JP2008042910A - ループアンテナ - Google Patents

Abstract

【課題】全体を小型に維持したまま、外部回路との間でのインピーダンス整合と共振周波数とをいずれも容易に調節可能なループアンテナを提供する。
【解決手段】本発明によるループアンテナでは整合回路が放射部と一体化されている。整合回路では、延長部が放射部のループの一辺から内側に延び、折り曲げ部が延長部の先端部で折れ曲がっている。放射部のループの一辺は途中で二つに切断され、一方の端部は給電点であり、他方の端部は短絡点である。延長部では好ましくは、給電点と短絡点とに対向するループの他辺から一対の延長線が延びている。折り曲げ部は好ましくは一対の蛇行ラインを含む。各蛇行ラインは、延長線の各先端部でその延長線の長手方向に対して垂直にジグザグに折り曲げられている。それら一対の蛇行ラインは好ましくは、先端部で互いに連結されている。
【選択図】図１

Description

本発明はループアンテナに関し、特に、整合回路を含むループアンテナに関する。

ループアンテナでは一般に、放射部が、四角形や円形などのループ状に形成された部分を含む。ループアンテナは一般に入力抵抗値が一般的なアンテナの入力抵抗値50Ωより低い。従って、ループアンテナを設計する際には、ループアンテナと外部回路との間でインピーダンスが整合するように、ループの長さを調節しなければならない。例えば正方形状のループアンテナの場合、ループの長さが一波長に近いほど入力抵抗値が50Ωに近く、入力リアクタンス値が0に近い。従って、ループアンテナの入力抵抗値を一般的な値50Ωに整合させるには、ループアンテナの長さを一波長に設計するのが好ましい。

一方、ループアンテナは長さによって放射パターンが異なる。具体的には、ループアンテナの長さが一波長より短い場合、ループを含む平面方向への放射が強く、ループアンテナの長さが一波長より長い場合、その平面に対して垂直な方向への放射が強い。従って、ループアンテナはその長さの調節によって放射パターンも調節可能である。
国際公開第01／80367号パンフレット 韓国特許出願公開第1999−023431号明細書 韓国特許出願公開第2005−050098号明細書

従来のループアンテナでは、その長さを一波長からずらして放射パターンを調節する場合、ループアンテナだけではその入力インピーダンス（入力抵抗と入力リアクタンス）を外部回路の出力インピーダンスに整合させることが難しい。従って、その場合には、ループアンテナに別の整合回路を備えなければならない。しかし、その整合回路を設置するための空間が更に必要となるので、ループアンテナの更なる小型化が困難である。その上、ループアンテナに接続される外部の回路素子を変更するごとに、上記の整合回路の設計を変更しなければならない。その変更は一般には容易ではない。

本発明の目的は、全体を小型に維持したまま、外部回路との間でのインピーダンス整合と共振周波数とをいずれも容易に調節可能なループアンテナ、を提供することにある。

本発明によるループアンテナは放射部と整合回路とを含む。放射部はループを含む。整合回路は、放射部のループの一辺から内側に延びている延長部と、その延長部の先端部で折れ曲がっている折り曲げ部とを含む。放射部では好ましくは、ループが、途中で二つに切断された一辺を含む。その切断された一辺の一方の端部は給電点であり、他方の端部は短絡点である。その場合、延長部は好ましくは、上記の切断された一辺に対向するループの他辺から延びている一対の延長線を含む。折り曲げ部は好ましくは一対の蛇行ラインを含む。各蛇行ラインは、延長部に含まれる延長線の各先端部でその延長線の長手方向に対して垂直に複数回ジグザグに折り曲げられている。それら一対の蛇行ラインは好ましくは、先端部で互いに連結されている。

好ましくは、延長部と折り曲げ部とはＬＣ回路を構成している。その場合、延長部はキャパシタとして機能し、折り曲げ部はインダクタとして機能する。整合回路により、ループアンテナの入力リアクタンスが調節される。特に、延長部が長いほど、ループアンテナの共振周波数が低い。更に、延長部の長手方向に対して垂直な方向で折り曲げ部が長いほど、ループアンテナの共振周波数が低い。

本発明によるループアンテナは好ましくは、抵抗調節部を更に含む。抵抗調節部は、放射部のループの各辺から所定距離だけ内側に、ループの各辺に対して平行に配置されている。放射部のループが、途中で二つに切断された一辺を含み、その切断された一辺の一方の端部は給電点であり、他方の端部は短絡点である場合、抵抗調節部は一対の調節線を含む。それらの調節線は給電点と短絡点とのそれぞれから延長部に隣接する領域まで延びている。抵抗調節部は、ダイポールアンテナのスタブとして機能する。すなわち、抵抗調節部によってループアンテナの入力抵抗が調節される。

