JP2008044503A - 車両用ドア構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドアの永久変形を抑制する。
【解決手段】本発明の車両用ドア構造10によれば、インパクトビーム34に連結されたエクステンション38は、ドアインナパネル18の車両幅方向壁部24及び車両前後方向壁部26に結合されている。従って、ドア12全体が例えば高温環境下に置かれた場合でも、ドアアウタパネル20の熱膨張を車両幅方向壁部24で拘束して(受け止めて)抑制できる。また、これにより、車両前後方向壁部26に対し、ドアアウタパネル20の熱膨張に伴って作用する曲げモーメントMを低減できる。さらに、エクステンション38には、傾斜壁部94が設けられている。このため、ドアアウタパネル20の熱膨張に伴って車両幅方向壁部24から車両前後方向壁部26へ作用する回転変形力F3を、この傾斜壁部94を介してインパクトビーム34に伝達して分散できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両用ドア構造に係り、特に、ドア内方側に配置されたドアインナパネルとドア外方側に配置されたドアアウタパネルとを有して構成された車両用ドア構造に関する。
例えば、車両用ドア構造としては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、自動車のドアガードバーの取付構造が適用されたドアの例が開示されている。この特許文献1に記載の例において、ドアは、ドア内方側に配置されたドアインナパネルと、ドア外方側に配置されたドアアウタパネルとを有して構成されている。また、このドアインナパネルとドアアウタパネルとは、互いの外周縁部にて結合されている。
特開2002−144870号公報 特開2004−51034号公報
しかしながら、この種の車両用ドア構造では、ドア全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合には、ドア全体が熱膨張する。このとき、ドアアウタパネルは、一般的にドアインナパネルに対して平坦に形成されるためドアインナパネルよりも熱膨張量が大きい。
このため、この種の車両用ドア構造では、ドア全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合には、ドアアウタパネル側とドアインナパネル側との熱膨張形態に差が生じる。従って、ドアアウタパネル側とドアインナパネル側との熱膨張形態の差によって、ドア外板部を構成するドアアウタパネル側に永久変形が生じる可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ドアの永久変形を抑制することが可能な車両用ドア構造を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両用ドア構造は、ドア幅方向一端側に外周縁部に連続しドア厚さ方向に延びるドア厚さ方向壁部と、前記ドア厚さ方向壁部に連続しドア幅方向に延びるドア幅方向壁部と、を有して構成されたドアインナパネルと、前記ドアインナパネルのドア厚さ方向外側に配置され、外周縁部が前記ドアインナパネルの外周縁部と結合されたドアアウタパネルと、前記ドアアウタパネルよりも線膨張係数の小さい材料で構成されて、前記ドアインナパネルと前記ドアアウタパネルとの間にドア幅方向に沿って延在されると共に、ドア幅方向一端側に前記ドア厚さ方向壁部及び前記ドア幅方向壁部と結合された一端側結合部と、ドア幅方向他端側に前記ドアインナパネルのドア幅方向他端側の部分と結合された他端側結合部と、前記一端側結合部と前記一端側結合部からドア厚さ方向外側且つドア幅方向内側の部分とを連結する傾斜壁部と、を有して構成されたドア補強部材と、を備えたことを特徴とする。
なお、本発明において、ドア幅方向とは、例えば、車両用ドア構造が車両の側面ドアに適用された場合には、車両前後方向に相当し、車両用ドア構造が車両の背面ドアに適用された場合には、車両幅方向に相当する。また、ドア厚さ方向とは、例えば、車両用ドア構造が車両の側面ドアに適用された場合には、車両幅方向に相当し、車両用ドア構造が車両の背面ドアに適用された場合には、車両前後方向に相当する。
請求項1に記載の車両用ドア構造によれば、ドアインナパネルの外周縁部に連続するドア厚さ方向壁部には、ドア補強部材のドア幅方向一端側に設けられた一端側結合部が結合されている。また、このドア補強部材は、ドア幅方向他端側がドアインナパネルのドア幅方向他端側の部分に結合されており、しかも、ドアアウタパネルよりも線膨張係数の小さい材料で構成されている。従って、ドア全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合でも、ドアアウタパネルの熱膨張を、このドア補強部材が結合されたドアインナパネルのドア厚さ方向壁部で拘束して(受け止めて)抑制することができる。
また、このように、ドアアウタパネルの熱膨張を、ドア補強部材が結合されたドアインナパネルのドア厚さ方向壁部で拘束して(受け止めて)抑制することにより、ドアインナパネルのドア幅方向壁部に対し、ドアアウタパネルの熱膨張に伴って作用する曲げモーメント、すなわち、ドア補強部材の一端側結合部との結合部を支点として作用する曲げモーメントを低減することができる。従って、ドアインナパネルのドア幅方向壁部がドア補強部材の一端側結合部との結合部を支点として回転変形することを抑制することができる。
この結果、ドアアウタパネルの熱膨張をドアインナパネルにより拘束して抑制することができるので、ドア全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合でも、ドアインナパネル側とドアアウタパネル側とに熱膨張形態の差が生じることを抑制できる。これにより、ドアインナパネル側とドアアウタパネル側の熱膨張形態の差によってドアアウタパネル側に熱歪による永久変形が生じることを抑制できる。
特に、請求項1に記載の車両用ドア構造によれば、ドア補強部材には、上述のドア幅方向壁部と結合された一端側結合部と、この一端側結合部からドア厚さ方向外側且つドア幅方向内側の部分とを連結する傾斜壁部が形成されている。従って、上述のドアアウタパネルの熱膨張に伴ってドアインナパネルのドア幅方向壁部に作用する回転変形力の方向と傾斜壁部の延在方向とを合わせることができる。これにより、このドアインナパネルのドア幅方向壁部に作用する回転変形力を、傾斜壁部を介してドア補強部材の一端側結合部からドア厚さ方向外側且つドア幅方向内側の部分(補強部材本体)に伝達して分散することができる。
この結果、ドアインナパネルのドア幅方向壁部がドア補強部材の一端側結合部との結合部を支点として回転変形することをより抑制することができる。これにより、ドアインナパネル側とドアアウタパネル側の熱膨張形態の差によってドアアウタパネル側に熱歪による永久変形が生じることをより抑制できる。
なお、上述の傾斜壁部は、一端側結合部のうちドア厚さ方向壁部と結合されたドア厚さ方向結合部に連結されて形成されていても良く、また、一端側結合部のうちドア幅方向壁部と結合されたドア幅方向結合部に連結されて形成されていても良い。
