JP2008044273A - ライン位置算出方法、補正値取得方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データに基づいて、画像の中の第1方向に沿うラインの第2方向の位置を算出する方法であって、第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、閾値に基づいて範囲を設定し、画素データの示す階調値が範囲外になる不良画素を検出し、画素列を構成する複数の画素のうちの不良画素以外の画素の画素データに基づいて、その画素列の階調値を示す代表値を算出し、各画素列の代表値に基づいて、ラインの第2方向の位置を算出する。
【選択図】図30
Description
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、
前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、
前記閾値に基づいて範囲を設定し、
前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、
前記画素列を構成する複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データに基づいて、その画素列の階調値を示す代表値を算出し、
各画素列の前記代表値に基づいて、前記ラインの前記第2方向の位置を算出する
ことを特徴とするライン位置算出方法が明らかになる。
このようなライン位置算出方法によれば、正確に不良画素を検出することができる。
前記テストシートに印刷された前記測定用パターンをスキャナで読み取り、第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データを取得し、
前記画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出し、
前記位置に基づいて前記搬送動作のための補正値を取得する
補正値取得方法であって、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、
前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、
前記閾値に基づいて範囲を設定し、
前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、
前記画素列を構成する複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データに基づいて、その画素列の階調値を示す代表値を算出し、
各画素列の前記代表値に基づいて、前記ラインの前記第2方向の位置を算出する
ことを特徴とする補正値取得方法が明らかになる。
このような補正値取得方法によれば、正確な補正値を算出できる。
スキャナに、前記テストシートに印刷された前記測定用パターンを読み取らせ、第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データをコンピュータに出力させ、
前記コンピュータに、前記画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出させ、
前記コンピュータに、前記位置に基づいて前記搬送動作のための補正値を取得させる
プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得させ、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出させ、
前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定させ、
前記閾値に基づいて範囲を設定させ、
前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出させ、
前記画素列を構成する複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データに基づいて、その画素列の階調値を示す代表値を算出させ、
各画素列の前記代表値に基づいて、前記ラインの前記第2方向の位置を算出させる
ことを特徴とするプログラムが明らかになる。
このようなプログラムによれば、コンピュータに、正確に不良画素を検出させることができる。
<インクジェットプリンタの構成について>
図1は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図2Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンタ1の全体構成の断面図である。以下、プリンタの基本的な構成について説明する。
図3は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを90個備えている。
各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)と、ピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張し、ノズルからインク滴が吐出される。
<紙の搬送について>
図4は、搬送ユニット20の構成の説明図である。
搬送ユニット20は、コントローラ60からの搬送指令に基づいて、所定の駆動量にて搬送モータ22を駆動させる。搬送モータ22は、指令された駆動量に応じて回転方向の駆動力を発生する。搬送モータ22は、この駆動力を用いて搬送ローラ23を回転させる。つまり、搬送モータ22が所定の駆動量を発生すると、搬送ローラ23は所定の回転量にて回転する。搬送ローラ23が所定の回転量にて回転すると、紙は所定の搬送量にて搬送される。