本発明によるループアンテナは、従来のループアンテナとは異なり、整合回路と一体化されている。それにより、ループアンテナを設置するために必要な空間を更に縮小可能である。更に、ループアンテナに外付けされる回路素子の変更に応じ、整合回路の設計を容易に変更可能である。

以下、添付の図面に基づいて本発明の好適な実施形態を詳述する。
図１に、本発明の実施形態によるループアンテナの平面図を示す。このループアンテナは、電磁波を放射する放射部10と、ループアンテナの入力リアクタンスを調節するための整合回路20とを含む。放射部10と整合回路20とは好ましくは同じ回路基板上で一体化され、所定の間隔で配置されている。

放射部10は、四角形、又は円形などのループを含む。図１では一例として、放射部10が四角形状のループを有する。放射部10は好ましくは、導体のワイヤー又はストリップラインから形成されている。放射部10のループの一辺は途中で二つに切断されている。それら二つの部分の先端部は回路基板に向かって折り曲げられている。それらの先端部は、回路基板に設置された共振部（図１には示されていない）に連結されている。特に、一方の先端部は給電点11であり、他方の先端部は短絡点13である。共振部からの電力は給電点11を通して放射部10のループに伝わり、外部に電磁波として放出される。ループに残留する電力は短絡点13を通して共振部に戻る。放射部10のループの長さは実質的に１波長（１λ）に等しい。

整合回路20は放射部10のループの内側に構成されている。図１に示されているように、整合回路20は、延長部21、折り曲げ部25、及び抵抗調節部30を含む。延長部21は放射部10のループの一辺に連結されている。折り曲げ部25は延長部21の先端に連結され、延長部21の長手方向に対して垂直に折れ曲がっている。抵抗調節部30は放射部10のループの内側に形成され、ループの各辺に沿って平行に延びている。

延長部21は好ましくは一対の延長線を含む。各延長線は好ましくは、給電点11と短絡点13とを含む放射部10のループの一辺に対向する他辺から、そのループの内側に延びている。放射部10のループは、各延長線との連結部分でも二つに分離されている。それにより、延長線の一方は、二つに分離された放射部10のループの一方を通して給電点11に連結され、延長線の他方は、放射部10のループの他方を通して短絡点13に連結されている。延長線は互いに平行であり、それらの間に寄生するキャパシタが放射部10と外部回路との間でのインピーダンス整合に利用される。そのキャパシタの容量は各延長線の長さT1で調節される。

折り曲げ部25は好ましくは一対の蛇行ラインを含む。各蛇行ラインは各延長線の先端部に連結され、各延長線の長手方向に対して垂直に、ジグザグに折れ曲がっている。一対の蛇行ラインは先端部で互いに連結されている。このような蛇行ラインにより、折り曲げ部25のインダクタンスは高い。すなわち、放射部10と外部回路との間でのインピーダンス整合では、折り曲げ部25はインダクタとして機能する。

延長部21のキャパシタとしての機能と、折り曲げ部25のインダクタとしての機能とにより、整合回路20は、図２に示されているＬＣ共振回路と等価である。図２に示されている二つの端子A、Bはそれぞれ、放射部10のループに連結される。放射部10のループから電磁波が放出されるとき、電力が二つの端子A、Bを通してＬＣ共振回路にも伝わる。それにより、ＬＣ共振回路には共振が起こる。すなわち、延長部21での電場の発生と、折り曲げ部25での磁場の発生とが交互に繰り返される。

図３に、ループアンテナの内部での電場分布と電流分布との各変化を示す。図３の上側に配置された４つの図は電場分布の変化を示す（各二等辺三角形の底辺から頂角の点に向かう方向が電場の方向を示し、各二等辺三角形の大きさが電場の強さを示す）。図３の下側に配置された４つの図は電流分布の変化を示す（色が濃い部分ほど、電流量が大きい）。図３では左側から順に、位相が45°、135°、225°、及び315°であるときの各分布ａ、ｂ、ｃ、ｄが示されている。

