JP2008044578A - 車両の操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数の転舵輪を独立して転舵するステアバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、転舵輪の転舵に伴う適切な操舵反力を操舵ハンドルに与える。
【解決手段】 位置応答制御値計算部B1は、操舵角センサ31によって検出された操舵角θhにスケール調整係数αを乗じた値と、左右の転舵角センサ33L、33Rによって検出された転舵角θwl、θwrとの平均値を用いて、位置応答制御値を計算する。力応答制御値計算部B2は、操舵力センサ32によって検出された操舵力Thと、左右の転舵反力センサ34L,34Rによって検出された転舵反力Twl,Twrにスケール調整係数βを乗じた値とを合算した合力を用いて力応答制御値を計算する。駆動制御部B3,B4,B5は、前記計算された位置応答制御値および力応答制御値を用いて、操舵用モータ14および左右の転舵用モータ24L,24Rを位置応答制御するとともに力応答制御する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ステアバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、バイラテラル制御により、転舵輪の転舵および操舵ハンドルに対する操舵反力付与を制御するようにした車両の操舵装置に関する。
従来から、操舵ハンドルと転舵輪とを機械的に切り離したステアバイワイヤ方式の車両の操舵装置はよく知られている。このステアバイワイヤ方式の車両の操舵装置は、例えば下記特許文献1に示すように、ステアリングシャフトに接続されて操舵ハンドルに対して操舵反力を付与する操舵反力用アクチュエータと、左右の転舵輪を連結する転舵軸に接続されてその転舵軸を変位させることより転舵輪を転舵する転舵用アクチュエータとを備えている。そして、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角とを検出して、検出操舵角に応じて設定される目標転舵角と検出転舵角との差に応じて転舵用アクチュエータを駆動制御することにより、操舵ハンドルの操舵に応じた転舵角が転舵輪に付与されるようにしている。
この特許文献1のものでは、転舵用アクチュエータとして複数の電動モータを備え、その複数の電動モータを1つのアクチュエータとみなして制御して、転舵軸を左右方向に変位させて左右の転舵輪を転舵する。
また、下記特許文献2においても同様のステアバイワイヤ方式の操舵制御装置が提案されている。この装置においては、転舵軸に付与される転舵反力を検出して、検出した転舵反力に応じて操舵反力用アクチュエータを駆動制御することにより、転舵軸の転舵に応じた操舵反力が操舵ハンドルに付与されるようにしている。
特開2004−196085号公報 特開2003−137124号公報
しかしながら、こうした従来の装置は、操舵反力用アクチュエータと、転舵アクチュエータとを一対一に制御するものであるため、左右独立転舵方式のステアバイワイヤ操舵装置に適用しても、左右輪を直結したような操舵フィーリングが得られない。つまり、従来の装置は、左右輪を転舵軸の両端に機械的に接続し、その転舵軸を転舵アクチュエータで変位させることで左右輪を同時に転舵するものであるが、左右輪ごとに転舵アクチュエータを設けて左右輪を独立して転舵駆動する左右独立転舵式に適用した場合には、良好な操舵フィーリングが得られない。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、操舵反力用アクチュエータと複数の転舵アクチュエータとを位置制御および力制御を同時に行うバイラテラル制御にて駆動することにより、機械的に分離されている転舵輪同士があたかも直結し、しかも操舵ハンドルと転舵輪とが接続されているような状態で、操舵ハンドルに対する操舵反力と転舵輪の転舵とを制御して、転舵輪の転舵に伴う適切な操舵反力を操舵ハンドルに与えることができるようにした車両の操舵装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、操舵ハンドルを駆動する操舵アクチュエータと、操舵ハンドルとは機械的に未接続の複数の転舵輪を独立して転舵する少なくとも2つ以上の転舵アクチュエータとを備えたステアバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、操舵ハンドルの操舵角を表す操舵角情報を取得する操舵角取得手段と、前記各転舵アクチュエータに独立して転舵される転舵輪ごとに、その転舵角を表す転舵角情報を取得する転舵角取得手段と、操舵ハンドルに付与される操舵力を表す操舵力情報を取得する操舵力取得手段と、前記各転舵アクチュエータに独立して転舵される転舵輪ごとに、その転舵輪に入力される転舵反力を表す転舵反力情報を取得する転舵反力取得手段と、前記操舵角情報によって表された操舵角と前記転舵角情報によって表された各転舵輪ごとの転舵角とをスケール調整して平均した平均値を計算する平均値計算手段と、前記平均値計算手段により計算された平均値に基づいて、前記操舵ハンドルの操舵角と各転舵輪の転舵角とを所定比に保つための前記操舵アクチュエータおよび転舵アクチュエータに対する位置応答制御値を計算する位置応答制御値計算手段と、前記操舵力情報によって表された操舵力と前記転舵反力情報によって表された各転舵輪ごとの転舵反力とをスケール調整して合算した合力を計算する合力計算手段と、前記合力計算手段により計算された合力に基づいて、操舵ハンドルに付与される操舵力および各転舵輪に入力される転舵反力に応じた前記操舵アクチュエータおよび転舵アクチュエータに対する力応答制御値を計算する力応答制御値計算手段と、前記位置応答制御値計算手段によって計算された前記操舵アクチュエータに対する位置応答制御値と、前記力応答制御値計算手段によって計算された前記操舵アクチュエータに対する力応答制御値とを合算して前記操舵アクチュエータを駆動制御する操舵アクチュエータ駆動制御手段と、前記位置応答制御値計算手段によって計算された前記転舵アクチュエータに対する位置応答制御値と、前記力応答制御値計算手段によって計算された前記転舵アクチュエータに対する力応答制御値とを合算して前記転舵アクチュエータを駆動制御する転舵アクチュエータ駆動制御手段とを設けたことにある。
このように構成した本発明によれば、位置応答制御値計算手段により計算した位置応答制御値と、力応答制御値計算手段とにより計算した力応答制御値とによって操舵アクチュエータと転舵アクチュエータとが駆動制御される。
位置応答制御値は、操舵ハンドルの操舵角と各転舵輪(転舵アクチュエータにより独立して転舵される転舵輪)ごとの転舵角とをスケール調整した後に平均した平均値に基づいて計算される。このスケール調整とは、操舵角と転舵角との比率調整を表す。従って、操舵アクチュエータおよび各転舵アクチュエータに対する位置応答制御値は、操舵角と各転舵輪ごとの転舵角とを互いに関連させた適正な値に決定される。
例えば、平均値計算手段により計算された平均値を目標操舵角として、この目標操舵角と操舵角取得手段で取得された操舵角とに基づいて操舵アクチュエータの位置応答制御値を計算する。また、平均値計算手段により計算された平均値を目標転舵角として、この目標転舵角と転舵角取得手段で取得された転舵角とに基づいて各転舵アクチュエータの位置応答制御値を計算する。
また、力応答制御値は、操舵ハンドルに付与される操舵力と各転舵輪(転舵アクチュエータにより独立して転舵される転舵輪)ごとに入力される転舵反力とをスケール調整した後に合算した合力に基づいて計算される。このスケール調整とは、操舵力と転舵反力との比率調整を表す。従って、操舵アクチュエータおよび各転舵アクチュエータに対する力応答制御値は、操舵力と各転舵輪ごとの転舵反力とを互いに関連させた適正な値に決定される。
そして、操舵アクチュエータは、このように計算された位置応答制御値と力応答制御値とを合算した制御値にて、操舵アクチュエータ駆動制御手段により駆動制御される。
また、各転舵アクチュエータも、このように計算された位置応答制御値と力応答制御値とを合算した制御値にて、転舵アクチュエータ駆動制御手段により駆動制御される。
このような、操舵アクチュエータおよび各転舵アクチュエータの位置応答制御および力応答制御を同時に行うバイラテラル制御により、機械的に分離されている転舵輪同士があたかも直結し、しかも操舵ハンドルと転舵輪とが接続されているような状態で、操舵ハンドルに対する操舵反力と転舵輪の転舵とが制御される。従って、転舵輪の転舵に伴う適切な操舵反力を操舵ハンドルに与えることができ、運転者は的確に路面反力を感じながら、操舵ハンドルを良好に操舵操作できるようになる。
本発明の他の特徴は、車両の走行する路面状態を検出する路面状態検出手段と、前記路面状態検出手段により、路面状態レベルが所定の悪路レベルにあると判断されたとき、前記力応答制御値計算手段により計算される力応答制御値を低減する力応答制御値補正手段とを備えたことにある。
この発明によれば、路面状態レベルが所定の悪路レベルにあると判断されたとき、力応答制御値補正手段は、力応答制御値を低減するため、その分だけ操舵ハンドルのハンドル操作が重くなり、路面から操舵ハンドルに伝わる振動(ガタガタ感)を低減することができる。従って、運転者は安定した運転操作を行うことができる。
尚、力応答制御値を低減するとは、力応答制御値を零にする構成も含むものである。
本発明の他の特徴は、前記転舵アクチュエータは、左転舵輪を転舵する左転舵アクチュエータと、右転舵輪を転舵する右転舵アクチュエータとを備え、前記転舵反力取得手段は、前記左転舵輪に入力される左転舵反力を表す左転舵反力情報と、前記右転舵輪に入力される右転舵反力を表す右転舵反力情報とを別々に取得するように構成されるとともに、前記路面状態検出手段は、前記左転舵反力情報によって表された左転舵反力と前記右転舵反力情報によって表された右転舵反力との差に基づいて、路面状態レベルを判断することにある。