したがって、搬送ローラ23の回転量が検出できれば、紙の搬送量も検出可能である。そこで、搬送ローラ23の回転量を検出するため、ロータリー式エンコーダ52が設けられている。
そして、例えば搬送量1インチで紙を搬送する場合、搬送ローラ23が1回転したことをロータリー式エンコーダ52が検出するまで、コントローラ60が搬送モータ22を駆動する。このように、コントローラ60は、目標とする搬送量(目標搬送量)に応じた回転量になることをロータリー式エンコーダ52が検出するまで、搬送モータ22を駆動して、紙を目標搬送量にて搬送する。
ところで、ロータリー式エンコーダ52は、直接的には搬送ローラ23の回転量を検出するのであって、厳密にいえば、紙Sの搬送量を検出していない。このため、搬送ローラ23の回転量と紙Sの搬送量が一致しない場合、ロータリー式エンコーダ52は紙Sの搬送量を正確に検出することができず、搬送誤差(検出誤差)が生じる。搬送誤差としては、DC成分の搬送誤差及びAC成分の搬送誤差の2種類がある。
図6は、101.6mm×152.4mm(4インチ×6インチ)の大きさの紙を搬送する際に生じる搬送誤差のグラフ(概念図)である。グラフの横軸は、紙の総搬送量を示している。グラフの縦軸は、搬送誤差を示している。図中の点線は、DC成分の搬送誤差のグラフである。図中の実線の値(トータルの搬送誤差)から図中の点線の値(DC成分の搬送誤差)を引けば、AC成分の搬送誤差が求められる。AC成分の搬送誤差は、紙の総搬送量に関わらず、ほぼサインカーブになる。一方、点線で示されるDC成分の搬送誤差は、紙の摩擦等の影響によって、紙の総搬送量に応じて異なる値になる。
また、AC成分の搬送誤差を補正しようとする場合、コントローラ60は、搬送ローラ23の回転位置を検出する必要がある。しかし、搬送ローラ23の回転位置を検出するためには、ロータリー式エンコーダ52に原点センサを更に用意する必要があり、コストアップとなる。
そこで、以下に示す本実施形態の搬送量の補正では、DC成分の搬送誤差を補正することにしている。
図7は、搬送量を補正するための補正値を決定するまでのフロー図である。図8A〜図8Cは、補正値を決定するまでの様子の説明図である。これらの処理は、プリンタ製造工場の検査工程において行われる。この処理に先立って、検査者は、組み立て完了後のプリンタ1を工場内のコンピュータ110に接続する。工場内のコンピュータ110には、スキャナ150も接続されており、プリンタドライバ、スキャナドライバ及び補正値取得プログラムが予めインストールされている。
そして、補正値取得プログラムは、取得した画像データを解析し、補正値を算出する(S103)。そして、補正値取得プログラムは、補正データをプリンタ1に送信し、プリンタ1のメモリ63に補正値を記憶させる(図8C)。プリンタに記憶される補正値は、個々のプリンタの搬送特性を反映したものになる。
なお、補正値を記憶したプリンタは、梱包されてユーザの下に届けられる。ユーザがプリンタで画像を印刷する際に、プリンタは、補正値に基づいて紙を搬送し、紙に画像を印刷する。
まず、測定用パターンの印刷について説明する。通常の印刷と同様に、プリンタ1は、移動中のノズルからインクを吐出してドットを形成するドット形成処理と、紙を搬送方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、測定用パターンを紙に印刷する。なお、以下の説明では、ドット形成処理のことを「パス」と呼び、n回目のドット形成処理のことを「パスn」と呼ぶ。
識別コードは、個々のプリンタ1をそれぞれ識別するための個体識別用の記号である。この識別コードは、S102において測定用パターンが読み取られるときに一緒に読み取られ、OCRによる文字認識によって、コンピュータ110に識別される。
各ラインは、いずれも移動方向に沿って形成されている。NIPラインよりも上端側には、多数のラインが形成される。NIPラインよりも上端側のラインについて、上端側から順にi番目のラインのことを「Li」と呼ぶ。また、NIPラインよりも下端側には、2つのラインが形成される。NIPラインよりも下端側の2つのラインのうち、上端側のラインをLb1と呼び、下端側のライン(一番下のライン)をLb2と呼ぶ。特定のラインは、他のラインよりも長く形成されている。例えば、ラインL1、ラインL13及びラインLb2は、他のラインと比べて、長く形成されている。これらのラインは、以下のようにして形成される。
<スキャナの構成>
まず、測定用パターンの読み取りに用いられるスキャナ150の構成について説明する。
図10Aは、スキャナ150の縦断面図である。図10Bは、上蓋151を外した状態のスキャナ150の上面図である。
後述するように、本実施形態ではスキャナ150は、テストシートTSの測定用パターンと基準シートの基準パターンとを、720dpi(主走査方向)×720dpi(副走査方向)の解像度で読み取る。このため、以下の説明では、720×720dpiの解像度で画像を読み取ることを前提にして説明を行う。
また、仮に、グラフの傾きがゼロであれば、1/720インチ毎に等間隔に、画像が読み取られるはずである。しかし、グラフの傾きがプラスの位置では、1/720インチよりも長い間隔で画像が読み取られることになる。また、グラフの傾きがマイナスの位置では、1/720インチよりも短い間隔で画像が読み取られることになる。
図12Aは、基準シートSSの説明図である。図12Bは、原稿台ガラス152にテストシートTSと基準シートSSをセットした様子の説明図である。
基準シートSSの大きさは10mm×300mmであり、基準シートSSは長細い形をしている。基準シートSSには、基準パターンとして36dpi間隔にて多数のラインが形成されている。基準シートSSは繰り返し使用されるため、紙ではなく、PETフィルムから構成される。また、基準パターンは、レーザー加工により、高精度に形成されている。
