃度や種類が異なる複数の薬液を
1つの処理槽内に給排出して急激に入れ換えていくよう
にしている。例えば、脱水工程では6つの工程を有して
おり、6種類の濃度が異なる脱水剤溶液を、急激に濃度
が上がるように、順次前工程の薬液を処理槽から排出し
たら次工程の薬液を処理槽へ給液していくように処理を
行なう。
【0020】(第1の実施形態)図2に、本発明の第1
の実施形態の組織片処理装置の内部構成の概略を示
す。。なお、本実施形態では、脱水処理に使用した後の
脱水剤溶液を密度測定する手段を設け、これにより脱水
剤溶液中の含水率を測定して脱水剤溶液の劣化が判定可
能となるようにしている点が特徴である。ここでは、脱
水剤溶液の例として、エチルアルコール、メチルアルコ
ール、イソブチルアルコール、プロピルアルコール、イ
ソプロピルアルコールまたはアセトンを使用することが
できる。このように、脱水剤溶液の密度の測定で脱水剤
溶液の劣化が判定できるのは、脱水剤溶液の含水率が増
加して濃度が低くなるに従い、脱水剤溶液に対して水分
の割合が上昇して密度が増えるからである。このとき、
上述した各アルコール類とアセトンについては、濃度と
密度との関係がほぼ直線性を示すことは明らかにされて
いるため、密度を厳密に測定していくことによって、脱
水剤溶液の劣化が正確に判定できるのである。
【0021】組織片処理装置20は、組織片を処理する
ための処理槽30が1つ設けられているものであって、
処理槽30は密閉蓋32によって密閉されている。処理
槽30内には、図示しない組織片が収容された検体籠3
4が内部に収納され、脱水剤溶液等の各薬液が給液され
ることによって複数回にわたって組織片の薬液への浸漬
処理が行われる。
【0022】符号36は、複数個のタンク38を収納す
る収納部である。収納部36内はラック状に形成されて
おり、複数個のタンク38が収納可能である。各タンク
38には、それぞれタンク38内に収納された薬液を給
排液するために処理槽30側に延びる管路40が接続さ
れている。管路40の処理槽30側は選択バルブ42の
タンク側ポート43に接続されている。また、管路40
のタンク側先端部はタンク38内の底部に達するように
タンク38内に挿入されているので、タンク38内の薬
液を残さずに処理槽30へ吸い上げることができる。こ
こでは選択バルブ42として、弁座44aと弁板44b
とから構成される従来から知られているロータリーバル
ブが用いられている。弁座44aには複数のタンク38
から延びる複数の管路40が接続される複数のタンク側
ポート43が形成されている。一方、弁板44bには、
処理槽30に接続される1本の管路45が接続される処
理槽側ポート46が形成されている。
【0023】選択バルブ42は、弁座44aに対して弁
板44bを回転させることによって、複数のタンク38
のうちから1つを選択して、選択したタンク38を処理
槽30へ接続する。なお、具体的には選択バルブ42
は、図示しない電動モータ等で弁板44bを駆動させて
いる。
【0024】処理槽30と収納部36とを結ぶ管路45
の途中には、互いに所定の間隔を空けて2つの三方弁4
8,50が取り付けられている。三方弁48,50に
は、脱水剤溶液のみならず他の溶液も侵入し通過するの
で、液同士の混入やパラフィンの付着をなくすべく、内
部構造が簡単で液が滞留しにくい形状のものを用いるこ
とが必要である。例えば、ダイアフラム三方弁やサニタ
リーボール弁を液が滞留しないような姿勢で取り付ける
と好適である。
【0025】処理槽30側に近い三方弁48からは、処
理槽30から排出された使用後の脱水剤溶液を供給する
分岐管52が設けられている。分岐管52の先端には密
度測定手段55が取り付けられており、密度測定手段5
5によって脱水工程終了後の脱水剤溶液の密度を測定す
る。また、タンク38に近い側の三方弁50には、密度
が測定された脱水剤溶液を密度測定手段55からタンク
38へ排出するための分岐管54が設けられている。ま
た、三方弁48,50の間は、バイパス管51が接続さ
れている。すなわち、密度測定手段55はバイパス管5
1に対して並列に接続されている。
【0026】分岐管52および分岐管54の材質は、可
撓性を考慮してシリコンチューブを用いると好適であ
る。また、管路45の材質としては、アルコールやキシ
レン等の対薬品性を有すると共に可撓性を有するPTF
E(フッ素樹脂)製の物を用いると好適である。
【0027】密度測定手段55には、表示手段56が電
気的に接続されている。表示手段56は、測定した密度
の表示等を行なう表示を行なうことができると共に、脱
水剤溶液の密度を測定した結果、含水率が予め設定され
た所定の値よりも高くなっている場合(すなわち次に使
用できない程度に劣化していると判定した場合)には、
密度測定手段55からの警告信号を受けて作業者等に警
告を発する機能をも有しているものである。警告は警告
ランプの点灯、警告文の表示あるいは警告音の発生をも