請求項2に記載の車両用ドア構造は、請求項1に記載の車両用ドア構造において、前記ドア補強部材は、ドア幅方向に沿って延在された補強部材本体と、前記補強部材本体と別体で設けられ、前記一端側結合部及び前記傾斜壁部と、前記傾斜壁部に延長して形成されて前記補強部材本体の前記一端側結合部からドア厚さ方向外側且つドア幅方向内側の部分に結合された延長結合部と、を有して構成された結合部材と、を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の車両用ドア構造によれば、ドア補強部材は、ドア幅方向に沿って延在された補強部材本体と、この補強部材本体と別体で設けられた結合部材とを備えて構成されており、上述の一端側結合部及び傾斜壁部と、この傾斜壁部に延長して形成された延長結合部とは、結合部材に設けられている。従って、補強部材本体には、一端側結合部及び傾斜壁部と延長結合部とを形成する必要が無い。これにより、補強部材本体の構造及び形状の自由度を高めることができる。
請求項3に記載の車両用ドア構造は、請求項2に記載の車両用ドア構造において、前記結合部材は、前記一端側結合部の前記ドア厚さ方向壁部に結合されたドア厚さ方向結合部と前記ドア幅方向壁部に結合されたドア幅方向結合部との相対角度変位、前記一端側結合部と前記傾斜壁部との相対角度変位、及び、前記傾斜壁部と前記延長結合部との相対角度変位の少なくとも一つを抑制するための補強手段を備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の車両用ドア構造によれば、上述の結合部材は、一端側結合部のドア厚さ方向壁部に結合されたドア厚さ方向結合部とドア幅方向壁部に結合されたドア幅方向結合部との相対角度変位、一端側結合部と傾斜壁部との相対角度変位、及び、傾斜壁部と延長結合部との相対角度変位の少なくとも一つを抑制するための補強手段を備えて構成されている。従って、この補強手段により各部間の相対角度変位を抑制することで、上述のドアアウタパネルの熱膨張に対する拘束力、及び、ドアインナパネルに設けられたドア幅方向壁部の回転変形に対する抑制力を高めることができる。この結果、ドアインナパネル側とドアアウタパネル側の熱膨張形態の差によってドアアウタパネル側に熱歪による永久変形が生じることをさらにより抑制できる。
請求項4に記載の車両用ドア構造は、請求項2又は請求項3に記載の車両用ドア構造において、前記一端側結合部のうち前記ドア厚さ方向壁部と結合されたドア厚さ方向結合部には、前記ドア厚さ方向壁部と反対側に向けて膨出する膨出面が形成され、前記膨出面には、ドア厚さ方向に切り欠かれた切欠部が形成され、前記補強部材本体は、ドア幅方向一端側の部分が前記切欠部の内側に配置されて前記切欠部とドア厚さ方向に沿って結合されていることを特徴とする。
請求項4に記載の車両用ドア構造によれば、一端側結合部のうちドア厚さ方向結合部に形成された膨出面には、ドア厚さ方向に切り欠かれた切欠部が形成されており、補強部材本体は、そのドア幅方向一端側の部分が切欠部の内側に配置されて切欠部とドア厚さ方向に沿って結合されている。従って、上述の如くドアインナパネルのドア幅方向壁部に対し、ドアアウタパネルの熱膨張に伴う曲げモーメント、すなわち、ドア補強部材の一端側結合部との結合部を支点とする曲げモーメントが作用した場合でも、この曲げモーメントに対し、補強部材本体と切欠部との結合方向をせん断方向とすることができる。これにより、補強部材本体と切欠部との結合部の耐久性を向上させることができる。
しかも、請求項4に記載の車両用ドア構造によれば、膨出面は、ドア厚さ方向壁部と反対側に向けて膨出されている。従って、この膨出面のドア厚さ方向壁部からのオフセットにより、補強部材本体と膨出面との結合部とドア厚さ方向壁部とのオフセットアームを確保することができる。これにより、補強部材本体とドア厚さ方向壁部との相対的な回転変形を抑制することができる。
また、このとき、補強部材本体のドア幅方向一端側の部分が切欠部に嵌め込まれる構成とされていれば、例えば補強部材本体を孔部に貫通させる構成に比して、補強部材本体と結合部材との組立が容易となる。
請求項5に記載の車両用ドア構造は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車両用ドア構造において、前記ドア幅方向壁部には、ドア厚さ方向に膨出するビードが設けられ、前記一端側結合部は、前記ビードの膨出端面に結合されていることを特徴とする。
請求項5に記載の車両用ドア構造によれば、ドアインナパネルのドア幅方向壁部には、ドア厚さ方向に膨出するビードが設けられ、ドア補強部材の一端側結合部は、ビードの膨出端面に結合されている。従って、このビードでドアインナパネルのドア幅方向壁部を補強できるので、ドアインナパネルのドア幅方向壁部がドア補強部材の一端側結合部との結合部を支点として回転変形することをより抑制することができる。
以上詳述したように、本発明によれば、ドアの永久変形を抑制することができる。これにより、例えば、ドアの車体への建て付け精度を向上させることが可能となる。
[第一実施形態]
はじめに、図1乃至図4を参照しながら、本発明の第一実施形態について説明する。
図1乃至図3には、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10が適用されたドア12の構成が示されており、図4には、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10の変形例が示されている。なお、これらの図において、矢印Frは、車両前後方向前側、矢印Upは、車両上下方向上側、矢印Inは、車両幅方向内側をそれぞれ示している。
図1に示されるように、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10が適用されたドア12は、例えば、乗用自動車等の車両のフロントサイドドアとして構成されている。このドア12は、ドア上半分に配置されたドアフレーム14と、ドア下半分に配置されたドアパネル体16とを備えて構成されている。
ドアパネル体16は、車両幅方向内方側に配置されたドアインナパネル18と、車両幅方向外方側に配置されたドアアウタパネル20とを備えて構成されている。本実施形態において、このドアインナパネル18とドアアウタパネル20とは、例えば、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの軽金属で構成されている。
ドアインナパネル18は、図2,図3に示されるように、車両前後方向後側に、車両前後方向に延びる外周縁部22と、この外周縁部22に連続し車両幅方向に延びる車両幅方向壁部24(ドア厚さ方向壁部)と、この車両幅方向壁部24に連続し車両前後方向に延びる車両前後方向壁部26(ドア幅方向壁部)と、を有して構成されている。
車両前後方向壁部26には、後述するエクステンション88の車両前後方向結合部42が結合されるためのビード28が複数設けられている。このビード28は、車両幅方向外側に膨出するように形成されている。そして、このドアインナパネル18とドアアウタパネル20とは、例えば、図3の断面図で示されるように、ヘミング加工されることにより互いの外周縁部22,30にて結合されている。