補正値の算出の説明の前に、スキャナ150から取得した画像データについて説明する。画像データは、複数の画素データから構成されている。各画素データは、対応する画素の階調値を示している。スキャナの読み取り誤差を無視すれば、各画素は1/720インチ×1/720インチの大きさに相当する。このような画素を最小構成単位として画像(ディジタル画像)が構成されており、画像データは、このような画像を示すデータになっている。
まず、コンピュータ110は、スキャナ150から取得した画像データの示す画像を2つに分割する(S131)。
図14は、画像の分割(S131)の説明図である。図中の左側には、スキャナから取得した画像データの示す画像が描かれている。図中の右側には、分割された画像が描かれている。以下の説明において、図中の左右方向(水平方向)をx方向と呼び、図中の上下方向(垂直方向)をy方向と呼ぶ。基準パターンの画像における各ラインはx方向にほぼ平行であり、測定用パターンの画像における各ラインもx方向にほぼ平行である。
次に、コンピュータ110は、画像の傾きを検出する(S132)。
図15Aは、測定用パターンの画像の傾きを検出する様子の説明図である。コンピュータ110は、画像データの中から、左からKX2番目の画素であって、上からKY1番目からJY個の画素を取り出す。同様に、コンピュータ110は、画像データの中から、左からKX3番目の画素であって、上からKY1番目からJY個の画素を取り出す。なお、取り出される画素の中にラインL1を示す画素が含まれるように、パラメータKX2、KX3、KY1及びJYが設定されている。
図15Bは、取り出された画素の階調値のグラフである。横軸は、画素の位置(Y座標)を示している。縦軸は、画素の階調値を示している。コンピュータ110は、取り出されたJY個の画素の画素データに基づいて、重心位置KY2、KY3をそれぞれ求める。
そして、コンピュータ110は、次式によりラインL1の傾きθを算出する。
θ=tan−1{(KY2−KY3)/(KX2−KX3)}
次に、コンピュータ110は、S132において検出した傾きθに基づいて、画像を回転処理し、画像の傾きを補正する(S133)。測定用パターンの画像は、測定用パターンの画像の傾き結果に基づいて回転補正され、基準パターンの画像は、基準パターンの画像の傾き結果に基づいて回転補正される。
次に、コンピュータ110は、測定用パターンの印刷時の傾き(スキュー)を検出する(S134)。測定用パターンを印刷するときにテストシートの下端が搬送ローラを通過すると、テストシートの下端がヘッド41に接触し、テストシートが動くことがある。このようなことが起こると、その測定用パターンにより算出された補正値が不適切なものになる。そこで、測定用パターンの印刷時の傾きを検出することにより、テストシートの下端がヘッド41に接触したか否かを検出し、接触した場合にはエラーとする。
次に、コンピュータ110は、余白量を算出する(S135)。
図17は、余白量Xの説明図である。図中の実線の四角形(外側の四角形)は、S133の回転補正後の画像を示している。図中の点線の四角形(内側の斜めの四角形)は、回転補正前の画像を示している。回転補正後の画像を長方形状にするため、S133の回転補正処理が行われる際に、回転後の画像の四隅に直角三角形状の余白が付加される。
X=(w cosθ−W´/2)×tanθ
次に、コンピュータ110は、スキャナ座標系での基準パターンのラインの位置及び測定用パターンのラインの位置をそれぞれ算出する(S136)。
スキャナ座標系とは、1画素の大きさを1/720×1/720インチとしたときの座標系である。スキャナ150には読み取り位置の誤差があり、読み取り位置の誤差を考慮すると、各画素データの対応する実際の領域は厳密には1/720インチ×1/720インチにはならないが、スキャナ座標系では、各画素データの対応する領域(画素)の大きさを1/720×1/720インチとする。また、各画像における左上の画素の位置を、スキャナ座標系の原点とする。
コンピュータ110は、階調値のピーク値の位置を求め、この位置を中心とする所定の範囲を演算範囲とする。そして、この演算範囲の画素の画素データに基づいて、階調値の重心位置を算出し、この重心位置をラインの位置とする。
次に、コンピュータ110は、測定用パターンのラインの絶対位置をそれぞれ算出する(S137)。
図20は、測定用パターンのi番目のラインの絶対位置の算出の説明図である。ここでは、測定用パターンのi番目のラインは、基準パターンのj−1番目のラインと、基準パターンのj番目のラインとの間に位置する。以下の説明では、測定用パターンのi番目のラインの位置(スキャナ座標系)を「S(i)」と呼び、基準パターンのj番目のラインの位置(スキャナ座標系)を「K(j)」と呼ぶ。また、基準パターンのj−1番目のラインとj番目のラインとの間隔(y方向の間隔)を「L」と呼び、基準パターンのj−1番目のラインと測定用パターンのi番目のラインとの間隔(y方向の間隔)を「L(i)」と呼ぶ。
H=L(i)/L
={S(i)−K(j−1)}/{K(j)−K(j−1)}
R(i)={J(j)−J(j−1)}×H+J(j−1)
次に、コンピュータ110は、測定用パターンを形成する際に行われた複数回の搬送動作に対応する補正値をそれぞれ算出する(S138)。各補正値は、理論上のライン間隔と実際のライン間隔との差に基づいて、算出される。
ところで、本実施形態のロータリー式エンコーダ52は原点センサを備えていないので、コントローラ60は、搬送ローラ23の回転量は検出できるが、搬送ローラ23の回転位置までは検出していない。このため、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置をプリンタ1は保証することがでない。つまり、印刷する度に、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が異なるおそれがある。一方、測定用パターンにおける隣接する2つの罫線の間隔は、1/4インチにて搬送するときのDC成分の搬送誤差の影響だけではなく、AC成分の搬送誤差の影響も受けている。