この発明によれば、左転舵輪を転舵する左転舵アクチュエータと右転舵輪を転舵する右転舵アクチュエータとを備えた左右独立操舵方式の操舵装置を構成し、路面状態検出手段が左転舵輪に入力される左転舵反力と右転舵輪に入力される右転舵反力との差から路面状態レベルを判断する。例えば、左転舵反力と右転舵反力との差が所定値より大きい場合には、路面状態レベルが悪路レベルにあると判断する。従って、悪路検出を簡単に行うことができる。
つまり、従来のように左右転舵輪を転舵軸の両端に連結した操舵方式においては、片輪だけ外乱を受けた場合には、その外乱が反対側の車輪に伝わり左右に分散するため、外乱を正確に検出できないことがある。これに対して、本発明では、左右の転舵輪ごとに入力される転舵反力情報を取得するため、片輪のみが悪路に入っている場合においても良好に悪路検出することができる。
また、本発明においては、前記操舵角取得手段は、操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角センサであり、前記転舵角取得手段は、各転舵輪の転舵角を検出する転舵角センサであり、前記操舵力取得手段は、操舵ハンドルに付与される操舵力を検出する操舵力センサであり、かつ、前記転舵反力取得手段は、各転舵輪に入力される転舵反力を検出する転舵反力センサで構成してもよい。
また、前記操舵力取得手段は、前記操舵アクチュエータの作動制御状態と、同操舵アクチュエータの実際の作動状態とに基づいて、操舵ハンドルに付与される操舵力を推定する操舵力推定手段であり、かつ、前記転舵反力取得手段は、前記転舵アクチュエータの作動制御状態と、同転舵アクチュエータの実際の作動状態とに基づいて、転舵輪に入力される転舵反力を推定する転舵反力推定手段で構成することもできる。
例えば、操舵力または転舵反力を外乱とするオブザーバを想定し、操舵アクチュエータまたは転舵アクチュエータに対する駆動電流に基づく駆動制御トルクと、操舵アクチュエータまたは転舵アクチュエータの実際の発生トルクとの差により、操舵トルクまたは転舵反力を外乱として計算できる。この操舵力および転舵反力の推定技術を用いれば、操舵力センサおよび転舵反力センサは不要となり、製品の製造コストを下げることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記操舵角情報によって表された操舵角に基づいて操舵角速度を計算する操舵角速度計算手段と、前記計算された操舵角速度に比例したダンピング制御値を計算して、同ダンピング制御値を前記操舵アクチュエータ駆動制御手段による操舵アクチュエータの駆動制御に加味するダンピング制御手段とを設けたことにある。
更に、前記転舵角情報によって表された転舵角に基づいて転舵角速度を計算する転舵角速度計算手段と、前記計算された転舵角速度に比例したダンピング制御値を計算して、同ダンピング制御値を前記転舵アクチュエータ駆動制御手段による転舵アクチュエータの駆動制御に加味するダンピング制御手段とを設けてもよい。
この発明によれば、操舵アクチュエータまたは転舵アクチュエータに、速度ダンピング制御が付加され、力制御の応答特性をより良好にできるようになる。言い換えれば、力に関する応答制御特性を安定化することができ、操舵アクチュエータおよび転舵アクチュエータに対する力応答制御のゲインを大きく設定することができるようになり、運転者による操舵ハンドルの操舵操作感覚がより良好になる。
また、本発明の他の特徴は、前記平均値計算手段において、前記操舵角情報によって表された操舵角と前記転舵角情報によって表された各転舵輪ごとの転舵角とのスケール調整比を、車両の走行状態に応じて変更する第1変更手段を設けたことにある。
この場合、車両の走行状態とは、例えば、車両の走行速度、車両の旋回半径、またはその両者である。車両の走行状態が走行速度である場合には、車速を検出する車速センサを新たに設けて、車速センサによって検出された車速を用いるようにするとよい。車両の走行状態が旋回半径の場合には、操舵角センサによって検出された操舵角を用いるようにすればよい。これによれば、操舵ハンドルの操舵操作による操舵角と転舵輪が転舵される転舵角との関係を車両の走行状態に応じて変化させることができ、車両の操舵特性を車両の走行状態に応じて変更できるようになる。
さらに、本発明の他の特徴は、前記合力計算手段において、前記操舵力情報によって表された操舵力と前記転舵反力情報によって表された各転舵輪ごとの転舵反力とのスケール調整比を、車両の走行状態に応じて変更する第2変更手段を設けたことにある。
この場合も、車両の走行状態としては、車速センサによって検出された車両の走行速度、操舵角センサによって検出された旋回半径、またはその両者を利用できる。これによれば、操舵ハンドルへの操舵反力を車両の走行状態に応じて変化させることができ、車両の操舵反力特性を車両の走行状態に応じて変更できるようになる。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る車両の操舵装置について図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る車両の操舵装置を概略的に示している。
この車両の操舵装置は、運転者によって操舵操作される操舵操作装置10と、転舵輪としての左右前輪FWL,FWRを運転者の操舵操作に応じて転舵する転舵装置20とを機械的に分離したステアバイワイヤ方式を採用している。操舵操作装置10は、運転者によって回動操作される操作部としての操舵ハンドル11を備えている。操舵ハンドル11はステアリングシャフト12の上端に固定され、ステアリングシャフト12の下端には減速機構13を介して操舵アクチュエータとしての操舵用電動モータ14の出力軸が接続されている。操舵用電動モータ14(以下、単に操舵用モータ14と呼ぶ)は、運転者による操舵ハンドル11の操舵操作に対して反力トルクを付与するもので、その回転力が減速機構13を介してステアリングシャフト12に伝達されるようになっている。ただし、操舵用モータ14は、操舵ハンドル11を右方向に回転させる方向を正回転とし、操舵ハンドル11を左方向の回転させる方向を負回転とする。そして、操舵用モータ14は、正の制御値によって正回転し、負の制御値によって負回転する。
ステアリングシャフト12には、操舵角センサ31および操舵力センサ32が組みつけられる。操舵角センサ31は、操舵ハンドル11の基準位置からの回転角を検出して操舵角θhとして出力する。この場合、操舵角θhは、基準位置を「0」とし、操舵ハンドル11の右方向の回転角を正の値で表し、左方向の回転角を負の値で表す。
尚、この操舵角センサ31として、操舵用モータ14内に設けた回転角センサを利用してもよい。
操舵力センサ32は、ステアリングシャフト12に作用するトルクを検出して操舵力Thとして出力する。なお、操舵力Thは、操舵ハンドル11の右方向の操舵時における操舵力を正で表し、操舵ハンドル11の左方向の操舵時における操舵力を負で表す。したがって、操舵角θhおよび操舵力Thの正負によって表される方向は、操舵用モータ14の正負によって表される回転方向と同じである。
転舵装置20は、転舵輪としての左右前輪FWL,FWRを独立して転舵する左右独立転舵方式であって、左前輪FWLを転舵する左転舵部20Lと、右前輪FWRを転舵する右転舵部20Rとを備える。
各転舵部20L,20Rは、車両の左右方向に延びて配置された転舵軸21L,21Rをそれぞれ備えている。この転舵軸21L,21Rの一端は、それぞれタイロッド22L,22Rおよびナックルアーム23L,23Rを介して、左右前輪FWL,FWRが転舵可能に接続されている。
各左右前輪FWL,FWRは、それぞれ転舵軸21L,21Rの軸線方向の変位により左右に転舵される。各転舵軸21L,21Rには、それぞれ転舵アクチュエータとしての転舵用電動モータ24L,24Rと、減速機構を構成するボールねじ機構25L,25Rとが組み付けられている。各転舵用電動モータ24L,24Rは、それぞれ回転により左右前輪FWL,FWRを転舵するもので、その回転がボールねじ機構25L,25Rによって減速されるとともに直線運動に変換されて転舵軸21L,21Rに伝達される。
尚、転舵用電動モータ24L,24Rは、左右前輪FWL,FWRを右方向に転舵する方向を正回転とし、左右前輪FWL,FWRを左方向の転舵する方向を負回転とする。そして、転舵用電動モータ24L,24Rも、正の制御値によって正回転し、負の制御値によって負回転する。
以下、転舵用電動モータ24Lを左転舵用モータ24Lと呼び、転舵用電動モータ24Rを右転舵用モータ24Rと呼ぶ。
各転舵軸21L,21Rには、それぞれ転舵角センサ33L,33Rと転舵反力センサ34L,34Rとが組みつけられる。各転舵角センサ33L,33Rは、それぞれ転舵軸21L,21Rの基準位置からの軸線方向の変位量を検出して左右前輪FWL,FWRの転舵角θwl,θwrとして出力する。この場合、転舵角θwl,θwrは、基準位置を「0」とし、左右前輪FWL,FWRの右方向の転舵角を正の値で表し、左右前輪FWL,FWRの左方向の転舵角を負の値で表す。
尚、転舵角センサ33L,33Rとして、転舵用モータ24L,24R内に設けた回転角センサを利用するようにしてもよい。
以下、転舵角センサ33Lを左転舵角センサ33Lと呼び、転舵角センサ33Rを右転舵角センサ33Rと呼ぶ。また、転舵角センサ33Lに検出される転舵角を左転舵角θwlと呼び、右転舵角センサ33Rにより検出される転舵角を右転舵角θwrと呼ぶ。