また、このドアインナパネル18とドアアウタパネル20とが結合されて構成されたドアパネル体16は、ドアインナパネル18とドアアウタパネル20との間に内部空間32を有している。そして、本実施形態では、この内部空間32のドアアウタパネル20側寄りで、ドアパネル体16の下部の位置にパイプ状のインパクトビーム34が配置されている。
インパクトビーム34は、図1に示されるように、内部空間32に車両前後方向に沿って延在するように配置されている。そして、このインパクトビーム34の車両前後方向前側部は、エクステンション36を介してドアインナパネル18の車両前後方向前側の部分に結合されている。
一方、インパクトビーム34の車両前後方向後側部は、図2,図3に示されるように、上述のドアインナパネル18に設けられた車両幅方向壁部24に近接する位置まで延長されると共に、この車両幅方向壁部24に連続する車両前後方向壁部26の車両幅方向外側に配置されている。そして、このインパクトビーム34の車両前後方向後側部は、エクステンション88を介してドアインナパネル18の車両幅方向壁部24及び車両前後方向壁部26に結合されている。
本実施形態において、このインパクトビーム34及びエクステンション36,88は、例えば、鋼で構成されている。なお、インパクトビーム34及びエクステンション36,88は、上述のドアインナパネル18及びドアアウタパネル20よりも線膨張係数が小さい材料で構成されていることが望ましく、鋼の他にも、例えば、チタンで構成されていても良い。
このインパクトビーム34をドアインナパネル18に連結するためのエクステンション36,88のうち車両前後方向後側のエクステンション88の構成について詳述すると、エクステンション88は、図2,図3に示されるように、車両幅方向結合部90と、車両前後方向結合部92と、傾斜壁部94と、延長結合部96とを有して構成されている。
車両幅方向結合部90は、車両幅方向に沿って延在されて構成されており、その車両上下方向両側の部分に結合面104を有して構成されている。そして、車両幅方向結合部90の結合面104は、溶接部106によって上述の車両幅方向壁部24に結合されている。
また、この車両幅方向壁部24には、結合面104の間に車両前後方向前側に向けて膨出する膨出面108が形成されており、この膨出面108には、車両幅方向外側に開口し車両幅方向に切り欠かれた切欠部110が形成されている。そして、この切欠部110の内側には、上述のインパクトビーム34の車両前後方向後側部が嵌め込まれて配置されており、この切欠部110とインパクトビーム34の車両前後方向後側部とは、溶接部112により車両幅方向に沿って結合されている。
車両前後方向結合部92は、上述の車両幅方向結合部90と連続して形成されると共に車両前後方向に沿って延在されている。また、この車両前後方向結合部92において、その車両上下方向両側の部分は、結合面114として構成されており、この結合面114は、上述の車両前後方向壁部26に形成されたビード28の膨出端面に溶接部120によってそれぞれ結合されている。
傾斜壁部94は、車両前後方向結合部92の車両前後方向前端部から車両幅方向外側且つ車両前後方向前側に向けて斜め方向に延設されており、延長結合部96は、この傾斜壁部94の車両前後方向前端部から車両前後方向前側に向けて延設されている。そして、この延長結合部96は、インパクトビーム34に溶接部116によって結合されている。
また、このインパクトビーム34は、例えば、図3に示されるように、その長手方向に沿って複数配置された接着剤62によりドアアウタパネル20とも結合されている。さらに、このインパクトビーム34が内蔵されて補強されたドアパネル体16には、図1に示されるように、各部を補強するために、ミラーブラケット64、ロックリインフォースメント66、ベルトラインリインフォースメント68が設けられている。
ミラーブラケット64は、ドアインナパネル18の車両前後方向前側且つ車両上下方向上側の部分に一体的に結合されており、ロックリインフォースメント66は、ドアインナパネル18の車両前後方向後側且つ車両上下方向上側の部分に一体的に結合されている。
また、ベルトラインリインフォースメント68は、ドアパネル体16のベルトライン部に車両前後方向に延在されており、その両端部がドアインナパネル18の車両前後方向両端側の部分にそれぞれ結合されている。
次に、本発明の第一実施形態の作用及び効果について説明する。
上記の如く構成されたドア12は、その製造過程における塗装工程において、例えば、次の如く処理される。すなわち、ドア12は、全体的に電着塗装が施された後、約200℃近い電着塗装焼付け乾燥炉で塗装の焼付け乾燥が行われる。
このとき、ドアインナパネル18は、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの熱膨張係数の大きい軽金属で構成されているため、四方に熱膨張力が発生して熱膨張しようとする。ところが、一般に、ドアインナパネル18には、ビードや、取付部品用の座面や、接合面などの凹状又は凸状の構造部が多く形成されている。このため、ドアインナパネル18に発生した熱膨張力は、これらの構造部に分散される(すなわち、膨張方向が複雑となる)。
これに対し、ドアアウタパネル20は、ドアインナパネル18と同様にアルミニウム合金やマグネシウム合金などの熱膨張係数の大きい軽金属で形成されていることに加え、一般的に平面部が大半を占める板一枚の構造とされる。このため、ドアアウタパネル20は、四方に発生した熱膨張力によってドアインナパネル18よりも大きく熱膨張しようとする。
ところが、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、ドアインナパネル18の外周縁部22に連続する車両幅方向壁部24には、インパクトビーム34の車両前後方向後側部がエクステンション88を介して結合されている。また、このインパクトビーム34は、車両前後方向前側部がドアインナパネル18の車両前後方向前側の部分に結合されている。さらに、このインパクトビーム34及びエクステンション88は、ドアアウタパネル20よりも線膨張係数の小さい材料で構成されている。
従って、ドア12全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合でも、図3に示されるドアアウタパネル20の熱膨張(熱膨張力F1)を、このインパクトビーム34が結合されたドアインナパネル18の車両幅方向壁部24で拘束して(受け止めて)抑制することができる(この場合のインパクトビーム34の拘束力の方向を図3中矢印F2で示す)。
また、このように、ドアアウタパネル20の熱膨張(熱膨張力F1)を、インパクトビーム34が結合されたドアインナパネル18の車両幅方向壁部24で拘束して(受け止めて)抑制することにより、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26に対し、図3中矢印Mで示す如く、ドアアウタパネル20の熱膨張に伴って作用する曲げモーメント、すなわち、エクステンション88の車両前後方向結合部92との溶接部120を支点として作用する曲げモーメントMを低減することができる。従って、図3中想像線L1で示される如く、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26がエクステンション88の車両前後方向結合部92との溶接部120を支点として回転変形することを抑制することができる。