Ca(i)={C(i−1)+C(i)+C(i+1)+C(i+2)}/4
前述した通り、パスiとパスi+1との間で行われた搬送動作の補正値C(i)は、「6.35mm」(1/4インチ、すなわちラインLiとラインLi+1との理論上の間隔)から「R(i+1)−R(i)」(ラインLi+1の絶対位置とラインLiの実際の間隔)を引いた値になる。そうすると、補正値Caを算出するための上式は、次式のような意味になる。
Ca(i)=[25.4mm−{R(i+3)−R(i−1)}]/4
ゆえに、4個の補正値Cを平均化して算出される補正値Ca(i)は、AC成分の搬送誤差の影響を受けず、DC成分の搬送誤差を反映した値になる。
次に、コンピュータ110は、補正値をプリンタ1のメモリ63に記憶する(S104)。
図23は、メモリ63に記憶されるテーブルの説明図である。メモリ63に記憶される補正値は、NIP状態における補正値Ca(1)〜Ca(19)と、非NIP状態における補正値Cbである。また、各補正値を適用する範囲を示すための境界位置情報も、各補正値に関連付けられてメモリ63に記憶される。
プリンタを購入したユーザの下で印刷が行われる際に、コントローラ60は、メモリ63からテーブルを読み出し、目標搬送量を補正値に基づいて補正し、補正された目標搬送量に基づいて搬送動作を行う。以下、ユーザの下での印刷時の搬送動作の様子について説明する。
ここでは、補正値の算出(S103)でのスキャナ座標系でのライン位置の算出(S136)について更に詳しく説明する。
図25は、ラインの位置を算出する様子の説明図である。
図中の左側には、図18Aの点線で示す範囲の画像データが示されている。この画像データは、マトリクス状に配置された画素の画素データから構成される。この画像データでは、x方向に所定数の画素が並んでいる。以下、図中の太線で囲んだ範囲の画素群のことを「画素列」と呼ぶ。
そして、コンピュータ110は、階調値がピーク値になる画素列を求め、この画素列を中心として所定範囲の複数の画素列を演算範囲と決定する。そして、演算範囲の画素列の階調値に基づいて、演算範囲における階調値の重心位置を算出し、この重心位置をラインの位置として算出する。
図26Aは、基準シートやテストシートにごみがあった場合の画素列内の階調値のグラフである。グラフの横軸は、画素列内における画素のx方向の位置を示している。縦軸は、画素の階調値を示している。実線のグラフは、各画素の階調値を示している。点線のグラフは、この画素列の画素データ(階調値)の平均値を示している。
ごみの画像を示す画素が画素列内にある場合、画素列の画素データの平均値が高くなってしまう。このような画素列が演算範囲にあると、ラインの位置の算出に影響を与えてしまう。例えば、ごみの影響で平均値が高くなった画素列が演算範囲の上の方(−y方向)にあると、ラインの位置は、本来の位置よりも上の方に算出されてしまう。この結果、正しい補正値を算出できず、搬送誤差を正確に補正できなくなるおそれがある。
測定用パターンのラインを構成するドット列にドット抜けがある場合、画素列の画素のデータの平均値が低くなってしまう。このような画素列が演算範囲内にあると、ラインの位置の算出に影響を与えてしまう。この結果、正しい補正値を算出できず、搬送誤差を正確に補正できなくなるおそれがある。
図27は、比較例の説明図である。
比較例では、コンピュータ110は、まず画素列内の全画素データの平均値を算出する。次に、コンピュータ110は、全画素データの平均値を中心にして所定の閾値の範囲を正常範囲と設定し、この正常範囲外の画素データを除去する。つまり、図中の点線で示す画素データを除去する(このとき、不良画素の画素データを除去することができる)。なお、比較例では、閾値は固定された値である。次に、コンピュータ110は、残りの画素データ(正常範囲内の画素データ)の平均値を算出する。つまり、図中の太線で示す画素データの平均値を算出する。
この比較例により算出された画素列の平均値に基づいてラインの位置を算出すれば、不良画素の影響を軽減させてラインの位置を算出することができる。
図28Aは、測定用パターンのラインが傾いている様子の説明図である。この図の黒い領域は、測定用パターンのラインを示している。図中の升目は、測定用パターンをスキャナ150で読み取る際の各画素の領域に対応している。
S133において、測定用パターンの画像の傾きがラインL1の傾きに応じて補正されている。しかし、他のラインがラインL1に対して傾いていれば、S133において傾き補正しても、ラインL1以外のラインが傾いていることがある。
このようにラインが傾くと、ラインの境界の画素列(図中の矢印で示す画素列)において、画素に占めるラインの領域は、図中の右の画素ほど少なくなる。
このような画素列に対して、全画素データの平均値を中心にして所定の閾値の範囲を正常範囲と設定すると、不良画素ではない正常な画素の画素データが除去されてしまう。
図29は、不良画素がない場合のグラフである。図中の下側のグラフは、ラインが形成されていない部分(テストシートの白地部分)の画素列の階調値のグラフである。図中の上側のグラフは、ラインが形成されている部分(ライン形成部分)の画素列の階調値のグラフである。
白地部分では階調値のばらつきが小さいため(図29の下側のグラフ参照)、図27に示す閾値を小さく設定することができる。しかし、このような小さい閾値がライン形成部分の画素列の階調値に適用されると、不良画素ではない正常な画素の画素データが除去されてしまう。