各転舵反力センサ34L,34Rは、それぞれ路面から左右前輪FWL,FWRを介して転舵軸21L,21Rに入力する力を転舵軸21L、21Rの歪に基づいて検出して、転舵反力Twl,Twrとして出力する。この場合、転舵反力Twl,Twrは、左右前輪FWL,FWRの右方向への転舵反力を正で表し、左右前輪FWL,FWRの左方向への転舵反力を負で表す。したがって、転舵角θwl,θwrおよび転舵反力Twl,Twrの正負によって表される方向は、転舵用モータ24L、24Rの正負によって表される回転方向と同じである。
尚、この転舵反力Twl,Twrを、転舵用モータ24L、24Rまたはボールねじ機構25L,25R内に作用するトルクに基づいて計算するようにしてもよい。
以下、転舵反力センサ34Lを左転舵反力センサ34Lと呼び、転舵反力センサ34Rを右転舵反力センサ34Rと呼ぶ。また、左転舵反力センサ34Lに検出される転舵反力を左転舵反力Twlと呼び、右転舵反力センサ34Rにより検出される転舵反力を右転舵反力Twrと呼ぶ。
次に、操舵用モータ14および左転舵用モータ24L,右転舵用モータ24Rの回転を制御する電気制御装置40について説明する。
電気制御装置40は、電子制御ユニット(以下、ECUと呼ぶ)41と、操舵用モータ14を駆動する駆動回路42と、左転舵用モータ24Lを駆動する駆動回路43Lと、右転舵用モータ24Rを駆動する駆動回路43Rとを備える。
ECU41は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要部として構成され、操舵力センサ32、操舵角センサ31、左転舵角センサ33L、右転舵角センサ33R、左転舵反力センサ34L、右転舵反力センサ34Rを接続して、操舵角θh、操舵力Th、左転舵角θwl、右転舵角θwr、左転舵反力Twl、右転舵反力Twrを検出する。そして、ECU41は、各センサ検出値に基づいて制御プログラムを実行してモータ制御量を算出し、駆動回路42,43L,43Rを介して操舵用モータ14,左転舵用モータ24L,右転舵用モータ24Rを駆動制御する。
次に、上記のように構成した実施形態の動作を図2の機能ブロック図を用いて説明する。この機能ブロック図および以降の機能ブロック図は、プログラムの実行により実現されるECU41の機能をブロック図で表したものである。
ECU41は、位置応答制御値計算手段としての位置応答制御値計算部B1と、力応答制御値計算手段としての力応答制御値計算部B2と、操舵アクチュエータ駆動制御手段としての駆動制御部B3と、転舵アクチュエータ駆動制御手段としての駆動制御部B4,B5とを備えている。
位置応答制御値計算部B1は、スケール調整部101,111、加算部102、平均値演算部103、微分演算部104を備えている。
スケール調整部101は、左転舵角センサ33Lによって検出された左転舵角θwlにスケール調整係数αを乗算して出力する。同様に、スケール調整部111は、右転舵角センサ33Rによって検出された右転舵角θwrにスケール調整係数αを乗算して出力する。このスケール調整係数αは、制御対象である操舵角と転舵角との比(スケーリング)を決定するもので、従前の車両における左右前輪FWL,FWRの転舵角に対する操舵ハンドル11の操舵角の比(ステアリングギヤ比)を考慮に入れて、車両の操舵特性(具体的には、操舵ハンドル11の回動操作による操舵角に対する左右前輪FWL,FWRの転舵角の特性)を、所望の特性に設定するように予め決められた定数である。
加算部102は、操舵角センサ31によって検出された操舵角θhと、スケール調整部101により調整された調整左転舵角α・θwlと、スケール調整部111により調整された調整右転舵角α・θwrとを加算演算する。加算演算された値(θh+α・θwl+α・θwr)は、平均値計算手段としての平均値演算部103に出力される。
平均値演算部103では、操舵角θhと、スケール調整された調整左転舵角α・θwl,調整右転舵角α・θwrとの平均値((θh+α・θwl+α・θwr)/3)を演算する。この演算された平均値が、操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rの位置応答制御における比例項制御指令値θ*となる。
また、微分演算部104では、平均値演算部103で算出された平均値を微分演算する。この微分演算された値が、操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rの位置応答制御における微分項制御指令値dθ*/dtとなる。
尚、本願図面においては、「s」はラプラス演算子を示す。
位置応答制御値計算部B1は、操舵用モータ14にて操舵ハンドル11を位置制御させるためのPD(比例微分)制御による制御値を計算するために、微分演算部112、減算部113,114、ゲイン乗算部115,116、加算部117、スケール調整部118、イナーシャ乗算部119を備える。
減算部113では、平均値演算部103で算出された比例項制御指令値θ*を入力するとともに、操舵角センサ31により検出された操舵角θhをフィードバック値として入力し、この比例項制御指令値θ*から操舵角θhを減算してゲイン乗算部115に出力する。ゲイン乗算部115は、減算結果(θ*−θh)に予め決められた比例項ゲインKphを乗算して、乗算結果Kph・(θ*−θh)を比例項制御値として出力する。
また、微分演算部112は、操舵角センサ31により検出された操舵角θhを微分演算することにより操舵角速度dθh/dtを計算して減算部114に出力する。減算部114では、微分演算部104で算出された微分項制御指令値dθ*/dtを入力するとともに、微分演算部112からの操舵角速度dθh/dtをフィードバック値として入力し、この微分項制御指令値dθ*/dtから操舵角速度dθh/dtを減算してゲイン乗算部116に出力する。ゲイン乗算部116は、減算結果(dθ*/dt−dθh/dt)に予め決められた微分項ゲインKvhを乗算して、乗算結果Kvh・(dθ*/dt−dθh/dt)を微分項制御値として出力する。
ゲイン乗算部115で算出された比例項制御値Kph・(θ*−θh)と、ゲイン乗算部116で算出された微分項制御値Kvh・(dθ*/dt−dθh/dt)とは、加算部117に入力されて加算され、その加算値は、スケール調整部118に出力される。スケール調整部118は、加算部117の出力値に、予め決められたスケール調整係数βを乗算する。
このスケール調整係数βは、制御対象である操舵力Thと転舵反力Twl,Twrとの比(スケーリング)を決定するもので、車両の操舵特性(具体的には、左右前輪FWL,FWRに入力される転舵反力Twl,Twrに対する操舵ハンドル11の回動操作の特性)を、所望の特性に設定するように予め決められた定数である。
スケール調整部118によりスケール調整された演算値は、イナーシャ乗算部119に出力される。イナーシャ乗算部119では、スケール調整部118からの出力値に、操舵用モータ14のイナーシャに比例した定数Jhを乗算して演算部150に出力する。
また、位置応答制御値計算部B1は、左転舵用モータ24Lにて左前輪FWLを位置制御させるためのPD(比例微分)制御による制御値を計算するために、微分演算部122、減算部123,124、ゲイン乗算部125,126、加算部127、イナーシャ乗算部129を備える。
減算部123は、平均値演算部103で算出された比例項制御指令値θ*を入力するとともに、スケール調整部101からの乗算値α・θwlをフィードバック値として入力し、この比例項制御指令値θ*から調整左転舵角α・θwlを減算してゲイン乗算部125に出力する。ゲイン乗算部125は、減算結果(θ*−α・θwl)に予め決められた比例項ゲインKpwを乗算して、乗算結果Kpw・(θ*−α・θwl)を比例項制御値として加算部127に出力する。
また、微分演算部122は、スケール調整部101からの乗算値α・θwlを微分演算することにより調整左転舵角速度d(α・θwl)/dtを計算して減算部124に出力する。減算部124では、微分演算部104で算出された微分項制御指令値dθ*/dtを入力するとともに、微分演算部122から出力された調整左転舵角速度d(α・θwl)/dtをフィードバック値として入力し、この微分項制御指令値dθ*/dtから調整左転舵角速度d(α・θwl)/dtを減算してゲイン乗算部126に出力する。ゲイン乗算部126は、減算結果(dθ*/dt−d(α・θwl)/dt)に予め決められた微分項ゲインKvwを乗算して、乗算結果Kvw・(dθ*/dt−d(α・θwl)/dt)を微分項制御値として加算部127に出力する。
加算部127は、ゲイン乗算部125により算出された比例項Kpw・(θ*−α・θwl)と、ゲイン乗算部126により算出された微分項Kvw・(dθ*/dt−d(α・θwl)/dt)とを加算して、イナーシャ乗算部129に出力する。イナーシャ乗算部129は、加算部127からの出力値に、左転舵用モータ24Lのイナーシャに比例した定数Jwを乗算して演算部160に出力する。
更に、位置応答制御値計算部B1は、右転舵用モータ24Rにて右前輪FWRを位置制御させるためのPD(比例微分)制御による制御値を計算するために、微分演算部132、減算部133,134、ゲイン乗算部135,136、加算部137、イナーシャ乗算部139を備える。
減算部133は、平均値演算部103で算出された比例項制御指令値θ*を入力するとともに、スケール調整部111からの乗算値α・θwrをフィードバック値として入力し、この比例項制御指令値θ*から調整右転舵角α・θwrを減算してゲイン乗算部135に出力する。ゲイン乗算部135は、減算結果(θ*−α・θwr)に予め決められた比例項ゲインKpwを乗算して、乗算結果Kpw・(θ*−α・θwr)を比例項制御値として加算部137に出力する。