位相が45°であるとき、分布ａに示されているように、延長部21の間では電場の強さがピークに達している。そのとき、ループアンテナの内部に電流は実質上流れていない。
位相が135°であるとき、分布ｂに示されているように、延長部21の間では電場の方向が反転し、ループアンテナの全体、特に折り曲げ部25に電流が流れている。折り曲げ部25はインダクタとして機能するので、折り曲げ部25には磁場が発生している。
位相が225°であるとき、分布ｃに示されているように、延長部21の間では電場の強さが再びピークに達している。そのとき、ループアンテナの内部に電流は実質上流れていない。
位相が315°であるとき、分布ｄに示されているように、延長部21の間では電場の方向が反転し、ループアンテナの全体、特に折り曲げ部25に電流が再び流れている。すなわち、折り曲げ部25に磁場が再び発生する。

このように、延長部21がキャパシタとして機能し、折り曲げ部25がインダクタとして機能することにより、整合回路20がＬＣ共振回路として機能する。特に、延長部21と折り曲げ部25との全長は実質的に１λに等しいので、整合回路20の共振では定在波が発生する。このような整合回路20の共振を利用してループアンテナの入力リアクタンス値及び共振周波数を調整できる。

図４に、延長部21の長さT1（図１参照）とループアンテナの共振周波数との間の関係を示す。図４には延長部21の長さT1が、4mm、8mm、12mm、及び16mmである場合のそれぞれについて、ループアンテナの反射係数S11の周波数特性を示している。図４に示されているとおり、延長部21の長さT1が4mmである場合には共振周波数が約1.15GHzであり、8mmである場合には約1GHzであり、12mmである場合には約0.95GHzであり、16mmである場合には約0.87GHzである。すなわち、延長部21の長さT1の増大に伴って共振周波数が低下する。これは、延長部21が長いほどその寄生キャパシタの容量が増大することに起因する。このように、延長部21の長さT1を調節することで、ループアンテナの共振周波数を移動させることが可能である。

図５に、折り曲げ部25の幅T3（図１参照）とループアンテナの共振周波数との間の関係を示す。図５には折り曲げ部25の幅T3が、4mm、8mm、12mm、及び16mmである場合のそれぞれについて、ループアンテナの反射係数S11の周波数特性を示している。図５に示されているとおり、折り曲げ部25の幅T3が4mmである場合には共振周波数が約1.5GHzであり、8mmである場合には約1.2GHzであり、12mmである場合には約1GHzであり、16mmである場合には約0.9GHzである。すなわち、折り曲げ部25の幅T3の拡大に伴って共振周波数が低下する。これは、折り曲げ部25の幅が広いほどその全長が増大し、そのインダクタンスが増大することに起因する。このように、折り曲げ部25の幅T3を調節することで、ループアンテナの共振周波数を移動させることが可能である。

抵抗調節部30は好ましくは、図１に示されているように、一対の調節線から成る。各調節線30は、放射部10のループの内側を、給電点11と短絡点13とのそれぞれからループの各辺に沿って延びている。各調節線30は特に、放射部10のループの各辺に対して平行であり、ループの各辺から所定の間隔に配置されている。各調節線30の先端部は延長部21に隣接している。すなわち、各調節線30の全体は「コの字」状に形成されている。

抵抗調節部30では、各調節線がダイポールアンテナでのスタブと同様に機能する。すなわち、抵抗調節部30によってループアンテナの入力抵抗が調節可能である。こうして、延長部21の長さT1と折り曲げ部25の幅T3との調節によるループアンテナの共振周波数の調節と並行し、ループアンテナと外部回路との間でのインピーダンス整合を高い精度で実現可能である。

図６に、ループアンテナの反射係数S11の好ましい周波数特性を示す。ここで、放射部10と抵抗調節部30とは厚さが0.5mmに設計されている。更に、延長部21の長さT1と折り曲げ部25の幅T3とはいずれも16mmに設計されている。図６に示されているように、このループアンテナの共振周波数は約0.91GHzであり、0.9090GHz〜0.9156GHzの周波数帯域（幅は約6.6MHz）で反射係数S11が−10dB以下である。このループアンテナの利得は−0.8732dBである。以上の測定値から明らかなとおり、このループアンテナは特にＲＦＩＤシステムのアンテナに適している。

図７Ａ〜図７Ｃに、図１に示されているループアンテナの放射特性を示す。図７Ａ〜図７Ｃでは、図１に示されている折り曲げ部25の幅T3の方向をＸ軸とし、延長部21の長さT1の方向をＹ軸とし、ループアンテナを含む平面に対して垂直な方向をＺ軸とする。図７ＡはＸ−Ｙ平面での放射パターンを示し、図７ＢはＸ−Ｚ平面での放射パターンを示し、図７ＣはＹ−Ｚ平面での放射パターンを示す。
図７Ａ〜図７Ｃに示されているとおり、ループアンテナはいずれの平面でも全方向性を示す。このことから、整合回路20がループアンテナの放射パターンには影響を与えないことが分かる。