って行なわれる。
【0028】また、秤75には、風袋引きを設定する機
能も有しているものを用いると好適である。この実施形
態では、風袋引きの設定あるいは警告が発せられる密度
の設定も、表示手段56を操作することによって予め設
定可能にされているものであるとする。
【0029】処理槽30と三方弁48の間には、管路4
5の開閉を行う切換バルブ58が設けられている。切換
バルブ58は、管路45を開閉して、処理槽30内への
薬液の供給のオン−オフを切り換えるものである。切換
バルブ58から処理槽30へ向けて、2本の管路が接続
されている。一方の管路が処理槽30の上部側壁面に接
続されて薬液を処理槽内に給液する給液管路60であ
り、処理槽30の底部に接続されている他方の管路が薬
液を処理槽30から排液する排液管路62である。排液
管路62が処理槽30の底部に設けられていることによ
って、処理槽30内の薬液を残さずに排出できる。
【0030】また、処理槽30には、薬液の液面上限位
置よりも上方の空気層と連通するように、1本のエア管
路64の一端が接続されている。エア管路64の他端は
二股に分岐され、分岐されたそれぞれの側に加圧側切換
弁66と減圧用切換弁68が接続されている。加圧側切
換弁66と減圧側切換弁68はそれぞれエアポンプ70
の加圧側と減圧側に接続されている。なお、符号72は
フィルターであって、減圧時にエアポンプ70で輸送さ
れる排気ガスを除去するために設けられている。このエ
アポンプ60が作動して処理層30内を加減圧すること
によって処理槽30内への薬液の給排が行われる。
【0031】薬液の給排動作を説明する。処理槽30内
へ薬液を給液するときには、加圧側切換弁66が閉じ、
減圧側切換弁68が開き、エアポンプ70がエア管路6
4内のエアを吸引する。このため、処理槽30内が負圧
になり、管路45を通して選択バルブ42が選択した一
のタンク38から薬液が処理槽30内に吸い上げられ
る。一方、処理槽30内の薬液を排出するときには、加
圧側切換弁66が開き、減圧側切換弁68が閉じ、エア
ポンプ70がエアを処理槽30内に吹きこむ。このた
め、処理槽30内が加圧され、処理槽30内の薬液が、
管路45を通して選択バルブ42によって選択されてい
たタンク38側に戻される。なお、処理槽30内の薬液
をタンク38側に戻す場合には、エアポンプ70を作動
させずに、大気と処理槽30内とを連通させて薬液を重
力による自由落下によりタンク38側に戻すようにして
もよい。
【0032】密度を測定すべき脱水剤溶液を密度測定手
段へ供給するための動作について説明する。密度を測定
すべき脱水剤溶液を処理槽30からタンク38へ排出す
る際には、密度測定手段55へ脱水剤溶液が流れ込むよ
うに三方弁48,50が切換え制御される。密度を測定
すべき脱水剤溶液の処理槽30からの排出時以外のとき
は、薬液が密度測定手段55の方へ流れ込まないように
三方弁48,50が制御される。このときは、薬液はバ
イパス管51内を通過する。
【0033】上述してきた組織片処理装置の密度測定手
段の具体例を図3に、秤量管の具体例を図4に示す。こ
こで示す密度測定手段55は、内部に脱水剤溶液を収容
する秤量管74と、秤量管74を支持する支持手段76
と、支持手段76を載置して支持手段76や秤量管74
ごと脱水剤溶液の重量を計測する秤75とを有してい
る。
【0034】秤量管74は、底部が先鋭の円錐状に形成
された円錐状部78と、円錐状部78の上面78aから
上方に突出するように形成され、上方が開口されてなる
円筒状部80と、円筒状部80の側面から斜め下方に向
けて突出して先端が開口されてなる分岐部82とから構
成されている。円筒状部80の上端の開口部分80aか
らは、三方弁48から延びる分岐管52に接続されたノ
ズル57が挿入され、内部管53に接続されている。ノ
ズル57は、ゴム製等の密封栓83に差し込まれてお
り、円筒状部80の開口部分80aはこの密封栓83に
よって密封されてなる。内部管53は、円錐状部78の
底部に当接する程度にまで奥まで挿入される。一方、分
岐部82の先端部には三方弁50へ向かう分岐管54が
接続されている。
【0035】このように、円錐状部78の底部が狭くな
っている(底部が上部よりも小径となっている)形状で
あるので秤量管74内に収容されている液を残さず吸引
することができる。また、処理槽30から排出された脱
水剤溶液は分岐管52を通じて円錐状部78の底部にま
で送り込まれる。脱水剤溶液が順次供給されてくると、
供給される脱水剤溶液は底部から徐々に溜っていく。そ
して、先に供給されていた溶液は下から押されて上昇し
ていき、分岐管82から排出される。なお、秤量管74
は、円錐状部78の上方の円筒状部80の径が小さくな
るように形成されているので、表面張力等の影響を抑え
てなるべく正確な密度の測定をすることができる。
【0036】かかる秤量管74は、ガラス、ステンレス