また、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26には、車両幅方向外側に向けて膨出するビード28が形成されており、エクステンション88の車両前後方向結合部92は、ビード28の膨出端面に結合されている。従って、このビード28でドアインナパネル18の車両前後方向壁部26を補強できるので、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26がエクステンション88の車両前後方向結合部92との溶接部120を支点として回転変形することをより抑制することができる。
この結果、ドアアウタパネル20の熱膨張をドアインナパネル18により拘束して抑制することができるので、ドア12全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合でも、ドアインナパネル18側とドアアウタパネル20側とに熱膨張形態の差が生じることを抑制できる。これにより、ドアインナパネル18側とドアアウタパネル20側の熱膨張形態の差によってドアアウタパネル20側に熱歪による永久変形が生じることを抑制できる。
特に、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、エクステンション88に形成された傾斜壁部94は、上述の車両前後方向結合部92の車両前後方向前端部から車両幅方向外側且つ車両前後方向前側に向けて斜め方向に延設されている。従って、上述のドアアウタパネル20の熱膨張に伴ってドアインナパネル18の車両幅方向壁部24から車両前後方向壁部26へ作用する回転変形力(矢印F3)の方向と傾斜壁部94の延在方向とを合わせることができる(なお、この場合の傾斜壁部94の拘束力の方向を図3中矢印F4で示す)。これにより、このドアアウタパネル20の熱膨張に伴ってドアインナパネル18の車両幅方向壁部24から車両前後方向壁部26へ作用する回転変形力F3を、傾斜壁部94を介してインパクトビーム34に伝達して分散することができる。
この結果、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26がエクステンション88の車両前後方向結合部92との溶接部120を支点として回転変形することをより抑制することができる。これにより、ドアインナパネル18側とドアアウタパネル20側の熱膨張形態の差によってドアアウタパネル20側に熱歪による永久変形が生じることをより抑制できる。
以上詳述したように、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、ドア12全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合でも、ドア12の永久変形を抑制することができる。これにより、例えば、ドア12の車体への建て付け精度を向上させることが可能となる。特に、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、エクステンション88に傾斜壁部94を設けることで、後述する参考例に係る車両用ドア構造210に比して、ドアアウタパネル20側に熱歪による永久変形が生じることをより抑制できるので、これにより、例えば、ドア12の車体への建て付け精度をより向上させることが可能となる。
なお、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、エクステンション88は、インパクトビーム34と別体で設けられており、しかも、このエクステンション88に、上述の車両幅方向結合部90、車両前後方向結合部92、傾斜壁部94、延長結合部96が設けられている。従って、インパクトビーム34には、上述の車両幅方向結合部90、車両前後方向結合部92、傾斜壁部94、延長結合部96を形成する必要が無い。これにより、インパクトビーム34を例えばパイプ状で構成するなど、インパクトビーム34の構造及び形状の自由度を高めることができる。
また、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、エクステンション88の車両幅方向結合部90に形成された膨出面108には、車両幅方向に切り欠かれた切欠部110が形成されており、この切欠部110の内側には、上述のインパクトビーム34の車両前後方向後側部が嵌め込まれて配置されている。そして、この切欠部110とインパクトビーム34の車両前後方向後側部とは、車両幅方向に沿って結合されている。
従って、上述の如くドアインナパネル18の車両前後方向壁部26に対し、ドアアウタパネル20の熱膨張に伴う曲げモーメントM、すなわち、エクステンション88の車両前後方向結合部92との溶接部120を支点とする曲げモーメントMが作用した場合でも、この曲げモーメントMに対し、インパクトビーム34と切欠部110との結合方向をせん断方向(X方向)とすることができる。これにより、インパクトビーム34と切欠部110との結合部の耐久性を向上させることができる。
また、上述の如く、切欠部110とインパクトビーム34の車両前後方向後側部とが、車両幅方向に沿って結合されることにより、この結合部に作用するドア開閉時の荷重方向もせん断方向(X方向)とすることができる。従って、ドア12の開閉耐久性も向上させることができる。
しかも、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、膨出面108は、車両幅方向壁部24と反対側に向けて膨出されている。従って、この膨出面108の車両幅方向壁部24からのオフセットにより、インパクトビーム34と膨出面108との結合部と車両幅方向壁部24とのオフセットアーム(オフセット量)を確保することができる。これにより、インパクトビーム34と車両幅方向壁部24との相対的な回転変形も抑制することができる。
また、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、インパクトビーム34の車両前後方向後側部が切欠部110に嵌め込まれる構成とされているので、例えばインパクトビーム34を孔部に貫通させる構成に比して、インパクトビーム34とエクステンション88との組立が容易となる。
また、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、インパクトビーム34の車両前後方向後側部は、図3に示されるように、ドアインナパネル18に設けられた車両幅方向壁部24に近接する位置まで延長されているので、インパクトビーム34とセンタピラー70との車両側面視におけるラップ量を増加できる。しかも、上述のドアインナパネル18の車両前後方向壁部26に対して作用する曲げモーメントMを抑制することでインパクトビーム34の車両前後方向後側部の回転変形も抑制できる。これにより、側突時のドア12全体の耐力を増加させることができる。