また、微分演算部132は、スケール調整部111からの乗算値α・θwrを微分演算することにより調整右転舵角速度d(α・θwr)/dtを計算して減算部134に出力する。減算部134では、微分演算部104で算出された微分項制御指令値dθ*/dtを入力するとともに、微分演算部132から出力された調整右転舵角速度d(α・θwr)/dtをフィードバック値として入力し、この微分項制御指令値dθ*/dtから調整右転舵角速度d(α・θwr)/dtを減算してゲイン乗算部136に出力する。ゲイン乗算部136は、減算結果(dθ*/dt−d(α・θwr)/dt)に予め決められた微分項ゲインKvwを乗算して、乗算結果Kvw・(dθ*/dt−d(α・θwr)/dt)を微分項制御値として加算部137に出力する。
加算部137は、ゲイン乗算部135により算出された比例項Kpw・(θ*−α・θwr)と、ゲイン乗算部136により算出された微分項Kvw・(dθ*/dt−d(α・θwr)/dt)とを加算して、イナーシャ乗算部139に出力する。イナーシャ乗算部139は、加算部137からの出力値に、右転舵用モータ24Rのイナーシャに比例した定数Jwを乗算して演算部170に出力する。
力応答制御値計算部B2は、操舵ハンドル11に付与される操舵力Th、左前輪FWLに入力される左転舵反力Twl、右前輪FWRに入力される右転舵反力Twrに対して、力応答制御のための操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rに対する制御値をそれぞれ計算する。
力応答制御値計算部B2は、スケール調整部141,142,145、演算部143、ゲイン乗算部144を備えている。
スケール調整部141は、左転舵反力センサ34Lによって検出された左転舵反力Twlに前述したスケール調整係数βを乗算して演算部143に出力する。
スケール調整部142は、右転舵反力センサ34Rによって検出された右転舵反力Twrに前述したスケール調整係数βを乗算して演算部143に出力する。
演算部143は、操舵力センサ32によって検出された操舵力Thと、スケール調整部141から出力された調整値β・Twlと、スケール調整部142から出力された調整値β・Twrとを加算演算し、その演算結果となる合力をゲイン乗算部144に出力するもので本発明の合力計算手段に相当する。演算部143の出力値(Th+β・Twl+β・Twr)は、操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rを、操舵力Th、左右の転舵反力Twl,Twrに追従させて駆動するための制御値を表している。
ゲイン乗算部144は、力応答制御のための比例項ゲインKtpを演算部143の出力値(Th+β・Twl+β・Twr)に乗算して、その出力値Ktp・(Th+β・Twl+β・Twr)を演算部160,170に出力するとともに、スケール調整部145を介して演算部150にも出力する。
スケール調整部145は、前述したスケール調整係数αを、ゲイン乗算部144からの出力値Ktp・(Th+β・Twl+β・Twr))に乗算する。
演算部150は、操舵用モータ14のための駆動制御部B3の一部を構成するもので、イナーシャ乗算部119およびスケール調整部145の両出力値を加算して、電流指令値演算部151に出力する。電流指令値演算部151は、演算部150からの出力値を操舵用モータ14に関するトルク定数Kthで除算することにより電流指令値Ichを計算して駆動回路42に出力する。駆動回路42は、電流指令値Ichに応じて操舵用モータ14の回転を制御する。
演算部160は、左転舵用モータ24Lのための駆動制御部B4の一部を構成するもので、イナーシャ乗算部129およびゲイン乗算部144の両出力値を加算して電流指令値演算部161に出力する。電流指令値演算部161は、演算部160からの出力値を左転舵用モータ24Lに関するトルク定数Ktwで除算することにより電流指令値Iclを計算して駆動回路43Lに出力する。駆動回路43Lは、電流指令値Iclに応じて転舵用モータ24Lの回転を制御する。
同様に、演算部170は、右転舵用モータ24Rのための駆動制御部B5の一部を構成するもので、イナーシャ乗算部139およびゲイン乗算部144の両出力値を加算して電流指令値演算部171に出力する。電流指令値演算部171は、演算部170からの出力値を右転舵用モータ24Rに関するトルク定数Ktwで除算することにより電流指令値Icrを計算して駆動回路43Rに出力する。駆動回路43Rは、電流指令値Icrに応じて転舵用モータ24Rの回転を制御する。
このようなECU41の位置応答制御値計算部B1、力応答制御値計算部B2および駆動制御部B3,B4,B5の制御により、操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rの位置応答制御および力応答制御が同時に行われる。
具体的には、操舵ハンドル11が操作され、または路面からの左右前輪FWL,FWRに入力される転舵反力が変化して、スケール調整された操舵角と右転舵角と左転舵角とがそれらの平均値から外れると、位置応答制御値計算部B1および駆動制御部B3,B4,B5の制御により、操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rが、所定の関係(θh=α・θwl=α・θwr=(θh+α・θwl+α・θwr)/3)が成立するように駆動制御される。
また、スケール調整された操舵角速度と左転舵角速度と右転舵角速度がそれらの平均値から外れた場合においても、それらが平均値となるように(dθh/dt=d(α・θwl)/dt=d(α・θwr)/dt=d((θh+α・θwl+α・θwr)/3)/dt)、位置応答制御値計算部B1および駆動制御部B3,B4,B5の制御により、操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rが駆動制御される。
こうした結果、操舵ハンドル11と左前輪FWLと右前輪FWRとは、常に前記所定の関係が成立するように位置応答制御される。
また、操舵ハンドル11に対する操舵力Th、または路面から左右前輪FWL,FWRに入力される転舵反力Twl,Twrが発生した場合には、力応答制御値計算部B2および駆動制御部B3,B4,B5の制御により、それらの力をスケール調整した合力(Th+β・Twl+β・Twr)に基づいて、それぞれ操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rが駆動制御される。これにより、操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rは、操舵力Thおよび転舵反力Twl,Twrに追従して駆動制御され、的確に力応答制御される。
この力応答制御が位置応答制御に加わることにより、運転者のハンドル操舵が軽くなり柔らかな操舵フィーリングが得られる。
上記作動説明からも理解できるように、上記第1実施形態によれば、操舵用モータ14の位置応答制御および力応答制御と、左転舵用モータ24Lの位置応答制御および力応答制御と、右転舵用モータ24Rの位置応答制御および力応答制御とを互いに関係付けて同時に行うバイラテラル制御により、機械的に分離されている左右の前輪FWL,FWRがあたかも直結し、しかも操舵ハンドル11と各前輪FWL,FWRとが接続されているような状態で、操舵ハンドル11に対する操舵反力と左右前輪FWL,FWRの転舵が制御される。従って、転舵輪である前輪FWL,FWRの転舵に伴う適切な操舵反力を操舵ハンドル11に与えることができ、運転者は的確に路面反力を感じながら、操舵ハンドル11を良好に操舵操作できるようになる。
<第1実施形態の第1変形例>
次に、上記第1実施形態の第1変形例について説明する。この第1変形例に係る車両の操舵装置は、図3に示すように、悪路走行時に力応答制御値を低減する力応答低減係数乗算部146を追加したものである。
この力応答低減係数乗算部146は、ゲイン乗算部144の出力側に設けられ、ゲイン乗算部144の出力値(Ktp・(Th+β・Twl+β・Twr))に低減係数Kxを乗算して、その乗算結果(Kx・Ktp・(Th+β・Twl+β・Twr))をスケール調整部145と演算部160,170に出力する。
力応答低減係数乗算部146により乗算される低減係数Kxは、車両の走行している道路が悪路である場合に、低減係数が1未満に設定される。つまり、悪路走行時には、力応答制御値が低減される。
以下、この力応答低減係数乗算部146が行う低減係数Kxの設定処理について、図4を用いて説明する。
図4は、ECU41内の機能部としての力応答低減係数乗算部146が行う低減係数設定ルーチンを表すフローチャートである。この処理は、ECU41のROM内に制御プログラムとして記憶され、イグニッションスイッチがオンされている期間、各制御機能部と同期した所定の周期で繰り返し実行される。
本低減係数設定ルーチンが起動すると、力応答低減係数乗算部146は、ステップS11において、左転舵反力センサ34Lにて検出される左転舵反力Twlと、右転舵反力センサ34Rにて検出される右転舵反力Twrとを入力する。続いて、ステップS12において、左転舵反力Twlと右転舵反力Twrとの差の絶対値|Twl−Twr|(以下、反力差ΔTと呼ぶ)を算出する。この反力差ΔTは、車両が走行中の道路の路面状態レベルを表し、その値が大きいほど路面状態レベルが悪いといえる。
次に、力応答低減係数乗算部146は、ステップS13において、直近所定期間における反力差ΔTの平均値ΔTavを算出する。続いて、ステップS14において、平均値ΔTavが予め設定した基準値ΔT0よりも大きいか否かを判断する。この基準値ΔT0は、路面状態が悪路か否かを判定する判定基準値である。
従って、このステップS11〜S14の処理が、本発明における路面状態検出手段に相当する。
ステップS14において、ΔTav≦ΔT0と判定された場合(S14:NO)には、路面状態が良好である。この場合には、ステップS15の処理に移行してフラグFが「1」に設定されているか否かを判断する。このフラグFは、本ルーチンの起動時においては「0」に設定され、低減係数Kxが低減調整されているとき(Kx<1)にF=1に設定される。