スチール、またはPTFE等の材質を用いることによっ
て、酸、アルコール、脂肪等による変質を防止すること
ができる。またこのような材質によれば温度変化による
体膨張率が低いので、正確な密度測定を行なうことがで
きる。
【0037】なお、図2では上下方向に対する各構成要
素の位置関係は明確に図示していないが、図3に示すよ
うに上下方向に沿って、処理槽30の排出口位置a、三
方弁48の位置b、秤量管の分岐部82の分岐位置c、
分岐管54の上端位置d、三方弁50の位置e、および
タンク38の底部位置fの順番に位置している。そして
このような上下方向の位置関係に加えて、処理槽30の
排出口位置aと三方弁48の位置bとを連結する管路4
5、三方弁48の位置bと秤量管74とを連結する分岐
管52、分岐部82と三方弁50とを連結する分岐管5
4、三方弁48,50同士を連結するバイパス管51お
よび三方弁50とタンク38とを連結する管路45は、
たるみがないようなほぼ直線状であって且つ各管の接続
先の前者から後者に向けて下方に向かう勾配をつけて設
けられている。このため、各管路40,45,51,5
2,54内に脱水剤溶液等の薬液が残ってしまうような
ことを防止することができる。
【0038】なお、可撓性のある各管路が繋がった状態
で、秤量管74の重量を測定する必要が生じるが、秤7
5に対してテコの原理によって正確な秤量が妨げられる
おそれも出てくる。そこで、三方弁48とノズル57と
の間、および分岐部82と三方弁50との間の水平距離
は少なくとも30cm以上あけて配置すると正確な秤量
が行なえるので好適である。
【0039】続いて、第1の実施形態における脱水剤溶
液の劣化判定の動作について説明していく。まず、作業
者が秤75の0点調整と水平の調整を行なう。次に、作
業者は、秤75の上に支持手段76に支持された秤量管
74を載置する。そして秤量管74が空であることを確
認した後に、秤75の風袋引きを行なう。次に、作業者
は、劣化している旨の警報(以下、劣化警報ということ
もある)を出すべき脱水剤溶液の密度の大きさを設定す
る。設定は、上述したように表示手段56を操作して行
なうようにする。
【0040】例えば脱水剤溶液としてエチルアルコール
が用いられている場合であって、エチルアルコール濃度
が40%以下になった場合に劣化警報を出そうとする場
合には、そのときのエチルアルコールの密度は0.93
g/cm3である(常温時)。そこで、秤75が測定す
る脱水剤溶液の重量が、予め判明している秤量管74の
容積に0.93g/cm3をかけ合わせて得られた数値
以上になった場合には、劣化警報を出力するように設定
するのである。
【0041】処理槽30内で脱水工程が終了すると、三
方弁48が秤量管74側へ流れるように切換えられる。
この動作は図示しない制御部が行なう。すると、脱水工
程で使用され、密度を測定するように設定された脱水剤
溶液は、管路45から三方弁48を経て分岐管52へ流
入してくる。秤量管74内に流入してきた脱水剤溶液
は、円錐状部78の底部から上方に上昇していき、分岐
管82から三方弁50方向へ排出される。分岐管52か
ら供給される脱水剤溶液が無くなって分岐管52内が空
になり、秤量管74内の液面位置と秤量管74内の内部
管53の液面が一致したところで秤75が計量する。
【0042】計量の結果、脱水剤溶液の重量が予め設定
していた数値に達していた場合には、脱水剤溶液が劣化
しているものとして警報が成される。警報を受けた作業
者は、劣化と判定された脱水剤溶液を廃棄する等の処分
を行なう。一方、脱水剤溶液の重量が予め設定していた
数値に達していなかった場合には、その脱水剤溶液は次
の組織片を脱水処理する際にも使用される。
【0043】上述してきたように、ある脱水工程に使用
された脱水剤溶液の劣化判定が終了した後、次の脱水工
程が行なわれる。該次の脱水工程が終了するとこの脱水
剤溶液について劣化しているか否かの判定が行なわれ
る。このとき、次に判定される脱水剤溶液は、前の脱水
剤溶液が秤量管74内に残っている状態で、引き続いて
秤量管74に供給するようにしてもよい。つまり、秤量
管74内に判定後の脱水剤溶液を残したまま次の処理工
程へ進む場合である。かかる場合では脱水剤溶液は秤量
管74の下部から貯留されていき、先の脱水剤溶液を上
昇させて、先の古い脱水剤溶液を分岐管82から排出さ
せる。このように、先の脱水剤溶液が残っていても、先
の脱水剤溶液の方が密度が小さいものであるので、後か
ら流入してきた脱水剤溶液が下方から貯留されていき、
新旧の脱水剤夜液を自動的に入れ替えることができる。
【0044】また、この脱水工程を終了する毎に、秤量
管74内の脱水剤溶液を全て排出させることとしてもよ
い。この場合には、劣化判定が終了した後に、処理槽3
0側からの吸引によって、秤量管74内の脱水剤溶液を
処理槽30側の管路45へ戻す。それから三方弁48,