また、これに加えて、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、エクステンション88の傾斜壁部94がドア12の中央部からセンタピラー70に向けて形成されている。従って、側面衝突等によってドア12の中央部に車両幅方向外側から荷重が加わったときには、この荷重を傾斜壁部94を介してセンタピラー70側へ伝達して分散させることができ、荷重伝達効率を向上させることができる。これにより、側面衝突時におけるドア12の耐力を向上させることができる。
また、本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10によれば、ドア12の開閉に伴ってインパクトビーム34に振動が発生しても、この振動を傾斜壁部94を介してドアインナパネル18に伝達して分散させることができる。これにより、ドアインナパネル18とエクステンション88との結合部の応力を緩和でき、ドア12の開閉耐久性も向上させることができる。
次に、本発明の第一実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態において、エクステンション88には、例えば、図4に示されるように、車両幅方向結合部90、車両前後方向結合部92、傾斜壁部94、延長結合部96の縁部に沿ってフランジ122が形成されていても良い。このように、車両幅方向結合部90、車両前後方向結合部92、傾斜壁部94、延長結合部96の縁部に沿ってフランジ122が形成されていると、このフランジ122により車両幅方向結合部90と車両前後方向結合部92との相対角度変位、車両前後方向結合部92と傾斜壁部94との相対角度変位、傾斜壁部94と延長結合部96との相対角度変位を抑制することができる。
これにより、上述のドアアウタパネル20の熱膨張に対する拘束力、及び、ドアインナパネル18に設けられたドア幅方向壁部の回転変形に対する抑制力を高めることができる。この結果、ドアインナパネル18側とドアアウタパネル20側の熱膨張形態の差によってドアアウタパネル20側に熱歪による永久変形が生じることをさらにより抑制できる。
なお、この場合に、図4に示される如く、フランジ122が車両幅方向壁部24及び車両前後方向壁部26から離間するように形成されていると、エクステンション88とドアインナパネル18との電食を防止することができる。また、この場合に、エクステンション88にビード等が設けられて各部間の相対角度変位が抑制されるように構成されていても良い。
また、上記実施形態では、ドア補強部材の一例として、インパクトビーム34の例について説明したが、本発明の車両用ドア構造10は、ドア補強部材としてのベルトラインリインフォースメント68等について適用されても良いことは勿論である。
[第二実施形態]
次に、図5乃至図7を参照しながら、本発明の第二実施形態について説明する。
図5乃至図7には、本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造130が適用されたドア132の構成が示されている。なお、これらの図において、矢印Frは、車両前後方向前側、矢印Upは、車両上下方向上側、矢印Inは、車両幅方向内側をそれぞれ示している。
本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造130は、上述の本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造10に対し、インパクトビーム34及びエクステンション36,88の代わりにインパクトビーム134を備えて構成されたものである。従って、本発明の第二実施形態において、上述の本発明の第一実施形態と同一の構成については同一の符号を用いることとしてその説明を省略する。
図5に示される本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造130において、インパクトビーム134は、長尺状の板材がプレス成形されることにより構成されたものであり、車両前後方向に延在し車両幅方向外側に膨出する膨出部136を上下一対に備えた断面波型に構成されている。
このインパクトビーム134は、その車両前後方向前側部がドアインナパネル18の車両前後方向前側の部分に結合されており、その車両前後方向後側がドアインナパネル18の車両幅方向壁部24及び車両前後方向壁部26に結合されている。
このインパクトビーム134の車両前後方向後側の構成について詳述すると、図6,図7に示されるように、このインパクトビーム134の車両前後方向後側には、車両幅方向結合部140と、車両前後方向結合部142と、傾斜壁部144とが設けられている。
車両幅方向結合部140は、車両幅方向に沿って延在されて構成されており、上述の膨出部136を挟んだ上下両側の部分が結合面154とされている。そして、この車両幅方向結合部140の結合面154は、溶接部156によって上述の車両幅方向壁部24に結合されている。
車両前後方向結合部142は、上述の車両幅方向結合部140と連続して形成されると共に車両前後方向に沿って延在されており、上述の膨出部136を挟んだ上下両側の部分が結合面158とされている。そして、この車両前後方向結合部142の結合面158は、溶接部160によって上述の車両前後方向壁部26に結合されている。なお、この車両前後方向結合部142の結合面158は、上述の車両前後方向壁部26に形成されたビード28の膨出端面(図2参照)にそれぞれ結合されている。
傾斜壁部144は、図6に示されるように、車両幅方向結合部140と膨出部136とを連結するように構成されている。より具体的には、この傾斜壁部144は、図7に示されるように、車両幅方向結合部140から車両幅方向外側且つ車両前後方向前側に向けて斜め方向に延設されている。そして、この傾斜壁部144は、その延設端側が膨出部136に連結されている。
また、本実施形態において、このインパクトビーム134は、例えば、鋼で構成されている。なお、このインパクトビーム134は、上述のドアインナパネル18及びドアアウタパネル20よりも線膨張係数が小さい材料で構成されていることが望ましく、鋼の他にも、例えば、チタンで構成されていても良い。
次に、本発明の第二実施形態の作用及び効果について説明する。
本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造130によれば、ドアインナパネル18の外周縁部22に連続する車両幅方向壁部24には、インパクトビーム134の車両前後方向後側部に一体的に設けられた車両幅方向結合部140が結合されている。また、このインパクトビーム134は、車両前後方向前側部がドアインナパネル18の車両前後方向前側の部分に結合されている。さらに、このインパクトビーム134は、ドアアウタパネル20よりも線膨張係数の小さい材料で構成されている。
従って、ドア132全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合でも、図7に示されるドアアウタパネル20の熱膨張(熱膨張力F1)を、このインパクトビーム134が結合されたドアインナパネル18の車両幅方向壁部24で拘束して(受け止めて)抑制することができる(この場合のインパクトビーム134の拘束力の方向を図7中矢印F2で示す)。