以上の説明から明らかなとおり、本発明の上記の実施形態によるループアンテナは、その性能を損なうことなく、整合回路20を放射部10と一体化できる。従って、従来のループアンテナとは異なり、別の整合回路を外付けする必要がないので、ループアンテナを搭載する電子機器の更なる小型化が可能である。更に、延長部21の長さと折り曲げ部25の幅との調節でループアンテナの共振周波数を変更可能であるので、外部回路の変更に応じて整合回路20の設計を容易に変更可能である。

以上、本発明の好適な実施形態を説明した。しかし、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に基づいて定められるべきである。実際、当業者であれば、特許請求の範囲において請求される本発明の要旨から外れることなく、上記の実施形態を多様に変形可能であろう。従って、それらの変形も当然に、本発明の技術的範囲に属すると解されるべきである。

本発明の実施形態によるループアンテナの平面図 図１に示されている整合回路の等価回路図 図１に示されているループアンテナの内部での電場及び電流の各分布の変化を示す平面図 図１に示されているループアンテナについて、延長部の長さT1と共振周波数との間の関係を示すグラフ 図１に示されているループアンテナについて、折り曲げ部の幅T3と共振周波数との間の関係を示すグラフ 図１に示されているループアンテナの反射係数S11の好ましい周波数特性を示すグラフ 図１に示されているループアンテナのＸ−Ｙ平面での放射パターンを示すグラフ 図１に示されているループアンテナのＺ−Ｘ平面での放射パターンを示すグラフ 図１に示されているループアンテナのＹ−Ｚ平面での放射パターンを示すグラフ

符号の説明

10 放射部
20 整合回路
21 延長部
25 折り曲げ部
30 抵抗調節部

Claims (14)

1. ループを含む放射部、及び、
   前記ループの一辺から内側に延びている延長部と、前記延長部の先端部で折れ曲がっている折り曲げ部とを含む整合回路、
   を含むループアンテナ。
2. 前記ループは、途中で二つに切断された一辺を含み、
   前記切断された一辺の一方の端部は給電点であり、他方の端部は短絡点であり、
   前記延長部は、前記切断された一辺に対向する前記ループの他辺から延びている一対の延長線を含む、
   請求項１に記載のループアンテナ。
3. 前記折り曲げ部は、前記延長線の各先端部で前記延長線の長手方向に対して垂直に複数回ジグザグに折り曲げられた一対の蛇行ライン、を含み、
   前記一対の蛇行ラインは先端部で互いに連結されている、
   請求項２に記載のループアンテナ。
4. 前記延長部と前記折り曲げ部とはＬＣ回路を構成し、前記延長部は前記ＬＣ回路のキャパシタとして機能し、前記折り曲げ部は前記ＬＣ回路のインダクタとして機能する、請求項１に記載のループアンテナ。
5. 前記整合回路によって入力リアクタンスが調節される、請求項１に記載のループアンテナ。
6. 前記延長部が長いほど共振周波数が低い、請求項１に記載のループアンテナ。
7. 前記延長部の長手方向に対して垂直な方向で前記折り曲げ部が長いほど共振周波数が低い、請求項１に記載のループアンテナ。
8. 前記ループの各辺から所定距離だけ内側に、前記ループの各辺に対して平行に配置された抵抗調節部、を更に含む、請求項１に記載のループアンテナ。
9. 前記ループは、途中で二つに切断された一辺を含み、
   前記切断された一辺の一方の端部は給電点であり、他方の端部は短絡点であり、
   前記抵抗調節部は、前記給電点と前記短絡点とのそれぞれから前記延長部に隣接する領域まで延びている一対の調節線、を含む、
   請求項８に記載のループアンテナ。
10. 前記抵抗調節部によって入力抵抗が調節される、請求項８に記載のループアンテナ。
11. 前記延長部と前記折り曲げ部との全長が実質的に１波長に等しい、請求項１に記載のループアンテナ。
12. 前記折り曲げ部は前記延長部の端部で数回折れ曲がっている、請求項１に記載のループアンテナ。
13. 前記整合回路は前記放射部の内側に配置されている、請求項１に記載のループアンテナ。
14. 前記整合回路は前記ループの内側に配置されている、請求項１に記載のループアンテナ。
    

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