一方、ライン形成部分では階調値のばらつきが大きいため(図29の上側のグラフ参照)、正常な画素を不良画素と判別しないようにするためには、図27に示す閾値を大きく設定する必要がある。しかし、このような大きい閾値が白地部分の画素列の階調値に適用されると、不良画素の識別の感度が低くなる。
上記の問題点を解決する本実施形態について以下に説明する。
図30は、S136のライン位置算出処理のフロー図である。コンピュータ110は、補正値取得プログラムに従って、各処理を実行する。つまり、補正値取得プログラムは、各処理をコンピュータ110に実行させるためのコードを有する。
図32Aは、白地部分の画素列に不良画素が無い場合の正常範囲の説明図である。白地部分の画素列に不良画素が無い場合、この画素列の標準偏差σは比較的小さい値になり、正常範囲の階調値の幅は狭くなる。このため、仮に微小なごみ等があっても、不良画素を検出することが可能である。
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、搬送方法、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
前述の実施形態では、プリンタが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。
また、ピエゾ素子を利用するものに限られず、例えばサーマルプリンタなどにも適用できる。また、液体を吐出するものに限られず、ワイヤドットプリンタなどにも適用できる。
前述の実施形態によれば、搬送量を補正するためのテストシートに形成された各ラインの位置を算出する際に、図30に示すライン位置算出処理が行われる。但し、画像データの示す画像のラインの位置を算出する場合であれば、前述のライン位置算出処理を適用することが可能である。
(1)前述の実施形態によれば、x方向及びy方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データに基づいて、x方向に沿うラインのy方向の位置を算出している(図25参照)。この際に、ごみが付着していたり、ラインを形成するドットに抜けがあったりすると、ラインの位置を正確に算出することができなくなるおそれがある(図26参照)。そこで、前述の実施形態によれば、画素列(x方向に並ぶ複数の画素)の階調値の平均値を算出する際に、正常範囲を設定し、正常範囲外の階調値の画素を不良画素として検出することにしている。
但し、正常範囲の幅を固定してしまうと、不良画素ではない正常な画素の画素データが除去されてしまったり、不良画素の識別の感度が低くなったりするおそれがある。
但し、必ずしも標準偏差σに基づいて正常範囲を設定しなくても良い。例えば、分散に基づいて正常範囲を設定しても良い。
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、23 搬送ローラ、
24 プラテン、25 排紙ローラ、26 従動ローラ、27 従動ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、
52 ロータリー式エンコーダ、521 スケール、522 検出部、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、63 メモリ、
64 ユニット制御回路、
150 スキャナ、151 上蓋、152 原稿台ガラス、
153 読取キャリッジ、154 案内部、155 移動機構、
157 露光ランプ、158 ラインセンサ、159 光学系、
TS テストシート、SS 基準シート
Claims (9)
- 第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出する方法であって、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、
前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、
前記閾値に基づいて範囲を設定し、
前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、
前記画素列を構成する複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データに基づいて、その画素列の階調値を示す代表値を算出し、
各画素列の前記代表値に基づいて、前記ラインの前記第2方向の位置を算出する
ことを特徴とするライン位置算出方法。 - 請求項1に記載のライン位置算出方法であって、
前記ばらつき度合いとは、標準偏差であり、
前記範囲を設定する際に、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値と、前記標準偏差と基づいて前記範囲が設定される
ことを特徴とするライン位置算出方法。 - 請求項2に記載のライン位置算出方法であって、
前記閾値を設定する際に、前記標準偏差に所定の係数を乗じた値に基づいて前記閾値が設定されることを特徴とするライン位置算出方法。 - 請求項3に記載のライン位置算出方法であって、
前記標準偏差の値が大きくなると前記係数が小さくなるように前記係数が設定されることを特徴とするライン位置算出方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のライン位置算出方法であって、
前記画素列を構成する複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データの平均値を前記代表値として算出し、前記平均値に基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出する