本設定ルーチンの起動時においては、F=0であるため、この場合には、ステップS16にて低減係数Kxを「1」(Kx=1)に設定して本ルーチンを一旦終了する。
本ルーチンは、所定の短い周期で繰り返される。そして、車両が悪路に進入して反力差平均値ΔTavが基準値ΔT0を上回ると(S14:YES)、力応答低減係数乗算部146は、その処理をステップS17に進める。
このステップS17では、図5に示す低減係数テーブルに基づいて、低減係数Kxを算出する。この低減係数テーブルは、ステップS14において「YES」と判断されている連続時間、つまり悪路走行と判断されている連続時間と低減係数Kxとを関係付けたものでECU41のROM内に記憶される。低減係数Kxは、この低減係数テーブルに示すように、ステップS14において悪路走行と判断されてからの経過時間に応じて徐々に低減される。本設定ルーチンは、所定の周期で繰り返し実行されることから、悪路走行であると判定された時点においてはKx=1に設定され、その時間の経過とともに低減される。
本実施形態においては、低減係数Kxは、最小値Kminにまで低減したら、その値を保持するが、そのまま値「0」にまで低減してもよい。
ステップS17において低減係数Kxが設定されると、続いて、ステップS18においてフラグFが「0」に設定されているか否かを確認し、F=0であれば(S18:YES)ステップS19においてF=1に設定し、本ルーチンを一旦抜ける。
こうして本ルーチンが繰り返されると、悪路走行中においては徐々に力応答制御値が低減されていく。この場合、操舵ハンドル11のハンドル操作が徐々に重くなり、路面から操舵ハンドル11に伝わる振動(ガタガタ感)を低減することができる。従って、運転者は安定した運転操作を行うことができる。また、この力応答制御値の低減は、時間をかけて徐々に行うため運転者に違和感を与えない。
こうした状態から、車両が平坦路に進入するとステップS14の判断は「NO」となり、ステップS15の処理に移行する。ステップS15では、フラグFが「1」に設定されているか否かを判断する。この場合は、F=1であるため、ステップS20に処理を進める。
このステップS20においては、低減係数Kxを図6に示す復帰低減係数テーブルに基づいて、低減係数Kxを算出する。この復帰低減係数テーブルは、ステップS14において「YES」と判断されている連続時間、つまり悪路から平坦路に移ってからの経過時間と低減係数Kxとを関係付けたものでECU41のROM内に記憶される。
このステップS20の処理は、低減係数Kxを徐々に値「1」にまで復帰させるものであって、最初にステップS20にて設定される低減係数Kxの初期値は、直前回の制御サイクルに設定されていた低減係数Kxとなる。従って、それまでの悪路判定期間が短く、低減係数Kxが最小値Kminにまで達していない状況であれば、低減係数Kxの初期値としては、復帰低減係数テーブルに示される初期値Kminではなく、そのときの最小値(>Kmin)が設定される。
続いて、ステップS21において低減係数Kxが値「1」まで増大したか否かを判断する。Kx<1であれば、そのまま本ルーチンを一旦抜ける。こうして、低減係数Kxは、本ルーチンが繰り返されることにより、時間の経過と共に増大する。そして、ステップS21において低減係数Kxの増大復帰が完了したと判断すると(Kx=1)、ステップS22においてフラグFを値「0」にリセットして本ルーチンを抜ける。
尚、このステップS17,S20の処理が本発明の力応答制御値補正手段に相当する。
こうして、車両が平坦路に進入してから力応答制御値は徐々に増大復帰され、操舵ハンドル11のハンドル操作が徐々に軽くなる。また、この力応答制御値の増大復帰は、時間をかけて徐々に行うため運転者に違和感を与えない。
この結果、運転者にとって路面状況に応じた適切な操舵反力が得られる。
<第1実施形態の第2変形例>
次に、第1実施形態の第2変形例について説明する。この第2変形例に係る車両の操舵装置は、図7の機能ブロック図に示すように、ダンピング制御部B6H,B6L,B6Rを上記第1実施形態の第1変形例に係る図3の機能ブロック図に追加したものである。これらのダンピング制御部B6H,B6L,B6Rは、操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rをダンピング制御するためのダンピング係数乗算部152,162,172をそれぞれ備えている。
ダンピング制御部B6Hは、ダンピング係数乗算部152を備える。ダンピング係数乗算部152は、微分演算部112から操舵角速度dθh/dtを入力して、操舵角速度dθh/dtにダンピング係数Ktvhを乗算して演算部150に出力する。演算部150においては、イナーシャ乗算部119からの制御値とスケール調整部145からの制御値との加算値から、前記操舵角速度dθh/dtにダンピング係数Ktvhを乗算した値Ktvh・dθh/dtが減算される。これにより、操舵用モータ14がダンピング制御される。
ダンピング制御部B6Lは、ダンピング係数乗算部162を備える。ダンピング係数乗算部162は、微分演算部122から調整左転舵角速度d(α・θwl)/dtを入力して、調整左転舵角速度d(α・θwl)/dtにダンピング係数Ktvwを乗算して演算部160に出力する。演算部160においては、イナーシャ乗算部129からの制御値と力応答低減係数乗算部146からの制御値との加算値から、前記調整左転舵角速度d(α・θwl)/dtにダンピング係数Ktvwを乗算した値Ktvw・d(α・θwl)/dtが減算される。これにより、左転舵用モータ24Lがダンピング制御される。
同様に、ダンピング制御部B6Rは、ダンピング係数乗算部172を備える。ダンピング係数乗算部172は、微分演算部132から調整右転舵角速度d(α・θwr)/dtを入力して、調整右転舵角速度d(α・θwr)/dtにダンピング係数Ktvwを乗算して演算部170に出力する。演算部170においては、イナーシャ乗算部139からの制御値と力応答低減係数乗算部146からの制御値との加算値から、前記調整右転舵角速度d(α・θwr)/dtにダンピング係数Ktvwを乗算した値Ktvw・d(α・θwr)/dtが減算される。これにより、右転舵用モータ24Rがダンピング制御される。
これにより、操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rに、上記第1実施形態の制御に対して、さらに速度ダンピング制御が付加され、力応答制御値計算部B2による力制御の応答特性をより良好にできるようになる。したがって、力応答制御特性を安定化することができ、操舵用モータ14、左転舵用モータ24L、右転舵用モータ24Rによる駆動力の制御に関係したゲイン乗算部144による比例項ゲインKtpを大きく設定することができるようになり、運転者による操舵ハンドル11の操舵操作感覚がより良好になる。
尚、こうしたダンピング制御部B6H,B6L,B6Rは、図2に示す第1実施形態に組み合わせてもよい。
<第2実施形態>
次に、上記第1実施形態の操舵力センサ32および左右の転舵反力センサ34L,34Rを省略して、操舵力Thおよび左右の転舵反力Twl,Twrを操舵角θhおよび左右の転舵角θwl,θwrを用いて推定するようにした本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、図8に示すように、上記第1実施形態の操舵力センサ32に代えて操舵力推定部B7Hを設け、左転舵反力センサ34Lに代えて左転舵反力推定部B7Lを設け、右転舵反力センサ34Rに代えて右転舵反力推定部B7Rを設けたものである。他の部分については、演算部143’を除いて、上記第1実施形態と同じである。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
尚、この図8に示す例は、第1実施形態の第1変形例に操舵力推定部B7H、左転舵反力推定部B7L、右転舵反力推定部B7Rを設けたものであるが、第1実施形態あるいはその第2変形例に適用しても良い。
操舵力Thおよび左右の転舵反力Twl,Twrの推定は、外乱オブザーバの理論に従うものであり、これらの推定部B7H,B7L,B7Rについて説明する前に、この外乱オブザーバについて簡単に説明しておく。操舵用モータ14に関する外乱オブザーブのブロック図は、図9のように示される。操舵用モータ14は、駆動電流Ichによって駆動されて回転するとともに、外乱トルク(この場合の外乱トルクは操舵力である)が駆動電流Ichによる回転駆動を阻止する方向に作用する。すなわち、操舵用モータ14は、駆動電流Ichによる駆動トルクから外乱トルク(操舵力)を減じたトルクによって実際には回転する。
図示一点鎖線内は、操舵用モータ14の作動状態を機能ブロック図により表している。すなわち、電流指令値Ichはトルク変換器301にて電流指令値Ichにトルク定数Kthを乗算することにより、電流指令値Ichによる駆動トルクがシミュレートされる。一方、操舵用モータ14には、前述のように、回転を阻止する外乱トルク(操舵力)が作用しており、前記駆動トルクから外乱トルクを減算する減算器302の出力が実際の回転に寄与する回転トルクを表している。この回転トルクは、除算器303にて操舵用モータ14のイナーシャJhで除算されて、操舵用モータ14の実際の角加速度に変換される。この角加速度は、積分器304にて積分されて操舵用モータ14の実際の角速度ωに変換される。
このことは、逆に、操舵用モータ14を駆動する駆動電流に対応した駆動トルクから、操舵用モータ14の実際の回転に関係した回転トルクを減算すれば、外乱トルクである操舵力を推定できることを表している。したがって、操舵用モータ14を駆動するための電流指令値Ichおよび操舵用モータ14の角速度ωが分かれば、前記駆動トルクおよび回転トルクを計算することができ、それらの差である外乱トルク(すなわち操舵力)を計算できることは明らかである。