50を切換えて秤量管74内から吸引した脱水剤溶液を
タンク38へ送り込む。さらにこの後、三方弁48,5
0を再度秤量管74側へ切換え、エアを秤量管74内に
送り込み、秤量管74内をパージして秤量管74内を空
にするとよい。
【0045】なお、上述してきた第1の実施形態では、
三方弁48,50と密度測定手段55を選択バルブ42
と処理槽30とを結ぶ管路45の途中に設けたことで、
全ての脱水剤溶液について密度測定を行なって、劣化の
判定をすることができる。しかし、このような形態に限
定せず、選択バルブ42のタンク側ポート43とタンク
38の間の管路40のうちの特定の管路40に三方弁4
8,50と密度測定手段55を設け、特定のタンク38
内の脱水剤溶液の劣化を判定するようにしても好適であ
る。この形態にすれば、例えば最も劣化しやすいタンク
38内の脱水剤溶液についてのみ劣化判定を行なうこと
ができる。
【0046】(第2の実施形態)次に、脱水剤溶液の密
度を測定して脱水剤溶液の劣化を判定することができる
組織片処理装置の他の実施形態について説明する。図5
には組織片処理装置の全体構成を示し、図6には脱水剤
溶液の密度を測定する密度測定手段の具体例について示
している。なお、上述してきた実施形態と同一の構成要
素については同一の符号を付し、説明を省略する場合が
ある。
【0047】本実施形態では、秤84を設け、タンク3
8を秤84の上に載置し、タンク38内に収納されてい
る測定すべき脱水剤溶液の密度を秤84によって測定す
るようにしている。なお、密度を測定する際には、タン
ク38中に収納されている脱水剤溶液の容量が一定とな
っていなくてはならない。そこで、タンク38中には収
納された溶液が一定量となるように作業者が確認可能な
目盛りが図示されている。ここで、管路40は、タンク
38の底部にまで到達するように設けられている。この
ため、処理槽30へ薬液を吸引する場合には、タンク3
8内の薬液を残さずに吸引可能である。なお、可撓性の
ある管路40が繋がった状態で、タンク38の重量を測
定する必要が生じるが、秤84に対してテコの原理によ
って正確な秤量が妨げられるおそれも出てくる。そこ
で、タンク側ポート43とタンク38の間の管路40の
水平距離は少なくとも30cm以上とすると正確な秤量
が行えるので好適である。
【0048】第2の実施形態による脱水剤溶液の劣化判
定の動作について説明していく。まず、作業者は、秤8
4の0点調整と水平の調整を行なう。次に、作業者は、
秤84の上に空のタンク38を載置する。そしてタンク
38が空であることを確認した後に、風袋引きを行な
う。次に、作業者は、劣化警報を出すべき密度の大きさ
を設定する。設定は、上述したように表示手段56を操
作して行なうようにする。
【0049】例えば脱水剤溶液としてエチルアルコール
が用いられている場合であって、エチルアルコール濃度
が40%以下になった場合に劣化警報を出そうとする場
合には、そのときのエチルアルコールの密度は0.93
g/cm3である(常温時)。そこで、秤75が測定す
る脱水剤溶液の重量が、予め判明しているタンク38の
容積に0.93g/cm3をかけ合わせて得られた数値
以上になった場合には、劣化警報を出力するように設定
するのである。
【0050】脱水工程が終了すると、処理槽30から脱
水に使用された脱水剤溶液が排出されてタンク38へ収
納される。収納された脱水剤溶液の重量を秤84が計測
する。計量の結果、予め設定していた劣化時の重量に達
していた場合には、警報が成される。警報を受けた作業
者は、劣化と判定された脱水剤溶液を廃棄する等の処分
を行なう。一方、予め設定していた劣化時の重量に達し
ていなかった場合には、その脱水剤溶液は次の組織片を
脱水処理する際にも使用され、次の組織片の脱水工程が
終了した場合に再度劣化しているか否かの判定が成され
る。
【0051】(第3の実施形態)次に、脱水剤溶液の比
誘電率を測定することによって、脱水剤溶液の劣化を判
定することができる組織片処理装置について説明する。
図7には組織片処理装置の全体構成を示し、図8には比
誘電率を測定する比誘電率測定手段の具体例について示
し、図9には図8に示した比誘電率測定手段中の計測用
管の具体例について示している。なお、上述してきた実
施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、
説明を省略する場合もある。
【0052】このように、脱水剤溶液の比誘電率の測定
で脱水剤溶液の劣化が判定できるのは、脱水剤溶液の含
水率が増加して濃度が低くなるに従い、脱水剤溶液に対
して水分の割合が上昇して比誘電率が増えるからであ
る。このとき、第1の実施形態で説明したような各アル
コール類とアセトンについては、濃度と比誘電率との関
係がほぼ直線性を示すことが明らかとなっているため、
比誘電率を厳密に測定していくことによって、脱水剤溶
液の劣化が正確に判定できるのである。