また、このように、ドアアウタパネル20の熱膨張(熱膨張力F1)を、インパクトビーム134が結合されたドアインナパネル18の車両幅方向壁部24で拘束して(受け止めて)抑制することにより、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26に対し、図7中矢印Mで示す如く、ドアアウタパネル20の熱膨張に伴って作用する曲げモーメント、すなわち、エクステンション38の車両前後方向結合部142との溶接部160を支点として作用する曲げモーメントMを低減することができる。従って、図7中想像線L1で示される如く、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26がインパクトビーム134の車両前後方向結合部142との溶接部160を支点として回転変形することを抑制することができる。
また、本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造130によれば、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26には、車両幅方向外側に向けて膨出するビード28が形成されており、インパクトビーム134の車両前後方向結合部142は、ビード28の膨出端面に結合されている。従って、このビード28でドアインナパネル18の車両前後方向壁部26を補強できるので、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26がインパクトビーム134の車両前後方向結合部142との溶接部160を支点として回転変形することをより抑制することができる。
この結果、ドアアウタパネル20の熱膨張をドアインナパネル18により拘束して抑制することができるので、ドア132全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合でも、ドアインナパネル18側とドアアウタパネル20側とに熱膨張形態の差が生じることを抑制できる。これにより、ドアインナパネル18側とドアアウタパネル20側の熱膨張形態の差によってドアアウタパネル20側に熱歪による永久変形が生じることを抑制できる。
特に、本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造130によれば、インパクトビーム134に形成された傾斜壁部144は、上述の車両幅方向結合部140から車両幅方向外側且つ車両前後方向前側に向けて斜め方向に延設されている。従って、上述のドアアウタパネル20の熱膨張に伴ってドアインナパネル18の車両幅方向壁部24から車両前後方向壁部26へ作用する回転変形力(矢印F3)の方向と傾斜壁部144の延在方向とを合わせることができる(なお、この場合の傾斜壁部144の拘束力の方向を図7中矢印F4で示す)。これにより、このドアアウタパネル20の熱膨張に伴ってドアインナパネル18の車両幅方向壁部24から車両前後方向壁部26へ作用する回転変形力F3を、傾斜壁部144を介してインパクトビーム34に伝達して分散することができる。
この結果、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26がエクステンション38の車両前後方向結合部142との溶接部160を支点として回転変形することをより抑制することができる。これにより、ドアインナパネル18側とドアアウタパネル20側の熱膨張形態の差によってドアアウタパネル20側に熱歪による永久変形が生じることをより抑制できる。
以上詳述したように、本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造130によれば、ドア132全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合でも、ドア132の永久変形を抑制することができる。これにより、例えば、ドア132の車体への建て付け精度を向上させることが可能となる。特に、本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造130によれば、インパクトビーム134に傾斜壁部144を設けることで、後述する参考例に係る車両用ドア構造210に比して、ドアアウタパネル20側に熱歪による永久変形が生じることをより抑制できるので、これにより、例えば、ドア132の車体への建て付け精度をより向上させることが可能となる。
なお、本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造130によれば、インパクトビーム134に形成された膨出部136の車両前後方向後側部は、図7に示されるように、ドアインナパネル18に設けられた車両幅方向壁部24に近接する位置まで延長されているので、膨出部136とセンタピラー70との車両側面視におけるラップ量を増加できる。しかも、上述のドアインナパネル18の車両前後方向壁部26に対して作用する曲げモーメントMを抑制することでインパクトビーム134の車両前後方向後側部の回転変形も抑制できる。これにより、側突時のドア132全体の耐力を増加させることができる。
また、これに加えて、本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造130によれば、インパクトビーム134の傾斜壁部144がドア132の中央部からセンタピラー70に向けて形成されている。従って、側面衝突等によってドア132の中央部に車両幅方向外側から荷重が加わったときには、この荷重を傾斜壁部144を介してセンタピラー70側へ伝達して分散させることができ、荷重伝達効率を向上させることができる。これにより、側面衝突時におけるドア132の耐力を向上させることができる。
また、本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造130によれば、インパクトビーム134がプレス成形による一部品で構成されているので、複数の部品を組み合わせる構成の如く各部品の寸法バラつきによって全体構成の寸法バラつきが大きくなることを抑制できる。これにより、例えば、ドア132の車体への建て付け精度をより向上させることが可能となる。
[参考例]
次に、図8乃至図11を参照しながら、本発明の参考例について説明する。
図8乃至図10には、本発明の参考例に係る車両用ドア構造210が適用されたドア212の構成が示されており、図11には、本発明の参考例に係る車両用ドア構造210の変形例が示されている。なお、これらの図において、矢印Frは、車両前後方向前側、矢印Upは、車両上下方向上側、矢印Inは、車両幅方向内側をそれぞれ示している。
図8に示される本発明の参考例に係る車両用ドア構造210において、エクステンション38は、車両幅方向結合部40(ドア厚さ方向結合部)と、車両前後方向結合部42(ドア幅方向結合部)とを有して構成されている。