ことを特徴とするライン位置算出方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のライン位置算出方法であって、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得した後に、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値に基づいて近似直線を算出し、前記近似直線に基づいて各前記階調値を補正し、
前記不良画素を検出する際に、補正された前記階調値に基づいて前記不良画素を検出する
ことを特徴とするライン位置算出方法。 - (1)第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出する方法であって、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、
前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、
前記閾値に基づいて範囲を設定し、
前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、
前記画素列を構成する複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データに基づいて、その画素列の階調値を示す代表値を算出し、
各画素列の前記代表値に基づいて、前記ラインの前記第2方向の位置を算出し、
(2)前記ばらつき度合いとは、標準偏差であり、
前記範囲を設定する際に、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値と、前記標準偏差と基づいて前記範囲が設定され、
(3)前記閾値を設定する際に、前記標準偏差に所定の係数を乗じた値に基づいて前記閾値が設定され、
(4)前記標準偏差の値が大きくなると前記係数が小さくなるように前記係数が設定され、
(5)前記画素列を構成する複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データの平均値を前記代表値として算出し、前記平均値に基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出し、
(6)前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得した後に、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値に基づいて近似直線を算出し、前記近似直線に基づいて各前記階調値を補正し、
前記不良画素を検出する際に、補正された前記階調値に基づいて前記不良画素を検出する
ことを特徴とするライン位置算出方法。 - テストシートを搬送する搬送動作と、所定方向に沿うラインを形成する形成動作とを交互に印刷装置に繰り返し行わせて、複数の前記ラインを含む測定用パターンを前記テストシートに印刷し、
前記テストシートに印刷された前記測定用パターンをスキャナで読み取り、第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データを取得し、
前記画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出し、
前記位置に基づいて前記搬送動作のための補正値を取得する
補正値取得方法であって、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、
前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、
前記閾値に基づいて範囲を設定し、
前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、
前記画素列を構成する複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データに基づいて、その画素列の階調値を示す代表値を算出し、
各画素列の前記代表値に基づいて、前記ラインの前記第2方向の位置を算出する
ことを特徴とする補正値取得方法。 - 印刷装置に、テストシートを搬送する搬送動作と、所定方向に沿うラインを形成する形成動作とを交互に繰り返し行わせ、複数の前記ラインを含む測定用パターンを前記テストシートに印刷させ、
スキャナに、前記テストシートに印刷された前記測定用パターンを読み取らせ、第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データをコンピュータに出力させ、
前記コンピュータに、前記画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出させ、
前記コンピュータに、前記位置に基づいて前記搬送動作のための補正値を取得させる
プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得させ、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出させ、
前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定させ、
前記閾値に基づいて範囲を設定させ、
前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出させ、
前記画素列を構成する複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データに基づいて、その画素列の階調値を示す代表値を算出させ、
各画素列の前記代表値に基づいて、前記ラインの前記第2方向の位置を算出させる
ことを特徴とするプログラム。
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