【0053】比誘電率を測定する比誘電率測定手段88
は、タンク38と処理槽30とを連結する管路45の途
中に接続されている。管路45の途中には、2個の三方
弁48,50が設けられ、この2個の三方弁48,50
の間に比誘電率測定手段88が設けられている。また、
三方弁48,50は、第1の実施形態と同様の理由によ
り、ダイアフラム三方弁やサニタリーボール弁を用い、
液が滞留しないような姿勢で取り付けると好適である。
【0054】比誘電率測定手段88は、脱水剤溶液を収
容する計測用管92と、該計測用管92を転倒させない
ように支持する支持手段93と、計測用管92に取り付
けられて、脱水剤溶液の比誘電率を測定する比誘電率測
定センサ99と、比誘電率測定センサ99の操作や表示
を行なう表示手段100とを有している。
【0055】計測用管92について説明する。計測用管
92は、底部が先鋭になるように下方に向かうにつれて
徐々に縮径された大径部94と、大径部94の側面94
aに比誘電率測定センサ99を取り付ける取り付け部9
5と、大径部94の上方に設けられて大径部よりも小径
の円筒状の円筒状部96と、円筒状部92の側面から斜
め下方に向けて設けられた分岐管98とから構成されて
いる。
【0056】かかる計測用管92は、ガラス、ステンレ
ススチール、またはPTFE等の材質を用いることによ
って、酸、アルコール、脂肪等による変質を防止するこ
とができる。またこのような材質によれば温度変化によ
る体膨張率が低いので、正確な比誘電率測定を行なうこ
とができる。さらに、比誘電率を測定するにあたって、
このような一定容量で計測可能な計測用管92を採用す
ることで、より正確な比誘電率を測定することができ
る。
【0057】また、第1の実施形態で説明したものと同
様に、図8に示すように各構成要素は、上下方向に沿っ
て、処理槽30の排出口位置a、三方弁48の位置b、
計測用管92の分岐部98の分岐位置c、分岐管54の
上端位置d、三方弁50の位置e、およびタンク38の
底部位置fの順番に位置している。そしてこのような上
下方向の位置関係に加えて、処理槽30の排出口位置a
と三方弁48の位置bとを連結する管路45、三方弁4
8の位置bと計測用管92とを連結する分岐管52、分
岐部82と三方弁50とを連結する分岐管54、三方弁
48,50同士を連結するバイパス管51、および三方
弁50とタンク38とを連結する管路45は、たるみが
ないようなほぼ直線状であって且つ各管の接続先の前者
から後者に向けて下方に向かう勾配をつけて設けられて
いる。このため、各管路40,45,51,52,54
内に脱水剤溶液等の薬液が残ってしまうようなことを防
止することができる。
【0058】第3の実施形態による脱水剤溶液の劣化判
定の動作について説明していく。まず、作業者は、比誘
電率測定センサ99の校正を行なう。次に、作業者は、
脱水剤溶液の比誘電率を測定した結果、劣化警報を出す
べき比誘電率の大きさを設定する。設定は、上述したよ
うに表示手段100を操作して行なうようにする。
【0059】例えば脱水剤溶液がエチルアルコールであ
る場合に、エチルアルコール濃度が40%以下になった
場合に劣化警報を出そうとする場合には、そのときのエ
チルアルコールの比誘電率は約56.5F/m(20
℃)であることが予め判明している。そこで、エチルア
ルコールの比誘電率が56.5F/m以上になった場合
には、劣化警報を出力するように設定するのである。
【0060】処理槽30内で脱水工程が終了すると、三
方弁48を計測用管92側へ流れるように切換えられ
る。すると、脱水工程で使用され、比誘電率を測定する
ように設定された脱水剤溶液は管路45から三方弁48
を経て、分岐管52へ流入してくる。計測用管92内に
流入してきた脱水剤溶液は、大径部94の底部から上方
に上昇していき、分岐管82から三方弁50方向へ排出
される。分岐管52から供給される脱水剤溶液が無くな
って分岐管52内が空になり、秤量管74内の液面位置
と秤量管74内の内部管53の液面が一致したところで
比誘電率測定センサ99が比誘電率を測定する。
【0061】測定の結果、予め設定していた劣化時の比
誘電率に達していた場合には、劣化警報が成される。警
報を受けた作業者は、劣化と判定された脱水剤溶液を廃
棄する等の処分を行なう。一方、予め設定していた劣化
時の比誘電率に達していなかった場合には、その脱水剤
溶液は次の組織片を脱水処理する際にも使用される。
【0062】上述してきたように、ある脱水工程に使用
された脱水剤溶液の劣化判定が終了した後、次の脱水工
程が行なわれる。該次の脱水工程が終了するとこの脱水
剤溶液について劣化判定が行なわれる。このとき、次に
判定される脱水剤溶液は、前の脱水剤溶液が計測用管9
2内に残っている状態で、引き続いて計測用管92に供
給するようにしてもよい。つまり、計測用管92内に判
定後の脱水剤溶液を残したまま次の処理工程へ進む場合