車両幅方向結合部40は、車両幅方向に沿って延在されて構成されており、その車両上下方向両側の部分に結合面44を有して構成されている。そして、車両幅方向結合部40の結合面44は、溶接部46によって上述の車両幅方向壁部24に結合されている。
また、この車両幅方向壁部24には、結合面44の間に車両前後方向前側に向けて膨出する膨出面48が形成されており、この膨出面48には、車両幅方向外側に開口し車両幅方向に切り欠かれた切欠部50が形成されている。そして、この切欠部50の内側には、上述のインパクトビーム34の車両前後方向後側部が嵌め込まれて配置されており、この切欠部50とインパクトビーム34の車両前後方向後側部とは、溶接部52により車両幅方向に沿って結合されている。
車両前後方向結合部42は、上述の車両幅方向結合部40と連続して形成されると共に車両前後方向に沿って延在されている。また、この車両前後方向結合部42には、その車両上下方向中央部に車両前後方向に沿って結合面54が形成されている。そして、この結合面54には、インパクトビーム34の車両前後方向後側部が溶接部56により車両前後方向に沿って結合されている。
また、この車両前後方向結合部42において、その車両上下方向両側の部分は、結合面58として構成されている。そして、この結合面58は、上述の車両前後方向壁部26に形成されたビード28の膨出端面に溶接部60によってそれぞれ結合されている。
また、本参考例において、このエクステンション38は、例えば、鋼で構成されている。なお、エクステンション38は、上述のドアインナパネル18及びドアアウタパネル20よりも線膨張係数が小さい材料で構成されていることが望ましく、鋼の他にも、例えば、チタンで構成されていても良い。
次に、本発明の参考例の作用及び効果について説明する。
本発明の参考例に係る車両用ドア構造210によれば、ドアインナパネル18の外周縁部22に連続する車両幅方向壁部24には、インパクトビーム34の車両前後方向後側部がエクステンション38を介して結合されている。また、このインパクトビーム34は、車両前後方向前側部がドアインナパネル18の車両前後方向前側の部分に結合されている。さらに、このインパクトビーム34及びエクステンション38は、ドアアウタパネル20よりも線膨張係数の小さい材料で構成されている。
従って、ドア212全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合でも、図10に示されるドアアウタパネル20の熱膨張(熱膨張力F1)を、このインパクトビーム34が結合されたドアインナパネル18の車両幅方向壁部24で拘束して(受け止めて)抑制することができる(この場合のインパクトビーム34の拘束力の方向を図10中矢印F2で示す)。
また、このように、ドアアウタパネル20の熱膨張(熱膨張力F1)を、インパクトビーム34が結合されたドアインナパネル18の車両幅方向壁部24で拘束して(受け止めて)抑制することにより、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26に対し、図10中矢印Mで示す如く、ドアアウタパネル20の熱膨張に伴って作用する曲げモーメント、すなわち、エクステンション38の車両前後方向結合部42との溶接部60を支点として作用する曲げモーメントMを低減することができる。従って、図10中想像線L1で示される如く、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26がエクステンション38の車両前後方向結合部42との溶接部60を支点として回転変形することを抑制することができる。
また、本発明の参考例に係る車両用ドア構造210によれば、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26には、車両幅方向外側に向けて膨出するビード28が形成されており、エクステンション38の車両前後方向結合部42は、ビード28の膨出端面に結合されている。従って、このビード28でドアインナパネル18の車両前後方向壁部26を補強できるので、ドアインナパネル18の車両前後方向壁部26がエクステンション38の車両前後方向結合部42との溶接部60を支点として回転変形することをより抑制することができる。
この結果、ドアアウタパネル20の熱膨張をドアインナパネル18により拘束して抑制することができるので、ドア212全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合でも、ドアインナパネル18側とドアアウタパネル20側とに熱膨張形態の差が生じることを抑制できる。これにより、ドアインナパネル18側とドアアウタパネル20側の熱膨張形態の差によってドアアウタパネル20側に熱歪による永久変形が生じることを抑制できる。
以上詳述したように、本発明の参考例に係る車両用ドア構造210によれば、ドア212全体が例えば電着塗装焼付け乾燥炉等の高温環境下に置かれた場合でも、ドア212の永久変形を抑制することができる。これにより、例えば、ドア212の車体への建て付け精度を向上させることが可能となる。
なお、本発明の参考例に係る車両用ドア構造210によれば、エクステンション38は、インパクトビーム34と別体で設けられており、しかも、このエクステンション38に、上述の車両幅方向結合部40及び車両前後方向結合部42が設けられている。従って、インパクトビーム34には、上述の車両幅方向結合部40及び車両前後方向結合部42を形成する必要が無い。これにより、インパクトビーム34を例えばパイプ状で構成するなど、インパクトビーム34の構造及び形状の自由度を高めることができる。
また、本発明の参考例に係る車両用ドア構造210によれば、エクステンション38の車両幅方向結合部40に形成された膨出面48には、車両幅方向に切り欠かれた切欠部50が形成されており、この切欠部50の内側には、上述のインパクトビーム34の車両前後方向後側部が嵌め込まれて配置されている。そして、この切欠部50とインパクトビーム34の車両前後方向後側部とは、車両幅方向に沿って結合されている。
従って、上述の如くドアインナパネル18の車両前後方向壁部26に対し、ドアアウタパネル20の熱膨張に伴う曲げモーメントM、すなわち、エクステンション38の車両前後方向結合部42との溶接部60を支点とする曲げモーメントMが作用した場合でも、この曲げモーメントMに対し、インパクトビーム34と切欠部50との結合方向をせん断方向(X方向)とすることができる。これにより、インパクトビーム34と切欠部50との結合部の耐久性を向上させることができる。
また、上述の如く、切欠部50とインパクトビーム34の車両前後方向後側部とが、車両幅方向に沿って結合されることにより、この結合部に作用するドア開閉時の荷重方向もせん断方向(X方向)とすることができる。従って、ドア212の開閉耐久性も向上させることができる。
しかも、本発明の参考例に係る車両用ドア構造210によれば、膨出面48は、車両幅方向壁部24と反対側に向けて膨出されている。従って、この膨出面48の車両幅方向壁部24からのオフセットにより、インパクトビーム34と膨出面48との結合部と車両幅方向壁部24とのオフセットアーム(オフセット量)を確保することができる。これにより、インパクトビーム34と車両幅方向壁部24との相対的な回転変形も抑制することができる。