そして、この理論を用いた操舵力を推定するオブザーバの構成が、図9の一点鎖線の枠外に示されている。トルク定数乗算部311は、操舵用モータ14を駆動制御するための駆動電流を表す電流指令値Ichに、操舵用モータ14のトルク定数Kthを乗算することにより、前記駆動トルクKth・Ichを計算する。演算部312は、操舵用モータ14の角速度ωに、操舵用モータ14のイナーシャJhを乗算するとともに微分演算を施すことにより、前記回転トルクs・Jh・ωを計算する。そして、減算部313は、前記駆動トルクKth・Ichから前記回転トルクs・Jh・ωを減算して、外乱である操舵力Thを推定出力する。このようにして、操舵力Thを推定できるが、左右の転舵用モータ24L,24Rに関係した転舵反力Twl,Twrも同様にして推定できる。
ただし、この場合の推定操舵力Thおよび推定転舵反力Twl,Twrは、操舵用モータ14および左右の転舵用モータ24L,24Rの回転トルクの過不足分に相当するものである。したがって、操舵用モータ14および左右の転舵用モータ24L,24Rの回転方向とは正負の方向が反転されている。そのために、上記第1実施形態の演算部143は、推定操舵力Thおよび推定転舵反力Twl,Twrを正負反転して演算するための演算部143’に変更されている。
ふたたび、図8の説明に戻ると、操舵力推定部B7Hは、モータ回転角変換部201、微分演算部202、演算部203、トルク定数乗算部204、減算部205および演算部206を備えている。モータ回転角変換部201は、操舵用モータ14の回転角θhmが操舵ハンドル11の操舵角θhに比例していることに鑑みて、操舵角センサ31によって検出された操舵角θhに所定の比例定数を乗算して操舵用モータ14の回転角θhmを計算する。
微分演算部202は、前記回転角θhmに微分演算を施すことにより、操舵用モータ14の回転速度ωを算出する。なお、操舵用モータ14内に回転角センサまたは回転角速度センサが内蔵されていて、操舵用モータ14の回転角θhmまたは回転角速度ωが検出される場合には、これらのモータ回転角変換部201および微分演算部202は適宜省略される。
演算部203は、前述した図9の演算部312に対応するもので、操舵角速度ωを用いて操舵用モータ14の回転トルクs・Jh・ωを計算する。トルク定数乗算部204は、前述した図9のトルク定数乗算部311に対応するもので、電流指令値演算部151からの電流指令値Ichに操舵用モータ14のトルク定数Kthを乗算することにより、駆動トルクKth・Ichを計算する。減算部205は、前述した図9の減算部313に対応するもので、駆動トルクKth・Ichから回転トルクs・Jh・ωを減算して、操舵力Thを計算する。減算部205の出力には、演算部206にて、ローパスフィルタ処理演算が施されて演算部143’に出力される。
左転舵反力推定部B7Lは、モータ回転角変換部211、微分演算部212、演算部213、トルク定数乗算部214、減算部215および演算部216を備えている。これらのモータ回転角変換部211、微分演算部212、演算部213、トルク定数乗算部214、減算部215および演算部216は、前述した操舵用モータ14のための操舵力推定部B7Hの場合と同じである。異なる点は、操舵用モータ14に代えて左転舵用モータ24Lに関するトルク定数KtwおよびイナーシャJwが利用される点と、減算部215から左転舵反力Twlを表す値が出力される点である。なお、この場合も、左転舵用モータ24L内に回転角センサまたは回転角速度センサが内蔵されていて、左転舵用モータ24Lの回転角θwlmまたは回転角速度ωが検出される場合には、これらのモータ回転角変換部211および微分演算部212は適宜省略される。
右転舵反力推定部B7Rは、モータ回転角変換部221、微分演算部222、演算部223、トルク定数乗算部224、減算部225および演算部226を備えている。これらのモータ回転角変換部221、微分演算部222、演算部223、トルク定数乗算部224、減算部225および演算部226は、前述した左転舵用モータ24Lのための左転舵反力推定部B7Lの場合と同じである。異なる点は、減算部225から右転舵反力Twrを表す値が出力される点である。なお、この場合も、右転舵用モータ24R内に回転角センサまたは回転角速度センサが内蔵されていて、右転舵用モータ24Rの回転角θwrmまたは回転角速度ωが検出される場合には、これらのモータ回転角変換部221および微分演算部222は適宜省略される。
このように構成した第2実施形態においては、上記第1実施形態の操舵力センサ32によって検出された操舵力Thに代えて、操舵力推定部B7Hによって操舵力Thが推定される。また、上記第1実施形態の左転舵反力センサ34Lによって検出された左転舵反力Twlに代えて、左転舵反力推定部B7Lによって転舵反力Twlが推定される。また、上記第1実施形態の右転舵反力センサ34Rによって検出された右転舵反力Twrに代えて、右転舵反力推定部B7Rによって転舵反力Twrが推定される。
そして、これらの推定された操舵力Thおよび左右の転舵反力Twl,Twrを用いて、上記第1実施形態の場合と同様に、操舵用モータ14および左右の転舵用モータ24L,24Rがバイラテラル制御される。
したがって、上記第2実施形態においても、上記第1実施形態の場合と同様に、機械的に分離されている左右の前輪FWL,FWRがあたかも直結し、しかも操舵ハンドル11と各前輪FWL,FWRとが接続されているような状態で、操舵ハンドル11に対する操舵反力と左右前輪FWL,FWRの転舵が制御される。従って、転舵輪である前輪FWL,FWRの転舵に伴う適切な操舵反力を操舵ハンドル11に与えることができ、運転者は的確に路面反力を感じながら、操舵ハンドル11を良好に操舵操作できるようになる。
また、この第2実施形態においては、操舵力推定部B7Hおよび左右の転舵反力推定部B7L,B7Rの採用により、上記第1実施形態の操舵力センサ32および左右の転舵反力センサ34L、34Rを省略でき、装置の構成が簡単になり、製造コストを下げることができる。
<第2実施形態の第1変形例>
次に、上記第2実施形態の操舵力推定部B7H、左転舵反力推定部B7L、右転舵反力推定部B7Rおよび駆動制御部B3,B4、B5を変形した第2実施形態の第1変形例について説明する。図10は、この第2実施形態の第1変形例の機能ブロック構成を表すもので、力応答制御値計算部B2、駆動制御部B3,B4,B5、操舵力推定部B7H、転舵反力推定部B7L,B7Rについてのみ表し、他の部分については第2実施形態と同一であるため省略する。
この第1変形例においては、上記第2実施形態の操舵力推定部B7Hの演算部203および減算部205が、演算部203’,203”、加算部205’および減算部207に置換されている。
また、上記第2実施形態の左転舵反力推定部B7Lの演算部213および減算部215が、演算部213’,213”、加算部215’および減算部217に置換されている。
また、上記第2実施形態の右転舵反力推定部B7Rの演算部223および減算部225が、演算部223’,223”、加算部225’および減算部227に置換されている。
なお、これらの置換は、上記第2実施形態と全く等価の演算機能であるので、上記第2実施形態の場合と同一に機能する。
さらに、この第1変形例の駆動制御部B3においては、減算部207の出力値をフィードバック演算部154にてトルク定数Kthで除算して減算部153に出力する。減算部153は、電流指令値演算部151からの電流指令値Ichから前記フィードバック演算部154からの出力値を減算して、減算結果を新たな電流指令値Ichとして駆動回路42にそれぞれ供給する。
同様に、駆動制御部B4においては、減算部217の出力値をフィードバック演算部164にてトルク定数Kthで除算して減算部163に出力する。減算部163は、電流指令値演算部161からの電流指令値Iclから前記フィードバック演算部164からの出力値を減算して、減算結果を新たな電流指令値Iclとして駆動回路43Lにそれぞれ供給する。
同様に、駆動制御部B5においては、減算部227の出力値をフィードバック演算部174にてトルク定数Kthで除算して減算部173に出力する。減算部173は、電流指令値演算部171からの電流指令値Icrから前記フィードバック演算部174からの出力値を減算して、減算結果を新たな電流指令値Icrとして駆動回路43Lにそれぞれ供給する。
これにより、操舵用モータ14および左右の転舵用モータ24L,24Rに対する力応答制御のゲインが上がり、ロバスト性が向上する。
尚、この図10に示す例は、第1実施形態の第1変形例に操舵力推定部B7H、左転舵反力推定部B7L、右転舵反力推定部B7Rを設けたものであるが、第1実施形態あるいはその第2変形例に適用しても良い。
<第3実施形態>
上記第1実施形態、第2実施形態およびそれらの変形例においては、左右の前輪FWL,FWRを転舵輪とした左右独立転舵方式の操舵装置について説明したが、本発明は、前後左右の4輪を独立に転舵する4輪独立転舵方式の操舵装置など、少なくとも2以上の転舵輪をそれぞれ転舵アクチュエータにより独立して転舵する操舵装置に適用することができる。
図11は、第3実施形態としての4輪独立転舵方式の操舵装置の概略構成を表す。この操舵装置は、図1に示す左右独立転舵方式の操舵装置に、さらに、左右の後輪RWL,RWRを転舵する左後輪転舵部20LR,右後輪転舵部20RRと、後輪転舵部20LR,20RRを駆動する駆動回路43LR,43RRを追加したものである。