である。係る場合では後から供給された脱水剤溶液は計
測用管92の下部から貯留されていき、先の古い脱水剤
溶液を上昇させて分岐管98から排出させる。このよう
に、先の脱水剤溶液が残っていても、先の脱水剤溶液の
方が密度が小さいものであるので、後から流入してきた
脱水剤溶液が下方から貯留されていき、新旧の脱水剤夜
液を自動的に入れ替えることができる。
【0063】また、この脱水工程を終了する毎に、計測
用管92内の脱水剤溶液を全て排出させることとしても
よい。この場合には、劣化判定が終了した後に、処理槽
30側からの吸引によって、計測用管92内の脱水剤溶
液を処理槽30側の管路45へ戻す。それから三方弁4
8,50を切換えて計測用管92内にあった脱水剤溶液
をタンク38へ送り込む。さらにこの後、三方弁48,
50を再度計測用管92側へ切換えてエアを計測用管9
2内に送り込み、計測用管92内をパージする。
【0064】なお、上述してきた第3の実施形態では、
三方弁48,50と密度測定手段55を選択バルブ42
と処理槽30とを結ぶ管路45の途中に設けたことで、
全ての脱水剤溶液について比誘電率測定を行なって、劣
化の判定をすることができる。しかし、このような形態
に限定せず、選択バルブ42のタンク側ポート43とタ
ンク38の間の管路40のうちの特定の管路40に三方
弁48,50と比誘電率測定手段88を設け、特定のタ
ンク38内の脱水剤溶液の劣化を判定するようにしても
好適である。この形態にすれば、例えば最も劣化しやす
いタンク38内の脱水剤溶液についてのみ劣化判定を行
なうことができる。
【0065】(第4の実施形態)次に、脱水剤溶液の比
重をタンク内で測定することによって、脱水剤溶液の劣
化を判定することができる組織片処理装置について説明
する。図10(a)、(b)に、タンクの構造を示す。
なお、ここでは組織片処理装置全体の構造は従来から知
られている構造と何ら変るところがないものを例として
挙げるので、全体の構成については省略する。タンク3
8には、内部に所定の比重を有する浮標102が収納さ
れている。また、タンク38の側面には、浮標102を
目視するための窓106が形成されている。窓106は
浮標102を見やすいように透明または半透明な材質で
形成されているとよい。なお、タンク38内には、浮標
102の上下動をガイドし、浮標102の横方向への移
動を妨げるためのメッシュ状の仕切壁104が設けられ
ている。
【0066】浮標102は、有機溶剤や酸の影響を受け
ににくいPTFE製等のボール球の内部におもりを封入
し、所定の比重となるように構成されたものである。な
お、浮標102の材質としてはPTFEに限定されるこ
とはなく、寿命および経済性を勘案して硬質プラスチッ
ク等を採用してもよい。浮標102の比重は、脱水剤溶
液の劣化の指標となるような数値にしておくとよい。浮
標102を、例えば比重0.90から0.95まで0.
01刻みで6種類作製しておき、測定したい脱水剤溶液
の濃度に該当する比重の浮標102をタンク38内に投
入しておくのである。かかる場合、各比重毎の異なるボ
ール毎に異なる色を塗布しておくことにより、脱水剤溶
液の濃度を迅速に判断することができる。なお、該当す
る比重の浮標102をタンク38に投入し、浮標102
の半分が液面上にあらわれたときにこの浮標102の比
重となったと判断して劣化していると判定する。かかる
判定は作業者が目視することで行なう。
【0067】(第5の実施形態)次に、浮標がタンクで
はなく専用の判定用管内に投入されている組織片処理装
置について説明する。図11に、浮標が投入された判定
用管の構造について示す。本実施形態の組織片処理装置
全体の構造は、図1または図7に示した組織片処理装置
の密度測定手段または比誘電率測定手段を、浮標が投入
された判定用管に置き換えたものであって、他の構成要
素については同一のものであるとする。他の実施形態と
同一の構成要素については同一の符号を付して説明は省
略する。
【0068】判定用管110は、底部が先鋭になるよう
に下方に向かうにつれて徐々に縮径されて形成されてい
る。この判定用管110の先鋭となった底部に三方弁4
8から延びる分岐管52が接続されている。このため、
測定する脱水剤溶液は判定用管110の下方から貯留さ
れていく。また、判定用管110内には、それぞれ比重
が異なる3個の浮標102a、102b、102cが投
入されている。それぞれの浮標は、0.1g/cm3
つ比重が異なるように設けられている。
【0069】3個の浮標102a〜102cは、それぞ
れメッシュ状の仕切壁112に仕切られた収容空間11
3内に投入され、収容空間113内で上下動自在に設け
られている。3個の浮標のうち、測定したい脱水剤溶液
の濃度に該当する比重の浮標は、中央に配置されてい
る。したがってここでは、中央に位置する浮標102b
が液面上に半分だけあらわれたときに劣化したものとし