また、本発明の参考例に係る車両用ドア構造210によれば、インパクトビーム34の車両前後方向後側部が切欠部50に嵌め込まれる構成とされているので、例えばインパクトビーム34を孔部に貫通させる構成に比して、インパクトビーム34とエクステンション38との組立が容易となる。
また、本発明の参考例に係る車両用ドア構造210によれば、インパクトビーム34の車両前後方向後側部は、図10に示されるように、ドアインナパネル18に設けられた車両幅方向壁部24に近接する位置まで延長されているので、インパクトビーム34とセンタピラー70との車両側面視におけるラップ量を増加できる。しかも、上述のドアインナパネル18の車両前後方向壁部26に対して作用する曲げモーメントMを抑制することでインパクトビーム34の車両前後方向後側部の回転変形も抑制できる。これにより、側突時のドア212全体の耐力を増加させることができる。
次に、本発明の参考例の変形例について説明する。
上記参考例において、エクステンション38には、例えば、図11に示されるように、車両幅方向結合部40と車両前後方向結合部42の縁部に沿ってフランジ72が形成されていても良い。このように、車両幅方向結合部40と車両前後方向結合部42の縁部に沿ってフランジ72が形成されていると、このフランジ72により車両幅方向結合部40と車両前後方向結合部42との相対角度変位を抑制することができる。
これにより、上述のドアアウタパネル20の熱膨張に対する拘束力、及び、ドアインナパネル18に設けられたドア幅方向壁部の回転変形に対する抑制力を高めることができる。この結果、ドアインナパネル18側とドアアウタパネル20側の熱膨張形態の差によってドアアウタパネル20側に熱歪による永久変形が生じることをさらにより抑制できる。
なお、この場合に、図11に示される如く、フランジ72が車両幅方向壁部24及び車両前後方向壁部26から離間するように形成されていると、エクステンション38とドアインナパネル18との電食を防止することができる。また、この場合に、エクステンション38にビード等が設けられて各部間の相対角度変位が抑制されるように構成されていても良い。
本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアの側面図である。 本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアの要部拡大斜視図である。 本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアの要部拡大平面断面図である。 本発明の第一実施形態に係る車両用ドア構造の変形例を示す図である。 本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアの側面図である。 本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアの要部拡大斜視図である。 本発明の第二実施形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアの要部拡大平面断面図である。 本発明の参考例に係る車両用ドア構造が適用されたドアの側面図である。 本発明の参考例に係る車両用ドア構造が適用されたドアの要部拡大斜視図である。 本発明の参考例に係る車両用ドア構造が適用されたドアの要部拡大平面断面図である。 本発明の参考例に係る車両用ドア構造の変形例を示す図である。
符号の説明
10,130,210 車両用ドア構造
18 ドアインナパネル
20 ドアアウタパネル
22,30 外周縁部
24 車両幅方向壁部(ドア厚さ方向壁部)
26 車両前後方向壁部(ドア幅方向壁部)
28 ビード
34 インパクトビーム(ドア補強部材の一部、補強部材本体)
36 エクステンション(他端側結合部)
38,88 エクステンション(ドア補強部材の一部、結合部材)
40,90,140 車両幅方向結合部(一端側結合部の一部、ドア厚さ方向結合部)
42,92,142 車両前後方向結合部(一端側結合部の一部、ドア幅方向結合部)
48,108 膨出面
50,110 切欠部
72,122 フランジ(補強手段)
94,144 傾斜壁部
96 延長結合部

Claims (5)

  1. ドア幅方向一端側に外周縁部に連続しドア厚さ方向に延びるドア厚さ方向壁部と、前記ドア厚さ方向壁部に連続しドア幅方向に延びるドア幅方向壁部と、を有して構成されたドアインナパネルと、
    前記ドアインナパネルのドア厚さ方向外側に配置され、外周縁部が前記ドアインナパネルの外周縁部と結合されたドアアウタパネルと、
    前記ドアアウタパネルよりも線膨張係数の小さい材料で構成されて、前記ドアインナパネルと前記ドアアウタパネルとの間にドア幅方向に沿って延在されると共に、ドア幅方向一端側に前記ドア厚さ方向壁部及び前記ドア幅方向壁部と結合された一端側結合部と、ドア幅方向他端側に前記ドアインナパネルのドア幅方向他端側の部分と結合された他端側結合部と、前記一端側結合部と前記一端側結合部からドア厚さ方向外側且つドア幅方向内側の部分とを連結する傾斜壁部と、を有して構成されたドア補強部材と、
    を備えたことを特徴とする車両用ドア構造。
  2. 前記ドア補強部材は、
    ドア幅方向に沿って延在された補強部材本体と、
    前記補強部材本体と別体で設けられ、前記一端側結合部及び前記傾斜壁部と、前記傾斜壁部に延長して形成されて前記補強部材本体の前記一端側結合部からドア厚さ方向外側且つドア幅方向内側の部分に結合された延長結合部と、を有して構成された結合部材と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア構造。
  3. 前記結合部材は、前記一端側結合部の前記ドア厚さ方向壁部に結合されたドア厚さ方向結合部と前記ドア幅方向壁部に結合されたドア幅方向結合部との相対角度変位、前記一端側結合部と前記傾斜壁部との相対角度変位、及び、前記傾斜壁部と前記延長結合部との相対角度変位の少なくとも一つを抑制するための補強手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の車両用ドア構造。
  4. 前記一端側結合部のうち前記ドア厚さ方向壁部と結合されたドア厚さ方向結合部には、前記ドア厚さ方向壁部と反対側に向けて膨出する膨出面が形成され、
    前記膨出面には、ドア厚さ方向に切り欠かれた切欠部が形成され、
    前記補強部材本体は、ドア幅方向一端側の部分が前記切欠部の内側に配置されて前記切欠部とドア厚さ方向に沿って結合されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両用ドア構造。
  5. 前記ドア幅方向壁部には、ドア厚さ方向に膨出するビードが設けられ、
    前記一端側結合部は、前記ビードの膨出端面に結合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車両用ドア構造。
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