この左後輪転舵部20LRおよび右後輪転舵部20RRは、左右前輪FWL、FWRを独立転舵する転舵部20L,20Rと同一構成であるため、図中においては、その各構成要素の符号として転舵部20L,20Rの符合を利用し、その符号末尾にRを付加して表すことで、各構成要素の説明を省略する。
この場合、ECU41は、操舵角センサ31により検出した操舵角θhと、4輪分の転舵角センサ33L、33R、33LR、33RRにより検出した転舵角θwl,θwr,θwlr,θwrrをスケール調整して平均した平均値を位置応答制御における比例項制御指令値θ*とし、また、その平均値を微分演算した値を位置応答制御における微分項制御指令値dθ*/dtとしてPD制御を行うようにすればよい。
また、力応答制御に関しても、ECU41は、操舵力センサ32により検出した操舵力Thと、4輪分の転舵反力センサ34L、34R、34LR、34RRにより検出した転舵反力Twl,Twr,Twlr,Twrrをスケール調整して合算した合力に基づいて力応答制御値を算出するようにすればよい。
ここで、4輪に限らずn組の独立した転舵部と1組の操舵操作装置とを駆動制御するECU41の構成例について、図12の機能ブロック図を用いて説明する。
この図12に示す例は、第1実施形態において2組の転舵部20L,20Rに代えてn組の転舵部を制御するECU41の機能構成である。尚、n組の各転舵部を制御する機能要素については、図2に示した第1実施形態のものとは、加算部102,平均値演算部103,演算部143を除いて同一なので、同一部分については、図中において同一符号を付けて説明を省略する。この場合、第1番目の転舵部を制御する各機能要素については、第1実施形態の転舵部20Lを制御する機能要素と同一の符号を付し、第n番目の転舵部を制御する各機能要素については、第1実施形態の転舵部20Rを制御する機能要素と同一の符号を付す。
また、各転舵部(第1転舵部〜第n転舵部)は、転舵角センサ(第1転舵角センサ331〜第n転舵角センサ33n)と、転舵用モータ(第1転舵用モータ241〜第n転舵用モータ24n)と、駆動回路(第1駆動回路431〜第n駆動回路43n)と、転舵反力センサ(第1転舵反力センサ341〜第n転舵反力センサ34n)を備え、それぞれECU41に接続される。
尚、図11に示した4輪独立転舵方式であれば、n=4となる。
この例においては、ECU41は、操舵角センサ31にて検出した操舵角θhと、第1転舵角センサ331から第n転舵角センサ33nにて検出した転舵角θw1〜θwnをスケール調整した調整転舵角α・θw1〜α・θwnとを加算部1102に入力してそれらを加算演算する。そして、この加算演算された値(θh+α・θw1+α・θw2+・・+α・θwn)は、平均値演算部1103に出力される。
平均値演算部1103では、加算部1102にて演算された加算値を(n+1)で除算してそれらの平均値を演算する。この演算された平均値が、操舵用モータ14および第1転舵用モータ241から第n転舵用モータ24nの位置応答制御における比例項制御指令値θ*となる。
また、微分演算部104では、平均値演算部1103で算出された平均値を微分演算する。この微分演算された値が、操舵用モータ14および第1転舵用モータ241から第n転舵用モータ24nの位置応答制御における微分項制御指令値dθ*/dtとなる。
一方、力応答制御値の演算に関しては、ECU41は、第1転舵反力センサ341から第n転舵反力センサ34nにて検出した転舵反力Tw1〜Twnにスケール調整係数βを乗じた値と、操舵力センサ32にて検出した操舵力Thとを演算部1143に入力する。演算部1143では、これら入力した値を加算演算して合力を求め、この合力をゲイン乗算部144に出力する。ゲイン乗算部144においては、力応答制御のための比例項ゲインKtpを演算部1143の出力値に乗算して、その乗算した値を演算部160,170に出力するとともに、スケール調整部145を介して演算部150にも出力する。
これにより、操舵用モータ14とn組の転舵用モータ241〜24nがバイラテラル制御により、機械的に分離されているn組の転舵輪があたかも操舵ハンドル11と接続されているような状態で、操舵ハンドル11に対する操舵反力と転舵輪の転舵が制御される。従って、n組の独立した転舵輪を備えた操舵装置であっても、各転舵輪の転舵に伴う適切な操舵反力を操舵ハンドル11に与えることができ、運転者は的確に路面反力を感じながら、操舵ハンドル11を良好に操舵操作できるようになる。
尚、スケール調整係数α,βは、各転舵輪ごとに任意に設定することもできる。
また、他の実施形態およびその変形例においても、n組の独立した転舵輪を備えた操舵装置に適用することも可能である。
以上本発明の実施形態およびその変形例について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記各実施形態およびそれらの変形例においては、位置応答制御値計算部B1において、PD(比例・微分)制御によって操舵用モータ14および転舵用モータ24L、24Rの位置制御を行うようにした。しかし、これに代えて、積分項をさらに加えたPID(比例・微分・積分)制御を採用してもよい。また、微分項を省略して、P(比例)制御のみによって操舵用モータ14および転舵用モータ24L,24Rの位置制御を行うようにしてもよい。
また、上記各実施形態およびそれらの変形例においては、力応答制御値計算部B2においては、P(比例)制御により操舵用モータ14および転舵用モータ24L,24Rの力制御を行うようにした。しかし、これに代えて、微分制御項を加えたPI(比例・微分)制御を採用してもよい。さらに、積分項を加えて、PID(比例・微分・積分)制御によって操舵用モータ14および転舵用モータ24L,24Rの力制御を行うようにしてもよい。
また、上記各実施形態およびそれらの変形例においては、スケール調整係数α,βとして、予め定めた定数を利用するようにした。しかし、これに代えて、これらのスケール調整係数α,βを車両の走行状態に応じて変化させるようにしてもよい。この場合、上述のように、スケール調整係数αは、操舵角θhを転舵角θwl,θwrに対応させるための係数であるとともに、スケール調整係数βは、転舵反力Twl,Twrを操舵力Thに対応させるための係数である。したがって、スケール調整係数αを車両の走行状態に応じて制御することは、位置応答制御値計算部B1によって位置制御される操舵角θhと転舵角θwl,θwrの比を、車両の走行状態に応じて変更することを意味する。また、スケール調整係数βを車両の走行状態に応じて制御することは、力応答制御値計算部B2によって力応答制御される操舵力Thと転舵反力Twl,Twrの比を車両の走行状態に応じて変更することを意味する。
このように、スケール調整係数α,βを車両の走行状態に応じて変化させるために、例えば、図1に破線で示すように、車速Vを検出する車速センサ41を設けるとともに、ECU41内に車速Vに応じて変化するスケール調整係数α,βを記憶したテーブル、または車速Vに応じて変化するスケール調整係数α,βを規定する関数を用意しておき、ECU41によって車速Vに応じてスケール調整係数α,βが決定されるようにするとよい。
例えば、上記各実施形態で用いたスケール調整係数αを定数αoとし、図13(A)に示すように、スケール調整係数αが、車速Vの増加に従って定数αoの近傍にて増加するように規定しておけば、左右前輪FWL,FWRの転舵角θwl,θwrは、操舵ハンドル11の同一の操舵角θhに対して、車速Vの増加に従って小さくなるように制御される。これによれば、低速域にて車両の小回り性能が良好になるとともに、高速域における車両の走行安定性が良好になる。
また、上記各実施形態で用いたスケール調整係数αを定数αoとし、図13(B)に示すように、スケール調整係数αが操舵角θhの増加に従って定数αoの近傍にて減少するように規定しておけば、左右前輪FWL,FWRの転舵角θwl,θwrは、操舵ハンドル11の操舵角θhの増加に従って大きくなるように制御される。これによれば、大舵角操舵時における車両の小回り性能が良好になる。
また、上記各実施形態で用いたスケール調整係数βを定数βoとし、図13(C)に示すように、スケール調整係数βが車速Vの増加に従って定数βoの近傍にて減少するように規定しておけば、操舵ハンドル11の操舵力(操舵反力)は、車速Vの増加に従って増加するように制御される。これによれば、低速域にて操舵ハンドル11が軽快に操舵され、高速域における操舵ハンドル11の操舵操作が重くなり、車両の走行安定性が良好になる。
また、上記各実施形態で用いたスケール調整係数βを定数βoとし、図13(D)に示すように、スケール調整係数βが操舵角θhの増加に従って定数βoの近傍にて増加するように規定しておけば、操舵ハンドル11の操舵力(操舵反力)は、操舵角θhの増加に従って減少するように制御される。これによれば、大舵角操舵時における操舵ハンドル11の操舵操作が軽快になされるようになる。
さらに、スケール調整係数α、βを車速Vおよび操舵角θhの両方の変化に応じて変化させるようにしてもよい。さらに、車速Vおよび操舵角θhに限らず、横加速度、ヨーレートなどの車両の走行状態を表す物理量に応じてスケール調整係数α,βを変化させるようにしてもよい。
また、上記各実施形態およびそれらの変形例においては、スケール調整部101,111にて左右の転舵角センサ33L,33Rの出力値である転舵角θwl,θwrにスケール調整係数αを乗算するようにした。しかし、これに代えて、操舵角センサ31の出力である操舵角θhにスケール調整係数αに相当するスケール調整係数α’を乗算するようにしてもよい。この場合、車速V、操舵角θhなどの車両の走行状態を表す物理量の変化に対して、スケール調整係数α’を、上記各実施形態のスケール調整係数αとは増減方向を逆方向に変化させるようにする。また、この変形例の場合には、上記各実施形態のスケール調整部145を省略して、ゲイン乗算部144(または力応答低減係数乗算部146)から演算部160,170に与えられる制御値にスケール調整係数α’を乗算するスケール調整を、ゲイン乗算部144(または力応答低減係数乗算部146)からの出力値が供給される演算部160,170の入力側に介装しておく。