て判定する。判定は、上記第4の実施形態と同様に作業
者が目視することによって行なう。
【0070】なお、上述してきた各実施形態では組織片
処理装置の一例として1槽式組織片処理装置について説
明してきたが、複数の処理槽を設けて各処理槽で並行処
理を行ったり、薬液がパラフィン系とパラフィン系でな
い場合とで処理槽を分けた組織片処理装置であってもよ
い(図示せず)。さらに、マイクロ波を用いた加熱手段
を有する組織片処理装置(図示せず)について、上述し
てきた脱水剤溶液の劣化を判定する手段を設けてもよ
い。なお、従来の技術でも説明したように、組織片処理
装置とは、組織片の包埋を行なう装置に限定されること
なく、組織片を染色するための装置も含む概念である。
【0071】以上本発明につき好適な実施例を挙げて種
々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるもので
はなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を
施し得るのはもちろんである。
【0072】
【発明の効果】本発明に係る組織片処理装置によれば、
組織片の顕微鏡標本を作製するための組織片処理装置に
おいて、脱水剤溶液の劣化を判定する劣化判定手段を具
備するので、組織片の確実な脱水を図り、且つ脱水剤溶
液の無駄な利用を防止することができる。また、劣化判
定手段は、脱水剤溶液の密度を測定することによって脱
水剤溶液の劣化を判定することを特徴としてもよい。
【0073】本発明の請求項3にかかる組織片処理装置
によれば、劣化判定手段は、組織片を脱水処理する処理
槽と脱水剤溶液が貯留されているタンクとの間を連結す
る管路の中途部に設けられ、管路から一定容量の脱水剤
溶液を導入する秤量管と、該一定容量の脱水剤溶液が導
入された秤量管の重量を測定する重量測定手段とから成
るので、脱水剤溶液の劣化の判定を簡単な構成で容易に
行なうことができる。
【0074】本発明の請求項4にかかる組織片処理装置
によれば、劣化判定手段は、脱水剤溶液が貯留されてい
るタンクの重量を測定する重量測定手段であることを特
徴としているので、タンク内に既知容量の脱水剤溶液が
貯留されれば、タンクごと重量を測定することによっ
て、脱水剤溶液の劣化を判定することができる。
【0075】本発明の請求項5にかかる組織片処理装置
によれば、劣化判定手段は、組織片を脱水処理する処理
槽と脱水剤溶液が貯留されているタンクとの間を連結す
る管路の中途部に設けられ、該管路から一定容量の脱水
剤溶液を導入する測定用管と、一定容量の脱水剤溶液が
導入された測定用管に設けられ、測定用管内に導入され
た脱水剤溶液の比誘電率を測定する比誘電率センサとか
ら成るので、比誘電率センサを設けた測定用管には中間
剤や浸透剤を流さずに脱水剤溶液のみを流すことができ
るので比誘電率センサへの中間剤や固定剤の付着を防止
することができると共に、比誘電率の測定を定容量で行
えるのでより正確な劣化の判定をすることができる。
【0076】本発明の請求項6にかかる組織片処理装置
によれば、劣化判定手段は、脱水剤溶液が貯留され、全
体または一部が内部を観察することができるように透明
または半透明に形成されたタンクと、タンク内に収納さ
れ、比重が予め判明している浮標とから成るので、浮標
を収納して浮標の浮いている位置を見て脱水剤溶液の劣
化を判定することができ、簡単な構成で製造コスト等も
かさむことなく組織片の確実な脱水を図り、且つ脱水剤
溶液の無駄な利用を防止することができる。
【0077】本発明の請求項7にかかる組織片処理装置
によれば、タンク内には、それぞれ比重が異なる複数個
の浮標が収納されているので、1つの浮標の位置を見て
脱水剤溶液の含水率の判断をするよりも見やすく、判定
がしやすい。
【0078】本発明の請求項8にかかる組織片処理装置
によれば、劣化判定手段は、組織片を脱水処理する処理
槽と脱水剤溶液が貯留されているタンクとの間を連結す
る管路の中途部に設けられ、管路から脱水剤溶液を導入
する判定用管と、判定用管内に収納され、比重が予め判
明している1個または複数個の浮標とから成るので、判
定管内の浮標の位置で脱水剤溶液の劣化を判定すること
ができ、簡単な構成で容易に劣化の判定を行なうことが
できる。
【0079】本発明の請求項9にかかる組織片処理装置
によれば、秤量管、測定用管または判定用管は、底部が
上部よりも小径となるように設けられ、脱水剤溶液を導
入するために管路から分岐された導入管の先端部が前記
底部へ達するように設けられているか、または導入管の
先端部が底部に接続されているので、先に劣化判定をし
た脱水剤溶液を廃棄して入れ替えなくとも、次に劣化判
定を行なう脱水剤溶液を導入すれば、新旧の脱水剤溶液
を密度の差によって自動的に入れ替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】組織片処理工程の一例を示す工程図である。