また、上記各実施形態およびそれらの変形例においては、スケール調整部141,142にて左右の転舵反力センサ34L、34Rまたは演算部216(または演算部226)の出力値にスケール調整係数βを乗算するようにした。しかし、これに代えて、操舵力センサ32または演算部206(または減算部207)と演算部143または演算部143’との間にスケール調整部を設けて、そのスケール調整部にて操舵力センサ32または演算部206(または減算部207)の出力値にスケール調整係数βに相当するスケール調整係数β’を乗算するようにしてもよい。この場合、車速V、操舵角θhなどの車両の走行状態を表す物理量の変化に対して、スケール調整係数β’を、上記各実施形態のスケール調整係数βとは増減方向を逆方向に変化させるようにする。また、この変形例の場合には、上記各実施形態のスケール調整部118を省略して、加算部127からイナーシャ乗算部129に与えられる制御値、および、加算部137からイナーシャ乗算部139に与えられる制御値にスケール調整係数β’を乗算するスケール調整部を、加算部127とイナーシャ乗算部129との間、および、加算部137とイナーシャ乗算部139との間に介装しておく。さらに、上記各実施形態のスケール調整係数α,βと、変形例のスケール調整係数α’,β’の両者を考慮するようにしてもよい。
本発明の第1実施形態に係る車両の操舵装置の全体概略図である。 第1実施形態に係る電子制御ユニットにて実現される機能を表す機能ブロック図である。 第1実施形態の第1変形例に係る電子制御ユニットにて実現される機能を表す機能ブロック図である。 第1実施形態の第1変形例に係る力応答低減係数乗算部の機能を表すフローチャートである。 第1実施形態の第1変形例に係る低減係数テーブルを表すグラフである。 第1実施形態の第1変形例に係る復帰低減係数テーブルを表すグラフである。 第1実施形態の第2変形例に係る電子制御ユニットにて実現される機能を表す機能ブロック図である。 第2実施形態に係る電子制御ユニットにて実現される機能を表す機能ブロック図である。 操舵用電動モータに関する外乱オブザーバのブロック図である。 第2実施形態の第1変形例に係る電子制御ユニットにて実現される機能を表す機能ブロック図である。 第3実施形態に係る車両の操舵装置の全体概略図である。 第3実施形態に係る電子制御ユニットにて実現される機能を表す機能ブロック図である。 (A)はスケール調整係数αの車速に応じた変化を示すグラフであり、(B)はスケール調整係数αの操舵角に応じた変化を示すグラフであり、(C)はスケール調整係数βの車速に応じた変化を示すグラフであり、(D)はスケール調整係数βの操舵角に応じた変化を示すグラフである。
符号の説明
FWL,FWR…前輪、RWL,RWR…後輪、10…操舵操作装置、11…操舵ハンドル、14…操舵用電動モータ、20…転舵装置、20L,20R,20LR,20RR…転舵部、24L,24R,24LR,24RR…転舵用電動モータ、31…操舵角センサ、32…操舵力センサ、33L,33R,33LR,33RR…転舵角センサ、34L,33R,33LR,33RR…転舵反力センサ、41…電子制御ユニット(ECU)、42,43L,43R,43LR,43RR…駆動回路、B1…位置応答制御値計算部、B2…力応答制御値計算部、B3,B4,B5…駆動制御部、B6H,B6L,B6R…ダンピング制御部、B7H…操舵力推定部、B7L,B7R…操舵反力推定部。

Claims (9)

  1. 操舵ハンドルを駆動する操舵アクチュエータと、操舵ハンドルとは機械的に未接続の複数の転舵輪を独立して転舵する少なくとも2つ以上の転舵アクチュエータとを備えたステアバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    操舵ハンドルの操舵角を表す操舵角情報を取得する操舵角取得手段と、
    前記各転舵アクチュエータに独立して転舵される転舵輪ごとに、その転舵角を表す転舵角情報を取得する転舵角取得手段と、
    操舵ハンドルに付与される操舵力を表す操舵力情報を取得する操舵力取得手段と、
    前記各転舵アクチュエータに独立して転舵される転舵輪ごとに、その転舵輪に入力される転舵反力を表す転舵反力情報を取得する転舵反力取得手段と、
    前記操舵角情報によって表された操舵角と前記転舵角情報によって表された各転舵輪ごとの転舵角とをスケール調整して平均した平均値を計算する平均値計算手段と、
    前記平均値計算手段により計算された平均値に基づいて、前記操舵ハンドルの操舵角と各転舵輪の転舵角とを所定比に保つための前記操舵アクチュエータおよび転舵アクチュエータに対する位置応答制御値を計算する位置応答制御値計算手段と、
    前記操舵力情報によって表された操舵力と前記転舵反力情報によって表された各転舵輪ごとの転舵反力とをスケール調整して合算した合力を計算する合力計算手段と、
    前記合力計算手段により計算された合力に基づいて、操舵ハンドルに付与される操舵力および各転舵輪に入力される転舵反力に応じた前記操舵アクチュエータおよび転舵アクチュエータに対する力応答制御値を計算する力応答制御値計算手段と、
    前記位置応答制御値計算手段によって計算された前記操舵アクチュエータに対する位置応答制御値と、前記力応答制御値計算手段によって計算された前記操舵アクチュエータに対する力応答制御値とを合算して前記操舵アクチュエータを駆動制御する操舵アクチュエータ駆動制御手段と、
    前記位置応答制御値計算手段によって計算された前記転舵アクチュエータに対する位置応答制御値と、前記力応答制御値計算手段によって計算された前記転舵アクチュエータに対する力応答制御値とを合算して前記転舵アクチュエータを駆動制御する転舵アクチュエータ駆動制御手段と
    を設けたことを特徴とする車両の操舵装置。
  2. 車両の走行する路面状態を検出する路面状態検出手段と、
    前記路面状態検出手段により、路面状態レベルが所定の悪路レベルにあると判断されたとき、前記力応答制御値計算手段により計算される力応答制御値を低減する力応答制御値補正手段と
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両の操舵装置。
  3. 前記転舵アクチュエータは、左転舵輪を転舵する左転舵アクチュエータと、右転舵輪を転舵する右転舵アクチュエータとを備え、
    前記転舵反力取得手段は、前記左転舵輪に入力される左転舵反力を表す左転舵反力情報と、前記右転舵輪に入力される右転舵反力を表す右転舵反力情報とを別々に取得するように構成されるとともに、
    前記路面状態検出手段は、前記左転舵反力情報によって表された左転舵反力と前記右転舵反力情報によって表された右転舵反力との差に基づいて、路面状態レベルを判断することを特徴とする請求項2に記載の車両の操舵装置。
  4. 前記操舵角取得手段は、操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角センサであり、
    前記転舵角取得手段は、各転舵輪の転舵角を検出する転舵角センサであり、
    前記操舵力取得手段は、操舵ハンドルに付与される操舵力を検出する操舵力センサであり、かつ、
    前記転舵反力取得手段は、各転舵輪に入力される転舵反力を検出する転舵反力センサである請求項1ないし請求項3の何れか一項記載の車両の操舵装置。
  5. 前記操舵力取得手段は、前記操舵アクチュエータの作動制御状態と、同操舵アクチュエータの実際の作動状態とに基づいて、操舵ハンドルに付与される操舵力を推定する操舵力推定手段であり、かつ、
    前記転舵反力取得手段は、前記転舵アクチュエータの作動制御状態と、同転舵アクチュエータの実際の作動状態とに基づいて、転舵輪に入力される転舵反力を推定する転舵反力推定手段である請求項1ないし請求項3の何れか一項記載の車両の操舵装置。
  6. 前記操舵角情報によって表された操舵角に基づいて操舵角速度を計算する操舵角速度計算手段と、
    前記計算された操舵角速度に比例したダンピング制御値を計算して、同ダンピング制御値を前記操舵アクチュエータ駆動制御手段による操舵アクチュエータの駆動制御に加味するダンピング制御手段と
    を設けたことを特徴とする請求項1ないし5のうちの何れか一項記載の車両の操舵装置。
  7. 前記転舵角情報によって表された転舵角に基づいて転舵角速度を計算する転舵角速度計算手段と、
    前記計算された転舵角速度に比例したダンピング制御値を計算して、同ダンピング制御値を前記転舵アクチュエータ駆動制御手段による転舵アクチュエータの駆動制御に加味するダンピング制御手段と
    を設けたことを特徴とする請求項1ないし6のうちの何れか一項記載の車両の操舵装置。
  8. 前記平均値計算手段において、前記操舵角情報によって表された操舵角と前記転舵角情報によって表された各転舵輪ごとの転舵角とのスケール調整比を、車両の走行状態に応じて変更する第1変更手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし7のうちの何れか一項記載の車両の操舵装置。
  9. 前記合力計算手段において、前記操舵力情報によって表された操舵力と前記転舵反力情報によって表された各転舵輪ごとの転舵反力とのスケール調整比を、車両の走行状態に応じて変更する第2変更手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし8のうちの何れか一項記載の車両の操舵装置。
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