【図2】本発明に係る組織片処理装置の第1の実施形態
の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態の密度測定手段の具体的構成を
示す説明図である。
【図4】第1の実施形態の秤量管を示す説明図である。
【図5】第2の実施形態の構成を示すブロック図であ
る。
【図6】第2の実施形態の密度測定手段を示す説明図で
ある。
【図7】第3の実施形態の構成を示すブロック図であ
る。
【図8】第3の実施形態の比誘電率測定手段を示す説明
図である。
【図9】第3の実施形態の計測用管を示す説明図であ
る。
【図10】第4の実施形態のタンクを示す説明図であ
る。
【図11】第5の実施形態の判定用管を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
20 組織片処理装置 30 処理槽 32 密閉蓋 34 検体籠 36 収納部 38 タンク 40 管路 42 選択バルブ 43 タンク側ポート 44a 弁座 44b 弁板 45 管路 46 処理槽側ポート 48,50 三方弁 51 バイパス管 52,54 分岐管 53 内部管 55 密度測定手段 56,90,100 表示手段 57 ノズル 58 切換バルブ 60 給液管路 62 排液管路 64 エア管路 66 加圧側切換弁 68 減圧側切換弁 70 エアポンプ 72 フィルター 74 秤量管 75,84 秤 76,93 支持手段 78 円錐状部 80,96 円筒状部 80a 上面 82,98 分岐部 83 密閉栓 88 比誘電率測定手段 92 計測用管 94 大径部 94a 側面 95 取り付け部 99 比誘電率測定センサ 102 浮標 104,112 仕切壁 106 窓 110 判定用管 113 収容空間

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組織片の顕微鏡標本を作製するための組
    織片処理装置において、 脱水剤溶液の劣化を判定することができる劣化判定手段
    を具備することを特徴とする組織片処理装置。
  2. 【請求項2】 前記劣化判定手段は、脱水剤溶液の密度
    を測定することによって脱水剤溶液の劣化を判定するこ
    とを特徴とする請求項1記載の組織片処理装置。
  3. 【請求項3】 前記劣化判定手段は、 組織片を脱水処理する処理槽と脱水剤溶液が貯留されて
    いるタンクとの間を連結する管路の中途部に設けられ、
    該管路から一定容量の脱水剤溶液を導入する秤量管と、 該一定容量の脱水剤溶液が導入された秤量管の重量を測
    定する重量測定手段とから成ることを特徴とする請求項
    2記載の組織片処理装置。
  4. 【請求項4】 前記劣化判定手段は、 脱水剤溶液が貯留されているタンクの重量を測定する重
    量測定手段であることを特徴とする請求項1記載の組織
    片処理装置。
  5. 【請求項5】 前記劣化判定手段は、 組織片を脱水処理する処理槽と脱水剤溶液が貯留されて
    いるタンクとの間を連結する管路の中途部に設けられ、
    該管路から一定容量の脱水剤溶液を導入する測定用管
    と、 該一定容量の脱水剤溶液が導入された測定用管に設けら
    れ、該測定用管内に導入された脱水剤溶液の比誘電率を
    測定する比誘電率センサとから成ることを特徴とする請
    求項1記載の組織片処理装置。
  6. 【請求項6】 前記劣化判定手段は、 脱水剤溶液が貯留され、全体または一部が内部を観察す
    ることができるように透明または半透明に形成されたタ
    ンクと、 前記タンク内に収納され、比重が予め判明している浮標
    とから成ることを特徴とする請求項1記載の組織片処理
    装置。
  7. 【請求項7】 前記タンク内には、それぞれ比重が異な
    る複数個の浮標が収納されていることを特徴とする請求
    項6記載の組織片処理装置。
  8. 【請求項8】 前記劣化判定手段は、 組織片を脱水処理する処理槽と脱水剤溶液が貯留されて
    いるタンクとの間を連結する管路の中途部に設けられ、 該管路から脱水剤溶液を導入する判定用管と、 該判定用管内に収納され、比重が予め判明している1個
    または複数個の浮標とから成ることを特徴とする請求項
    1記載の組織片処理装置。
  9. 【請求項9】 前記秤量管、測定用管または判定用管
    は、 底部が上部よりも小径となるように設けられ、 脱水剤溶液を導入するために管路から分岐された導入管
    の先端部が前記底部へ達するように設けられているか、
    または該導入管の先端部が底部に接続されていることを
    特徴とする請求項3,5または8記載の組織片処理装
    置。
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